名高いクラブ街のど真ん中にある、
個性爆発の手打ち蕎麦屋。
この立地ゆえ、超高級価格であることは理解できるが
この場所にして、全国各地の蕎麦、在来種ばかり常時6種もの蕎麦を
手打ちで揃えているというのがおもしろすぎる!!
昼間のクラブ街は独特の明るい静けさ。
そこに立つミラー張りの建物の存在感に私は恐れ入った。
どーーん!

無知な私がなんとなーく思い描く
クラブ街というもののイメージそのままのバブリーさ!
すごい〜
どの建物にも夜の店が密集しているのが小さな看板から伺える。
夜の時間帯のこの場所は、今とは全く違う雰囲気なんだろうなあー
(完全に遠足気分 (≧∇≦))

お店はミラー張りのビルの一階にある。


夜の街の蕎麦屋だが、
ものすごく夜遅くまでやっているわけでもなく
22時には閉まるらしい。
カウンターのみの店内は、蕎麦屋というより料理屋のような雰囲気。

先客は常連らしい二人連れの女性客。
ランチコースを肴に、次々と楽しげにお酒を頼んでいる。
ランチコース(蕎麦三昧コース)は7700円なので
ちょっとしたフレンチレストラン並みだ。
ここは料理も美味しそうなので私もコースを考えたが
お蕎麦が6種あると聞いた以上、
どうしても全種類食べたい私!!
コースは潔く諦めました〜(価格とオナカ的に!(^^;))
なにせ6種ある在来種のうち、4種の「せいろそば」は一枚1200円、
残り2種の「希少種のせいろそば」は手挽きで一枚1500円なので
お蕎麦を6枚食べただけでもそれはそれは大変に贅沢なランチなのだ。
こちらがお蕎麦メニュー。
今日ある在来種の説明もあってわくわく (≧∇≦)♡
どれも親しみのある在来ばかりだが
強いて言えば伊吹が一番食べた経験が少ないかな?
今から日本全国の蕎麦畑を旅する気持ち。
たのしーーーー!! (≧∇≦)
アラカルトのおつまみメニュー。
興奮のあまり手ブレしました (^^;)

というわけで、本日はお蕎麦6種+そばがきを
オーダーいたしました!!
めっちゃ贅沢!!アタシやっちゃうぜ!! (≧∇≦)
高台つきの器に弱い私、この湯呑は大変好み。

こんな素敵な湯呑で美味しいお茶をまず出してくれるって
これも素晴らしい日本文化ですよね〜
(海外だとお水も有料だもんね)
お通し「湯葉豆腐と塩昆布」

ちょっとしたものだがすごーく美味しい。
湯葉豆腐の質感と甘みがよく、
そこに塩昆布を合わせたところがありそうでないセンス。
最初に食べるものが美味しいと期待高まりますよね〜
「せいろそば一枚目・伊吹在来種(滋賀)」

おおおお〜
立派な竹笊の中に輝く、
すこーし透明感のある美しい粗挽きの肌。
色はなかなか濃い目で、
うん、香ってくれそう、おいしそう!
おや???
意外にも、全く、なんにも香りませんでした。。
口に含むと、みずみずしくむっちり硬めのコシに出会うが
決して硬い蕎麦ではない。
味わいもほんのり系で淡め。
香りは待ったら出るかな?と粘ってみたがあまり変化はなく
最後の方だけ、かすーかにこうばしさを含んだ香りが
感じられるようになってきた。
「せいろそば二枚目・丸岡在来種(福井)」

うわああ
1枚目の伊吹よりさらにすごい粗挽き!
こちらも皮を含んだ濃いめの色で、
美しいザクザク感がたまりません〜

こちらは見た目で予想した香りがそのまんま濃厚で嬉しい!
ムワーと香ばしい、ナッティーな黒い香り。
こちらもみずみずしくむっちり硬めの質感で
1枚目の伊吹より硬め。
ちょっとガチガチした感じの歯触りなのだが、
それを噛んだ味わいが濃い〜♡美味しいーー!!
そして3枚目の前のこのタイミングで
この方がカットインしてきました。
うわっ
これはおいしい!!絶対においしい!!
すごいのキタヨーーーーー!!!! (≧∇≦)♡
「そばがき(祖谷在来種)」

もうこれは食べなくてもわかります。
もったりとろーり
なんという美しさ・・・

ギャーーーーー
期待はしていたがそれを超える最っ高の美味しさであります!!
香りは意外と素朴、渋めの滋味深い香りで、
何が素晴らしいってこの食感である。
最高の最高!!
とろりとしつつフワーと軽く、
粗挽きのざらつきありつつ、モチモチとろ〜の極上エアリー!!
いやー、もうこれ以上はないと断言したい食感の素晴らしさだ。
そして食感とともに素晴らしいのが味わいの濃さ。
下にぎゅうぎゅうと押し込まれるような
グルタミン系の旨味の塊が口の中を染め続け
もうもうもう、私までとけそうなんです
このままずっとこの人と一緒にいたい・・・!!
あまりにも美味しすぎて薬味をつけるなんて絶対無理、
このそばがき3個くらい頼まないとできなさそう。

でもこのついてきた薬味シリーズがまた尋常ではなく。
こんなシルキーなめらかな大根おろし、私は初めて食べました。
どうやっておろしたんだろう??
またこのきな粉にはお砂糖がまぶしてあって
そのまま食べても美味しいったらありゃしない (きなこ大好き(≧∇≦)♡)
最後まで取っておいてデザートにもふもふ美味しくいただきました〜
「せいろそば三枚目・奈川在来種(長野)」

こちらも色濃いめの粗挽き。
直線的なラインで、これもしっかりめの食感かな?

箸先から香りを寄せると、
これまた皮を含んだ香ばしい甘い香りが淡く漂っている。
1枚目の伊吹同様、むっちりと硬めのコシだが硬くはない。
その硬めのコシを噛み締めた味わいが素晴らしく、
なんとも濃厚な蕎麦粉そのままの旨みが溢れ出す感じ。
食べ進むほどに香りはぐんぐん深く濃くなり
味わいも限界の濃さに到達!!
うおおおお このグルタミン系の旨味爆発感、すごい〜!!
食感もだんだんやさしくなり、
三枚目にして初めて繊細優しい食感に出会った感じ。
香り、味わい、食感ともに、今までダントツ気に入りましたーー!!
コレ美味しいーー!大好き♡♡♡
「せいろそば四枚目・佐渡在来種(新潟)」

こちらも色濃いめの粗挽き。
エッジ感のない輪郭線から、これは比較的柔らかめの質感かな?

ええええ
箸先から香りを寄せただけでまずびっくり。
なんと個性的な香り!!
香りの強さとしては淡めなのだが
はっきりと、ヨモギのような野草のような香りがする。
(私が大好きな京都の麩饅頭みたいな!♡)
食べてみると味わいも最初は薄め。
ところがそれがゴンゴン濃くなり、
黒い皮の甘さとヨモギの入り混じった味わいがおいしいーー!
細かな粗挽き感を感じる舌触りだが
質感としては二枚目・丸岡に似たガチガチ感がある。
でもそれを噛み締めた味わいがなんとも個性的な美味しさで、
いっやーーおいしいなあーー!
「せいろそば五枚目・祖谷在来種(徳島)」

私の大好きな祖谷在来は極太打ちでやってきた。
こちらも粗挽き、色濃いめ!

ガッツリと太く、質感も今までで一番の硬さがあるため
とにかくモグンモグンと噛み締める蕎麦。
最初の香りはほんのりと淡く、しかし黒く香ばしく甘い、素晴らしい香り。
それが期待通り、時間が立つとどんどん濃厚になりうっとり〜
食感は時間が経っても変わらず硬めで、
それを噛みしめた味わいの甘さが大変印象的。
なんというか、和菓子のような?すあまのような?
とにかく上新粉系の上品な甘さがあるのだ。
「せいろそば六枚目・椎葉在来種(宮崎)」

これまた、色濃いめの粗挽き!

うわわ この香りは素晴らしいー!!
うっとりするようなナッティーな、
そして荒々しさを感じるまでのたくましい黒い香り。
こちらは見ての通り輪郭線は優しいのだが
芯を噛み切らせないようなむっちりとした硬さがある。
滋味深き味わいはどんどん濃くなり、
最後は舌に乗せただけで甘さが押し込まれてくる感じがするほど!
噛み締めるほどに味わいと甘さが口いっぱいに広がっていく。
蕎麦汁は今まで出会ったことのない
かなり個性的なお味。

酸味も強めの濃厚で、一番感じるのは「お酒の味」!
いわゆるまろやかな汁ではなく、
口の中でいろんなものが弾け合う感じで
美味しいお酒そのものというか?おつまみ?みたいな個性的な汁。
ここの蕎麦つけると合うのかな?と、
ちょっとだけつけてみましたが、私のような「蕎麦汁初心者(笑)」には
やっぱりお蕎麦だけで食べた方が美味しく感じちゃいました。
(良い子はまねをしてはいけません(笑))
蕎麦湯はとろーりまっしろで、まるで葛湯みたい。

店主によると、今日の蕎麦湯は更科粉。
蕎麦湯はその時によって全く変えていて
粗挽きの蕎麦粉で作ることもあれば
季節によっては桜を浮かべたりするらしい。
店のスタッフは若い人が多く、
皆さん素晴らしく丁寧でととのった接客態度。
店の雰囲気もだが、高級蕎麦屋らしいゆったりとした時間が流れている。
そんな中、しゃがれ声で髭面、
極めて人懐こい笑顔で話しかけてくる店主の存在は
余計に印象的であり、この店の魅力でもある気がした。
ずっと昔並木藪で働いていたこともあるということを
少し照れ臭そうに話してくれた。
「6種の在来種」+「そばがき」を食べてみての感想としては、
一番恋に落ちたのはやはり3枚目「奈川」と、「そばがき」でした!♡
次点で「丸岡」「佐渡」「椎葉」かなあ〜
「奈川」と「そばがき」は、
もうこれ以上はない最高の美味しさだったなあーー!
強いて言えば、どのお蕎麦も皮のたっぷり入った黒い香り、味わいだったので
せっかく在来種そのものの味わいを感じて比べようと思っても
わかりづらかったこと。
皮の味と香りって素晴らしいけど強烈なので
全体の7割くらい?を占めてしまい、
残りの3割で蕎麦そのものの違いを見つけ出す感じに、
(私の場合は)なっちゃうんですよね〜
このお店の黒くないお蕎麦も食べてみたいな〜♡
とは言え、実はこの店のあと名古屋でもう一軒、
大変評判の高いお蕎麦屋さんに行き、そこもすごーく美味しかったのだが
かなりこの「玄水」のお蕎麦と似たタイプだったんですよね。
(似たタイプのお蕎麦を7枚食べた昼( ̄∇ ̄) )
今までの経験からも、名古屋は黒っぽい粗挽き蕎麦多いかも?
黒っぽい粗挽きは確かに美味しいし映え間違いなしだし、
西に来るとそういうお店が多い気がしますね〜
それが旅蕎麦の楽しいところ!
さて、この店のランチタイムは、
コースを頼んだ人以外は1時間の時間制限があるので
「そばがき」+「6種の在来種」を1時間きっかりで食べた私。
その頃には店内はすっかり満席で、
どの人も予約のうえ来ているらしいのがすごかった。
大人気で素晴らしい!
予約をしたけど早く来過ぎて外に並んでいる20台の女性二人連れなどもいたが
私が注目したのは私が4枚目を食べている頃に
私の隣に座った常連らしい30代くらいの男性。
やけに整った綺麗な顔で、なんかこの街の人らしい感じ??
元はお店に出ていて今は経営者とかかしらん??
とクラブ街遠足気分の私はわくわく想像してしまいました (≧∇≦)
そんな人が慣れた様子でスッと入ってきて
「祖谷。」
とだけ言ってせいろ蕎麦を頼み、
一枚手繰ってスッと出て行くんですよ!
容姿がそれっぽいだけに、すごいものを見た気がしてしまいました!
いっやーー
クラブ街のマニアック在来種手打ち蕎麦屋、
楽しい体験でした!!!
ここのコースもぜひ食べてみたいなあ〜
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