2017年03月28日

長野・塩尻「◯泉(まるいずみ)」


竹林を吹き抜ける春の風。

その葉擦れの音は私の時計を数十年分巻き戻し
サーー、ザーーーーー、と私を埋め尽くしていく。
私が生まれた家は竹林に囲まれていたので
あの家に帰ったような気がするのだ。


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知らぬ人はここが蕎麦屋だと言われてもピンとこないだろう。
まして知る人ぞ知る古くからの名店だとは。


人の気配を感じない古い家。
竹林は絶え間なく風の音を奏でている。

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近づいてもなお「今日やってるのかな?」と不安になるほどひっそりとした正午。



ガラガラと扉を開ける。


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奥まで長く土間になった昔のままの田舎の家。

「こんにちはぁ〜」

静寂の向こうから「はーい」と声がして
奥さんが案内してくれる。



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先代から息子さんに引き継がれて久しいが
この家にはずっと同じ色の時間が流れている。


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ドロボー、じゃなかった唐草模様の座布団がいい味出してますね〜(^^)




もちろんお目当ては「もりそば」と「十割そば」だが
ここは長野らしく鳥料理が名物だ。

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今日は大好きなお仲間と三人で張り切ってやって来たので
「丸泉を丸ごと」堪能すべく端から端までみんないっちゃおうぜということに!
うわーい! (≧∇≦)/
注文を取りに来た真面目そうな働き者そうな奥さんも
やる気満々ノリノリの三人組に思わずニコニコ♪


長野ですからとにもかくにもまずはお漬物。

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「きのこのおろし和え」
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うわ〜〜
もともときのこ好きの私ではありますがこれは大変においしい。
「こむそう」というきのこで「食感がシャクシャクしますよ」と奥さんが教えてくれたが
シャクシャクだけでは言い切れないなんとも豊かな森の噛みごこち。
そして何よりきのこそのものの味が濃い!
量がすごく多いわけではないのだが食感と味わいの豊かさで
ものすごくたっぷり楽しめてしまった一皿。
これが500円なんてすばらしすぎるー!



「やきとり」
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ウッ これは・・・
見るからに私好みな渋い見た目、おいしそーー!!
ガツンと野性味のある味わい、ギッシリとした歯ごたえ。
私は何でもしっかり噛み応えがあって素材そのものみたいなものが好きなのだが
これはまさに私の理想の焼き鳥だ。
放し飼いの鳥だというが素材の良さだけではないだろう。
香ばしい焼き加減も最高!




「つくね(煮込み)」
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あらーーーっ
これまたギッチリかためでしっかりした食感。
私はつくねというものが甘くて苦手なことが多いのだが
これが全く余ったるくなく鳥の旨みが激おいしい!!
煮汁がまたおいしい なんだこりゃ!!なんなんですか!



「モツの味噌いため」
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甘辛の味噌味、フワフワ柔らかい食感。
これは甘さも味も濃いからキャベツがいいですね〜






「十割そば」
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おお〜〜
黒っぽい肌、やや平打ちの極細切り。
個性的かつ独特の迫力を感じる姿にワクワク!


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ムワーーー!
濃厚に漂う独特の野生の香り。
表現が難しいがネパールのディド(そばがき)にも似たような
蕎麦畑をそのまま蕎麦にしたような荒々しい野生の香りだ。
質感がまた大変個性的で、表面にだけ膜があるように不思議な硬さがある。
ネッチリ密でコシはなく、しかし極細なのでその食感もまた楽しめ
極細の隙間からいくらでも香りが溢れ出てくる感じ。
面白い〜〜おいしい〜〜〜!
こんなお蕎麦出会ったことない。これぞ旅蕎麦の楽しみ♡



「もりそば」
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十割同様極細切り。
こちらの方がすこし肌が明るく水分でつやつやと輝いている。
以前は外一だったが今は外二らしい。

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おお〜
香りは先ほどの「十割そば」と同じ個性的な野生でそれがやや優しくなった感じ。
わかりやすいですね〜(^^)
こちらも十割同様独特の硬めの肌。
質感そのものは硬さはないのだが十割よりさらに膜のような肌質のせいで
舌触りはパリパリしていると言ってもいい。
これまた出会ったことのない不思議な美味しさの蕎麦。
楽しいなあーーー!来てよかったなあ〜〜




蕎麦も個性的だが汁も個性的だ。

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ご覧のように透き通るほど薄いのだが
これが摩訶不思議な美味しさ。
なんですかこのすっきり澄み渡るべらぼうな旨みは!!
甘さは非常に控えめだが気取った感じがない、シャープすぎない、物足りなくない。
なんと個性的で見事な蕎麦汁・・・
先程からつくねの煮汁などがやたらに美味しいわけもわかった気がした。

感激したので帰り際店主に聞くと
「煮干し四割と鰹と昆布の出汁」
とのことだった。
煮干しをいれたほうが薬味を入れた時に味が変わらない、
かといって煮干しだけだととっつきにくい味になるのでブレンドしている、と。
へぇー、そうなのですか!
その出汁もすごいがこの「シャープすぎない、物足りなくない」絶妙の感じは
醤油の美味しさもあるのでは?と感じさせられた。
(店は客席以外は暖房がないので大変寒いのだが店主が裸足であることにも驚いた。凄い!)




そしてまだまだびっくりは止まらない。
三人で行ったので
「雉の焼肉とつくねが入った温かい汁」の「きじそば」
も頼んでみたのだが・・

「きじそば」
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これがまたのけぞるほどの美味しさ!
先程から繰り返し感激させられている汁の見事さはもちろん、
なによりこの「キジのつくね」を食べた瞬間あまりの美味しさに
「ン−−−−!!!」と口を閉じたまま叫びました。
おつまみで食べた鳥のつくねも激ウマと言っていい美味しさだったが
これはさらにその上を行っている。
小さくてギッチリミッチリ骨っぽい食感、旨味が濃いのがたまらない!
ちょっとちょっと、美味しすぎますって〜〜〜!!




あまりに美味しく楽しいひと時を過ごした私たちだったが
店は昼時だというのにひっそりと静かである。
お客さんが向こうの席にも来たが
ひとりなので座敷には私たちの声しかしない。

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静かな春の気配に満ちた午後。


今は全国どこに行くのも便利だし、
東京に居ながらも全国各地の珍しいものが食べられる時代だが、
今日私がここで出会ったものは間違いなくここでしか出会えない味だった。
旅蕎麦の喜びをこんなにも感じたのは久しぶりだ。



距離も時間も、日常とはかけ離れた世界。

竹林の葉擦れの音が、また私の時計にいたずらをしている。

「あの家はどこにあったのだろう」

そう思いたくなるような、お伽話のような午後だった。




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2017年03月25日

下北沢「正音」


今日は、とっても楽しみにしていた公演を観に下北沢へ♡

その前に大好きなご夫妻と
こーんないい事しに来ちゃった〜 (≧∇≦)

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元は「慶水」というお蕎麦屋さんがあった場所。
(慶水ビルなのでビルのオーナーさんだったんですね!)


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下北沢駅北口から近いのにこの落ち着いた静けさは素晴らしい。



店内のレイアウトは前のお店の時とほぼ変わっていない気がする。

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しかし別のお店なので当たり前だがメニューは全く違う。

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たいへんです、やたらおいしそうなものがいっぱいあります!(≧∇≦)
「夜のおすすめ」と書いてあるが確認したらお昼でも頼めるそう。
やったー!


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お蕎麦のメニューも豊富だし
こっちのページのおつまみもお酒にあいそうでいいですねえー


とは言え私は実は昨夜
なんと人生でほぼ初めて「ひとりで飲む」という大人の階段を上ったので
私やったぜ感がなんとなく体に残っており今日はお酒はもうムリな感じ。
(一晩で4分の1合・・ 飲める時はもうちょっとはいけるんですが(* ̄∇ ̄*))。
というわけで大好きなお二人が飲むのをたのしく眺めることにいたします♡


「燗酒」
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飲めない気分ではあったが好奇心はおさえられず
ひと舐めだけしてみると・・これが美味しい。
ストレートな入り口、そのあとの程よくずっしりとしたシャープさ。
メニューには「燗酒」とだけあったが尋ねると「あたごのまつ(宮城)」だった。


「トマトの出汁浸し」
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一般にお酒のおつまみメニューが多いお蕎麦屋さんにおいて
みずみずしい野菜が食べられるのは嬉しい限り。
出汁に浸った美しい畑の宝。
程よい酸味と甘み、ジューシーで美味しい〜


「鴨の九条ねぎ焼き」
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九条ねぎたっぷりが嬉しい。
そして焼き加減がまた素晴らしい。
焦げの香りが炭火のように香ばしく、肉がむっちり弾力があり大変美味しい。
一切れ食べたのにまだ食べたくて半分ちぎって強奪してしまいました(≧∇≦)/


「出汁巻玉子焼」
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おっほー 
大きくてふっくら、なんてゆたかな眺め。


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食感は見た目よりはしっかりとしていて
お母さんの卵焼きみたいでほっこり。
しかし出汁の味わいの濃さと潔いほどすっきりとした甘みのなさは
さすが素晴らしき蕎麦前、日本酒の友だ。



「小海老かき揚げ」
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うわっ
これは・・・これは見るからに絶対に美味しい!!
思ったとおりさっくりと見事な薄衣が素晴らしく
真ん中の方まで均一に行き届いたさっくり感。
海老がまたぷりんぷりんで美味しすぎます〜
お蕎麦屋さんで天ぷら屋さんみたいなすごい天ぷら食べちゃった(≧∇≦)♡



「豆腐の土佐揚げ」
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もともと揚げ出し豆腐が好きなものでこれまたツボな一品。
高さがあって豆腐の部分がたっぷりなので
全体にさっぱりめなのがとてもいい。
味付けもお薬味も最高のバランス。

いやー、「正音」さん、
どのおつまみも美味しすぎますってば〜 (≧∇≦)


「もり」
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うわっ

うわわわわ

「本陣房」で修行したと聞いていたのでそういう感じのお蕎麦を想像していただけに
この粗さ、この風情にはびっくり。
しかも本陣房系は「せいろ」「田舎」「変わり」など多種のお蕎麦を出すのがほとんどの中
ここは「もり」一本!
この「もり」に込めた気合を感じずにはいられない。


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冷気にのってフーッと漂う石のようなイメージのフレッシュなかぐわしさ。
満天の星空のような無数の蕎麦粒子がたまらなく美しい。
口に含むと意外にもつるりするりとした印象。
見た目の通りの素朴なざらつきはあるものの
非常にみずみずしく質感も堅めなのでそういう印象になるのだろう。
くっきりつるりとした輪郭線、容易には噛み切らせない強い食感。
香りはどんどん淡くなるタイプなのだが
ざらざらつるりと流麗な食感が実に清々しい。
これは飲んだ後にも素晴らしい粗挽き!


ちなみに写真だけですが

「九条ねぎおろしそば」
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おお〜
ここのお蕎麦にこのおろしとねぎの涼やかさは絶対合うに違いない。



今日は張り切って開店時間に来たので
こんなにゆっくりしても開演時間には余裕で間に合いそう。

下北沢の街をのんびり歩いて参りましょう〜
やーん もう楽しみすぎて今から笑っちゃうー(≧∇≦)♡






posted by aya at 07:19 | Comment(2) | TrackBack(0) | 東京の蕎麦>世田谷区 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年03月22日

長野・塩尻「蕎麦屋しみず」


大好きな長野も春の気配。

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広い空、静かに香る春の土。
ここをもう少し行くと日本三大遺跡のひとつである
「平出遺跡公園」がある。


その平出遺跡からすぐの「蕎麦屋しみず」は
自宅を改装して営業しているお蕎麦屋さん。

・・でありながらこの圧巻の風格、すごすぎるー!


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江戸時代から蕎麦屋です、と言われても信じてしまいそうな店構え。
東京だったらこんな自宅改造のお蕎麦屋さんはまずありえないので
ますます長野への憧れを持って見惚れてしまう。
瓦屋根と松が大好きな私にはたまらない景色だ。


扉をガラガラ開けると

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あらっ いきなりオウチっぽいですねー(^o^)
「お客様へ」という案内も家庭的でほのぼの。



今日は大好きなお仲間と三人張り切って開店時間にやってきたので
お客さんはまだ誰もいないようだ。
明るい笑顔とバシッとはっきりした口調が頼もしい店主が迎えてくれ
奥に案内される。

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張り切って開店時間にやってきたのには訳がある。
ここはお蕎麦が4種類もあって、しかも一種類は限定なのだ。
昼時は行列ができるほどの人気店につき
のんびりやってきてどれか一種類でも売り切れていて泣いたり倒れたりしたら
いろいろご迷惑おかけしますのでね〜(* ̄∇ ̄*)


ね〜ほら、すごいでしょう?うふ ♡

「更科」「挽きぐるみ」「田舎」


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「更科」「挽きぐるみ」「田舎」を3種盛りにしてくれる
「高ボッチ」というありがたいメニューもあるので一人で来ても安心(≧∇≦)/




そしてドキドキセレブ価格の手挽き十割、「玄蕃之丞」!


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ああ これらを全部食べられるなんて贅沢すぎる・・嬉しすぎる・・・



長野らしく「まずはお漬物」。

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手前はお通しの切り干し大根&ちくわの煮物。
ああ本当に長野っていいなあ〜



「夜明け前 純米吟醸」
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これがすんばらしくおいしくてびっくり大感激!!
入り口からすーっと澄んでいるのにうまみが厚みを持ってふくらむ。
私の理想といっていいおいしさ♡
開店1番ってことはまだ11時なんですがね・・・おほほ(* ̄∇ ̄*)



「海老野菜天ぷら」
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わー なんと豪華な楽しい盛り合わせ!
何種類あるのやらワクワク。
ふんわりと海老、アスパラガス、えんどう豆、ヤングコーン、とうもろこし
人参、エリンギ、じゃがいも、れんこん、
そして中央にあったのはズッキーニとプチトマトが楊枝にさしてある可愛らしいもの。
サクサクというよろふんわりと家庭的な感じの衣なのだがこれが滅法美味しい。
海老も大きくてプリプリで美味しかったし
ズッキーニ&プチトマトも真似したくなる美味しさで
大満足の盛り合わせ。



そして「その時」は突然に、いっぺんにやってきました。

眼下を埋め尽くすこの絶景・・・!!

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あああああ

おおおお〜〜ん・・・(遠吠え)

立派な大きなせいろにそれはそれはたまらないお蕎麦がたっぷり3種類。
これだけでテーブルがいっぱいになる見渡す限りの蕎麦だらけ、
この胸苦しいまでのときめきをどうしろと!!

しかもこれだけときめきつつも、
「茹でたてを1秒でも早くお客様へ!」
と小走りにやってきて並べてくれた奥さんの感じの良さにもシビれ、
この3種類をバシーッ同時に出してきてくれた
店主のプロフェッショナル技にも思いを馳せ、
遠吠えでお店の迷惑にならないよう自分を抑え
食べる前から私の心は忙しすぎる。



「更科」
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見入るほどに美しい、端正で繊細な極細切り。
極細な上に質感が軽いので手繰り上げた感じもこれ以上ないほど軽やか。
更科らしく味や香りはごく淡いが
ちゅるちゅるとみずみずしく軽い極細の食感が心地よい。


「挽きぐるみ」
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見入るほどにたまらなく美味しそうな粗挽きの極細。
なんという美味しそうさ・・・・!
そして、うわあーーーー
なんでしょうこのかぐわしさは!
表現がなかなか難しい、じわーと濃いたくましい香りだ。
さわやかさはなくじわーと低くたくましいのだが
どこか洗練された清澄さがある。
こちらも「更科」同様超繊細な極細なのだが
柔らかくふんわりとした素晴らしいコシがある。
挽きぐるみという名前だけれど色は美しく緑がかっていて
ああ 美味しい・・・素晴らしい〜〜



「田舎」
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「挽きぐるみ」よりぐっと黒っぽいこちらは
さすがにムワァ〜と黒い甘皮の香り。
香ばしいというより黒く甘い感じなのだがフレッシュで美しい感じがたまらなく嬉しい。
食感はネチッとして私が大好きな中国の干豆腐にも似た密な感じ。
しかしこれだけ端正な極細ゆえ黒さもネチさも全て洗練の中にある印象。
いやーーん どれも美味しくてこまっちゃうー



そしていよいよ・・・
その名も妖しい、限定の手挽き「玄蕃之丞」!


「玄蕃之丞」
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わわ

わわわわわ

こりゃ確かにものすごい


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これだけの粗挽きで十割でこの細打ちってすごすぎる。
迫力の粗挽き細打ち十割!

ザラザラザラ〜と口中をめぐる大変にみずみずしい粗挽き肌。
香りは先の「挽きぐるみ」にも似た低く静かなたくましさで
あまりにもみずみずしいためその全てが水の向こう側にあるイメージ。
味も香りも濃厚ではないのだがじわーとした滋味が舌にひろがり
あああ〜 なんという贅沢、なんというしあわせ・・・
八ヶ岳産信濃1号の十割。



ここは蕎麦汁も大変美味しい。

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鰹が華やかに香り甘さもしっかりしているのだが
全体のバランスが素晴らしくまろやかで美味しい。
蕎麦湯もそのまま飲むのが好きな私にとって
「蕎麦湯はお酒で蕎麦汁は最高のおつまみ」。
蕎麦湯をそのままゴクリ、蕎麦汁チロリが蕎麦後の至福のひとときなのだが
「この蕎麦汁は!」と思った時だけ蕎麦汁を蕎麦湯で割ることにしている。
本当に素晴らしい汁は割った時、それこそ「玄蕃之丞」の如く大化けするのだ。
「蕎麦屋しみず」の蕎麦汁も然り。
あたたかな蕎麦湯のなかで美しい鰹の香りとバランスの良い旨味がやわらかにひろがり
うわー これはかけそばもおいしそうだな〜


帰り際お手洗いを借りるとそこはますます民家そのもの。
それこそ「SOBA ISBA いさと」さん級の!
http://ayakotakato.seesaa.net/article/298826571.html


間違えてお風呂にも入っていっちゃいそうでした(* ̄∇ ̄*)





posted by aya at 08:32 | Comment(1) | TrackBack(0) | 甲信越の蕎麦>長野 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年03月21日

初・帯広!


帯広に行って来ました。
ばんえい競馬に然別湖、楽しかったー!

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ばんえい競馬はのどかで静かでスピード感が全くないところが最高。
つめたい綺麗な空気の中、どっこいしょー!と頑張るお馬さんを
がんばれ〜がんばれ〜とみんなで応援するほのぼのギャンブル(๑˃̵ᴗ˂̵)
初ギャンブルの私も200円ずつ賭けて小さく2回当たりました。



何もかも氷でできたICE BARはあまりにも楽しくて
みんなきゃっきゃきゃっきゃ大はしゃぎ、
寒さも忘れてものすごい長居してしまいました。

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今年はもう終わってしまいますが
一度は体験していただきたいおすすめスポットでーす!



ホテルでは朝食室の窓に
エゾリスくんが遊びに来てくれて感激♡

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posted by aya at 15:04 | Comment(0) | TrackBack(0) | aya>diary | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年03月10日

神保町「静邨」


神保町シネマで昭和初期のモノクロ映画を観るのが大好きな我が父。
http://ayakotakato.seesaa.net/article/416329581.html

その父の熱烈な勧めによって本日は私も神保町シネマにて映画鑑賞、
しかも2本〜
となると映画と映画の間は、当然ここでキマリ♪


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モダンなデザインの店舗に手入れの行き届いた植木が可愛らしく、
ダイニングバー的コジャレたお蕎麦屋さんにも見えるのだが・・


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店内は飾らぬ雰囲気、ほどよく町蕎麦屋な感じがいいバランス。

メニューも「カレー南ばん」や「力うどん」、
丼ものも
「玉子丼」「カレー丼」「かき揚げ丼」「開花丼」「親子丼」「カツ丼」「天丼」
と町蕎麦屋メニューが勢揃い。

で、ありながら自家製粉の手打ちで「せいろ」「田舎」と
お蕎麦が2種類あるのが嬉しい限り (≧∇≦)

さらに1枚の量もしっかりたっぷり。
しかしそうなると私のように「せいろ」「田舎せいろ」両方食べたい者は
なかなか悩ましかったりするのだが
ここは250円で「替え蕎麦(半量)」というスバラシイものがあるのですー!


「田舎せいろ」を替え蕎麦にすることもできるが今日は「せいろ」を替え蕎麦で。
さらにわがままを言い「替え蕎麦」を先に持ってきてもらうことにした。


「せいろ」
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小さなせいろが可愛らしいが結構厚みを持ってぎっしりお蕎麦が入っている。


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ふわあー!と濃厚に香る、檜のような爽やかなかぐわしさにまずびっくり。
こんな香りにはほとんど出会ったことがない。なにコレ〜〜
つるりぬったりとしたなめらかな舌触り、ずっしりむっちりした食感。
そこからこぼれる小麦の甘みと味わいもまた濃厚で
こんなに小さなせいろながら食べ応えがある。
福井・坂井市の丸岡在来と茨城・筑西市の蕎麦のブレンド。


「田舎せいろ」
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この迫力、超幅広の平打ち!
これだけの太打ちは都内でも珍しい。


「せいろ」と比べると色も太さもこれだけ違う。

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見た目そっくりで産地だけ違う2種、というのも楽しいけれど
やはりこういう鮮やかな対比は嬉しい。


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うわ−っ
スモーキーな黒い甘皮の香りがこれまた濃厚!
よくあるずっしりムワァーという感じよりどこか軽くて爽やかなのが素晴らしい。
そしてこれだけの幅広だけに一本一本が巨大と言いたくなる太さで
一本ずつでないとたぐれないし一本で口がいっぱいになる!(ヒョエー)
甘みもさほどなくすっきりしているのがこの手の蕎麦にしては非常にさわやかで
黒くスモーキーな香りに酔いながらひたすらモグン、モグン、モグン。
おいしいなあ〜



「静邨」では「せいろ」にはデフォルトでゴマだれ、
「田舎せいろ」にはたっぷりのおろしがつくのも魅力。

今日の私のように半量の替え蕎麦を付ける場合
どちらを半量にするかでついてくるものも変わってくるのだが
私はつい「せいろ」のほうを半量にしちゃうので
いつも「たっぷりおろしつき」なんですよね〜
おろしだーーーいすきなので大歓迎なんですが (≧∇≦)/

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ネギも通常の3倍かってくらいたっぷり。
ここの蕎麦汁はかなり甘いのでそれにこのおろしが合うんですよね〜♡



しかもテーブルには「白ごま」と「ゆず&一味を合わせたもの」が置いてある。

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「せいろ」についてくる「ごまだれ」にしても「おろし」にしてもこの薬味にしても、
「お客さんが好きなように食べておいしいのが一番!」という
店の思いやりのようなものが感じられ
ほのぼのとした気持ちにさせれる。



魔法瓶でドン!とくる蕎麦湯も嬉しい。

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「すみません、蕎麦湯おかわりください」
って言葉を寝言で言いそうなほど
方々で何度もお願いしている私なもので〜(* ̄∇ ̄*)



しかもこの「静邨」の何が素晴らしいかって
もうここは感謝を込めて力説したいのですが
なんてったって「中休みがない」のです!!

本日私が行った16時ごろはお客さんも少なく
最後は私一人という贅沢な時間を過ごさせてもらった。
店としてはここで休憩を取りたいだろうにそこを休まず
開けていてくれるこのありがたさ。


映画と映画の間でも
古本屋めぐりの休憩でも
スキー&スノボギア探しのあいまにも
ここにくればこんなおいしい手打ち蕎麦が食べられる。
派手な看板もBGMもない、のんびりやすらぎのひととき。



さあー神保町シネマ、本日の2本目は「婦系図」。
泉鏡花の原作の大ファンの私はなんだか恋人に会いにゆくような気持ちで
楽しみだなあ〜〜〜〜





posted by aya at 14:58 | Comment(1) | TrackBack(0) | 東京の蕎麦>千代田区 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年03月01日

福井・越前町「だいこん舎」


思い出すたびに心がもう一度澄んでいく。
あの朝雪の中で出会った時間。


武生市、鯖江市から海の方へ車で30分ほど。
陶芸村というのは福井では有名な観光地らしいが
たどり着いてみると村はただ静かだった。
人影も、すれ違う車もほとんどない。
開店時間を狙って行ったたのでまだ早かったせいだろう。
それが素晴らしかった。



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静かすぎてここが店という気がしなかったが
看板と「営業中」という小さな表示に誘われて階段を上がる。



静寂。

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ここに立ってこの家を見た時、私は心から嬉しかった。
小雪がちらちら舞う中、あの大きな暖簾は何も言わずに
あたたかく私を迎えてくれているように見えた。
雪の音。


暖簾をくぐり店に入るとさらに嬉しい気持ちになった。
こんなに可愛らしい店とは!


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まだ誰もお客さんのいない店内は広々として
外と同じ澄んだ空気に満ちていた。
アイアンの暖炉に畳ベンチ、テーブルに飾られたお花。
キメキメすぎないインテリアが何とものんびりと実に居心地よく可愛らしく感じた。
ウクレレのように小さくつま弾くギターのBGMがよく似合う。

ああ本当に素晴らしい時間に来た。




実は私が「こんなに可愛らしいお店とは」と驚いたのには訳がある。
私が今回福井に来るにあたってこの店を選んだのは
他でもないあの「佐野蕎麦」の店主が修業した店と聞いたからだ。
23年間私が見てきた数あるお蕎麦屋さんの中でも
飛び抜けて「ヘンな名店」である「佐野蕎麦」(* ̄∇ ̄*) 。
(衝撃の「佐野蕎麦」体験はコチラ→http://ayakotakato.seesaa.net/article/436732840.html

佐野蕎麦店主が修業した頃は「だいこん舎」はまだ鯖江市内にあったらしいが
こうしてこの静かで可愛らしい「だいこん舎」に来てみると
そのつながりがまた愛おしく思える。
今日この店の厨房や店内で働いている若い人たちもみな素朴で感じのいい人ばかりだ。
私のルーツの四分の一は福井なので何となく福井好きな私は
ますます嬉しい気持ちになる。


メニューは福井らしく「越前おろしそば」を中心にシンプル。
しかしここはおろしそばだけでも5種類もある!

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その他あたたかいお蕎麦やそばがき、甘味もあり
この店が観光地の中の蕎麦屋として賑わう時間が想像される。



あっこれもいいな♡

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空気のいいところで食べる野菜はますます美味しそう。
「旬菜天盛」ぜひいきましょう (≧∇≦)/


「旬菜天盛」
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しいたけ、赤かぶ、蕗の薹、さつまいも。
ふんわりした衣がやさしい天ぷら。



そしてすっかりのんびりしていた私に衝撃の出会いがやってまいりました。
5種あるおろしそばの筆頭に「おろしそばの定番」と書いてあった「ぶっかけおろし」!

もともとぶっかけの「越前おろしそば」がだぁ〜〜〜〜い好きな私。
東京の人のイメージだと「おろしそば」というのは
「大根おろしが薬味としてのってるお蕎麦」だと思いますが
「越前おろしそば」は大根の絞り汁で食べるというところが素晴らしいところ。
普段はもりそば一辺倒の私も「越前おろしそば」は我慢できず
かならず「もりそば」と両方頼んでしまいます(≧∇≦)/
なのでよく知っているメニュー、なのですが、ここのは・・・


「ぶっかけおろし」
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えっ・・・?
なんですかこの、いまだかつて見た事のない美しいピンクは??

本格的な「越前おろしそば」を出す店ではお客さんに提供する寸前に本節を削っており
それが美味しさの秘訣でもあるわけだが
こんなピンク色のはいくら何でも見たことがないですよ・・
しかもこんなに薄くて幅広!
上手に削ってあるなあ〜

ワクワクとひとくち

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( °o°)

( °o°)

いやいや・・・・

いやいやいやいや・・・・

ちょっと衝撃すぎて言葉を失うほどの美味しさなのですが!!

食べた瞬間、あまりにも透き通ったさわやかさに全身が瞬間洗浄された思いがした。
そこまでは今までも感じたことがある感激。(でも今までで一番のさわやかさ、清澄さ!)
今回驚かされたのは私はその爽やかさの中に、ニンニクのようなたまらなくおいしいアクセントを
ごくごくかすかに感じたのだ。
んん?今のナニ!???
もう一口食べてみるとやはり全体はこの上もなく美しく澄んでいるのだが
今度はなんと、またまた超〜〜かすかに「ウインナー・・・?」。
要は本節があまりにもフレッシュで美味しいために発酵の要素を感じさせてくれるのだろう。
それがとびきり澄んだおろし汁のなかで、
さわやかなままほんのりフワリ感じられるこのニクさ。美味しさ。

ええ〜〜〜なんなんですかこの「ぶっかけおろし」は〜〜〜!
まさに衝撃の初体験。おいしすぎる・・・


「盛りそば」
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いつもは私にとって不動のアイドル、生涯の大スターである「もりそば」であるが
今日は「ぶっかけおろしそば」で骨抜きにしれてしまい
なんだか浮気後のような罪悪感を覚えつつの対面・・・(^^;;)

ところが、これがまた!!

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ふっわーーーーー!!
蕎麦のかぐわしさのあまりも強烈なフレッシュさにびっくり。
ただただフレッシュ。私ごと吹き飛んでしまいそうなさわやかさ。
吹き飛んだまま食べずに倒れていても本望と思えるほどの感激だがそれは口だけで
こんなふうにいつまでも香りだけに浸っていたくなるかぐわしさというのは
そうあるものではない。
ワクワク箸でたぐりあげると最初の印象以上に透明感のある肌で
その中に浮かぶ蕎麦粒子の美しさにも驚かされる。
太打ちで輪郭線は比較的しっかり硬いのだがかみしめると不思議と硬さは全くなく
なんとも言えない軽さと柔らかさ、コシがある。
見つめても見つめても見つめきれない、あまり出会ったのことない稀有な食感。
ことさらではないざらつき、素朴な輪郭線の舌触りも大変素晴らしい。
香りは食べている間に薄まって来るタイプで
全体にすっきりと軽やかな蕎麦・・・しかも十割でびっくり!


またしても最後まで一度も蕎麦汁をつけずに夢中で食べきってしまった大悪党だったが
蕎麦汁は蕎麦湯の時のお楽しみ。
ここの汁は独特のキュンッと尖った甘みの少ないもの。
ここは醤油からしてキュンとシャープで旨味、甘みが少ないようなので
それがあのスーパー爽やかなぶっかけの秘密なのかもしれない。


そして福井では「そばがき」を頼むと最後に出してくれるお店が多い気がするのですが
気のせいでしょうか (≧∇≦)


「そばがき」
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うわー、かっわいい!
ありそうであまり見たことないそばがきふた山盛り。
外と同じように澄んだ店の空気に立ち上る湯気が
愛おしさのボリュームをますます上げるばかり。


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あああああああ

もう 
なんなんでしょうこちらのお店は・・・

これまた最高すぎる「そばがき」でもう胸いっぱいの大感激!!
もは〜〜〜っと濃厚に漂う香りは
先の「盛りそば」の吹き飛ぶような鮮烈なさわやかさよりもう少し落ち着いた、
穀物の誠実でまろやかなかぐわしさ。
食感がまた恐ろしいほどすんばらしい。
このむっちりふっくら少しエアリーな夢!!


こんな静かな雪の中、誰もいない店内で
ここまで鮮やかな世界をのんびりそうに次々と見せてくれるなんて
私はもうどうしていいかわかりません

「だいこん舎」さん素敵すぎる



外には小雪が降っている。

私はストーブに暖められながら

今出会っためくるめく夢に身を溶かしながら

「だいこん舎」の音を聞いている。







(これ買えばよかったな〜!)
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posted by aya at 11:42 | Comment(6) | TrackBack(0) | 北陸の蕎麦>福井 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする