もう何年ぶりになるだろう。
久々に訪れた「蕎麦工房 膳」は
あたたかな冬の日差しに包まれていた。

初めて来た頃は郊外の静かな小さな工房、といった雰囲気だったが
今やすっかり有名店。
それでも店の周りの緑は変わらず長閑だ。
畑仕事が趣味という店主。
ひだまりの石臼がのんびりそれを眺めている。

店前にはこれも店主の趣味であるアイアン細工の作品が増えに増えている。

どれも素敵だなあー
このセンス好きだなあ〜
(私アイアンもの大好きで部屋の椅子もアイアンなんです(≧∇≦))
看板ももちろんアイアンだ。

有名店である上に金・土・日のみの営業なので混んでしまうことが多いが
今日は時間ギリギリにやってきたせいで奇跡的に空いている。

相当久々にやってきたが白いポロシャツ姿がすがすがしい店主も
やさしい雰囲気の奥さんも全然変わらずうれしくなる。
BGMはジャズサックス。
以前いろいろな蕎麦メニューがあったが
現在は「もりそば」のみ!
その「もりそば」のみを求めて県内外から沢山の人がやってくると思うと
ますますすごいですよね〜(≧∇≦)♡
(どうしてお蕎麦が人気だと我が事のようにこんなに嬉しいんでしょうね〜
オマエはお蕎麦ではない!といつも自分にツッコんでるんですが(^^;;))

「蕎麦工房 膳」では「もりそば」を注文すると
「細挽き」と「粗挽き」のお蕎麦が半人前ずつ出されるようになっている。
今日は私がギリギリの時間に来たせいで「粗挽き」のみしかないことがわかっていたが
いいんです全〜然いいんです、大人ですから泣きません(>_<)
だってこ〜んなすごいお蕎麦なんですから!
泣く子も黙るこの超絶粗挽き肌。
しかも十割!


目も眩む、極粗挽きの肌。
そこから吹き抜ける超フレッシュな青い香りに思わず目がかっ開く。
ひんやりと清冽な美しい香りに食べる前から全身の細胞がしびれる思い。
まだ食べていないのに「おいしい・・・!!」と
ヘナヘナしているカウンターの変なお客さん(* ̄∇ ̄*)
いよいよ口に含むと
あああああ
ああああああああ
この白く美しい味わい・・・・
すばらしすぎますのでもう私は溶けてしまいましたさようなら・・・
極粗挽きのザラつぶだけがつながっているような輪郭線は
くっきりはっきりやや固めなのだが、どこかしっとりとした優しさもある。
ザラザラザラ〜と口中を流れていくかぐわしき粒達の夢。
最後はかなり短く切れてしまっているのが多かったが
蕎麦の長さに関してあまり気にならない私は
それも大事にちびちびモグモグ楽しむ。
ここは汁も個性的な美味しさ。
私が好きな京都らしい蕎麦汁とは違う、
こっくり濃くて甘さもしっかりあって
なんだか懐かしいようなしみじみとした旨みと香りのある汁だ。

蕎麦湯を飲んでいたら
店主が今日の蕎麦の「丸抜き」を見せてくれた。

普通自家製粉をしているお蕎麦屋さんではこの写真のような「丸抜き」を仕入れ
それを自分のお店にある石臼で製粉することが多いわけだが
「蕎麦工房 膳」は黒い皮のついた「玄蕎麦」の状態で仕入れ、
「石抜き」「磨き」「脱皮」を店でしている。
(それでようやくこの丸抜きの状態になる)。
設備的にも時間的にも大変な作業であるため
この丸抜きの状態も私には店主の子供のように思えてくる。
普段から栃木県益子産・長野県塩尻産・福井県丸岡産をメインに打っているそうで
本日は長野県塩尻産であった。
京都の郊外で金土日のみ、しかも昼のみの営業なので
なかなか機会を作るのが難しいのだが
その不便さもこの店の魅力のひとつである気がする。
今日は細挽き売り切れちゃっていたので
次回は開店時間を目指してこなくっちゃー(≧∇≦)

以前は「細」と「粗」(定かではないが「荒」?だったか・・)
メニューに二つあったような覚えが。
ストイックな蕎麦屋は美味さをもとめてひた走り、益々ストッイックに磨きをかけてゆく。
ストイックな蕎麦屋は美味しい!
美味しい蕎麦は大好きだ!!
なんでメニューに酒があるんだ!?
ストイックに蕎麦をアテに酒を呑めとおっしゃるのか!?
ンン〜〜ッ
うまい蕎麦か・・・
美味しい時間か・・・
我が心千々に乱れる
結果
不謹慎でありながらストイックなお店が好きなのか・・・
でも、「膳」はレベルが高いですよね。
みなさん黙ってお蕎麦屋さんに座っているように見えて人それぞれいろんな「心千々乱れ」があるんだなあ〜と可笑しくなりました。私みたいに粗挽き売り切れでズタズタになっている人の横でお酒があるかないかで乱れまくっている人が居たり(^^;;)