
灼熱の練馬区南大泉。
住宅街に佇む美しきオアシスには
12時前に「本日の蕎麦は売り切れました」の看板が立つ。
この泉の水を知る人が静かに憩う空間。


お酒は美しいガラス器で
「大信州 純米大吟醸 」

昼のおまかせコースより
「胡瓜漬」

「秋刀魚の酢漬け」

この時期の秋刀魚、そして酢漬けとくれば
私好みど真ん中!
「人参のきんぴら」「ポテトサラダ」

ころんとまあるく仕立てられたオシャレなポテトサラダ。
上にかかっているのはバルサミコかな?と思いきや
ウスターですよウスター!
こうこなくっちゃ、と感激に泣くオジサマもいるのではないだろうか。
ポテサラというものにそれほど興味がない私だが
このポテサラは何だかやたらと美味しい。
玉ねぎの風味が実に爽やかで、じゃがいもの素朴な味わいが豊かで、
あれーポテトサラダってこんなに美味しいものだったっけ?
「ささみの風干し」

最初ほんの一瞬コワイと思ってしまったのだが
(恐竜がいた頃の動物のイメージ?)
鶏のささみである。これがおいしい!
まるで燻製のように香ばしいのだ。
「蕎麦豆腐」「キャベツの漬物」

「夏野菜の天ぷら」

これはメニュー表で美味しそうだったので追加注文、
「砂肝煮」

美味しい焼き鳥の味わいのようでもあり、
ワインに合うフレンチでも食べているような気にもさせられる
ぎゅーっと濃厚な旨み!
蕎麦は季節の「トマト蕎麦」と「せいろそば」、
2種やってくるという嬉しさ。
「トマト蕎麦」

鮮やかな絵画のような眺め!
ことり、とテーブルの上に置かれただけで
トマトの甘い香りがふわぁーっと漂う。
トマトの青い香りというよりは、
フレッシュなトマトジュースのイメージの甘い香り。

味わいはごくすっきりとシンプル。
青紫蘇のみでアクセントをつけているのが実に心憎い。おいしすぎる。
さらさらひんやりしたトマトのジュースの中に
粗挽きのしっかりした蕎麦が泳ぐ、真夏の午後の夢。
しあわせだ・・
今日ここに来て良かった!
「せいろそば」


粗挽きの素朴な肌と直線的なラインが美しい、
「そばきり すゞ木」らしい「せいろそば」。
手繰り上げて思わず小さく「おいしい!」。
やや枯れたイメージの独特の香ばしさがふわりと迎えてくれる。
見た目の通りのしっかり固めの歯ざわりで
噛みしめると粒の中からまた別のふっくらした香りが生まれ続ける。
口中を無数にくすぐる粗挽きの粒感がたまらない〜・・

デザートは熊本のスイカ。
ノスタルジックな手毬の器がぴったりよく合い
「にほんの夏はいいなあ〜」と
最後まで楽しい気持ちにさせてくれる演出だ。
店を出ればまた目も眩むような灼熱地獄。
しかし往時の半分もつらくない。
オアシスで得た潤いは、どうやら駅までは保ちそうだ。