2022年10月07日

都立大学「柿の木」


以前も手打ち蕎麦屋さんだった場所に、
去年生まれたお蕎麦屋さん。
店名の「柿の木」は、ここからすぐの地名からとったのだろう。

駅近、緑道沿いの気持ちのいい場所に
物語の始まりそうな階段がある。


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この建物、この階段のデザインのせいで
なかなか良いムードがありますねえ〜
(ちなみにこのビルはその名もニューヨークコーナー! ( •̀ .̫ •́ )✧)



お店はこの階段を登った2階にある。

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キリッと清々しい暖簾をくぐると、
入り口すぐ脇の蕎麦打ち場前に、心躍る張り紙が。

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キャ♡
福井在来種だあ〜!
さてどっちかな? (≧∇≦)


開放感のある大きな窓のある空間。
緑道の緑にそのまま染まるような気分になる。

ご繁盛で窓を入れた全景は撮れなかったので
緑を背景にしたメニュー写真をお楽しみください。

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おっほ〜!
昼からしっかり飲めちゃうー♡危険ー♡
しかし今日はこの後があるので
愛は蕎麦粉に集中させまして、
とりあえず「手作りそば豆腐」と〜

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うふ。もちろん「せいろ」でお願いします!

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「手作りそば豆腐」

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見た瞬間、少ない・・・と思ってしまった蕎麦大食いの私 (^^;) 。
(今日は仲良しの蕎麦好きガールと来たので
お店の方であらかじめひとり分ずつ盛ってきてくれました)


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量はちょっと寂しかったが
素朴な洗練を感じる姿が大変美しい。
見た目の通り、クリーミーな質感、
そしてナニコレおいしい〜!!
私は味覚の中でも苦味という味の成分が大好きなのだが
これはなんと結構苦味のある蕎麦豆腐。
韃靼蕎麦にも通じる苦味で
蕎麦の穀物らしい風味も感じられ
いやー、見た目からは想像しなかった美味しさでした〜♡


「せいろ」
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ウワー・・・
美しさに思わず固まる私。

青絵描きの磁器、木の器、
そこに盛られた蕎麦の肌の美しいこと!!

自然光の下眺める蕎麦はいつも美しいが、
そこに緑があるとなおさら美しく見えるのは何故だろう。


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粗挽きの震える輪郭線。
浅黒い素朴な肌は、
ちょっと熟成の蕎麦のような不思議な透明感がある。
箸先から香りを寄せると、
ムワァ〜〜とずっしりたくましい香りプラス、
笹とか畳のようなシャキッとさわやかな野生がある。
いいですねえーー!
噛み締めた質感はやや輪郭線硬めで
噛むとすこしネチッとした質感を感じる。
たくましさが強いので私の舌では福井らしさはあまり感じ取れなかったが
滋味深さもあり美味しい。
うん、このお蕎麦、意外とありそうでない、
見た目と味のバランスかも!


蕎麦汁はかなり甘めで、
酸味も出汁も強いもの。
例によってついお蕎麦に夢中になりすぎて
一度もつけて食べることができなかった大悪党の私だが
このガッツリした蕎麦汁は、ここのお蕎麦に合うんだろうなあ〜


おしゃれエリアの都会的なお蕎麦屋さんだが
気取った感じではなく自然な雰囲気なのがとてもいい。


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夜、ポテサラと塩辛と牛すじ煮で一杯、ってのも楽しそう! (≧∇≦)


欲を言えば前やっていた
「柿の木混ぜ蕎麦」
是非復活させて欲しいなあ〜♡












<s8>
posted by aya at 12:23 | Comment(0) | TrackBack(0) | 東京の蕎麦>目黒区 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年02月10日

学芸大学「やっ古」


学芸大学に生まれた待望の新店!

東横線「学芸大学」駅から線路沿いに歩いてすぐ。

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その小さな佇まいに出会った時、私は思わずにっこり微笑んでしまった。
間口の狭いこぢんまりとした外観は、アンティークな雰囲気ながら
いかにも女性店主の蕎麦屋らしい清潔感と可愛らしさを感じさせた。
わあ いいなあ〜〜〜


店内はカウンターがメインでこれがまたいい雰囲気。

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入り口を入った瞬間、ほわっと何かにつつまれた気がした。
イメージとしては大きな木の内部に入ったかのような
少し暗くてほっこりとやさしい空間。

そこで白シャツ姿の、オシャレカフェの店員さんのような
清楚で可愛らしい女性店主が「いらっしゃいませ」と迎えてくれるのだから
なんだか私それだけで感動してしまいました(≧∇≦)
お蕎麦屋さんには随分行っていますが
こんな方が店主&お蕎麦を打っているとは〜!

しかもこの店主、そのセンスも腕前も素晴らしいのだから
驚くのはまだまだこれから・・

どの辺が素晴らしいかって
まずこちらを見ていただければわかります。

お昼はセットものをやっているのだが
その内容が
「お蕎麦+桜海老のかき揚げ+小鉢2種」
ときている。
もうもうもう、私はこの時点でハートを鷲掴みにされてしまいました。

だってね、小鉢2種がこれなんですよ・・・

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見た瞬間思わずきゃ〜っと歓声をあげてしまった。
気が利いているとしかいいようがないこのセンス!!
右が、見ただけで嬉しくなるおつまみ三種盛りの小皿。
左は、野菜不足になりがちなお蕎麦屋さんにおいて嬉しい
小松菜のおひたし(大好物)。


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「卵焼き」「炒り鶏」「たたきごぼう」
小さいけれどご馳走感のあるおつまみばかり。
一つ一つが美味しくて、素晴らしいおひるごはん!


でもね
だけどね・・・

こーんな小鉢2種が出て来ちゃったら・・

こういうことが、したくなりますよね?(* ̄∇ ̄*)


「蒼空(純米酒)」
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うほほ〜っ
このキュンと小さくまとまったうまみ、
料理にめちゃめちゃ合いまする(≧∇≦)



と大喜びしていたらさらに破壊力のあるものが出て来てしまった・・・
皆様、御覚悟!!

「牡蠣の味噌漬け」
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(>_<)

(>_<)

いや〜これは絶対に大好きだろうと思ってはいましたが・・・
いくらなんだって美味しいにも程があるでしょう−−!!
本当に、こんな美味しいもの作られたら迷惑だと思いたくなるほどの美味しさ。
毎日食べたい!!
これを一口食べた瞬間頭にサイレンのように鳴り響く日本酒コールが凄すぎる。
一口食べておおおッッとなってちびっと日本酒飲んだ時の宇宙ときたら・・はにゃはにゃ・・
私みたいなしょっぼ〜いお酒好き(酒量だけは小鳥)ですらこうなるんだから
普通のお酒好きはどうなっちゃうんでしょうか。


・・・と思って店内を見回すとカウンターには
いかもお酒通、食通らしい男性お一人のお客さんばかりで
やっぱりね〜〜〜
みなさん昼からいいことしていらっしゃるじゃあないですか(≧∇≦)
女性店主の小さなお店でもこんな美味しいものばかり出してたら
好きな人々にはちゃーんと見つかっちゃうんですね〜
開店して日も浅いのにすごい。


ヨーシ小鳥も負けていられませんっ

「大那(中取り大吟醸)」
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おお、これは入り口がぐっとやわらかくあとでふくらむ感じ。
まさに私好みのおさけ♡


「つくねと季節の野菜 炊き合わせ」
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これまた非の打ち所なく美味しい。
さすがは女性店主と言いたくなる大変やさしい味付けで、
家庭的でありながら洗練も感じる一品。
おいしい〜〜
これはメニューに手書きで加えられていたのだが
定番メニューにしてほしい!


「三千盛(本醸造)」
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今日で一番すっきり!
すーっと高く広がる軽やかなうまみ。



「桜えびのかき揚げ」
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見るからに美味しそうだが食べてもその通り。
桜海老も油も香り高くパリッと大変美味しいかき揚げ。
こんな美味しいかき揚げがお昼のセットについてきちゃう嬉しさ。
ランチセットが
「お蕎麦+桜海老のかき揚げ+小鉢2種」
というセンス、やっぱり素晴らしすぎる♡



「もり蕎麦」
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わあ・・・
この姿はまさに「古拙」「仁べえ」石井さん仕込みの極細切り、小山盛り。
しかしもうここは「やっ古」であるから「やっ古山」と名付けよう(≧∇≦)♡


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ふわあーと香る静謐な、そして青さも感じるフレッシュな香りにまずときめく。
素晴らしい!!
極細の平打ち、箸先からこぼれ落ちるラインも糸のように繊細で美しい。
口に含むとその繊細な輪郭線が口中を美しく巡り、
なめらかで密な質感はクリーミーな印象すら受けるほど。
私の大好物である中国の干豆腐を思わせるほど密な肌だ。
その上くにゅんくにゅんと自在なコシがあり、これはまさに「古拙」仕込みの質感だ。

メニューに
「大変伸びやすいのでお早めにお召し上がりください」
とある通りここのお蕎麦はこの繊細さゆえか本当に足が早い。
のんびり食べているとぷにぴたぴたとしてくるので
くっついたりしてこないうちにパパパと食べる。
あーん、こんなに素敵なあなたと
もっと長く一緒に居たいのに切ない・・・♡
茨城・境町の常陸秋そば、十割。


ここは汁がまた大変に美味しい。
甘さの少ないストイックなイメージの出汁ながら見事にまとまっているので
全体には落ち着いたまろやかさ。
これは素晴らしい汁!


「かきのつゆそば(味噌仕立て)」
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器の美しさにもうれしくなる。
柔和で謙虚で、完璧な横顔。


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おほ〜〜〜
こちらは「味噌仕立て」だが
さすが蕎麦汁があれだけ見事なだけあってとびきり上品で澄んだ汁。
その中で感じる牡蠣の旨味が実に貴くおいしい。
熱もののお蕎麦は太い平打ちにしてあるのもとてもいい。




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奥にはテーブル席もありますので
今度はここで女子蕎麦会とかもいいなあ〜〜
みんな〜〜 いつにする?(๑˃̵ᴗ˂̵)



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posted by aya at 15:24 | Comment(2) | TrackBack(0) | 東京の蕎麦>目黒区 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年12月10日

目黒「手打蕎麦 川せみ」


代々木上原と神楽坂の「山せみ」の姉妹店であるこちら。
中では一番新しい神楽坂「山せみ」は今や観光地のように賑わう神楽坂で
街の顔のように目立っているのではやるもうなずける。
しかしこの目黒「川せみ」は便利とは言えない立地だけに
その人気ぶりには毎度驚かされる。

目黒駅から急な行人坂を下りまくり、目黒川を渡る。
駅から近いわけではないが駅近の店にはないほっこりとした落ち着きがあり
美味しいおつまみもお酒も充実しているのにお蕎麦はしっかり手打ち。
飲みたい人もお腹がすいている人も大満足できる「ちょうどよさ」が人気の秘密だろう。
とにかく昼も夜も大賑わいなのだ。

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いつきても混んでいるのだが、ここはとにかくお客さん達の笑顔がいい。
地元の人が多いのか、みんな実に楽しげにくつろいでいる。

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とにかくお酒もおつまみもメニュー豊富。
「煮物」の項目だけで

「鴨汁の揚げ出し豆腐」
「スペアリブの柔らか煮」
「牛すじのシチュー」
「かき冶部煮」
「かきときのこの卵とじ」

などわくわくするものばかり。
その他

「合鴨ロース焼き(塩またはたれ)」
「古白鶏ネギ塩焼き」
「軟骨入り鶏つくねのたれ焼き」
「帆立ときのこのかえしバター焼き」
「鶏チャーシュー」
「だし巻き玉子焼き(出汁または甘口)」
「自家製さつま揚げ」

そして「川せみ名物三浦半島直送の鮮魚」もたくさん!
天ぷらもいろいろ!
その上お蕎麦は2種類もあってどうするんだお腹はひとつだ!

今夜は楽しい集まりでもあり、
早くもすっかり楽しい気分でウキャキャキャ(≧∇≦)

「義侠、純米」
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今年の新酒。
入り口はしっかりだがスパッと切れるすっきり感!
これって新酒だからなの?(たしかに古酒は苦手)
おいしい〜〜(≧∇≦)♡

ここはお酒の品揃えもすごくて私は飲んだことないのもいろいろ(≧∇≦)
「悦凱陣」「伯楽星」「奥播磨」「加茂福」「竹鶴」「武勇」
「花垣膳々」「玉川」「磐城壽」」「白壁屋」
「小左衛門のゆず酒」


日本酒にはやっぱりこれですよねー!

「三浦半島直送 イシダイ」
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魚好き余ってアニサキスアレルギーを発症するほどの私ですから
これは絶対に美味しいのが見てわかる!!
私は残念ながら食べられませんでしたが
新鮮でめちゃめちゃ美味しいと大好評でした〜(≧∇≦)



「かきの冶部煮」
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アニサキスは牡蠣やエビ、貝類などにはつかない(つきづらい)のでOKなのです。
冶部煮のほっこり感はこの季節ならでは。
食べた瞬間「今、冬がきた!!」と思いました(^^)



そしてメニューの「サラダ」の項目で
輝いていたこちら。

「そばクレープ野菜巻」
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生春巻きとか北京ダックとかマキマキもの大好きな私は
こういうのに弱いんです♡
ちなみに生春巻については学生時代に
「3ヶ月連続毎朝朝食にベトナム生春巻をいろいろ試して作ってひとりで食べていた」という
今思うと相当変な黒歴史があります(* ̄∇ ̄*)


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現在は自宅にて「蕎麦パンケーキ」「蕎麦ガレット」研究に勤しんでいる私ゆえ
(学生時代とあまり変わってない(* ̄∇ ̄*))
やはり気になるのはこういう生地感。
こちらのはクレープとしては結構厚めで水分も多い感じ。


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肉味噌?のようなものが結構甘いのと
皮の質感ももちっとしているのでちょっと北京ダック風の味?
マキマキは楽しいなあ〜♡


「そばがき」
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「川せみ」の「そばがき」はクラシックなコロコロお湯入りスタイル。
この小さい塊がいくつもお湯に浸ったスタイルがクラシックということもないのだが
最近はお湯に浸っていない一個のまあるいそばがきが
ぽこんと鉢盛りになったのが圧倒的に多いように思うので
(大きいの一つのほうが手間は省けるし
お湯に浸ってない方が香りやすそうですもんね)
このタイプはなんとなく古典的なイメージに感じるのだ。


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お湯の中でさらに柔らかそうに見える素朴でな肌。
香りはごく淡く、みつばの香りが華やか。
なぜか入っていないはずの柚子も香る気がするのだがそれは蕎麦犬現象かもしれない。
(私は蕎麦が出てくると香りを感じたいあまり嗅覚が本当に100倍くらいになって
突然店中の香りが鼻腔に入ってくるのです(* ̄∇ ̄*))
食感はもっちりややネトッ、すこし粉感も感じる。
これから冷たいお蕎麦を食べる前にあったまるなあ〜


この「川せみ」や代々木上原と神楽坂の「山せみ」のうれしいのは
「二色せいろ」があるところ!
これだけおつまみが充実しているとやっぱりお蕎麦まるまる2枚は大変なので
ありがたい限りだ。


まずやってきたのはこちら。

「田舎せいろ」
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がっつり黒い太打ち、これぞ田舎な「田舎せいろ」。

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むぅぅ〜と低く渋く香る外皮の香ばしさ。
味わいも濃く甘みはほどよく、まっすぐ硬派な感じの味の濃い田舎蕎麦。
これはおいしい〜〜
食感は固めでしっかり噛む蕎麦だが極太ではないので食べやすい。


「せいろ」
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こちらは対照的に細打ちの明るい肌。
「田舎せいろ」との対比が鮮やかだったので
食べかけなのに登場させちゃいました(^^;;)


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キンッと思い切り冷たくしめられた肌。
冷気をたどり香りを寄せたがほぼ感じられないほど淡い。
「これはきっと・・」と思いしばらく待ってみると端正な香りが漂ってきた〜(≧∇≦)
その上噛みしめると大変かぐわしい、これまた端正な香気が口中に生まれる。
箸先でよせる香りはやはり淡いのだが食べて広がり続ける味と香りがとてもいい。
食感はスルスルと軽くやさしく、ほどよいコシ。

「山せみ」もそうだが店内には「本日の打ち手」という表示が大きく掲げられていて
今日蕎麦を打った人の氏名が書いてある。
個人経営の店とは違い「山せみ」「川せみ」のような大きな店になると
打ち手もひとりではないのだ。

蕎麦汁がまたなんとも美味しい。
私の好みよりは鰹も甘みもやや強めなのだが
まろやかで自然なまとまりが素晴らしい。

私にとっては蕎麦湯がお酒で蕎麦汁は最高のおつまみ。
蕎麦湯をそのままゴクリ、蕎麦汁チロリの極楽浄土。


「帰り道蕎麦湯湯たんぽ腹の中」









posted by aya at 00:20 | Comment(0) | TrackBack(0) | 東京の蕎麦>目黒区 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年04月23日

祐天寺「卯月」


駒沢通り沿いの涼し気な外観。

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祐天寺には私のお気に入りの素敵なお蕎麦屋さんもあるのだが
こちらはクールな外見に似あわず「気楽〜なほうのお蕎麦屋さん」。

気楽なお蕎麦屋さんというのはある意味無敵である。
予約しなくても、どんな格好していても、疲れている時でも
何人かで突然たぐりたい衝動に駆られても、
気ままにヒョイッと行ってのんびりできる。

しかも気楽なだけの蕎麦屋さんならいっぱいあるが
ここのすごいところはそんなのんびり出来る雰囲気でありながら
いつ行っても「二八そば」「生粉打ちそば」「田舎そば」
三種類もお蕎麦を打ってくれているということ!

これはやっぱりたまらない魅力ですよね〜(≧∇≦)

しかも個人的には三種類の中に「さらしな」とか「変わり」じゃなくて
「生粉打ち」と「田舎」があるというところが嬉しすぎる・・・!!



ゆったり居心地のいい店内。

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奥の席では地元のおば(あ)ちゃんグループが2組、
女子会ランチのあとおしゃべりを楽しんでいる。
土地柄か上品な雰囲気で、実にいい眺めだ。

ついでにここは女性スタッフの年齢層も高めで
そこもなんとものんびりとした感じでとてもいい。


向こうの席の近所の人らしい若い男性はスマホを見ながら
・・ん?あのやたら豪華なのは何を食べているんだろう?


これだー

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「なごみ膳」
黒豆入り玄米ご飯に野菜天ぷら6品、ミニせいろつき。
いいですね〜


しかもここはおつまみもいろいろ楽しいのです♡

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あの酒肴五彩って素晴らしい〜
私が一人でも飲めるくらい量が飲めたらゼッタイあれ頼む!
(酒量だけは小鳥なので一人でオーダーは無理(^^;;))


以前夜友達と来たときはお酒もいろいろ頼んで
楽しかったな〜

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一応いろいろメニューは見たが、
でも今日みたいにひとりで来る時は
もう頼むものは決まっちゃっているのであります!
いつも同じワガママなお願いで申し訳ないのですが・・・

何がワガママかというと、ここは非常に悩ましいメニュー設定になっておりまして。

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真ん中当たりに書いてある「合もり」が
「二八・田舎」
「二八・生粉」
「田舎・生粉」
となっておりまして、見つめるほどに悩ましく胸苦しくなってくるわけです。
2種類のお蕎麦をちょっとずつ食べたい人には大変ありがたいのですが
どーしても3種類とも食べたい私には切な過ぎて煩悩がぐるぐる・・・


というわけで、こんなお願いをしてしまうわけであります!

じゃーーん

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わーい ありがとうございます〜〜〜〜\(^o^)/
お値段も2種の1.5倍なので量も1.5倍になっていると思うのだが
3枚食べなくても3種類食べられるのはほんとーうにありがたい!



「二八そば」
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ふわぁ〜と爽やかな蕎麦の香りと
じんわり深い小麦の甘み。
ぷるんっくちゅんっと弾むような強靭なコシがあり
しっかり噛んでも噛み切らせないが決して固くはなく印象はやわらかだ。



「生粉打ちそば」
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こちらは平打ち。
最初は香りも淡くおとなしい印象だったが
だんだん滋味深い味わいが感じられてきて嬉しい。




「田舎そば」
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濃厚に香る、黒い甘皮のかぐわしさ。
土のようなサビのような、と言うと例えはあまりよろしくないが(いつものことながら(^^;;))
渋くて深いすばらしいかぐわしさだ。
口に含むとみずみずしく、ムチッぷるっとした舌触り。
肌はざらついているが繊細な平打ちのため印象は端正で
甘さはスッキリ、黒く深い味わいが濃厚で
美味しいなあ〜



蕎麦後のお楽しみタイム。

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私にとっては「蕎麦はお酒で蕎麦汁はおつまみ」なので
蕎麦湯をゴクリ、汁をチロリ。
鰹も甘さもしっかりな、老若男女に愛されそうな汁だ。



卯月の後は駅に直帰せず寄り道を♡
素晴らしいカフェです。
激しくオススメ致します〜(≧∇≦)

カフェ キャラウェイ
http://ayakotakato.seesaa.net/article/431557624.html



<おまけ>
私祐天寺駅の東急ストアが結構好きなのですが・・
この「トマトビュッフェ」ってすごくないですかー!?

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トマト大好きなので感激して写真とっちゃった(≧∇≦)/



posted by aya at 08:02 | Comment(0) | TrackBack(0) | 東京の蕎麦>目黒区 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年10月31日

祐天寺「「蕎や 月心」


駅からはちょっと歩くが
その先にはこんな入り口が待っている。

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心をぽっと照らしてくれるようなあかり。


暖簾をくぐり、扉を開けるとそこは「月心」の世界。

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私はいつも、この店に入っただけでとても嬉しい気持ちになる。
こぢんまりとした店内はほっこりとあたたかく可愛らしい雰囲気で
ああ素敵なところに来たなあーとわくわくする。
私にとっては駅から遠いことが嬉しくなるくらい
「こっそり、素敵な小さな世界」なのだ。

私自身も嬉しいが
ここに人をお連れすると必ずたいへん喜んでもらえる。
素敵な空間、美味しいもの、美味しいお蕎麦。
いつも本当に楽しいひとときを過ごすことができ、
私は何もしていないのにとても感謝されてしまう。
そうそう、拙著「蕎麦こい日記」の出版記念&打ち上げをしたのも
ここだった。


「お通し」
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お店は可愛らしいがこんなところはバシッと古典的。
王道の蕎麦味噌。



「なす田舎煮」
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じんわり出汁の味がしみ、程よく油分の効いた美味しい茄子。
しみじみ、美味しい。大好き。


「鴨ハツしょうが煮」
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シンプルなようで家ではなかなか作らないメニュー。
これを定番メニューにするアイディアそのものが素晴らしい。
味もとてもよく、大事に大事にひとつずつ食べる喜び。


「そばがき」
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「月心」のそばがきは薬味リッチ♪
しかもなんとも古典的で洒落た演出だ。
焼き海苔は立派な塗の木箱入り。
その他、ねぎ、山葵、辛味大根、造り正油、天然粗塩など。

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大鉢の中の温泉で、気持ちよくあったまってやってきた
ほかほかそばがきさん。
見た目はのんびり風だが箸先にぽてっと取ったその香りに目がさめる。
石のような、静謐なかぐわしさ。
微粉のなめらかな肌を口に含むと
ふっくらぽわんとした食感がたまらないー!
思わず子供のように「ぽわん♪」「・・ぽわん♪」と何度も声に出してしまう。
素晴らしい舌触り。
ふっくらぽわんのなかからこぼれるかぐわしさに恍惚・・


「細挽せいろ」
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姿も味も、ネーミングまでも美しい「月心」の「細挽(ほそびき)せいろ」。
白木に縁取られた、神殿のごとき清らかな眺め。

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「細挽」との名前なれどこれもかなりの粗挽き、ときめきの肌!!
最初の香りは思いの外ごく淡かったが
どうもかなり冷たくしっかりしめられていたので
早く食べたい気持ちに必死でブレーキをかけつつ
一生懸命ゆっくり食べる・・そのうちにたまらぬ香りが溢れ出してきた〜!

食感も最初はしっかりはっきり流麗な感じだったが
食べ進むうちに優しく繊細なコシがあらわれてきてうっとり感激。
さらにそこからふわーーっと
なんともバランスのよい、馥郁たるかぐわしさが現れてきた・・・
その香りが最終的に脳にはっきりと届いた瞬間、私の脳が「茨城だ!」とつぶやいた。
あとで茨城、筑西の蕎麦と知りなんだかとても嬉しい。



「玄挽田舎蕎麦」
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ぐほほほっっっ
もう〜〜何度出会っても嬉しすぎるこの眺め!!
そしてこの「玄挽田舎蕎麦」ってネーミングも本当に好きだなあ〜
「細挽きせいろ」と全然ちがうネーミングだけど
両方それぞれに詩のように、好きな人の名前のように私の心に響く。


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これまた最初は香りさっぱりめ。
たくましく弾けるようなくっきりした固めの食感。
そのうちになんともふっくら優しい肌の中に「細かい粗挽き感」が感じられるようになり、
口中をなでる繊細でやさしいジャリジャリな刺激がたまらなくなってきたーー!
香りはどんどんどんどん濃くなり
たくましく黒く渋い香りに私ごと頭から吸い込まれるよう。
ああああああ もうダメです・・・ しあわせすぎる・・・



こんな素敵なお店であるから、駅から遠い暗闇の中にあるというのに
この夜もお客さんが次々と入ってきてあっという間に満員。

しかし私はあまりの居心地の良さにのんびりしすぎて
ほぼ一番乗りで入店したというのにほぼビリになってしまった。
実は「長陽福娘 純米ひやおろし」もちょこっと舐めちゃったしね〜


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静かな店内。
ここについ先程まで流れていた和やかな、楽しげな賑わいのひとときを思い起こす。
今夜の「月心」の世界に、身をゆだねる。


帰り際に挨拶した店主夫妻の素朴な笑顔。



この気持のまま、駅まで歩きたいのだ。



「蕎麦喰って月追いかけて暮の秋」彩子







2010年12月「蕎や 月心」
2010年01月「蕎や 月心」(「蕎麦こい日記」打ち上げ)



posted by aya at 07:49 | Comment(7) | TrackBack(0) | 東京の蕎麦>目黒区 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年02月02日

目黒「手打そば 小菅」


目黒駅から徒歩2分という便利さ。

坂を下れば右側に「手打そば 小菅」の看板が現われる。 
私にとっては見慣れに見慣れた、懐かしさすら感じる看板なのだが
あれれ、しばらく来ないうちにテレビモニターつき電光看板が設えられている。

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確かに他の店々の派手な看板がまぶしく連なる中では
今までの「手打そば 小菅」のシンプルな看板だけでは
目立たなすぎたかもしれない。
(私にはどんな蕎麦屋の看板も目立って仕方ないが)


店は地下にある。

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今夜はカウンターに常連さんらしいお客さんが一人。
座敷では今宴会が始まったところのようだ。
大学の研究室か何かの集まりらしい。

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「汲み上げ豆腐」
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汲み上げゆば、ではなく豆腐というところが珍しい。
たしかにゆばのような膜の感じはなく
クリーミーなおぼろ豆腐のような感じで濃厚とろとろフワンフワン!!

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またここのつゆが本当によく合っているではないですか。
おいしい〜コレすごく好き〜〜〜



「田舎大根」
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写真では伝わりにくいかと思うが
この器も大根もびっくりするほどの大きさなのだ。
聖護院大根なのか、食べると見た目以上にやわらかく
口の中でとろけるよう。
(私には)甘みのある味付けだがやさしくてとてもおいしい。
一緒に煮込まれたぽろぽろの鶏肉もうれしい。


「せいろ」
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横長のせいろの中の端整な姿。
箱の中に「ビシッと控えている」といった印象だ。


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あいかわず美しい「手打そば 小菅」の蕎麦。
強い主張のない、なんとも穏やかな印象の蕎麦だが
久々に一口食べて私は軽い衝撃を受けた。

機械打ちつるんつるんの蕎麦などは端から端までおんなじで
「食欲に任せてできるだけいっぱい頬張っちゃえ!」
といった気軽さがあるが(それはそれで楽しい)、
この蕎麦はそういう蕎麦の対極にあると言っていい。
控えめで、穏やかながら本物の輝きがあり、
それが自然と伝わってきて大切に味わいたくなる。

箸先で寄せた香りはごく淡く、
口に含むと見た目以上につるつるとしてみずみずしい。
それを噛みしめると突如口中に蕎麦の香りがワッとはじけ
舌の上に穏やかな味わいがジワーとひろがっていく。
澄んだ香りと味わい。美しいコシ。
私はひとくち蕎麦を食べただけなのに
これら全部がまるで目にみえるように感じられて驚いた。
なんておいしい蕎麦なんだろう!



座敷の宴会はまさにたけなわ、笑い声が楽しそうだ。
テーブル席には何組かのお客さんが訪れては入れ替わり、
最初からいるカウンターのおじさんは
そろそろいい気分で眠ってしまいそう。


店内のほぼ中央に座った私は
黙々と厨房で働く店主の姿と
感じの良い奥さんが店内を丁寧に接客してまわる様子を眺めている。

時間は意味もなく心地よく伸びていく。


この店に初めて来た頃の自分と今夜の自分。

時間というものがこの店の外にあるような
おかしな感覚に襲われる。



さて、わたしもそろそろ立ち上がろうかな。







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2012年12月27日

学芸大学「尚古庵」


フレンチのコース料理の最後に手打ち蕎麦が出てくる面白い店がある。
しかもどちらも美味しい!


学芸大学駅から徒歩3分。
以前「夢呆」があった場所からすぐの場所にある、小さな入口。

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訪れた日はクリスマス間近だったため一層わくわく、いい雰囲気。

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小さな店内はカウンターもテーブル席もお客さんでいっぱいで
どの席も笑顔にあふれている。

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間接照明がムードを高める洋のインテリアの中に
アンティークの茶箪笥など和のテイストがあしらわれている。
しかし気取った感じではなく、
全体にあたたかみがあるのがとてもいい。



厨房からは牛肉を煮込んだような良い香りがして
隣の女性二人は白ワインと鯛のポワレを楽しんでいる。
そしてテーブルにセットされている「カトラリー」はこれ!
面白ーい(^^)

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アラカルトのメニューが楽しくてさんざん迷ったが
コースメニューがこれまた全部美味しそうだったので
今夜はコースでいくことに。

前菜の盛り合わせ
本日のスープ
鯛・海老・牡蠣のポワレとそばの実のリゾット サフラン風味
和牛または骨付子羊のステーキと温野菜
手打そば
デザート
コーヒーまたは紅茶


唐突な「手打そば」が面白いでしょう〜〜〜?

しかも内容が、これですから!


「前菜の盛り合わせ」
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わぁ〜っと楽しい気分になる円形の盛り付け。
「12時」から時計回りに、
キノコのオムレツ、スモークサーモン、玉ねぎのパイ、海老とオリーブ、
鴨スモークとオレンジ、テリーヌ、真ん中が生ハム。
バターたっぷりフレンチより和食やイタリアンが得意な私には
余計嬉しいアレンジだ。
特にキノコのオムレツは一見和風のだし巻き卵のようで
フレンチのキノコのスープのような美味しさが中から飛び出す。
おいしい〜


本日のスープは
「クラムチャウダー」
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クラムの生臭さは殆どなく、じゃがいもごろごろ、
とろーっとなめらかクリーミーでおいしいクラムチャウダー。
子供も大人も大好きな味だ。



次は
「鯛・海老・牡蠣のポワレとそばの実のリゾット サフラン風味」

白ワインとフランスパンとオリーブオイルとそばの実のリゾット。
各国のいいとこ取りでしあわせだなあ〜
オリーブオイルもとても香りの良いものだ。

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しかし、実は唯一と言っていいほど苦手な食材がサフランである私。
本来「サフラン風味」であるところをお願いして
サフランを使わないアレンジにしてもらった。
厨房は多忙を極めているしそんな中我侭な注文をしたので
少々心配だったのだが・・


「鯛・海老・牡蠣のポワレとそばの実のリゾット サフラン風味」
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これが激烈に美味しいいぃぃぃ〜〜〜(>_<)
鯛も海老もふっくらと美味しいが牡蠣の美味しさは時間を止めたくなったほど。
そしてそばの実リゾットがまた最高。
白ワインの風味と胡椒とほのかなバターの香り、
とにかくバランスが素晴らしく、ゆっくり食べたいのに美味しくてどんどん食べてしまう。
一番混んでいる時間の即興アレンジだというのに
なんとなんとおいしいのでしょう。
私以外の人にとってのサフラン風味は、これより更に美味しいと推察されます。




メインは和牛と子羊から選べます。
私はもちろん羊で!わーい!

「骨付子羊のステーキと温野菜」
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まず、この野菜の美味しさはなんでしょう。
ポテトのシンプルなキッシュも芽キャベツも
素材の美味しさがきちんと感じられる「料理しすぎていない美味しさ」。
メインの子羊は思った以上にボリューム満点で
子羊だけに臭みもなく食べやすい。
香りの強いマトン系の方が好みの私には子羊は退屈なことが多いのだが
赤ワインのソースが美味しくてとてもおいしく完食。

「柿の描絵」の和皿とのコンビネーションが素晴らしいなと思っていたら
なんと「尚古庵(しょうこあん)」の前身は
ずいぶん昔に別の地にあったという「尚古堂(しょうこどう)」という骨董店であった。
店内には「尚古堂」時代の古い看板も。





そして世界は一変する。


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セーヌ川端にいきなり現れた武士のような。

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店内中にこれだけおいしいご馳走の香りが満ちていては
蕎麦の香りが感じられないのではと心配した杞憂だった。
まさに武士にような渋いイメージの、けむるようなストイックな蕎麦の香りが
フーーッッとおだやかに、笊の周りの空気を染めている。
口中でほどける蕎麦束のくっきりとした輪郭線がここちよく、
決して硬さはないのだが噛みしめるとややのびるような強靭なコシがある。
華やかで賑やかな美味しいご馳走のあと
このひんやりと美しい穀物で口中を清める幸福感。
心まで洗われていくかのようだ

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さっきまで「子羊のステーキ」を食べていたとは思えないこの眺め。


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つゆは舌に乗せてみて、ちょっと個性的かな?と思っていたのだが
「もしや、これはきっと」と蕎麦湯に入れてみてその美味しさに驚く。
フレンチのシェフだけにスープ名人なのでしょうか。



食後のデザート。
果物とバニラアイスと小さなケーキ。

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ざくろの赤い粒がかわいくて、しかもおいしい!


どのプレートにも「尚古庵」ならではの世界があり
その少し抑制のきいた、誰も美味しいと感じるような調和にすっかり魅了される。
おいしいお店だなあ。


先程までグループのお客さんで満席だったカウンターでは
常連さんらしいカップル客がアラカルトメニューとワインを楽しんでいる。

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余計な愛想は振りまかないが自然なマダムの接客も居心地がいい。
なにか聞くと小さな笑顔でそっと教えてくれる。


私には、最後のコーヒーが美味しいことも
とても大切だ。

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(わーい、と一口飲んじゃってから撮影。たっぷりでうれしかった!)



ちなみにこれだけ楽しんで、コース5300円。


うーん、楽しいお店だなあ〜
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2012年11月22日

不動前「手打そば・うどん あざみ」


今日は勢い込んで「おいしいお蕎麦たべるぞぉー!」と出かけたお店が、
なんと臨時休業!?

・・いやいやチガッタ・・私が定休日を間違えていたのでした・・(>_<)

ってなわけで急遽予定変更。
今夜はここで気楽にやりましょう〜

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目黒線「不動前」駅前と言っていい立地。

メニューの立て看板やお酒のディスプレイなど
外観からしてこの賑やかさだ。

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豚のみそ焼き定食、アジフライ定食などのセットものから
ポテトチーズ、豚肉あぶりサラダなどの居酒屋メニューまで何でもあり。

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お酒もおいしそうなのが沢山あります。

メニューの見本ディスプレイは日本が誇る楽しい文化。
こうして写真に撮るとミニチュアのようで可愛らしいものだ。

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店内は地元のグループや家族連れで混み合い大変な活気である。
野球中継の賑やかな音、
外国人らしい若い女性店員さんたちの甲斐甲斐しい声、
地元ネタ話で楽しげに盛り上がるオジサマグループの笑い声・・

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壁に掲げられたおすすめメニュー。
さあ何を食べようかなー!

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「刺身盛り合わせ」
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なんとな〜く鮪がべちゃっとして見えるのだが鮪が一番美味しかった。
人は見かけによらないな(^^)


「秋刀魚刺」
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大好物の秋刀魚刺。
美味しいなあ〜〜〜〜



「浦霞」
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うはは 
このストレートな眺め、潔い美しさ!


「馬刺し」
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「カキフライ」
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ぶ厚い衣がバリッ!カリッ!と食べ応えあるカキフライ。
ボリューム満点!


とその時、店内中に響き渡る歓声が。
誰だかが打ったらしい。

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今まで話し込んでいたおじさんもスポーツ新聞読んでいたおじさんも
口いっぱいに何か頬張っているおじさんも、皆一様にテレビに見入り
口々に何かを叫び、違うテーブル同士の人がまるで友達のようにしゃべり合っている。

いいですねえ、この一体感、地元感!



野球には疎い私も俄然盛り上がってまいりまして、いよいよお蕎麦であります。
しかしここ「あざみ」では決して、
「もり」だけ頼んで汁もつけずに蕎麦だけ味わう、なんて無粋なマネは致しません。


「鳥せいろ」
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どっかーん
800円の鳥せいろがこの量だもんね。

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一応表の看板には「手打」とあるのだが
私には手打ちらしい要素は感じられず・・手打ち機械切りなのかな?
(しかもなぜかかなりの熟成系)
でもここでは、そんなことはどうでもいいのだ!

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この鳥せいろの汁が美味しい。
よくある煮詰めたような濃さがなく、意外にもすっきり上品な味わい。
あんなにあったお蕎麦があっという間になくなってしまった。


ここではこれもおすすめ。

「かき揚げせいろ」
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大きい!凄いバリバリ!!
これもすぐお蕎麦がなくなっちゃいますね〜〜


真ん中のテーブルでは地元グループのオジサマ達が
沿線の居酒屋ネタも尽きてシメのお蕎麦を注文しようとしている。
皆が素直にお蕎麦を注文する中、
どうしてもお茶漬けが食べたいと駄々こねるジャンパー姿のオジサマが(^^;;)

一生懸命日本語を操る愛想の良い店員さんは少し困って、
それでも何とかしてやりたいと厨房に訊きに行く。

・・・だめですよね。そんなの、お蕎麦屋さんでムリですよね。
ジャンパーのオジサマは「え〜?だめなのぉ〜?困ったなア〜」とニヤニヤ困り、
「じゃあねえ、生卵ちょうだい!それとご飯!できるでしょ?オレ卵かけご飯食いたい」
とまた大胆な要求を。

お店の方もオジサマの押しの強さに負けたのか、何とそのオーダーは通っちゃったのだが
その後もなんとなく気になってそのオジサマの食べ方を見ていた私。

お?自分の前にキープしてあった何かを、生卵かけごはんに投入している・・・

塩辛だ!
なんとそりゃ美味しそうじゃないですかぁ〜〜〜
今度是非やってみなくっちゃ。

さすがは年の功、さすがは酔っぱらい。
美味しいものを知っているなあ〜
とジャンパーおじさんをちょっと尊敬?してしまった夜であった。



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2012年03月01日

中目黒「驀仙坊」


ここのところブログが書けず
生きているのかとご心配までいただきすみません・・・

実はちょいと準備していることがありまして
なかなか忙しいのであります。


そんな合間にも
打ち合わせを兼ねて

ウキャ(≧∇≦)

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ひろびろと、四角いシンプルな空間。
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仕切りもない、座敷もない。
蕎麦を食べるための部屋、といった風で
ありそうでなかなかない雰囲気なのだ。
私はこの部屋が好きだ。

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そいでもって

「金鶴 本醸造」
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およっ
打ち合わせ・・ですよね?
おいしいー

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「季節野菜の白和え」
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しらあえ だいすき。
特にここのは甘え控えめでいい。


「氷下魚の生干し」
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これがおいしい!
生干しの「やわらかい固さ」。
その中にぎゅううううううと詰まった旨み。
ご一緒のお二人も
「コマイなんて馬鹿にしてたけどこんなにうまかったかねー!」
と感心しきり。

てなわけで

「白岳仙 純米吟醸」
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ここでちょっと席を外した私。
戻ってきたら

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うわあ!
いきなりのご対面です。
しかも「どうせつけないんだから」と
「せいろ(汁なし)」頼まれちゃったし。
いーんです、いーんですよ。
そのかわり、蕎麦湯の時にちょっと私にも汁分けてくださいね。
(と言って撮影用に汁を奪う)

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はああ
たちのぼる、香ばしさ。
黒くて澄んだ深い香ばしさに全身が染まる。
口に含むと強靭なコシとツルリ粋な舌触り。
おいしい・・あなたはなんておいしいのでしょう・・

お向かいのお二人を忘れ捨て、
蕎麦と二人の世界に入ってしまった私に

「そんなに蕎麦好きなんだねーえ もう一枚食べれば?」

えっ

とつい嬉しそうな顔をしてしまい

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アハッ(≧∇≦)

もういちまい。

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しあわせー♪




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2011年04月05日

目黒「いいかげん」(流れ着きたい、いいかげん)


昨日の2軒め。
  
春風ふわら ふ〜らふら
やれ たのしや はしご蕎麦〜♪

と浮かれていたら、暗闇の先、たどり着いた店は「満員御礼」。

がぁーーーーーーん!!!

・・・いやいや、喜ばしいことではないか。
小さな店はお客さんがぎゅううとひしめき大賑わい。
窓際のお客さんが食べていたせいろそば、美味しそうだったなあ〜
(思わずじぃーと見過ぎて私、怖かったかなあ〜(^_^;))

また来ます、と笑顔でのれんを出て
今来た夜道をまた引き返す。

いいもーん、だいじょうぶだもーん、
とつぶやいてみても、どうも春風は先程までほどやわらかくない。
お蕎麦屋さんにフラレるのは慣れているとは言え
フラレ夜道はちょと寂しい。


そんな時、浮かぶのだ。
あの場所が。あの店主が。
流れ着きたくなる場所、「いいかげん」。


というわけで来ちゃった!!

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目黒駅前の不思議なビル。
こんなに沢山の飲食店が入っていて
こんな派手なネオンサインがある「駅前の」ビルなのに
「駅前にそんなビル、あったっけ?」と言われてしまうほど目立たない。
左下の白い看板「いいかげん」、見えました?

ホイホイ浮かれて地下に降り・・

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暖簾の隙間から恐る恐る中を除くと
よかった!
今日はそんなに混んでいない。


(今日は携帯カメラしかなかったため撮影音が申し訳なくて
 身を縮め、店内の音のタイミングを見計らって1回撮り!)
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こちらでははじめて頼むかも?「豆腐」。

ぎっしりと密度の濃い、素朴な木綿豆腐に
3つのトッピング。

この、ひとつひとつがですね〜〜〜
もう、参っちゃうんでありますよ。
さすがとしか言いようのない「いいかげん」の心憎さ。
左は王道、鰹節とネギ。
右は、ザーサイと縮緬雑魚を和えたような?とても美味しい。
そして真ん中!
明太子かと思って食べたら「うわーナニコレ!!」。
あまりの美味しさに思わず聞いたら、相変わらずのんびりと店主、
「ああそれは、たらこと”食べるラー油”を和えただけ・・」。

降参。
目にも舌にも100%美味しいこの一皿。
その簡単なアイディアにも、
何事も全く気負わず、のんびり自然な店主の姿にも。

私のようにまだ青い、脆い、あやうい存在が
「流れ付いてやすらぎたい」なんて思ってしまう、
大きな木のような小さな店なのだ。




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お蕎麦は、なんと今日は太打ちもあるとのことで
細打ちと太打ちを一緒に盛ってもらえた。


細打ちは、「いいかげん」らしい、やさしい粗挽き。
粗挽き加減は相当ワイルドだし、コシもしっかりとあるのに
何とも言えずやさしさのある食感なのだ。
今日のはいつもより香りも味も淡く感じたが、
その優しい野生味にすっかり酔わされる。

太打ちが美味しい!
見た目からかなりの歯ごたえを覚悟したが、
口に含めばこれもまた。
見た目から予想した口の中で暴れるような太打ちではなく
歯ごたえはしっかりなのだが、どこかやさしく、のんびりと食べられる太打ち。
噛みしめる度に野趣あふれる香りと甘みが増していくのだから
いつまでも噛んでいたくなる。


「ごちそうさま」
「またぜひどうぞ」


私は、ここに流れつきたかったのだ。




2010年4月の「いいかげん」




*高遠彩子4月〜5月のライブ出演予定*



posted by aya at 08:06 | Comment(0) | TrackBack(0) | 東京の蕎麦>目黒区 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年03月09日

自由が丘「蕎麦 衾」


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ドーーーン!

何とも度肝を抜く店構えである。


自由が丘の閑静な住宅街。
駅から(迷わなければ)徒歩10分とは言え
住人以外はほとんど通りかからないエリアだ。

こんな場所にこれほどの偉容を誇る、純日本家屋の店舗。
蕎麦屋としては驚くべき存在である。


店名の「衾(ふすま)」はこのあたりの旧地名だそうで
そういうものを大切にする気持ちはありがたい。
なくなっていくものは、まもらなければ、なくなってしまう。
(武蔵村山市のディープ居酒屋「くぼがた」も旧地名(^^))



中に入ってみれば、なるほど。
ここは全くの民家を改造した店であるのがわかる。

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和室の縁側部分の席に通されると
初めて来た場所なのに不思議と懐かしい気持ちにさせられる。
母のアルバムの中にある家に似ているのかもしれない。

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お通しとして運ばれてきた「蕎麦味噌」。

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「あい焼き」。

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さっぱりと焼き上げられているからこそ脂がおいしい。




「ほたるいか酢味噌」

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ほたるいかは大好物!
(このほたるいかさんは後に大活躍〜)




そして「自家製」という、蕎麦。

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手打ちの風情がないのは残念とはいえ、
むわぁ〜と濃厚な、蕎麦の香りが漂っている。
乾麺ぽいといえばそんな風味なのだが、
たまに出会う「無味無香の手打ち蕎麦」より私には楽しい。




私がおおいに気に入ってしまったのは、ここの「とろろ山掛け」。

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(器もすき。蔓植物描絵に弱いのだ)

この「とろろ山掛け」、おつまみのメニューから選んだのだが
感じの良いスタッフの女性が「お蕎麦の時に持ってきましょうか?」
と気を利かせてくれた。

蕎麦時、汁またはプラスαが必要になるかもしれぬ・・・
と予感していた私には渡りに船。
是非そのタイミングでと頼んだのが大正解。

千葉産というこのとろろ、
ものすごい粘りとふっくらした味わいで素晴らしく美味しい!

これにね、汁入れてグルグル混ぜて
そこにお蕎麦をたっぷり入れてズルズルっと食べれば、
そりゃーもう、おいしいーーー♪
(しかも告白すれば,私はそこにほたるいかも投入したのだった。
 そんなもん美味しいに決まっているではないか!)





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窓から見える庭はさりげなくライトアップされ、
見事な松が見栄を切っている。
松好きにはたまらぬ贅沢。
何事もノリのいい私は、すっかり金沢にでも旅行に来たような気分だ。




「暗闇坂宮下」の系列というこの蕎麦屋。

これだけの店舗で、もしこれが料亭であれば
なかなか敷居が高いものになってしまうだろう。

しかしここなら、せいろ800円という親しみやすさ。
これで蕎麦が手打ちであってくれたならという思いは拭えないが、
自由が丘に遊びに来た人が喧騒を離れ
ここで庭を眺めつつランチでもしたら
さぞや贅沢な気分になれるだろう。


そういう意味で、価値の高い蕎麦屋なのだ。







*高遠彩子3月〜5月のライブ出演予定*



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2011年01月31日

祐天寺「手打ち蕎麦 大むら」


実は「祐天寺」は、東急東横線の沿線でも屈指の蕎麦エリアである。

このブログでも何度か紹介している名店、「蕎や 月心」をはじめ、
「手打 祐天寺 卯月」も蕎麦を3種類打っていて楽しいし、
駅の反対側にはこの「手打ち蕎麦 大むら」がある。

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駅からのゆるやかな坂を、のんびりと下っても5分とかからない。
茶店を思わせるような外観は
蕎麦屋としてはありそうでなかなかない、趣のある佇まいである。

温かな接客は家族経営ならでは。
それでいて実に自然な、程よい洗練の時間が流れているところがこの店の非凡さだ。

昼間はカフェのように使う若いカップルあり、
近所の人の憩いの場でもあり。
如何に地元に愛されているかは通ううちよく伝わってくる。



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二八の蕎麦は、粉の風味と甘さがしっかり。
のんびりおおらかな、美味しい蕎麦だ。


しばらく十割がお休みだったけど、復活しているといいな〜




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2010年12月15日

祐天寺「蕎や 月心」


駅からはすこしばかり歩くが
是非とも歩いていただきたい。

その先に灯る小さなあかり。

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「蕎や 月心(つきごころ)」。
小さな入口の奥に、私の大好きな時間がある。



拙著「蕎麦こい日記」編集打ち上げ蕎麦会の時もこのブログでご紹介したが
あの時は「是非、月心で!」と私が熱烈セレクトしたのだ。

蕎麦ネタ漬けの日々のせいで「蕎麦ボルテージ」が
最高潮に達した編集スタッフの皆様。
責任とって絶対に美味しいお店にお連れしなくては、
ということで選んだのだが、
あの時はたのしかったなー

皆さん口々に「こんなお店があるんですねええ!!」
と感激して下さり、もう私まで嬉しくって大ニヤニヤ。



あの日も大人気だった「辛味鳥」。
大好物なので、やっぱり今日も一番に頼んでしまう。

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地鶏美桜鳥のささみと辛味大根を和えたものなのだが
ささみの生感といい味付けといい、実にすばらしい。
そこにおろしというのがありそうでない組み合わせだ。
さっぱりしているのに、
鮮魚の刺身をつまんでいるような「ご馳走」の存在感。
凝った料理より素材を味わうのが好きな私にとっては
最高に美味しい鶏肉の食べ方と言っても過言ではない。



今日はじめて頼んでみた
「鴨ハツの塩焼」。

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オヤジな食べ物が好きではあるが美的な趣味は女子な私、
まずこの「見せ方」のセンスに嬉しくなる。
洗練の塩味、ガツンとおいしい大人のつまみ。
私が本物のオヤジならここまでで2合はいってしまうだろう。 うーん、月心さん、さすがです〜


そして、「牡蠣のみぞれ煮」。

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外が寒かったせいもある。
お腹がすいていたせいもある。

ただ単に大根おろしと牡蠣が大好物ということもある。

理由はどうあれとにかく私は今回これがべらぼうに気に入った。
「全てのお蕎麦屋さんにこれがほしい!!」
と訴えながら(?)食べた、全身に染み渡る素材の旨み、あたたかさ。

吹雪だろうが氷点下だろうが、かたくなにせいろしか食べない大馬鹿者の私、
こんなに大好きなものづくしで体をあたためてもらえると、
かたじけなくて男泣きしそうである(文章はイメージです)。
こんなふうにすっきりと、季節の喜びを堪能させてくれるごちそうスープはなかなかない。


蕎麦。
「蕎や 月心」の蕎麦はそのネイミングからしてしびれる。
まずは「玄挽田舎」から。


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細切りの黒い蕎麦は
ずっしりとした存在感を誇るかのように小山盛りでやって来た。

はじめの香りは、お、 意外なほど何も感じない。
しかし「いやちょっと待て、これは・・」と
猛犬(私)を制御するかのように努めてゆっくり食べると、
出てきました出てきました、すんばらしい香りが!!

野性味、と言っても荒々しさ生々しさにつながるものではなく
侘寂の野趣。
しっとりとした食感の中に時々ごく小さく、
しかし鋭い「ジャリッ」という粗挽きの粒を感じるのが快い。
「玄挽田舎」という美しい名前、この蕎麦には実に似合う。




そこへ「細挽せいろ」が運ばれてきた。


こんなことはあまりないのだがお店の人がこちらへ歩いてくる時から
私はその手にあるものにただならぬ何かを感じた。
(今思うと私スゴイ)
前に置かれて固まる私。


この神々しさ・・・

これは一体、何だ。



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大袈裟でなく、伊勢神宮の本殿に対峙した時の感動に似ていた。

ある意味初めての感覚だった。

清らかで,おおらかで、超越した存在に見えた。


たぐりあげると、清澄なかぐわしさがひそやかに伝わり
食べてさらに驚く。

ひとくち。一瞬の静寂。
そこに、水面にひろがる水紋のように、パァーーッと
かろやかな味わいが口中にひろがった。
蕎麦の味わいの美しいところだけをふわっとすくいとったかのような。

お、お、おいしい・・・
何なのだ、この蕎麦は・・


おいしすぎて目が全然開かない私にお店の人が
「これ、いいでしょう?茨城なんですよ」
と教えてくれる。

あー、そうだったのか!
今年もあちこちで食べているが、今年も赤城、やっぱりいいなあー
農家の人が頑張ったんだなあー
ありがたいなあー

そしてその蕎麦を選び、そこにただ水を加え、あとは腕だけで
「伊勢神宮の本殿」をつくっちゃった「月心」さんは私には魔法使いだ。

いつも、思うのだ。
名店の打ち場は、鶴の機織部屋。
魔法の生まれる場所である。





.
posted by aya at 23:15 | Comment(2) | TrackBack(0) | 東京の蕎麦>目黒区 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年01月15日

祐天寺「蕎や 月心」(「蕎麦こい日記」打ち上げ)

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「蕎麦こい日記」打ち上げは、
祐天寺の「蕎や 月心」で。


皆で集まるテーブルは
寒い夜ほど心が温まる気がする。
新美南吉の絵本のように。



レンコンの天ぷら、自家製いかの塩辛、なす田舎煮、
自家製にしん煮付け、辛味鳥などなどを囲み、
楽しいひととき。


こんなに素敵なメンバーで作った本なのだから、
素敵な本に決まってる!!と、人ごとのように感激(^o^)
みなさま、本当に本当にお世話になり、
ありがとうございました。


私は特に、辛味鳥がお気に入り。
大根のさっぱり感と胡麻の風味がとてもよいの。

そして何より、お蕎麦が出たときの一同の喜びようと来たら!!

「お蕎麦ってこんなにおいしいんだー!」
「何もつけなくても食べられる!」


お蕎麦が賞賛されると何もしていない私までこんなに嬉しいものかと、
「親バカ」ならぬ「蕎麦好きバカ」ぶりを自覚した夜でもありました。
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