うーーーん
書こうか、書くまいか、悩みましたが書きます〜!
珍しくネガティブな文章になると思います。
でも逆の立場から見れば
「この店に行きたくなかったくせに行った高遠彩子の方が悪い、じゃあ行くな!」
って話なので、私も強く主張するつもりは全くありません。
しかもこのお店、とっても流行っているんですから、
私如きが何を言おうがどーでもいいことなんです(^^)
まあ、一蕎麦ファンの小さなつぶやきとして
お読みいただければと思います。
コロナの影響で店舗の入れ替わりが激しい観光地・浅草。
新仲見世と観音通りがぶつかる角という一等地に、
この度新しくお蕎麦屋さんができた。
開店前にここを通って知っていた私は興味津々。


オシャレ系の店内はカウンターがメインのようで、オープンキッチンスタイル。
しかも看板を見ると、とっても気合が入ってそうな、
凄そうなお蕎麦ではないですかー!?


「国内産最上級の玄蕎麦を100%使用した完全十割蕎麦」
「驚くほどの蕎麦の香りと至福ののどごし、本物最高の玄蕎麦」
ほお〜いいですねえ〜
でも・・・値段もめっちゃめっちゃすごいことになってますね!?
普通のもり一枚がなんと1320円!!

エッ そして何がビックリってここ・・・
手打ちじゃないの!?
それなのにこの値段ですか???
いやー・・・いくらすごい蕎麦粉を使っていたとしても
さすがに機械でこの値段はないよね。。
手打ち蕎麦屋さん偏愛主義の私としては、
手打ち蕎麦屋さんがあれだけの苦労をして形にしている
素晴らしき手打ち蕎麦達をさしおいて
この蕎麦を食べるわけにはいかない。
私もその時の事情で(相応の値段の)機械打ちを食べることはごくたまにあるが、
いくらなんでもこの値段ではあり得ない。
だいたいこんなに高くちゃいくらなんでもお客さんは入らないだろう・・・
と思っていました。
ところが、開店してみたら。
このお店、大流行りなんです!!
私が何回か通った午後の時間はいつも、カウンターもテーブルもいっぱい。
主に観光客、カップルがメインのようだが、
せいろ一枚が1320円だというのにこの盛況ぶりはちょっとびっくり・・・
なぜそんなに人気なのか?
お店として何が上手くてこの成功があるのか?
と、だんだん私もこの店が気になってきてしまいました (^^;)
イヤ、でもダメ、いくらなんでも機械打ちでこんな高いお蕎麦あり得ない。
行ったら手打ちを1000円以下で出している、
愛する手打ち蕎麦屋さん達に申し訳が立たない。
絶対行かない!!と踏ん張ること数週間。
ついに入ってしまいました・・・ (^^;)

入ってみると、注文はタッチパネル!
お水もセルフです。
ファミレスみたいですねぇ〜


個人的に気になるのは、ここのいわゆる一番スタンダードなもりそばが
「玄蕎麦」という呼称であること。
イヤハヤなんとも・・・ (^^;)
「玄蕎麦」というのは皮を剥く前の蕎麦、という意味の言葉なので
玄蕎麦は食べられないのですが〜〜・・・ (^^;)
やってきたお蕎麦は、輪郭線はいかにも機械打ち押し出し麺の感じだが、
黒々つやつやとした肌。
「玄蕎麦」

「下手な手打ちより旨い」と言われる機械打ちのお蕎麦が
数少ないとはいえ存在することは事実なので、期待は高まります。

うん、香りは素晴らしいです!
正直言って常陸秋そばらしい個性はほぼ感じませんが
黒く渋く香ばしい皮の香りがパァーッと広がります。
しかし食感がアカン・・・
ムニョンムニョンのやわらかーい麺、
口中で感じる均一&単調でヌメッとした輪郭線はいかにも機械打ち。
手打ち蕎麦が持つ素朴な風情や食感の素晴らしさは全くなく、
目をつぶって食べても機械打ちと当てられる蕎麦。

蕎麦汁も、ちょっとこれは・・・というもの。
「〇〇そば」とかのチェーン店な感じの
ベターッと甘い、やや化学な鰹味爆発の、
言ってみてればふりかけみたいな味だった。
(口が悪くて誠にすみませんm(_ _)m m(_ _)m m(_ _)m)
そしてこれは、実は手打ち蕎麦屋さんでも出会うことがある
私の超苦手アイテムなのだが、
この際初めて公にしてしまおう!(ドキドキ)

この焼杉の割り箸・・・
なんとなく雰囲気はいいので、
お洒落っぽい手打ち蕎麦屋さんでも出会うことはあります。
そのために、私はmy箸を持ち歩いています。
(今日はたまたま忘れちゃった!)
そのままで嗅いでも臭いますが、
こいつが濡れるともうクサイクサイ爆弾でしかありません!!
お蕎麦の香りは全くわからなくなっちゃいます。

my箸忘れた時は
「プラスチックとか木のお箸ないですか?」
と一応訊いてみるのですがこちらにはありませんでした。
なので、お箸でたぐりあげたお蕎麦を口に入れる瞬間は息を止め、
お箸を口元からかなり離してから息を吸い込む、という
かーなーりエキセントリックな技を展開し、
なんとかお蕎麦の香りだけを寄せました。
店先でも店内でも、
「驚くほどの蕎麦の香り」
「本物の蕎麦の香りを最大限に」
と華々しく謳っている上でこのお箸は、ねえ・・・ (^^;)
蕎麦湯がテーブルに置いてあってセルフサービスなのは
たっぷり飲めてありがたい。

注ぐと、アララなんだか、濃厚な蕎麦湯というより片栗溶いたみたいな濁り方? (^^;)
飲んでみると蕎麦湯らしい香りも味もなく・・・
打ち粉溶いたのかなー?というお味でありました・・・
総合的に考えると、個人的にいろいろ好みではない点もありつつ
私にとって一番大事な「蕎麦の香り」はなかなか良かったので、
(常陸秋そばの香りというよりは皮の香りの個性がほとんどだったけど)
そこは嬉しいポイントではありました。
ただ食感がムニョンムニョンでいかにも機械打ち!って感じだし、全てセルフサービスだし、
ということを考えると、お値段はせいろ一枚600円以下であって欲しい。
というのが私の結論でありました。
そして日頃お蕎麦に関してはネガティブな文章は書かないと決めている私が
なぜ今回この店についてここまで思いを溜め、ついに書いたのか、
自分でもよく考えてみました。
ただ観光地で機械打ちのお蕎麦をビックリ高価格で出して
流行っているお店があっても、それはよくあることでもあり
何も思わなかったと思うのです。
しかしこのお店の場合は
「正真正銘、本物の玄蕎麦」
「国内産最上級の玄蕎麦」
「常陸秋そば」
「完全十割蕎麦」
というような、美味しいお蕎麦を心から愛する私から見たら
もったいないくらい大切な、素晴らしい言葉を宣伝文句として使って客寄せしている、
そこに私は傷ついてしまったような気がします。
もちろんこのお店は何も嘘を言っているわけではないので一切問題はないわけですが、
例えば初めて常陸秋そばを食べる人や、十割蕎麦を食べる人がここのお蕎麦を食べて
「本物の常陸秋そばってこういう味なんだ〜」
と思ったとしたら、私は悲しくなります。
観光地の一等地に新しくお蕎麦屋さんができて、
常陸秋そばの十割が売りで、しかも流行っている!
一蕎麦ファンとしてそれはとても喜ばしいことなのですが・・・
この値段で機械打ち、この味、サービス(タッチパネル)で
流行っちゃうっていうのは・・・
うーーーーーん 喜んでいいのか。。
なのであります・・・