神楽坂がますます蕎麦過ぎる。
先日「神楽坂が蕎麦過ぎる」と書いたが
どれほど蕎麦過ぎるかイメージできない方のために
ここに並べて書いてみることを思い立った。
「じゃあ神楽坂にお蕎麦を食べに行ってみよう!」という方のために
私の勝手なガイドのようなものも珍しくつけてみた。
私がこのブログを始めてから3年の間に書いた店だけでも
こんなにあるのだ。
「蕎楽亭」
(言わずと知れた有名店。活気ある素晴らしい雰囲気と美しい天ぷら、ひやむぎも美味しい)
「東白庵 かりべ」
(路地の奥にひそむ静かな時間。絶品蕎麦もそばがきも全てが贅沢に美味し過ぎる)
「蕎楽亭 もがみ」
(20代の女性店主が打つ香り高く美味しい個性的な蕎麦。酒肴も気が利いていて美味)
「玄菱」
(「狙っていない究極の渋さ」にのけぞる神楽坂の侍。太打ちの太さは東京屈指)
「そば切り 酒膳 中村屋」
(お酒に合うガッツリ美味しい肴と楽しい三色蕎麦。宴にもぴったり)
「soba dining 和み」
(食用シルクや赤米を混ぜたユニークなお蕎麦や十割蕎麦。肴類も楽しいモダンな店)
「神楽坂 山せみ」
(神楽坂大通りに面した美しい店。蕎麦二種あり、肴も充実で外国人やカップルにも大人気)
「たかさご」
(これぞ大人の余裕、プロの余裕。蕎麦も肴も全てがお手本のように美しくて美味しすぎる)
「芳とも庵」
(製粉工場並みの設備と店主の情熱。香り高い個性豊かな三種の蕎麦が絶品)
「志ま平」
(一見取っつきにくいが個性派、実力派店主の粋な店。料理もすごい)
「Soba Dining 山本」
(路地に輝くピッカピカ綺麗な店。家庭的なほっこり味とサービスに和む)
もちろん私がまだこのブログに書いていない店もあるし、
機械打ちの町蕎麦屋さんもかなり多い神楽坂。
全部合わせたらこの街の蕎麦屋密度は
すごいことになっているに違いない。
ちなみに上に並べた順番に全く意味はないのだが
最後の4店は意図的に並べた。
「たかさご」「芳とも庵」「志ま平」「Soba Dining 山本」。
この4店は「牛込中央通り」のある一角、
「すぐそこに見えるくらい目と鼻の先」に
ギュッとくっついてひしめいているのだ。
もう、もう、このエリアを歩く時の私の身にもなっていただきたい。
まさかこれだけくっついている4店のハシゴなんてとても無理だから
どこかに行ったら残りの数店は前を素通りせねばならない。
この身を切るような辛さ。
その「牛込中央通りエリア」に
またピカピカの新店が生まれちゃったのである。
・・この私のものすごく嬉しいような、どうにもこうにも落ち着かないような気持ちを
どなたか共有してくれませんか?(^^;;)

道が二股になった三角エリアにぽつんと輝く「蕎麦 しおさい」。
店自体はシンプルで落ち着いた外観だが
「常陸秋そば」の幟が2本、賑やかにはためいている。
入り口には製粉機が。
格子戸の向こう、遊女の横顔のようだ。

「しおさいの晩酌セット」という看板が出ている。

生ビール、日本酒、焼酎のうちお好きなお飲物1杯と
焼き味噌、日替わり小鉢、天ぷら(魚介1品、野菜2品)、ミニもりそば
1500円
この看板、実際見るとライティングの関係でなかなか読みづらい。
しかしそんなところに素朴な人柄のようなもの勝手に感じ
(専門の会社に頼んだようなバッチリ完璧過ぎる看板よりずっといい)
微笑ましいような気持ちで店に入る。


(おっ竹鶴がありますよ〜紋屋三田様〜(^o^))
今日はすでに21時近いが、ここは22時まで(L.O.21時)という
お蕎麦屋さんにしては遅い営業時間がありがたい。
最近は店主一人で切り盛りしているだけあって厨房は大忙しだ。
メニュー本を開くと
「奥久慈軍鶏たたき」
「粗挽きそばがき」
「玉子焼き(栃木県鹿沼産真珠卵)」
など美味しそうなおつまみや蕎麦メニューがズラリ。
それ以外にお酒のメニューが別紙で2枚と、
手書きのおすすめメニューもこんなにあるではないですか〜

これだけのメニューをひとりでやっているなんてすごすぎる!(>_<)
せっかくならこの手書きメニューの中から頼みたくなってきた。
「菜の花のお浸し」

「ふきのとうの天ぷら」

4月も半ばとなったがこの「春のごちそう」は二品とも大好物!
浅いゆで具合がパッキリ新鮮でおいしい菜の花と
香り高いふきのとう。
私は「自然の香り」というものに本当に弱い。
でね、食べたいお蕎麦はもう決まっているのです。
「奥久慈つけ軍鶏せいろ」
「みつせ地鶏南蛮そば」
「炙り鴨南そば」
「九条葱そば」
「けんちんそば」
などの美味しそうな蕎麦メニューの中で
まるで電飾がついているかのようにギンギラ輝き私の目に突き刺さってくる、
「二色もり(もりそば・粗挽き田舎そば)」!
まずは一枚目、
「もりそば」


端正な極細の平打ち。
輪郭線がくっきりとても綺麗なので固めのお蕎麦なのかな?と思いきや
予想に反してなめらかくにゅんとやさしい食感。
しかし柔らかすぎる蕎麦ではなく、
絶妙のコシがしっかり受け止める感じがとてもいい。
香りはごく淡い・・いや、淡いのかどうかもよくわからなく・・
実はここで事件発生、蕎麦犬的絶体絶命の危機に陥りはじめたのである。
あのー、以前にも何度か「某利き蕎麦会」や「某恵比寿の蕎麦店」において
この同じ危機に陥ったことを書いているのですが
私、「お蕎麦が出てくると嗅覚が突然それまでの100倍になる」
というおかしな特技というか病気を持っておりまして・・
要はお蕎麦の香りを嗅ぎたいあまりに店内中の香りが
それまでの100倍の濃度で鼻の中に入ってきてしまうという、
本人にとっては時にかなり困難な蕎麦犬現象なのです。
まさに今「もりそば」に対峙したこの時、
それまで全く気付かなかったやたら強烈に美味しそうな磯の香りが
プ〜〜〜ンと厨房から漂ってきて私の鼻腔を染め脳を染め、
それでも何とか蕎麦の香りを見出したい蕎麦犬は
その磯の香りの隙間をかき分けかき分け、
あ〜、なんか微かに香るような・・
ほのかにやさしい蕎麦の香りがそこにあるような・・・?
とはいえ世界はどうにもこうにも磯過ぎる。
っていうかこの磯の正体は何なのだ??
「粗挽き田舎そば(限定)」

おお〜「粗挽き田舎そば」はがっつり太打ち。
ちなみに「もりそば」は二八で「粗挽き田舎そば」は外一だそう。

むっちりとした太打ちの輪郭線。
やや赤みを帯びた明るい肌に浮かぶ粗挽きの白い陰影。
こちらも磯と戦いつつの愛ではあるが
ほんのりとした蕎麦の香りも感じられ
何より噛み締めた時にふっくらふくらむ香りがいい。
これだけの太打ちだがやさしい弾力の蕎麦なので
モゴモゴすることなく粉の味わいを楽しめる。
その時である。
私の後ろのテーブルのお二人に
店主が焼きたてほっかほかの実に美味しそうなものが
運ばれてきた。
「にしん塩焼」!!!
ああああ・・・
アナタだったのですね・・
いいんですいいんです、決してにしん塩焼さんが悪いのではありません、
蕎麦犬がおかしいんです、犬なのにこんなところに入ってくるからいけないんです。
こちらだけでなく全ての干物系をやっているお蕎麦屋さん、
カレー系やっているお蕎麦屋さん、
ゆず切りなど香り高い変わり蕎麦をやっているお蕎麦屋さんなどで
どこでもワンワンのたうち回っているので勝手にのたうち回らせとけばいいんです。
何よりこの店の名前は「しおさい」。
磯の香りがしてあったりまえではないですか〜(^o^)
お蕎麦屋さんで海を連想させる店名は珍しいので帰り際に店主に聞くと
海やサーフィンが好きな店主が思いを込めてつけた名前らしい。
メニュー本の最初にある挨拶文によると
漢字では「潮彩」と書くらしい。

時に不安定な、蕎麦という素朴で純粋な食材を潮に例えてとらえるとは
私には斬新なロマンティシズム!凄い!
店内に満ちる磯の香りもますます心地よく感じられてくるではないか。

超濃厚粗挽きポタージュな蕎麦湯も美味しかったですよ〜
(2014年4月から定休日が月曜+月2回の日曜日に変わったそうです♪)
以前、蕎麦アレルギーにならないように
自宅ではあまりお蕎麦をたべないようにしているとblogで読ませてもらった時、他人事のように思っていました。
........がっ、なんと!本当に食べ過ぎで蕁麻疹が出るように。
毎日のように食べてましたから。
ああ、本当にそうなんだーと思いました。
今はただただ悲しいです(ノ_・。)
でも、お姉様が卵アレルギー治された記事もありましたよね?
励みに、しばらくは愛する蕎麦様とお別れします。あー悲しい!
外人の方と並んで写る写真も素晴らしい!
足が長くスタイルも・・・!
いただいたご両親にも感謝ですね。大切にして下さい。そしてこれからも楽しいコメントを・・・!
なんということでしょう!!
実は私も先月、蕎麦以外の某大好物を食べてアレルギー反応?が出たのでおつらさ痛いほどわかります。
しばらくのお別れはさぞかし悲しいと思いますが、私の姉も卵を断って数年で完治し今はパクパク食べてますし、きっと治る日はきますから頑張ってください!
でも、かくいう私はもし蕎麦アレルギーになってしまったら海外移住しかないな、と本気で考えています(>_<)お蕎麦屋さんやお蕎麦の情報全てが悲しいですものね〜(>_<)!
hirate mikioさま
いつももったいなきお言葉をありがとうございます。
天が二物を与えたかはわかりませんが歌とお蕎麦が好き・・を明らかに超えて運命を感じていることは確かです(^O^)