2016年06月15日
長野・山形村唐沢地区「山法師」
蕎麦の秘境として知られる山形村の「唐沢集落」。
のどかな田園風景の中に10軒ほどの蕎麦屋が点在する
夢の世界の入り口にはこんなゲートがある。
観光向けに作られたゲートは立派だが付近はどこまでも静か。
霧のような小雨の中、緑の香りが私の胸の中まで満ちるようだ。
「山法師」は集落を奥に進んだところにある。
ここの蕎麦屋はどこも看板こそあれどまるきり普通の民家のような店が多い。
「山法師」も暖簾がなければ店には全く見えない。
いや暖簾があってもあんまり店には見えない。
「自家栽培・自家製粉」なんていう物凄い店にはもっと見えない。
玄関に入るとすぐ階段があり
たいへん感じの良い奥さんが「どうぞ、いらっしゃいませ」と迎えてくれる。
お店なのはわかっているのだが
「お邪魔します〜・・」と言いたくなってしまうほどまるっきり普通の日本の家だ。
広々と、静かな座敷。
家も庭も、隅々まで手入れが行き届いていてとてもきれい。
こんな空間を独り占めとはなんて贅沢な午後だろう。
長野らしいもてなしが嬉しい。
お庭の素晴らしいこと!
鳥の声に耳を澄ませていると
雨上がりの気配まで聞こえてくる静寂。
メニューはシンプルだが唐沢集落らしい嬉しいものばかり。
(「お客さん撮影」ってところに人柄が出ていて可愛らしい(^o^))
下にある「そばうすやき」っていうのはなかなか見ないですねえ、
これも是非いきましょう!
「馬刺し」
長野に来たらやっぱりコレ。
ちいさめ一口サイズ。
「わらび」
えええええ
250円でこの量にビックリ。
しかもパリッパリの素晴らしい食感にさらに大喜び!
わらびは茹でると柔らかくなってしまいがちなだけに
この絶妙な食感はさすが〜おいしい〜〜
「そばうすやき」
きゃーー!!
ここでいきなり大興奮。
さすが蕎麦だけに尋常じゃない香ばしい香り!!
(いつも思うがその日一番の蕎麦成分の体へ浸透、感動は格別!!)
あああああ
なぜ私は蕎麦粉が入っているだけでこんなにも強い反応を示してしまうのでしょう。
薄焼きピザのようなものなのに、この香ばしさは麻薬!!
特に焦げてるところが最高!!(≧∇≦)
蕎麦の香ばしさ、滋味深さに加えバタークッキー?みたいな芳醇な香りと味わいもあり
とても美味しい薄焼きだ。
って蕎麦部分に夢中すぎて真ん中に塗ってある蕗味噌について
全然書いてなくてすみません(* ̄∇ ̄*)
甘めの蕗味噌と蕎麦の素朴な風味、これぞ長野なアイディアメニューだ。
「蕎麦(並みもり)」
今気づいてびっくりしたのだが
なんとあろうことかこの私が蕎麦のアップの写真を撮っていなーい!
その時感じた熱情を閉じ込めるためにも蕎麦肌を撮り忘れたことなどないのに。
静かな座敷でよほど気持ちよくのんびりして
頭のネジが緩むどころか取れてしまっていたのだろう。
箸先から漂う、石のような静謐な香り。
口に含むとひじょーうに独特なふるんふるんとした食感にハッとさせられる。
ふるんふるんフカフカと不思議な柔らかさだ。
食感も軽いが味わいも透き通るように軽くさっぱりとした蕎麦。
汁もこれまた独特なのだがなんだか大変美味しい。
甘さもあるがストイックな渋さを感じる出汁の風味。
あまりの居心地の良さについ長居してしまい
自然と店主夫妻とお話することになったのだが
あまりの感じの良さにさらに長居してしまう。
こんな、ふらりと入ってきた得体の知れない蕎麦野良犬にも
こんなに感じよくニコニコ親切にしてくれるなんて
心温まりすぎて心中遠吠えするしかない。
おおーん おおおおーーーん・・・
店主によると以前は全て自家栽培だったがイノシシにやられて以来
ひと月ぶんくらいしか作らずにあとは地元の信濃一号を入手しているそう。
「山法師」の店名を尋ねると穏やかな笑顔で
「家の前にたくさん咲いている山法師からとったんです」
とのこと。
えっ山法師が咲いてた?
蕎麦蕎麦蕎麦で全然気付かなかった・・・(* ̄∇ ̄*)
「お送りしがてらお見せします」と店主。
外に出ると雨上がりの山形村の景色。
なるほど山法師が今を盛りと咲いている。
私は素晴らしい季節にここに来たのだ。
見入ると吸い込まれそうな花の宇宙。
「ハナミズキより品があると僕は思ってるんです」
静かな言葉が胸に響いた。
<おまけ>
玄関にあった呼び鈴の置き場所がおちゃめすぎるんですけど・・
ミニチュアの石臼の上に置いちゃった(≧∇≦)♡
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