「関西には東京にはない美しさに驚かされるお蕎麦屋さんがある」
とは前にも書いたが、ここもまた。
阪急神戸線「夙川(しゅくがわ)」駅より徒歩2分。
マンションの1階にあるその空間は外観からはイメージが掴みづらい。
マンション自体のデザインがポップなので
そちらに目がいってしまうからかもしれない。

「石臼挽き 自家製粉 十割蕎麦」。
素朴で堂々とした文字が私を誘う。
店に入った瞬間から、この店の時間に染まる。

心に風が吹き抜け洗われるような空間。

限界まで照明が落とされているため店の奥は昼もほの暗いが
大きな窓の向こうの太陽の光が懐かしい情景のようにまぶしい。
BGMはジャズ・ヴォーカル。
こんな、およそお蕎麦屋さんらしくない雰囲気だが
メニューは冷たいお蕎麦、温かいお蕎麦、一品料理など
蕎麦屋の定番ものが一通り揃っている。
お酒は「加賀鳶」や限定で「春鹿」や「大山」。
その他そば焼酎「しなの」や芋焼酎「蔵の師魂」など。
お、期間限定でこんなのもありますね♪

あとでやってきたお客様方にはこの「限定ランチ」が大人気だったが
相変わらず蕎麦の香りを嗅ぎたい一心の蕎麦虫な私は・・
こうなりました↓↓(^ω^*)
「そばがき」

ドシンと厚みある器にダイナミックな盛り付け。

逆巻く波の如く、バシーンと練り上げられた迫力の姿!
このそばがきがなかなかユニーク。
見ての通りねっとりしているのだがぽふぽふ、ぽくぽくとした面白い食感がある。
また「あんばい」は十割蕎麦の店であるしこれはそばがきなのでそんなわけはないのだが
まるで二八蕎麦のようなほんわかのんびりしたような甘みと美味しさがある不思議なそばがき。
椀がきなのかも?
「せいろ」

蕎麦も厚みのある陶器に盛られてやってきた。
木のテーブルに置かれて響くゴトリという音がいい。
北海道産の十割蕎麦。

フレッシュで強い野生を感じる香り。
意外にもややきしめんに近いような強靭さがある固めの蕎麦で
口中で暴れる感じすらある。
それをもぐもぐ噛みしめさわやかな風味を味わうひととき。
(店内暗めにつき今回は美しい肌を撮りきれず残念無念 (;o;)(;o;)(;o;) )
「田舎」

おお〜
どっしり陶器に今度はぐっと黒っぽい蕎麦。
迫力ある景色だ。

うっわー・・・・
土佐和紙のような無数のホシ。
なんと美しい粗挽き肌だろう。
かすかな透明感のある肌を、店内奥のかすかな太陽光が透かしている。
先程のせいろと同じフレッシュな強い野生がそのままそこにあり
その上に甘皮のこうばしい黒い香りが加わった感じ。
その両方が穏やかでやさしい・・・と思っていたら
面白いことに段々それが変貌してきて
ほんのり白く上品な香り+香ばしい黒い香りになってきた!
強い野生が白い上品に変化した!
うーんお蕎麦って本当に面白いなあ〜
こちらは「せいろ」よりずっと軽い肌で、しかし食感はこちらもかため。
粗挽きのジャリ感がまた楽しい刺激だ。
つゆは鰹出汁のしっかり効いた甘め。
よく見ると蕎麦の器にもお箸を巻いていた和紙にも
「あんばい」のロゴが入っていて可愛い。

この店に流れる時間を眺めつつ、蕎麦湯。

時計を見るとまだ正午前。
(11時スタートというのも嬉しいところ♪)
私を吹き抜けた、美しい「あんばい」の風。