2022年09月07日

栃木・足利「蕎遊庵」


私にとって、名店とはこういうものだ、
という最高の、憧れの店。


とにかく蕎麦がすごすぎる。
「おせいろ」「田舎そば」「十割そば」「石臼手挽きそば」などなど、
その全部がのけぞるほどの名蕎麦。
でありつつ店は質素で素朴。
でありつつ窓からは緑と美しい展望。


食堂風に白衣やエプロンを着た店員さんが
忙しくサンダルを脱いでは小上がりに上がったり
飛び回って接客してくれる、フツ〜〜な雰囲気がまた素晴らしく、
全てがカッコよすぎて私は憧れが募りボンヤリしてしまうのだ。


ここはロケーションからして特別だ。

関東平野を一望できる織姫山の中腹に位置し、
縁結びや夜景で有名な「織姫神社」境内にある・・・
って、すごすぎませんか!?
普通はそういうところには
観光客向けのおしるこ屋さんとかがありそうな気がしてしまうが
めちゃめちゃ美味しい手打ち蕎麦を何種類も出す超一流の名店が
本当にあるのでございます。


これが、織姫神社。

ドーーーン!!

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段飾りのお雛様のように華やかな美しさ。
まばゆい〜!まぶしい〜!



その正面の階段を2段?2階分?下ります。

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左側にあるのが、日本が誇る名店「蕎遊庵」。

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大人気につき名前を書いて順番待ちしている人が
外に大勢いますねえ〜
本日は珍しいことに家族と一緒に訪れたので
私も名前を書いて順番待ち。

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私はここのさりげない外観が大好き。
よく見ると入り口には結構ポップなデザインの暖簾がかかっているし
扉にもピンクや黄色の和紙があしらわれていたりするのだが
全体の素朴な雰囲気の中でまったく違和感がない。
むしろ「蕎遊庵」という店名にぴったりで、
唯一無二の自然な情緒を感じる。


そしてここでの驚きのもうひとつ。
外と中を出たり入ったりして、
並んでいる人に座敷とテーブルどちらがいいか尋ねたり、
店内で忙しくお蕎麦を運んだりしている白割烹着の男性こそが、
ここの名蕎麦たちを打っている店主その人なのである!



店内の雰囲気がまた私をシビレさせてやまない。

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昭和の映画に出てくるような日本の家の風情。



この、外の緑に包まれたような座敷席も素晴らしい。

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さてメニューでありますが、
ここの凄さはもう正気の沙汰ではありません。
(いや正気じゃなくなっているのは私の方なのでそれは濡れ衣( ̄▽ ̄))

だってね、最高の、もんんんのすごいレベルのお蕎麦が、
7種類もあるんですよ!?

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とりあえず私にはお腹が一つしかないので
絶対に食べたいのは

「おせいろ」
「田舎そば」
「十割そば」
「石臼手挽きそば」!!

一つ一つの説明を読むと
謙虚な姿勢の中にも美味しそうさがバンバン伝わるうえに
その横に書いてある価格を見ると
もうこの織姫神社の長い階段を全部転げ落ちそうになる。
「おせいろ」も「田舎そば」も650円!?
「石臼手挽きそば」が800円ってありえないんですけど!?
(手挽きだと重〜〜い石臼を1時間ゴリゴリゴリゴリ挽いても
10人分も挽けないくらい!?)
ただただ、開いた口が塞がらない価格設定である。


普段は種物や変わり蕎麦には興味が薄い私でも
ここの「冷汁〜すだちエスプーマ」や
「木の芽切り」はめっちゃめっちゃ美味しそうだあ〜!!
家族に頼んでもらって一口もらう気まんまん (≧∇≦)

私はもちろん、
「おせいろ」
「田舎そば」
「十割そば」
「石臼手挽きそば」
全部いきます!!

お蕎麦に関しては恥ずかしいくらい欲が深い私は
その中の一つでも売り切れていたらどうしよう!!と
ここに着くまで心配でたまらなかったのですが
全部あってばんざぁーーーいっ!!
ばんざぁーーーいっ!!
(この時の歓喜の様子を母に激写されました↓↓ (^^;) )

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もうワクワクし過ぎて爆発しそうというのは
まさにこのこと。
落ち着け・・・自分落ち着け・・・と
心を清めてお迎えしたのは、まずはこのお方!!


うおおおおおお

キターーーーーーーーーー

これが「蕎遊庵」の、「おせいろ」であります!!


「おせいろ」
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ウッッ・・・

この一見天衣無縫に見える、
自然体の美しさ・・

しかしそこに、その下に、
選ばれし最高の素材と完璧な技術が
がっちりとあってこその美しさであることが
顔を近づけなくてもわかる。

ああああああ しあわせだ!!!



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ぴょんぴょん飛び上がりそうな心を鎮めつつ
箸先から香りを寄せると・・・
かーーーーーーーっっ
目が覚めるようなフレッシュな香りーーー!!
ふくよかで、フレッシュで、さわやかさも野生味も香ばしさも甘さも、
すべてがバランスの良く完全な円のように満ちている。
口に含むとふんわりと優しい質感にもう一度目が覚める思い。
どうしたらこんなことができるのか、何が違うのか?と
驚きが止まらない最高のコシ。
噛み締めるほどに小麦粉らしい甘さも深まり、
それでいて、私がよく言うところの
「小麦粉が連れてくる蕎麦の風味」がとにかく素晴らしい。
二八の最高の姿としか言いようがない!!
最高すぎて倒れそうな上半身を支えるのが大変なんですが
そういう私に見慣れて(見飽きて?)いる両親の
「へーそんなにおいしいのー」というクールな対応との
温度差がすごいことになっております( ̄▽ ̄)  。
(ちなみに両親は種物を美味しい美味しいと
つるっと食べた上におせいろをおかわりしてました)





「田舎そば」

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ひゃああ〜〜
これまたものすごいのが来てしまいました・・・!!


遠目にはずこの極太っぷりに目を奪われると思いますが、
この肌、この輪郭線をご覧ください!!

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これだけの極太ながら
ふっくらむっちりやさしい輪郭線。
そこにゆらめく白い陽炎のような粗挽きの蕎麦粒子、
細かいホシたち。

見た目はこれだけ違うが、
先程のせいろと同じ素晴らしい香りがふわーっ。
そして口に含むと意外な食感に目が丸くなる。
質感に、ユニークな硬さがあるのだ。
その上この太さなのでもぐんもぐんと噛む蕎麦だが、
固茹でということでは決してなく(固茹ではよろしくないですね (^^;) )
質感がみっちり密すぎて硬いという感じ。
そして見た目以上に口中で感じるざらつきが心地よく、
そこからあふれる味わいの美しさ、まあるい完璧さに
ただただうっとり、恍惚のひととき・・・
これだけ完璧を超越した蕎麦でありながら
さきほどの「おせいろ」も「田舎そば」も
ろ、650円って一体・・・!?

これだけの蕎麦出してるからこれだけいただきます、
というのもまあ当たり前なのでもちろんそれでいいのだが、
これだけのお蕎麦出してるけど別にこんなんでいいっすよ〜っ
とかるーく言われると、
ああ・・・本当にすごい人ってこうなんだな・・・
と、私の中では別格のそのまた上にいる
神様にしか見えないのだ。



しかし神様、「石臼手挽きそば」が800円ってのは
いくらなんでも安すぎます!!
(前述の通り、手挽きは重〜い石臼をゴリゴリゴリゴリ1時間挽いてもほんの何人分かしか挽けない)
メニューを見た時から心配になったが
実際に対峙してその思いはさらに・・・


「石臼手挽きそば」
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うわああ・・・

この美しき存在感、オーラ・・・

写真で伝わるでしょうか?

この肌のとんでもない美しさ、
繊細にふるえる輪郭線、
そして私の胸の鼓動が!!!

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見つめるほどに吸い込まれそうになる宇宙。
陰影の浮かぶ貴い肌の色、褐色や橙のホシ・・・
香りは意外にも淡めなのだが、とにかくその質が素晴らしい。
美しく上品でまろやかな穀物感。
うっとりと口に含んでその質感にさらに恍惚!!
「これは大切なものだ」というのが口の中から伝わってくるような
繊細なざらつきのある舌触り、
やわらかいけれどしっかりと受け止める極上のコシ!!
こんっっなすっぱらしいお蕎麦が、しかも手挽きで、はっぴゃくえん。。。
ひいいぃ〜


「十割そば」
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おおお〜!
このありえない価格設定の「蕎遊庵」において
一枚だけ1000円という価格がついている「十割そば」だけあって
塗りの美しい笊でやってまいりました。


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きれい・・きれい・・・
だいすきーーーーーーー!!
(いよいよ壊れて語彙崩壊してまいりました( ̄▽ ̄))



このお蕎麦のみ「福井産 希少在来種」ということで、
手挽きでも800円という脅威の値つけのこの店だけに
相当高級な蕎麦粉であることが伺えます。

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香りはややおとなしめなのだが
これまたその香りの質が素晴らしく、
香ばしさを含んだ野生の香りが清澄に漂っている。
質感は意外とクッキリパッキリしているのだが
決して硬いわけではなく、非常に密でなめらかな質感だ。
味わいは在来種らしくじわっと後から深まる感じ。
うおおおお さすがこれもおいしいいいい!!!!!



蕎麦汁は甘味が結構強いが、よくあるベタッとした甘さでなく
スッキリと澄んだ中に甘みがある感じ。
全体にこっくりまろやかでとても美味しい。



こちらは、父がとった「木の芽切り」!


「木の芽切り」
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なんとみずみずしい、透明感のある美しさ、鮮やかさ。
紫大根の紫と、木の芽切りの紫に加え、
テーブルとお盆が赤いってのも
神社境内内のお店らしくもあり素晴らしいセンスだ。


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一口食べたかったけど
この時私は「おせいろ」や「田舎そば」に夢中になっていて
奇襲する時間がありませんでした〜(^^;)。



こちらは、一口いただくチャンスがありました。
母がとった「冷汁すだちエスプーマ」!


「冷汁すだちエスプーマ」
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これがねーーー!!
すだち蕎麦ってみんなそうですが、普通はすだちの香りと
すっきりした汁の美味しさをまず楽しむ感じじゃないですか?
この「冷汁すだちエスプーマ」は、お蕎麦が美味しすぎて
まずそこにシビレさせられちゃうんです。
どうやら私が今日食べたかったけど多すぎて食べられなかった
「さらしな生一本(さらしなそば)」が入っている模様。
ここのさらしなはなんと十割。
極細のちゅるちゅるで、上品な粉の味わいが素晴らしい。
蕎麦汁はすっきりした中に甘みがある、
まさにせいろのつけ汁で感じたのと同じ印象で
あーーーー 何を食べても美味しいなあーー!!
(貰いすぎたら悪いなと思って遠慮したけどエスプーマ部分も食べたかった(笑))


今回は珍しく家族で来たけれど
全員が美味しかったいい店だったと大喜び。
並ぶのが苦手な江戸っ子の父も「蕎遊庵」には大満足だったようで
よかった〜〜!



どこをとっても、一段高いところにいる、
神様のような店。

長年お蕎麦を食べ続けている私には
この「蕎遊庵」のような、神様みたいなお店は
いくつか、いくつもあったが、中にはもうリタイアしたお店も多い。


素晴らしいお蕎麦屋さんで食べた最高のお蕎麦、
過ごした時間は毎日毎日流れて消えてしまうけれど。


私はどうにかそれを繋ぎ止めたくて
こんなウザ長い駄文を書き続けているのだ。





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(入り口脇にある鰹節と昆布♡)












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posted by aya at 12:58 | Comment(0) | TrackBack(0) | 関東の蕎麦>栃木 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2022年09月02日

某名店にて絶唱? (≧∇≦)


歌っているのではありません。


私がよくお蕎麦を前にして

「っはあ〜〜〜♡」とか

「ぎゃーーーーー」とか

と書くのはこういう瞬間です (≧∇≦)


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