上田菅平インターからすぐの住宅街にある「いちや」。
住宅街の奥の普通〜!の民家がお店なのだが
「生活感あふれる自宅を改造してお店にしました」
という感じはない。
店主は店としてその家を選び、
ひろびろと、穏やかに営業している。
私は以前上田が誇る超有名パン屋さん「ルヴァン上田店」併設のレストランで
ライブをさせて頂いたことをきっかけに「いちや」さんと知りあったのだが
お蕎麦もお料理も、どこまでも自然なまま洗練された店主のセンスに驚いた。
出会いというもののありがたさ、深さを思う。
そして今夜は、その「いちや」さんが
「ルヴァン代々木八幡店」奥の秘密のスペース「る庵」にて
三日間限定で「出張いちや」を開店しているということで
張り切って予約してやってきました〜
もう「ルヴァン代々木八幡店」は閉店している時間。

こっそりおじゃました気分の「る庵」。
ひえー、「ルヴァン」の奥に、こんな楽しい場所が隠れてたんだ!!
炬燵に柱時計に和箪笥・・・ 泣けます。
エンケンさんに見せたいなあ〜(>_<)♪♪

本日のメニュー。
「いちや×る庵」と題されている。

和紙に印刷されたこのメニュー表をつくったのは「る庵」さん。
かすかな桃色のラインが効いている。
さすがのセンス、素敵!
まずはこんなふうに始まりまして

付きだし
「独活のきんぴら」

「アボカドおろし和え」

どちらもシンプルだが隅々まで行き届いた美味しさ!
あらためて、今日ここで「いちや」の料理に出会えたことに感激する。
アボカドのおろし和えは緑大根という地元の大根のおろしだそう。
「五人娘 生酛仕込み 純米」

「ルヴァン」店主の甲田さんもおすすめのお酒。
私にはなかなかオトナな味わいだが
お料理が美味しいのでつい舐めてしまう。今日は危険ですよ〜(^^;;)
添えられた「芹」がまた美味しい。
すばらしい自然の香りが口の中にやって来た。
朱塗りの椀に胸がときめく。
中に何が控えているのかなあ〜とわくわくする。
日本の器は素晴らしい。

椀盛
「自前ねぎの粕汁 春菊のせ」

蓋をあけると、こんなご馳走が控えていました。
「いちや」店主が近所の畑で育てたネギ、とろっとおいしい〜
刺身
「信州産鹿肉たたき 自家製味噌」

信州で最近知り合った猟師さんから直接仕入れているという鹿肉。
これがものすごーーーーーくおいしくてビックリ!!
ねっとりと密な舌触り。
そしてこのじわぁ〜〜んとした味わい深さ、ほんのりした甘さはなんでしょう・・・
鹿肉はもともと好きだけどこんなにこんなにおいしかったっけ・・?
盛り付けも素敵でただ恍惚。
煮物
「新玉ねぎ蒸し煮 そばの実 菜の花飾り」

今回の器は「いちや」のものではなく「る庵」のものだが
それぞれの料理に合わせた趣向が楽しい。
新たまねぎの甘さに菜の花の香りがさわやかさを添えている。
「ルヴァン」店主の甲田さんが
ソースを付けて食べる用にパンを持ってきてくれちゃいました!
でもルヴァンのパンは美味しすぎるので結局パンだけで食べてしまった私・・・
お蕎麦もパンも、どうしてこうなっちゃうのでしょう(^^;;)

こうばしさとかすかな酸味、噛むほどに味わい深く
「ルヴァン」のパンはやっぱり特別!大好き!
「かきオイル煮、わさび菜」

「いちや」の料理は素材の味がそのままなのが本当に素晴らしい。
簡単なことのようで、なかなか出会えないものなのだ。
牡蠣もわさび菜も大好物ゆえ、嬉しく大切にあじわう。
「のりれんこん」

生のりと和えるとこんなふうに赤くなるそう。おもしろーい!
こういう料理にも余計な甘みが一切ないのが「いちや」の素晴らしいところ。
和食において「甘み」というのは本当に難しいものだと思っているので
「いちや」のバランスにはいつも唸らせられる。
「豆腐の塩麹漬け」

これまた驚きのアイディアメニュー!
濃厚で深〜い味わいと、チーズなどとは違う後味の軽さがたまらない。
こんな絶品のアテがあったらお酒なんていくらでも飲めちゃいますよ!(口だけです(^^;;))。
上に散らしてあるのはエゴマ。
箸洗い
「つけもの」

日本は美しい国だなあ、とずっと眺めていたくなるような盛り付け。
しかも牛蒡と蕪と鶉って・・素材のチョイスが素晴らしい!
そば

きゃー きちゃった!
いよいよついに、数年ぶりの「いちや」のお蕎麦!

明るい肌、端整な細切り。
たぐりあげるとふっとさわやかに墨のような渋い香りがただよう。
口中で感じる輪郭線は角張らず何処か丸みを感じる上品さで、
女性的な印象すらある。
すべすべした肌を噛みしめると程よいコシが迎えてくれ
さっぱりした味わいがスッとひろがる。
以前は長野の蕎麦だったが今日は北海道の蕎麦だそう。
ああ 東京で「いちや」のお蕎麦に出会えるなんて・・・
「いちや」さん「る庵」さん、本当にありがとう(;_;)
菓子
「そば豆腐」

蕎麦豆腐の上に生姜の蜜煮と黒糖。
すごい、冬でも温まりそうな最強のヘルシーデザートだ!
茶道もたしなむ「いちや」店主らしく、最後は薄茶で〆。
懐かしくて 嬉しくて 楽しくて
夢のようなひとときはあっという間に終わる。
でもこの夢の夜には、後日談がありまして。
うひゅひゅひゅ・・・
訳あって「いちや」のお蕎麦は今後さらにもっと進化しちゃうんです! (≧∇≦)/
ああ早くまた上田に行きたいー!
今夜の「る庵」のほっこりレトロな雰囲気も最高だったが
上田の「いちや」の雰囲気にも想いを寄せる。
山の空気。
縁側と大広間。
懐かしいような民家で出会う「いちや」の美しい料理の数々・・
「上田菅平インター」と聞いたらピクッとお耳を立ててくださいね♪
降りたら「いちや」がありますよ〜(^o^)

(お薄♪)
以前、ある方のブログでルヴァンさんにいちやさんの名刺が置いてあると
拝見していたので、何らか繋がりがあるんだろうな、とは思ってましたが。
『オーセンティックバー』の奥で蕎麦とか、
『ラーメンチェーン店』の奥で蕎麦とか、
『バーガーショップ』の奥で蕎麦とか、
『バーラウンジ』の奥で蕎麦とか、
『ワインバー』の奥で蕎麦とか、
『スナック』の奥で蕎麦とか、
『お茶屋』の奥で蕎麦とか。
蕎麦屋然とした中で食べるのは勿論落ち着くのだけど、
意外な状況や、珍しい環境下での蕎麦には
新鮮味がアクセントとして加わるせいか、
楽しい蕎麦になるコトが多いですな。
なにより、「ココは蕎麦屋じゃないけれど、
それでも蕎麦を出したいのだ」というお店の方の
御気持ちや実現までの経緯を聴かせてもらう時の
嬉しさは、かなり大きなものです。
もともと蕎麦屋じゃなかった人が蕎麦屋を開くまでの
お話を聴かせてもらう時とはまた別の興味深さ。
「蕎麦の世界に新しい血が入る」
それは間違いじゃないけれど、
『蕎麦の世界』なんていう画一的なモノがあるんじゃなくて、
蕎麦と出会った人の数だけ独自の世界が出来ていく、
その「違っている」面白さ。
『蕎麦』という『共通のモノサシ』があることで解る意味。
世の中に同じ人が決して二人は居ないことの意味。
その一人一人が同じ『命』を持って違う『生き方』をすることの意味。
いや、
普通の蕎麦屋でも充分一店一店が違ってて楽しいですけどね。
なんかね。そう思っちゃうの。(長い。ごめん)
そういえば上田のルヴァンにはいろんなお店の名刺やカードがありました!意外なところで知っているお店の名刺を見つけたりすると、嬉しくなりますよね。
へえーそんなにいろんな奥蕎麦があるんですか〜。バーにもバーガーショップにもラーメン屋さんにも疎い私には珍しい響きです。「それでも出したい」と愛されている蕎麦を思うと嬉しくなります(^^)