
もう、「いっこう」さんたら・・・・
デザイナーなんだから・・・
この、掻き揚げの形の楽しさ!

海老の鮮やかな赤がチラチラ見えるのも美しく嬉しい。
そして、
「いっこう」さんのそばがきったら・・・

何でしょう、この生々しい粒感。
もっちりとしないなめらかなやさしさ。
口の中で流れるようにほどけてゆく粒達を見つめながら
目を閉じれば、
私は粗碾きの川を流れてゆく桃太郎でしょうか・・・
そしてもちろん、「粗碾き三兄弟」!


ああ、「いっこう」さんのせいろ、「蕎薫」だ・・・
無数に揺らめく陽炎のような白いホシ達に
目を細めずにいられない。
たぐり上げ口に含むと、これがまた見た目より更に優しく
「サラ・ふわ・スルッ」。
粗碾きの重量感のある見た目ながら、
さらさらするするとした軽い舌触り。
しかしその内側には「ふわっ」としたふくよかな弾力が感じられるのだ。
炊きたてのお米のような、穀物の甘い香り。
最初淡く感じたがどんどん濃厚になってきてくれるのが
たまらなくうれしい。
そしてこちらが手碾きの「白妙」。


おお?不思議なことに
今日の手挽きは産地も碾き方も違うのに「蕎薫」に似ている。
うっとりするような「サラ・ふわ・スルッ」感も、
この甘いお米のような淡い香りも。
これは全くの私見であるが、
アーティスト気質のお蕎麦屋さんほど毎日お蕎麦は変わるし、
不思議なことに2種類あればその2種類、3種類あればその3種類ともに、
言わば「その日の作り手のムード」とでもいうべきものが
感じられることが多い。
産地や碾き方が違っても、何かその日だけ共通するものを感じることがあるのだ。
天候のせいもあろう。
こちらの体調のせいもあろう。
しかし私には、その日の作り手の「ムード」ととらえた方がより楽しいので
そう思うことにしている。
職人でありながらアーティストである打ち手のその日のムードを、
食べ手の私も楽しませてもらいたいのだ。
後で「いっこう」さんに聞いたところによると
やはり今日の粗碾きはいつもとはかなり違う仕上がりになってしまい
「いっこう」さんとしては残念だったのだそうだ。
「でも、こういう方が好きっていうお客さんもいるんで困っちゃうんですよね〜」
とニコニコ話してくれる「いっこう」さん。
確かに、「蕎薫」ファンだったらそう言うのかもしれませんね!(^o^)
そして最後の十割「墨心」。


おおー、今日の「墨心」は黒いというより美しい赤みをおびている。
北海道、品種は牡丹だそうだが、何と香ばしい香り。
この香ばしさが時が経つにつれ圧巻の濃厚さに。
単に香りが濃いとか強いとかいうだけでなく
新鮮でありながら「熟成感」を感じる濃厚さなのだ。
美味しい〜〜!!
そして「いっこう」さんたら本当に、
どこまでも「アーティスト」なんだから・・・
御覧ください、この新作の湯桶!

「ハウルの動く城」のように、
今にもひとりでに動いて働き出しそうな、
何か小さな工場のような・・・
ああ「いっこう」さんの時間は、本当に本当に、楽しい。
楽しい時間はあっという間に過ぎ、帰りはなんとご親切にも
奥さんに道案内していただいて、浅川沿いの緑地の桜を楽しみに。

高尾駅まで40分の道のり。
なんですか今日は天国ですか?
嗚呼素晴らしきかな「いっこう」さん日和。

両方共素敵な御夫婦でしたが、「一紘」は「あやさま」のプログ通り明るくて気さくな奥様でしたが、私と同じく福岡出身だそうです(^o^)。九州は他の麺類は高レベルなのに、蕎麦だけは不毛地帯(T_T)なので、ほとんどの九州人は蕎麦を不味い食べ物と思っています。たぶん、御主人の蕎麦を食べてさぞやビックリして結婚されたのかなとか思ってしまいました。m(_ _)m
あとトイレのアートもなかなかですね(^_^)
そうそう、いっこうさんの奥さんは福岡の方ですよね。なのでいっこうさんはあちらのお酒にも詳しいようです。
雙柿庵、今の季節もいいでしょうね〜
あー「蕎麦うずうず」しながら日本を離れるこの辛さf^_^;