2021年10月20日

山形・天童「そば吉里吉里」


長い時を超えて、とうとうこの店について語る時が来てしまった。

長年、全国津々浦々のお蕎麦の名店を訪ね、
激しい浮気を繰り返してはそれを文章にあらわし、
自分勝手に愛を叫んできた私であるが
実は書いているお店は、訪ねている数からするとごく一部。
書かずに過ぎてしまうことの方が圧倒的に多いのだ。

それはもちろんその時たまたま多忙であったり
まあ大体は次々と(下手すると日に複数軒)訪ねてしまうために
書く方が全く追いかない、ということがほとんどだ。

しかしもう一つ、これは数は多くないが大きな要因の一つとして
「好き過ぎて、感情が大き過ぎて書けない」
というのがある。

この「吉里吉里」はまさにその代表的な店。



もう、この私の巨大な愛を、どうしたらいいのでしょうか。

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山形県天童市。
寺院が多い静かな街並みの中に佇む、美しき古民家。


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店の前に立っただけでもう胸いっぱい、感無量の私。

今回はずいぶん久しぶりになってしまっただけに
愛するこの店が変わってしまったりしていないか
扉を開けるのが怖いくらいの気持ちである。
でもせっかく開店時間を狙って来たのだから入ってみよう!



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うわぁ・・・
何も変わっていない!!感激!!

まず扉を開けるとドーンと目に入ってくるJBL パラゴン。

吹き抜けの空間。

アンティークなストーブ。

そしてシビれる、このお蔵!


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店主夫妻の飛び抜けたセンスの良さが
入店5秒でガンガンに伝わってくる空間である。



襖を外せば大広間になる古き良き日本文化。
客席も広々としている。


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壁に貼られたメニューを早速ガン見すると
やったぁ〜〜!
吉里吉里の夏のお楽しみメニュー、
「がすぱちょそば」が食べられる〜!!
(訪問は8月)


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もちろん穴子の天ぷらも絶対食べます!!



そして定番メニューを見てさらに興奮。

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「ざるそば」!♡
「ざいごそば」!♡
「太打ち田舎」!♡

もうもうもう、愛と懐かしさと興奮で
胸が高鳴り過ぎて苦しい!!(笑)

そのほかのメニューも前とほぼ変わらなくて感激。
もう全部食べて帰りたいーー!
誰か私にお腹を貸してください!!(切実)



「活〆穴子と野菜の天ぷら盛り合わせ」

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私が「あれもこれもそれも食べたいけどお腹に入らない」
と嘆きながらオーダーしたので(笑)
どうやらやや控えめサイズで
持って来てくれたようです(ありがたや〜(T_T)♡)

ここの穴子天ぷら、写真ではさりげなく見えるかもしれませんが
全っ然さりげなくありません。
これがとんでもない穴子なんです。
(興奮のあまりこの私が1枚しか写真撮らなかった!ビックリ)

揚げ方ももちろん素晴らしいのだが
とにかく穴子そのものがヤバすぎます。
食べたことないくらいの、もんんのすごい美味しさが
全身を突き抜けるーーーー!!

石巻の網元から直接仕入れて店で活〆しているだけあって
脂のノリが尋常ではなく旨味が豊か。
うっとりするような超〜素晴らしい穴子の香りでいっぱいで
(私は穴子の臭みに人一倍敏感だが勿論臭みゼロ)
あまりの美味しさにもう溺れて倒れて全てを忘れそう。

もうもうもう、
こんなすごい穴子が一発目に出て来るなんて反則です〜〜・・・

アスパラ、白アスパラ、かぼちゃ、ナス、トマトも美味しかったし、
なんかもうシビれ過ぎてお蕎麦さんを迎える前から
グニャグニャになってるんですが、私だいじょうぶかしら? (^^;)





「太打ち田舎」
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きた・・・!!
懐かしき、愛しきこのゴン太お蕎麦!

嗚呼・・・

やっとやっと、愛する吉里吉里のお蕎麦を眼前にし、
もう胸いっぱいでどうにかなりそう・・・


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この容赦ない太さ。
それでいて優しい輪郭線。

よいしょと手繰り上げ、箸先から香りを寄せると・・
香ばしい深い香りが嬉しすぎる!♡!♡
食感はねっちりもっちり、
極太ゆえモグンモグン噛んで食べる山形らしいお蕎麦なのだが
噛んだ時の香ばしさがこれまたとんでもなく素晴らしい。
よくある香ばしさより一歩奥深く、
華やかさもあるスモーキーな香り!!

あああああ
吉里吉里のお蕎麦の素晴らしさここにあり・・
恍惚・・・




「相盛り(ざるそば と ざいごそばの2種もり)」
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「ざるそば」
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最初、箸先から寄せた香りはごく淡かった。
そのうちに、軽やかな野生がふぁー!とふんだんに漂って来た!!
青い感じではなくシャープな野生だが
とにかく軽やかで重さのない野生感が素晴らしい。
そして食感がまたすごい。
見た目からは伝わりにくいがこのお蕎麦、もんのすごいコシなのだ。
それでいてもちろん硬さは一切感じさせず
弾むようなブワンブワンでもなく、実に心地よいコシ。
味わいはすっきりで、素晴らしいコシの中から生まれる
軽やかな香りにうっとり・・・




「ざいごそば」
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純白眩しい、吉里吉里の「ざいごそば」。
蕎麦の中心部だけを使った更科そばだ。
これがまた、普通の更科そばとは一線を画する
大変に美味しい更科そば!!
更科って全然香らなかったり、
香っても小麦の香りばかりだったりしがちなのですが
これは更科の素晴らしい蕎麦の香りが
ガンガンに香ってくれるお蕎麦!!
食感は1本1本がくっきりした感じなのだが硬さはなく、
噛み締めると弾むコシ。
そして何よりそこからあふれる甘さにびっくり。
美しい香りと甘さが悩殺すぎます〜〜!!
もう美味しいものの連続でどうにかなりそう・・・




蕎麦が美味し過ぎてここまで蕎麦汁をつける余裕は全くなかった私ですが
ここでハッと、
「久々の吉里吉里の美味しい蕎麦汁、
 蕎麦と一緒に食べなかったら後で後悔するかも!?」
と正気に帰ってつけてみました!

思い切りスキーーッとして甘さはごく控えめなストイックな汁。
それでいてこっくりとした深さもあって
甘みしっかりの「ざいごそば」と実に合う。




そしてそして、私の愛するこちらもやってきましたー!
あああ嬉しい・・・
あなたがいる季節に来られてよかった・・・


「がすぱちょそば」
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美しい〜〜
おしゃれ〜〜〜〜
この器の選び方、盛り付けのセンスに食べる前から参る。


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まずはひとくち・・・
オオオーーーーーッ
なんだか、前よりさらに進化しちゃってますよ!?
まず華やかに香るクミン。
その後に来る香りの世界旅行のような楽しい香り達!
スープは前はもっともったりとした質感だったのだが
さらっとして酸味が美味しい!ガブガブ飲んじゃう。
そしてもったいなくも、そのままでも美味しい吉里吉里のお蕎麦と
このスープとを絡めるととにかくヤバ旨い。
かぼちゃ、エリンギ、オクラ、さつまいも、揚げそば、
野菜の甘みとも合いまくりのスープと吉里吉里のお蕎麦、
こんなの反則だよ・・・いくらでも食べたくなっちゃうよ・・・
おいしいよう〜〜〜〜〜

穴子天から突っ走って来てもう死ぬほどお腹いっぱいなのに
お代わりしたいと思うくらい美味しいってすごすぎる!!
(思うだけ (^^;) 現実的にはお腹はち切れて無理)


蕎麦後の蕎麦湯。

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朝一で来ているので当然濃厚ではないんですが
それでも美味しい。
蕎麦粉が素晴らしいのがここでもバレますね〜〜♡


一番乗りだったとはいえ、その後もどんどんお客さんが入って来て
客席はほぼ満席に。
でもゆとりのある広々した配置なので流れる時間はゆったり。

初めて来たらしいカップルは、
この店に流れる時間、景色の美しさに出会い
一眼レフカメラやスマホで写真を撮っていた。
味だけでなく、時間ごと持ち帰りたくなるような店なのだ。



自分の蕎麦愛を叫ぶのがメインの私の文章、
いつもは淀みなくいくらでも語れるのだが
この店への思いは大き過ぎて好き過ぎて全く上手く語れない。
だからこそ、今まで書かずに来てしまったのだと思う。


私は吉里吉里がまるごと大好き。
美味しいお蕎麦とおつまみの数々。
美しい古民家。
店主夫妻のセンスの良さが蓄積された店内、その世界。
店主は東北好きの私がシビれる、これぞ東北の男!といったいい〜顔立ちで
一言話しただけでその才気がジワジワ伝わってくるような人。
奥さんは、明るくて可愛くて、それでいて
私が人生で出会った中で一番、と言ってしまいたいくらい
「カッコイイ女!」 (≧∇≦)

もう愛余って故障して、
最後は愛の箇条書きみたいになる体たらくであります。


1日ここに居たいと思うくらい、もっとゆっくりしたかったが
満席ゆえそう長居するわけにもいきません。


というわけで、食後のコーヒーは
to go でお願いしました!

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このコーヒーがまた・・・
びっくりしていただきたいんですが
なんと、自家焙煎なんです!!
お蕎麦もおつまみもあんんんなに美味しい上に、
すごすぎませんか!?

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そしてこのコーヒーが絶品ときているのだから
本当に参る。
私はコーヒーの好みがかなりめんどくさい方だと思うが
このコーヒーは、まさに私好み!!完璧!
スモーキーで深ーいのにスッキリしていて甘みもある!


もう店を出ても私は吉里吉里愛のグニャグニャから
全然立ち直れず・・・


また次にここに来られる日まで
私はこの巨大な愛を抱えて、ウロウロするのである。




posted by aya at 12:24 | Comment(2) | 東北の蕎麦>山形 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年10月06日

長野・高山村「文の蔵」


高山温泉郷の手前にあると聞いて
やっと辿り着いたその店の付近は、
緑に囲まれごく静かだった。

まるきり山の中の雰囲気。

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ところがなんということでしょう、駐車場がほぼいっぱい??
夜の営業時間ぴったりに到着したというのに
扉を開けるとほぼ満席でびっくり。
すごい人気だなあ〜


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(写真は退店時に撮影)



こういう丁寧なメニューの挨拶だいすき。
蕎麦への愛情と熱意を感じます〜♡

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ここで有名なのはこの「ゴロロ」!

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ゴロロとは、要はトロロのことなんですが、
擦るのではなく「叩いて」作るので
ゴロゴロした食感になるだそう。
せっかくなのでこれは是非頼みましょう〜


お茶と共にきゅうりのお漬物が出てくるのが
長野らしくてうれしいなあ〜

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メニューは蕎麦と丼メニューのみ。おつまみ類はないので
「天ザルそば」の天ぷらだけ先に持ってきていただきました。

愛するお蕎麦と揚げたて天ぷらが同時にやってくると
わたくし心千々に乱れすぎて張り裂けてしまうもので!!( ̄▽ ̄)


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うわ、おいしそう〜
そして黄色っぽい天ぷらです。
パリッパリでおいしい!
大好物の舞茸の香り高さも素晴らしいが
エビがとにかくめちゃめちゃ美味しい!!
太くてぷりぷり、旨味も濃くて最高。
しかもこのエビ天、単品でも頼めて200円なんですけど!?
ありえません。


なんと天つゆに入っているおろしも
「擦る」のではなく「叩いて」いるのかな?
極粗の鬼おろし入りでやってきました〜

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でもこれだけ荒いとつけても天大根が天ぷらに絡んでくれないので
大根の香りを楽しむ感じ?
私は大根好きなので後から拾って全部食べましたが! (≧∇≦)


そしてやってきた「ゴロロ」とお蕎麦!!

そのお蕎麦を見た瞬間、
私はゴロロをお蕎麦と一緒に食べることを全て諦めました。


だって、このお蕎麦ですよ!?!?

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(>_<)

(>_<)

(>_<)

このときめきをっっ

どうしたらっっっ!!!!!

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もう

もう

このまま食べなくも

あなたにいつまでも見惚れているだけでいい、

と本気で思うがやはり食べ時は逃せない。
食べます。食べます!


おっほーーー!
箸先から寄せた香りの黒さ渋さにまず射抜かれる。
香ばしいというほど華やかではない、
ストイックに渋く黒い香り。
皮を多く含んだ蕎麦らしい、
ちょっとナッツのような深い香り高さもある。
熟成のお蕎麦と共通する香りだがこれはあくまで美しい香り!

食べると意外ともっちりふっくら食べやすい食感でビックリ。
こんなにゴツゴツつぶつぶなのにこんなに優しい印象なんて〜
コシもあり、とてもよい食感。
味わいは意外とすっきり淡いが
優しさのなかで黒く渋い香りを追いかけるひととき。
ああしあわせ・・・


そしてこのお店の名物「ゴロロ」!!


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すごい、ほんとにゴロゴロ〜 (≧∇≦)
これがなかなか食べにくいのだが
わしわし食べるとすっごく美味しい。
これお蕎麦と一緒に食べたらどうなるのかなあ?
これだけ粒が大きいとお蕎麦には絡んでこなさそうだけど、
お蕎麦があまりにも魅力的すぎて
ついぞ一度も一緒に食べられず・・・ (^^;)


蕎麦汁は長野らしく甘さ強めだが
べったり甘い感じではなくスッキリ感もあり
ゴロロにはとてもよく合っていて美味しかった!
(こちらも一度もお蕎麦にはつけられず・・・)


私の居た時間はとても忙しい時間で
店の奥さんはそれこそ飛び回って接客していたが
その感じの良さにも見惚れてしまった。
これだけ忙しい中、一人一人のお客さんに対して
やわらかな優しさを感じる接客をしていた。

厨房の店主も勿論始終忙しそうだったが、
最後は威勢のいい挨拶で元気に送ってくれて気持ちいい!



メニューにおつまみは出ていなかったが
予約だと宴会メニューもできるらしい!
(奥の座敷のお客さんはきっとそれだったんだな〜いいないいな (≧∇≦))



でも次回来るときも
今日食べた同じメニューで大満足かも♡
(毎回同じもの頼んじゃうんですよね〜)




posted by aya at 22:09 | Comment(2) | 甲信越の蕎麦>長野 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする