私の胸の奥に宿り、輝きつづける無二の存在。
全国にその名を知られ騒がれようが、
飛行機に乗ってまで訪れる人がいようが、
名店はどこまでも「普通」である。

知らぬ人なら気付かず通り過ぎてしまうであろう。

謙虚に毎日蕎麦を打ち、気取らぬ飾らぬ素朴な店で、
ただ最高に美味しいものを食べさせてくれる。

いつ来ても、その尊さに心打たれずにはいられない。
店内。

秩父がこれほど蕎麦で有名になる前にこの店を開き、
40年以上もここで蕎麦を打ち続けてきた店主。

飴色の時間。

アラッ いきなり「ビール色の時間」になってしまいました(^^;;)
本日は今をときめく東京蕎麦界のプリンス様たちとご一緒させていただいております。
30代から70代まで、知識感性食欲酒欲マックスな皆さまに混ぜていただき
蕎麦犬わくわくキョロキョロしております。
いつもはテーブル席なので、囲炉裏風の小上がりが嬉しいなあ〜♪

「こいけ」定番ビールのお供、揚げそば。
シンプルでおおらかな出し方もとてもいい。
熊本「香露 大吟醸」熊本県酒造研究所

「手打そば こいけ」のお酒はどれもお酒一年生には大人の味・・かな〜?
これはバシッと濃いめで、ひと舐めで脳にきました(^^;;)
「わらびのお浸し」

茹で具合といい、濃すぎない品の良い味付けといい、
最高の「わらびのおひたし」!
このはりパリっとした歯応えと香り・・おいしすぎる(>_<)
「焼きみそ」

先程の「香露 大吟醸」を、今度は燗で。

「山菜の天ぷら」

今日は「山菜の天ぷらがある季節のうちに、こいけへ!」とやって参りました。
わらび、こしあぶら、ふきのとう、アスパラ、たらの芽、こごみ。
ああ山の恵みはいいなあ・・
(やっぱりフキノトウが一番好き〜)
「行者ニンニク」

ワラビのおひたしとは対照的に
行者ニンニクの強い味に負けない、うんと濃い味に仕立ててある。
店主が行者ニンニク好きだけあって、
これはここのお酒のどれもに合う。
「そばがき」

お湯の中に身を寄せる、かぐわしきかたまりたち。

ほわぁ〜んと鼻腔をくすぐる美しい香り。
くちびるを寄せると、うわー・・・比類なきとろとぅる肌に食べぬうちから恍惚である。
舌触りはとろーんとしつつもどこか生っぽい蕎麦粉感もあり、
噛みしめるとほわっとエアリー。おいしいぃぃ・・・・
大阪「呉春」呉春酒造

「そばがきの天ぷら」

そしてついにこの時が
「せいろ」

ああ もう
大げさでなく心臓がドキドキする。
あなたに、会いたかった!!

・・・なんというか・・
ひたすら言葉を失うのであります。
それくらい、飛び抜けちゃっているのであります。
食べたことのない方は、もうこんな私の文章なんてどうでもいいので
とにかく一度食べていただきたい。
もう最高過ぎて何が何だかわからなくなるほど、完璧な王道。
繊細な超絶美。
こんなにも端正で繊細な舌触り・・・
それが美しい蕎麦の香りにつつまれて、口中でハラリほどけては流れる。
その奥に現われるほんのり、しかし凛としたコシ・・・
私は、もう溶けていってしまいそうです、否、もう溶けてしまいたい・・
美味しすぎる!!!
「田舎そば」

あーうれしいよう しあわせすぎる。
大好きな「こいけ」の「田舎そば」。

ピカピカと輝く平打ちの輪郭線。
ずっしりと重量感があり、箸先で寄せた香りは穏やか。
しかし表面に水分をたっぷりとたたえたつるつるの肌を口にふくむと
突然「ぷわぁー!」と香りと味が広がり目が覚めるよう。
こんなにも水分があるのにこんな濃厚な味と香りが生まれ続けるってすごいことだ。
ずっしりとしているが密すぎない、軽すぎもしない。
これは間違いなく稀有な蕎麦だ。
と書いているとしっかりしているようだが先程から私は
「おいしい〜 うーおいしい〜 おいしい〜」と
馬鹿の一つ覚えのように唸り続けている。
もうやめようと思っても「ぷわぁー!」と美味しさが広がり続けるので
口が勝手に言ってしまう。
ここに一人で来たことはないが一人で来ちゃったらお店の迷惑ですね。
店の片隅から念仏のような唸り声が・・・?(^^;;)
そして今月の「変わりそば」は「けしきり」。
「けしきり」

蕎麦原理主義という物凄いあだ名?をつけられたりもしている私。
蕎麦の香りがあまりしない変わりそばというものに長年あまり興味がなかったのだが、
芥子の実って良い香りですよねー♪
ふっくら豊かな香ばしさはフカフカの焼きたてパンでも食べているような贅沢さ。
「こいけ」のは平打ちで、ふんだんに散りばめられた芥子の実が
白いつるつるした肌に映えて美しい。

最高濃度で香る、芥子の豊かな香ばしさ。
見た目でつるつると思った肌は意外にもすべすべとして
きめ細かな石のような舌触り。
変わりそばはつるつる系が圧倒的に多いのでこれまたニクイ肌である。
そのすべすべした肌、ふるふるとしたコシの中で出会う芥子のプツプツ。
もうお腹いっぱいなのですが・・どんどんお腹に入ってしまいます・・・
そして「こいけ」はうどんがまたものすごく美味しいときているのです。
私の胃は本日宇宙のように拡がっています。
「もりうどん」

うわーこの色の濃さ、いかにも弾力がありそうな肌。
見るからに美味しそう!

お、おおおおいしいぃ〜〜
ふくよかな小麦の香り、食べた瞬間舌にひろがる味の濃さ!
つるん ぷるっとした歯応えと、弾むようなコシ、
あまりにおいしくて思わず顔がニヤけてしまう。
練らない捏ねない踏まない半干し、というのおいしさの秘密らしい「こいけ」のうどん。
「こいけ」ほどの名店が、うどんまでこんなに美味しいなんて
本当に悩ましすぎるではないか。
でも一人で来ちゃっても大丈夫(^o^)
「こいけ」には「三色もり」という素晴らしいものがあるのですー♪♪

左から「田舎そば」「せいろ」「けしきり」。
こんなにたくさん蕎麦の写真を載せると一体どれだけ食べたのかと言われそうだが、
私もよく分かりません・・・
(あまりにも夢中だった&はんぶんこさせていただいたりしていたので)
でも同席の男性5人の中で一番食べたのは間違いないらしいです・・ (* ̄∇ ̄*)
もう、もう、どうにも私はしあわせまみれでへにゃへにゃですが
酒宴はまだまだ続きます。
山形「上喜元」酒田酒造

秩父の人たちがオーダーして作った「秩父花暦」というお酒。
五百万石を50%磨いて9号酵母で作ったという贅を極めたもので、
香りが濃厚〜
千葉「岩の井 無濾過」岩瀬酒造


千葉「木戸泉 高温山廃仕込無濾過生原酒」木戸泉酒造

「手打そば こいけ」の店主はきのこ採りの名人でもあるので
次はきのこを狙って来なくっちゃ!
「湿度が高い季節、夏に良いきのこが出る」そうですよ、きゃ〜♪
<お知らせ>

「手打そば こいけ」で修行した巣鴨の大人気店「手打そば 菊谷」では
次期料理長を志望する、蕎麦職人・料理人の見習いの方を募集しています。
詳しくは「菊谷」店主ブログ
写真は秩父にある菊谷の蕎麦畑にて、蕎麦の花♪
(と私の手〜(^^;;))
めちゃめちゃ美味しそうですね。(*^o^)/\(^-^*)
またお邪魔しますね。
失礼します。