好きすぎてどうしようもない。
この「好き」は憧れであり、長い長い片思いであり、
尊敬でもあり、家に帰ったような安らぎでもある。
この店については語れば語るほど痛い、
いや痛いを通り越して怖い自覚があるので(笑)
なるべく感情を抑え、淡々と紹介する努力をしま〜す(≧∇≦)
青空の眩しい森下駅の交差点、6階建てのマンション。
かつてはこの一階に、私の愛する愛するこの店があった。
創業1831年、とんでもない歴史を誇る老舗である。
しかし言葉を選ばずに言えば老舗とは思えない、
老舗であるということを超えた魅力に溢れる店だった。
まず蕎麦がいわゆる「老舗の蕎麦」というのとは別物。
その他に出されるものも全て心のこもった最高の美味しさで、
店の雰囲気は粋でありつつ家庭的。
(なんと珍しくも靴を脱ぐスタイルでした)
店主夫妻の人柄や、特に奥さんの接客は私は「国宝」だと思っているほど
優雅でチャーミングで、私はお二人に会えることも
どれだけ楽しみにしていたことか。
我ながら愛が爆発しすぎている当時のブログ(笑)↓↓
飲み過ぎ食べ過ぎ、楽しかった〜↓↓
http://ayakotakato.seesaa.net/article/446791434.htmlしかしその店も、数年前に意外な、新しい形に生まれ変わった。
店主夫妻は一階を店で働いていた人に譲り、
二人はその建物の6階の自宅を改造して店を始めたのだ。
その店がまた、激烈に素晴らしい!!!!!!!!
びっくりマークがいくつあっても足りない。
自宅改造で、しかもマンションで、こんなに素敵なお店ってあり得ますか!?
格が違う、と言うと誤解を招きそうだが
人柄、人としての余裕が滲み出るような
センスに溢れた素晴らしい空間、時間がそこにあるのだ。
私は今まで何度もこの新しいお店にも行っているのに
毎回胸いっぱいすぎて興奮しすぎて全然書けず
今回初めてやっと書けるくらいに落ち着いてきた(どんだけ笑)。
建物の前に立つとこんな看板が。
この奥にエレベーターがあります。
今回私は何を思ったかなんとなく階段を登って2階からエレベーターに乗ってしまった。
エレベーターには男性が一人乗っていて、すでに6階のボタンが押されていた。
ということはその方も京金のお客さんな訳で
私は6階に着いた時に「お先にどうぞ」と譲ったのだ。
しかしその方は私に「どうぞどうぞ」と快く譲ってくださり
私は先に降りることとなった。
エレベーターを降りるとこんな感じ。
降りた時から、素敵な素敵な奥さんが
ソフトペダルを踏んだピアノのような柔らかな声で
にこやかに迎えてくれるので、
吸い込まれるように入ってしまう。
入ってすぐ右のスペースは自然光の入る温室のようになっていて
そのインパクト、雰囲気がとにかく素晴らしい。
(お客さんがいたので全部撮れず残念でしたが〜)
11時開店で 11:08に店に着いたというのに
私が席に着いたらもう満席。
えっ満席!?
なんと、さっき エレベーターで
私にどうぞと先を譲ってくれた男性は外で待つことになってしまったらしい!!
それはイカーーーーン!!と私は玄関の方に飛び出し
奥さんに私の方が後だったことを告げたが、
もうもうもう、芍薬の花びらのように優雅で柔らかな奥さんは
笑顔でふんわり〜〜ととりもってくれ、
男性のご厚意で私はそのまま席に戻ることとなった。
店の人の心のあり方に余裕があると
そんなお客さんが集まるんだなあ〜・・・と実感。
あの時の男性様、ありがとうございました!
メニューはこんな感じでございます。
やっぱりこのAセットが好きで、いつもコレ頼んじゃうんですよね〜
頼んでから「だし巻き」とかにも思いっきり惹かれるのだが・・・
「そばがき」は絶対頼みますけどね♡
だってね、Aセットのこの眺め!!
めちゃめちゃ良くないですかーー!?
ぎゃーーーーーー!!!
好き!!
大好き!!
もう見ただけで素晴らしすぎる。
何が違うのかわからないけどここはやっぱり特別!!
愛が溢れて止まらないーーーーーー!!
「鴨の治部煮」
「鴨の治部煮」と言われて想像をするものの何倍も楽しいこの世界!
コレは何かな〜♡と宝探しするのが楽しく、
一つ一つが、泣けるほど美味しい。
さりげなく海老やアワビまで入ってる豪華さ!
野菜も生麩も、下に潜んでいるすだれ麩もめちゃ美味しい。
普段、食べ物に関してあれだけ饒舌な私が
美味しいしか言えなくなっとる(笑)。
「ごま豆腐」
ほんわり柔らかく、小さくてさっぱりしているのに
胡麻の風味豊かで最高〜
そばがきはドーーーン!と
こんな立派なスタイルでやってきます。
「そばがき」
お湯に沈む素朴な肌に吸い込まれる・・・
湯気にのってほわーっと漂う香りは
王道の落ち着いた、バランスのとれた素晴らしい芳しさ。
香り爆発、というよりは少し落ち着いた、それでいて満ち足りた香り。
食べると美味しさに目が丸くなる!!
なんですかこの味わいの素晴らしさはー!!
グルタミン系のつよーい味、と言うのより一歩手前の、
上品なレベルでの味わいの濃さがぎゅうううううう!!
ずーーーっと続くのだ。
そして意外と個性的な点として、
すこーーーしだけ、2パーセントくらい粉っぽさ生っぽさがあり
ねちっとしてざらつきがあり、それがちょっと椀がきのそばがきっぽい。
蕎麦の生々しい魅力もちょっと味わえ、
椀がきと鍋がきのいいとこどりって感じ?(≧∇≦)
エアリーさは全くないので、密ですんごい食べ応え。
薬味もゴージャスで、コレだけでお腹いっぱいになるそばがきだ。
そして、もう涙目になるほど、
私はもういっぱいいっぱいでございます・・・
あなたに、会えて、うれしい!!
「せいろそば」
全てが美しい・・・
この眺めを世界中に自慢したい。
こんなに美しい景色が、食べ物が、日本にはあるのだ。
箸先から香りを寄せると・・・おおっ?
今日は意外な香りに出会いました。
軽やかで、さわやかな野生味!
なるほど、今日は白神山地の新蕎麦だそうだ。
ちょっと北海道の蕎麦を思わせるなシャープさもあるが
強すぎずフレッシュで美しい香り。
食感は繊細でハラハラ、コレがたまらないんですよねえ〜!!
やさしい食感に酔わされるひととき。
ああ〜〜しあわせだあああああーーーーー
「粗挽き田舎そば」
打って変わってこの肌。この笊。
美しさに胸射抜かれて、私はただただ固まるしかない。
(と言いつつ実際は好き〜!!好き〜!!と小声で吠え続けていた(笑)痛すぎる)
おおー
このお蕎麦の産地は聞いていませんが
ほぼ同じ香りなので同じ白神山地と思われます。
同じ香りの上に、皮の軽い黒い香ばしさをふんわりと纏っている。
極細繊細ながらねちっと感のある質感。
せいろもそうだったが、いわゆる弾むようなコシってのは全然なくて
優しい優しい質感です。
しっかりした甘みがあるが、極細の美しい繊細さからか
甘さもすっきりとしていて、まあなんかつべこべ言ってますが
とにかく田舎として最高なんです!!大好きなんです!!
ああああ好きだあああーーーーー!
そしてね、ここはなんと10月でもコレがあるんです!
嬉しくなって「デザートに」頼んじゃいました〜♡
「すだちそば」
うっわーーい!
きれいだなあ〜〜〜〜
ここの「すだちそば」は旨みしっかり、味しっかり。
私はもっとシャキーッと冷えて味もスーパーすっきり、
みたいなのが好みだと思ってきたが
もう秋だからかこれはそこまでキンキンに冷たくはなく、
旨みしっかり、味しっかり。
一杯をゆっくりしっかり楽しめる感じ。
薬味の爽やかさが最高〜
最後になったが、ここの凄さは
その蕎麦汁を味わった時に
恐ろしいほど私の脳と体に訴えてくる。
舐めた瞬間、その美味しさに飛び上がる、
と言っても全く大袈裟ではない。
私は度を越した手打ち蕎麦偏愛者なので
行儀が悪いのは百も承知の上で蕎麦汁を無視しがちなところがある。
「 お蕎麦屋さんは、その蕎麦と蕎麦汁のバランスに人生をかけているのだから
お蕎麦屋さんに行って、蕎麦汁をつけずにお蕎麦だけ食べるなんてのは言語道断、
お寿司屋さんに行ってネタだけ剥がして食べるようなものだ。
決して良い子は真似しないように」
と言いながら 全然蕎麦汁をつけないで
この30年手打ち蕎麦を完食し続けてきた大悪党である。
もちろん、そんな私にも蕎麦汁はとても大切なものであり
「蕎麦後の蕎麦湯」タイムの大切なお供。
私にとっては蕎麦湯がお酒で蕎麦汁はおつまみ。
蕎麦湯ゴクリ、蕎麦汁チロッが至福の時なのだ。
しかし蕎麦の香りへの愛が激しすぎるため
蕎麦を食べる時はその香りだけを純粋に、できるだけたくさん身体中で感じたくて
蕎麦汁を付けて一口食べてみると大抵
「やっぱり付けなければよかった、そのまま食べたい」
となり、その結果、
「蕎麦と私の間に入るものは空気も許サヌ」。
という暴力的な人間が出来上がってしまった。
しかしどういうことだろう、
「京金」の蕎麦汁は、全てを超越して、もうそれだけで
飛び上げるほど美味しいのだ。
うっとりするような旨みの塊でありながら、何一つ飛び出すものがなく、
深くまろやかで、しかもすっきりとしている。
この私が、
「この美味しい汁に、この蕎麦を付けたらどんなことになっちゃうんだろう!?」
と誘惑されてしまうのだ。
そして付けてみると思った通り、夢のように美味しい。
蕎麦を蕎麦汁につけるってこういうことなんですね神様!?
と天にその新鮮な感激を報告したくなるような感動がある。
ああやっぱり「京金」については
語れば語るほど痛くなるのでやめときゃいいのに・・・(笑)
好きです。
大好きです!!
この「好き」は憧れであり、長い長い片思いであり、
尊敬でもあり、家に帰ったような安らぎでもあるから、
いつまでも、そのままでそこにいてほしいのだ。
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