2024年03月13日

群馬・藤岡「鏑屋 響」


地元の人にも、遠方からのお客さんにも大人気の、
素敵なお蕎麦屋さん。

「素敵なお蕎麦屋さん」って言いたくなる感じなんですよねー!


遠くから見るとシンプルな雰囲気なのですが・・・

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近づくとほら。素敵でしょう!?♡


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ついときめいて激写しまくり。

店内の暖かな灯りに誘われるように
すいいぃ〜〜と引き寄せられていく。

今日はこんなところで手打ち蕎麦が食べられるなんて
嬉しいなあ〜♡



少し暗めの店内にはアンティークの美しい家具やお花が飾られ
これまた素晴らしく良い雰囲気。

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セットされたテーブルはまるで美しい舞台のようだ。



予約をしておいたのですんなり入れたが
店内はすぐに満席に。
人気の程が伺える。



それもそのはず。
ここ、こんなに素敵な雰囲気で、お料理もとーっても美味しいのに、
え??ってくらいリーズナブルなんです。


いつもお蕎麦屋さんでは「せいろそば」に全身全霊集中し過ぎて
アラカルトばかりの私ですが
ここでは、大変評判の良いコースメニューを行きたいと思います!



蕎麦遊膳「鏑」 お願いしまーす♡

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(間違えて昼のを撮っちゃったけどこの時は夜でした。お昼だと200円ほどお得らしい)


「先付」
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わ。

素敵な演出にまたまたときめいてしまいます〜

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ねっとりこっくり、でもすっきりな胡麻豆腐、おいしい〜


そして、運ばれてきてびっくりしました。

えええええ〜〜〜〜!

「蕎麦点心(2人前)」
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ナニコレ 嬉しすぎるんですけどーーーーーーっ!!!♡


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ときめきすぎてまたまた激写!

こういうふうに、こちょこちょいっぱい並べてくれると
結構どんなお料理でも華やかで美味しそうに見えたりしますが
シビアな蕎麦犬高遠彩子はしっかり細かく内容もガン見しております。

ここのは、違う。
一つ一つ全てが選び抜かれた美味しそうなものばかり。

センスと思いやりが伝わるお料理の数々に、
食べる前から大感激〜


⚫️里芋の揚げ団子
⚫️ニシンの煮付け
⚫️イワシ揚げ浸し
⚫️蕗、茄子、きのこ、蓮根、ワラビのあえもの
⚫️桜エビとそら豆のマッシュポテト
⚫️マグロ
⚫️ホタルイカ

もうね〜〜〜〜
見た目通りの美味しさ、センスの良さに
静かな店内でおとなしく興奮するのが大変でございましたよ(笑)

里芋にはなんと中に明太子入ってました!
(齧った写真も撮ったけど自粛(笑))
ニシンの煮付けうまあああ!
あえものも、なんともじんわり美味しい、最高の春の恵み。
マッシュポテトは洋風小洒落た味付けがニクイ。
マグロはワサビと醤油だけ!いいねええええ〜
ホタルイカ沖漬けだぁーいすき♡

2,000円台のコースの中にこんな盛り合わせ入れちゃいます?
この後天ぷらやお蕎麦、デザートまでつくんですよ??
お店として大丈夫なのか心配になっちゃうくらいですが
だからこそ、「めっちゃオシャレな実家感」も感じて
この上もなくくつろいじゃうんですよね〜
(フロア担当の奥さんはずーっと声が明るくて超感じがいい〜)




「海老天ぷらと季節の野菜天ぷら(2人前)」
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海老おっきいぃいぃーーー!
天ぷらそのものも、盛り付けも美しい。

華やかに聳り立つ舞台の裏側では・・・

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御覧ください、このカボチャさん蓮根さん茄子さんの影なる頑張りを。
自分たちだってとってもおいしいのに
主役俳優が見栄えするよう下からしっかり支える縁の下の力持ち役、
つい応援したくなってしまう(笑)

パリッとした衣で結構オイリーなのだがヘビーではない感じ。
程よいボリューム感でサクサク食べちゃう〜 おいしい〜
特にエビが大きくて立派で、ぷりぷり半生感が美味しかったです♡
てか何度も言いますがこの値段のコースにこの大きな海老って・・・
ありえません〜〜〜!



「せいろ」
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わあ〜〜

瑠璃色の宇宙のようなお皿に盛られたこの演出。

「こう見せたい」というお蕎麦愛が伝わってきて、
その愛と私の蕎麦愛が響き合い、
食べる前から・・・はいもう黙ります、早く食べろ!(笑)


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うわあ・・・

箸先から寄せた香りはおとなしいのだが
なんとも上品な素敵な香り。
何より食感が印象的で、なんですかこの極上のやわらかさは!!
ふんわりしっとりとした極細の束感、殊更でないコシ。
ちょっと柔らかすぎる?と感じる一歩手前の、絶妙のやさしい食感。
香りも味わいも淡いのだが、なんとも上品で美しく
その極細ふんわりやさしい食感とも相まって
天女の羽衣に抱かれたような美しい世界に連れて行かれた気分。
群馬、赤城の二八蕎麦。


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蕎麦汁は万人に愛されそうな大変美味しい汁。
甘過ぎず辛すぎず上品すぎず粋すぎず。絶妙ですねえ〜
ただ不思議なことにこの蕎麦汁は蕎麦につけず
単体で味わった方がその魅力を感じやすいような気がしました。



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デザートの抹茶羊羹も美味しい!!
(苦味があると、苦手の甘いものが突然イケるどころか大好きな私(≧∇≦)♡)



外はまだまだ寒い3月の夜。

店内には立派なお花がそこここに飾られ、
お店の奥さんの明るい優しい接客に終始包まれ、
こんな素敵なところで美味しいものをいっぱい食べて
この幸せとありがたさはなんでしょう。

てかこのコースお安すぎませんか!!??


アラカルトも色々気になるメニューあるのだけど、
やっぱりここは次回もコースにしちゃいそうだな〜♡







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posted by aya at 10:29 | Comment(0) | TrackBack(0) | 関東の蕎麦>群馬 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年08月04日

群馬・倉賀野「純手打ちそば 梅田屋」


梅田屋さんなんて店名から
古風で可愛らしい小さなお店かとやってきたら
どどーーんと立派なお店!

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「手打ち」だけでは言い足らず「純手打ち」と名乗っちゃうあたりに
自信と誇りが感じられます〜 (≧∇≦)

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店内は広々、郊外のお店らしいゆったりスペースだが
「おひとり様」用らしいカウンターコーナーが
ズラーッとあるのが目立っている。
ランチ時めちゃ混むお店なのかも!


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さて本日は私、かなりドキドキというか、ばふばふというか、
まあとにかく膨らむ思いを押さえつけてここにやってきたのであります。

何でかってまたいつもの如くなんでありますが
このお店には3種類もお蕎麦があるため
そのうちどれかが売り切れていないか、全種類食べられるかという
欲望と愛と不安の大海原なのであります!

一応当日電話で問い合わせもしたのだが
「その時間になってみないとわからない」
という至極真っ当なお返事をいただきまして (^^;)
とにかく突っ込んで参りました。


テーブルについてすぐだとかっこわるいので(笑)
ほどよく経ってから
「あのう〜今日もう売り切れちゃっているお蕎麦あるでしょうか〜」
と尋ねると
「ちょっとお待ちください、確認してきます」
とのこと。
ひゃ〜!!ますますドキドキするんですけどーー!!


私が何にドキドキしているかをご覧に入れますとですね。。

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この右ですよ、右ページ!
要は下段の「もり(二八)」のほかに
「十割」と「田舎」があるわけです。
「特別な蕎麦」っていうタイトルがまたシビれます〜 (≧∇≦)


厨房から戻ってきた店員さん、
「まだ全部大丈夫です!」
とのことで、やったああああああ(T_T)♡!!


ちなみにこちらのお蕎麦は
全て常陸秋そばなんです♡

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せっかくだから一品料理も頼みたいですよねー

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というわけで、まずは

「なめこおろし」
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これ、普通の小鉢に見えるかもしれませんが
小ぶりの丼くらいあるサイズなんです!

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こんなにたっぷりいいんですか〜ってくらい
美味しいなめこおろしをたっっぷり食べてしあわせ♡
(きのこだいすき)


「まいたけ天」
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見かけたら頼まずにはいられない大好物。
ここのはとにかく爆量!!
揚げ方はバリバリッと庶民的な感じで
ちょっと脂っこさがあるぶん食べ応えがあります。



「山うどの天ぷら」
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メニューにはなかったが
遠くの方にあった張り紙を目敏く見つけてオーダー。
(目が悪いのにお蕎麦屋さんに関してはやたらによく見える)

鮮烈な香りに目が醒めるー!!
揚げ方もこちらはパリッとして軽やかさもあって美味しい。
この繊細な先っぽも美味しいけど
太い茎の部分の香りが素晴らしすぎます〜!
お店の人の話によると
店で使う山菜は自分たちで妙高に取りに行っていたが
今年は長野から送られてきた山菜とのこと。
ちなみに訪問は6月だったのだが
まだこんなに香り高い山ウドが食べられることに
びっくりしました〜


「もつ煮」

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ふっふっふ、こちらも目にしたら頼まずにはいられない大好物。
なんたって「煮肉愛好会会長(自称)」なもので!
焼いたお肉より煮たお肉が断然好きなんですよね〜
ここのもつ煮は味濃いめ、でも甘さは強すぎず
煮汁濃厚でおいしい!



いよいよ、時は満ち。

愛しい方々にお会いできる時間となったようです。

まずは、この方!


「もり(二八)」
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こちら、メニュー本の「特別な蕎麦」からは外れておりましたので
期待値としては一番低かったお蕎麦。
このお店のスタンダード蕎麦ということで
セット物にも全部このお蕎麦がついてくるはずなんですが
それにしては、なんだかものすごーく素晴らしそうなのですが!?


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箸先から香りを寄せて目が丸くなる。
えっ・・・?
そして食べた瞬間、叫んでしまいました。
「えーーっ!これでいいんじゃない!?」 (≧∇≦)

なんという素晴らしい香り!
石のようなイメージの、ストイックでシャープな野生のかぐわしさ。
噛み締めるとしっかりとした強靭なコシがすごい。
そこから溢れ出す味わいも濃厚で、
おいっしい〜〜
もうとにかく王道の美味しさ!!

こんなお蕎麦がこんなに量たっぷりで693円!!
これから出てくる「十割そば」は1,155円、
「田舎そば」は957円なので「もり(二八)」の値段はかなり安め。
その二八がこれだけおいしいって・・・
これからどうなっちゃうんですか!? (≧∇≦)♡


「十割そば」

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「特別な蕎麦」は区別をつけて
木のせいろでなく笊でやってくるらしい。
二八とは微妙に違う肌。
輪郭線はこちらの方が優しげに見える。

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香りは二八よりさらにストイック!
二八のようなシャープな野生はなく、
幅太く香ばしいイメージのかぐわしさ。
食感はなんと二八よりこちらのほうがやさしくてさらにいい感じ。
味わいはこちらも濃く、
さすがは常陸秋蕎麦という感じの王道の美味しさ!
いや〜〜これも素晴らしい〜・・・
さすがに十割の方が美味しいと思いましたが
お値段考えたら全然僅差!
あの「もり(二八)」はやっぱり凄すぎるので
迷うところですね〜っ



「田舎そば」

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わー!!
期待を超えた粗挽きっぷりと色の濃さ!
平打ちの肌に無数に浮かんだホシがすごい。


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ぎゃーーーー!!!

なんという、なんという、かぐわしさ!!

ゾクゾクするほど素晴らしい、田舎そばらしい最高の香り。
ガツンとたくましい大地の香りと、ナッツのような香ばしさ。
熟成のような香ばしさだが、むわーとした重苦しさはなく
どこまでもフレッシュなのがたまらない。
そして食べると滋味深さが広がって、あまーい!
心地よいジャリ感もあって、これは、最高の田舎そば!!


ちなみにお蕎麦が3種類とも全部美味しすぎて
蕎麦汁には一度もつけずに終わってしまいましたが (^^;)
もちろん蕎麦汁は、蕎麦湯の大切なお供としていただきましたよー♡
甘めだけど、全体はこっくりとまとまっていて
天ぷらによく合いそうな汁。



ハアハア・・・
めくるめく絶品常陸秋三兄弟に魅了翻弄されて
もうなんというか、骨抜きのくにゃくにゃ・・・

とにかく今日は全種類食べられて本当によかったーー!

次回来る時はどのお蕎麦にしようかな?なんて
普通の女子っぽいことを言ってみたくなりますが
次もまた「3種類全部食べられるか」という愛と欲望の大海原で
めちゃめちゃドキドキしながら来るんだな〜きっと! (≧∇≦)






posted by aya at 17:44 | Comment(0) | 関東の蕎麦>群馬 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年07月15日

群馬・館林「そば工房風車」


なんだかすごく面白そうな予感がしたのだ。

たどり着けば「工房」と名乗るにふさわしい、素っ気ない外観。

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石臼のみならず
「石抜き」「磨き」「皮むき」など5台の機械を使って
全ての行程を自家製粉しているという「そば工房 風車」。
しかも蕎麦は全て十割だ。

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玄関を開けると予想外の空間。

うわあ・・

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気持ちのいい板の間の向こうに緑の窓。


大きな窓いっぱいに初夏の草花があふれんばかり。
その向こうは畑だ。

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禁煙席は別に設けてあるが
誰もいないのでやはりあの大きな窓辺に座りたい。

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紫陽花を眺めながら蕎麦をたぐれるとは
なんて贅沢な空間だろう。

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それにしても静かだ。
営業時間前に入ってしまったのではないかと心配になるほど静かだ。



メニューがまた素晴らしい。
薄くて大きな和紙に一枚一枚手書きされている。

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特に特に、やっぱり最初の「かざぐるま三昧」がたまらないですよねえーーー!
しかも変りそばとかじゃなくて
「せいろそば」「田舎そば」「荒挽そば」って、
嬉しすぎるじゃないですか!(≧∇≦)♡




「天ぷら盛り合わせ」
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ドーン!!とどっさり盛られてきた
まいたけ、にんじん、かぼちゃ、ピーマン、いんげん、海老。
畑の横で畑の恵みにかじりつく喜び。
がっつりさっくり、海老も立派で美味しくて
これはお得な盛り合わせだなあ〜



「そばがき」
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丁寧に蓋付きの器でやってきた。
日本の器は世界一素晴らしいと私は思っている。
ひとつひとつの食べ物に対して「これ」という器がある。
開けるのが楽しみ!!



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現れた、造形美。

蕎麦を練って盛っただけのものがどうしてこんなにも美しいのだろう。

むわ〜としたたくましさと甘さが入り交じる香り。
食感はむっちりネトーとして
昨今はやりの感じとは無関係の、いかにも田舎らしいそばがきだ。
香りも味わいもガツンと濃厚。
ああ いいなあ
そうそう、そばがきってこんな感じだよなあ・・・ヽ(*´∀`*)ノ



「かざぐるま三昧」
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3種のうち、まずは2種が一緒に盛られてくるスタイル。
「せいろそば」と「田舎そば」。
葉っぱのお皿がすんごい可愛いんですけど〜〜(≧∇≦)
お皿まで自家製!




「せいろそば」
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ふわ〜と漂う、ちょっとウリにも似た青い野生+厚みのある香ばしさ。
食べた瞬間、んんーー!これはどこのお蕎麦??
長野っぽいけど長野っぽくないような?
と思ったら長野の茨城のブレンドだった。激しく納得(≧∇≦)/
端正な細切りの蕎麦はふわりと軽い食感で
蕎麦と蕎麦の間に香りが膨らむ感じを見つめ楽しむひととき。



「田舎そば」
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荒々しい平打ちの姿からはいかにも香りそうな予感がしたが
意外と香りは穏やかだった。
しかし見つめると、香ばしさと甘い香りを静かにたたえている。
食感は平打ちだけに軽く、ひらりふわりと密度の薄い印象の肌。
そっと噛みしめると思いのほか力強い滋味深さがひろがる。




そして「かざぐるま三昧」最後の一枚。
この子だけは暴れん坊すぎて一緒に盛ることができなかったのでしょうか、
別盛りでやって参りました。

「荒挽そば」
IMG_2570.jpgそば」

いかにもムッチムチそうな極太打ちの蕎麦が
せいろの上に何とかおさめられた感じ。


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たぐりあげるというよりは「持ち上げる」感じすらある太打ち蕎麦。
姿からも感じたが香りもやや熟成の感じで
しかし嫌味なく甘皮の黒い香ばしさと混じり合っている。
口に含むとやはりムッチムチで口中で暴れる感じがあり
それを押さえつけモグンモグンと嚙み締めるたびに甘みが深まる。



蕎麦汁はちょっと出汁の風味が個性的なのだが
とても美味しい。
普通は蕎麦汁が美味しいとお蕎麦が美味しく食べられるのだと思うが
例によって蕎麦を全部たべおわってから初めて蕎麦汁に手をつけた私は
美味しい蕎麦湯タイム。

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この湯桶も店主夫妻の手作り。
蓋の形が可愛らしくほっこり蕎麦湯タイムにぴったり。




私は食べに食べ尽くしたが、店は相変わらず静か。

私が居たのはほんの短い間ではあったが
心に残るひとときだった。

店主の姿は見ていないが、時代にも周りにも流されず、
自分の打ちたい蕎麦を極め自然と生きる姿を垣間見た気がした。
「風車」という自然で可憐な店名も胸に響く。



「春のみ」という「天然山菜天ぷら」も
食べに来たいなぁ〜




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2016年06月29日

群馬・富岡「そば食堂 仁べえ」


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通りの向こうから猫が歩いてくる。
道の真ん中を猫が歩けるのどかな街。

近年大人気の観光地、富岡製糸工場からも徒歩で3分程ながら夕暮れ時はこの静けさ。
私は「そば食堂 仁べえ」の前に立ち、感無量の思いだった。


店主・石井さんの名を最初に知ったのは神田「いし井」のころ。
まだ私が「蕎麦を食べ過ぎ始めた」20年以上前のことだ。
「神田藪蕎麦」と「神田まつや」という二大超有名老舗の間といっていい場所に
「そうとは知らないで店を出した」というエピソードを聞き
「大物すぎる!」と大ウケしていたものだ。
その後、修善寺「朴念仁」、銀座「古拙」、日本橋「仁行」 と
贅沢に研ぎ澄まされた料理、蕎麦、空間で、人々を魅了し常に話題をさらい続けてきた。
その料理も蕎麦も本当に素晴らしく、
実際店に行くと飾らない気取らないさっぱりとした高級店であったが
「ゴージャスなミシュラン蕎麦屋さん」というのが世の中の印象であったと思う。

その石井さんが今年ついに故郷に帰り出した店が「そば食堂 仁べえ」。
あの石井さんから「故郷で食堂やります。」と聞いたときには、
くーっそう来たか!ニクイ、カッコ良すぎる!!と心からワクワクしたものだ。


私にとってそんな「感無量」。
今日は都合で「仁べえ」の看板が出ていないだけに
「そば食堂」の文字が一段とほのぼのと目に映る。


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店は「食堂」というにはかなり上品なような、家庭的なような独特の雰囲気。

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カウンターに座るのも楽しそう。

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「仁行(にぎょう)」の時も素晴らしい店名と感激したが(店主は石井仁さんという)
「仁べえ」というのも本当に最高の名前をつけたものだ。


まずは静岡・川根の美味しいお茶でのおもてなし。
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「豆腐」
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富岡の隣町と言っていい甘楽にある「豆忠」の豆腐。
濃いのに甘すぎず素材の旨味ぎっしりで超好み!すばらしい。


「白滝のおひたし」
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これもご近所、下仁田の手作りこんにゃくの名店「やまふぐ本舗」 の白滝。
このべらぼうな美味しさは犯罪!!
しらたきそのものの美味しさもすごいが
出汁の美味しさ、味の程よい薄さ、温度等々全てがもこれ以上無い最高を突きまくっている。


「三千盛」
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「桜海老と九条ネギのおから」
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おからはこれまた「豆忠」のもの。
由井の桜海老に九条ネギという取り合わせがニクイ。
ほんのり甘い味わい。



「トマトそば(冷製)」
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きゃ〜〜〜
ときめくルックス!
涼しげでおいしそう〜〜!

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おおおおおおいしい・・・・おいしすぎる・・・
この手のものはイタリアンの「トマトの冷製カペッリーニ」もそうだが
トマトの甘味だけが勝って感じられやや単純な印象のものも多いのだが
さすがとしかいいようのないこの超絶深淵美味世界。
トマトの酸味、素材の味の濃さ、そこに絡まってくるすっきり美味しい出汁。
これだけでどんぶりいっぱい食べたい・・・



「手練りこんにゃく」
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「やまふぐ本舗」 の手練りこんにゃく。
凝固剤を限界まで使用してないので火入れしてないのに臭みゼロ。
あまりの美味しさに何ですかこの味付けは!???と聞いたら
ただ三杯酢ですよ、といわれた。いろんな魔法がこの器の中で起こっている!


この器もさりげなく素晴らしい。

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高台の高い器に弱い私。
大きくも分厚くもないのにゆったりドシンとした佇まいもいい。


「そばずし」
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ウワー!
この美しさ・・・・
器といい、絵のように完璧に仕上がったそばずしといい、圧巻の景色。

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これがまた人生最高と言ってしまいたい美味しさだから参ってしまう。
お、お、お、美味しい〜〜〜〜〜・・・・
玉子焼きときゅうりとしいたけ。
何も奇を衒っていないスタンダードなそばずしなのに
なんでこんなにおそろしいほど美味しくできてしまうのだろう。魔法だ!

海苔の香りもあんまり素晴らしいので訊いたら
「鮨水谷と同じ海苔」というお答えでびっくり。
ワーイ「佐賀のはしり」ですよね〜!私の一番大好きな海苔!!
(高いから買ったことはないけど♡(≧∇≦) )


「宮崎の黒岩土鶏、こんにゃくピリ辛煮、独活のきんぴら」
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「そばがきの鍬焼き」
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調理中からたまらなく香ばしい香りが漂ってきていた鍬焼き。
まさかそばがきだったとは。

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熱々のそばがきはもったりとろ〜り。
すごいボリューム感。




壁には「上毛新聞」に取り上げられた時の記事や蕎麦についての張り紙があった。

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この蕎麦についての説明は店主独特で
湯島「古拙」に行った時も私は過剰反応しているが
香らないどころか素晴らしい香りをまとった、個性的な極細の蕎麦なのだ。



神田「いし井」、
修善寺「朴念仁」、
銀座「古拙」、
日本橋「仁行」、
そして富岡「そば食堂 仁べえ」。


時の流れを思うと私はまたここで感無量となる。

時を越えて、私はまた店主の蕎麦にこれから出会う。



店主の思いと職人技のすべてが詰まった「水腰蕎麦」。

その美しさ。


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写真では伝わりづらいが本当に極細で美しく揃った端正な姿。
「喉越し重視で打っているので香りを求めるお客様には云々・・」なんて言いながら
すべてを最高の形にヒョイと持っていってしまうところがすごすぎる。



つゆが「ごまだれ」と2種あるところもすごいサービス。
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この汁がどちらもとんでもなく美味しい。
蕎麦汁はすっきりとしかし深く旨味がひろがり全体のバランスもビシッと完璧な、圧巻の美味しさ。
ごまだれはよくある甘ったるいものとは別世界の、
香ばしさと出汁の旨味が研ぎ澄まされストイックな印象すらある稀有なごまだれ。
おいっしぃ〜〜〜!



「青梅煮」
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こんな素晴らしいコースを堪能できる「仁べえ」、
全然食堂じゃないじゃないか!と思われてしまいそうだが、
昼間はちゃんと「食堂」している。
コースはなく、蕎麦や丼が中心で予約も不可。

逆に夜は三日前までの予約のみの営業となっている。

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昼の食堂らしい「仁べえ」も見てみたいな〜♪

あの悶絶「トマトそば」も食べられますよ!!

「海苔玉ごはん」っていうのも気になるぅ〜〜〜(≧∇≦)♡





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2016年02月26日

群馬・草津温泉「大信」


夕闇迫る草津の町。

温泉街のムード満点の観光地だけに
和風の立派な外観で観光客を引きつける店や宿屋が多いなか
かえって目立つこの外観。


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「草津温泉バスターミナル」からすぐの便利な位置にある「大信」。
飾らず気取らず美味しいものを作り続ける、
町の食堂のようなお蕎麦屋さんだ。


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店に入るとこの店の奥さんであるおばちゃんがドンと迎えてくれる。
毛糸のセーターの上に毛糸のチョッキを重ね着して
「いらっしゃい。」
と実にはっきり落ち着いて言う。


奥には修学旅行生らしい中学生男子三人というお蕎麦屋さんには珍しいお客さん。
うんうん、キミタチいいお店選んだねえ〜(≧∇≦)



メニューには
「かつ丼」
「ソースかつ丼」
「カレー丼」
など丼物も充実。

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湯上りの一杯にぴったりなおつまみメニューもいろいろ♡

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当然中学生くんたちはカレー丼とかかと思いきや注文は
「きつねそば」「鴨南そば」「山かけそば」。
ええええ 上品というかいい感じに枯れているというか
なかなかやりますねえ!!
そう言えばよく見るとどの子も品の良い子ばかりで話し声は適度に小さく
先にお蕎麦が来てしまった子は他の子のが来るまで食べずにじっと待っている。
傍らには家族へのお土産なのか紙袋がきれいに置いてある。




「舞茸天ぷら」
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これはこの店に来たら絶対食べたい絶品メニュー♡
ど〜んと嬉しいこのボリューム、そしてバリッと美味しい!



「すくい豆腐」
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こんもりまんまるのお豆腐。
甘さはあまりないさっぱりすっきり系なので
薬味をいっぱいかけて食べるのが美味しい。
お豆腐も薬味も体にいいものばかりだなあ〜
和食ってすごいなあ〜





「もりそば」
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香りはごく淡い・・・と思いきや、爽やかな少し尖った野生の香りが
ほんのりと感じられてきた。
口中で直線的なラインを描くはっきりした舌触りで、歯ごたえもしっかりめ。
噛みしめるとそこから甘みとたくましい味わいがジワッと溢れるのが嬉しい。


19時頃には閉まってしまうこの店だが扉が開きまたお客さんが入ってきた。
と思ったらお客さんではなくおばちゃんのお友達だった。
おばちゃんと同年輩でふたりともあまり笑わないがそれだけ仲良しのようで
いそいそと奥の席へ行き嬉しげに話し込み始めた。
女子のおしゃべりはいくつになっても(^^)。
この街の日常を覗いているようで、こういうのを旅情というのだなあ、と思う。
外は雪が降っている。


おしゃべりに夢中に見えたおばちゃんだったが
中学生くん3人の様子にはすぐに気づいたらしく

「お茶かい。」

と立ち上がった。

「はいよ。」とお茶を汲み
「どうぞ〜。」とゆっくりと渡す。

その声は太く低く舞台女優の台詞のようにはっきりとしていて
だんだん私にはこの毛糸のチョッキにマスクしたおばちゃんが
めちゃくちゃかっこよく見えてきてしまった。
日本で最初のプリマドンナだった私の大叔母を思い出させるような、
飾らない堂々たる態度。
わかりやすい愛想はないが正直で自然な思いやりが感じられ
とても居心地が良かった。


貫禄ある存在感で店内をゆっくり歩き
「お客さんを守っているような」おばちゃんに対し
時折厨房の奥に見える店主はクルクルと動き回り美味しいものをたくさん作っている。
それもなんだかとてもいいバランスに見えた。


会計が済むと、私と一緒に入り口まで出てきてくれて

「気をつけてね。今日は、寒いから。」

ニコリともせず太い声ではっきりと言うおばちゃん。



店を出るとかなりの雪だったが、
暖かいのはお腹の蕎麦湯のせいだけではなかった。






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2016年02月16日

群馬・沢渡温泉「よしのや」


こういう名店との出逢いには心の底から参ってしまう。

もちろん行きたくてわざわざ行ったのだから期待もしていたが
そんな期待もその前後のことも忘れてしまうくらい
ぐでんぐでんに癒されてしまう山の名店。



「草津の仕上げ湯」として古くから親しまれてきた沢渡温泉は
山道を標高600mまで登った奥にひっそりとある温泉街だ。

その温泉街の入口にある「よしのや」。
雪に埋れた外観も素朴そのもの。

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隣は「中之条町消防団」だ。
くーっ たまらん!!(≧∇≦)


店に入るとそこはもう素朴を通り越してディープというかリアルというか
昭和の香るすんばらしい風情!!


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うはははは・・・
隅の席では近所の方らしいちょっとダンディなお年寄りが
一杯・・いや大分やっている(^o^)
突然入ってきた私を少し珍しそうに見ている。
外はかなりの雪が降り始めた。


隅には製粉機あり、蕎麦粉の販売あり、
それに加えていろんな張り紙が賑やかだ。


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「蕎麦の八徳」も貼ってあります〜

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7番目まではウン♡ウン♡ウン♡と頷ける、正に私の毎日のような言葉ばかり。
そして一番好きなのは阿闍利様を思わせる8番目。



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あの「玉の肌豆腐」っていうのはなんだろう〜
温泉街らしいし美味しそうだなあ。
「手作りケーキはじめました チーズケーキ ガトーショコラ」
っていうのもこの店の昼下がりののんびりした時間が目に浮かんでほほえましい。
特にお腹は空いていなくとも温泉帰りにカフェのように立ち寄る人も多いのだろう。


メニューも手書きで素朴そのものだが
写真付きというところが大変に親切だ。
キャ〜〜写真いっこいっこ切ってありますよ〜〜(≧∇≦)!

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注文を取りに来たのは奥さん。
事前に営業確認の電話をした時の店主の対応から
感じの良いお店だなあとは思っていたが
店主夫妻は明るくにこやかでとても感じがいい。

注文するとハ〜イ!とふたりして厨房に消え
トントンコトコトと甲斐甲斐しく調理する音が聞こえてきて
やがてすべてのものを同時に仕上げて
二人で手をいっぱいにしていっぺんに持ってきてくれた。
すごい技、サービス!



「天ぷら盛り合わせ」
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見た目も味も家庭的な天ぷら盛り合わせ。
お店のお料理を家庭的と言ってしまうのは失礼かもしれないが
本当に家庭で食べるようなほっこりとした美味しさだった。
ふきのとうと、今日から出たというタラの芽が嬉しい。



「もつ煮」
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「煮肉」大好き、内蔵大好きな私はもつ煮を見つけたら絶対にスルーできません(≧∇≦)
ガツンとしたお酒に合いそうな濃いめの味つけ。
味噌味が美味しい。



「玉の肌豆腐」
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200円なのでもっとさり気ないものかと思っていたのに
こんもり大きな、とても綺麗なお豆腐が来てびっくり。
食べてまたまたびっくり。
お〜〜これは胡麻豆腐だったんですね??
しかもただの胡麻豆腐ではなくとろ〜んと独特の柔らかさで
ちょっと不思議なやさしい繊維感を含んでいる。
訊けばこれは葛粉と胡麻を入れた奥さんのオリジナルメニューだそうだ。
それにしても200円は安すぎますって!


そして・・・・

じゃーーーん

「ざるそば」
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うわあああああああ
ちょっとちょっと、これって相当美味しんじゃない!?

どどどうしよう、心の準備が・・・・


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( °o°)

( °o°)

( °o°)

蕎麦が、美味しすぎる!!!!
完全にゆるゆるリラックス、油断しまくりスキだらけ状態で出会ったこの美味しさ。
全身がびっくらこいていったいぜんたいなんじゃらほいと
頭がパーになるような衝撃とよろこびで顔のニヤニヤが止まらない!!
(皆さん見ないでください)

濃厚にまとった外皮の黒く香ばしい渋い香り+なんとも滋味深いたまらないかぐわしさ。
ザラッザラつぶつぶの肌は手作りこんにゃくのような舌触りで
いびつな素朴な輪郭線が口中を撫でるのがたまらなくいい。
舌触りは手作りこんにゃく風だが食感は手作りこんにゃくのようなプルプルではなくしっかり密。
噛みしめるとどうにもこうにも美味しすぎる蕎麦の味わいがジワァ〜と溢れてくる。
甘みはすっきり、どこまでも滋味深くかぐわしく
とにかくいくらでも食べたい美味しさ!!
地粉と福井のブレンド、二八。


恍惚ヘラヘラと蕎麦に耽溺する私がおかしかったのか
奥で酔っ払ってたダンディーおじいさんが突然声をかけてきた。

「失礼ですがあなたさんはどちらから?」
「この店の蕎麦をどう思われますか?」

私のような若輩蕎麦犬にもそんな丁寧な言葉を使ってくれることが新鮮であり
ダンディーおじいさんを余計ダンディーに見せた。
どうやらダンディーおじいさんはここの常連さんで家族のような付き合いをしているので
家族の評判を聞きたくなったらしい。
あまりの蕎麦の美味しさに宇宙へ旅立っていた私は
一生懸命人間に還りながら正しい人間語をしゃべろうと努力しながら
今も全身を染めている感激を言葉にし大絶賛した。
ダンディーじいさんは安心したようにそうですか、そうですかと
嬉しそうにさらに飲みまくっている。


私も一緒に暴走しもう一枚(≧∇≦)♡


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ウホホホホホ・・・
本当に笑いがとまらないくらい美味しい。
一枚めはややかためしっかりめの食感といびつな舌触りを楽しんだが
二枚めは食感も舌触りもちょっとやさしい感じ。
とにかくどっちも食べている間中いびつで素朴でおいしい。
店主も奥さんもニコニコして親切でとっても感じがいい。
こんな山の温泉街の片隅で私は今べらぼうに幸せだ。



ここは汁がかなり個性的であまり出会ったことのない味わい。
鰹出汁だそうだが鰹感は少なく
みりんの優しさと醤油が合わさったようなストレートな感じ。
相変わらず表現が下手くそだが不思議な美味しさの汁だった。



天ぷら盛り合わせのフキノトウが美味しかったのでダメモトでお願いしたら
今日は大丈夫とのことで追加オーダーできちゃいました♪

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さっきのより余計ふっくらさっくり柔らかく美味しい〜〜
早春、出たてのフキノトウはやっぱりいいなあ


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蕎麦湯もやたらめったら味わい深く美味しい。
蕎麦湯にホシが飛んでいるのも嬉しいし
粉がいいってこういうことなんだなあーと感じさせられる旨みだ。
湯桶に2杯たっぷり飲んじゃった人(* ̄∇ ̄*)いつもだけど(* ̄∇ ̄*)



店主夫妻の笑顔に華やかに見送られて外に出ると、ものすごい大雪!!!

えーっ
隣の消防団のシャッターが開いて消防車も出動するのか
赤いランプがガンガン点滅してるんですけど!!



私、帰れるのかな・・・(* ̄∇ ̄*)



とりあえず心残りはこの不思議な不思議なメニュー(^^)
次回要確認!!

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posted by aya at 23:37 | Comment(7) | TrackBack(0) | 関東の蕎麦>群馬 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年10月17日

群馬・高崎「手打ちそば 舞鶴」


地方のお蕎麦屋さんに行く時は自然の中のお店よりも
街中のお蕎麦屋さんに行く方が旅人気分になる。

自然の中だと自分がどこに居るのかも忘れるほど気持ちがいいし
来ている人もそれなりに遠くから来ている。
しかし地方の街中のお蕎麦屋さんは周りにある建物やお店の観察も興味深いし
来ている人も近所の人や常連さんが多いので、私のヨソモノ感がより際立つのだ。


高崎。
駅の近くには飲食店も多く夜などはなかなか賑わっている。
その一角に灯りをともす「手打ちそば 舞鶴」は
店主が元バーテンダーというユニークなお蕎麦屋さん。
窓のない外観はあたりのラーメン屋や韓国料理屋と比べると目立たないが
すっきりスタイリッシュな雰囲気だ。


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店内に入って、私はやや驚いた。

カウンターには若い一人客が二人。

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普段お蕎麦屋さんにおいては
年齢高めの客層に慣れているだけにこの眺めは新鮮!(^^)
大きな観葉植物などもあり、それを狙っているわけでもなさそうなのに
まるでカフェのような雰囲気だ。
スタッフも制服姿の若い男性と若い女性がフロア担当で
店内がこんなに若い人だらけのお蕎麦屋さんは久しぶり〜(^^)



店主が元バーテンダーだけに期待はしていたが
アルコールの品揃えが独特で素敵。
ガージェリーって!

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お蕎麦のメニューは月見、花巻、鴨南など粋な定番をしっかり押さえている感じ。
おつまみは天ぷら類、ポテサラ、チリコンカンなど
いろいろ楽しそう・・お・・・?あらら〜〜?

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なんでしょう、私が食べたいと思ったものだけが
ひときわ贅沢な値段設定となっております。
「鴨ロース焼き」1470円。
次に高額なものは860円なので1470円とは相当飛び抜けている。気になる。
きっと美味しんいだろうな・・と思ったらますます食べたくなってきた。
どうしよう・・・うううう・・・・・・・・・・エーイ、いってしまえー!
「鴨ロース焼き」お願いします!


「鴨ロース焼き」
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おお〜 確かにこれはゴージャズ!!
最初は静かだけれどだんだんにグツグツしてくる演出が嬉しい。


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タレの味は甘め、お肉も豪華♪
今夜は寒いのでジュージューはじける音がうれしい。
お蕎麦屋さんでは体が温まるようなおつまみが少ないのでありがたい・・・って、
だったらあったかいお蕎麦食べろー!ってハナシなんですが
そういうまともな発想は前世に忘れてきたのが私でして(* ̄∇ ̄*)
雪が降ろうが槍が降ろうがもりそば一筋!!


「二色もり」
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「もりそば」と「田舎そば」別々に一枚ずつではなく
「二色もり」というメニューがあるこの嬉しさ、ありがたさ。

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二種の色のコントラストも鮮やかで楽しい〜〜
うれしい〜〜〜


「もりそば」
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氷水で思い切りしめられた、端正な極細切り。
香りや味はごく淡く、清冽、ツルツルな舌触り。
お酒の後にツルリッと美味しそうな蕎麦!


「田舎」
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こちらもキンと思い切りしめられているせいか、香りは淡め。
しかしわざとゆっくり食べてみると、
だんだんにとてもいい甘皮の味わいと香りがしてきてうれしくなる。
食感はずっしりぬったり、粘土のようなイメージ。
かなりの太打ちだがやや平打ちなので食べやすく、あっという間に食べてしまう。


蕎麦汁は甘みもしっかりあるがバランスのよい美味しい汁。


先程の若いお客さん達はいつの間にか帰り
カウンターには常連らしい男性がくつろいでいる。

お酒に詳しい人らしくとても楽しそうだ。

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特筆すべきはこの店の閉店時間の遅さ。
夜18時開店で閉店は翌2:00(L.O.翌1:30)!

東京だってそんな時間にたぐれる手打ち蕎麦屋さんは少ないので
これは本当にありがたい存在なのではないだろうか。



私は「冷かけ」「あつもり」があるあたりに
ググッときちゃいました〜
お好きなかたは是非♪
posted by aya at 11:45 | Comment(0) | TrackBack(0) | 関東の蕎麦>群馬 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年07月24日

群馬・伊勢崎「そばきり酒房 すだ金」


日暮れ時の「すだ金」。


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遠目には質素、近づくほどに趣き深いという、

「日本の美意識」を感じさせる外観。

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畳敷きの玄関は個人宅改造の高級料亭のよう。
変わらぬ雰囲気にホッとする。
久しぶりだなあ〜もう何年ぶりになるのだろう!

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玄関にすでにこんな表示がありわくわくする。
おいしそう〜!
目も決断も早い私はもう食べたいものが決まってしまう。

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玄関の奥には蕎麦打ち場があり、そのまま店内に続く。

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店内は座敷席、カウンター席とそれぞれの部屋に分かれている。
廊下も畳敷きでよい雰囲気。

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今日はカウンター席に通された。
というより私はこのカウンター席にしか来たことがない。
すごいお酒のコレクション!

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先程玄関に掲げて合った以外にも美味しそうな「今夜のおすすめ」がこんなに!


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えーっちょっと待ってよ決心が揺らぐではないか。
「酒量だけは小鳥」の癖に美味しそうな海の幸に出会うと
「急性ものすごく飲みたい病」に罹る私・・

ううう・・うううううう・・・

てなわけで

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だぁーいすきな〆張鶴♡
入り口はすぅーっと水のように澄んで、アレこれじゃ物足りないかなと思いきや
突如旨味がひろくパァ〜ッと水面のようにひろがるひろがる〜
やっぱり〆張だいすき!

「お通し」
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「富山湾内産ホタルイカの酢味噌」
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見ただけで美味しいとわかるホタルイカ。
目も取ってあり盛り付けも美しく、一流の仕事がなされているのがわかる。
処理もしっかりしているので生臭さも全くなくとてもおいしい。
(この時はまだアニサキスアレルギーデビュー前だったのお魚好きなだけ食べてました〜♪)
酢味噌もおいしい。



「刺身の盛り合わせ」

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マグロ、カンパチ、鯛の昆布締め。
これまたホタルイカ同様の美しい仕事。
見るからに美味しそうで本当に美味しい。
特に鯛の昆布締めが素晴らしくて感激!


「蕎麦屋の前菜」
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「蕎麦いなり、合鴨ワイン蒸し、出し巻き卵、蓬麩味噌だれ、芹とささみ」

蕎麦屋の前菜というには立派すぎるが
料亭というにはカジュアルな感じが実にうれしいバランス。美しい眺めだ。
「蕎麦いなり」の中身はお蕎麦!
いなりの皮がふわっとしてべたつかずすごくおいしい。

「出し巻き」がまた、感激の美味しさ。
ジュワァーッとあふれる出汁。
鰹が軽やかに華やかに効いて最高に美味しい。
何より「甘くない」!!
こんなセットの中なのに湯気が立ってたいたし
のんびり食べていたら半分は冷めてしまったのだが冷めても大変美味しかった。
この美味しさにはびっくりして
思わず厨房の方向に「おいしいですねー!」と叫んでしまった。

「蓬麩味噌だれ」
こういう味噌だれは甘いので苦手なことが多いのだが
「すだ金」マジックかとても美味しく感じてしまう。
蓬麩の焼き具合がとてもよく、大好きな「焦げ味」が効いているせいかも♡



いろいろと美味しすぎてお酒がすすんでしまったではないですか!
どうしてくれましょう!(* ̄∇ ̄*)

「赤城山」
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これまた〆張鶴同様、入り口は澄んでいるのだが
これはその後ひろくひろがるのではなくきゅっと小さくコクがまとまる感じ。
こういうのもおいひいなあ〜〜


「せいろ(二八)」
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わー!これは・・
驚くべき超・極細切りである。

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写真ではわかりづらいのだがこれが本当に繊細な超極細なのである。
しかも見入れば見入るほど美しい、手打ちの風情に満ちた蕎麦。
(これがエッジパキパキでビシーッと切りそろえられていたら極細だけに機械みたいで嫌だろう)
まるでミニチュアの蕎麦を顕微鏡で覗き込むような気持ちで見惚れるひととき。

香りは墨のような渋い香りが軽やかにふわーっ。
食感はちょっと不思議でコシはないといえばないが
一本一本に独特のしっかりした硬さがあり、しかし超極細なので
食感として固いという印象はない。
ああ なんて美味しい・・ひんやり、極細の夢。



「限定十割蕎麦」
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こちらは黒塗りのせいろでちょっと格の高さを演出している。


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素朴ながらふっくら、美しい風情に満ちた細切り。
細かく震える粗挽きの輪郭線に私の心が震える。
香りは二八とそっくりで、墨のようなストイックな渋さが淡く静かに漂う。


蕎麦汁は味の中の下の部分を支えるものがごく軽く(昆布?)
上方向に華やかに鰹が香る感じが美味しい汁。
(いつもながら好き勝手な表現だが)



以前はとても美味しい天ぷらも食べたが
今回はそこまで手が(お腹が?)回らず残念・・


「すだ金」はやっぱり、昼間よりも夜がおすすめ!と思いま〜す♪

posted by aya at 11:02 | Comment(0) | TrackBack(0) | 関東の蕎麦>群馬 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年07月12日

群馬・藪塚「蕎麦 貴石」


畑と家が混在するのどかな住宅街の奥に
舞台装置か映画のセットのような可愛らしい日本家屋が突然現れる。


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しかもその家は、家ごと箱に入っている!!

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お、おもしろい・・・
何がどうしてこうなっちゃったんだろう・・

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外観はユニークだが店内は純和風の立派な作り。

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玄関は古民家風で待合もありなかなかいいムードだ。

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さらにこの店のユニークなのは、店舗のイメージに反してガレットやブリヌイも食べられるところ。
ガレットはご存知フランスの蕎麦粉を使ったクレープ状のもの。
ブリヌイはロシアの薄めの食事パンケーキだ。

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セットメニューがいろいろ楽しいなあ〜


ガレットは甘いのもあるらしい。

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私はかつて、パリに滞在した合計3週間の間に食べたものの中で
一番美味しかったのは800円くらいの蕎麦ガレットだった経験がある。
蕎麦と意識していなくても蕎麦が焦げた香ばしさが
私の脳に三尺玉花火を打ち上げちゃうんですよね〜〜
いいレストランなどにも行ったのにどこまで蕎麦虫なのかと我ながら呆れたものだ。

というわけでここのガレットにも心惹かれたが
大変人気らしく残念ながらガレット類はすべて売り切れ。


では、いつもモードでいつもの大好きメニューを♪


「ふわふわの蕎麦掻き」
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うっわー これは期待以上においしそう!

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スーーーーーーッ・・・

と静謐にただよう、石のようなおちついたかぐわしさ。

微粉の超なめらかな肌はとぅるん、とろ〜んとくちびるにふれてきて、
「ふわふわ」との名前通り、口の中でとろふわっと溶ける。
もっちりとお箸にかなりくっついてしまうので食べるのがちょっと難しいが
これは大変に美味しいそばがき!!


そしてさらにここには反則メニューがあります。
要は「そんなの美味しいに決まってる!!ズルイ!」というメニューですね(^o^)



「おとうふせいろ蕎麦(冷)」
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「やわらかな豆腐に蕎麦をつけて」と説明にあるメニュー。

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豆腐と豆乳?でとろとろ〜とフルーチェくらいのゆるやかさ。
そのままで食べちゃっても美味しいし、
蕎麦汁を入れて蕎麦をつけるとさらにとんでもなくおいしい!
でもこんなにおいしくちゃあ、手打ち蕎麦じゃなくても
それこそパスタだっておいしくなっちゃいそう。
このゆるふわ豆腐、言ってしまえば私が家でしょっちゅう作っているものに
そっくりなんですがやっぱりヨソで食べるとおいしい〜〜(^^)

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パッキパキの輪郭線が流麗なつるつるの蕎麦。
これが、かなり個性的な香りがする。
オリーブオイルで焼いたチャパタのような?
油のような小麦のような芥子のような不思議な豊かな香り。
味も香りの延長で個性的で、表現は変なのだがてとてもおいしい。
別に油のような豊かな香りがするからってこのお蕎麦に油が入っているわけでは決してなく、
過去にはいろんな店で「天ぷらの衣の味がする蕎麦」とか面白い出会いがあったので
(それはかなり珍しい品種だったが)
これもこの蕎麦粉の特性なのだろう。

ただ、この品種もどこのお蕎麦か知りたくなり
パートさんらしいスタッフに訊いてみたのだが
この店でそんなことを訊く人は居ないのか驚かれてしまい
奥に訊きに行ったようなのだがはっきりした答えは聞けなかった・・
群馬?じゃないか?ということらしい。うははのどかだなあ。
メニューには
「国内産蕎麦100%、自家製粉の外一、九割蕎麦」
とあった。


この「おとうふせいろ蕎麦」には「温」バージョンもあり見た目は全く一緒。
「温」の方はおとうふに混ぜる蕎麦汁もあたたかくしてあり
あたたかいぶん全体にほんわり甘く感じる。
蕎麦入れるとほんわりほにょほにょにょほにょ〜〜・・
本当にこれは反則、犯罪的においしいメニューだなあ〜〜(^o^)




そばがきやお蕎麦を食べて
ますますここの蕎麦粉で作ったガレットやブリヌイが気になってきた私。


次回は開店と同時到着を目指さなくちゃ(^o^)


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posted by aya at 08:33 | Comment(0) | TrackBack(0) | 関東の蕎麦>群馬 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年06月19日

群馬・高崎「そば処おおの」


砂利道の奥に、看板のない落ち着いた構えが見える。

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暖簾に染め抜かれた文字はただ「そば」とだけ。

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看板と言えるものもちゃんと屋根の下にあるのだが
遠くからは全く目立たないのがこの店らしい。




暖簾をくぐると前庭があり、入り口はさらに奥へぐるりとまわったところにある。

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美しい庭を臨む、美しい店。

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ひろびろとした空間にBille Holidayの歌声が気持ちよく響いている。


美しく立派な店舗は、写真で見ると
都会のオシャレエリアの会員制ナントカとか言っても通じそうなほどの
緊張感さえ感じる雰囲気にも見えるが、実際店に流れる空気はほんわり穏やか。
それは他でもない奥さんの接客のせいだろう。
きっちり髪をまとめ制服を着、全てが丁寧そのものなのだが
しかしそれ以上に伝わってくる一生懸命さと思いやりがある。
店主は脱サラして2001年に50代後半でこの店を開業した人なので
奥さんもそのくらいの年齢かと思うのだが、
とにかく何度お会いしても本当に可愛らしい奥さんなのだ。
厨房から会釈してくれる店主もとても感じがいい。



テーブルに置いてある分厚いメニューにも、
その感じの良い一生懸命さがぎゅーっとつまっていて驚かされる。

メニューそのものも盛りだくさんでそれぞれの説明も大変丁寧なのだが
注目すべきはその巻末。


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長々と十何ページにもわたって
この近所の他のお蕎麦屋さんの紹介をしているのだ!
その文体もとても優しい雰囲気で、一生懸命他のお店を褒め、薦めている。

(>_<)

ううう・・・

うぬぬぬ・・・

心が温まりすぎてもう何がなにやら・・・・(>_<)



心はすでに十分に温まってしまいましたが
お腹も温まっちゃうものが来ましたー♪


「そばがき(ハーフ)」
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蓋付きの器と薬味で、料亭のようなととのった演出。
ハーフサイズで頼めるのも嬉しい。

蓋をあけると、ほわぁ〜〜〜

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結論から申しますとハーフにして大失敗!!
あとさき何も考えずこの10倍位食べたくなるほど美味しいぃ〜〜!!

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ぽてっとした肌に浮かぶ色とりどりのホシ・・
その姿にも釘付けだが
全身をブワァー!と吹き抜けるようなフレッシュな香りが素晴らしすぎる!!
蕎麦という穀物のかぐわしさが最高のバランスでに封じ込められた愛しきかたまり。
さらにシビレさせられるのはその食感。
とろ、ぽてっと唇に触れてきた肌は
たまらないエアー感で泡立つ寸前と言ってもいい感じ。す、すごい。
うっとりと舌に溶け、そこからじんわりひろがる穀物の新鮮な味わいが・・
ううっ・・ おいしすぎてもう泣きそう・・(;o;)
一体何をどうしたらこんなそばがきができちゃうんでしょう。


実はね、私さっき聞こえてました♪
たぶんそばがきを作っている音だと思うのだが
(それは結構どこの店でも聞こえてくる)
ここではただごとでない気合?気迫?のようなものが音で伝わってきたのだ。

う〜〜ん あの気迫がこの美味しさを作っちゃうんだな・・
ここで「そばがき(ハーフ)」を頼んではいけない、と覚えておこう!
ダブルでもトリプルでもいいなぁー(^o^)





「そば処おおの」はまた、天ぷらを単品で頼めるシステムが楽しい。
しかも名前がいい。
「ちょこ天」!

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かっわい〜♡
つい気軽に頼みたくなってしまうではないか。



「ちょこ天/舞茸」
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「ちょこ天/えび」
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「鴨せいろ」
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鴨肉+つくね入り。


「セイロ」
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なんという美しい肌・・・!
萩焼のような少しクリーミーな色味の粗挽き肌に無数のホシが浮かぶ貴い眺め。
見入るほどに、吸い込まれそうになる。
端正な細切りだが、いびつに揺れる輪郭線の美しさもたまらない。

香りは北海道らしい少しひねたような野性の香り。
少しくちゅっとしたような独特の食感で
ごくやわらかいのだが最後に受け止めてくれるやさしいコシがある。
ほんのりとした甘みと粉の味わい。



「そば処 おおの」では月替わりで「変わり蕎麦」もやっている。


「芹切り」
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うわあー 綺麗な緑色!



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最初はその色の鮮やかさに魅せられたが、
見入れば色だけでなくその肌の質感、青々とした芹の欠片、すべてが美しい!
芹の香りは思ったよりかなり弱いが、だんだんに淡く、青く感じられてきた。
手びねりの陶器のような素朴な舌触りだが
噛みしめるとこちらも先程の「セイロ」に似て少しくちゅっ+つるりとした感じがある。
ちょっと冷麺に近い食感かな?

汁は甘さすっきりの濃いめ。
メニューの巻末に
「出汁は本枯節、亀節(枕崎産)を毎朝削り使用。
北海道利尻昆布、岐阜県産干し椎茸」
とある。

メニュー本にはその他「開業を支えて戴いた方々」というページもあり
全体プロデュース、店舗建築、(蕎麦打ち)技術、書、ロゴ、厨房設備と
それぞれの会社や人の名前が感謝の言葉と共に明記されている。
ここの店主は脱サラしてこの店を開店起業するまでの道のりを本にまとめ出版しているそうなので
そういった意味でも注目されているのだろう。



帰り際、奥さんと少し話したので
「メニューの巻末に載っている他のお蕎麦屋さんの紹介、すごいですね〜」
と言ってみた。

すると奥さん、
「あら、見てくださったんですか・・?
ありがとうございます。
そうなんですよ〜♪ 〇〇さんにはいらしたことありますか? ◯×さんは?
とーってもいいお店なんですよ〜♪」
と最高の笑顔で他のお店を褒めちぎり、
「ぜひぜひ行ってみてください!」
と一生懸命他のお店を宣伝してくれる。


(>_<)

(>_<)



心が・・あたたまりすぎて・・・


私も最高の笑顔で奥さんを褒めちぎりたかったが恥ずかしくてできなかった。






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2015年06月14日

群馬・木崎「蕎麦処 満月」


「足利一茶庵」で修行した一茶庵系の蕎麦屋、と聞けば
あらかじめそれなりのイメージというものを持ってしまう。
純和風の作りで、ちょっとひなびたような風情があって・・

そしてたどり着いた「蕎麦処 満月」。

えっ

これ?


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車通りの多い県道312号線沿い。
モダンな作りにちょっとびっくりしたが
まだまだびっくりするのはこれからであった。

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店内は広々すっきり。

インテリア以上に気楽〜な雰囲気なのはジャカジャカ賑やかなテレビの音のせいだろう。

うーんこんな一茶庵系のお蕎麦屋さんもあるんだなあ
面白いなあ


メニューを見て更に。


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「せいろ」580円
「田舎」580円
「お昼のかきあげ」150円

全て手打ちでこの値段は安いー!


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「つけカレー」や「蕎麦屋のカレー丼」「ソースカツ丼」なんてメニューもある。

うははは 楽し〜い!



早速「お昼のかきあげ 150円」とってみました。

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予想以上に大きなかき揚げにまたびっくり。
しかもバリンバリンでおいしーーー!


そして一茶庵系のお店ではやっぱりこれを頼まずにはいられません(^o^)

「三色そば(田舎・せいろ・さらしな)」

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わー やっぱり嬉しい眺めだなあ〜〜

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では左から・・

「田舎」
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中太、黒目の肌に細かな褐色のホシ。
見た目に反して輪郭線パッキリはっきりの硬めの蕎麦で
味わいはすっきりと淡く、ひねたような野生の強い香りが濃厚にただよう。
これは・・北海道の蕎麦粉かな〜?


「せいろ」
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ほわぁ〜とかすかに漂う、先程の田舎に似た野生の香り。
このお蕎麦が独特の食感。
固すぎず柔らかすぎず、なのだがコシというよりも
噛むと逃げるような独特のぷるんっとした?食感がある。
これも味わいはごく淡くすっきりした蕎麦。



「さらしな」
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まぶしいまでに美しい純白の肌。
繊細な細切り、きよらかな姿にしばし見入る。
ふーっと淡く香るさらしならしい白い香りと
ふるプルつるっとした食感。
意外にも三色の中でこれが一番気に入っちゃったかも!(^o^)

汁は甘めだがなんだかほっこり和んでしまうバランスの良さがあって美味しい。


変わり蕎麦に「けしきり」があったので
欲張ってそれも頼んでしまいました。

変わり蕎麦には比較的興味が薄い私ですが
芥子の実の香りって素朴な豊かさを感じて好きなんですよね〜


「けしきり」
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純白肌に芥子の実がくっきりまぶしい。

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先程のさらしなで感じた白く美しい香り+芥子の香ばしさ!
よく「けしきり」に感じるオイリーでリッチなパンのような香りよりも
香ばしさのみが際立つすっきりタイプ。
これもおいしい。


隣ではかなり大きな体の男性が一人、
ランチメニューの「ソースカツ丼セット」を食べている。
美味しいらしくものすごいがっつきっぷりだ。

その向こうでは病院の帰りらしいおばあちゃんと娘さんが
「二色天もり」を仲良く二つ頼んだところ。


テレビの番組はワイドショーに変わり
賑やかな笑い声が店内に響いている。


のんびり気楽な、満月の午後。







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2015年06月10日

群馬・昭和村「壱乃蔵」


静かな、昭和村の夜。

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県道沿いにぽうっと灯る明かりに「そば」の文字が浮かんでいる。


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自家製粉手打ち、昭和村産の「奥利根高原蕎麦」。
いいですねえ〜



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純和風の外観、ほっこり和風の店内だが
入り口に入った瞬間いきなりいい〜感じの音楽に身を包まれた。
Jack Johnson.
建物のせいかやけに音がよくて、店の雰囲気との意外さもあって
なんだかすごく楽しい気分に!



店の奥さんに「音楽、いいですねー」と言ってみると、
「うふふ〜お客さんに合わせてるんです。
 外から入っていらっしゃるのを見て、あ 若い方だーと思ったので。
 いつもは演歌とかなんですよ〜」
そうだったんだ!
アハッ 何だか自由でゆるくていいなあ〜〜♪


メニューを見るとここはうどんもあるみたい。

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お蕎麦だけでなくうどんも地粉、
お米も地米で、利根沼田産こしひかりを土釜で炊いているそう。
素材ひとつひとつへの愛情が伝わってくるメニュー書きだ。

おつまみも揚げ物、焼き物、その他豚キムチからエビマヨまで
それこそ何でもござれの充実ぶり。

私は大好物を見つけてしまったので、いつもながらですがコレいきます!


「もつ煮込み」
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これはっっ

!( ̄□ ̄;)!!

!( ̄□ ̄;)!!

異様に美味しい・・・・

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なんでしょうこの、さっぱりとした味噌汁に浸った
肉厚ブワンブワンで大きなもつ肉の美味しさは!
臭みゼロで、野菜もいっぱい。
大根、ちぎりこんにゃく、にんじん。
いくらでも食べたくなるほど美味しい、ヘルシー系もつ煮込み♪
このためにこのお店に来てもいいと思うほど気に入ってしまった。



「そばがき」
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おお〜 これまたすごい、思い切った黒さと粗挽きっぷり!

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見れば見るほど強烈に激しい、火山岩の如きこの姿。
にもかかわらず香りはおとなしいお餅のような香り+静かに渋く煙る香り。
むっちりもっちりべっとり系でお箸に張り付くのを無理矢理押さえつけて(?)
口に含んでまたびっくり。
突然グワァーーーーッッと超濃厚な味わいが爆発した!!!
まるで出汁か何かで味をつけたような、グルタミン酸系のおいしい濃い旨みである。
「宮古島の雪塩をつけてどうぞ」
と勧められたがつけずとも既に塩味を感じてしまう程の味の濃さ。
こんな強烈な味が穀物から出てくるとは本当にすごい。
これだけの粗挽き、すごいホシだが不思議とざらつきはそう感じず、
もっちりもったり素朴でぽくぽく。
これで400円はありえないお徳さだ。
ついている醤油が不思議な味がしたので訊いてみたら「紫峰」という刺身醤油だった。



「ざるうどん」
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「地粉」という言葉に弱いもので、ついうどんも頼んでしまいました。

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やわらかいけどコシもある、とぅるんとぅるんのうどん。
小麦の味は意外と淡く、さっぱりとぅるりと食べられる。






「ざる蕎麦」
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おお〜「そばがき」同様、思い切り黒い肌!
そしてこの肌は、もしや・・?

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むわぁ〜と香る甘皮のたくましい香り+そして、見て思った通りの熟成味を帯びた香り。
食感はしっかりもぐもぐ系に見えたのだが意外にも優しいやわらかさで
これはお年寄りでも食べやすそう。
説明に
「当店の蕎麦は九割蕎麦です。
 蕎麦の持つ香味や甘味を最大に引き出し、どなたにも美味しく召し上がって頂ける割合です。」
とあるのも頷ける。

確かに、向こうのテーブルでは先程からかなりの高齢と思われる女性が娘さんと二人で
美味しそうにこの黒いお蕎麦を食べている。
その女性が入ってくる時、杖などに対する奥さんのサポートがとても甲斐甲斐しかった。
食べきれなかった分はお持ち帰りパックにしますよと声をかけたりとても親切だ。


蕎麦汁は薄めで、まるでうどんの汁のよう。
関西みたいでとてもおいしい。

「ざる蕎麦」には「こんにゃく」と「おひたし」が自動的についてくる。
こんにゃくはやわらかくてまるでくずきりのよう。
私はこのあたりの地域に多い手作りこんにゃくが大好きなのだがこれもきっと手作りだろう。
こんにゃくもおひたしも柑橘醤油?のような味で食べるのが意外なのだが美味しい。
もつ煮込みも蕎麦汁もそうだが、ここは味付けがみんな美味しい。



最後に、奥さんがこんなものを持ってきてくれた。

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「こごみの塩漬け・・・炒めようかと思ってたんですけど塩抜きして天ぷらにしてみたんです」


嬉しいなあー



小さな、昭和村の夜。





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2015年04月09日

群馬・沼田「あずま茶屋」


手打ちか、手打ちでないか、それが問題だ。

蕎麦は手打ちでなければならない、と言っているのではない。
ただ私は手打ち蕎麦の文化を愛する「手打ち蕎麦屋さん応援派」なので
お蕎麦はできれば手打ちであって欲しい。

故に通りがかりに見かけたお店に入るか否かはその見極めにかかってくる。
「手打ち」の文字がどこかにあるか。
見えるところに打ち場があるか。


しかしこんな楽しいハプニングもある。

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道路端に燦然と輝く「手打そば」の文字。
どこをどんなスピードで走っていても、
「そば」の文字だけはそこだけ電飾がついているかのように
私の目に飛び込んでくるのはなぜだろう。
視力も全くいい方ではないのに。
これを私は「蕎麦的 逆動体視力」と呼んでいる。

看板の文字が「手打そば うどん」となっているのがやや気にならないでもないが、
店はすぐそこ、100m先らしい。ヨシ、行ってみよう!

じゃーん


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あっれー?

看板の文字が「手打そば うどん」じゃなくて「手打うどん そば」になっちゃったよ?

「手打うどん そば」の「手打」の二字はどこまで形容してくれるものなのか?
「そば」までカバーしてくれているものなのか?

ま、いいか、道路端の看板は「手打そば うどん」だったしね!(かなり古かったけどね!)
入ってみよう〜



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「はい、いらっしゃ〜い・・・・・」

大変リラックスした状態で迎えてくれるおばちゃんの声と
大変リラックスした状態の店内にいっぺんに和む。

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「いらっしゃいませ 懐かしい田舎の味を食ってみらっしゃい」

うはは〜 いいなあ〜


メニューを見ると「もり480円」「ざる500円」とかなり安い。

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うーん・・やっぱり手打ちじゃないのかな・・
ちょっと不安になってきた私。

普通はそんなことはとてもできないのだが
この店に限っては雰囲気がのんびりしてとてもいいので
高遠彩子、一世一代の大決心でおばちゃんに訊いてしまいました!!

あっかる〜〜い声で、

「お蕎麦手打ちなんですか?安いですね〜」


するとおばちゃん、

「・・うーん十割じゃないけどね・・」

と言葉を濁し(?)奥に消えてしまった!!

ううう・・うぬぬぬ・・・これはどう解釈すれば・・・・


というわけで蕎麦前に「舞茸天ぷら」を頼むことにする。
って意味分からないかと思いますが、私実は機械打ちの町蕎麦屋さんの
「天せいろ」とか「冷やしたぬき」ってものがだぁーーいすきなんですね〜〜(^o^)
「天」さえあれば手打ちでも機械打ちでも大喜びの大好物なので
どっちかよく分からない場合は保険と言ってはなんですが天ぷらをとるわけですね♪
しかも舞茸天っていうのがまた大好物なのですね!


「舞茸天ぷら」
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(このお皿も天ぷらも都会ではありえない大きさ)

えっ?  頼んだのは「舞茸天」なんだけど・・

「ふきのとうは、おまけ。」

えええええ〜〜〜〜!?
おばちゃん!!!
おまけが主役と同じくらいいっぱいありますよ!?
いいの!????

この天ぷらが最高の美味しさ!
舞茸は田舎らしいふっくら大ボリュームで、衣がバリンバリン!
ふきのとうも、すばらしい青い香りと苦味があってめちゃめちゃ美味しい〜
あたたかさに涙が出る。いやされる〜〜

思わず、感激を言葉で伝えると

「(ふきのとうは)ちょっとおっきくなっちゃったやつだけどね・・・」

と謙遜するおばちゃん。

ああ〜〜いいとこに来たなあ〜



ふと店内を見回すと店の一角は「ブティック」になっていた。

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この店のおばちゃんか、近所のおばあちゃんが作ったらしい「ファッションアイテム」に
手書きの値段がついている。
いろいろと珍しい展開にワクワクする。


「はい おまちどおさま〜〜・・・」

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つるつるむにむに、小麦の甘〜い香り。
ややピンクがかった蕎麦は手打ちではなさそうだが
こんな時こそ大好物の「天せいろ」を食べるチャーーーンス!!
(大好物なのに手打ち蕎麦屋ではどうしても蕎麦だけで食べちゃうので滅多に食べられない)
さっき来た天ぷらと食べれば天せいろだもんね〜
「舞茸とふきのとうの天せいろ」なんて最高の贅沢!!
おいしいなあー♪


ムハムハ大喜びで食べながらテーブルの隅を見ると、
割り箸や楊枝入れや食卓塩とともになにやら小さな壺があって
中によくわからないすり胡麻のようなものが入っている。

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早速おばちゃんに訊いてみると、なんと「えごま」だという。
しかもおばちゃんの、自家製!!

「ウチはね〜自給自足だから・・アハハ・・」

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これが美味し過ぎてビックリ( °o°)!
胡麻ほど香ばしくなく野性味があり、滋味なるハーブ、といった味わい。
ただでさえ美味しい「天せいろ」がこれをいれると更に薔薇色の美味しさに!!
買って帰って毎日食べたい、と思ったほどだが
生産量も多くないだろうから譲ってくれとも言い辛い。

「これは・・このあたりの人はよく作るものなんですか?」

と訊いてみたのだが

「いや〜・・・わたしだけ。」

偶然とは言え、なんだかすごいお店に来ちゃったなあ〜(^o^)




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隅の席では作業服姿のエレベーター工事関係者が
二人とも「天ざるそば 780円」を食べている。
その天ぷらが山脈のように大きい。
さっきからずっと、思い切って転職するかしないかの話をしている。


厨房にはお手伝いのおばちゃんが居るらしく
おばちゃん二人で楽しそうにおしゃべりしている。
内容は聞こえないが相当仲が良さそうだ。




都会よりも少し遅く春が訪れた沼田。

あずま茶屋の春の音。







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2015年03月13日

群馬・八木原「そば椿庵」


闇に浮かぶ「そば」の文字。

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まわりに大きな建物もなく、のどかな田園にあるお店なので
日が暮れるとあたりは真っ暗。



闇の中にぽつんとあると小さく感じるが店内は広い。
下駄箱に靴を入れて中に入るとこんな待合いスペースが迎えてくれる。

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アンティークの和箪笥や花などがビシッと飾られた美しい空間。
何より間取りが全て広々としているのが気持ちがよい。



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テーブルにはこんな木のトレイが。

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私のようにしょっちゅう出口とか改札とかで「アレッ?」とか言ってる人(^^;;) には
大変ありがたい心遣い。
素朴さ、親切さ、わかりやすさに「機能美」を感じてしまった。



「ざる豆腐」
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お豆腐大好きなので見つけると条件反射的に頼んでしまうメニュー。
ここの「ざる豆腐」はざっくりした感じで豆の味もしっかりするのだが
噛むとジューシー、水が溢れ出す感じ。
食べ応えがあるのにみずみずしくさっぱりした感じがとてもおいしい!



「舞茸天」
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これまた私の大定番、大好きすぎるメニュー。
ここのは大きな舞茸が不思議とゴロンゴロンと丸い塊になっているのがユニーク。
ふっくらしているけれどサクサク感もちゃんとあり美味しい天ぷら。



「もつ煮こみ」
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ほんと、どうしてどこでも同じものばかりを注文してしまうのか・・(^^;;)
「ざる豆腐」「舞茸天ぷら」「もつ煮込み」
これらを見て私が注文しなかったとしたらよほど具合が悪いか
ハシゴ◯軒めでお腹に余裕がないかどちらかだろう(^^;;)
ここの「もつ煮込み」は臭みもなくガツンと味濃いめ。
お酒がどんどんすすんでしまいそうな味付けだ。



そしてここの蕎麦メニューはとてもわかりやすくしかも魅力的♡
「粗挽きそば」には「鴨汁」「カキ汁」「辛玉汁」などの各種「つけ汁」が
どれも380円でつけられるようになっている。

「煮込みうどん」の項も「新生姜と豚肉煮込み」「牛カルビ煮込み」「海鮮煮込」など
10種類もあってたのしいなあー



でもね、そしてここの自慢はなんといっても
国内産玄蕎麦を自家製粉したザックザクの粗挽きの蕎麦。
「粗挽きそば」に「つけ汁」プラスでいきますよ〜!


「粗挽きそば」
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深めの大きな陶器皿に笊を敷いたスタイル。
今日は北海道の蕎麦。
前橋の有名店桑風庵出身の店なのでホシのはなやかなお蕎麦だろうなと思っていたが・・
予想以上の見た目にビックリ!!

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なんと驚くほど大きな外皮がバランバランと散らしてあるのが
輪郭線から一部はみ出している!!
桑風庵同様、細めの平打ちだが、
粗挽きっぷりと散りばめられた外皮の大胆さは桑風庵を凌駕している。
やや黒めの肌からただよう香りは意外にも上品な白いイメージなのだが
それがぎゅううと濃いのが嬉しい。
そして食べると更に、渋い墨のような香りと味わいがこれまた濃い!
食感もかなり個性的で、やわらかくしんなり、
なんとなくぬるっとしてかすかな粘り気も感じるような歯触りなのだが
繊細な細切りなのでよく見つめないと気にならない。
不規則な粗挽き肌の舌触り、大きなホシの刺激が楽しい。
上品で濃厚な香りと味に包まれユニークな食感を楽しむひととき・・・
う〜ん、面白い〜〜おいしい〜〜!!


「鴨汁」
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大きめの鴨肉が嬉しい鴨汁。
ここは蕎麦汁もかなり甘めだったがこの鴨汁も甘めの味付け。



「カキ汁」
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ふっくら牡蠣が3個入った牡蠣汁。
これはさらに甘めかも?



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蕎麦湯は特に蕎麦粉を後から溶いていないそのままの釜湯のようだったが
大きな人気店ゆえ茹でる蕎麦の量も多いのだろう。
底の濃いところが滅法おいしい!

お店が広いので蕎麦湯をお代わりを頼むのは誠に申し訳なかったが
店員さんたちは始終明るい声でとても親切。
こちらもつい笑顔になった。

広々と気持ちの良い空間で過ごした和やかな夜。


近くにある「道の駅よしおか温泉」はこのあたりでは泉質も良さそうなので
次回はそことセットでもいいな〜♪
(温泉+蕎麦はこの世の極楽! (≧∇≦)!)




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2014年06月05日

高崎「そば 滋雲」


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雲ひとつない高崎の青空に、「滋雲」。

場所はちょっとわかりにくいが
高崎駅から、高崎白衣大観音に向かう途中のエリアである。
人気店なので駐車場にはひっきりなしに車がやってくる。


お昼時、店内には待っている人もいて大忙し。
学生アルバイトのような初々しい女性スタッフ達が何人も、
てんてこ舞いと言っていいめまぐるしさで働いている。


あちこちに土で出来た鬼のお人形がいて
それがなかなか可愛らしい。

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(あっ蕎麦鬼のアタマも写ってる)

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大きな座敷に間隔をおいて大きな座卓がおかれているため
脚を伸ばしてくつろげる雰囲気。
それだけにお客さんは家族連れやグループが多い。
こういうお店は都会ではなかなか出会えないので
郊外ならではの贅沢な気分だ。


テーブルが離れてはいるがキリンになって様子を伺うと、
どうやらランチセットのようなものが人気らしい。
しかし私のところに持ってきてくれたメニューには出ていない。
え、私がランチセットとか食べないって、もしや見抜かれました?(* ̄∇ ̄*)

うーん、どこに書いてあるのかな・・・


あった!

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かなり遠く離れた壁に、小さくぽそっと貼りつけられた紙。
素朴ですねえ〜


で、やっぱり見抜かれました通りセットにはせず・・(^^;;)

だって「そば 滋雲」にはお蕎麦が
「細打ち」「あらびき」「太打ち」と三種類もあるんですよー!
やっぱり全部食べたいじゃないですか・・


しかもなかなか面白そうな蕎麦前も揃っている。

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「山うど酢みそ」
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わー このシャクシャク新鮮な食感、鼻腔を吹き抜けるような香り!
これは非常にいい山うどだ。





「天然たらの芽天ぷら」
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天然、との言葉につられて頼んだが、
このたらの芽、ものすごーーーく美味しい!
山菜というよりも芋類などに近いようなぽくぽくした甘さがあり
えーたらの芽ってこんなにおいしかったっけ?
揚げ方も衣が薄くてハリパリ美味しく、見た目も美しく
うーーん これはいいもの食べちゃった。


この店の蕎麦の景色は、簡素で実に美しい。


「もり(細打ち)」
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いかにもコシの強そうな、流麗な美しい輪郭線と明るい肌。


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はじめに鼻腔をくすぐったのは、墨のような渋い香り。
それがだんだん強い野生味を含んだ香りに変化していくから面白い。
ちょっとこんにゃくを思わせるような独特の弾むコシのあるなめらかな微粉の肌。
明るい白っぽい肌の印象以上に、野生の風情を楽しめるのが嬉しい。



「もり(あらびき)」
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おお〜
今度はぐっと黒いです!
ホシも鮮やか。

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こちらはさぞかし濃厚な香りが・・と期待したが
意外なほどこちらはあっさりした印象。
少し時間が経つにつて、1枚目の細打ちにも似た野性味が
ごく淡く感じられるようになってきた。
一枚目の微粉ぶりと比べると確かにあらびきのざっくりした食感が楽しめる。
全体の輪郭線が手びねりの陶器のような
素朴ないびつさを持っているのも私にはとても楽しい美味しい感触。



ここで、スタッフの一人が慌てふためいて飛んできた!
「あーっ 大変申し訳ありません!!蕎麦汁が出ていませんでしたっ!!」

えっ?
気付かなかった・・アハ (* ̄∇ ̄*)

「いいんですよ〜 蕎麦湯の時で〜ごゆっくり〜」

とできるだけのんびり言ってみたが
そうはいかないらしく大急ぎで走っていって汁を持ってきてくれた。



三枚目は「太打ち」。
「細打ち」「あらびき」「「太打ち」
とあるからには、太打ちは細打ちを太く切っただけのものかな?
と思いきや・・


「もり(太打ち)」
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わー黒い!
黒い微粉の肌だ!

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むわぁーと香る、フレッシュな甘皮のたくましく香ばしい香り!
むっちりもぐもぐ噛む蕎麦で、噛むほどにどんどん甘くなりとてもおいしい・
うーん、意外にもこの太打ちが一番気に入っちゃった(^o^)



てんてこまいに忙しかったランチタイムのピークを過ぎて
今は少しゆっくりした昼下がり。



遠くの席では、ほふく前進が楽しくてたまらない赤ちゃんを
お母さんがずっと引っ張って押さえている。
お母さんもお父さんも大きな座卓で久々にのんびりできたのか
赤ちゃんと三人でとても楽しそうだ。


その隣のテーブルでは、親族の集まりらしいグループが
今日は美味しかった、楽しかった、デザートも美味しかったと何度も言い合っている。
ここも、久々に集まれたグループなのだろう。



都会ではなかなか出会えない、のどかなお蕎麦屋さんの景色の中で
私はゆっくり蕎麦湯を飲んでいる。

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2014年05月01日

群馬・沼田市利根町「十割そば 水石」


日本の名滝百選にも選ばれている「吹割の滝」。

そのほとりの林の中に、名瀑を望むお蕎麦屋さんがある。

吹割の滝は駐車場のある街道沿いから
山道をくだったところにあるので
店にたどり着くには少し歩くことになる。
途中、山の観光地らしいお土産物屋さんもあったり
ちょっとしたハイキング気分。



道しるべが見えてきた。
もうすぐらしい。

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着いた!
遠くに見える、あれがお店かな?

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滝の音の中、近づいてみるとひっそりとした入り口が現れた。
ハイシーズンには行列もできるというのが嘘のようだ。

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こんにちはぁ〜と扉を開ける。

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うわぁ なんとムードたっぷりの玄関!


「ハイハイ〜」
と奥で声がして「日本の田舎のおばあちゃん」という設定の衣装を着たような、
割烹着に三角巾のおかみさんが迎えてくれる。

座敷に上がってさらに感激。

ひろびろと気持ちの良い座敷。
大きな窓いっぱいの滝!

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誰も居なくて、滝の音だけ響いて、なんて贅沢なんだろう。
まるで夢でも見ているかのようだ。


店内を見回すと、いたるところに綺麗な小さな絵がびっしり飾ってある。

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地元の人々の作品ということだが
それらが統一感を持って綺麗に飾られている。
額に入った高価そうな絵よりもあたたかで、にぎやかで、とてもよい趣だ。



絵だけでなく,この店にはさりげないセンスを感じるしつらいが多い。
メニューの見せ方も素朴な感じがとてもいい。

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目の早い人はすでにお気づきかと思うが
この店の名物メニュー「十割そば」は1200円である(!!)。
いくら名瀑の畔と言っても都内の高級店よりも高い価格設定。
私が長年この店を知りつつも
なんとなく後回しになっていた理由はそこにある。


しかし早くも私は、そんなことは全くどうでもよくなるほど
この店に癒されている。


「十割そば」
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ふわぁ〜とただよう、ややひねたような野性味溢れる香り。
パキッとした極細のラインが口中でもはっきり感じられ
その束がめぐりほどけるのが眼に見えるよう。
噛み締めた味わいはさわやかで実に美味しい。
これは北海道かな〜と思ったらやはり、でした(^o^)


「鴨と焼きネギの香りに自信」とメニューに説明のある
「吹割そば」のつけ汁はこんな感じ。

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お〜確かに、焼いた香りの香ばしさといい
さっぱりとした汁といい、
ととのった小ぶりの鴨肉の旨みといい、
これはおいしい汁ですよ!
「十割そば」のつけ汁がかなり個性的なものだっただけに、
個人的には汁は「吹割そば」のほうが好み!



食べている時から、店のおかみさんはドッコイショとストーブのそばに座り
何とはなしに話をしてくれる。

なんと今年は今日が、冬が開けて最初の営業日であること。(4月某日)
今はおかみさんと息子さんでやっていること。
「水石」は屋号であること。
ここはストーブを炊いてもとても寒いこと。
吹割の滝や尾瀬が一番美しい季節にはとても忙しいこと・・


今までこのブログにおいてお店の人の写真を載せたことは殆どないが
この「水石」の時間は私にとってあまりにも素晴らしかったので
おかみさんには是非とも(ほんの小さくなので)ご出演いただきたい。



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私がこの店でどんなにリラックスして
都会の些末事を忘れるような、ひろびろとした開放感に浸ったか・・

その証拠に、なんと今回お蕎麦のアップの写真がないんです!!
これには我ながらビックリ。( °o°)
いつもいろんな角度から何枚も撮る、一番撮りたい写真なのに。
静かにゆっくりと流れる「水石」の時間に吸い込まれていたのだ。


滝のほとり、林の中のこの店で過ごした時間は1時間。
私が食べた「十割そば」は1200円。
行く前に高いと思っていた自分が不思議に思えるほどの「時間の価値」だった。


とは言えハイシーズンの行列&大混雑の時だと,だいぶ印象は違うかな?
でもその時は景色もさらに美しいのだから、
やっぱりハイシーズンにも来てみたい!




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(このシンプル&どっしりしたメニュー表もなんだかとても好き)




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2014年03月27日

群馬・沼田市利根町「つくし」


街道沿いに数多ある看板の中で
どうして「手打ち蕎麦」の文字だけが私の目に飛び込んでくるのだろう。
ギラギラ電飾でもついているかのように輝き、
目に心に突き刺さってくる。

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私の目は「上州手打二八そば」の文字だけに吸い寄せられているが
どんな店かと見やれば ウハッ 賑やかだなあ〜

「とんかつ」「手打ちそば」「天ぷら」

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「ハンバーグ定食」「焼き魚定食」「エビフライ定食」
「うな重」まであるよ!



きっとほっこりのんびりした食堂なんだろうな・・と思って入ると



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期待を全く裏切らないほっこりぶり(^o^)

こういうお店は「汁もつけずに蕎麦だけズルズル」
なんていつもの行儀の悪い蕎麦犬な真似はせず
ガッツリおいしい種ものなどを頼みたいところ。


ニコニコととても感じのいいおかみさんに「舞茸天もり」を頼み
(それでもやっぱり蕎麦は蕎麦だけで楽しもうという魂胆ミエミエなメニュー選び)
動き出した厨房の音を聞く。

ラジオからは民謡番組が流れている。



「舞茸天もり」
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おっ やはり平打ちですね
この地域は平打ちのお店が多いのであります。

ゆるりおおらかな蕎麦の眺め。
のんびり〜とひとたぐり・・

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( °o°)

えええええ


突如目がかっぴらいてしまいました!!
このお蕎麦、全然のんびりしていられないほど美味しいんですけどーーー!!

むわぁ〜とたくましい甘皮の香り。
ものすごく濃厚なのだがそれがどこまでもフレッシュで
澄んだ美しさを感じるところが本当に素晴らしい。
表面はつるっとしているのだが滑るようなつるつる感ではなく
言葉は悪いがビニールのような独特のつるつるヒラヒラ感。
お、美味しい・・・・・
この個性も香りも味わいも、意外な出会いにビックリ感激。
前言撤回、結局汁なしでお蕎麦だけ一気に全部食べてしまいました(≧∇≦)/



あっ天ぷらくんゴメン!
忘れてた訳じゃないんだよ〜
(お蕎麦に夢中で目に入らなかったくせに・・)
今、今、楽しみに食べるよ〜!!

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舞茸、ふきのとう、なす、サツマイモ。
卵リッチらしい黄色いサクサク天ぷら、おいしいなあ。


今日はこんなのんびりした時間を楽しませてもらったが
おかみさん聞いたところによると
この街道の先にある尾瀬のトップシーズンには
一日100食(!!)もお蕎麦が出るらしい。
なので本当は群馬産のお蕎麦を使いたいが量が間に合わないので
今は北海道産を使っているらしい。


尾瀬の散策で疲れた体で
みんなでワイワイここに立ち寄ったらさぞかし楽しいだろうな。
「ハンバーグ定食」を食べる人あり、「うな重」いっちゃう人あり、
しかもお蕎麦もこんなに美味しいなんて私には嬉しすぎる(^o^)
「もち豚ロースかつ定食」「もち豚しょうが焼き定食」
ってのも美味しそうだー!




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(壁に貼ってあった手ぬぐい カワイイ〜可笑しい〜
 山下(洋輔)アンシュに見せたい!!)


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2014年03月19日

群馬・沼田「みどりや」


何故か今年から、看板に「手打ち」の文字が添えられたのである。

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お蕎麦はできれば「手打ち」であって欲しい私にとって
初めて行くお店が「手打ち」かどうかを見極めるのは時に難しい。
特に「十割そば」という幟が目立つ店は
「十割で作れる製麺機使用」というお店が多いのでますます難しい。
蕎麦打ち場が外から見えている店は少ないし、
入って行って訊くわけにもいかないので
外観をジーッッと見つめ沈黙の問答を重ねるしかない。

そんな私のような人が多かったのか(多くないか)
今年から大きな看板が設置されたので大変わかり易くなった。
嬉しいような可笑しいような気持ちで意気揚々と店に入る。


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テレビの音とストーブ、
「ザ・和の山小屋」ないい雰囲気。
隅の席では大学生らしき真面目そうな男女グループが
静かに楽しそうに話をしている。



私が席に着くとお店の奥さんがお茶を持ってやって来る。
次にメニューを持ってやって来る。
普通、メニュー本はテーブルの上に置いていったりするものだが
ここの奥さんは私の目を見て
「はい。」
と手渡してくれる。
愛想があるかといえばそんなにないのだが、
山間の店らしいものすごい直球のサービスは私の心に温かく響いた。
この店が好きになった。


奥さんにバシッと手渡されたメニュー本を開くと
メニューはそんなに多くない。
お蕎麦のメニューと天ぷら類、あと
「みそおでん 50円」
というのがある。


お蕎麦のページがまたいい。
(メニュー本というのは何となくお蕎麦屋さんの
 「閉じてある内側の世界」「舞台裏」のような感じがして
 いつもは掲載を遠慮しているのだが今日は愛に免じてお許しいただきたい)

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のっけの一行目から

「十割そば(固めです)」

この揺るぎなき大宣言。
必要なことだけを簡潔に、はっきりと言うまっすぐさ。
「うちのお蕎麦は普通より固めなんです。
それが美味しいと思うからそうしてるんです」
というプライドも感じるし、
高飛車でも謙虚でもない感じが気に入ってしまった。
固めのお蕎麦が苦手な人はここでうどんに針路変更するのか
お店を出て行ってしまうのかわからないが
とにかく私はその「固めのお蕎麦」というのが楽しみでたまらない。




天ぷらメニューも

「まいたけ(地元産) 150円」
「えび 150円」
「かぼちゃ 100円」
「なす 100円」

なんともほのぼのとした気持ちになる楽しさだ。


では大好物の「まいたけ」と「えび」と「十割そば」、
私も直球で、お願いします!


「まいたけ天」と「えび天」
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写真では伝わりにくいのがもどかしいが
このまいたけ天、1つが何かの建造物のように大きい。
バリッッと潔いほど固いので箸で割るにも割れず
横っ腹から攻めて行って果敢にかぶりつく、といった感じになる。
そして大変に美味しい!!
こんなに大きくて美味しいまいたけ天が1つ100円!
もう嬉しくって口がまいたけでいっぱいなのにニッコニコしてしまうではないか。


ふと、暖簾の奥から店主が顔をのぞかせる。
「海老は小さかったので100円でいいです〜」
とこれまた嬉しい可愛らしいサービス。
その海老がですよ、こんな山奥でですよ、
なんとも柔らかくてぷるんとした甘い美味しい海老でビックリ。
これが1尾100円でいいんですかい!!

天つゆはなく塩で食べるというのも、揚げ物塩派の私にはうれしいところ。
しかもテーブル脇に設置されたお塩はアジシオである。
テレビでは美空ひばりが歌っている。
昭和のような、山の夜。




「十割そば」
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おお〜 確かに一本一本がしっかりしていそうな
黒っぽい中太打ちのずっしりとした蕎麦山。


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たぐりあげただけでスーッと鼻腔をくすぐる
石のような墨のような渋い香り。
あまり褒め言葉に聞こえないかもしれないが素晴らしいかぐわしさだ。
肌はつるつるでなく独得のスベスベ感。
一本一本にハリがあり口に入る前も入った後も
暴れる感じはあるのだが固いかというと決して固くはないと思う。
中太なのでそれなりに噛みごたえはあるのだが
程よいコシのあるよい食感だ。
口中で生まれつづける香りと滋味深い味わい・・・
ああ いいなあ 美味しいお蕎麦だなあ〜


汁はいりこなのかアゴなのか、独特の磯の香りがする。
しかし甘みも濃さもすっきりとして
個性的だがとても美味しい汁だ。
夏期には十割そばに加え二八も打っているらしい。


話してみると実ににこやかで親しみやすい奥さんと
しばしこのあたりの天気の話などをし、
さてもうそろそろ帰ろうかな、と思っていたら
店主がまた顔を出し

「おでん食べます?」


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1本50円のみそおでん。


心あたたまっちゃうなあー






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2014年03月10日

群馬・伊香保温泉「いけや」


雪に埋れた、古き良き温泉街の面影。


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あたりは静かだが、この店の中からだけ賑わいが伝わってくる。

この地で40年愛されてきた蕎麦の名店は、
営業時間が朝11時から深夜1時まで(中休みなし)ということに驚かされるが
以前はなんと深夜3時までだったという。
理由は温泉街ならでは。

昼間は観光客や遠方からわざわざこの店を目指してきてくれるお客さんがやって来る。
夕方は、お客さんと仕事前の芸者さんがやって来る。
夜は飲んだ後のお客さんがやって来る。
そして深夜12時過ぎには、仕事明けの芸者さんがやって来る。

いくらみんながやって来るったって
その全てに応えるのは不可能と考えるのが普通だと思うのだが・・
一体店主はいつ寝ているのか心配になってしまう。



こぢんまりと居心地の良い座敷に通される。
隣は広間で、酔客の笑い声が雪の夜の趣を深める。

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そしてこれまた驚くべきことに、この店にはおつまみの類が一切ない。
あるのは「そば」「うどん」メニューと甘味のみ。
「天せいろ」はあるが「天ぷら」という単品メニューはない。
ビールと日本酒(八海山)はあるのに酒肴らしきものがない。

ではお隣の宴会の人たちはどうやってお酒を飲んでいるのかと思ったら
前日までの予約でコースメニューがあるのだった。
それ以外のお客さんは皆スルッと蕎麦だけで帰るらしい。
温泉街ならではの蕎麦文化に触れた思いだ。

スルッと蕎麦だけ、でももちろんいいのだが
せっかく来たのだから「いけや」の時間をゆっくり楽しみたかった私は
「そばがき」も頼むことにした。


お通しの蕎麦味噌。

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全てがビシッと整った正統派の美しさ。
奥は次にやってくる「そばがき」用の薬味と海苔だ。


「そばがき」
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意外にも「そばがき」は椀がき(鍋でなく椀の中で作るそばがき)であった。
しかも椀の縁からはみ出さんばかりのワイルドな風貌。
べったりねっとりギッチリとした食感で
香りはごくあわい甘い穀物の香り。
薬味が豪華で嬉しいのでせっせと「海苔巻きそばがき」を作って楽しく食べる。


足利一茶庵出身の店主が打つ蕎麦は
「せいろ」「田舎」「更科」の三種類。
しかし大雪の影響でしばらく「田舎」はおやすみとのことなので
「せいろ」と「更科」を頼む。


「更科」
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端正な細切りの平打ち。
量がしっかりあるのは嬉しいが
なんとなく真ん中にギューとくっつきすぎなような・・・
ギッチリかたまったお蕎麦・・?



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うわー!大変失礼いたしました!
「ギッチリかたまった」なんてとんでもない。
食感も、香りも、素晴らしく美味しい更科でありました。
つるつる過ぎない、するりとした肌。
端正な細打ちの輪郭線、ほどよいコシ。
何よりも、何よりも香りが素晴らしい。
美しい更科の香り!
そう、更科って、こんなふうに美味しいお蕎麦なのですよね〜〜



「せいろ」
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これまた繊細な平打ちそばが
ぎっちりギューとくっついて盛られてやってきた。

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ごく淡く漂う、ほんのり甘いきれいな香り。
香りも味わいも淡いのだが、何ともしみじみとした美味しさがある。
この美味しさは何なのだろう?と不思議になるほど、幽き趣のある美味しさ。
極細平打ちのしなやかな舌触りも、優しいコシも素晴らしい。

福井大野の蕎麦。
実は「田舎」も同じ福井で打っているそうなのだが
この時は大雪の影響で量が仕入れられずやむなく「田舎」だけお休みにしたそう。



親切な店主が蕎麦の実や自作の漆器を見せてくれる。

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一茶庵の流れを忠実に受け継ぐ店主は漆器製作も長年続けている。
この店で使われている立派な漆器類は全て店主の手によるものだったのだ。
営業時間を聞いただけで殺人的忙しさなのに信じられない働きぶりである。
「もうとても体がもたなくて、昔みたいに深夜3時までなんて無理なんです」
と、さも疲れたような笑顔で話す店主だが、その今でも深夜1時までやっているのだ。
どれだけ頑張る人なのだろう。



窓からは庭越しに蕎麦打ち場が見えている。
打ち場はこの同じ建物、角を曲がった先にあるのだが
別棟に製粉と漆の作業場があるそうだ。

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帰りに見ると、入口付近は店主の漆器作品展示コーナーになっていた。
目まぐるしく働いていた奥さんがパッと顔を上げ、爽やかな笑顔で
「ありがとうございました」と丁寧に挨拶してくれる。



冒頭で書かなかったが実は今回私は雪の中で迷子になり
この店の娘さん(だと思う)に迎えに来てもらわねばならなくなった。
甲斐甲斐しい感じの娘さんは雪の中上着も着ずに小走りでやってきてくれた。
コートを着ていても寒かった私には
やっとたどり着いたこの店の灯りが昔話の家のようにあたたかく見えた。

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私が温泉街で見た、雪の夜の話。



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2014年03月03日

群馬・新前橋「山人」


住宅街の奥だというのに、
昼も夜も大賑わいのお蕎麦屋さん。

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無機質な吹き抜けの店内には、中央に大きなテーブルがあり
取り囲むように個室風の席があり、奥にはさらに座敷席もある。
個室風の席は高い柵が個性的な空間だ。

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大きめの音楽と楽しげなお客さんの賑わい、
何より驚くのはお客さんの年齢層のひろさである。
お蕎麦屋さんにして若いお客さんがとても多い。
20代前半の男女のグループや若い女性グループというのは
私が普段お蕎麦屋さんであまり出会わない層だけに
やたら華やいだ活気を感じてしまう。


それもそのはず。
「山人」にはとにかくがっつりお腹にたまる楽しいメニューが
ものすごーくたくさんあるのだ。
その紹介の仕方も楽しい。

例えば、「夜飯」というメニュー

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「炙り豚丼セット」「山辛豚丼セット」「トマトチーズの豚丼セット」
「豚カリーセット」

さすがは上州、豚どころ!


「山人のカレーシリーズ」というメニューには
「山人カレー汁」「クリーミーカレー汁」
「完熟トマトのカレー汁」「完熟トマトのクリーミーカレー汁」
「山辛カレー汁」「山辛クリーミーカレー汁」
「カレーうどん」「クリーミーカレーうどん」「まいたけ天カレーうどん」
「チーズカレーうどん」

凄すぎるカレー軍団・・・ (*○*;)

もう全くもって書き切れ無いのでかなり端折るが
鍋焼うどんだけでも8種類(!)、
丼ものもあり、天ぷらや豚料理、魚料理などのつまみも多数な上
しゃぶしゃぶやコースメニュー各種もあり、
どんなシチュエーションでも楽しそうな店なのだ。
そして聞くところによると、驚くべきことにこのメニューのバリエーションは全て
若い店主一人の考案らしい・・・すごすぎる!



「上州麦豚冷しゃぶごまサラダ」
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ザ・ごまドレ!という感じのB級グルメ系ドレッシングががっつりかかっているのだが
これが非常に良く合っていて素直に美味しい(^o^)
ヒラヒラした野菜だけでなく千切り野菜も入っているのがいい食感を生んでいて
そこに口の中で砕けた揚げ蕎麦のプチプチとした食感がさらに楽しいアクセントとなっている。



「こんにゃく刺」
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大好物ゆえこんにゃくが名産のエリアに行くと必ずオーダーしちゃいます。
この鮮やかな緑色は何?と思ったら、私の大好物青海苔の香り!
粗くザラザラして食感はプルップル。
うわ〜 これはおいしいなあ〜




「山豚肉豆腐」
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県産の豚料理が自慢の「山人」。
これは軽い気持ちで頼んだらその鍋の大きさにビックリ!!
しかもそこにドッカーンと大胆に横たわるお肉の巨大なこと。
お肉もお豆腐もものすごく美味しい。
薬味のネギと生姜がまた気が効いている。

そして私いまさらなのですがこの巨大かつ美味しい肉豆腐が780円であることに気がつきました。
ものすごいお得さではないですか!
ここが若者に人気の訳は、メニュー構成のみならずリーズナブルさにもあるのだろう。




「もり」
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やっぱりー!!ナンデスカこの超爆量の「もり」は!!
写真だとお蕎麦が一番奥にあるのでわかりにくいが
実際の蕎麦山はものすごい標高&存在感。
手打ちのお蕎麦で、こんなものすごい量で650円というのはやはりお得すぎる。


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かなりギンギンに冷たくしめられていたためか
最初ほとんど香りらしい香りは感じられなかった。
しかし食べてみるとなんとも渋い、藁のような炭のようなお寺(!)のような
(毎度無茶苦茶な私の形容詞だが3番目が一番しっくりきた)味わいがひろがる。
口中で感じる輪郭線はところどころバラつきもあるのだが、
それまた楽しいと思える私にはこのザラザラした舌触り、
噛み締めた最後かすかに感じるネチッとした粘質も含めおいしいお蕎麦。

さすがの私も不安になるほどのものすごい量だったが
するするさっぱりとしているので、あっという間に汁なしで全部食べてしまった。
(汁は蕎麦湯の時のお楽しみに舐めたが、ガツンと鰹な甘めの汁)



メニュー豊富で、ボリュームたっぷりリーズナブルで、
それぞれのメニューに創意工夫が感じられるので
若い人に人気なのも頷ける。


この日は数量限定の太打ち田舎というのがなかったので
それも食べてみたいな〜











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2013年02月04日

群馬・高崎「凡味 そばきり」


生暖かい風が関東を吹き抜けた2月の夜。

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一日だけぽっかりとやってきた4月並の陽気。

異常気象の違和感を風の激しさが余計に煽り、何となく胸騒ぎがする。



「凡味 そばきり」の風情も、迷い込んだ物語の中のよう。

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床の間の左脇に炉縁が切られた茶室に通される。

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躙口。
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硝子戸を揺らす風に誘われて窓を開けると、
手入れの行き届いた庭がより美しく見えた。

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開けたまま、あたたかな夜の気配と店の音を聴く。




「ごまどうふ」
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濃厚な胡麻の風味。ねとっぷるっとした食感。
なんといってもこの潔いほどの「甘くなさ」は凄い。
醤油の濃い汁と葱でキリッと食べる硬派なごまどうふ。(食感は硬くないですよ(^o^))
これは「日本酒キュッ、ごまどうふチョビッ」
が、似合うでしょうね〜〜




「そばがき」
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運ばれてきただけで周囲を染める華やかな柚の香り。

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ふわとろエアリー系ではなく輪郭はっきり、
もっちりとしたはんぺんのような食感。
噛んでいると渋い蕎麦の滋味が感じられてきて嬉しい。
蕎麦の香りだけを求めて生きている虫のような私には
柚子がちょっと華やかすぎたが、ここの濃い汁には確かに柚子がよく合う。
どれほどの鰹さんと醤油さんが
この徳利の中に凝縮されているのかと思うほどの濃い旨味なのだ。




「田舎そば」
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猪口も、徳利も、笊も、蕎麦も、なにもかもが完璧な眺め!
美しいなあぁ〜〜〜〜

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生々しいまでのたくましさを感じる、ずっしりとした香り。
食感もズシッと密だが、ツルッぬるっとしているので食べにくさは全くなく
弾むようなコシにつられてどんどん食べてしまう。
なんといってもそのふっくら豊かなコシの中に感じるジャリ感が素晴らしい。
殊更でなく、微かにジャリッと粗さをのぞかせるのがニクイ。
味わいはほんのり優しいお寺みたいな。(←誰も付いていかれない表現)



「ざるそば」
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ワーーーこれまた、
どうにもこうにもおいしそうな粗挽き美肌!

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震える輪郭線の中にゆらめくしろい陽炎。
散りばめられた焦げ茶のホシたち。
心ときめかずにはいられない、最高の眺めだ。
肌の表面は粗いが食感はつるりとしていて、
強靭なコシの中のジャリ感が田舎よりも更にゴージャス!
だからといってやたらめったらな感じでなく、その絶妙さに酔わされる。
先程の「田舎そば」と同じ生々しいまでのたくましさに加え、
こちらには渋い蕎麦のかぐわしさも感じられて嬉しい。
今日は福井の蕎麦だそう。



「白雪そば」
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やや暗い茶室の中、そこだけ明るく輝くような、
まさに雪の白さ。

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つるっつるの密なる美肌。
見た目よりも重量感があり、かみしめきれないほどの強靭なコシが凄い。
香りはごく淡かったが、それを見つけて追いかけ追いかけしているうちに
白雪らしい粉の甘い香りがずんずん深まってきて、
ああ〜おいしい!と思ったときにはもうなくなっちゃった・・・

どうして、私のお蕎麦はすぐにどこかに消えてしまうのでしょう。
人のお蕎麦はなかなかなくならないのに(^^;)


風の音を聴きながら至福の蕎麦湯タイムに身を委ねていると
なにやら私の心を波立てるものがある。


どこからかめっちゃめちゃ美味しそうな匂いがしてくるんですけど・・・

鴨焼きのいい香り!

建物の外に出たときは換気ダクトの関係かそれは最高濃度で感じられ、
その香りだけでご飯が食べられらそうなほどのいい香りだった。

あんなに良い香りの「鴨焼き」はなかなかないぞ・・


次回はぜったい「鴨焼き」食べるんだ!(^o^)





.
posted by aya at 21:53 | Comment(3) | TrackBack(0) | 関東の蕎麦>群馬 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年04月01日

沼田「あづま」


いいでしょう、

この看板。

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とんかつと田舎そば!

全然脈絡ありません!


いいのである。
ジャンルはどうあれおいしいと信じたものを一生懸命作って、
ふたつ並べて看板に掲げる。
実にまっすぐで素朴で、自然なことではないか。


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この直球の志に私はシビレる。
フルネーム入りが余計まぶしい。

ちなみにこの「あづま御膳」とは
「あづま」自慢のそばととんかつが同時に味わえるセット。
「そば特選みそかつセット」
「そば特選とんかつセット」
「そば ひれ・みそかつセット」
「そば ひれかつセット」
などである。

その他
牛ステーキ定食、ハンバーグ定食、大エビ天重、大エビミックスフライ定食、うな重、大判鶏重、そば 巨大うなぎセット、そば 特選ユッケ重セット、しょうゆラーメン、とんこつラーメン、四川風みそラーメン、

などなど、これでも全てではないのだから
大変な充実ぶりだ。

ところでこの店は「田舎そば」を看板に掲げながら
どうもメニューにそばの単品メニューが無い。
聞くと単品でも頼めることがわかったが、せっかくなので
「田舎そばセット」(手づくりさしみこんにゃく、おろし、油あげ)
というのにする。

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まずはサービスで出してくれる、揚げそば。

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これが非常においしい。
よく見かけるものだが、何が違うのか「あづま」のはやたらとおいしい。
こうばしく、噛んだ粉が実に良い味わいなのだ。
ちょっと形は違うが、私が愛する和歌山の「そば切 徳」
揚げ蕎麦を思い出すなあ



「手づくり豆腐」
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「もつ煮」
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大好物。ごまの風味が濃くておいしい。
 

そば、手づくりさしみこんにゃく、おろし、油あげの、
「田舎そばセット」
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そばには、海苔とそば刺しがのせられている。

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むわぁ〜 と濃厚に漂う、田舎そばらしい香り。
ふっくらした肌には褐色のホシが散りばめられ、
ほどよいコシの中から粉の甘みがふんだんに感じられる。
この近辺で採れた地粉使用の手打ちそば。
ああ 和むなあ
のんびりほにょー 
おいしいなあ


「手作りさしみこんにゃく」
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このあたりの店ではよく出会える手づくりこんにゃく。
大好物の私は単品でなくこんにゃくのセットにしたわけだが
この粗い食感といい、ジュワッとしたジューシーさといい
手作りのものというのはどうしてこうも違うのだろう。



「手づくりこんにゃく」でなく「舞茸天ぷら」のセットにすると
こんなのがドカンとやってくる。
写真よりすごいボリューム!

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「最後デザート出ますから、食べ終わったらお声かけてくださいねー!」
店はかなり広いので厨房から大きな声で案内してくれる。

キビキビと働き者でニコニコ実に愛想のいい店主が
持ってくれたりんご。

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ウハッ
生クリームにカラーチョコスプレー!
かっわいい、しかもムーミンのスプーンだぁ☆
「甘いの苦手だったら、クリームは避けてくださいねー」
とどこまでも親切な店主だ。



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帰り際ふと見ると
レジの横には何故かアナウンサーのように店主の名前が。
(トーシン、という会社名ではなくこれが姓名なのだ)

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募金箱の下には震災被災者への
店主の言葉が書いてある。


自分の気持を素直にあらわす。


私には足りないことだ。






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posted by aya at 14:39 | Comment(4) | TrackBack(0) | 関東の蕎麦>群馬 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年03月03日

沼田「「手打ちそば 無もん」


行けども行けどもラーメン屋ばかり、という道もあれば
うどん屋ばかりという道もある。

よほどの飢餓状態でない限り何屋が多くてもいいのだが
(行くのは結局蕎麦屋なので)
「行けども行けども蕎麦屋ばかり」という道は
腹具合に関係なく大問題である。

この道も、そんな道。

「手打ちそば 無もん」

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雪の中、堂々たる構え。
このあたりでは唯一、清冽洗練の蕎麦を出す店だ。

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ひろびろとした店内。雪景色が襖絵のようだ。



太陽のような笑顔の奥さんが
運んできてくれる、

「もりそば」
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ふわぁーと香る、さわやかなかぐわしさ。
身も心も染まるようで「あー来てよかった!」と食べる前からつぶやく。
繊細な細切り、すべらかな肌。
今日はいつもよりパキッとした食感だがそれがまた楽しい。
常陸秋そばの、バランスの良い味わいが
その食感の中から深まっていく。


「鴨汁そば」は冷たい蕎麦に鴨汁がついてくる鴨せいろタイプ。

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鴨の旨みが溶け出したやや甘めの汁。
肉厚の鴨がおいしい〜




相変わらず蕎麦はあっと今に食べ終わってしまうが
私は蕎麦湯が長い。

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ひろびろとした空間と雪景色を独り占めする、贅沢な時間。


話好きの人懐こい店主と
今年のこのあたりの寒さの話をする。
東京の話をする。

沼田にもゆっくり春がきている。


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posted by aya at 22:15 | Comment(3) | TrackBack(0) | 関東の蕎麦>群馬 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年02月22日

群馬・沼田「そば源」


東京からこんなに遠くても
道がこんなにわかりづらくても。

恐るべし美味しいものの吸引力、である。

夏に花火見物させてもらったあの日もなつかしいが、
冬の「源」は雪の中。



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店内には暖炉あり・・

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囲炉裏席あり・・

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炬燵あり、座卓席あり、テーブル席あり・・

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そのごちゃまぜ感が家庭的でいかにもほっとする。
ごちゃまぜと言ってもスペースはうんと広々しているので
ゆったりとくつろげる田舎家だ。



私の定番テーブル席の巨大な天井照明。
大胆さが「そば源」らしい。

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いつものお通し。
「そば刺し」
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「蕎麦の切れ端で〜す」とじつにさりげなくトンと置かれていくが
店に入って一番に「蕎麦の香り」に出会える喜びは大きい。
渋く滋味深い香ばしさ。おいしい〜



蕎麦を頼むとこんなたっぷり薬味が運ばれてくるので
喜んで前菜として楽しむ。

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ここは蕎麦だけでなく地元の黒豚料理も自慢で
その上焼き魚の種類も豊富という嬉しい店。
この店に来て蕎麦を食べずにそれらの定食を食べて帰るお客さんもいるのだから
すごいことだ。



今日のオーダーは

「鯖塩焼き」
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ああどうして私はこんなに魚の脂に弱いんでしょう。
鯖はエライ魚だ!



「黒豚のガーリックソテー」
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バッサバッサと大胆な大ぶりの黒豚肉。
とにかく肉そのものが美味しい!
ひと噛みひと噛みが、新鮮な肉の美味しさと脂の旨味に満ちている。
脂なのにサラッと澄んだイメージすら感じる旨味があるのだ。
ここから近い昭和村貝野瀬の農家の
「一週間に一頭」と言われる黒豚。
でも今回は味付けいつもよりやや甘めだったかな・・





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ヒラヒラと舞うように盛られた個性的な姿。

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「そば源」のまぶしき粗挽き、平打ちの蕎麦。
じんなりざりざりとした、独特の黒い肌だ。
ごく薄い幅広の平打ちの輪郭を箸先にたぐれば
うわぁーっ 今日はまた。
なんという、高貴なイメージの渋い香り。
澄んだ、黒い香ばしさ。
甘みが少ないのが一層その美しい香ばしさを際立たせているがする。
じんなりやさしい極粗挽きのざりざり感がたまらなくおいしいので聞いてみると
今日は十割でなく「外一より少ない程度に」つなぎを入れているそうだ。
これまたご近所、月夜野後閑の蕎麦。



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濃厚ポタージュ蕎麦湯は、色味も味わいも
今食べた蕎麦とはちょっと違って
いかにも田舎らしい、味も甘さも濃厚な蕎麦粉。


前回ここで食べて感激した、
煮た磯つぶ貝もまた食べたいなー


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2011年11月15日

群馬・前橋「手打そば 浅川」


うわぁーい また来ちゃった!

前橋の名店、「手打そば 浅川」。

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到着が予定より遅くなってしまい申し訳なかったが
おかげで店内は空いている。
人気店ゆえ、混雑すると物凄いことになるのだ。

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本日はおまかせの会席コースでということで
ますます楽しみ。
ああ早くお蕎麦に会いたい!!

るんるんるん〜〜とウッキウキの私の前に
さりげなく ことり、と置かれた
「金砂郷濃厚蕎麦ポタージュ」。

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アウ

んぎゃ    

うああ〜〜〜〜〜〜〜
あぁ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

(>_<)!☆!☆!

ちょっとちょっと浅川さん。
のっけからいきなりのストレートパンチですか!

こんな、私を破壊するに十分な凶器ポタージュがあったとは・・

なんという、こうばしさ。かぐわしさ。美しい味わい深さ。
ドロドロ〜ザラザラ〜ぽってり〜  と重い質感の中に
蕎麦の香りと味わいが幾重にも幾重にも重なり
もう何が何だかわからないくらい美味しい!
入店10分後に「もうどうなってもいい!!」と叫ぶのはどうかと思うが
悪いのは私ではない。
美味しすぎるー!
これ、どんぶり一杯飲んだらしあわせだろうなー
でもそしたらお腹いっぱいになってお蕎麦食べられないしなー



「そばのつまみ揚げ」
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このおつまみがまたシンプルなようで大変に美味しい。
胡椒の香り高さ、醤油の香ばしい味わい。
畑のものだけで、こんなにがっつりパンチの効いた
鶏の唐揚げのようなボリューム感のある美味しさが出せちゃうんだなー
感激!


ここで、
「高遠さん、蕎麦となるといきなり元気だねええ。さっきと全然違うねえ」
と可笑しがられたので、ハイちょっと落ち着きましょう(^^;;)
大丈夫、次に出てくるものに麻薬(蕎麦)は入っていないから
普通の人でいられそうです。


「前菜 大根 だし巻き玉子 木の子」
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「赤城鶏の蕎麦米雑炊」
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ん?何だか中国料理店のような香り・・・と思いつつ一口食べると、
おお〜 なんとやさしい濃厚さ。
店主が某名店のスープにビビッときて研究の末再現したというこの味。
お蕎麦屋さんでは出会えない、本格的なスープだ。



「金砂郷 そばがき」
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これまた・・
先程の悶絶ポタージュがそのままカタマリになったかのような
悶絶そばがき。
ウワーン香り高すぎるよう〜、味わい深すぎて味の中に落っこちちゃうよう〜(半壊状態)
もっちりぎっしり、ザク感も素晴らしく
なんかもう・・お蕎麦が出てくる前に素敵な蕎麦達に会い過ぎです・・



そしてここから怒涛の蕎麦づくし!
全部で5種もあるとは着地するまでわからなかったので
うれしいびっくり。

1枚目「満天せいろ」
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その名の通り、一面に散りばめれたホシもまぶしい
「浅川」の「満天せいろ」。

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すっっっっぱらしい香り!香り!香り!!(壊れた)
しっとりとやさしい食感、じわわわわぁ〜と深まる味わい。

相変わらず、「浅川」の蕎麦は形容するに難しい蕎麦だ。
中間色の美しさ。
とにかく、ものすごく美味しいことには間違いない。
おいしい、素晴らしい、大スキ!




2枚目「満天熟成せいろ」
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こ、れ、は・・・
見た目も味わいも物凄い熟成感である。
6日熟成とは恐れ入りました。
むせぶような濃厚な香り、ずっしりした味わい。
熟成特有のちゅるちゅる感が楽しい。




3枚目「金砂郷(超粗挽き十割)」
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「いっこ、ふるいにかけ忘れちゃったんで短い蕎麦なんですけど〜」
茶目っ気たっぷりの店主がニコニコ笑顔で
おまけとして出してくれた十割。

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うっわ〜〜い

これまた悶絶ポタージュ、悶絶そばがきとと同じ香り!悶絶組曲第三章!
蕎麦香中毒患者で蕎麦が長い短いなんてほとんど気にならない私には
強烈なジャリ感も楽しく、ただただ素晴らしい蕎麦・・・かと思いきや。
この十割、香りの素晴らしさの割に意外なほど味わいも甘みも淡い。
それはそれですっきりして美味しいのだが
組曲1楽章2楽章ほどのインパクトはないような・・
それがそのふるい忘れとも関係あるのかな? 面白い!
とにかくこと蕎麦となると何でも
「こんなお蕎麦食べられてトクしたなあ」といい方に考えちゃう便利な私。



4枚目「金砂郷(外一)」
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緑色がかったミルキーな肌。
粗挽きでありながらこんなにもやさしくやわらかな表情。

口に含むと見た目の通りやわらかいのだが
思いのほかしなやかな素晴らしいコシに出会い驚く。
ジャリジャリとした食感、そこから溢れ続ける味わい甘みがまたすばらしく、
ああおいしい〜〜〜 これだいすき〜〜〜


5枚目「金砂郷(粗挽き田舎)」
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これまたなんとも風情ある眺めである。
ザックザクの粗挽きなのに、はかなさすら感じるほどのやさしい姿。
手繰り上げるとふわぁ〜!と
今までの4枚にはない甘皮の香ばしさが迎えてくれる。
見た目の通り、はかなくやわらかな舌触り。
ちょっとはかなすぎて味わい切れない感じがあったが
こんな田舎はとにかく新鮮だ。


デザートは、
「韃靼わらび餅甘皮そばの実クリーム」。

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もうもうもう、とにかく楽しくて美味しくて胸もお腹もいっぱい。
体に蕎麦が満ちると、どうしてこんなにガッチリとしあわせになれるんだろう。

やっぱり前世は蕎麦だったんじゃないかと思うこんな時。



明るく楽しい店主にどうぞどうぞと打ち場も見せてもらうと
こんな面白いものが。

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鉢が動かないようにタイヤの滑り止めつけたんだって!
さすがはアイディア王子 浅川さん。




そしてね、石臼の上にいいもの発見。

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招き猫と共に、ウチの子が!
(拙著「蕎麦こい日記」)


浅川さん、ありがとうございますぅ〜〜〜〜



2010年10月の「手打そば 浅川」




posted by aya at 22:42 | Comment(4) | TrackBack(0) | 関東の蕎麦>群馬 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年11月14日

群馬・中之条町「そばきり 吾妻路 」


素晴らしきお仲間達との、愛しき午後。

目指したお店は145号線沿い、この辺りのはずなのだが・・

あ、これかな?

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駐車場の奥、たくさんの車の陰に
趣きのある門が・・・

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やっぱりこれだー♪


門をくぐれば、別世界。

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見事な枝垂梅の古木がまず目を引き、
それぞれの樹木が静かな庭に影を落としている。
秋草の描かれた美しい麻の暖簾は身動ぎもせず、
ただその情景をすっきりと際立たせている。

美しい庭に早くも癒された一同、
ニヤニヤうひゃうひゃ浮かれモードで乾杯!

ここはお酒のセレクションがすんばらしいのでありますよ。

「群馬の地酒利き酒セット」
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馥露酣(ふくろかん)純米 高崎市
淡緑(うすみどり)吟醸  太田市
結人(むすびと)純米吟醸 前橋市

どれも大変美味しいお酒だが
私は特に結人がお気に入り!
すっきりだけじゃない深いコク。
やっぱりその土地で生まれたものはおいしいなあー


「酒肴三種」は
「蕎麦味噌」「じゅんさいとろろ」「螢烏賊とエイヒレ炙り」。

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ミニ七輪で炙るのは楽しいし美味しい!
特に螢烏賊炙りの美味しさに目覚めてしまいました・・・危険〜



「鴨肉焼き」
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そして、このだし巻き卵の大きさは・・・!

「そば屋のだし巻き」
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二人前とありますが大変に大きいです。
オーストラリアのエアーズロックを思わせるほどの存在感。
なんたって卵5個使用っスから!
某八好き八八亭店主の「8個卵焼き」未体験の私には
過去最大の眺めであります。
取り皿に取るとふっくらふわんとしただし巻き、
瞬く間に売れました〜


サプライズはだし巻きのみならず。

「黒龍 いっちょらい」
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単体だとどうサプライズなのかわかりませんよね。
では「にしん」と並べてみましょう。

ジャーン!

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ドカーン。
うっかり泳いでしまいそうな水面の広さにはびっくり。
大胆素敵な演出に一同またひとしきり盛り上がる。


素晴らしい仲間とおいしく楽しくニッコニコ。
しょっちゅう大笑いしながらの、
しあわせな蕎麦前時間。



「芥子切り」
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普段「変わりそば」を頼まない私には
人生2回目?の芥子切り。
これは前回食べたものよりも香りはずっと軽くさっぱりとして
香ばしい胡麻のよう。うわぁー いい香り!
それが口に含むと突如ズシッとオイリーで豊かな芥子の味わいに。
更科のようにつるつるとした平打ち蕎麦。
みっちり密な肌がバラバラとほどけてゆく様が心地よい。

「もりそば」
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ふわぁーと淡く香る密な肌。
口に含むとパキッと硬めの輪郭線とすべらかな舌触りが印象的だ。
噛みしめるうちに、最初に感じた香りが甘みを増してゆき
ああ〜 しあわせだなあー

みんなで食べるお蕎麦は最高だなあー




外を見やれば静かな庭。

秋の日差しに最後の一葉が揺れている。


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posted by aya at 17:06 | Comment(6) | TrackBack(0) | 関東の蕎麦>群馬 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年10月26日

赤城高原「喜楽庵」


赤城のお山は蕎麦の山。

手打ち蕎麦の幟だらけで右に気とられ左を振り返り
大忙しのドライブウェイ。

その中に一際・・・いやいや、看板は非常〜〜に普通な「喜楽庵」。

しかしよーく見ていれば
開店時間前から駐車場に車が集まる謎の人気店ということがわかるのだ。
何やら珍しいポルシェ様もギュインと乗り付ける有様。

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天井が高く広々とした店内は、
石の質感、木の曲線がなんともダイナミックな空間。
この雰囲気、非常に私好みである。

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午前中の光の差し込む窓際に運ばれてきた蕎麦は
のびのびとゆるやかに笊の上に広がってやってきた。

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白っぽく、見るからにふんわりとした空気感を持つ美しい蕎麦。
箸先にたぐると・・アレ、あまり香らない。
と思ったらどうやら偶然私の蕎麦だけ、最初かなり水切れが悪かったようで
香りも味わいも水の膜の向こうにある感じになってしまっていたのだが
程よく水が切れてくると俄然むわぁーとした香りを放ち始めた。
見た目の通りのふわっとしたコシが穏やかな気持にさせてくれる蕎麦。


帰りがけに玄関付近を見ると
土付きのままの見事な野菜がごろごろ入った箱が、どかーんと豪快に置いてある。
現在は「畑で現役」という店主が作った無農薬野菜を、なんと欲しい人にはお土産にくれるのだ。
ビニール袋と「一人一袋まで」との文字。
畑に立つ人らしい飾らぬ親切がストレートに伝わるではないか。


袋一杯の茄子とじゃが芋を手に店を出ると
赤城の山の空気が胸を洗ってくれているかのようだった。





posted by aya at 07:13 | Comment(2) | TrackBack(0) | 関東の蕎麦>群馬 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年10月16日

群馬・前橋「手打そば 浅川」


言葉にできない蕎麦。

「浅川」の蕎麦を、敢えてそう表現しよう。

野性的な蕎麦。
やさしく品の良い蕎麦。
むわぁ〜とかぐわしい香り。
舌にひろがる甘み。
弾むようなコシ。
すべらかな舌触り。

蕎麦に出会えば出会った数だけ、
私はその蕎麦の世界に見入り、染まり、
その蕎麦への賛美の言葉が溢れて止まらなくなる。
あなたはこんなふうにあんなふうに美しい、
あなたはこんなにもこんなにもステキだ、と
愛しいものへの形容詞など考えずとも浮かぶものだ。


しかし「浅川」の蕎麦には
何かズバリと言い切れない魅力がある。
店主の打ち出す数種の蕎麦のそれぞれの個性は
微妙な中間色で彩られ、
これだ、とつかまえようとしても
何色なのか中々教えてくれない。


前回「浅川」を訪れたときには
私はもうこのブログをはじめていたから
そしてその時間は本当に素晴らしかったから
当然私はブログに書こうと思った。
しかし書けなかった。

覚えているのは

”前橋に凄い店がある。
蕎麦が人の手を借りずに自力でその味を出しているかのような味がする。
私には彼が、蕎麦打ち職人ではなく、
蕎麦という穀物が持つ力を研究している人のように思える”

と書こうと思ったことである。
しかしそれだけでは漠然としすぎて訳がわからないし、
「浅川」の蕎麦にそれ以上の具体的な形容詞を冠することが出来なかったので
私は「浅川」について書くことを断念した。

・・・という、前回のことがあるので
今回この店を訪れるにあたっては私はできるだけ頭をクリアにして(当社比)
余りワクワクしすぎないようできるだけ落ち着いて(当社比)
そうしてあの広々と明るい店内に入ったのだ。


休日の昼時と言うこともあり
店はほぼ満員の人気ぶり。
一つテーブルが開いても次から次に、お客さんが入ってくる。
そしてどのテーブルのお客さんも
実に和やかで楽しそうなのが印象的だ。

まずは、
「星の飛ぶ満天の空のような深い味わいをお楽しみください」
とメニューに添え書きのある「満天せいろ」。

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実は、打ちたてのものに加えて、2日熟成のものもあったとのことで
右と左で盛り合わせにしてくれた。
遠目に見ても色がはっきりと違うのが分かるだろうか。



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この蕎麦だけ見たら、
この透明感や光り方などいかにも熟成のようにも見えるのだが、
こちらは打ちたて、本日の「満天せいろ」。
その名に違わずふんだんに散りばめられたホシが
未晒の土佐和紙のような風情を醸し出している。

手繰り上げるとなんとも形容しがたい、
もう「浅川らしい」ということで勘弁してくださいと言うしかない
中間色のかぐわしさ。

しっとり、ふわりと、つかみどころのないやさしい感触は
どこか慈久庵の蕎麦を思い出させるような。




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こちらは2日熟成の満天せいろ。
なるほど、熟成となるとこんなふうに透明感を増しながら色が濃くなるのだ。
ドキドキと手繰り上げると、ふわっと香る、
先程の、打ちたての「満天せいろ」の香りが更に深まったような香り。
噛みしめても熟成らしき香りは感じられず、深い香りのなかに
後から甘みがじわっと追いかけ、口中に広がっていくのが嬉しい。


打ちたてと、2日熟成の色の違いも、アップにするとこの通り。

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そしてこちらは「金砂郷せいろ」。
こちらも偶然あったということで、
本日打ちたてのものと1日熟成の合盛りに。

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こちらは本日打ちたての「金砂郷せいろ」。
「満天せいろ」よりしっかりとした歯ざわりである。
なんて、前の蕎麦との違いを書いてはみるが、
この蕎麦においても、私は「浅川」の中間色の夢のなかである。
原始の夢、原野の夢、土の色の微妙な重なりが見えるような・・・


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1日熟成の「金砂郷せいろ」。
熟成により、打ちたてよりもなめらかな舌触りになっているのが印象的である。
熟成らしい香りはほとんど感じられず、
甘みと味わいだけが深まっているのが見事だ。


しっかりクリアな頭で来たはずなのに
「浅川」の中間色の微妙なグラデーションに染まってしまい
今回もまたつかまえられないまま。



私にはやはり、「浅川」の店主は蕎麦打ち職人というよりも、
蕎麦という穀物が持つ力を研究している人のように思える。


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(アンシュ〜、行ってまいりましたよー!
 いつかは、ご一緒しましょう(^o^)♪)

posted by aya at 00:40 | Comment(4) | TrackBack(0) | 関東の蕎麦>群馬 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする