2010年08月02日

田園調布「兵隊家」


田園調布の住宅街に
突然現れるお蕎麦屋さん、「兵隊家」。

広々とした店内の雰囲気は一見普通かもしれないが
なんだかんだでよく行く私にとっては
通えば通うほど、その店名の如くちょっと不思議な店である。

広々とした感じや住宅街の静かな雰囲気から
地方にあるのんびりしたお蕎麦屋さんのような印象も受ければ
やはり田園調布、客層も独特で、
赤坂砂場に似た風情もあるのだ。



ここがありがたいのは二色せいろがあることである。
(最近メニューの呼び名が変わった)。
石臼、寿、田舎と三種類ある蕎麦の中から
好きなものを2つ頼めるのだが、
石臼は機械打ちということもあり
「寿と田舎の二色」が私の定番である。


RIMG2131__2.jpg


この二色、横長のせいろ二枚に
実にぎっしりたっぷり盛られてくる。

「寿」を一枚で頼むと900円、
「田舎」は800円となかなか高額であるから
この二色せいろ1250円は大変お得に思える。
とはいえ普通のもりを頼んだことはないし
周りの方々も大抵セット物を頼んでいるので
普通のもり一枚の量は知らないのだが
とにかく実に豊かな気持ちにさせてくれる「二色せいろ」である。



さて、本日の寿。
ちょっと緑がかっている。
新蕎麦のようなフレッシュな青緑というのではなく
韃靼のような黄味のある緑。
香りは淡いが、微粉の舌触りとむにぃーと伸びる歯ごたえが個性的。
噛みしめずとも舌の上に甘みが広がる、
やさしく品の良い味わいの蕎麦である。

RIMG2134.jpg


こちらは田舎。
つやつやと輝く、美しく切りそろえられた蕎麦は
およそ「田舎」というイメージではないが
赤みを帯びた肌に近づけば
微かに熟成感を帯びた香りが、むわぁ〜と濃厚に打ち寄せてくる。

RIMG2140.jpg


こちらはむにぃーと伸びる感触のある寿とは対照的に
スパッと潔く噛み切れてしまう蕎麦。
しかし味わいは濃厚なのでそれで十分に楽しめる。


座敷席では賑やかにフランス語が飛び交っているし
隣の品のいい老夫婦は二人してロースカツセットを大人しく待っているし
日に焼けて金のネックレスしてブランド品のセカンドバッグもった男性は
ずっとスポーツ新聞を読みながら
やたらにゆっくり楽しそうに一人晩ご飯している。


私はと言えば、ちょっと薄い蕎麦湯をくゆらせ
(私の感覚では蕎麦湯をゆっくり楽しむ時間には
 「くゆらせる」という言葉が実にしっくりくるのだ)
これまたしあわせな時間である。

店員のおばちゃんの勢い?に時々縮み上がったりもするが
それまたここの個性の一つ。




さあー、豪邸街の夜道を、帰りますか〜


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posted by aya at 23:54 | Comment(0) | TrackBack(0) | 東京の蕎麦>大田区 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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