
千葉県は館山市を走る、館山バイパス。
この国道沿いには飲食店が非常に多いのだが
その中でも「そば処 梵」の存在は目立っている。
(よく考えたら私にとっては全ての蕎麦屋が目立っているのだが)。
棕櫚の木と青空がいかにも房総南部、
明るい気分にさせてくれるではないか。
何にせよ、この店は流行っている。
こんな目立つ場所で気軽に手打ち蕎麦が食べられるのだから
家族連れにもカップルにもツーリングのグループ客にもそれは便利だろう。
ドライブで疲れた体には、回転寿司やラーメン屋の落ち着かない椅子ではなく、
足を伸ばしてくつろげる広々した座敷席がありがたいものだ。

丸いせいろにゆるやかになみなみと、
「もりそば」。

むんっ、と濃厚な香り。
椎茸などに代表されるように、
食品は干すと味わいが深まり香りが濃厚になるものだが、
この蕎麦にはそんな濃厚さがある。
乾麺でもおいしい蕎麦はあるが、それに近い味わいかもしれない。
食感は柔らかく、つゆも甘めなので
これは老若男女に食べやすい蕎麦だろう。
店内を走り回りつつも笑顔を忘れない
お店の人の感じの良さも印象的だ。
南房総の山の中にあったころはどんな店だったのか、
行かれなかったのが今になって少し悔しい思いである。