まだお正月の晴れやかさの残る青空。

「蕎楽」の前のバス停に降り立った私の心は
それより更に晴れ渡っている。
大好きな「蕎楽」!
しあわせに満ち足りると余計なことは何も考えられなくなるものだ。
今日は超のつく蕎麦好きのまゆきちと一緒なので
どんなに挙動不審でも大丈夫!(もっとまずいのでは)
ふたりして歓喜の奇声をあげつつ「こんにちはぁ〜」。
ああうれしや久々の「蕎楽」。
のんびり広々とした店内だが
ここの蕎麦打ち場をよく見ればこの店主が普通の人でないことはバレてしまう。


手短に説明するのは大変難しいが
「蕎楽」の店主は開拓者であり発明家でありいたずら坊主!
そのアイディアと行動力はとどまるところを知らず
もと電気屋という技術もあって思いついた機械を自分でどんどん作ってしまう。
現在は「蕎麦屋」であると同時に「石臼屋」でもあり
この店主の目立て(どんな蕎麦が挽けるかを決める石の刻み)による
石臼は数々の名店でも使われているのだ。
私の下手な説明よりも、蕎楽のHPの「石臼研究所」のページ。
ほ〜ら、スゴイことになっちゃってるでしょう?
その店主が目をキラキラさせて「今おすすめだよー」というからには
大喜びで注文しました、「ゆり根のかき揚げ」。

日常すすんで天ぷらを注文しない私だが
(実はあまり胃が丈夫でない)
「蕎楽」の天ぷらは本当に美味しいので、いつも必ず。
サックサクで美味しい!
ゆり根、いいなぁ〜
そして「蕎楽」ではこの
「舞茸天ぷら」を食べずしては帰れない。

「蕎楽」は舞茸には力を入れていて、その美味しさには毎回驚かされる。
これは「蕎楽」が惚れ込んだ、群馬の山奥で栽培されている舞茸。
勉強熱心な家族経営農家のものだけあって
大資本ものとは香りが違う、大きさ、食べ応えが違う!
舞茸好きにはたまらない絶品天ぷら。
しかしこんな美味しい天ぷらを前にしつつ、
私の心はもう先程から雪の結晶のように純粋に透き遠り
それが風車のようにくるくるとまわっているイメージでいっぱいである。
何言っているのだか訳わからないと思うが
自分でも何言っているのだか訳わからなくなる程、
要は「蕎楽」の蕎麦が好きすぎるのだ。
もうすぐ会えると思うと言葉にならない。
ああ今、眼の前に。

「彩美そば」、その美しさよ。

写真ではその貴さが伝えきれないのが誠に残念である。
しっとりとおとなしい印象ながら、見入ればその肌の「特別さ」にハッとさせられる。
繊細な凹凸を持った肌、そこにゆらめく白い影。
たぐりあげ、香りを寄せてまた目が冴える。
美しく透き通る香り!
蕎麦の香りの美しいところだけを清らかに浮かべている。
見た目に反してちゅるちゅるとした喉越しの良さ。
ウワーこれはしあわせ。今日来てよかった・・・
2枚目「全粒そば」。
(ちなみに今回は全てまゆきちと1枚を半量ずつ。それでもこのしっかりした量だ)


「彩美そば」よりもぐっとたくましい印象。
まだ口に含まぬうちから、ふわ〜〜〜と漂う香ばしい香りがたまらない。
しっかりとした歯ごたえ、力強い風味。
3種ある蕎麦の中ではこれがいわゆる「田舎そば」のような性格になるのだと思うが
それがどこか品の良い、優等生な印象であるところが面白い。
3枚目「十割そば」。

ウワー
これは・・・
今回は行く前から店主より「今、蕎麦とてもいいよ」と聞いていて
期待はしていたが、うーん、この眺めの素晴らしさときたら!!

ドキドキする。
こんなにもこんなにもこんなことをされては、私はドキドキする。
(ついに故障)
ああああ なんですかねこれは!!
繊細に震える輪郭線、素朴な凹凸。
優等生な印象の「全粒そば」というのも面白かったが
「十割そば」としてこの眺めはさらに意表を突かれるではないか。
はかなく繊細な粗挽き。
しかし静かな存在感は凄みがあるほどである。
手繰り上げると、お?意外にも香りは淡い。
眼を閉じて探る。何かある。
下から静かに、これまた意表を突かれる個性的な香りが浮かんでくる。
ざらつきつつしっかりと密な歯ごたえ。
その奥に潜む、掴みどころのない不思議な香りを追いかけ
あああああ、しあわせだぁー
大好きだぁー 蕎楽。
食後は「蕎楽」定番デザート、蕎麦アイス。
しかし今日は興奮しすぎてフガフガ空気まで食べまくったか
お腹がいっぱいでどうにも入らないのでこれはまゆきちだけ。
でもそこはまゆきち、何もかもお見通しで
「あやちゃん、蕎麦の実のとこ食べたいでしょ?」
と一口くれた(^_^;)
「うん、そこ食べたい」と子供のように図々しくもらう私。

茨城県といってもすぐそこは埼玉県という最も東京に近い地域。
「東武動物公園」駅前から「境車庫」ゆきバスに乗れば
40分で店の真ん前に着いてしまう。実に簡単だ。
今年は蕎麦の出来がよく、今「蕎楽」にはとてもいい玄蕎麦が入っているそう。
今度の休みはのんびり境町、いかがですか〜
.
必ずや行きますとも!
今年中に。。どこかで。
もう少し暖かくなってからにしよう。
暖かくなってから・・そう、今朝も寒いですね〜!
でも今日も、あったかいお蕎麦じゃなくてつめたいせいろ食べちゃうんですきっと・・(^_^;)蕎麦湯がないとお店出られません。