2015年06月20日
buckwheat flowers in Tochigi
栃木の蕎麦農家さんを訪ねてきました〜
蕎麦の花、満開です!
のどかな風にふわふわ揺れてとても綺麗。
みんないい子で、美味しいお蕎麦になるんだよ〜♪
今回はなによりも蕎麦農家さんの情熱と努力、
その生き様に感動しました。
「いい蕎麦を育てたい」その一心、その信念で
お金も努力も惜しまず人のしていない道を切り開いていく。
それがどうにもこうにも魅力的な栃木弁で語られるんですから
方言に弱い私はメロメロでございました(>_<)♡
こんな農家さんが居る日本はすごい国!
外国から戻ると日本のスーパーの野菜売り場の種類の豊富さ、
一つ一つの美しさに驚かされますが、
日本の農業に携わる方々に改めて畏敬の念を抱きました。
蕎麦の花土地の言葉と風を聞く
蕎麦の花デビュー夢見る少女たち
蕎麦の花いつか蕎麦屋で会いましょう
2015年06月19日
群馬・高崎「そば処おおの」
砂利道の奥に、看板のない落ち着いた構えが見える。
暖簾に染め抜かれた文字はただ「そば」とだけ。
看板と言えるものもちゃんと屋根の下にあるのだが
遠くからは全く目立たないのがこの店らしい。
暖簾をくぐると前庭があり、入り口はさらに奥へぐるりとまわったところにある。
美しい庭を臨む、美しい店。
ひろびろとした空間にBille Holidayの歌声が気持ちよく響いている。
美しく立派な店舗は、写真で見ると
都会のオシャレエリアの会員制ナントカとか言っても通じそうなほどの
緊張感さえ感じる雰囲気にも見えるが、実際店に流れる空気はほんわり穏やか。
それは他でもない奥さんの接客のせいだろう。
きっちり髪をまとめ制服を着、全てが丁寧そのものなのだが
しかしそれ以上に伝わってくる一生懸命さと思いやりがある。
店主は脱サラして2001年に50代後半でこの店を開業した人なので
奥さんもそのくらいの年齢かと思うのだが、
とにかく何度お会いしても本当に可愛らしい奥さんなのだ。
厨房から会釈してくれる店主もとても感じがいい。
テーブルに置いてある分厚いメニューにも、
その感じの良い一生懸命さがぎゅーっとつまっていて驚かされる。
メニューそのものも盛りだくさんでそれぞれの説明も大変丁寧なのだが
注目すべきはその巻末。
長々と十何ページにもわたって
この近所の他のお蕎麦屋さんの紹介をしているのだ!
その文体もとても優しい雰囲気で、一生懸命他のお店を褒め、薦めている。
(>_<)
ううう・・・
うぬぬぬ・・・
心が温まりすぎてもう何がなにやら・・・・(>_<)
心はすでに十分に温まってしまいましたが
お腹も温まっちゃうものが来ましたー♪
「そばがき(ハーフ)」
蓋付きの器と薬味で、料亭のようなととのった演出。
ハーフサイズで頼めるのも嬉しい。
蓋をあけると、ほわぁ〜〜〜
結論から申しますとハーフにして大失敗!!
あとさき何も考えずこの10倍位食べたくなるほど美味しいぃ〜〜!!
ぽてっとした肌に浮かぶ色とりどりのホシ・・
その姿にも釘付けだが
全身をブワァー!と吹き抜けるようなフレッシュな香りが素晴らしすぎる!!
蕎麦という穀物のかぐわしさが最高のバランスでに封じ込められた愛しきかたまり。
さらにシビレさせられるのはその食感。
とろ、ぽてっと唇に触れてきた肌は
たまらないエアー感で泡立つ寸前と言ってもいい感じ。す、すごい。
うっとりと舌に溶け、そこからじんわりひろがる穀物の新鮮な味わいが・・
ううっ・・ おいしすぎてもう泣きそう・・(;o;)
一体何をどうしたらこんなそばがきができちゃうんでしょう。
実はね、私さっき聞こえてました♪
たぶんそばがきを作っている音だと思うのだが
(それは結構どこの店でも聞こえてくる)
ここではただごとでない気合?気迫?のようなものが音で伝わってきたのだ。
う〜〜ん あの気迫がこの美味しさを作っちゃうんだな・・
ここで「そばがき(ハーフ)」を頼んではいけない、と覚えておこう!
ダブルでもトリプルでもいいなぁー(^o^)
「そば処おおの」はまた、天ぷらを単品で頼めるシステムが楽しい。
しかも名前がいい。
「ちょこ天」!
かっわい〜♡
つい気軽に頼みたくなってしまうではないか。
「ちょこ天/舞茸」
「ちょこ天/えび」
「鴨せいろ」
鴨肉+つくね入り。
「セイロ」
なんという美しい肌・・・!
萩焼のような少しクリーミーな色味の粗挽き肌に無数のホシが浮かぶ貴い眺め。
見入るほどに、吸い込まれそうになる。
端正な細切りだが、いびつに揺れる輪郭線の美しさもたまらない。
香りは北海道らしい少しひねたような野性の香り。
少しくちゅっとしたような独特の食感で
ごくやわらかいのだが最後に受け止めてくれるやさしいコシがある。
ほんのりとした甘みと粉の味わい。
「そば処 おおの」では月替わりで「変わり蕎麦」もやっている。
「芹切り」
うわあー 綺麗な緑色!
最初はその色の鮮やかさに魅せられたが、
見入れば色だけでなくその肌の質感、青々とした芹の欠片、すべてが美しい!
芹の香りは思ったよりかなり弱いが、だんだんに淡く、青く感じられてきた。
手びねりの陶器のような素朴な舌触りだが
噛みしめるとこちらも先程の「セイロ」に似て少しくちゅっ+つるりとした感じがある。
ちょっと冷麺に近い食感かな?
汁は甘さすっきりの濃いめ。
メニューの巻末に
「出汁は本枯節、亀節(枕崎産)を毎朝削り使用。
北海道利尻昆布、岐阜県産干し椎茸」
とある。
メニュー本にはその他「開業を支えて戴いた方々」というページもあり
全体プロデュース、店舗建築、(蕎麦打ち)技術、書、ロゴ、厨房設備と
それぞれの会社や人の名前が感謝の言葉と共に明記されている。
ここの店主は脱サラしてこの店を開店起業するまでの道のりを本にまとめ出版しているそうなので
そういった意味でも注目されているのだろう。
帰り際、奥さんと少し話したので
「メニューの巻末に載っている他のお蕎麦屋さんの紹介、すごいですね〜」
と言ってみた。
すると奥さん、
「あら、見てくださったんですか・・?
ありがとうございます。
そうなんですよ〜♪ 〇〇さんにはいらしたことありますか? ◯×さんは?
とーってもいいお店なんですよ〜♪」
と最高の笑顔で他のお店を褒めちぎり、
「ぜひぜひ行ってみてください!」
と一生懸命他のお店を宣伝してくれる。
(>_<)
(>_<)
心が・・あたたまりすぎて・・・
私も最高の笑顔で奥さんを褒めちぎりたかったが恥ずかしくてできなかった。
2015年06月16日
千葉・初石「手打ち蕎麦・すず季」
私を魅了しぐにゃんぐにゃんにしてやまない超・名店でありながら
この気配の隠し方はすごすぎる。
知らずにここを通りかかったら絶対に通り過ぎてしまう自信がある。
何せ・・・この普通っぷりである。
どう見ても手打ちじゃなさそう。
どう見てもお蕎麦香ってくれなさそう。
(開店して暖簾が出るとそこには「手打ち蕎麦」って書いてありますが♡)
まさかのまさか、手挽きまでやっているようには絶対に見えない。
でもここはなんたって「手打ち蕎麦・すず季」。
知る人ぞ知る超名店なのだ!
今日は久しぶりの「手打ち蕎麦・すず季」なので
嬉しくって張り切りすぎちゃって開店前に来てしまったので一番乗り。
店内もこの普通っぷりである。
(実は訪れたのは4月某日だったためまだストーブが出ていますねえ〜)
外観も店内も渋め、というか大変渋いこの店であるが、
ここの奥さんはこの渋さを一気に軟化させるほど可愛らしい。
絵本の中の可愛いお家でおいしいパンを焼いてくれそうな雰囲気♡
接客がまたほんわかと自然でいいんだなあ〜
ランチにはこんなセットも。
最後の一言がなんともうれしいじゃあありませんか!
しかし私はやはりランチセットではなく
本日はじっくりしっかり腰を落ち着けてしまうのであります。
うっふん。
田酒、南部美人、八海山、鳳凰美田などの中から選んだのは・・ヽ(*´∀`*)ノ.
「宝剣」
「蕗、菜の花、博多の長茄子」
こんな小さな一皿に早くも感激してしまう。
季節のものの新鮮な美しさ美味しさ。
一つ一つの食材の新鮮な食感、薄味が引き立てる素材そのものの味が素晴らしい。
揚げ蕎麦と塩昆布を合わせたもの。
これいいアイディア〜
素晴らしいおつまみだ。
そして私の興奮は早くもひとつのピークを迎えてしまうのであります。
「手挽きそばがき」
うわ〜ん
うわ〜〜〜〜〜ん
会いたかったよう〜〜
会えて嬉しいよう〜〜〜〜〜
「すず季」のそばがきはお湯に浸っているタイプ。
いかにも手挽きらしいふぞろいな蕎麦粒子の宇宙に本当に吸い込まれそうになる。
箸先に取るとほわぁ〜
( °o°) ( °o°) (>_<)♡
その湯気のかぐわしさに私の脳ごと気化してしまいそうになるー!!
青くフレッシュで濃厚な蕎麦畑の夢。
もう何言ってるんだが分からないと思いますが
その濃厚な蕎麦畑がザラザラとろふわ〜〜なわけですから
わたしだってもう自分が何だったのかすらわからないわけであります。
ああ〜 溶ける〜〜 脳ごと溶ける美味しさ!!
「穴子の天ぷら(穴子と野菜三品)」
ごま油の香りが嬉しい美しい天ぷら。
限界まで薄い衣でさっくりと揚げられ、
これはお蕎麦屋さんというより完全に料亭の天ぷらだ。
おいしー!
「生粉ざる」
(ぬき実を石臼製粉した十割蕎麦)
ついに
この時が・・・!!!!
あああ
ああああああああ
これはいったい・・・!!
一見何気ないようでいながら、このたまらない魅力は何なのだ。
「これは凄い蕎麦だ!!」という予告が天から降ってきて
まだ手繰り上げてもいないうちから私はそのものすごい魅力と尊さに引きずられ
どうしても「ンーーー!」とか「ワ〜〜!」とか吠え声が漏れてしまう。
もう知らない 隅の席だから勘弁してください
手繰り上げるとやはり。
美しさ極まるフレッシュなかぐわしさが私の脳を、全身を駆け抜ける。
あまりのバランスの素晴らしさに「常陸秋!」という電飾文字が脳裏に点滅する。
それがまた全然強烈な感じではないのがどうにもニクい。
追いかけたくなるような、一歩控えた、完全な美しい夢。
口に含めばその夢はさらに深まり、
さりげなく素朴さを感じさせる肌、さりげなくふっくらとした舌触り、
さりげなくスッと受け止めてくれる優しいコシ。
とにかくまるごとベタ惚れ腰砕け、ヨロヨロへにゃへにゃになってしまう。
ああああ〜〜
一体何がどうしたらこんなお蕎麦になっちゃうんですか「すず季」さん〜〜〜〜!!!
「手挽き田舎ざる」
(玄蕎麦を手挽き臼で製粉した蕎麦)
ひえー
「生粉ざる」でのぐにゃぐにゃがまだ抜けないうちに・・
この眺めのものすごさは!!
さあみなさんもご一緒に吸い込まれちゃってください!
せーの
(>_<)
(>_<)
(>_<)
もうだめですー
とんでもなく美しい蕎麦粒子たち。
しっとりと重なる輪郭線の色っぽさ。
この見た目だけで家に帰ってもいい、と本気で思えるほど
拝みたくなるような美しさだ。
ありがたやありがたや・・・
香りはさきほどの「生粉ざる」と違って白いイメージの美しい香り+渋い香ばしさ。
むっちりとした豊かなコシ、ふっくら優しい食感。
全体にジャリジャリとした粗挽きの蕎麦粒子が散りばめられているのに、
なぜか繊細さを感じるほどの「細かな粗挽き」で
印象はどこまでも優しいのが「すず季」らしい。
もう、ただただニクイばかり!!
例によって蕎麦汁は結局最後まで使えなかったが
蕎麦湯の時にじっくり楽しむ。
ここは「生粉ざる」「手挽き田舎ざる」で
汁が違うので2種類の味わい比べ♪
どちらも濃厚ながら洗練された澄んだ味わい。
しかしなんと私は今日余り違いがわからず・・(>_<)
もうあまりのお蕎麦のすごさにぐにゃんぐにゃんだったので
そのせいにさせてください・・(^^;;)
(宝剣で真っ赤っかだったって噂も)
私の家からは決して近くはないが
また時間を空けずに絶対に来たい!
一人じゃ寂しいので
るんるんるん〜♪っとご一緒に、いかがですか〜(^o^)
2015年03月の「一如庵」「更科すず季」「らすとらあだ」コラボレーション蕎麦会
2010年11月の「手打ち蕎麦・すず季」
2015年06月14日
群馬・木崎「蕎麦処 満月」
「足利一茶庵」で修行した一茶庵系の蕎麦屋、と聞けば
あらかじめそれなりのイメージというものを持ってしまう。
純和風の作りで、ちょっとひなびたような風情があって・・
そしてたどり着いた「蕎麦処 満月」。
えっ
これ?
車通りの多い県道312号線沿い。
モダンな作りにちょっとびっくりしたが
まだまだびっくりするのはこれからであった。
店内は広々すっきり。
インテリア以上に気楽〜な雰囲気なのはジャカジャカ賑やかなテレビの音のせいだろう。
うーんこんな一茶庵系のお蕎麦屋さんもあるんだなあ
面白いなあ
メニューを見て更に。
「せいろ」580円
「田舎」580円
「お昼のかきあげ」150円
全て手打ちでこの値段は安いー!
「つけカレー」や「蕎麦屋のカレー丼」「ソースカツ丼」なんてメニューもある。
うははは 楽し〜い!
早速「お昼のかきあげ 150円」とってみました。
予想以上に大きなかき揚げにまたびっくり。
しかもバリンバリンでおいしーーー!
そして一茶庵系のお店ではやっぱりこれを頼まずにはいられません(^o^)
「三色そば(田舎・せいろ・さらしな)」
わー やっぱり嬉しい眺めだなあ〜〜
では左から・・
「田舎」
中太、黒目の肌に細かな褐色のホシ。
見た目に反して輪郭線パッキリはっきりの硬めの蕎麦で
味わいはすっきりと淡く、ひねたような野生の強い香りが濃厚にただよう。
これは・・北海道の蕎麦粉かな〜?
「せいろ」
ほわぁ〜とかすかに漂う、先程の田舎に似た野生の香り。
このお蕎麦が独特の食感。
固すぎず柔らかすぎず、なのだがコシというよりも
噛むと逃げるような独特のぷるんっとした?食感がある。
これも味わいはごく淡くすっきりした蕎麦。
「さらしな」
まぶしいまでに美しい純白の肌。
繊細な細切り、きよらかな姿にしばし見入る。
ふーっと淡く香るさらしならしい白い香りと
ふるプルつるっとした食感。
意外にも三色の中でこれが一番気に入っちゃったかも!(^o^)
汁は甘めだがなんだかほっこり和んでしまうバランスの良さがあって美味しい。
変わり蕎麦に「けしきり」があったので
欲張ってそれも頼んでしまいました。
変わり蕎麦には比較的興味が薄い私ですが
芥子の実の香りって素朴な豊かさを感じて好きなんですよね〜
「けしきり」
純白肌に芥子の実がくっきりまぶしい。
先程のさらしなで感じた白く美しい香り+芥子の香ばしさ!
よく「けしきり」に感じるオイリーでリッチなパンのような香りよりも
香ばしさのみが際立つすっきりタイプ。
これもおいしい。
隣ではかなり大きな体の男性が一人、
ランチメニューの「ソースカツ丼セット」を食べている。
美味しいらしくものすごいがっつきっぷりだ。
その向こうでは病院の帰りらしいおばあちゃんと娘さんが
「二色天もり」を仲良く二つ頼んだところ。
テレビの番組はワイドショーに変わり
賑やかな笑い声が店内に響いている。
のんびり気楽な、満月の午後。
2015年06月11日
京都・伏見桃山「Müller(ミュラー)」
蕎麦屋界においては珍しいドイツ語の店名である。
「Müller(ミュラー)」
粉屋、粉挽き屋の意味。
観光客で賑わう伏見、竜馬通りの一角。
蕎麦打ち場が少し覗けるだけのストイックな外観は
食べ物屋さんというよりアトリエか何かのような雰囲気だ。
店内にはカウンターとテーブル席がいくつか。
いろいろ美味しそうなおつまみもある♡
と思ったら、夜の部でないと頼めないものが多く残念無念 (;o;)
お魚好き&食べ過ぎが祟って昨年アニサキスアレルギーデビューしてからは
オイルサーディンもにしんもダメで悲しすぎる・・(;o;)(;o;)(;o;)
でもいいのです、
私はMüller(ミュラー)のお蕎麦を食べに来たのです!
ずっとずっと、会いたかった。
「ざる」
き、きた
無数のホシが陽炎のように揺らめく肌。
細かく揺れる素朴な輪郭線が重なりあう様は
見入るほどに吸い込まれそうになるほど素敵すぎる。美しすぎる。
これはおいしいです
食べずとも分かります
あああ ときめきで胸が苦しい・・・!
(>_<)
(>_<)
たまらない、最高のかぐわしさ!!
体も心も射抜かれるような、バランスのとれた超絶すんばらしい馥郁たる香りは
やはり思った通り茨城。
いつもは福井丸岡産の蕎麦を使用しているらしいが
たまたま今日は茨城だったらしい。
少しはらはらとした縮れたような輪郭線はかすかに硬さのある舌触りなのだが
噛みしめると硬さは微塵もなくやわらかなコシがやさしく受け止めてくれる。
端正な細切りの夢の中に潜むジャリジャリ感が楽しく、
噛みしめるほどにふくらむ香りも素晴らしい。
あ”あ”〜〜〜おいしいぃ〜〜〜〜
美味しいと期待してきたけどそれ以上においしいぃ〜〜〜!
お蕎麦が美味しすぎて案の定またまた一度も付けて食べることはできなかったが
汁はかなり甘め。和三盆を使用しているらしい。
ここでは何故か不意に
「お蕎麦好きなんですかー?」
店主に話しかけられてしまった。
お蕎麦をお蕎麦だけでムハムハ食べるという奇行を各地で繰り広げている不審人物なので
いつもなるべく目立たない席を選んでいる私なのだが
あまりに嬉しがりすぎていたのでやはりなにか挙動不審だったのだろう。
独自のセンスと行動力を持ちながら話し方は穏やかな店主と、
蕎麦の品種の話やこのあたり伏見の話などをし、楽しい気持ちになる。
(実は私のルーツの4分の1は伏見でして〜(^^))
帰り際に打ち場を覗くと、
店の大きさに対して打ち場のスペースがうんと広くとられていることに驚いた。
アトリエのよう、と感じた第一印象通りだ。
次回は是非予約のみの「田舎そば手挽き」を予約して
夜のみメニューの「そばがき」も食べたいなあああ!
2015年06月10日
群馬・昭和村「壱乃蔵」
静かな、昭和村の夜。
県道沿いにぽうっと灯る明かりに「そば」の文字が浮かんでいる。
自家製粉手打ち、昭和村産の「奥利根高原蕎麦」。
いいですねえ〜
純和風の外観、ほっこり和風の店内だが
入り口に入った瞬間いきなりいい〜感じの音楽に身を包まれた。
Jack Johnson.
建物のせいかやけに音がよくて、店の雰囲気との意外さもあって
なんだかすごく楽しい気分に!
店の奥さんに「音楽、いいですねー」と言ってみると、
「うふふ〜お客さんに合わせてるんです。
外から入っていらっしゃるのを見て、あ 若い方だーと思ったので。
いつもは演歌とかなんですよ〜」
そうだったんだ!
アハッ 何だか自由でゆるくていいなあ〜〜♪
メニューを見るとここはうどんもあるみたい。
お蕎麦だけでなくうどんも地粉、
お米も地米で、利根沼田産こしひかりを土釜で炊いているそう。
素材ひとつひとつへの愛情が伝わってくるメニュー書きだ。
おつまみも揚げ物、焼き物、その他豚キムチからエビマヨまで
それこそ何でもござれの充実ぶり。
私は大好物を見つけてしまったので、いつもながらですがコレいきます!
「もつ煮込み」
これはっっ
!( ̄□ ̄;)!!
!( ̄□ ̄;)!!
異様に美味しい・・・・
なんでしょうこの、さっぱりとした味噌汁に浸った
肉厚ブワンブワンで大きなもつ肉の美味しさは!
臭みゼロで、野菜もいっぱい。
大根、ちぎりこんにゃく、にんじん。
いくらでも食べたくなるほど美味しい、ヘルシー系もつ煮込み♪
このためにこのお店に来てもいいと思うほど気に入ってしまった。
「そばがき」
おお〜 これまたすごい、思い切った黒さと粗挽きっぷり!
見れば見るほど強烈に激しい、火山岩の如きこの姿。
にもかかわらず香りはおとなしいお餅のような香り+静かに渋く煙る香り。
むっちりもっちりべっとり系でお箸に張り付くのを無理矢理押さえつけて(?)
口に含んでまたびっくり。
突然グワァーーーーッッと超濃厚な味わいが爆発した!!!
まるで出汁か何かで味をつけたような、グルタミン酸系のおいしい濃い旨みである。
「宮古島の雪塩をつけてどうぞ」
と勧められたがつけずとも既に塩味を感じてしまう程の味の濃さ。
こんな強烈な味が穀物から出てくるとは本当にすごい。
これだけの粗挽き、すごいホシだが不思議とざらつきはそう感じず、
もっちりもったり素朴でぽくぽく。
これで400円はありえないお徳さだ。
ついている醤油が不思議な味がしたので訊いてみたら「紫峰」という刺身醤油だった。
「ざるうどん」
「地粉」という言葉に弱いもので、ついうどんも頼んでしまいました。
やわらかいけどコシもある、とぅるんとぅるんのうどん。
小麦の味は意外と淡く、さっぱりとぅるりと食べられる。
「ざる蕎麦」
おお〜「そばがき」同様、思い切り黒い肌!
そしてこの肌は、もしや・・?
むわぁ〜と香る甘皮のたくましい香り+そして、見て思った通りの熟成味を帯びた香り。
食感はしっかりもぐもぐ系に見えたのだが意外にも優しいやわらかさで
これはお年寄りでも食べやすそう。
説明に
「当店の蕎麦は九割蕎麦です。
蕎麦の持つ香味や甘味を最大に引き出し、どなたにも美味しく召し上がって頂ける割合です。」
とあるのも頷ける。
確かに、向こうのテーブルでは先程からかなりの高齢と思われる女性が娘さんと二人で
美味しそうにこの黒いお蕎麦を食べている。
その女性が入ってくる時、杖などに対する奥さんのサポートがとても甲斐甲斐しかった。
食べきれなかった分はお持ち帰りパックにしますよと声をかけたりとても親切だ。
蕎麦汁は薄めで、まるでうどんの汁のよう。
関西みたいでとてもおいしい。
「ざる蕎麦」には「こんにゃく」と「おひたし」が自動的についてくる。
こんにゃくはやわらかくてまるでくずきりのよう。
私はこのあたりの地域に多い手作りこんにゃくが大好きなのだがこれもきっと手作りだろう。
こんにゃくもおひたしも柑橘醤油?のような味で食べるのが意外なのだが美味しい。
もつ煮込みも蕎麦汁もそうだが、ここは味付けがみんな美味しい。
最後に、奥さんがこんなものを持ってきてくれた。
「こごみの塩漬け・・・炒めようかと思ってたんですけど塩抜きして天ぷらにしてみたんです」
嬉しいなあー
小さな、昭和村の夜。
2015年06月02日
2015年06月01日
栃木・日光市「水無湧水庵」
グァッ グァッ グァッ グァッ グァッ・・
はぁっ?
私の前を横切るあなたは・・・
アヒルちゃん!?
なんとまあ、絵本の中のようにピカピカに可愛いアヒルちゃんが
私と同じ人間同士かアヒル同士(?)のように
私の周りを自然〜〜にうろうろしている。
あの・・
私はただあのお蕎麦屋さんの開店を待っているだけなのですが・・・
雨上がりの緑のにおい。
鶯の澄んだ歌声が森に長くこだましている。
アヒルちゃん、ここはアヒルちゃんのナワバリですか?
ちょっとここで待たせてもらってもいいですか〜?
アヒルちゃんの方はずっと前から私を知っていたかのように
私の存在を許し、気を許してくれているかのように見える。
それにしても立ち止まってるとほんとにお人形にしか見えないほど
きれいで可愛い子だなあ〜〜
11時、いよいよお店が開き入り口に暖簾が下げられた。
「アヒルちゃん、ちょっとおそば食べてくるからねー」
いそいそとお店に近づく私。
「水無湧水庵」。
水が無いんだか湧いてるんだか忙しいがなかなか趣き深い店名だ。
名前のイメージからすると仙人が滝行でもしてそうな
かっこいい山の庵のようなのを想像してしまう・・・
が、お店はご覧の通りくつろぎムード♪
しかしこのビシーッッと整った椅子や各テーブルから
ある種の緊張感を感じ取っていただけるだろうか・・
そうなんです。
ここは開店と同時にドドドドッと数組のお客さんがなだれ込み
昼前には戦場のように忙しくなるのだ。
学生アルバイト?に見えるごく若い女性スタッフがたくさんいたが
彼女たちのピーク時の活躍ぶりはすごいものだった。
この「水無湧水庵」がある水無地区は豊かな森と湧水に恵まれた美しい地域で
その大切な湧水を村おこしに有効活用しよう、と平成12年に開店したのがこの店。
「地元水無原住民の有志が運営する農村的なそばやです」との自己紹介がなんとも微笑ましい。
うっふん。
お蕎麦は通常の一枚の量のものから
大勢で囲んでつつくための大サイズまでいろいろ揃っている。
「一升そば 5400円」のところに
「五合二枚になります」と説明があるが
その五合がどんな量か分かりまへん・・(^^;;)
数字のことを考えると具合悪くなるタイプなので
気にせず「もりそば」と、コレいきましょう!
「そばっかき」
「そばがき」ではなく「そばっかき」である。なんか汗かきそう(^^;;)
そして指あとバッチリの大胆な盛りっぷり!
椀がきらしく粉の生々しさが強烈で、生な蕎麦粉がちくちくするほど。
ねっちりがっちりセメントのような「そばっかき」。
参りました!
「ごちそうさまでした〜!」
「ありがとうございまぁ〜す!」
え!?
まだ開店して10分ちょっとしか経っていないのにもうお蕎麦を食べ終わって帰る人がいる!!
早すぎませんか!?あの慣れた感じはご近所の常連さんとかかな?
こんな森で毎朝お蕎麦が食べられたら、幸せだなあ〜
「もりそば」
わ〜
田舎らしいたっぷり盛りがうれしい、森の「もりそば」!
みずみずしい、なまなましいような野生の香り。
肌もみずみずしくコシもゆたかで、殊更でない粗挽きの食感がいい。
甘みは少なく、野生のえぐみを感じる個性的な蕎麦・・と思ったらやはり地粉。
水無地区の休耕田で栽培された地粉100%と湧水で打たれているそうだ。
美味しいなあ〜
たっぷりあるのにあっという間に食べちゃうな〜
と、周りを見回したらもう食べ終わって帰る人がたくさんいる!
そこへまた新しいお客さんが入ってくる!
たくさんいるバイトさん達は全員がフル回転で働きまくっている!
こんなのどかな静かな森の入口で、この回転の速さは一体・・・
すごい人気だな〜
そば猪口になみなみと大盛り大サービスで入ってきた蕎麦汁は
関西の蕎麦汁のようにちょっと薄めの色。
全体の印象はすっきりしているのだがちょっと宗田節のような酸味も感じ
味わい深い美味しい蕎麦汁だ。
もうちょっとゆっくりしていても良かったのだが
お店の回転の早さに私もなんとなく乗っかって
早めに蕎麦湯を切り上げて席を立つ。
入口付近の席で食べていたお客さんのかき揚げ(100円)の大きさに目を奪われつつ
「ごちそうさまぁ〜!」
「ありがとうございまぁ〜〜す!」。
活気ある店内から一歩外に出るとまた森の匂い。
森にこだまする鶯の歌声。
そしてアヒルちゃんが、さっきと変わらぬ姿で私を待っていてくれた。