とにかくものすごい人気なのだ。
「昼時は開店時間前から行列の手打ち蕎麦屋」と聞いたら
それなりに便利で目立つ場所にある、活気ある雰囲気の店を想像するだろう。
ところが、店があるのは駅近とは言えまるっきりの住宅街。
しかもかなり入り組んだ路地の奥にある。

えっ もしやアレ?
とお思いかもしれませんが、そうです。
あのピンクの建物です (≧∇≦)

昔懐かしい感じのアパート風の建物。
一階エントランス部分だけがお洒落に改装され
なかなか面白い風情が生まれている。

2階は鍼灸院で一階がお蕎麦屋さん。
玄関を入ると、2階の鍼灸院への階段がまず目に入る。
ますます面白い!レトロでいい感じ! (≧∇≦)

(慌てて撮ったのでピンボケ〜)
どれだけ混んでいるか覚悟の上で来たのに
今日は雨のせいかとても空いていた。
控えめで丁寧な、感じの良い奥さんに案内されて
テーブルにつく。
漆喰壁のあたたかな色味に包まれるような店内。



綺麗なお店だなあー
テーブルの上にはストイックな印象のかっこいいメニュー本。
(ストイックどころか私の欲望が詰まったような本だが( ̄▽ ̄))

ウッこれは・・・

ギャーーーー
さすが美味しそうなものばかり!!
白和えとかうずらの卵の味噌漬けとか砂肝の柔らか煮とか!
蕎麦がきも食べたい!!
しかし今日は、会いたかった愛しい愛しい方と
濃密な時間を過ごすのであります・・・♡
目も心も奪われる、この瞬間。
「ざる」

笊といい器といい、選び抜かれた隙のない美しさ。
世界に誇りたくなる日本の美意識、絶景であるが
何よりすごいのはこの蕎麦の存在感、佇まいである。

笊の上になんでもなさそうにゆるやかに盛られているが
「完璧」をひょいと超越したような、ニクイ余裕が伝わってくる。
このあたり、店主の修業先である同じ西荻の超名店、
「鞍馬」と通ずるものがある気がする。
箸先から香りを寄せると、
フレッシュで香ばしい、濃厚な香りに感激!!
口に含むと見た目よりややずっしりとして食べ応えのある質感。
しかし硬さはなく、程よい余裕のコシがあり
そこからあふれる滋味深い味わいがたまらない。
あああ〜おいしい〜しあわせ〜
秋田と茨城(?)のブレンド、外一。
「広島県産 比和在来」(平日十食限定)

この限定を食べるために平日の開店時間を
狙ってやってまいりました!
比和在来を食べるのは久しぶり。
先程の「ざる」よりやや色濃いめで
しっかりした質感を思わせる肌だ。
楽しみ〜〜!

おおおおお
これは珍しい香り!!
葉っぱのような野草のような?
近年嗅いだことのない不思議な野生、それプラス香ばしさがある。
食感がまたびっくりで、これ十割?というくらい
するりつるりとして、くにゅんと優しい自在なコシがある。
見た目に反してざるよりずっと軽やかな質感。
味わいもさすが濃厚で、これはおいしい!!
個人的な悩みではあるが、
これだけ香りが素晴らしいお蕎麦なのに
お箸が私の苦手な竹箸であったことが少し残念・・・

この手のお箸は素材のにおいがきつすぎて
お蕎麦の香りが全くわからなくなってしまうんですよね〜
(おつまみとか食べている時は全然気にならないんですが!)
というわけで今回もマイ箸出動で、
この「カネイ」の素晴らしいお蕎麦の香りを
純粋に楽しませていただきました。
入店時は雨のせいか空いていたが
私が食べ終わる頃にはやはり満席になった。
しかしどのテーブルも実に静かにこの店の時間を楽しんでいて、
一人客である私も居心地はすこぶるいい。
美しい店内。
完璧な、超越した世界を感じる蕎麦。
静岡・島田の某店とか、両国の某店みたいに
幾ばくかの緊張感も伴いかねないほどの静謐な世界だが
そうはならない、気楽なムードメーカーがありまして・・・
厨房から途切れることなく流れ続ける、
「山口百恵ゴールデン・ベスト」!
(その世代ではない私でも知っている名曲が続くので
おそらくベストだろうと推測)
店主がファンなのかな?
百恵ちゃんの名曲からエネルギーもらって、店主は毎日、
この素晴らしい世界を作り続けているんだなあ〜 (≧∇≦)
(全く別の音楽ですがここ思い出しました♡)