2011年09月27日
西高島平「蕎麦 ひびき庵」
美術館には雨が似合う。
雨露の中、板橋区立美術館の森に寄りそうような
「蕎麦 ひびき庵」。
メニューに
「クリームあんみつ」「そばしるこ」「杏仁豆腐」
などもある通り、
美術館帰りのカフェとしても居心地良さそうな店内。
窓を彩る濃い緑がいい。
うどんや海老天重などのごはんもの、
天ぷらやお造りのコース、鍋コースまであるが
なんと言ってもここは蕎麦である。
「せいろ」
あおいゆたかな瓜を思わせる爽やかな香り。
パキッとはっきりした輪郭線で
食感もくっきり硬め。
口中はひんやりさわやかな香りに染まり続け
北海道は音威子府の夢を見る。
そしてこちらが土日限定の
「粗挽せいろ」。
こちらはざる盛りですね。
見るからにじわーと香りそうな
黒く粗い肌、まぶしいホシ。
手繰り上げるとひんやり〜〜とした空気が
何とも香ばしく、かぐわしく染まりこちらに漂ってくる。
「わぁおいしいー!」(まだ食べてない)
こんなにもしめられているのにこんなにも香ってくれているのだ。
見た目はそうでもないが
口に含むと先刻の「せいろ」とは打って変わって
やわらかめの、輪郭のない蕎麦。
なんだか美味しくなさそうな表現で申し訳ないが
これが大変に美味しいのだ。
繊細な細さ、チリッとかすかな刺激を覚える粗挽き感、
表面はざらつきつつもみずみずしいのでつるりと口中を流れ、
その間じゅう溢れ続ける香ばしい香りと味わい・・
おいしいー!
雨は止んだように見えたが店を出るとまだ降っていた。
さーてどの道から帰ろかな。
10月の出演のお知らせ
2011年08月20日
新高島平「手打そば もとはし」
都営三田線「新高島平」駅からすぐの、堂々たる構え。
店の向かい側は通りに沿って長い緑地帯になっている。
緑地帯のすぐ向こうは車通りの多い駅前の大通りだというのに、
そうは思えぬほど、店は緑に守られている。
店内は老舗らしく思い切り広い。
そこにうんと間隔を持たせて
テーブルが配置されているのが実に贅沢である。
中休みなしの通し営業。
運が良ければこれだけの空間を独り占めできてしまうのだ。
しっとりと雨に濡れる静かな庭。
うーんこんな蕎麦屋で昼酒したい!
と思ってくださった方。
いいものがございますよ〜〜
「もとはし」の「軽く一杯コース」!
「生ビール一杯」+
「渡り蟹の唐揚げ,一口ももカツ、梅くらげ」
1000円
「天狗舞純米酒一合、枡酒一合」+
「鱧の梅肉あえ、ままかり、板わさ」
1260円
ウハッ (≧∇≦)
「セット」でなく、「コース」てぇのが
ますます楽しいではありませんか。
前者は通称「生コース」、こんな具合である。
「梅くらげ」
「渡り蟹の唐揚げ,一口ももカツ」
渡り蟹の唐揚げというのは初めて食べたが
下味しっかり歯ごたえしっかり、
香ばしくてビールにぴったりだ。
四つ山盛りでやってくる
「せいろもり」
「白っぽい細めのおそば」とメニュー説明にある通り
かなり白めの細打ち蕎麦である。
箸先から濃厚に漂う小麦の香り。
よくある二八蕎麦のもあ〜っとした小麦の香りでなく
更科蕎麦から漂うような澄んだ香りである。
ちゅるちゅるとした食感が涼やかで
おろしを加えた蕎麦つゆに浸して食べるとおいしいこと!
「田舎もり」
打って変わって黒っぽく太い平打ちそば。
むわ〜とたくましい香り、その奥に微かな熟成感をひそめている。
みっちり密な肌感だが平打ちなので食べにくさはなく
噛み締めた甘さがとてもおいしい。
熟成もこれくらいだと好きだなあ!
この蕎麦も、おろしを加えた蕎麦つゆで食べたら
穀物の甘さが更に際立ち美味しかった。
私、「老舗な汁+おろし」というのに弱いのかも、
と最近気づき始めております。