移転してからは初めての「くろつぼ」。
以前は上田市内の「黒坪」と呼ばれる場所にあった
素敵な古民家蕎麦屋さんだったのだが新しい住所はその名も「常盤城」。
「真田丸」でも話題だがさすがは歴史の深い上田だけのことはある。
(某師匠の専門分野ですが上田市内は城跡だらけみたい。百城ちかく!?)
張り切りすぎて開店時間より大分前に着いてしまったので
車を降りて歩いてみる。
なんて静かで、素敵なところなのだろう。

立派な古民家やお蔵がそこここにある風情ある街並み。
上田城からも近いだけに歴史の中を歩いているような気持ちになる。
可愛らしい小川も流れ、橋の名前は「高橋」!(^o^)

そして、肝心のお店はあれなんです!
今度も素敵な古民家。
しかもあまりお店らしくしていないところがいいじゃあないですか〜〜♪

外観でも十分に風情たっぷりだが中はもっとスゴイ、
あたらしき「くろつぼ」。

そっと扉を開け中に入ると

なんと、待合室だけでお店ができるくらい大きい!
店内の様子はここからでは伺えず、大きな建物なんだなあ〜
店員さんに案内されて奥に入ると

わあ・・

ひろい〜〜
すてき〜〜
店内も広いがその上広いお庭もある!

それにしてもこの縁側の幅広さはすごすぎる・・・
どんなお金持ちのお家だったんでしょう・・
庭を望む縁側席もいい。

この上カウンター席のみの別の部屋まであるのだから驚くばかり。

細工の細かい障子戸や工芸品のような欄間など、見どころだらけの美しい古民家。
こんなところでお蕎麦が食べられるなんてうれしすぎる。
メニューはシンプルに絞り込まれているようでいろいろと見逃せない。

まず「馬刺し」が2種類「上赤身」と「ふたえご」とあるのがすごい。うれしい。
さっすが我が愛する長野♡
そしてお蕎麦は「もり蕎麦」と「粗挽き田舎そば」は両方ぜったいいくんですが
その上「あつもり」もあるじゃあないですか・・
これは・・3種類いっちゃう? いっちゃえ!(≧∇≦)
こんな魅力的なお申し出もいただいてしまいました。

予約でこんなのも食べられるらしい。

へえ〜鴨肉の脂肪って、そうだったんですか!
牛や豚の脂身はあまり得意でない私なんですが
鴨肉は脂も美味しいと感じることが多いのが長年不思議だったんですが・・
なんか得した気分〜♪
個人的にシビレたのはこの景色。

割り箸と普通のお箸、両方がセットされてるんです♪♪
大きな声では言えませんが私「お蕎麦屋さん限定で」割り箸が苦手で・・・(^^;;)
お蕎麦が出てくるとお蕎麦の香りを嗅ぎたいあまり
突然嗅覚がそれまでの何倍もになってしまう不思議な現象を毎日体感している私。
(それを簡単に蕎麦犬現象と呼んでおります)
割り箸を使うとどうにもこうにもお蕎麦が割り箸味にしか感じられないのだ。
その理由でいついかなる時もマイ箸を持ち歩いているだけに
このお箸サービスは嬉しい〜
(お蕎麦がたぐりやすいという理由では割り箸もいいですものね)
「地物野菜の天ぷら」

思い切りバリッバリに揚げられた天ぷら。
エリンギ、トマト、パプリカ、にんじん、えのき、なす、ブロッコリ、ズッキーニ。
地物だけにどの野菜もほんとうにおいしい。
特に葉付きにんじんとブロッコリー♡
「馬刺し(ふたえご)」

メニューに
「あばら部分の三層肉でコリコリした食感で脂身さっぱりが人気の理由」
と書いてあって惹かれた「ふたえご」。
確かにすごい噛みごたえ、噛めなくて美味しーい!
(って変な表現ですが私は硬い食べ物が大好きなんです)
そして旨みが大変に濃い。
お醤油をチョンとつけて、これはおいしいなあ〜!
「もり蕎麦」

古民家に差し込む光に浮かび上がる、蕎麦肌の陰影。

すーっと香る長野らしい野生の香り。
ちょっとウリにも似たような爽やかな野生だ。
繊細細切りの蕎麦はふわっとやわらかく
食べ進むほどにその野生の風味がどんどん深まっていく。
甘みもじんわり。
はあ〜
上田のこんな静かな古民家で、
午前中から、うれしいなあ〜
「あつもり」

知らない方のために念のため申しますと「あつもり」というのは
冷水でしめていないあったかいもりそばのこと。
見た目からして全然違うでしょう〜
蕎麦全体がなんとなくくっついいて、蕎麦肌につやもない。
でもこの眺めこの肌こそいかにも香りそうな感じで私はワクワク〜〜(≧∇≦)♡♡♡
「もり蕎麦」と同じ蕎麦なのだからもちろん香りは同じ方向なのだが
こちらはぐっと甘く炊きたてごはんのようなふくよかさのある香りが前面に出ている。
食感はさらにやさしくもたっとして、
急がないとくっつき始めるので大喜びでさっさと食べちゃいました。
「粗挽田舎そば」

「粗挽田舎」はどっしりとした陶器の器で。
こんもりと美しい蕎麦のお山、上田のお山。

おおお
こちらは先程の「もり蕎麦」と共通する爽やかな野生に加え
ごま油のような芥子のような厚みのある、ゴージャスで個性的な香ばしさがある。
意外にもくっきりした輪郭線のしっかりした舌触りなのだが
繊細な細切りのため食感はやさしい。
味わいや甘みはすっきりで厚みある香ばしさが際立っている。
蕎麦汁は甘めでバシッと濃い感じ。
帰り際、玄関のところでおや?と気になる張り紙が。
「2Fは丸山階(まるやまフロア)です
ご自由にお上りください」

階にフロアと読み仮名がついているのが面白い。
デパートのアナウンスの「5階、紳士服フロアでございまぁす♪」とかみたい(≧∇≦)
なんだかわからないけど登ってみましょう〜〜
えっ

ええ?

武士道でサムライな父に育てられた私には
かなり親しみある感じの異空間が突然現れビックリ。
何だかいきなり父の怖い声がした気がしたようなしないような?(* ̄∇ ̄*)
ここは一体・・と思ったら

ということらしい。なるほど!
古民家でこんな展示を見られるなんて
めちゃくちゃ素晴らしいではないですか〜!
しかもそれがお蕎麦屋さんの二階とは。
展示室とは別にある座敷もいい。

店の奥、駐車場側には立派な門もある家。

家は使わなければ朽ちていくけれど
人が住み大切に手入れすればこんなふうに
世界中に自慢したいような美しい宝物になる。
特に店舗などでの利用は沢山の人が楽しむことができるので
本当に素晴らしいと私は思う。
私も含め今の時代の人は日本の古い家の素晴らしさを知る機会が少ないせいで
日本の家に対する親しみも知識も誇りもない。
日本を訪れた外国人も日本の古い家を体験できる機会はなかなかないが
お蕎麦屋さんなら気軽に美しい時間を体験できるではないか!
というわけで、私は古民家のお蕎麦屋さんが大好き(≧∇≦)/
京都の町家造りのお店も大好き。
古い家に育ったわけでもないのに「懐かしい」と感じる家。
日本人であることが嬉しくなる、新しき「くろつぼ」でのひととき。
楽しかったね〜〜っ♪

