2017年01月27日
「仙北市ナイト」
楽しみにしていた「仙北市ナイト」!
品川に秋田がまるごと、人のあったかさごと方言ごと
ぜーんぶやってきてしまう夢のイベント〜♪
大大大好きなお蕎麦やさん
「野の花庵」さんと「すがや」さんにもお会いできて
秋田の食べ物はびっくりするほど何もかも本当に美味しくて
一緒に行ったお友達も大変喜んでくれました。
お蕎麦はふっふっふ・・・「高嶺ルビー」と「鳥海富士1号」!*\(^o^)/*
さすがは仙北のお蕎麦、東京では絶対に食べられない味と香り。
特に赤そば「高嶺ルビー」のハランハランと独立した食感と
極上の天ぷら油のような甘い香りはすごかった〜。
「すがや」さんには
「なんだぁ〜、2名でよやぐしてたからカレシとくんだべかって言っでだんだけど〜」
とニヤニヤ言われてしまいまいした(* ̄∇ ̄*)
ご期待に沿えずすみません来年頑張ります(* ̄∇ ̄*)
このお二人のお蕎麦屋さんがどんだけスバラシイかは
ぜひこちらをご覧ください。ああ〜この愛をどうしたら。
「そば処 すが家」
http://ayakotakato.seesaa.net/article/353724714.html
「手打そば 野の花庵」
http://ayakotakato.seesaa.net/article/353259444.html
2015年12月09日
品川「あきた美彩館・秋田県仙北市 そばタベクラーベの会」
今年も行ってまいりました!
品川「あきた美彩館」における
「そばの郷・秋田県仙北市 そばタベクラーベの会」♡
思えば2年前の3月、仙北市で行われた
「第一回・そばタベクラーベの会」にお招きいただき生まれたこのご縁。
その時の私がどれだけ嬉しく楽しかったか、
仙北のお蕎麦の稀有な個性とおいしさにどれほど感激したかは
コチラに書いてございます♡↓↓(銀世界の秋田!!)
http://ayakotakato.seesaa.net/article/353029658.html
その素晴らしい体験が東京にいながらできてしまうと言う夢のような会が
一年に一度開かれています。
なんたって蕎麦粉だけじゃなくその職人さんごと、腕前ごと、
もっと言えば方言ごとあったかさごと仙北が東京に来てくれちゃうんですよ!?
どんだけ素敵なんじゃい!!キャ〜〜〜!!
というわけでものすごーーーーく楽しみにやってきた「あきた美彩館」。
品川駅からすぐ、駅前のウィングの裏にあります。
会場に入るともうこんな素敵なセットが。
マズイ・・・これはマズイですよ・・・
おつまみが異様に美味しそうな上に大好きな「秀よし」がある。
おまけに向かい合わせの同席の方々は皆様初対面。
舌から入った5mlのお酒で5秒後に酔っぱらい15分後には冷めるという
常人には理解不能な単位で生息するコトリ星人の私は
ひとりだけ宇宙人声になって浮かないよう、全力で気を付けなくちゃ・・
会が始まり、まずは仙北市からやってきたお蕎麦屋さん達のご挨拶。
「手打ちそば 野の花庵」さん
「手打そば すが家」さん
「手打そば さくらぎ」さん
私がだぁ〜〜〜〜い好きな、仙北の各名店の店主が東京に、品川にいる!!
冷静に考えると相当おかしかったと思うのですが
この時の私はただのジャニーズファン状態。
もうもうもう、仙北のお蕎麦屋さん達のお顔を見てるだけで、
仙北のあったかい言葉で仙北のお蕎麦の話を聞いているだけで
どうにもこうにもニヤニヤニヤニヤ笑いが止まらず
満面の笑みで写真撮ったりウンウン頷いたり・・・
かなり痛い人だったかも(* ̄∇ ̄*)
我慢できず撮っちゃった写真も載せてしまいますが愛に免じてお許しを・・・
(左が「野の花庵」さん、右が「すが家さん」。
この時「さくらぎ」さんは厨房釜前で大活躍中でした♪)
うははははは・・・
いま写真見てもやっぱりうれしくてどうしても顔が笑っちゃう私は
真性・仙北のお蕎麦屋さん症候群かも?(≧∇≦)♡
「本日の蕎麦前」
西明寺栗の渋皮煮
仙北のゼンマイの煮付け
ばっちゃんのがっこ
合鴨のロース
地物野菜のディップ
仙北の干し柿
仙北の銀杏
大根ビール漬け
どれも見るからに美味しそうだが本当に本当に美味しい。
素材が素晴らしい上にそれを生かしたやさしい味付けがまた素晴らしい。
そしてこの美味しい蕎麦前に「秀よし」が合いすぎて美味しすぎて大変に困る!
第一回そばタベクラーベの会の時も出てきた「秀よし 本醸造 生貯蔵酒」。
「秀よし」の社長がこの会のためにセレクトしたということだが、
入り口まる〜くまろやかで、その後濃厚にふくらむのにすっと澄んで切れるという
私の個人的好みの理想形!!
どうしよう私、ブレーキブレーキ!(* ̄∇ ̄*)
色鮮やかな蕎麦前の左下の隅にある、変わった形をした赤いものは何ですか?
と訊いてみると
「チョロ・・です」
???
語尾が良く聞こえず何度も聞き直してしまったのだが
最終的にはお向かいに座っていらした仙北出身の若い女性(ありえないほどの美肌!おそるべし秋田!!)
が教えて下さり「ちょろぎ」であることが判明した。
へ?ちょろぎ?
可愛い名前〜!しゃくしゃくして美味しい〜!
と喜んでいたら帰りに「あきた美彩館」の物産コーナーで発見。
秋田では正月料理としても食べられているらしい。
名前も見た目も可愛いな〜〜
この後は私が大好きな方言の話で盛り上がりまして
ねねね(寝なければいけない)
さねね (しなければいけない)
とねね (さみしい。なんと徒然と書く!文学的!?)
などなどどれも素敵すぎて
せっかく「秀よし」セーブしたのも意味ないほど大喜びしてしまいました。
案内の用紙にあった通り本日のお蕎麦は3種類。
「高嶺ルビー」ヒマラヤから来た赤い宝石
「階上早生」粘りが強く、豊かな風味
「常陸秋そば」そば独特の香り、優れた風味、甘み
もちろんすべて仙北市産の蕎麦粉だ。
1枚目「高嶺ルビー」
蕎麦の花が白でなく「赤」という大変珍しい品種である「高嶺ルビー」。
その花の美しさから観賞用に用いられることが多く
栽培量に対しての収穫量が少ない(他品種の半分位!?)ために非常に高価であることから
あまりお目にかかれない希少な蕎麦だ。
不思議なのはどこでも
「高嶺ルビーが赤いのは花だけで蕎麦切りにしたら赤くはありません」
と聞くのだが私の目にはどうしても蕎麦切りも赤く見えるんですよね〜(≧∇≦)
ざっくりした粗い肌と直線的なライン。
口に含むとちょっと手作りこんにゃく的な「つるっとしたざらつき」があり
はらはらふるふるとした食感がユニーク。
ふっくらと甘い、蕎麦と小麦の入り交じった濃厚な香り。
旨みも甘みもじわわわわーと深く濃厚でおいしい〜
仙北での「第一回」、東京での「第2回」で食べたときは爆発的に個性的な味わいだった
「高嶺ルビー」だが今回は比較的素直な豊かな味わいでした。
二枚目「階上早生」
「高嶺ルビー」のあとだとぐっと色が落ち着いて見えます。
グレーっぽいけど少し緑がかっているのが嬉しいなあ〜
ふーーーーっと漂うかぐわしさ。
フレッシュとか爽やかとかいうより、静謐なストイックな石のようなイメージの蕎麦の香り。
プラス小麦の甘く豊かな香り。
ねっちりと密な質感だが細打ちの平打ちのため繊細な印象で
味も香りもとても濃厚!
三枚目「常陸秋そば」
お蕎麦屋さんも順番というのは真剣に考えていると思うので
最後のお蕎麦というのはどうしても期待高まるもの。
そして
あーん もう3枚目、さいごだー・・
と悲しくてたまらない私(;_;)
わあ〜〜
これはとても爽やかなかぐわしさ!
それに加えて野生も、ふっくらした豊かさも感じる素晴らしい香りだ。
これもはらはらふるふる軽い食感で、
甘味は少なく滋味深い味わいと香りが濃厚で美味しい〜〜〜!
「本日の蕎麦湯は、3つのソバが合わさった、ここでしか、味わえないものです!」
と「野の花庵」さんが説明してくれた通り、
蕎麦湯が独特の味わい深さで美味しかった〜〜
蕎麦汁はかなり甘めなのだが
鰹の風味があとからしみじみとやってきてチョコレートのようなまろやかさがある汁。
(蕎麦汁にチョコレートという形容は乱暴?に聞こえるかもしれないが
私は時々出会う印象なので実は結構いろいろな店で書いているかも)
大好きな仙北にまみれてしあわせいいっぱい。
また秋田に行きたいよーーうう!!心のなかで叫びながら
楽しい物産コーナーをうろうろ何周もしてしまいました。
で、こんなの発見→購入!
いぶりがっこ大好物なんですが「いぶりがッキー」って(* ̄∇ ̄*)
今度の蕎麦会に持っていこう〜っと♪
2013年04月12日
秋田・仙北市田沢湖「そば五郎」
<秋田・仙北市 蕎麦の旅その7>
楽しくも超濃厚だった仙北蕎麦の旅もいよいよ終わり。
蕎麦以外にもいろいろと素敵な出会いがあり(後日ご紹介いたします(^^))
最終日の夕刻、「田沢湖」駅から「スーパーこまち」に乗って東京へ帰ることになった。
初めてやってきた「田沢湖」駅。
駅舎は美術館か何かのように立派なガラス張りで、
駅前は公園のように広々としている。
店らしい店も見当たらず・・・
あ あれはなにかな?
駅の前庭(?)をはさんで真正面に建つ、
おみやげ物産館「田沢湖市(いち)」。
しかもなんだか見逃せない幟があるではないですか。
「田沢湖地蕎麦」
「十割そば処 そば五郎」
手打ちとは書いていないから機械かなぁとは思うけど、
今じゃすっかり仙北愛溢れる私としては見逃せないですよ、
「田沢湖地蕎麦」!
店内は地元名物、秋田名物がズラリと並んで賑やかな雰囲気。
こんなところにお蕎麦屋さんがあるのかなあ・・
あった(^o^)
じゃあせっかくだしちょっと入ってみるべ、
駅蕎麦みたいな感じかな?
・・と入ってびっくりこの雰囲気。
ええーー?
えええーーー!?
いかにもありがちな「なんちゃってレトロ調インテリア」などではなく、
本物だけが持つ静かな迫力。
突然の展開に面食らう私であったが、実はこの物産館の建物は
鎧畑地区(玉川温泉に行く途中)の「浦山家」が
まるごと移築されたものなのであった。
特に「そば五郎」の店内部分は
襖絵や違い棚など細部まで当時の姿がそのまま再現され
旧家のずっしりとした趣が感じられる。
駅前のおみやげ物産館の中でこの雰囲気。
斬新すぎて素晴らしすぎてむしろ笑えてくるほど。
物産館の中の蕎麦屋でこれをやりますか!
すごいなあー あーびっくりした(^o^)
ってなわけで
「地鶏せいろ」
ピカピカ輝く肌に浮かぶ細かなホシ。
やはり手打ちではないようだが平打ちというところに思い入れを感じる。
熱々の地鶏のつけ汁が湯気を立てているところを申し訳ないが、
まずはどうしても、海苔のかかっていないところを引っ張り出して
お蕎麦だけ食べてみたい私をお許しください・・
むうぅと香る甘い香り。
そしてツルッツルの食感が何とも独特である。
表面がツルッツルな上ピーンと張ったような不思議な膜感?があり
言葉は悪いがちょっとビニールのような舌触りがユニークだ。
平打ちのヒラヒラツルツルが口中で心地よく
ムニュとなめらかなコシを噛みしめると粉の香りと甘さがさらに深まる。
しかもこれが地粉使用の十割とはさらに素晴らしいではないか。
地鶏の汁につけると食感がぐっと優しくなり
その中でのツルツル感がまたいい。
また、ねぎに加えて海苔を入れてくれたところが海苔好きの私には嬉しい。
あたたまった海苔の香りっていいですよね〜
そしてなんと、後から知ったのだが
この「そば五郎」にはもうひとつの顔があり
それがまた大人気らしいのだ。
「毎月22、23、24日は三日間 ラーメン五郎」!!
通常の営業でも「あっさり中華」という、蕎麦屋のラーメンをやっているのだが
(私が行ったときは売り切れでした(>_<))
毎月22、23、24日に食べられる「ラーメン五郎」は
店主入魂自家製麺の、いわゆる二郎系のラーメン。
しかもタダモノの二郎系ではなく細麺で勝負する日ありがっつり太麺の日ありで、
「牛テールラーメン」「熊本ラーメン」「背脂ラーメン」など
その時々のメニューを狙って遠方からくるファンも多いらしい。
私が行ったのは25日だったので、惜しい!
その上店内で気になっていたこのメニューも
すごーく美味しいとあとから聞き・・
鶏だし辛味油の「がっつり五郎」
え、平太麺? しかも十割蕎麦??
どうやら一回来ただけでは全貌が全くつかめないこのお店。
最初から最後までどこかぶっ飛んだ「熱さ」を感じて何とも可笑しい。面白い。
「また来るぜ五郎!!」
と言い残し、赤い新幹線に乗った私であった・・・(-. -)♪
(毎月22日は「田沢湖市の日」。
各店舗で特売や限定商品の発売、やってます!)
2013年04月10日
秋田・仙北市角館町「そばきり 長助」
<秋田・仙北市 蕎麦の旅その6>
どれほど長い間ここに帰ってくることを夢見ただろう。
10年前に初めて訪れて以来3度目の、「そばきり 長助」。
東京から近い距離ではないだけに嬉しさもひとしおである。
角館の観光名所「武家屋敷通り」のすぐ裏、
小人町に翻る弁柄色の暖簾。
町名からもこの街の歴史の深さを感じさせられる。
「そばきり 長助」は筋金入りの農家の蕎麦屋。
蕎麦の種まきからお客さんに出すところまで、
すべての工程を自家生産している全国的にも稀少な蕎麦屋である。
自分の気に入った蕎麦だけを栽培し、収穫し、磨き、石抜きし、選別し
年間通して風味を損なわぬよう玄蕎麦のまま低温貯蔵庫で管理保存し
その日使う分のみ自家製粉して手打ちする。
しかも毎日「十割(白)」「十割(黒)」「二八」の3種を打ち分け、
土日にはさらに限定で「スペシャルな十割」を打っている。
普通にお蕎麦屋さんを営業するだけでも大変なはずなのに、
一体いつ寝ているのかと開いた口がふさがらないほどの仕事量である。
聞けば収穫の時期はやはり過労で毎年5キロは痩せるそうだ。
しかし「そばきり 長助」店主には
「自分が美味しいと思う蕎麦を作るためにはひとつの手抜きもしたくない」
という情熱がある。
その情熱が「そばきり 長助」の強烈なエネルギー源となっているのだろう。
そんな偉業の末のお蕎麦を、お店に行って「くださーい」と言えは簡単に食べられるのだから
お客さんというのはなんと楽チンで幸せなのでしょう(^^)
とは言え前回までの2回は、私はまったくそんな影なる苦労は知らなかった。
ただ「農家のお蕎麦屋さん」とだけ認識していて
そのお蕎麦の美味しさにびっくり魅了されていただけのファンであった。
打ち場で黙々と作業する店主の姿に秋田の男らしさ、たくましさを感じ
秋田っていいなあー、かっこいいなあーと思っていた。
そんな「そばきり 長助」のお蕎麦。
私が再会を夢見た「二色もり」!
「二色もり(数量限定)」
うわぁぁおいしそう!!
もう見ただけでおいしい!食べなくてもいいくらいの感激!
なんというこの景色・・・素晴らしすぎる・・・
感極まってつい激写、連写。
「十割(白)」
ふっくらゆたかな「白」の美肌。
「黒」との対比がまた素敵すぎて、
あああ もう私 この白と黒の間に住みたい・・・
ムーと穏やかに、しかし濃厚にただよう上品な香り。
なんとも厚みのあるかぐわしさに思わず目を固く閉じる。
口に含むと実にやさしいコシが迎えてくれ、
そこからひろがる豊かがふっくらした味わいがたまらなすぎる。さいこうです。すばらしすぎる。
ああああ あなたはなんとやさしく、さりげなく、豊かに深い方なのでしょう
ってもう早くも私は壊れました。
ああーおいしいよう ばんざーい・・・(ヘナヘナヘナ)
「十割(黒)」
もうこの美しさについては一体どうなんでしょうか
この重なり。肌。輪郭線。
これ程かっこいい食べ物って他に思いつきません。
ドキドキしつつ「こんな素晴らしい香りがするんだろうな」と想像しながらたぐり上げる。
すると、うわあああ これまた、なんという・・・
その想像の美しいところだけをすくい上げたような絶妙さにまた目が開かなくなる。
外側の香ばしさ、たくましさが、じわーと淡く美しく伝わってきて
いやらしさが全くない、実にさりげなく洗練された「黒さ」なのだ。
ふっくらとした食感の中に潜むジャリつぶ感のさりげなさがまたニクイ。
ああー おいしすぎる すばらしすぎる
ご近所の方が本当に本当に羨ましい!!
さらに、本日は「土日限定のスペシャルな十割」、
「十割赤そば」もあるのです!
この「赤そば」とは、先日行われた
「そば食べくらべの会・タベクラーベ」
でも一番人気、話題をさらった「高嶺ルビー」という、赤い花をつける珍しい品種の蕎麦。
もちろん「そばきり 長助」ではこれも自家栽培、自家製粉の手打ち蕎麦である。
実は私、この時すでに「ものすごーくお腹いっぱい」だったので
「十割赤そば」はほんの少しいただくつもりでした。
が!
頼み方が悪かったようで、ガッツリ一人前来てしまいました!
「十割赤そば」
ど、どうしよう、富士山ぐらい大きく見える・・・
食べきれる自信全くなし・・・
しかしこれがまたどうにもこうにも凄かった!!
見るからにみずみずしくやわらかそうな肌。
手繰り上げると、かつて出会ったことのない香りがパーンと私を包み込んだ。
あなた誰ですか!?ほんとにお蕎麦さん!?というくらい突き抜けた野生の香り。
見た目の通りぬちゃーとやさしくやわらかーい食感と
これまた独特、出会ったことのないコシが絶妙で
そこあふれる味わいがまた素晴らしい。
苦みにも似た野趣あふれる旨みが、淡く美しく真ん中に浮かぶようにある。
いや〜〜〜びっくりです。こんな美味しさもあったんですか。
アッッ!(もっとびっくり)
一気に全部食べちゃった・・・!
半分も無理かと思ってたのに・・・(^^;)
ちなみに店主は元樺細工職人。
「そばきり 長助」にある「木で出来たもの」は食器から家具まで
ほとんどが店主の手によるものである。
境界線がユニークな机は、小学校の机を思い出して私もお気に入り(^^)
聞けば聞くほど、いつ寝ているのか心配になる店主だが・・・
次回までしばらくの夢を見て、
また「長助」のお蕎麦に会いに行きたい。
.
2013年04月08日
秋田・仙北市角館町「手打そば さくらぎ」
<秋田・仙北市 蕎麦の旅その5>
角館という町は言わずと知れた観光地である。
歴史ある武家屋敷と桜並木の風情が特に有名で
「みちのくの小京都」とも呼ばれている。
中でも一番人気のエリアは「武家屋敷通り」。
その「武家屋敷通りの最寄り駐車場の向かい」という、
角館初心者にはありがたすぎる場所に
手打ち蕎麦屋さんがありまーす!
外観だけ見ると、普通の住宅を改造したようにも見える建物。
中に入ると住宅風ではなく店らしい間取りで、
若い店主夫婦が切り盛りしているせいもあって明るい印象の店内。
奥には居心地の良さそうなカウンター席もある。
ここは「そば屋のカレーライス」「そば屋の中華そば」など
面白いメニューがあると聞いていたので
壁に貼られたメニュー書きも気になるところ。
綺麗な字で丁寧に書かれているのがとても感じがいい。
本日のランチ「かけそば+マーボ丼700円」っていうのも
手打ち蕎麦屋さんとしては斬新&おトクだし
「冷たい 比内地鶏南蛮」っていうのも大変気になるなあ〜
お・・?
おおおおナンデスカあれは!?
10食限定「あきたこまちそば」
そば粉とあきたこまち米でできているんだって!
面白いなあ〜〜食べてみたい。
こりゃ大変だ、
「ざるそば(十割)」「ざるそば(二八)」の2枚を食べるつもりで来たのに
3枚になっちゃった(^^)
「手打そば さくらぎ」の蕎麦に使用されているのは全て地粉。
それもこの土地ならではの「富士一号」という
珍しい品種であるというのも楽しみなところ。
しかも蕎麦打ちには秋田駒ケ岳の雪解け水を源とする清冽な田沢の湧水を使用しているそう。
聞いただけで、美しい山頂でかぐわしい蕎麦を鼻にくっつけているような嬉しさに
満ちてきてしまうではないか。
「ざるそば(二八)」
たっぷりとうず高く盛られた端整な姿。
白い器の雰囲気と相まってなんとも凛々しく美しい眺めである。
「ぜんまいの煮物」と「いぶりがっこ」が添えられているのが
秋田らしいもてなしだ。
クッキリと角の立ったシャープな輪郭線。
ふわぁーとただよう淡く香ばしい香り。
口に含むと見た目の通り、極めてシャープな角の立ったパッキパキの舌触りで
そのあとに来る強靭なコシがものすごい。
そのパッキパキをモグモグと噛みしめると
清澄な、すっきり澄んだ蕎麦の味わいが追いかけてくる。
ゆったりのんびり〜ではなく目が覚めるように鮮烈、強靭な蕎麦だ。
そしてこちらがめずらしい、
「こまちそば」
おお〜なにやら少しピンク味を帯びて
二八よりぐっと明るく優しい印象であります。
近づき見入ればこちららもかなりシャープな角を際立たせた輪郭線。
しかし食べてみると独特の、珍しいモッチリ感があり
シャープさは先程の二八のように強く感じないから面白い。
香りや味わいよりも、お米ならではのこのモッチリムッチリ感と
するりんとした喉越しを楽しむ蕎麦。
鰹のきいた甘い蕎麦汁につけると、ほんわか秋田の味わいだ。
いよいよ三枚目、
「ざるそば(十割)」
ぐっと濃いめの肌と、見惚れるほど流麗なライン。
軽くドキドキしつつたぐりあげると・・
うわ おいしいいいい!!(まだ食べていない)
野趣溢れる富士一号のたくましい香りが
ふんだんに、押し寄せるようにただよってくる。
食感はこちらもシャープでコシも強いが「二八」ほどではなく
なにより噛み締めて溢れるその味わいが凄い。
じゅーーーと溢れ続ける、これぞ富士一号の野生の旨み。そしてえぐみ。
ああーなんておいしい・・なんてしあわせ・・
富士一号って面白いなあ!
東京ではまず見かけることのない「富士一号」。
今回仙北のお蕎麦屋さんにおいて私は何度も食べる機会を得たが
この富士一号、十割だとびっくりするくらい野趣に満ちた強い個性の暴れん坊なのに
二八となるといきなりやさしく澄んで個性を消す珍しい種だと思う。
最初は「偶然かな?」と思っていたが何度も食べるうちにそう思えてきた。
私はお蕎麦屋さんではないからよくわからないが
これは使い分け、打ち分けするにはとても面白い個性なのではないだろうか。
その地粉の「富士一号」を
地元の湧水を使って美しい蕎麦に仕立てている「手打そば さくらぎ」。
若き店主はここでしか味わえないものの大切さ、素晴らしさを
まっすぐに表現し続けているのだと思う。
姿勢がよく、蕎麦のイメージとも重なるようなスッキリシャープなイメージの店主は
日本料理出身らしいので、「彩りこーす」「懐石こーす(予約)」っていうのも
美味しそうだなあ〜
次回は夜に来なくっちゃ!
2013年04月07日
秋田・仙北市西木町「農家のそば屋 一助」
<秋田・仙北市 蕎麦の旅その4>
今回の仙北への蕎麦旅では
私にとって大きな初体験があった。
それは「農家民宿」に宿泊するということ。
仙北市には現在30軒ほどもの農家民宿があり
それは全国的にみてもかなり多いらしい。
ホテルに泊まっていては絶対にふれられない「その土地らしさ」がまるごと感じられるのだから
注目も人気も高まって当然だ。
子供の頃から「田舎」というものがなかった私にはなおさら
新鮮で楽しい出来事だった。
というわけで私は今回3日間「ここんちの子」になっていました(^o^)♪
「農家民宿 一助」さん。
なんと建物は築100年。
外観はいろいろ手直しされているようでしたが中は風情たっぷりです。
しかもですよ、
この「農家民宿 一助」さんは実はお蕎麦屋さんなのです!
農家であり、お蕎麦屋さんであり、農家民宿であり、
しかも蕎麦生産組合の会長さんでもあったり・・
と聞くとスーパーマンかと思っちゃいますが、
自分の生まれたこの土地への愛と誇りに生きる「一助」さん。
仙北のことや、畑のことを語るときの目の輝きが
とても印象的でした!
その一助さんちの「農家の居間」がそのまま開放されて客席となっていて
美味しいお蕎麦が食べられるというこの楽しさ。
「ざるそば」
ざるの上にさらり、のびのびとひろがる蕎麦。
窮屈にかしこまっていない感じが気持ちいい。
濃厚にムーーーとただよう、香ばしい甘い香り!
かなり力強いコシがあるのだが、平打ちのためすんなりと食べやすく
「しっかりとしたひらひら感」が印象的だ。
そのしっかりひらひらを噛みしめると
二八らしい粉のうまみがジワーと濃厚に溢れてくる。
つるつるというよりはぬるりとしたような肌で
ごくなめらかな舌触りも独特でおいしい。
「一助」さんが育てたものを中心とした、地粉のキタワセだ。
そしてこちらが「農家のそば屋 一助」人気メニュー、
「ぶっかけそば」
わーこれまたなんだかドキドキ。
一面を海苔とかつおぶしで覆われていて内容が全く把握できません。
まるでどんな草花が生えているやら把握できない野原を歩くかのようだ。
何が入っているのかなあー?
近づいたって事態は同じ。内容は把握できないまま一口食べて
「おいしいぃー!」。
シャクシャクとした食感の天かす、主張しすぎない桜海老、のり、ネギ、かつおぶし・・
どの食材も飛び出すことのない絶妙のバランスが
「自然」なやさしい調和を作っている。
とにかく全体がシャクシャクサワサワ〜〜として何とも言えず「自然」な味わいで、
ついそのままノンストップで全部食べてしまった。
「農家のそば屋 一助」は山菜やワサビが自生する山林に囲まれているので
季節には「山菜の天ぷら」も食べられるし
天気の良い日は林に面したウッドデッキでたぐれるらしい。
わあーい、外でたぐるお蕎麦大好き!素晴らしいー! (≧∇≦)/
「農家民宿 一助」では蕎麦作り体験など季節の体験メニューが用意されているし
希望すれば宿泊した人にもお蕎麦出してくれるそうなので
「農家民宿 一助」
「農家のそば屋 一助」
欲張って両方ぜひ〜♪
(お蕎麦屋さんとしての営業は冬季はお休みですが
今年は4/20頃からの営業開始を予定しています。)
家族のように温かく迎えてくれた素敵なご家族。
地のものを使ったごはんもすごくおいしかったし、
いろんなことを教えていただき楽しかったです!
※今回の蕎麦旅はこちらでコーディネートしていただきました。
仙北市農山村体験デザイン室
秋田県仙北市の農家民宿に泊まってみたい方は
相談してみてくださいね。
.
2013年04月02日
秋田・仙北市角館町「そば処 すが家」
<秋田・仙北市 蕎麦の旅その3>
「あの人を思うとドキドキしてしまう」というのは多分恋だが
「あの人を思うとニヤニヤしてしまう」というのは多分恋ではない。
私は「そば処 すが家」を胸に思い浮かべただけで
ニヤニヤせずにはいられない。
畑と田んぼに囲まれた店で食べる美味しいお蕎麦、
そして店主の人柄、秋田の言葉!
奥羽山脈の麓にある、農家が営む蕎麦屋「そば処 すが家」。
店のすぐ前はこんな風景!(田んぼ)
そして店の裏は蕎麦畑。
ああー 洗われちゃうなー
肺も、心も。
店内は囲炉裏席あり、民芸風の装飾あり、
ほっこりくつろげる雰囲気。
あれ?あれはもしや?
せいろでつくった時計だ!
「こつこつと こつこつこつの つみかさね」。
かっわいいなあ(^^)
畑では蕎麦を「育て」、店では蕎麦を「打つ」店主は手先が器用らしく、
思い立ったらなんでもすぐ作っちゃうタイプらしい。
「いいべ?オラがつぐったんだ」
ニコーッと笑うその笑顔。
ちょっと会話を交わしただけで
私はしばらくニヤニヤが止まらなくなってしまうので
結局ニヤニヤしっぱなしだ。
「十割そば」
お蕎麦を頼むといろいろおかずもついてくる。
田舎の家に遊びに来たみたいで和むなあ〜
ところが、のんきに和んでいる場合ではなくなった。
じんわりやわらかそうに重なる肌・・・
そこから漂う香りの素晴らしさ!
滋味深い、野性味ある、どこか質素なイメージの香りが
ムーーーと新鮮にふんだんに押し寄せてくる。
ウワーン素晴らしいよう〜・・と感激しつつ口に含んでさらにシビれる。
なめらかな肌のやわらかな舌触り、ぷるっとしたコシの中から
旨みが濃すぎて渋みすら感じそうな、ぎゅううううと濃い味わいが口いっぱいにひろがる。
「富士一号」という、東京ではまず見かけることのないこの品種のたくましさが
最高に美味しい形で今ここにある。
おいしいぃ〜〜〜〜おいしすぎる!
「すが家」さんたら、そんな何でもなさそうにニコーッとしながら
こんなお蕎麦作っちゃって・・・
ああまたニヤニヤが止まらない・・
「二八そば」
十割より明るめの、ふっくら柔らかそうな肌。
淡い香り、すっきりとした味わいの後から
上品な甘みが追いかけてくる。
肌のなめらかさ、やわらかさは十割以上で、
噛みしめるとやさしいコシが受け止めてくれるのがとてもいい。
昆布だしがぎゅっと効いた蕎麦つゆによく合う蕎麦だ。
ついているおかずは
「玉子焼き」「蕎麦豆腐」「干し柿」。
美味しいと聞いていた「玉子焼き」は噂通り、本当に美味しい。
奇をてらわぬ「普通の玉子焼き」なのだが
程よい甘さ、味付け具合、なんとも「いいあんべ(按配)」なのだ。
なめらかぷるぷるの蕎麦豆腐も味わい深くて
うーーん、「すが家」さんは、なんでも上手なんだなあ〜(ニヤニヤニヤニヤ)
デザートは「蕎麦アイス」。
これも「すが家」さん考案、手作りのデザートだ。
きゃ〜〜蕎麦茶をかけるのは反則です〜〜
蕎麦茶の香ばしさが好きすぎる私。
メニューは他に自家菜園の野菜を使った「天ぷらそば」や「ぶっかけそば」「とろろそば」、
予約の「そば会席」などもあって、
農家を営みつつよくこれだけのことができるものだと感心せずにはいられない。
さらに「そば処 すが家」にはうどんもあるのだ。
そのうどんもすごく美味しいらしく
平日限定の、手打ちそばと手打ちうどんの合盛「銭神セット」狙いの常連さんも多いらしい。
(ちなみに「銭神」とはこのあたりの古い地名。民話の世界だ〜)
次回はうどんも食べたいし、
「すが家」さんの育てた野菜も食べたい。
ああ 「そば処 すが家」、
また行きたいなあー
(ニヤニヤニヤニヤ(^^))
2013年03月29日
秋田・仙北市角館町「手打そば 野の花庵」
<秋田・仙北市 蕎麦の旅その2>
東京からやって来た者にとっては、車通りの多い国道沿いに立ってさえ
深呼吸したいほど空気が美味しい。
「手打そば 野の花庵」はそんな場所に建っている。
青い空に映える山小屋風の建物。
黒木の外観はシックな印象だ。
扉をあけると一変、明るい春に「こんにちは」と迎えられたような気がした。
玄関の内側で、自分の名を大きく明るく名乗っているからかもしれない。
丸太の大きな看板の前に桜の枝が飾られている。
天井が高く気持ちのいい店内は昼時のためかほぼ満席。(写真は退店時)
すごい人気である。
ここに来たら「せいろ」を頼むのはもちろんだが、
やっぱりあの超人気メニュー「肉そば」も頼まずにはいられない。
しかも今日「野の花庵は天ぷらがまた絶品」との噂を聞きつけまして・・
というわけで「野菜天せいろ」と「肉そば」、おねがいしまーす!
厨房では真っ白な割烹着に身を包んだ店主がフルスピードで働き
奥さんはそれこそ駆け巡るように厨房と客席を出たり入ったりしている。
それだけ聞くとちょっと落ち着かない店という印象を受けるかもしれないが
全く逆である。
普段から、それこそ野の花のような雰囲気の店主夫妻。
次々と注文をとり料理を運び、片付け、会計と目まぐるしく働く奥さんの
一生懸命な声、姿の感じの良いこと。
見るともなしについ目で追ってしまい
気がつくと何とも言えないやすらいだ気持ちになってくる。
そして白割烹着の店主が厨房で働く姿がまた印象的だった。
釜の湯気が揺らめく中、私にはまるで神事のひとつか何かのように
清らかな眺めに見えてしまった。
無心に働く人の姿は美しい。
「野菜天せいろ」
「優等生」「お手本」という言葉が浮かぶ、端整な姿。
くっきりと際立つ輪郭線が、美しいラインを描いて軽やかに重なっている。
淡く静かに漂う穀物の香ばしさ。強い甘さや激しさのない、真面目な滋味深い味わい。
そう、なんとも「真面目で誠実な印象」の蕎麦である。
輪郭パッキリ、コシもしっかりめだが軽やかな空気感のある食感。
しかも食べ進むうちに、二八らしい甘さと香ばしさがぎゅーっと濃くなってきた。
すっかりくつろいでしまい「野菜天」のアップの写真を撮るのを忘れてしまった!
「今日は春菊です」と店主が運んできてくれた通り、
「野の花庵」ではその時々の旬の野菜と定番野菜を組み合わせて揚げるらしい。
噂通り、この天ぷらがたいへんおいしい。
これまたお手本のようにキチッとパリッと揚げられていて
サクッとした衣が香ばしくて、特に春菊好きの私は嬉しかった〜
窓の外は静かな田園の雪景色。
国道沿いとは思えぬほどのどかな眺めだ。
そしてついに・・
大変悩ましい方の登場であります。
もう本当に罪深いほどの存在であります。
私を苦しませる、「野の花庵」の、「肉そば」!!
「肉そば」
温かい「肉そば」も選べますが、おすすめは冷たい方の「肉そば」。
「肉そば」は本来秋田ではなく山形で有名なメニューであるが
ここの「肉そば」は店主がその山形で修行し学んできたものである。
メニューには「鶏肉のダシつゆ・肉は硬め」との説明が添えられている。
山形の「肉そば」は元々種物としてとても好きなメニューなので
きっと美味しいんだろうな、と期待はしていた。
しかし「野の花庵」の「肉そば」ははるかその期待をぶっ飛んで美味しすぎる。
大袈裟でなく他のことが考えられなくなるくらい美味しい。危険です。反則です。
見ての通り鶏肉に埋め尽くされた姿。
汁を見つめれば油分も見えて、なかなか食べ応えがありそうだ。
ところがひとくち、食べてびっくり目がかっぴらく。
この、雪解けの清流に出会ったかなような超スッキリ澄んだ冷たいスープ。
最初の印象は「薄味?」と錯覚を覚えるほどだ。
しかしその清流に身を埋めて泳ぎだすと、肉の旨味が、ネギの香りが、たまらぬダシが!
四方八方から押し寄せてきてもう私全部が美味しさでいっぱいになる。(食べないでね!)
メニュー説明に書いてある通り鶏肉は硬めで、
さっぱりなのだが脂身もしっかりあり(不思議)
それを噛むしあわせったらない。
お蕎麦はこの冷たいスープの中できゅっと締まって
細いが歯ざわりしっかりめ、それが澄みきった味わいのなかでまた素晴らしい。
うーーーーーーーん
この店の主役はやはり「せいろ」だとは思うのですけれどね・・
この、主役を凌ぐ勢いの存在感。
悩ましい、悩ましすぎる。
だってこんなに美味しかったら、
私一人で来ても来る度に「せいろ」と「肉そば」、
2人前食べなくちゃいけないじゃないですか!
こまったなあー(^^;)
2013年03月27日
秋田・仙北市「そば食べくらべの会・タベクラーベ」
<秋田・仙北市 蕎麦の旅その1>
3月23日。
東京の私の家の前の桜は満開を過ぎ、
上着を脱いでYシャツ姿の男性が春の日差しを楽しんでいたが・・
秋田新幹線から降り立った角館は
一面の銀世界であった。
「仙北市」という市の名前はあまり知られていないかもしれないが
秋田県仙北郡の田沢湖町、角館町、西木村が合併して2005年に誕生した市である。
角館駅から、小雪の散る中向かったのは
「そばきり 長助」。
今夜はここでそれはそれは楽しいイベントが開催されるのだ。
「そばの郷仙北市・そば食べくらべの会(タベクラーベ)」。
仙北市内の5軒のお蕎麦屋さんが集まって仙北産の6種の蕎麦を打ち、
それを食べ比べる会である。
事前の参加募集に応募して集まった方々は遠くは仙台からも。
ゲストとして呼んでいただいた私はもう何ヶ月も前から楽しみにして
はるばるスーパーこまちに乗ってやって来たのである。
この蕎麦会の大きな特徴は、
参加する5軒のお蕎麦屋さんのうち4軒が「農家の蕎麦屋」であること。
それも「蕎麦屋のかたわら蕎麦栽培も始めました」というのなら
他でもたまに出会う形式なのだが、仙北市の場合は違う。
「もともと農家さんだった人がお蕎麦屋さんも始めた」という、
どうにもこうにも筋金入り、生粋の農家さんたちなのだ。
故にもちろんこの会で使用される蕎麦粉は全て仙北市内で栽培された地粉である。
今回のタベクラーベは第一回ということでみなさんウキウキ大張り切り!
奥左から、
「手打そば すが家」「農家のそば屋 一助」「手打そば さくらぎ」
「そばきり長助」「手打ちそば 野の花庵」
の皆さん。
長くなるのでさっぱりめに書きますが、
この皆さんおひとりおひとりの素敵さときたら・・
私などはもう思い出しただけで愛しさ余って一人ニヤニヤしてしまうほど、
ほんとーうに素敵な方々ばかりなのであります。
ちょ、ちょっと皆さん、
今夜は第一回ということで試験的に会費1000円なのですが・・・
この蕎麦前の豪華さ、ちょっと張り切りすぎではないでしょうか・・(^_^;)
私は今夜は「仙北産の6種のお蕎麦食べくらべ」を楽しみにしてきたはずなのだが
この蕎麦前には意表を突かれた。
さすがは各お蕎麦屋さんの自信作とあって、
ひとつひとつが本当に、完全に美味しいのだ
「根曲り竹の子のピリ辛味噌炒め」
「鴨肉のマリネ白髪葱添え」
「ハタハタ寿司」
「玉子焼き」
「ヤマトイモの揚げびたし」
「鯛とタラの芽の昆布〆(正油ジュレ掛け)」
地のものを使ったり、郷土料理のアレンジだったり
ひとつひとつが本当によく考えられていて、しみじみと美味しい。
もったいなくて「一口でぱくっ」なんてとても食べられず
ちびちび心から楽しんで食べた私(^^)。
お酒は鈴木酒造店の「秀よし」。
この会の蕎麦に合うようにと鈴木酒造店の方が選りすぐった三種類である。
秋田杉のとっくりがまた素晴らしい演出。
このお酒がですね〜〜、どれもあんまり美味しくて私びっくりしてしまいました。
秋田のお酒ってガツンッととにかく強いイメージがあったんですが
この「秀よし」は入り口は清澄で、奥に向かって湖に沈んでいくように深くなる。
キリッとしているんだけれども、美しくふくらんでいく。
おいひーーーい(≧∇≦)/ !!
いけないいけない、お蕎麦の前だしブレーキブレーキ(^^;)。
今回の「タベクラーベ」で出されるお蕎麦は6種類。
全て仙北産、品種は以下である。
「富士一号」
「キタワセ」
「常陸秋そば」
「会津在来」
「階上早生(はしかみわせ)」
「高嶺ルビー」
「富士一号」というのは相当蕎麦の品種に詳しい人でも知らないであろう珍しい品種。
私は昨年11月の神田・眠庵の蕎麦会で
一度食べて、その味わいの珍しさ、初めて出会う野生味に大変に驚いたものだ。
「高嶺ルビー」とは、赤い花をつける蕎麦として知られる品種である。
(通常、蕎麦の花は白い)
この6種類の蕎麦が今夜は全て二八で出される。
参加している5軒のお蕎麦屋さんの中には二八の店あり
十割で出している店ありいろいろなので
今回は第一回ということで全て二八に統一したのだそうだ。
それでは、いよいよ!
1枚目「富士一号」
明るめの肌に散る黒いホシ、やわらかそうな輪郭線。
前回、神田「眠庵」で食べた時の記憶があるので
さぞかし野性味のある味わいだろうと思いきや、
これが拍子抜けするほど品の良い、美しい香りと味わいである。
それでいて物足りなさは全くなく、その品の良さも美しさも「濃厚」。
細切り、つるつるの肌はムニぷるっとした弾力があり、
かみしめると伸びるようなコシがある。
ああー 1枚目からおいしいなあ〜うれしいなあ〜
2枚目「キタワセ」
クッキリピカピカ、パッキパキの輪郭線と、
うっすら緑がかった濃いめの肌。
箸先にたぐると二八らしい甘い香りがむわぁ〜と濃厚に香る。
特に水分が多いわけではないのに驚くほどつるんつるんの肌で
かみしめた弾力がすごい。
コシが強い分、そこから溢れ出す甘さと味わいが存分に楽しめる。
濃いなあ〜
3枚目「常陸秋そば」
やや緑がかった明るめ、細かな粒子を浮かべた肌に思わず見入る。
香りはこれも二八の甘い香りだが
その奥に、ああああ素晴らしい、見つめずにいられない
かぐわしさ、こうばしさ、美しい味わいがある。
常陸秋そばってやっぱりすごいなあ。
見た目はゆるやかに落ち着いた印象だが、これも凄いコシである。
歯が届かないほどの弾力!
4枚目「会津在来」
会津在来と言っても仙北に来て大分経っている種であるので
仙北仕立ての会津在来種である。
これが、おいしい。
白めふっくら、豊かな見た目はいかにも会津らしい印象なのだが
その味わいが素晴らしい。
白い味わいが口中でふくらむ。濃くなる。
会津の在来種の美味しさが仙北の土で凝縮されたような蕎麦だ。
5枚目「階上早生」
おっ 今回はじめての平打ちであります。
やや濃いめのみずみずしい肌が、ゆるやかにやわらかそうに重なっている。
これも二八らしい甘い香りが濃厚。
つるんっつるんっの肌を噛みしめると伸びるようなコシがあるが
平打ちのためしなやか、やさしい歯ざわり。
味わいがすっきり澄んでいるので余計に香り立つ印象だ。
「田舎らしさを出すには階上だべ!」
という声が聞こえてきたので、
これが仙北の人にとっての「田舎らしい蕎麦」なのかもしれない。
田沢湖のようにすっきり澄んでみずみずしい、つるつるの田舎だ。
6枚目「高嶺ルビー」
出たー!
赤い花をつける珍しい蕎麦「高嶺ルビー」。
そうめんで作られたお花の飾りが添えられて運ばれてきた。
見るからにみずみずしく、透明感に満ちた粗い肌。
透明感があるだけにその粒子ひとつぶひとつぶが余計に際立って美しく見える。
むわぁーと濃厚にただよう甘い香りもいいのだが、
なにより食べてみてからが驚きである。
ぷるんぷるんっ、ちゅるにゅるっとしたやさしいやわらかなコシをのんきに噛みしめると
突然グワァーと激しいほどに強い、野性的な味わいが溢れ出すのだ。
よく在来種の蕎麦の味わいの要素に「苦み」とか「渋み」が含まれているが
それにも少し似ているかもしれない。
なんという味わいの強さ、濃さ。
試しに汁につけて食べてもみたが
(私は汁につけると蕎麦の味がわからなくなってしまう蕎麦音痴なのだが)
これはまったく汁の中に味が埋もれない。
この個性の強さからか、会終了後、参加者一人ひとりから感想をいただいた中で
圧倒的一番人気はこの「高嶺ルビー」であった。
デザートは「そばおやき」。
「農家のそば屋 一助」さんが育てた「階上早生」を使って
作られたやわらかぁ〜いそばおやき。
すぐそこで作られた素材で、この近所の人が作った作りたてを、今ここで食べるよろこび。
あったかいおやきではないけど、あったまるなあ〜、心が。
心あたたまると言えば本当にこの会では心あたたまりっぱなしで、
何より同じ市内の同業者がこれだけ力を合わせ、助け合い
(その一緒に話し合ったり作業したりする姿がまたたまらなくいいのですよ・・)
こんなに意義のある面白い会を開催したことはすごいことだと思う。
この会のおかげで、東京にいては絶対に食べられない
仙北育ちのならではの実に珍しい味わいを持った蕎麦を
私はいっぺんに6種類も食べ比べることができたのだ。
しかも何より嬉しいことは、この会に参加したお蕎麦屋さん達が
会が終わって尚一層やる気満々、次はどうすべ!こうすべ!と
ウキウキワクワクしてるんです・・
ひゃー!その時までに「どこでもドア」買ってこなくっちゃ!
どこに売ってるのかなぁー(^^)
最後に・・
<本日の丸抜きさんコーナー>