2015年06月19日

群馬・高崎「そば処おおの」


砂利道の奥に、看板のない落ち着いた構えが見える。

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暖簾に染め抜かれた文字はただ「そば」とだけ。

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看板と言えるものもちゃんと屋根の下にあるのだが
遠くからは全く目立たないのがこの店らしい。




暖簾をくぐると前庭があり、入り口はさらに奥へぐるりとまわったところにある。

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美しい庭を臨む、美しい店。

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ひろびろとした空間にBille Holidayの歌声が気持ちよく響いている。


美しく立派な店舗は、写真で見ると
都会のオシャレエリアの会員制ナントカとか言っても通じそうなほどの
緊張感さえ感じる雰囲気にも見えるが、実際店に流れる空気はほんわり穏やか。
それは他でもない奥さんの接客のせいだろう。
きっちり髪をまとめ制服を着、全てが丁寧そのものなのだが
しかしそれ以上に伝わってくる一生懸命さと思いやりがある。
店主は脱サラして2001年に50代後半でこの店を開業した人なので
奥さんもそのくらいの年齢かと思うのだが、
とにかく何度お会いしても本当に可愛らしい奥さんなのだ。
厨房から会釈してくれる店主もとても感じがいい。



テーブルに置いてある分厚いメニューにも、
その感じの良い一生懸命さがぎゅーっとつまっていて驚かされる。

メニューそのものも盛りだくさんでそれぞれの説明も大変丁寧なのだが
注目すべきはその巻末。


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長々と十何ページにもわたって
この近所の他のお蕎麦屋さんの紹介をしているのだ!
その文体もとても優しい雰囲気で、一生懸命他のお店を褒め、薦めている。

(>_<)

ううう・・・

うぬぬぬ・・・

心が温まりすぎてもう何がなにやら・・・・(>_<)



心はすでに十分に温まってしまいましたが
お腹も温まっちゃうものが来ましたー♪


「そばがき(ハーフ)」
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蓋付きの器と薬味で、料亭のようなととのった演出。
ハーフサイズで頼めるのも嬉しい。

蓋をあけると、ほわぁ〜〜〜

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結論から申しますとハーフにして大失敗!!
あとさき何も考えずこの10倍位食べたくなるほど美味しいぃ〜〜!!

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ぽてっとした肌に浮かぶ色とりどりのホシ・・
その姿にも釘付けだが
全身をブワァー!と吹き抜けるようなフレッシュな香りが素晴らしすぎる!!
蕎麦という穀物のかぐわしさが最高のバランスでに封じ込められた愛しきかたまり。
さらにシビレさせられるのはその食感。
とろ、ぽてっと唇に触れてきた肌は
たまらないエアー感で泡立つ寸前と言ってもいい感じ。す、すごい。
うっとりと舌に溶け、そこからじんわりひろがる穀物の新鮮な味わいが・・
ううっ・・ おいしすぎてもう泣きそう・・(;o;)
一体何をどうしたらこんなそばがきができちゃうんでしょう。


実はね、私さっき聞こえてました♪
たぶんそばがきを作っている音だと思うのだが
(それは結構どこの店でも聞こえてくる)
ここではただごとでない気合?気迫?のようなものが音で伝わってきたのだ。

う〜〜ん あの気迫がこの美味しさを作っちゃうんだな・・
ここで「そばがき(ハーフ)」を頼んではいけない、と覚えておこう!
ダブルでもトリプルでもいいなぁー(^o^)





「そば処おおの」はまた、天ぷらを単品で頼めるシステムが楽しい。
しかも名前がいい。
「ちょこ天」!

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かっわい〜♡
つい気軽に頼みたくなってしまうではないか。



「ちょこ天/舞茸」
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「ちょこ天/えび」
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「鴨せいろ」
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鴨肉+つくね入り。


「セイロ」
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なんという美しい肌・・・!
萩焼のような少しクリーミーな色味の粗挽き肌に無数のホシが浮かぶ貴い眺め。
見入るほどに、吸い込まれそうになる。
端正な細切りだが、いびつに揺れる輪郭線の美しさもたまらない。

香りは北海道らしい少しひねたような野性の香り。
少しくちゅっとしたような独特の食感で
ごくやわらかいのだが最後に受け止めてくれるやさしいコシがある。
ほんのりとした甘みと粉の味わい。



「そば処 おおの」では月替わりで「変わり蕎麦」もやっている。


「芹切り」
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うわあー 綺麗な緑色!



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最初はその色の鮮やかさに魅せられたが、
見入れば色だけでなくその肌の質感、青々とした芹の欠片、すべてが美しい!
芹の香りは思ったよりかなり弱いが、だんだんに淡く、青く感じられてきた。
手びねりの陶器のような素朴な舌触りだが
噛みしめるとこちらも先程の「セイロ」に似て少しくちゅっ+つるりとした感じがある。
ちょっと冷麺に近い食感かな?

汁は甘さすっきりの濃いめ。
メニューの巻末に
「出汁は本枯節、亀節(枕崎産)を毎朝削り使用。
北海道利尻昆布、岐阜県産干し椎茸」
とある。

メニュー本にはその他「開業を支えて戴いた方々」というページもあり
全体プロデュース、店舗建築、(蕎麦打ち)技術、書、ロゴ、厨房設備と
それぞれの会社や人の名前が感謝の言葉と共に明記されている。
ここの店主は脱サラしてこの店を開店起業するまでの道のりを本にまとめ出版しているそうなので
そういった意味でも注目されているのだろう。



帰り際、奥さんと少し話したので
「メニューの巻末に載っている他のお蕎麦屋さんの紹介、すごいですね〜」
と言ってみた。

すると奥さん、
「あら、見てくださったんですか・・?
ありがとうございます。
そうなんですよ〜♪ 〇〇さんにはいらしたことありますか? ◯×さんは?
とーってもいいお店なんですよ〜♪」
と最高の笑顔で他のお店を褒めちぎり、
「ぜひぜひ行ってみてください!」
と一生懸命他のお店を宣伝してくれる。


(>_<)

(>_<)



心が・・あたたまりすぎて・・・


私も最高の笑顔で奥さんを褒めちぎりたかったが恥ずかしくてできなかった。






posted by aya at 09:21 | Comment(2) | TrackBack(0) | 関東の蕎麦>群馬 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
「おおの」さんのところに書くのもどうかとは思いましたが、今は無き箕郷町の「せきざわ」さん。
余りにも近いので、何時もはしごでお腹がポンポコでした・・・
相変わらず本当にお店を綺麗にしているみたいですね。
Posted by at 2015年06月19日 17:11
ん?またまたななしの而酔而老さま・・かな?(^o^)
あまりにも近いのでお腹がポンポコ、わかります〜〜
特に東京から遠ければ遠いほど欲張りたくなるし、
地方ほど一枚の量が気前良かったりするので大変ですよね。
秋田蕎麦巡りしたときは間に温泉を挟んでお腹を空かす?作戦に出たのですがそうなるとどこのお店にもスッピンで行くことになり、しかもそのすっぴん写真が県のサイトに掲載されてしまったとう・・・どうひまひょ (* ̄∇ ̄*)
Posted by aya at 2015年07月10日 15:34
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