2012年08月13日
浦和「 庵 浮雨(un peu)」
私はどちらかというと古典好きである。
落語の話ではない。
(落語は新作も古典もどっちも大好き!)
例えばインテリアはモダンよりクラシック好きだし、
今の季節、浴衣は涼し気な古典柄をしゃっきり着たい。
「和風を現代風に楽しむ」というような
アレンジものに対しては、あまり柔軟に対応出来ないタイプなのだ。
食べるものに関してもそうで、
例えば和食屋さんでメインのお魚がちょっと洋アレンジの調理法だと
がっかりしてしまったりする。
なのでお蕎麦屋さんにおいても、
できるだけ何でも純和風であることを願ってしまいがちだ。
しかし「庵 浮雨」に来るたび私は考えを改めざるを得ない。
元はフレンチ出身の店主の、その料理の飛び抜けた上手さ。センスの良さ。
普通の蕎麦屋にはない個性的なメニューたちが、
軽々ヒョイッと、全部美味しい!
お通しとして出される「おから」。
小さなお通しながら、のっけから衝撃の一皿である。
ブラックオリーブが顔をのぞかせているだけあって
純和風のおからではない。
「オリーブオイルと塩でシンプルに味付け」
と聞くとだいたい味の想像はつくし
「自分でも作れそうだな」なんて思ってしまいそうだが
ノ〜〜ン、ノンノン!!
全く想像を越えた、なんとも中間色の最高に美味しいところを突いてきている。
作る過程においてのすべての「加減」が上手いとしか思えない。
うーん参った。おいしすぎる!!
おからを食べながらも、目はまだまだメニューから離れない。
なにしろここは店主の腕が鳴って鳴って仕方ない店なので
おいしいおつまみがそれこそごっちゃりとあるのだ!
「定番の野菜料理(all ¥320)」というメニュー。
今日は
「自家製濃厚豆腐」
「ゴボウのマスタードマヨネーズあえ」
「トマトのおひたしサフラン風味」
「みょうがのピクルス」
「ブロッコリーのアーリオオーリオ」
「きのこのマリネ」
などなど。
均一価格というのが立ち飲み屋さんぽくて、
そして「庵 浮雨」の店主らしくて楽しい。
私が選んだのは、
「自家製濃厚とうふ」
世の中に濃厚豆腐は数あれど、この超濃厚クリームっぷりは物凄い。
もったりずっしり、なめらかトロどろ〜〜
普段私は今流行りの濃厚系豆腐よりもややすっきり、
くらいの豆腐が好みだが
「庵 浮雨」の豆腐はそういう次元の話ではない。
これはもうフレンチといってしまいたい食感とクリーミーさで、
その上店主はこんなことをしてくる。
小さなガラスのピッチャーに入れられた、香り高いオリーブオイル!
「豆腐がこんなにクリーミーなんだからこれ以上オイルなんて・・」
と思うなかれ。
これがむちゃくちゃ合う!!
超シンプルながら世界に自慢したくなるおいしさだ。
アラン・デュカスよ今すぐ浦和に来るべきです。
「洋風小皿料理」も均一価格。
これは
1p ¥420 / 2p ¥790 / 3p ¥1100 /5p ¥1700
となっている。
本日は
「ブリの炙りカルパッチョ」
「イナダの洋風なめろう」
「イカのわたクリームあえ」
「エビとアボカドのオーロラソース」
「たらこのスモーク」
「地どりのささみの洋風とりわさ」
「鴨のスモーク(+¥100)」
「豆腐チーズ」
「酒盗クリームチーズ」
「ミモレットチーズ&わさびづけ」
蕎麦屋のおつまみとしてこれだけ楽しい自由自在さは
そうないだろう。
あまり迷わない私がかなり迷って、2p選ぶことにした。
「ブリの炙りカルパッチョ」
想像したよりずっと肉厚のブリ。
炙った挙句にカルパッチョですよ。
はじけるピンクペッパーと炙った香ばしい香りがおいしい。
「鴨のスモーク(+¥100)」
「燻製したてだし、今日オススメです」と言われた通り
この鴨のスモークはおいしすぎる!!
ふっくらとした肉が燻製のかおりで染められて
肉がおいしい!香りが美味しい!脂がおいしい!
店内には他のお客さんもいたのに「おいしい〜っ おいしい〜っ」
つい声が出てしまう。
もう〜、なんで上手な人って何作っても上手なんだろう。
これはもう、ニクイほどのおいしさだ。
「せいろ」
来たぁー 来ちゃったぁー
今日はこの後冷かけなども食べたいので「半もり」にしてくれました。
埼玉の新蕎麦(夏蕎麦)。
ぶわぁーっと押し寄せるように香る、たくましいかぐわしさ。
しっとりやさしいざらつきと、やさしいけどしっかり受け止めてくれるコシ。
はああーなんでしょうねえ このおいしさは。
むっちり濃厚、たくましいのにどこまでもフレッシュな印象の香りなのは
やはり新蕎麦だからなのだろう。
こんなおいしい「せいろ」であるから
また例によって汁は一度もつけなかった大悪党高遠だが、
ここは汁がまた絶品なのですよ。
蕎麦汁としてのうまみの要素全てが、完璧なバランスでギュッと濃縮されたような。
も〜ほんとに、上手い人は何作っても上手いんだから〜
「トマトの冷かけ」
顔を近づけただけでパーンと香る、フレッシュな青い香り。
オリーブオイルもトマトも、なんと軽やかに美しく香っていることか。
食べてみると出汁のおいしさにまたヤラれる。
すっきり美味しい汁と、香り高いオリーブオイルとトマト、
やさしいざらつきのあるキュッとしまった蕎麦が
ひんやりサラサラ〜と体に入ってくる。
ひゃー、こりゃおいしいよ!
「かけ」
普段あたたかい蕎麦をほとんど食べない私だが、
店主の話を聞いていて食べたくなった。
蓋付きなんですね〜
開けたときの香りが楽しみ!
ほっわぁーん・・・・
柚子と出汁の香りが私を全部包むよう・・・
そしてね、私「かけ」の経験値は相当低いんですが
なんだかんだか、「庵 浮雨」の「かけ」はめちゃくちゃ美味しいんです。
普段私にとって「かけ」という食べ物は
「味が濃すぎる」とか「やや甘い」とか「出汁の感じがちょっとイヤ」とか
なんのかんのと難癖つけては
「やっぱり何も着ていない冷たいせいろさんに会いたい」
という切なさだけが残る、そんな食べ物なのだが・・・
「庵 浮雨」のはそんな切なさは全く感じないうちに
おいしいおいしいと食べ終わってしまう。
出汁のおいしさ、蕎麦のやわらかすぎずふっくらした食感と穀物の甘み。
おいしい「かけ」はおいしいんだなぁー!!
「パンナコッタ」
小さな小さな蕎麦猪口で出される食後のデザートがかわいい。
あ、比べないと分からないですよね。
も〜上手い人は演出まで上手いんだから〜
私がめくるめくおいしい時間を楽しんでいる間に
この小さな店にはひっきりなしにお客さんが訪れ、
入れ替わり立ち代わりそれぞれの蕎麦を楽しんでは帰っていった。
(やっぱり一番人気は「肝せいろ」だったかな?)
中には、タイミングが悪く入れなかった人もいれば、
のんびりじっくり一人晩酌を楽しんでいた人も。
名店は、浦和駅前CORSO裏の「ナカギンザ通り」。
浦和は上野からJR東北本線で19分ですよ〜
2011年04月の「庵 浮雨(un peu)」
2011年03月の「庵 浮雨(un peu)」
2010年08月の「庵 浮雨(un peu)」
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せいろをおかわりするほど、つけ汁おいしかった。
また行かなくちゃ。
御主人から、地元の『蕎麦も出すお店』のコト、
きかれましたか?
『庵 浮雨』の定休日に浦和に行くと、私はそこで
呑んで食べてます。
最近、よく浦和を歩くんですわぁ。
あと青山〜表参道〜渋谷あたり。
新しいお店が出来てます。
早く歩き回りやすい気候の秋が来ないかな〜。
そうそう、あの肝せいろの汁は、絶対お蕎麦足りなくなっちゃうおいしさですよね!
ごはんにかけてもおいしそう(^o^)
TCさま
蕎麦も出すお店、ききましたききました。行かれているのですね〜
青山、表参道ですか、あ、そろそろ美容院行かなきゃ。こう暑いと、行動が制限されてきちゃいますよね(>_<)