2011年03月02日
禁断の「家蕎麦」
「蕎麦ト名ノツクモノ城内二持込ムベカラズ」
を家訓としている私。
蕎麦茶、蕎麦粉入りパン、蕎麦ガレット、炒り蕎麦茶のトッピング・・・
蕎麦が入っている事を知らなくても体が勝手に感知するのか
あまりの美味しさに目がランランとして猫にマタタビ状態になり
そんなものが家にあった日にはそればかり食べてしまう。
外でも蕎麦、家でも蕎麦では、私は今に蕎麦になってしまうではないか。
同じ食品ばかり摂ることはどう考えても体に良くないし、
大量摂取は食品アレルギーのきっかけにもなる。(蕎麦アレルギーこわい)
リンカランwebでの「やたらにしあわせ蕎麦」連載時のキャッチコピーは
「蕎麦ばかり食べてドクターストップがかかったシンガー」。
正確ではないが嘘ではない。事実、そういう過去があったのだ。
というわけで冒頭の家訓となるのだが、
今回のような特例は、大、大歓迎!
先日高円寺「次郎吉」で共演させていただいた
日本が誇るスーパードラマー、村上ポンタ秀一さんのご紹介で
ご縁ができた水戸のKKさん。
「ご趣味で」蕎麦打ちをされているとのことで
こんな素晴らしい贈り物が!!
なんと泣けます「当日便」というのがあるのですって。
今朝、水戸で打たれたばかりのお蕎麦さん達が
夕方には東京の私の自宅へ到着してしまった。
汁と、丸大根までついているではありませんか。
こんな美しい宝物の到来、
お蕎麦を茹でるのは本当に久々だったし、
茹でる前は大変に緊張いたしました。
「家で一番大きな鍋」
「笊」
「洗い用の大ボウル」
「シメ氷水用の大ボウル」
「ほぐし用菜箸」
「お蕎麦すくい上げ用網(粉ふるいで代用(^_^;)」
を準備。
薬味皿や猪口やお箸もテーブルにセットし、
大変丁寧な説明書をつけてくださったので、傍らの見えるところに置いて
タイマーOK、いざ!!
うわぁ・・・
なんとしっとりと繊細な、美しき宇宙。
押えきれぬ思いで手繰り寄せると・・
エッ
なんですかコレーッッ!!!
美味しすぎませんかーー?!
見るからに、あまりに美しいので覚悟はしておりましたが・・・
鼻腔を抜ける、切ないほどのかぐわしさ。
かすかな刺激を帯びた薬草のような、個性的な要素を含んだ鮮烈な蕎麦の香り。
口の中いっぱいが爽やかな蕎麦の風味であふれるようだ。
でも、しかしですよ・・これは少々、茹で過ぎかも?
説明書通り40秒茹でたのだが
きっと揚げる時にモタついているとか、ボウルが小さいとか
素人ならではの落ち度があるに違いない。
でもねー、お蕎麦はまだいっぱいあるんだー!
さあっ おかわりは、30秒で♪
↓
<30秒蕎麦>
やっぱりさっきよりおいしい〜!
色も一層美しい緑になった。
でももう少し攻められそうな・・・
次は思い切って、15秒、いっちゃおうかな・・
↓
<15秒蕎麦>
ああ・・これまた素晴らしい・・・
最初びっくりしたかぐわしさが、
さらにどんどん増しているとはどういうことなんでしょうか。
こんなに美味しいものが家で食べられている今が信じられない。
しかし。
やはりどうしても、やってみたい、挑戦したい。
次は「6秒」で!!
(K市S庵の真似〜)
↓
完成、「6秒蕎麦」である。
なめらかな肌。
端整な細切りの輪郭線。
完全な美に、息をひそめて見入るひととき。
箸先に手繰りあげずとも、ただ対峙し眺めているだけの私に
フワーッとかぐわしさが漂ってくる。
口に含むとかぐわしさは味わいとなって舌の上に溶け出し
口中いっぱいが青い青い蕎麦の夢に染まる。
ああ・・KKさん、ポンタさん、ありがとうございます・・
驚きは蕎麦だけではなかった。
この汁。
どうにもこうにもやたらと美味しい。
普段蕎麦には汁をつけずに、蕎麦だけ食べている罪を自白済みの私であるが
蕎麦後の余韻、蕎麦湯のお伴として汁は大切な存在。
汁は蕎麦以上に人それぞれの好みが異なる難しいものだと思っている。
蕎麦と汁を一緒に味わっていない私の偏った意見ではあるが、私の好みとしては、
汁は「甘いとか甘くないとか出汁が美味しいとかいう個性を、一切感じない汁」がいい。
しかし、このKKさんの汁は舐めた瞬間、「ええ!?これおいしいー!」
と感じてしまう稀有な汁。
たまに気が向いて蕎麦を汁につけると
99.9%「つけなければよかった・・」と思ってしまう私だが
この汁はつけて後悔しないどころか、つけたらこんな別の世界が!なんて美味しい!
でも、やっぱりつけないで蕎麦だけ食べたい、でもつけても食べたい、ああもうお腹いっぱいだし、ああ・・
と私の心から穏やかさというものを全て奪い去ってしまう罪な汁であった。
食後は、もちろん。
「家蕎麦につきやりたい放題」のシメとして
これでもかと煮詰めて濃くした「蕎麦湯」!
蕎麦湯が何故か
「すごく美味しいホクホクの栗の味」がしたのは不思議。
無理矢理グラグラ煮詰めたせいかなあ。
お腹いっぱいなのにその風味がなんとも美味しくて
そのあと延々と飲む飲む、止まらない。
時間も量も制限のない「家蕎麦」は、やはりこんなにも危険なのである。
KKさん、ごちそうさまでした!!
近く茨城へおいでの方は、この本是非おすすめですよ〜
*高遠彩子3月〜5月のライブ出演予定*
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