浅草・観音裏に新しく出来たお蕎麦屋さん。
観音裏と言っても三ノ輪との真ん中くらい、
あの名高き蕎麦の名店の何ブロックか先である。
街の中心からはかなり歩くことになるが
何せ浅草というのは面白い街なので歩くに全く飽きない。
歩いた先に見えてくる「手打ちそば」の看板。

好きな言葉は何ですか?と訊かれて大真面目に「手打ち蕎麦!」と答えてしまうほど
手打ち蕎麦という言葉が好きな私。
観音裏という愛すべきエリアにこんな看板が見えてきただけで小躍りしたくなってくる。
(実際は小躍りでなく小走りしました(^^;;))

中の様子が伺えない構えはお蕎麦屋さんと言うよりは
お寿司屋さんとか、ちょっとした和食屋さんのような。

おおお「せいろ」が1000円、「あらびき」が1200円。
かなり高級店な価格設定である。
そして「秋の天せいろ」の中の「対馬産穴子」という5文字、この吸引力!
ハイッ もう吸い込まれました。
これは食べたーーい!!(≧∇≦)
店内はカウンターあり座敷あり、
こざっぱりと落ち着いた雰囲気。

カウンターには数組の先客がくつろいでいて、それがまた実に楽しそう。
観音裏のこんな蕎麦屋で、美味しそうな蕎麦前食べながら
今まさに次の日本酒を選んでるところだったりして
いいですねえ〜〜〜

もうもうもう、私はここに座っただけでその雰囲気の素晴らしさに
ウカカカカカと笑い出したくなりましたね〜
うはははーもう今日は嬉しいから飲んじゃうことにしたー!

うははははははは
で? で?
おつまみは何にしよう??
うわー いろいろ楽しそう。

「栗の木の実の白和え」
「鴨ロース赤ワイン煮」
あたりが大変に気になる。
対馬産穴子も是非食べたいけど「天ぷら」か「含め煮」か迷うところだなあ〜

「そばがき」には「なめらか 粗美季」と添えてある。
これは絶対に食べます! (≧∇≦)
ここはお蕎麦も「瀬色そば」「粗美季そば」だったりして漢字表記が独特だ。

アレコレ迷っていたら白い割烹着姿の女将さんが
「あのー、もし良かったらいつもはお通し300円いただいているんですけど
今日は500円いただいてちょっといいのにするので
そちらをご覧になってからお決めになりますか?」
と声をかけてくれた。
この女将さんがまためちゃらくちゃらにかわいい。
店主が「女将!」と呼ぶので女将さんと書いたがその言葉が似合わぬ程若く(20代)
明るくほわ〜〜とした雰囲気になんとも癒される。
しかもこの店の蕎麦は何を隠そうこの女将さんが打っているのだからさらに驚きだ。
というわけで女将さんが運んできてくれた、
「お通し」

わー なんと!
私がメニューを見て食べたいと思っていたものが3つとも入ってるではないか!
「栗の木の実の白和え」
「鴨ロース赤ワイン煮」
「対馬産穴子含め煮」
これはますます嬉しい、素晴らしい、
もうこれは絶対にお酒だ、 私は今夜どうなるのでしょう・・
しかも3つとも思った通り美味しい!
せっかく観音裏の蕎麦屋にいるのだから
こんなの選んでみました〜 珍しい!

「浅草の大桝が出しているお酒ですっきり系です」との説明だったので
どこで造っているお酒なのか訊いたら佐賀の天吹酒造だった。
これが大変美味しい。
たしかにすっきり澄んでいるのだがスッと瞬時に舌にひろがる旨みもあり
しかもそれがまたスッと消える。
うはは〜 もうだれか私を止めて〜〜
(とか書いていますが一晩でおちょこ2杯くらい(≧∇≦)・・入店15分で立派なヨッパライ(≧∇≦))
超ご機嫌で暴走する私に女将さんがこんなものを持ってきてくれた。
「切り込みです」
なになにー?
「ソリ込み?」それは暴走族(* ̄∇ ̄*)
「とり込み?」それは洗濯物(* ̄∇ ̄*)

あっこういうのを「切り込み」っていうんだ!
(生魚を包丁で切り刻んで発酵させた北海道・東北の郷土料理)
知らなかったー
これは「北海道のにしんの酒盗」。
魚好きの私はたまらない一品でものすごーーーく食べたいが
アニサキスアレルギー1年生につき指を加えてガマンガマン。
「そばがき」

お時間がかかるかもしれません、といわれていた「そばがき」が
意外と早く登場。
あああああ
ああああああああ
「やっぱりその日最初の蕎麦香浴が出来る瞬間はたまらない!!」
と私の全身の細胞が申しております・・・・

色鮮やかに目に飛び込んでくる大粒の蕎麦粒子。
輪郭線はなめらかので微粉も多そうな、なめらかザクザク系かな?
と思ったらこれが、見た目からは想像できなかった珍しい食感。
見た目は丸く綺麗に成形され切った側面もスパッとしているのに
口に入れると意外な程見た目以上にドロとろ〜っと流れていき
微粉と粗挽きの割合のせいなのか不思議なみずみずしさを内含している。
爽やかで上品なかぐわしさがふわー!
味もまた個性的でじわーと舌に染み込むような、不思議な苦み、生々しい水のようなたくましさがある。
言葉で書くとよろしくないようだがそれがすごく美味しい。
長野の信濃一号。
お蕎麦は「秋の天せいろ」にしてここで天ぷらだけ先に持ってきてもらった。

対馬産の穴子を真ん中に、鳴門金時、信州きのこ、蓮根。
秋はほんとに豊かな季節だな〜楽しいなあ〜
簀の上に飾る演出がますます秋の楽しさを盛り上げてくれる。
盛り上がったところで
熱燗「花巴」

おおおっ これはかなり激しいというか
要は熱燗の魅力がわかるようになって年月が浅い私にはまだまだ豚に真珠のようです・・
ガッツンと太い旨み!
「地養鳥 そばやの焼鳥」

飴色に焼かれた焼き鳥。
ネギだくが嬉しい〜♪
いよいよ時が満ち、私は心を澄ませてその瞬間を待つ。
このときめき・・初めてのお店のお蕎麦に出会えるこのワクワク感!
「瀬色そば」

大きめのせいろの真ん中の方に
ぎゅっとぴったり重なって現れたみずみずしき姿。

端正な細切り、つやつやと水分をたたえた肌。
さわやかな香りが淡く静かに漂い、美しく澄んだ味わいがそれに続く。
みずみずしくつるりぷるりとした舌触り、弾むような腰。
これは飲んだあとにすっきりつるつる食べたらたまらないだろうなー
信濃一号だというが信濃一号の野生がこんなに美しく染み渡ってくるとは。
もっと言うと二八なのにあまり二八っぽくなく
十割かな?と思わせる凛としたものを感じる蕎麦。
思われず「美味しーーい!」と声に出して言ってしまったら
エヘヘというように「美味しいですよね〜」と自分で言っちゃう女将さん。
「自分の作る蕎麦がだーいすきなんですよ!」
と歳の離れた奥さんをからかうように店主。
私は可笑しくて大笑い、カウンターのお客さんもみんな楽しそうで
ああ今夜は本当にしあわせだな〜(≧∇≦)
「粗美季そば」


褐色がかった肌に散りばめられた無数のホシ。
素朴でありながら繊細さを感じるほど端正で、実に美しい姿だ。
箸先に手繰り上げると意外な香りがふわぁ〜
ほー!香りはまるで美味しいさらしなのようだ。
味わいも美しく澄み、さらしなに似た感じ。
舌触りもまた意外で、つるりとした中にこまかなこまかなジャリ感があり
かみしめた印象はしなやかでやさしい。
これだけの見た目ながら
全体としてはせいろよりやさしい印象すら受けてしまう粗挽きだ。
汁はやや個性的で下町のそれとはちょっと違う甘さとシャープさを感じるもの。
薬味にゴマがついてくるのも個性的で
おつまみとしてボリボリ美味しく食べちゃった(^o^)
蕎麦湯を飲みつつ、函館からやってきたという店主と少し話をしたり、
さっき入って来た老夫婦が楽しげにメニューを選ぶのを遠く眺めたり。
ああ 観音裏の夜は
たのしいなぁー
ここのお蕎麦屋さん、すんなり入れるのは今のうちな気がします。
料理メインと思いきや蕎麦が素晴らしいと感じました。
奈良在住でいらっしゃるのですね!遠くて。。というお気持ち痛いほどわかります。行きたい場所の宿題いっぱいたまっちゃいますものね〜
Tanaka Susumuさま
ぜひぜひ〜そぞろ歩いていらしてください。
山元さま
それは大変、こまないうちにゴーですね!
素敵なお蕎麦時間でした〜♪