2011年01月04日
新宿タカシマヤ「総本家 小松庵」(初蕎麦)
年末年始に蕎麦がたぐれないのは毎年のことだ。
一番の理由は私の実家に年越し蕎麦という習慣がないこと。
これは家族で蕎麦好きなのが私だけなので仕方がない。
明けてお正月はお蕎麦屋さんに限らず飲食店はほとんど休みである。
年越しそばで年末が殺人的に忙しいお蕎麦屋さんは尚更だ。
とは言え3日も蕎麦がたぐれないとなると
これは私にとっては死活問題である。
忙しくてお蕎麦屋さんに行かれず3日経ってしまうことは稀にあるが
行かれるのにやっていない、お蕎麦が食べられないというのは辛いものだ。
そんな時に心強いのがデパート上や繁華街のお蕎麦屋さんだ。
これ以上下がれないほど血中蕎麦粉度の下がりきった体で
新宿で買い物を済ませた昨日の夜。
(欲しかったブーツが買えたぁー♪)
初売やセールでごった返す人ごみの中、
前の人を追い抜き追い抜き、カッカッカッと大股で歩き
目指すは「彩蕎庵 吉遊」。
大股早足なのは元気だからではなく
もう早く早く早く、お蕎麦に会いたかったから。
ブーツ売り場ではヘトヘトだったくせにお蕎麦となるともうこれだ。
ああ〜うれしいなぁー、もうすぐ会える。
お蕎麦〜 お蕎麦〜♪
よしよし、電気もついてる。
なんだかんだで便利なもんでよく来ちゃうのよねココ〜 ランランラン〜
と階段を降りると
( °o°)
松本城の如き黒々と堅牢なシャッター。
そんなぁ〜〜〜
だったら地上の電気をつけないでおくれ〜
(よくあることですが。きっとビルでまとめて点灯するんでしょうね)
でもそんなことであきらめるわけにはいかない。
がっかりしている間に「低血蕎麦」で倒れるといけない。
(蕎麦の実持ち歩こうか・・)
ハイ次、次!
「手打そば 大庵」なら駅前だしやっているだろう。
ほら、遠くからでも看板の電気がついてるのが見えるし!
(;o;)(;o;)(;o;)
看板の電気(ビル上方)はついてるのに・・・
というわけで、流れ流れてたどりついた
新宿タカシマヤ「総本家 小松庵」。
そうに書くと
「どこも閉まっていたので仕方なく」というように聞こえるかもしれないが
(いや実際あの時はそうだったのだが)
しかし私は、全てが決められていたことだと思った。
あのドタバタは、あの蕎麦に会うための序章であった。
そう思えるほど、あまりにもすばらしかったのだ、小松庵!
値段がやや高い小松庵であるが
ただいま「新蕎麦まつり」としてこんな楽しいセットがありましてね。
(汁より蕎麦が手前になっているのは私が並べ替えたものです)
これだったら蕎麦は1枚の半量ずつ3種楽しめるし
豪華な汁もつくし小松庵にしてはお得感あるセットだ。
ただ個人的には汁は辛汁だけでいいので
シンプルな3種蕎麦のセットを作って欲しい。
だって蕎麦が、素晴らしすぎる!
汁まで食べ比べる暇などあるわけがないのだ。
二八
生粉打ち
粗挽き
まずひとたぐり、私は二八から食べた。
・・・・・もう、もう、もう、
今思い出しても眉間にシワが寄りそうなほどの衝撃、感激。
この上なくかぐわしい蕎麦の香りが全身を駆け抜け、
それはもはや「ショック」と言ってもよかった。
本当に我ながらおかしいんじゃないかと思うが、私には、
かぐわしい大風が私をブワーッッと体ごとさらっていって
奥に見える13階の窓からの夜景を遊泳するようなイメージまで見えた。
私はどれだけ蕎麦が好きなのだろう。
二八の、すべてを兼ね備えた深く濃い香り。
甘くて、香ばしくて、力強くて。
生粉打ちの、この上なくきめ細かい肌。
二八に負けず劣らずの香ばしいかぐわしさ。
粗挽きの、意外にも品の良い清らかで澄んだ香り。
その奥に潜む、何やら掴み難いほど淡い、非常に個性的な香り。
しっかりしているようでどこかはかない粗挽きの食感もまたいい。
大袈裟といわれようが笑われようが
広い店内の片隅で、私は目がジワッとくるほど感動してしまった。
都会のデパート、お正月の喧騒。
その中で今日私が出会えた北海道西十勝・新得産の新蕎麦。
この蕎麦を育てた農家の人。
この店でこれを碾いた人、打った人。
この蕎麦を作ってくれたすべての人達のところに走っていって
「あけまして、おめでとうございます」
と言いたい気持ちだった。
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活気渦巻く 酷く忙しいお店 ひっきりなしのお客さん、順番通りに席に運ぶ
普段通りの変わらぬお蕎麦
まるで異にする蕎麦
ンッン〜〜ッ
歳をとる年越しか・・(いちいちうるさいけど、若年層は数え年を知らない人が多いもので)
まあ、歳も取りたくないし(これ、チョット嘘・・いつまでも若いだけが取り柄の人生なんか・・)
でも思う
エセ蕎麦で儲けるのも良いけど
きっと いずれ ・・・
屋号は出さないけれど
昨年の年越し蕎麦は
・・・・・
チョット 悲しかった
好きなだけに
好きな店だけに、というショック、痛いほどわかります。でもクリスマスイヴのフレンチレストランと一緒で、大晦日にいつもどおりの味を全てのお客さんに提供するって、考えてみると私が逃げ出したくなります。
しばらく間を空け記憶がぼんやりしたころにまた行って新鮮に喜びましょうよ(^O^)!