谷中に新しく出来たお蕎麦屋さん。

店名を大きく浮かびあがらせたすりガラスが目印。
目立ちすぎずに「何のお店かな?」と目をひくデザインだ。
道路に面した外観はモダンな印象だが
半地下にあるお店は純和風の趣である。

入り口脇にある蕎麦打ち場。

世界に自慢したい、美しい日本の眺め。
店内は奥に長い。

何もかも新しくて綺麗だが、すでにやわらかく落ち着いている。
それもそのはず、こちらは亀戸にあった手打ち蕎麦屋「一休」が移ってきたお店なのだ。
入り口の看板ロゴの隅に「一休」という赤い落款があるのはそのためである。
そしてここの料理は全てびっくりするほど早く出てくる。
空いていたとは言え他にグループ客もいたしさすがプロ。
お店の奥さんも飾らず手早く親切で、自然な接客がとても感じがいい。
「月見いも」

なんてことなさそうなメニューだが、
これは卵がぷっくり膨らんで見るからにいい卵。
食べてみるとまさにその通り、卵も山芋もむっちりするほど濃厚なめらかで
おいしい「月見いも」だった。
「鴨ロースト」

この鴨の香ばしい味わいが大変に美味しかった!
肉質はちょっとはかない感じもしたし
極端に甘みに敏感な私にはたれもやや甘めなのだが、
それを乗り越えてもやたらに気に入ってしまった。
青森県産最高級ステーキ用の鴨使用だそう。
「そばがき」

ほぉー!こういうスタイルなのですか〜
亀戸「一休」ではそばがき頼んだことなかったのでワクワク♪

大きな木の葉型ではなくやや細長いそばがきが5つ、
ほわほわと蕎麦湯に浮かんでいる。
すこし赤みを帯びた肌がやわらかそう。

ほっこりほわ〜〜〜と香る、正統派のかぐわしさ。
食感はエアリーでなく、ねっちりと密な感じ。
噛みしめると端正な、正統派の蕎麦粉のかぐわしさと味わいが感じられ
とてもおいしいそばがきだ。
「せいろそば」

これもそばがき同様、すこし赤みを帯びている。

つるりなめらかな肌、きめこまかい密な舌触り。
噛み締めると「弾むようなコシ」なんていうのとは正反対の、実に印象的な食感である。
なんと言うか・・「軽さ」とも違う、独特のみずみずしさ、軽やかさ。
香りは淡めだが食べ進むうちに甘みが深まり、
だんだん味にも香りにも穀物のたくましさが満ちてくる。
契約栽培の十和田湖産玄蕎麦を自家製粉した蕎麦。
「青しそ切りせいろ」

蕎麦の香りが好きすぎて「変わり蕎麦」には長年興味がなかった私だが
数年前、ある会をきっかけに大好きになった。
考えてみたらしそが大好物なのだから「しそ切り」なんて好きに決まっている。
蕎麦粉の香りを求めるからいけないんです、
大好きなしそをつかったお料理と思うと
それはそれはおいしいんです!

しろい肌に降る青い葉の雪。
清涼な眺めだ。
「手打ち蕎麦 やなか」の「青しそ切り」は
ふわっと軽く、爽やかに香る感じ。
その一方で「せいろそば」には感じなかった生々しさのようなものも少し感じる。
くっきりはっきりした輪郭線は人工的なまでに端正にととのっていて
噛みしめると固めのコシがある。
一本一本が口中をめぐる舌触りがなんともくっきりと印象的な蕎麦。
こっくりとやさしい、すこし甘めのここの汁にもよく合いそうだ。
鴨が美味しかったので
「鴨なべコース」っていうの、気になるなあ〜
やなかで鴨なべ、っていい響き(^o^)
本当に、しそ切りはその眺めだけでも爽やかな風に吹かれた
ような気持ちになれますよね!
田中 進さま
わたしもいつも、遠方のお蕎麦情報はそのように羨んでおります〜。
蕎麦屋さん限定でいいのでどこでもドアが欲しいです!!(>_<)♪