
ハイシーズンには車の行列ができるほどの人気店だが
本来はごくのんびりとした、住宅街の奥の蕎麦屋である。
「手打ちそば工房 若月」。
暖簾には店名よりも大きくバシッと「名代 霧下蕎麦」と書いてある。
霧下蕎麦というのは、はっきりと分類できるものでもないのだが、
要は畑に霧が立ち込めるような環境で育った蕎麦、ということである。
蕎麦の栽培には「昼夜の温度差が激しい寒冷地」、
しかも「水はけのよい高地」が一番適しているとされている。
そういった土地には朝のうちに霧が立ち込めるため、
霧の下で育つ蕎麦、霧下蕎麦と呼ばれるようになったのだ。
長野の開田高原、戸隠高原、妙高高原、そしてここ黒姫高原などの蕎麦が
その名で名高い。
よってここの「名代 霧下蕎麦」というのは
何か特別な打ち方をしているとか、
規定にしたがったブランド蕎麦とかいうことではなく
この黒姫あたりのおいしいお蕎麦ですよという、
非常にのどかな話なのだ。
私が到着した時、入れ替わりに近所の人らしいお客さんが店を出た。
割烹着の店のおばちゃんは、尽きぬ話を店の外でも続けては見送っている。
店内には誰もいない。
広々と、静かな午後。

まずは漬物でもてなしてくれるのがやはり長野だ。

壁のお品書きの横には
蕎麦打ち姿のおばちゃんの写真が
額に入れて飾ってある。
おばちゃん、綺麗に写っていて
とてもいい写真だ。

「ざるそば」

ざるいっぱいにひろびろ豊かに盛られた、
心和む田舎風景。

赤みを帯びた、軽そうな肌。
赤い蕎麦というのはどうも警戒しがちだが
箸先にたぐれば杞憂とわかる。
ひんやりさわやか、それでいてたくましいかぐわしさがふわぁー
ビシッとしっかりしめてあるのだが
食感はふるふると軽やか。
これはなかなかありそうでない蕎麦だ。
これが、黒姫の霧下蕎麦なのだ。
この店がここでずっとこうして愛されてきたのだから、
黒姫の霧下蕎麦とはこういうものなのだ、と思う。
やや不揃いな感じもあるが、
それは私にとっては全く欠点ではないので
(いろいろあって楽しいではないか)
ただただ堪能、ああ おいしいなあー

厨房では、先程から揉め事でもあるのか
ちょっとした喧嘩のようなものが聞こえる。
聞くとはなしにしばらく聞いていると
それは体の何処だかが痛いおばちゃんを気遣って、
働くな、体を使うな、とたしなめる人の声だとわかる。
おばちゃんが言う事を聞かずに働くので
つい声を荒らげている。
働き者が癖になっているおばちゃんと
心配する家族。
おばちゃん、お蕎麦美味しかった。
お漬物も美味しかった。
また、来るからねー
2012年7月のライブ出演のお知らせ
メニューに揚げ凍り蕎麦が見えないけれど、今はやめちゃったのかな (x_x)ゞ
名店と言えば信濃町ICを出てすぐのチョット高台にあったお店は良かったのに、店主が他界して長い事荒れ放題だったが今は樹香IC店とやらになっています。仁の蔵は行かれましたか? 大した事はないですが蕎麦の栽培農家(組合?)が出したお店で、昔はその玄蕎麦が移転した名店やら若月さんやらに行ってましたよ。
長野は蕎麦屋が多過ぎだ !? (>_<)
仁の蔵は何度か候補にあがりつつ時間の都合で行かれず・・ほんとに長野はお蕎麦屋さんが多すぎてまったくオチオチできまへん!!今思えば沖縄では私は大変ぼんやりしてました。ぼんやりできました(^^;;)
コメントありがとうございます。
黒姫がお好きなのでしょうか?
また遊びにいらしてくださいね!