2017年01月10日

早稲田「汐見」


風の強い日はどきどきする。

街のどこかで目に見えない大きなものが生まれているような、
自分の野生が掘り起こされるような、
不思議な感覚の中で私はどきどきする。


いや、でも今日のは完全に「恋のどきどき」ですね、お蕎麦への(≧∇≦)♡

ずーっとここに、来たかった。

大切に気持ちをあたためて、
楽しみに楽しみにやってきた「汐見」。

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いやーん コースも楽しそう♡

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お蕎麦が「せいろ」+「かけ」とは、粋ですねえ〜
そばがき椀てどんなのだろ?
和食の椀物風に出てくるのかな?
そばがきワン? U^ェ^U


でもやっぱりわがままな私は
どこでもアラカルトに惹かれてしまう。

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(この繊維強靭な和紙もすごい!)



明るく綺麗な店内には、すでにお酒とおつまみでくつろいでいるお客さんたち。
カウンター内の厨房にはパリッとした白衣姿の料理人たちがキビキビと働いていて
いかにも美味しそうなものが出てきそうな気配ムンムン。

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私が思い描いていた通りの、これぞ名店!な雰囲気に
何も食べてないうちから嬉しさ絶頂気味!!
ぶ、ブレーキをかけねば・・・


しかしブレーキどころか
これではますます加速しちゃうじゃないですか〜

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どれも美味しそうすぎる・・・♡


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いいですねえ〜
もう楽しくてたまんないですねえ〜

しかもこんなページも。

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人肌燗、ぬる燗、上燗、熱燗、飛び切り燗。
それぞれの温度も書いてあり、これは通にはたまらない案内だろう。
好きなお酒をいろんな温度で試したくなるし
外国人に説明したら面白がりそう (≧∇≦)/


まずはおもてなしのこんな一杯。
お酒ではありませんよ〜(^^)

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あざやかなピンクが美しい、「紅芯大根のあたたかいすり流し」。
新鮮な野菜の風味と上品な出汁が軽やかにまとまっていて
これからの時間に期待高まりまくる素晴らしいスタート (≧∇≦)/


「開運」
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メニューに「グラス販売」ってありましたが
こういうグラスで来るとは♡
しかも大好きな「開運」。
うーん なんかこれはいつも以上に入り口がすっきりしていて
なんだか飲めちゃいそうで危険危険危険〜
うはっはっはっは〜〜〜(≧∇≦)



というわけでわたくし、例になくウカレて心が宙に飛んでしまい
なんと美しいお通しの写真を撮り忘れるという大失態!!

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お見苦しい食べかけで申し訳ありません・・・
「擬製豆腐と鯛のお寿司とおひたし」。
アニサキスアレルギー2年目につき「鯛のお寿司」は泣く泣く我慢しましたが
一つ一つが美しくて美味しい!
美味しいお店かどうかってこの時点で分かっちゃいますよね〜♪


「季節野菜の白和え」
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白和えは大好物なので見るとついオーダーしてしまうが
豆腐と野菜の量のバランスや甘さなどお店によって実に様々。
このスナップエンドウとかぼちゃの白和えは豆腐に対して野菜多めなので
クリーミーでありながらさっぱりヘルシーな印象。
そしてくるみの食感と香ばしさが素晴らしいアクセント。
ブルーとグリーンの色合わせも素敵♡


「そばがき」
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ぎゃー

なんかすごいの来た!

こっ これは・・・


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ああああああああ

なんという、たまらない最高のかぐわしさ!!

かぐわしさの海に私自身がとろけて流れてどうにかなりそう・・・・

蕎麦の香りの清澄な美しさ。青い野生。滋味深きかぐわしさ。
全てが最高濃度で、しかも最高のバランスでこのそばがきの中にある。
それが私の全身を染め脳を染め、
本当に食べなくてもいいかなと思うほど(思うだけ(* ̄∇ ̄*) )、
香りだけで数分は恍惚としていられそうだ。
口に含むと程良くホワッもちっとした食感。
(エアリーと言う感じでもないところがまたニクい)
食べ応えもあるのに重さはないのがなんとも粋で、
私にとって「最高のスタンダード」と思える食感!ナニコレ!
それがとんでもない香しさを秘めて私に身を投げかけて来るのだから、
もうもうもう、
本当に美味しすぎて大好きすぎてどうしていいかわかりまへん・・・


食後、この蕎麦の産地を聞いて激しく納得。
数年前幻の大ヒットで私を射抜いた「群馬・赤城の蕎麦」だった。
あちこちの店で食べてどこでも恐ろしく美味しくて大感激、
忘れ得ぬあの時の蕎麦を彷彿とさせる最高の香りだ。




「鴨ハツ塩焼き」
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これがまた大変に美味しい!
新鮮な鴨ハツの香りと弾力、そして炭火焼きかと思うほどの香ばしさ。
シンプルな料理だからこそ素材の良さと鮮度、そして調理の腕がガツンと伝わる。
うーーーん こんなにも美味しいものばかりでは飲めない私でも
お酒が進んでしまうではないですかぁ〜(≧∇≦)



お次は
「柚子香らない方の出し巻き玉子」。
ってそんな名前のメニューはないんですが
「柚子香る出し巻き玉子」という季節メニューがあるので
柚子好きの方はそちらを(≧∇≦)


実は私、最近また「だし巻き玉子を上手に焼きたい熱」が再燃しておりまして
家で粛々と修行の日々なのです。目指すは京都「菱岩」のだし巻き!
それだけにここの出し巻きもワクワクしていたら・・

なんと〜〜、料理人さんがテーブルで盛り付けてくれるサービス!

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すごい、これだけ大きなの、焼く時どうやってひっくり返すんだろ?

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ホッカホカの大きなだし巻き、一体玉子何個分!?

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ものすごくお腹いっぱいになりそうだ・・・と思いきや。
これがまたありえないくらいジューシーで、
スッキリ感すらある「だし汁フルな出し巻き玉子」なのです!
(こんなにジューシー&大きいのにすどうやってひっくり返すのかますます凄すぎ)
甘さが潔いほど控えめなのも
和食の甘い味付けがとことん苦手な私には大変に嬉しい。美味しい〜〜
調理&盛り付けてくれた女性スタッフのニコニコ笑顔もご馳走でした。



「きのこの天ぷら盛り合わせ」

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豊かな山の恵みがどっさり!
しいたけ、エリンギ、なめこ、しめじ、紫蘇。
ふんわり優しい薄衣に包まれたきのこの香り。
美味しい〜〜〜 きのこだーいすき!




そして時は満ち。

私は身を正して自分に言い聞かせる。

奇声をあげません。
飛び跳ねません。
変な息や念仏のような唸り声を店内に響かせません。

ああ ついにきちゃった・・・・!!!


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え・・?

えーーー!?
なんですかそのものすごい緑色は!?
やりすぎではないですか!?

そんなものすごい色してたらものすごい香り方しちゃうのでは・・・


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(>_<) !!!!!!

う 受け止めきれない・・・!!
ありえない、最高のかぐわしさ!!!
「洗脳」という危険ワードが閃くほど私の脳が一瞬で洗われ
最高に素晴らしい蕎麦の香りが全身を突き抜け染め尽くし何も考えられなくなる。

フレッシュでさわやかな青い野生。
澄み渡る美しいまろやかさ。
素朴さの中でもひときわフレッシュで清い部分。
それらをそのまま、清いまますくい上げ天頂に持って行って上からばら撒かれたかのように
今私の世界はこの蕎麦に染まって何も見えない。何も聞こえない。

その中で辿る食感がさらに私を恍惚の雲の奥に引きずり込む。
ナンデスカこの絶妙な素晴らしい食感は!!
粗挽きの素朴な質感+繊細、洗練の細打ちの舌触り。
噛み締めたコシはどこまでもやさしく、格別の主張しないまま確かにそこにある。
ただただ、ニクい。
こんなお蕎麦がこんな香りで、もうもう何が何だか、どうにかなりそう・・・
店の隅で謎の文言をぶつぶつ唱え蕎麦への賛美は止まらない私は
やっぱり直前の心がけの甲斐なく挙動不審者となってしまいましたが店内の皆様お許しください。

だってこのお蕎麦がおいしすぎて素晴らしすぎて

おお〜ん

おおおおお〜〜〜〜〜〜ん・・・・



というわけであんなに愛したお方はあっという間に目の前からいなくなってしまい
(愛する人を食べちゃった!残虐物語)
悩みましたがやっぱり2枚目をお願いしてしました。
あまりにも美味しすぎると2枚食べるのはバチ当たりなような気すらしてしまうのですが・・

でも、えへへへへへへ

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今度はさっきよりだいぶ落ち着いて眺められる。
つくづくとすごい緑だ!

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美しい・・・・
このたまらない粗挽きの肌。震える輪郭線。
蕎麦粒子の一粒一粒が私に語りかけてくるようだ。
(アカンまた発言&挙動不審方向に・・)

蕎麦もそばがき同様群馬・赤城の蕎麦。
今宵こんなにも美味しいお蕎麦に出会わせてくれた蕎麦打ち職人さん、
そして農家さんにも思いを馳せ、心は赤城の蕎麦畑を翔る。


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これだけの蕎麦粉であるから蕎麦湯も無論美味しい。
汁もまたいい。
軽やかに洗練されつつも下を支える旨みと甘みがあり、私好みの美味しい汁だ。



美しいデザートにも驚かされた。

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なんと「みかん大福」。
季節の果物を入れた大福をシリーズでやっているらしく、
今は和歌山産の味の濃い「こみかん」を使用しているとのこと。
実は甘いものは滅法苦手のはずの私ですが・・・
これはめちゃくちゃ美味しいぃ〜〜〜〜 (≧∇≦)
もともといちご大福は例外的に好きなのでそのせいもありますが
それにしたってやはり餡のおいしさや量などが大問題。
これは白餡が滑らかで上品で少なめ、求肥も繊細で最高♡


食後若い女性スタッフがテーブルにやってきて
こんなものをくれた。

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キラキラの瞳でニッコニコしながら

「お店のオリジナルのシール作ったんですけど
 わたしコレ大好きなのでもらってください!
 ね〜、いいですよね〜これ!
 どこかに貼ってくださいね〜〜!」

って、いやいやわたしはシールよりあなたがかわいいですよ、
と言ってしまいたくなる天然かわいい店員さん。
嬉しかったので私はお願いして2枚もらった。
何より、こんな風に若いスタッフが一生懸命しかものびのびと働き、
心から愛されている店というものに感動させられた。
店主の人となりが伺えるというものだ。



暖簾を出ると風はだいぶおさまり
冬とは思えないあたたかな夜になっていた。



さっきこの暖簾に向き合っていた私と同じ。

どきどきはおさまり、今はこんなにあたたかく幸せな気持ちだ。











posted by aya at 10:56 | Comment(5) | TrackBack(0) | 東京の蕎麦>新宿区 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
これはまた新春から出掛けたくなるお店ですね。三月に家内が上京予定なので、伺うつもりです。
Posted by Tanaka Susumu at 2017年01月10日 20:37
はじめまして。
蕎麦には平常心ではいられないたちなので、高遠さんの蕎麦偏愛レポをいつもたのしく拝読しております!
わたしは行動範囲が猫レベルでほんむらあん、蕎麦たじま、更科堀井ばかりなので知らないお蕎麦やさんを次々疑似体験させて頂けて追うっとりしてます。

今年もどうぞ遺憾無く宜しくお願いいたします。
Posted by のどか at 2017年01月10日 23:20
Tanaka Susumu さま
でしょう!?是非是非です〜♪

のどかさま
初めまして、嬉しいお言葉をありがとうございます。行動範囲猫レベルってかわいい表現ですね〜(最近ますます猫好きなもので&#9825;)。でもしっかり名店をおさえていらっしゃいますね!
Posted by aya at 2017年01月12日 07:52
はじめて食レポ いつも楽しく読ませていただいてます。仕事で都内にいく際に食べ歩きの参考にさせて頂いております。とゆうか…記事の書き方が好きです、何か読んでいて楽しくなります、蕎麦が食べたくなります。

的な感じです
Posted by ギブソン at 2017年01月19日 19:52
ギブソンさま
初めまして、コメントありがとうございます。すごーく嬉しいです〜そんな素敵なお言葉頂くと木に登ってどんどん書きたくなっちゃいます。今後ともどうぞよろしくお願い致しますm(_ _)m♪

>ギブソンさん
>
>はじめて食レポ いつも楽しく読ませていただいてます。仕事で都内にいく際に食べ歩きの参考にさせて頂いております。とゆうか…記事の書き方が好きです、何か読んでいて楽しくなります、蕎麦が食べたくなります。
>
>的な感じです
Posted by aya at 2017年04月05日 15:37
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