2012年10月03日

赤羽橋「蕎麦切宮下 三田綱町」


港区三田の坂道にドーンと現わる、広大な西洋屋敷風の構え・・

これは何だろう?

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イエ、まさかお蕎麦屋さんではありませぬ。

答えは

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なるほど。
元は松平隠岐守の中屋敷があった場所に建てられたイタリア大使館。
広大な庭は澤庵和尚の設計による17世紀造園当時の面を残し
今も東京有数の名園だそう。
日本庭園好きとしては是非見たいものだ。


そのイタリア大使館のまさに真向かいの闇に
鮮やかに浮かぶ白い暖簾がある。

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「蕎麦切宮下 三田綱町」。

今やどんどん店舗を増やしている「暗闇坂宮下」が出した蕎麦屋である。
揺るぎなき歴史を持ったイタリア大使館に対峙しても見劣りせぬ存在感。
ここに、こんな簡素で美しい和の洗練を現してくれたことに
感謝したいような気持ちである。

簡素と書いたが空間としてはかなり贅沢である。


入り口付近のスペースのがすでに贅沢。

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店内も広々ゆったり。

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奥には予約専用らしい個室風の空間が2部屋?もある。

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夏のビールは美味しいが秋のビールも美味しい。

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(ビールは毎度ひと口飲んじゃってから慌てて撮影する私(^^;;))





「ざる豆腐」
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ざると言ったからにはざるで出してくれる。
日本の器ってすごいなあ、美しい演出だなあ
イタリア大使館の人にも見せたいなあ。

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クリーミーで甘いなめらかな豆腐。





「そばがき」
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かなり大きな器に盛られてきたそばがき。
でもその向こうの片口型の取皿がえらく気に入ってしまい釘付けの私。
蔓植物の絵柄に弱い。形もいい。

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ねっちりと密な珍しい質感。
香りや風味は今ひとつなのだが、
粉感もすこし感じる食べ応えのある感じが
田舎らしい趣・・かな?



本日のおすすめメニューより
「津軽鴨 タタキ」
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極薄いけれど脂が甘く濃厚。
これはお酒のおつまみとして素晴らしい。




「ざる豆腐」と「そばがき」についてきた汁が蕎麦汁だったので
普通の蕎麦汁がつく「せいろ」ではなく
胡麻汁がつく「胡麻せいろ」を頼んでみる。

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むむむっっ
この蕎麦の色は!?
そしてこのツヤ、輪郭線は!?


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東京ではあまりお目にかからぬ、やや黒緑がかった色。
なめらかそうに光る肌。
あなた、もしかして・・・?

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ふわりと鼻腔をくすぐる香り。
つるりぬるりと口中を巡る、パッキリとした輪郭線。
まさに「布海苔」を用いた新潟の郷土蕎麦である「へぎ蕎麦」にそっくりなのだ。

親切な店員さんが担当してくれたので思い切って聞いてみた。

「これは普通のお蕎麦と大分違いますね〜、布海苔が入っているんですか?」

「それは企業秘密でして」




(◎_◎;) (◎_◎;) (◎_◎;)





もともとは日本料理がメインの宮下の経営であるから
汁がたのしみなところ。
胡麻汁は香り高く甘さもボリューム感も程よく美味しい。
つけて食べていたらつるつるお蕎麦があっという間に無くなってしまった。

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がっっ
普通の蕎麦汁はものすごい個性派であります。

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なんというか・・・鰹が爆発しております。
それもかなり生々しい感じです。
料理屋さんの出した蕎麦屋ということで
個性を出しているのかな?


こちらは「けんちんせいろ」のつけ汁。

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脂が全く浮いていないすっきりと澄んだ汁が印象的。
豆腐は入っておらずそのかわりに一口大のそばがきが入った、
「蕎麦屋のけんちん汁」だ。
食べてみると・・この汁がまた個性ぶっちぎり!!
おそらく先程の蕎麦汁とベースは同じだと思うのだが、
温かくなると鰹の生々しさがより拡大され・・・
具としては精進風なのだが、香りは容赦ない漁師風であります。


この「蕎麦切宮下 三田綱町」は店舗としては
自由が丘にかつてあった「蕎麦 衾」が移転したもの。

自由が丘の古民家の佇まいもすごかったが、
今度のお店も相当ユニークだ。
入り口の風情から店内の雰囲気、お蕎麦まで、いろいろ驚きが多かったが、
こういうちょっと変わったお店があるのも面白いんじゃないかな〜


でも一番のびっくりは
「蕎麦粉がひとかけらも見当たらない、ショーウィンドウのような蕎麦打ちスペース」
だったかも!

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外国の人には、何のための空間か
想像つかないでしょうね〜






.
posted by aya at 19:47 | Comment(9) | TrackBack(0) | 東京の蕎麦>港区 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
え〜!!衾さんが移転してたのですか。
衾さん、一度行ってみたかったのですが残念。
でも新しい場所で新しい楽しみができました!
そのうち機会をみて行ってみます。
Posted by 25¢ at 2012年10月04日 16:00
すっごく綺麗なお店、蕎麦、内装、器・・・
素敵だな・・・
必ず行ってみよう
 美味しいと嬉しいな!!

でも、なんか お尻 ムズムズするかな

増えたな 素敵な蕎麦屋
Posted by at 2012年10月04日 19:46
25¢さま
行きたいと思いつつなくなってしまうと涙ですが移転なら楽しいですよね!ちなみにイタリア大使館があるために近所の普通っぽ〜いトラットリアがものすごく美味しそうに見えてしまい未だに気になっております(^^;;)
Posted by aya at 2012年10月04日 22:24
?さま
ムズムズは、しないと思います〜(^o^)
店構えはすごいですが中はリラックスできる居心地の良い雰囲気です。美味しいといいですね♪
Posted by aya at 2012年10月04日 22:31
「鰹が爆発しております。」という、つゆの感想。
昔『なだ万厨房』で感じた「溢れかえる様な旨味」のつゆを思い出しました。

暗闇坂、もうどれだけ行っていないか……。
Posted by TC at 2012年10月04日 23:47
新潟のへぎ蕎麦にそっくりっていうことは、
本当は蕎麦打ちスペースいらない系でしょうか?

でも、美味しそうです。

久しぶりにへぎ蕎麦を食べたくなりました。

小嶋屋に行ってきます(笑)
Posted by 蕎麦めし at 2012年10月06日 00:21
蕎麦汁もお店ごとに個性があるので、楽しみの1つです。
鰹が爆発・・・そば湯で割ると凄く美味しいくないですか??

シンプルな店内いいですね、お盆とセイロの組み合わせもスッキリしていいな。。

Posted by やまもと at 2012年10月15日 03:07
TCさま
爆発と書いたからにはそれなりの激しさも込めたつもりであります・・「溢れかえる様な」もなかなかスゴそうですねっ

蕎麦めしさま
いろいろと謎めいた感じはありますが、そこはこの店のイメージには合っているかもしれません。小嶋屋私も好きですよ〜♪
Posted by aya at 2012年10月16日 15:55
やまもとさま
「まろやかな鰹の旨み」を超越して「爆発」しておりましたので、蕎麦湯が入って熱が加わるとそれはそれはすごいことになっておりました・・小さな声で、申しますと私はちょっと苦手でした・・熱が加わると変わりますよね〜
Posted by aya at 2012年10月16日 16:08
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