2014年02月12日

神楽坂「玄菱」


久々に訪れる、東京屈指の「渋い手打ち蕎麦屋」。

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狙っているのかいないのか、
その外観の渋さ爆発っぷりはのけぞるほど。

松葉色の暖簾を潜る時は思わず
「江戸で浪人数年目の武士」のようなうらぶれた気持ちになってしまうノリが命の私であるが、
店内には入ればその渋さが本物であることがわかる。


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どこまでも飾らぬ店内。
壁に貼られたメニューの、大胆かつ素朴な文字。

演歌歌手のチラシも貼ってある。

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「せいろ」
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箸先からほわぁ〜と漂う、たくましくふくよかな香り。
みずみずしく、口の中でやや暴れるようなやんちゃなコシ。
これだけみずみずしいと味わいが薄く感じられそうなものだが、
その暴れるみずみずしさの中で
じわぁ〜じわぁ〜と感じる素朴な蕎麦の味わいがしみじみと美味しい。


「田舎」
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懐かしい、玄菱の田舎。
これだけの太さは都内でもトップクラスだろう。

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さきほどのせいろと同じ、ふくよかで素朴な蕎麦の香りに加え、
ぐっとたくましく力強い大地のような香りが押し出されるように感じられる。
あまりの太さに箸でたぐるのも「1本つまんでは引っ張り上げる」という「作業」であり
その食感はギッチリネッチリ、モゴモゴもぐんもぐん。

東京に住んでいるとよく「太い蕎麦はあまり好きではない」という声を聞くのだが
私にとっても毎日太打ちだけという生活はつらいだろう(アゴが)。
しかしそういった太打ち苦手の方には是非一度
「スルスルッと食べる蕎麦のイメージ」を捨てていただいて、
「蕎麦がき」とか「お酒のおつまみ」とか
「雪深い山形でおばあちゃんが打ってくれるおやつ」のイメージで食べていただきたい。
するとアラ〜これはなんと美味しい、面白い、味わい深いものではないですか!
これでもかというギッチリネッチリした食感の中から生まれる
蕎麦の旨みの濃さ、美味しさと言ったらない。
またそれを一本一本汁につけて食べるとまさにお酒のおつまみ、まさにおやつの感覚なのだ。

また「玄菱」の汁は久々に舌にチロッと乗せてみるとビックリするほど個性的なのだが、
この太打ちにつけるとその個性を感じないほど
すんなりおいしいのが不思議だ!魔法だ!


ちなみに遠い昔の記憶であるが
ここの田舎はもともとここまでは太くなかったのだが
店主が常連の要望に答えるうちにどんどん太くなってしまったらしい。
素っ気ないようで、意外とサービス精神旺盛な店主なのかもしれない。


私はいつも一人なので「せいろ」「いなか」「しらゆき」の三色を食べるのが定番だが
2名からなら鍋のコースもある。

ここで熱燗は、タマラナイだろうなあ〜〜!



posted by aya at 12:42 | Comment(0) | TrackBack(0) | 東京の蕎麦>新宿区 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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