2010年08月14日
豪徳寺「あめこや」
本を出版するにあたってつらかったことは
大好きなお店を「選ばなければならない」ことだった。
本文で取材させていただいたお店はもちろんのこと、
巻末の「お蕎麦屋さんデータページ」でも
掲載出来る店数はごくわずか。
掲載のお願いをするお店の選抜にあたっては
エリアやお店の個性等が近く二者択一を迫られるケースあり
「本気で教えたくないんですけど・・・」と煩悩に苦しむお店あり。
その他様々な理由から断腸の思いであきらめたり。
結局掲載できずものすごく悲しかったような、
できなくてよかったような、
一番思い出に残るお店(心残りとも言う)、
それが「あめこや」だ。
「あめこや」さん、あまりにも人気で、
かなり先まで予約でいっぱい、という声を当時よく聞いたので
それがあきらめられた一番の理由。
せっかく行ってくださった読者の方が
何度も入れなかったりするのはよくない、
と思ったのだが、
なんとなんと、週末だというのに
6時過ぎに電話してスルッと入れてしまった。
「豪徳寺」駅、「山下」駅から徒歩1分。
だってね、だってね、もう、どこをどうとっても、
素晴らしすぎるんですよ、「あめこや」さん。
ナチュラルな木のインテリアのお店は、海辺のカフェのような、
絵本の中のお店のようなかわいらしさで。
まだ若い店主夫妻は何をどうしたらこうなるのかというほど素敵で。
そしてなんといってもおつまみ類が、
メニューを見ただけできゃーっと一気に盛り上がるほど美味しそうで
実際想像以上に,本当に美味しくて。
極めつけ、蕎麦は毎回連獅子のように頭を振り回したいほど素晴らしい。
もう・・・これ以上どんなしあわせがどこにあるのさ・・・
語るだけでうなだれたくなるほど
どうにもこうにもしあわせなお店なのだ。
こんなお店、みんな大好きに決まってるのだ!
実際今まで、「美味しいもの好き」「情報通」の友人や知人の方、
多方向から「あめこや大好き!」の声を何度聞いたことか。
やっぱりねえ〜・・・
だって、ほら!
この、焼き鯖・・・
その下に隠れたいちじくと白ウリ・・・
一つ一つの素材の選び方からして
メニューを見た人の心をわしづかみにしてしまうのに
それをここまでおいしく仕上げてしまう
全体のセンスには唸るばかり。
鰻の黄金焼もふっくらの焼き加減といい、
さっぱりだけど豊かな味わいといい
夏のおつまみにぴったり。
ほおずきに見立てたと言うプチトマトがまた、
「あめこや」らしく可愛らしい。
そして何よりお蕎麦・・・!
「あめこや」は、私が大好きな「毎回全然違うお蕎麦」が出てくるお店。
判で押したように毎日同じものを提供する努力というのも
謹んで敬意を払うべきものだが
柔軟かつ積極的な姿勢で、その時々の美味しい蕎麦を各地から仕入れ
状況に合わせてその個性を最大限に引き出し
最後にその店らしいウ゛ェールをふわっとかける。
毎日が実験のようにそんなことに挑戦し
進化し続けるお蕎麦屋さんは
私にとっては職人というよりまさにアーティスト。
今日の「あめこや」、
一枚めは福井県大野在来種。
見た目はほっこり、のんびりした風情ながら
たぐりあげて衝撃。
むわぁー!
福井らしい力強い香りを、それはそれはゴージャスにまとっている。
ここで私、何やら感激の声だか雄叫びだかをあげたような記憶もあるが
そのまま口に含むと、これまた。
今日の福井は、香りも凄いが
その「食感」においても穀物の生命力を感じさせられてしまうような、
むっちりムチー!とした密度の濃さ。
噛み締めるごとのコシ、そこから溢れ続ける甘み。
ちょっとちょっと、これが一枚目って、
2枚目はどんなことになっちゃうんですか!
ヒー。
確かに確かに、この茨城は桜川産の常陸秋そば、
トップノートの香ばしさが華やか!
そのやや軽さを持った香ばしさは食べ進むうちに、
常陸秋らしいふくよかな香りに変わり、
ふと気づくとまさに常陸秋らしい「王道」バランスにすっかり酔わされている。
連日の猛暑、やはりお蕎麦には厳しい季節であるのに、
(最近はやはり「アレ?」という体験も少なくなく)
その中で、これだけ美味しいお料理のあとで、
ひょいーっとこんっなお蕎麦を出してくれちゃうなんて。
みんな大好き「あめこや」さん。
まずは、電話してみてから
行ってみてくださいねー!
(こんなに正直に書いたら「あめこや」ファン達に
確実に怒られるーf^_^;)
.
この記事へのコメント
コメントを書く
この記事へのトラックバック
豪徳寺 そば「あめこや」
Excerpt: 豪徳寺にある蕎麦のあめこやです。 お蕎麦もさる事ながら、お料理、お酒、とても美味しかったです。お気に入りのお店となりました。新年から良いお店を紹介頂きました。
Weblog: uessaiの美味しいお店
Tracked: 2011-01-23 19:00