2014年05月29日
茅ヶ崎「猪口屋」バースデー蕎麦♪
今日は私の誕生日。
大好きな仲間達がお祝いしてくれるということで
ワクワクやってまいりました〜!
茅ヶ崎、浜の風に吹かれて
「猪口屋」。
去年までは、いつも人気でいっぱいの小さなお店だった猪口屋さん。
辻堂寄りに移転してこんな立派な日本家屋の店舗となった。
玄関付近もゆったりとした海辺の風情。
しばらくここに座っていたくなる。
外観は落ち着いた日本家屋だが、店内は中をくりぬいたような
広々とした吹き抜けのモダンな空間。
中央の大きなキッチンカウンターがお蕎麦屋さんとしては珍しい雰囲気で
ダイナミックな開放感がとてもいい。
この「猪口屋」さん、神楽坂「蕎楽亭」出身だけに
蕎麦もうどんもおいしい上にお料理が大変に楽しいのであります。
今日は私が好きなもの頼んでいいんだって・・♡わぁーい!
お祝いということでこんなスタート。
カンパーイ うれし〜〜(≧∇≦)/♪
どうして、アワアワしているとこんっなに美味しくて
私なんかでもたくさん飲めそうな気がしてくるのでしょう?
危険危険(≧∇≦)
「先付け 茶碗蒸し」
お通しとして出されるこの小さな「茶碗蒸し」。
あまりにも美味しくて一同感激。
こんな小さなものに初っ端から感激させられると
期待も一層高まるというもの(^o^)
「蛤の酒蒸し」
大好物の蛤。
「蛤の天ぷら」と「蛤の酒蒸し」と2品も蛤メニューがあるということは
「猪口屋」さんも蛤好きのようです。
気が合いますね〜 お酒にも合いますね〜
ちなみに この時は
福島「天明 純米・火入れ」を飲んでいたのだが
ウカレすぎていたらしくお猪口の写真を撮り忘れてしまった・・・
「猪口屋」さんなのに(>_<)
「牛スジ煮込み」
これがまた大変に気に入ってしまいました。
珍しいほど甘さ控えめですっきりとした味付け。
甘いもの苦手&煮込み好きの私にはたまらない煮込み!
次はですね〜
可っ笑しいメニューなんです!
思わずプッと吹き出したくなるダジャレメニュー。
100円の差というところがまた何とも面白い。
おっ 見た目はややワイルド系?(^^)
伊勢原の朱雀卵、綺麗な黄色!
わー!
「味は変わりません」とメニューにもあった通り、というべきなのか
これは大変においしいだし巻きです!!
ふっくらふるんと柔らかいけど軽すぎず、
食べた瞬間コクのあるダシ汁がジュワー!!
まわりのテーブルの方の注文も皆さん揃って
「だし巻」ではなく「でし巻」のほう。(^o^)
リピーターの方は「でし巻」の美味しさを知っているのだろうし、
初めての人はとりあえず弟子を応援したくなっちゃうんだろうなあ
安いからではないのだ、ウンウン!と一人勝手に嬉しくなっている酒気帯びの私。
「地場産 おかひじきのお浸し」
へぇー この辺りでおかひじきが採れるんですか〜おかひじき大好き。
ミョウガがさわやかで実に美味しい。
もりもり食べたくなってしまう。
さぁていよいよ、ドドーンといっちゃいますか!
「天ぷら盛り合わせ」
待ってましたー!
ここの天ぷらはさすがとても美味しいのであります。
サクッバリッと固めに揚げられ、穴子もふっくら。
特に海老の頭が美味しかった〜〜
「柚子みそ田楽」
柚子味噌は自家製!
「会津の馬刺」
これがまた一同が狂喜した美味しさ。
全くの赤身でさっぱりしているのにとろ〜んとして旨みが濃く
みんな遠慮しつつも美味しい美味しいとつつきまくり
あっという間になくなっちゃったのですぐにリピ決定!
おかわりくださーい!
皆さんはお酒もどんどん進んでいます(^o^)
「蕎麦焼酎 泰平踊り」
凄い、アーティスティックな迫力ある器!
「鴨焼き 柚子こしょうで」
最近 いわゆるブランド鴨というのを食べる機会が重なったのだが
この無冠の?の鴨も旨みしっかり、焼き具合も良くとてもおいしい。
どの一皿でもちゃんと「おいしい」って思わせてくれるってすごいことだ。
「蛸と芽かぶのネバネバ酢和え」
これも大人気!
生らしいとぅるんとぅるんの蛸と芽かぶのとろみがよく合い
味付けはお酒にぴったりなしっかりめ。
あまり見かけない組み合わせのメニュー、やるなあ〜〜
あまりに楽しくておいしくて
ここまでをなんと1時間以内に駆け抜けてしまた私達!
まだ蕎麦には早すぎる、スピードダウン スピードダウン、
ということで、これでしばらくチビチビやることに。
「穴子の肝 佃煮」
チビチビのはずが結構ガンガン売れてしまい
あまりスピードダウンにならず(^^;;)
そして、いよいよお蕎麦に参りますよーー!!
皆さん私と一緒なので蕎麦モードになってくれていたのですが
ここはひとつ冷静に、
「猪口屋は蕎麦も良いけど特にひやむぎ、うどんも美味しいよ!」
と力説。
その上で、それぞれに思い思いの注文をしました〜
私はやっぱり蕎麦も食べたいので
「蕎楽亭」系のお店ではいつも定番で頼んでしまう、
蕎麦とうどんが両方食べられるこちら。
「猪口屋」ではメニュー名が「めおともり」ではないんですね〜
夫婦という形にこだわらないパートナー?(^o^)
「相盛り」
店内意外と暗いため愛する人の肌を美しく切り取れず
もどかしい、悲しい・・
淡く香る野性の香り。
そして何よりこの独特の肌の「軽いざらつき」がすごい個性。
言葉は悪いが「スポンジのような」不思議なざらつきで
それが非常によい穀物感を出している。
やっぱりうどん美味しいーー!
このとぅるっムチッとした食感、
ひろがる粉の素直な旨み、甘み。
隣では、もともと「ひやむぎ」とか「きしめん」が大好物の
親友みゆきちゃんが「ひやむぎ」の美味しさに大喜びの大騒ぎしてます(^o^)
なになに、一口ちょうだい!
ひゃー!
これは大騒ぎも当然の美味しさ!!
神楽坂「蕎楽亭」の「ひやむぎ」もめちゃらくちゃらに美味しいのだが
「猪口屋」の「ひやむぎ」もすんばらしく美味しい!!
ちゅるちゅるとろっとした肌、やさしいけれどしっかり凛とした食感、
そしてうどん同様の粉の旨み、甘み・・・・たまりません・・・
そしてこちらは私の力説も虚しく?
「ざるそば」を、しかも「大盛り」で頼んでいます!
すごい、私より激しい蕎麦愛を感じます。
個人的には「相盛り」のように寝かせた盛り方より
こういう蕎麦が踊るような盛り方がやっぱり好きだ。
そして自分の「相盛り」もちゃんと食べたのに
お蕎麦しっかり堪能したのに、
ここからも一口もらうのはどういうわけ?ねえ私?(^^;;)
うどんと蕎麦はもちろん別々の汁が来て、
それぞれにとても美味しい。
食後は、プレゼント大会となりまして
「ささやき声」でハッピーバースデーも合唱していただきまして
しあわせで胸もお腹いっぱい!
おまけでもらったプレゼントの精巧さにもびっくり。
ほんの3,4cmのミニチュアなのに
天ぷらもお蕎麦も本物にしか見えません・・凄い〜
みなさま、素敵なお誕生日を本当にありがとうー!! ♪♡
2014年05月25日
京都・茶山「藤芳」
関東の人が関西に行くと、東にはない美味しいものに夢中になって
敢えてお蕎麦を食べようとはあまり思わないのかもしれない。
「関西にお蕎麦屋さんってあるの?」なんて訊かれることもあるほどだ。
もちろん関西にも蕎麦の名店が数えきれないほどあるのは周知の事実。
特に私は、西のお蕎麦屋さんには東のお蕎麦屋さんにはない
「気合」のようなものをしばしば感じる。
それは「蕎麦は東のものだけど」という負けん気であることもあれば
日本料理の本場の地ならではの美意識と誇りでもあるだろう。
特に美意識の高さには驚かされることが多く
粗挽きなど見た目からしてそそられる、大変美しい蕎麦を出す店が多い。
また店舗そのものを、外観も店内もビシッと独自の美意識で整え
完璧に表現している店が多いと思う。
京都などは街の雰囲気も素晴らしいので
唯一無二の雰囲気、美意識を堪能できる名店が多く
私は京都に行く度大変な大忙しである。
そんなビシッと美しい店だらけの京都において
のんびりゆる〜い雰囲気の美味しい手打ち蕎麦屋さんというのは
稀有な存在。
長年私の大のご贔屓でもある「藤芳」さん♪♪
疎水沿いの住宅街に佇むお店。
今夜は私が大・大・大好きな、
京都在住の「さっちゃんファミリー」と蕎麦ディナー、
ということではしゃいでまいりました!
コレですよコレ、
「藤芳」さんの、ほっこりあたたかな雰囲気の店内。
子供も含む家族連れで楽しくお蕎麦、というシチュエーションにもぴったり。
京都造形芸術大学に近いのでその関係者の常連さんも多く
先程までいた学生さん風のお二人もまさにその感じでした。
壁のメニューが楽しすぎる。
個人的には「まんぷくランチ」の
「麺とごはんの分量 逆転もOK」
というフレーズが大いに気に入っております(^o^)
そして私が食べたいものは
壁メニューの中央で堂々と、まぶしく輝いております。
「生粉打ちそば」!
今日は大好きなファミリーと一緒なので
私も楽しい気分で「天麩羅付」にしてみました。
「生粉打ちそば 天麩羅付」
きめ細かくなめらかで美しい微粉の肌。
ほのかに香ばしい香りがふわ〜とただよい、
しっかりみっちりとした食感がまた美味しい・・
と思ったその時、
??!
なんだろう??
このサワヤカスパイシーな風味は?
なるほど!
蕎麦が出てくると突然嗅覚がそれまでの100倍になってしまう蕎麦犬現象は
こういう時大変不便なのであります(^o^;;)
山椒切り風味が味わえてしまうオトクな「生粉打ちそば」となりましたが
蕎麦犬、必死で探しました。
「生粉打ちそば」の味わいを・・
すると感じます感じます、山椒切りの香りの奥から下から
滋味深き、まさに生粉打ち濃厚な蕎麦の味わい!
滋賀県林田町の蕎麦。
美味しいなあ〜
「せいろ(二八そば)」
二八は北海道の蕎麦。
こちらは「生粉打ちそば」と比べるとものすごいコシ!
ちゅるっとした蕎麦を噛みしめると
跳ね返すような強靭なコシに出会う。
蕎麦の香りはごくほのかなのだが、不思議なことにこちらには
山椒の香りもあまり感じられない。面白い!
「生粉打ちそば」でタダで?味わえてしまった
「山椒切り」の風味がおいしかったので
本当の「山椒切り」も頼んでみることにしました(^o^)。
ふんだんに散りばめられた山椒が浮かぶ肌。
箸先からも山椒のかぐわしい香りがぱぁーっと華やかに漂う。
表面にこまかなツブツブの感じられる肌で、
そのせいか独特のシュワシュワした食感がユニーク。
山椒をたくさん入れるとつながりにくいので卵でつないでいるそう。
ここは汁がたいへん美味しい。
すっきり上品な出汁がじんわりひろがり
この山椒切りも汁をつけるとさらに美味しい(←それが普通の食べ方です)。
ご一緒のさっちゃん家のプリンスりんちゃんは「鴨汁せいろ」をご注文。
鴨汁がぎゅっと小さくて深い器に入ってくるのが可愛らしい。
りんちゃん、驚いたことに蕎麦を食べる姿がめちゃくちゃかっこいい。
少量をチョイと器用にたぐり上げ、ズルッッと短く一気にすする。
えーーっ こんなにかっこよく蕎麦を食べる男性は
某師匠くらいしか知らないのですが!
りんちゃんもしや、小学校じゃモテモテ?(^^)
そしてね、「藤芳」はうどんも手打ちで、それまたとても美味しいんです!
メニューに「エビ・イカ・キス・ホタテの天ぷらが入ったお値打ちの一品」
とあった、
「冷製・ぶっかけ海鮮うどん」
ちゅるっとした食感とおいしい粉の味、
「藤芳」のうどんはおいしい!
内端のガラスに貼ってあった「祝膳」もおトクで楽しそう〜!
「藤芳」さん、また来ますねー♪
2014年05月23日
京都・北山「蕎麦 YUKI」
その時私は大変忙しい身(おなか)だったのだ。
何しろあの名店からあの名店への移動中で
しかもその名店の前に既にもう一軒行っていたという
過密スケジュール(おなか)の中での出来事。
北山通りを自転車で気持ちよく疾走していた私だというのに
どうして「蕎麦」「手打ち」の文字だけは
ラスベガスの電飾級の激しさを持って目に飛び込んでくるだろう。
私は視力も大変悪いのだが、
どうして「蕎麦限定・逆動体視力」だけはやたらにいいのだろう。
走っていようが車に乗っていようが
獲物を発見する動物のように目が勝手にキャッチしてしまうのだ。
北山通り沿いの角で目立っている、ツリーズビルの一角。
問題の看板はこれ。
でも〜〜〜っ
今日はぜったいに無理なんですよ・・・
私のお腹は本日本当に本当に忙しいんです・・・
と、半分ワクワク半分こわごわ近寄ると、
「信州産有機栽培蕎麦粉使用」
「本格手打ち」
「十割蕎麦」
「蕎麦粉生地ピザ」
え〜〜〜〜〜〜〜〜〜
どうしよう
こんなの見たら・・見ちゃったら・・・行きたいではないか・・
迷っている暇はない。
よーし 行っちゃえーーー!(大丈夫なのかこの人・・)
看板に「地下一階」と書いてあったので
建物横の階段を降りてみる。
えっ あれがお店?
遠くから見てもお蕎麦屋さんに見えないが
近づけば近づくほどお蕎麦屋さんには見えない。
美容室かカフェか、といった感じの外観。
店内は外観以上に可愛らしい。
スタッフは可愛らしいファッションの若い女性!( °o°)
楽しげにおしゃべりするお客さんも可愛らしいファッションの若い女性!( °o°)
なんなんですか なんなんですか この蕎麦文化は!!
上方の蕎麦見物に走って来て腰抜かす江戸の蕎麦犬気分である。
メニューは
「十割蕎麦 蕎麦粥つき 1000円」
(蕎麦粥なしは100円引き)
をはじめ
「葱きつね蕎麦」
「からすみ蕎麦」
「刺激的カレー蕎麦」
など美味しそうなアレンジメニューがいろいろ。
「蕎麦粉生地ピザ」は夜限定だったので
おすすめらしい「十割蕎麦 蕎麦粥つき」を頼むことに。
「十割蕎麦 蕎麦粥つき」
蕎麦の出し方は予想したより和風シンプルなスタイル。
山葵をそのままお皿に乗せてしまう自由な発想もここでは自然に見える。
見た目からはやや粗めの素朴な印象を受けたのだが
食べてみると思いのほかすべすべした微粉の肌。
コシの強い固めの食感で、そこからツンと強い野性味のある香りが
ふわーっとあふれる。
ちょっと甘めの汁は、京都では珍しいタイプの味わいだ。
セットの蕎麦粥。
素朴でやさしい風情ながら
味付けは塩分しっかり、出汁しっかり。
しかし蕎麦に添えられて出てくる「ちょこっと粥」としては、
このくらいはっきりした味付けもキリッとして美味しい。
自分の忙しい身(おなか)を考えれば
ここで素直に帰るのが普通なのだろうが
それができないのが私の困ったところ。
さっきメニューで見ちゃった「からすみ蕎麦」。
からすみ好きとしては
やっぱり見てみたい、食べてみたいではないですか〜(^o^)
メニューに
「からすみ蕎麦はハーフサイズの蕎麦になります」
とあることだし、いっちゃおー!
(本当にこの人このあとどうなるのでしょうか)
「からすみ蕎麦」
わああ こちらはこの店に似合うモダンアレンジ。
お皿の選び方が上手ーい!
華やかに香る、オリーブオイルのフルーティーなかぐわしさ。
からすみおいしい!!
こちらも蕎麦粥同様塩分しっかりめなので
ハーフサイズでもおつまみのようにじっくり楽しめる。
ネーミングの気になる「刺激的カレー蕎麦」は
また次回〜♪
(次回も間違いなく過密スケジュールだと思うが・・・(^^;;))
2014年05月21日
栃木・那須烏山「八溝そば街道そばまつり 2014」
今日ははるばる、こんなお祭にやってきましたー!
栃木県「八溝地域のお蕎麦屋さん10店舗」の出店に加え
あの蕎麦打ち名人高橋邦弘さんの「達磨」も出店ということで
毎年大盛況のこのイベント。
特に今年は「達磨」が最後の出店になるので
「達磨」のブースにはますます物凄い行列が予想されているらしい。
運良く晴天に恵まれ
さわやかで本当に気持ちのいい那須烏山の青空。
お祭りは10時からなのだが10分前に到着すると
会場にはもう既にかなりの人が集まっている様子。
ひゃ〜 「かなりの人」どころではなく
「達磨」のブースにはすでにもう大行列が!
すごい人気だぁ〜
「達磨」のブースはスタッフ一同大忙し!
奥には数百人分を打って打って打ちまくる高橋さんの姿が。
いつもながらただただ口あんぐりの早さ、正確さ、美しさ。
並びながら写真や動画を撮っている人もたくさん!
「達磨」テントの周りにはうっすらと美味しい蕎麦の香りが漂っていて
蕎麦犬は吸い寄せられるようにウロウロ(^^;;)
とは言え今日は「達磨」以外にも10店舗ものお蕎麦屋さんが出店しているし
私のお腹は残念ながら本日も一つなのだから
ここは慎重にブレーキをかけつつ愛を捧げねばならない・・・
でもねえ〜 青空の下のこんなに気持ちのいいところで
高橋さんのお蕎麦を食べるのは初めての私。
ついブレーキが壊れました!っていうか壊しました!
うふふー
ダブルバーガーならぬダブル蕎麦!
お盆の上で狭そうに重なる蕎麦の眺め・・
ときめくー! (≧∇≦) ♡
あらためて席で眺めると、
相変わらずハッとするほど美しい緑色。
心を、奪われる。
この、一見おおらかでなんでもないような顔をしながら
寸分の隙もなくととのった表情。
飛び抜けて美しい緑。
いつもながら高橋さんの蕎麦の佇まいには感動させられる。
感激余って日の光の下でも眺めまくる私。
こんな自然の光の中であなたに会うのははじめて。
もっともっとあなたが見たい。
(周りから見たら完全に不審者です。プルプルしながら片手でお盆持って激写)
いよいよドキドキと、ひとたぐり。
おおっ 今日はいつもよりも北海道を強く感じる香りである。
最近は茨城・常陸秋そばと北海道のブレンドが定番の「達磨」の蕎麦だが
ここまで北海道を強く感じるの初めて。
かなり強い野生の香りだ。
ムチッとフレッシュな印象の強靭なコシ、そこからこぼれる澄んだ味わいは
さすがとしかいいようがない、いつもの高橋さんの蕎麦。
ところが今日は野外のせいなのか、
私が早起きしすぎて寝不足のせいなのか
食べ始めてしばらくしたら香りが薄まって感じられなくなってしまった。
最初に感じた香りも、
いつものあの最高にバランスの良い美しいかぐわしさとはちょっと違った。
今まで食べた高橋さんの蕎麦の中では、一番感激が薄い印象だった。
しかし、私はこのあと不思議な体験をした。
この「達磨」のあと結局私は4軒のお蕎麦屋さんの蕎麦を食べた。
どれも個性鮮やかでとても美味しかったのだが
不思議なことに時間が経つごとに、この最初に食べた「達磨」の2枚が
楽しい美味しい思い出として何度も何度も心に蘇ってくるのだ。
その4軒が余程美味しくなかったのならわかるが
4軒それぞれにとても美味しかったのだ。
その中で、心の中に浮かんでならない「達磨」の蕎麦の強烈な魅力。
これはもはや恋?
なーんていうのは冗談としても、
それだけ無意識のうちに、私の心はガッチリとらえられていたのだ。
(こんな、あまり人に理解されなさそうなことを大真面目に語る私って一体・・・ (* ̄∇ ̄*) )
汁の美味しさにも毎回うならされる。
今回も汁が美味しいばっかりについつい蕎麦湯をたくさん飲んでしまい
その後ほかのブースめぐりがますますデンジャラスに!
1軒めでこんなにお腹いっぱいになってどうすんだ!
ではでは、
張り切って他のブースの探検に行きますよー!
どの店にも人が集まり賑やかな楽しいお祭の雰囲気。
左側がそれぞれのお蕎麦屋さんのブース、
右手に見えている白いテントの下が椅子席になっている。
椅子席は、回転は早いものの常に満席状態で
空席を見つけるのは慢性的に困難。
お蕎麦屋さんは10軒もあるので
絞らなくてはならないのがツライところなのだが
烏山の有名なお蕎麦屋さん「手打そば処 はん田」があったので
まずはここに並んでみました〜
烏山「手打そば処 はん田」
(写真は食後、空いてから撮ったもの)
テント下の椅子席が空かないので立ち食いを決意した私。
ちょうど会場設営用の脚立が畳んで置いてあったので
それをエイヤと立てて机にしちゃいました。
この人、お蕎麦のためならなんでもやります( •̀ .̫ •́ )✧
「細打ち十割」
脚立の上の蕎麦。
なかなか斬新な眺めです。
在来種らしい強い野生の香り。
みずみずしい肌は強靭なコシを持ち、
噛みしめるとこれまた濃厚な野生の味わいが広がる。
この近辺でとれる新種の蕎麦です、と説明されたが
なんていうお蕎麦なのかな〜?
お次に気になったのはこのブース。
「太郎在来」
「那珂川町建武太郎地区の特級畑、
薄井清志さんが自家採取している在来種の玄蕎麦を使用しています。」
との張り紙があります。
那珂川町「JOZO CAFE 雪月花」
「馬頭広重美術館」に併設されたカフェで手打ち蕎麦を出しているらしい。
見た目からして、なんとなく二八かな?
手繰り上げるとこうばしい外皮の香りがフワーッ!いい香り!
微かに透き通ったような肌に浮かぶ無数のホシが美しい。
食感は驚くほど軽く、味わいはごく淡い。
軽やかな香ばしさが際立つ蕎麦。
太郎在来っていい名前だなあ〜
お腹の容量も限られてきたので
次のお店は「人を見て」決めることにした。
どの店もその場で打ったり茹でたりしているので
その人達の仕事っぷりを見て決めてみようと。
そして惚れ込んだのがこちらです!
烏山「蕎川庵 高瀬」
本日はイベントのせいか、若いお姉さんが店頭で打っているお店も多い中
こちらは店主らしい方がストイックに
責任持って打ちまくっている感じがかっこよかったんです〜
那珂川町と那須烏山市の山間部で採れた玄蕎麦を
毎日自家製粉しているお店だそう。
わーお
これはすごい ざっくざくの粗挽き黒肌!
うわー!予想を超えたびっくりの香り高さ!
甘皮の香りがやや熟成感を帯びてピーナツやゴマなどに似た
すばらしい香ばしさになっている。
熟成感といってもふっくらとまったく嫌味のない感じで
これは大変に美味しい。
ちょっとふるんふるんとした独特の質感で
チリッと舌にあたるこまかい粒の刺激も楽しく
味わいも濃厚で穀物の甘さもしっかり楽しめ実に美味しい。
汁はかなり甘め。
いよいよお腹も限界となってきたので
トリはこちらのお店にしてみました。
烏山「田舎そば処 長山」
自家栽培、自家製粉の栃木在来種を出している「田舎そば処 長山」。
那珂川支流の木須川流域で育てられてきた在来種なので
「木須そば」と呼ばれているらしい。
しかも今日は「田舎十割 寒ざらしそば」って書いてあります。
寒ざらしもやってるんですかあー すごい!
(寒ざらし:蕎麦を美味しくするために、秋に収穫した玄蕎麦を、
厳寒期の冷たい水に10日間ほど浸けおき、
引き上げた玄蕎麦を20日ほど寒風にさらす手法。
大変な作業で、ものすごーーく手間が掛かっています。)
「寒ざらし 田舎十割」
美しく整いつつも
のんびりゆったりした風情が田舎らしい蕎麦。
うわー この野性味はすごい。
青畳をもっと強くしたような野性味あふれる香り。
味わいは墨のようなものすごい渋い深さ。
寒ざらしが引き出した個性なのか、
もともとこの在来種「木須そば」が持つ個性なのかはわからないが
とにかくおどろくほどの野性味である。
面白いことに一つ前の「蕎川庵 高瀬」でも感じた「ふるんふるん」という食感を
この「田舎そば処 長山」も感じた。
こちらはさらにそれが強く、蕎麦と蕎麦の重なりを噛むと滑る感じがある。
両方那珂川地区で採れたお蕎麦なので、それがこのあたりの蕎麦の特性なのか、
はたまたこのあたりの蕎麦打ちの特性なのか?
蕎麦打ちの地域性というのはよく感じるので面白い。
汁はうどんの汁にもありそうな薄め、甘めで独特の磯の香り。
このお祭りの名に冠されたあ「八溝」とは
茨城県の最高峰「八溝山(やみぞさん)」からくるもので
その山地は福島県、茨城県、栃木県の県境付近にまたがっているらしい。
郷土性豊かな蕎麦の野生の香り、味わいを堪能できて
本当に楽しいひとときだった。
そしてその楽しい気持ちの中で繰り返し思い出される
「達磨」の蕎麦の、揺るぎなき王道の美しい記憶。
全てをひっくるめて最高に楽しいお祭で
この日はこのあとお気に入りの名湯に行ったりもしたのだが
一日中「あーそば祭り楽しかった」「あーそば祭り楽しかった」
と遠足のあとの子供のように思い出に浸っていた。
そして夜もしっかりお蕎麦屋さんに行ったのだから・・
「私の体の80%が蕎麦で出来ている」
という冗談が冗談でなくなってきているような? (* ̄∇ ̄*)
2014年05月20日
京都・堀川鞍馬口「かね井」
久しぶりに訪れてみると
私の愛する名店が大変な事になっていた。
京都は近年素敵なお蕎麦屋さんが増えたので
毎回全部を廻れるわけもなく、
もともと大好きなお店ほどなかなか行かれず仕舞い。
今回は久々に、絶対!と張り切って朝一番に訪れてみると
なんと平日の開店時間前だというの既に行列が・・・
(これは帰り際に撮った写真。店内の三和土は待つ人でぎっしり)
開店時間までに行列はどんどん長くなり
こんな「かね井」は初体験の私はビックリ。
ランキングサイトでの人気やらミシュランやら噂は聞いてはいたが
こんなすごいことなっていたとは。
いよいよ開店時間となり、懐かしい、相変わらずおっとりと丁寧な奥さんが
「いらっしゃいませ」と扉を開けてくれる。
並んでいた人たちは皆遠慮しつつもドドッと中に入り
ちょっと慌てて席に着くことになる。
私は運良く窓際のいつもの席に座れたが
なんだかここまででずいぶん緊張してしまった。
最近こういう経験が多い。
名店ほど人気が出過ぎてしまいお店の人が表現しようとした世界が
人でぎゅうぎゅう埋め尽くされてしまうのだ。
開店1分後に満席の店内。
お客さんは皆何を食べようかワクワクしている、
その興奮が伝わってくる。
私が知っているひっそり美しい「かね井」の時間とは
ずいぶん違うなあと思っていると
奥さんがスッ、とお茶を持ってきてくれる。
店内満席の大忙しだというのに、おもてなしの心が伝わる丁寧な仕草。
そのおかげで、私はいつも「かね井」の時間に戻ることが出来た。
紫野の古民家に注ぐ、やわらかな光。
混雑のため、本日お昼は「出汁巻き」「そばがき」は注文できないと知り
ものすごく楽しみにしていた私はビックリガッカリ。
でも店内は満席の上入り口の待合スペースにも人がぎっしりだし
お店の人も本当に大変そうだ。
人気が出過ぎてしまうってこういうことなんだなあ〜
私は大好きな「ざるそば」「粗挽きそば」を注文。
お通しの揚げそばを食べながら待つ。
蕎麦が来るまで、心を澄ませてこの古民家の呼吸をきく。
「ざるそば」
やっと会えた。
この窓辺であなたに出会うよろこび。ときめき。
かすかな透明感を感じる肌。
端正な極細の輪郭線の、ごく繊細に揺らめきに思わず見入る。
吸い込まれる。
ドキドキとたぐりあげると、
この上もなく美しい澄んだ蕎麦の香りがブワー!とこちらに押し寄せてくる。
極上の更科にも似た上品なかぐわしさ。
ごく繊細なため口中では束になる感じで
ちゅるちゅるみずみずしくくちゅっとした食感。
コシは強く、噛みしめると重なった蕎麦と蕎麦がズレるような弾力がある。
味わいもすっきりと澄んでさわやかな美味しさ。
「粗挽きそば」
ど どうしよう来ちゃった!
頼んだんだから来るに決まってるのだが
大好きな人との再会に大いにうろたえる私。
うっはーーー!ものすごい粗挽き肌!
久々のせいかなんだか前より一層粗いような気がします!!
ザッラザラゴッツゴツの肌から漂う、超濃厚な香ばしさ。
ピーナツやゴマに近い、やや熟成を感じる香ばしさだが
嫌味なく澄んでいるところがすんばらしい!さすがとしか言いようがない。
甘みはほとんどなく味わいはすっきりしているところも
この蕎麦にフレッシュな印象を加えさらにいい。
これだけの粗挽きゆえ蕎麦はかなり短めだが、それはそれで大好きな私。
ゆっくり食べられて、一緒にいられる時間が長くなって
素晴らしいじゃないですか〜
(いつもお蕎麦があっという間になくなりすぎなもので(^^;;))
「かね井」は汁がまた大変おいしいのだが
当然最後まで一度までつけられず、蕎麦湯の時にやっと堪能。
一口もらった「鴨なんばん」の出汁の美味しさにもビックリ感激!!
一口くれた私の大好きな「さっちゃん」
(注・一口くれる前から大好きです(^o^))
は、大変に鋭敏な舌を持つ京都在住のグルメ&料理上手さん。
そのさっちゃんも、「かね井」のお出汁の美味しさには悶絶してましたー!
さっちゃん、今度はもっとゆっくりした時間に
「4人で」行こうねー!(^o^)
(微妙に私のアタマが〜)
2014年05月16日
京都・丸太町「手打ちそば 花もも」
花ももさん
花ももさん
可愛らし名前やなぁ〜( ´▽`)♡
丸太町通沿い、御所の緑の風に揺れる暖簾。
店構えは純和風だが、店内は若い感性を感じる素朴なインテリア。
1階はテーブル席、2階は座敷席になっている。
1階は大きな木のテーブルがポンとひとつあるだけのシンプルさがいい。
ちょうどこの時、楚楚とした京美人が入ってきてスッと入り口の席に座った。
仕草も美しく、この店の景色にとてもよく似合っている。
この後も入れ替わり立ち替わり、若いカップルや 熟年カップル、
お洒落な帽子のお姉さんや常連らしいおじいさんがやってきた。
この木のテーブルの時間が、物語のように移っていく。
そして隅っこの私は、
あなたと二人の世界・・・・♪
「ざるそば」
おだやかなさざ波のような、やさしい表情。
ふわーっとただよう、さわやかで少しひねたような野性味のあるかぐわしさ。
口に含むと細切りの優しい輪郭線が心地よく、
噛みしめると意外にもぷにっと強靭なコシがある。
そこから深い味わいがじわわわ〜〜
しみわたる・・・・
「田舎そば」
ガツンと太打ちの「田舎そば」。
東京のお蕎麦屋さんは「田舎そば」と名づけても細いまま
田舎らしい雰囲気を出したりするところもあるが
関西のお蕎麦さんは田舎といえばしっかり太打ち!というところが多い気がする。
普通のお蕎麦との対比が際立って楽しいものだ。
色と肌からしてムンムンがっつりの香りかな?と思ったら
ほんのりと上品な香ばしさに迎えられ、私まで澄んだ気持ちになる。
さすがにこれだけ太いとモグモグすることになるが
これまた弾むような弾力があるのでモソモソなどは全くせず
噛みしめる食感を楽しむ。
味わいもすっきりとして、見た目以上にさわやかな「田舎そば」だ。
この汁器と蕎麦猪口もこの店らしい。
しみじみと愛でる。
少しオトメで少しモダンで、
でもこの空間の素朴な和の雰囲気からははみ出さない遊び心。
ランチ時には「おひるごはんセット」というのがあり(売り切れ次第終了)
お蕎麦プラス150円で
「そばの実ごはん」「焼みそ」「じゃこ山椒」「塩こぶ」
というセットにできる。
なんとも京都らしい趣深いセット、ええなぁ〜
二階の座敷は御所の緑を借景に、
またさらに素敵な雰囲気。
車通りが多い丸太町通りに面していても
正面が緑というのは本当に素敵なことだ。
一階の入り口からも緑の光が舞い込んでいる。
鴨なんばんも美味しそうだったなあ〜
(お向かいの人が食べてた(^^))
2014年05月15日
京都・北山大宮「おがわ」
京都・北山通りの至宝、美しき「おがわ」。
その立地。
その佇まい。
その、蕎麦。
店の前に立っただけでしみじみとした気持ちなる。
私はこの店の外観がたまらなく好きだ。
古い家に掲げられた潔く白い暖簾が、
北山通りを抜ける風にかすかにゆらめく。
このまま時が過ぎていってもいい、と思う。
静かな店内。
大きな硝子戸越しの自然の光。
間口そのままの広さのシンプルな間取りもとてもいい。
綴じてあるメニュー本の中の写真はいつも掲載を遠慮しているのだが
この「おがわ」のメニューは本当に可愛らしくて・・
ファン精神に免じてお許しください〜〜
文字も、紙質も、全体のデザインも
隅々まで上質で丁寧。
わかっていたことではあるが、いよいよその時が来てしまった。
えー あのー
ドキドキして
もうどうしていいかわからなくなってきました。
みなさんもドキドキしておいたほうがいいと思います。
何を突然言っているのやらわからないかと思いますが
もうとにかくそんな、ドキドキが爆発して大空に打ち上がってしまうようなものが
今からここにやってくるのです。
こんなに静かな美しい店内で
私の胸を心を鼻腔を三尺玉級の激しさをもって
ときめきで爆発させるような
そんな危険なものが来てしまうのです・・・!
さあ、
いらっしゃいませ・・・・
「おがわ」の「そばがき」!!
(>_<)
こっ
このときめきをどうしろと!!!!!!!
漆黒の器の上の、大胆な存在感。
その肌の無尽蔵の美しさ。
そんなに、そんなに、
その美しさをさらけ出してしまっていいのですか・・・
食べるのがもったいなくてならないが早く食べたくてたまらない。
姿も素晴らしいが味はそれ以上と言っていい。
山駆け登っててっぺんから叫びたいような、最高の美味しさ!!
箸先で香る、ホワッとかぐわしいこうばしさ。
口に含んでその味わいの濃厚さに驚く。目がかっ開く。
まるで出汁でも入ってるかのように濃い、グルタミン酸系の濃厚な旨みが
ぎゅううううううううと舌の上全部に広がるのだ。
どんな魔法を使うと、蕎麦からこんなもの凄い味わいが引っ張り出せるのだろう。
完璧に煎れられた極上の煎茶などにも感じたことのある、自然界の不思議な旨み。
食感はふっくらとしているがエアリーという程ではなく
ザラザラ〜としてもっちりふっくら、
それが全てとんでもなく濃厚な旨みで染まり、私の脳も全部染まり
私の目は開いているのだがもうこの世に居るのだか居ないのだか(こわい)
とにかく、夢のようにおいしい「おがわ」の「そばがき」なのであります(>_<)
すでにこれだけ感激してしまったが
肝心の蕎麦はこれからである。
ああ なんとうれしい
久しぶりの「おがわ」の蕎麦。
「ざる」
その宇宙に、息を飲む。
さきほどの超絶そばがきに勝るとも劣らぬ、美しき粗挽き肌。
穀物の香ばしさを淡くまとい
ざらざら〜と口中をめぐる肌は
噛みしめると思いのほかしっかりとした歯ざわり。
味と香りが淡く澄んでいるぶん、
ザラザラの肌と弾力あるコシを穏やかにピュアに楽しむひととき。
淡い水彩画のなかで穀物の素朴さを見つめるような蕎麦だ。
実は今回私はメニュー本の可愛らしさに誘われて
珍しく「ざる」でなく「とろろ」を頼んだのだった。
案の定、淡き水彩の夢を追いかけるのに夢中で
結局最後までとろろはつけられず・・・
「蕎麦後のとろろ」、美味しかったー(^o^)
人気店ゆえ混んでしまうとこの静寂は味わえないが
時間を外せばこの店の美しさをこれだけ堪能できる。
奥さんの穏やかな接客も、
厨房がカタコト動く音も、
全てがこの店の景色に美しく重なり
ああ このまま時が過ぎていってもいい、
と思うのだ。
2014年05月14日
長野・長野市「手挽きそば 蔵之内」
長野駅から2kmほど。
山深いところに名店が多い長野県において
車がなくても行かれる市街地のお蕎麦屋さんというのは貴重である。
新幹線をちょっと遅らせれば美味しいお蕎麦がたぐれるのだ!
山の蕎麦屋は「お昼でおしまい」なお店も多いので
営業時間が20時半までというのもありがたい。
「手挽きそば 蔵之内」は今宵も大人気、大盛況!
家族連れやグループ客など、ひっきりなしに車がバンバン訪れる人気店。
「手挽き」と店名に冠しているだけあって
入り口に入るとすぐに石臼に出会えた。
いつも思うが、こんなに重そうな石臼を毎日ゴリゴリ手で回して粉を挽く、
その労力にはただただ頭が下がる。
以前秋田にあった「石碾屋」さんで挽かせてもらった時
恥ずかしながら10センチくらいしか動かせなかった私でありました・・( ̄▽ ̄;)
ここはメニュー に創意工夫がありとても楽しい。
蕎麦のメニューも「本日の素材そのもの料理」 というおすす料理メニューも
読み応えがあってついついじっくり見てしまう。
「 信州サーモンの軽い燻製グリーンサラダ」
モダンな三角の器が楽しい演出。
信州サーモンは肉厚でとろっとして、燻製の香りが最高!
やや甘めのドレッシングがさりげなくあしらわれている。
そしてここの「そばがき」がまた面白い。
「名物 そばがき餅風(上伊那箕輪地粉)」
そばがき餅、風?
そばがき、餅風??
どっちでも同じだろうが面白そうだ。
頼んでみよう!
わー ほんとに面白いのが来た〜〜(^^)
デザインの面白さに思わず激写しまくってしまいました(^^;;)
餅風、ってこういうことだったんですね〜〜
墨のような、干し草のような野性味ある香り。
モチッ ホワッとした食感が素晴らしい。
甘みが少ないのが野生の香りをストイックに際立たせ、いかにも地粉という趣。
あああ いいなあ おいしいなあ
いよいよお蕎麦・・・の前に、
隣のテーブルの男性陣がガンガン食べているお蕎麦をご覧ください。
すごい大盛りでしょう〜?
しかもこれが「大盛り」ではなく「中盛り」という名称であることに驚かされる。
「 手挽き 蔵之内」において「中盛り」は「普通盛り」の2倍もあるのだ。
それがなんと、たったの50円増し!!
すごいっっ
でも私は「量」より「種類」が食べたい方なので
「中盛り」にはせず「普通盛り」で「二色蕎麦」を(^o^)♪
「いしうす蕎麦 地粉自家製粉(上伊那産)」
「田舎蕎麦 あらびき粉 色は黒め 毎十五食」
の2種類のお蕎麦だ。
「二色蕎麦」
「いしうす蕎麦 地粉自家製粉(上伊那産)」
生々しいほどにたくましい香り。
ビスクドールのような「細かく均一なきめの荒さ」のある肌で
のどかな風情がとてもいい。
舌触りはやわらかくやさしいのだが
中に空気を含んだような独特の軽さがあり
噛み締めるとジューシーなイメージもある。
そこから淡い味わいがこぼれてくる。
「田舎蕎麦 あらびき粉 色は黒め 毎十五食」
こちらも「いしうす蕎麦」同様に生々しいほどのたくましい香り。
それに加えこちらには甘皮のくろい香ばしさ、甘さがガツンとあるのが嬉しい。
ズシッとしっかりした食感で、噛みしめる度に甘みが口の中にひろがる。
2種類が一緒に盛られているお蕎麦だとつい
「2つの宇宙の間」
を撮りたくなってしまう私。
その頭の中に
「クロ〜とシ〜ロと〜の間〜にはぁ〜〜っ」
という替え歌が響いていることは誰も知らない・・ (* ̄∇ ̄*)
汁は鯖節?のような強い味わいで
甘さも強めだが全体のバランスのいい汁。
さきほどまであれだけ混んで、あきらめて帰るお客さんも多かったのに
今はラストオーダー後の静かな時間。
手挽きの蕎麦粉がどのお蕎麦に使われているのか結局わからなかったのだが
「毎十五食」限定という「田舎蕎麦」だったのかな?
今度行った時もし空いていたら訊いてみようっと(^o^)
(ついでに、幻らしい「大盛り」の実態も!)
2014年05月03日
「達磨」高橋邦弘さんの蕎麦@逗子「手打蕎麦 おかむら」
今年に入ってますますお目にかかりづらくなっている
広島「達磨」の高橋邦弘さんの蕎麦。
昨年末にNHK「プロフェッショナル」に出演し
2014年で「達磨」を引退すると発表したせいもあって
以前以上に人が殺到しているらしい。
広島のお店には早朝から山の中に車行列が出来ているとか!!(〇o〇;)
高橋さんが全国を行脚し、各地で行われている「達磨の蕎麦会」も
ますます予約が取りづらくなっているわけだが
今日は素敵な方々のお仲間に入れていただき参加できることに。
うわーいありがとうございます〜♪*\(^o^)/*
今回の会場は高橋さんのお弟子さんである逗子「手打蕎麦おかむら」。
逗子の山の上、高級住宅街にある「手打蕎麦おかむら」は
いつもはごく閑静な佇まいであるが今日はなにやらすごいことになっている。
入れ替え制の各予約時間になるとどこからともなく静かに、
車が人がウワ〜〜〜と集まってきては店に吸い込まれていく。
これが若い人向けのイベントならかなり騒々しいのだろうが
みなさま上品知的な雰囲気の方ばかりで、終始静か。
しかしその全員の頭の中が蕎麦でウネウネいっぱいになっているかと思うと
勝手に可笑し嬉しくなっている私。
いつもはたくさんの美味しいメニューを取り揃えている「手打蕎麦おかむら」だが
本日は「達磨の蕎麦会」につきこの特別メニューのみ。
今日の蕎麦会の固定コースである「蕎麦2枚+豆腐」に加えて追加注文したい人は
この中から選ぶことになる。
お蕎麦が来る前のセット。
おおっ
今日のメニューは何もかも「達磨」仕様かと思いきや。
お豆腐は最近いつも「達磨の蕎麦会」で出されるアレではなく
これは「手打蕎麦 おかむら」通常メニューの「冷奴」ですね!?
こうして出されると以前「達磨の蕎麦会」で出されていた
箱根の豆腐にも似ている気がしてくる「冷奴」。
豆の味が濃く、みっしりぎっしりした食感、
それでいて全体には非常にさっぱりとしている。
美味しいお豆腐だなあ〜〜
相変わらず美しい高橋さんの蕎麦打ち。
私から見ても見惚れるほど美しく素早いが
蕎麦打ちする人にはそれ以上の物凄さらしく
感嘆の表情で動画を撮る人をどこの会場でも見かける。
というわけで、打ちあがりました一枚目。
やったぁーーー!
昨年12月の練馬「達磨の会」以来、4ヶ月ぶりの高橋さんのお蕎麦。
その姿は、何度出会っても「何でもないような顔をしている」。
ひとたぐりで、のけぞる!!!!!
目が覚める!!
本当に本当に、毎度のことながらヤラレる。
その姿は、のびのびと、おおらかに「何でもないような顔をしている」のだ。
しかしひと度たぐり上げると、おそろしいほど美しいかぐわしさが
はじけ飛ぶような勢いを持って私の鼻腔に飛び込んでくる。
毎日毎日あっちで一目惚れしてはこっちで浮気し、
ああかぐわしい、いい香りだ、素晴らしい蕎麦、と賛美に賛美を重ねている私だが
その全ての記憶がリセットされるような、
「かぐわしいとは、こういうことでした!!」
と平伏したくなるようなかぐわしさ。
とてつもなくフレッシュで、美しく、
香ばしさとたくましさと野性味と上品さとやさしさと
全てのバランスが調いすぎてそれが大きな円となって恍惚の雲の上に浮かぶような
私の脳が文章がかくもおかしく壊れるような、
そんなとんでもないかぐわしさなのだ。
しかもこれだけ長々書いておいてなんだが、
私はまだ食べてない。
香りだけで何十分でも酔っていられそうなほどではあるが
ついにドキドキと口に含むと
き、き、きました・・・
コレですコレです・・
それは、ぽーんと美味しさの海に投げ出されたような
うるさい形容詞を何も感じないような「おおらかな王道」で
最後にうれしくなるような弾むむっちりしたコシが受けとめてくれる蕎麦。
しかも、おー、今日はいつも以上にコシ強めかな?
2枚目
同じ蕎麦なんだからいくら撮ったって同じじゃないか、
と言われればそうなんですけどね・・・
蕎麦以外の香りを避けるため汁や薬味を必死で遠ざけている
私の蕎麦犬ぶりでも見て笑っててくださいませ (* ̄∇ ̄*)
しかーし!同じ蕎麦と思ったら大間違い、なところが面白いところ。
1枚目よりさらにかぐわしく、食感はちょっと優しくなっている!!
ご一緒の皆様も「一枚目と違う!」と口々におっしゃっております(^o^)
同じ人が打った蕎麦でも、茹で方が1秒以下でも違えば違ってくるんでしょうね〜〜
釜湯の濃さとかも関係あるのかなー?
ゆるぎなき王道の美味しさに身を委ねつつ
私の全身は一枚目からずっとこのかぐわしさに染まったままで
恍惚の雲の上から帰ってこられないまま・・
はにゃはにゃ・・・しあわせだー
二枚食べ終わり、幸せで意味なくニヤニヤニカニカしているところへ
スタッフが追加注文を取りに来た。
ご一緒の男性3人のうちお二人は3枚目を追加。
お一人は「やめておきます」と辞退され、
私もかなりお腹いっぱい胸いっぱいだったので迷ったのだが・・・
やっぱり「ハイッ」と手をあげちゃいましたぁ
しあわせな会の後、葉山公園に行く。
靴を脱いで砂浜を歩き
波の音の隙間に透き通る石を探して
サングラスを落として
見つけて
たくさん笑って
日が暮れるまで潮風の中に居た
湘南の一日。
2014年05月01日
群馬・沼田市利根町「十割そば 水石」
日本の名滝百選にも選ばれている「吹割の滝」。
そのほとりの林の中に、名瀑を望むお蕎麦屋さんがある。
吹割の滝は駐車場のある街道沿いから
山道をくだったところにあるので
店にたどり着くには少し歩くことになる。
途中、山の観光地らしいお土産物屋さんもあったり
ちょっとしたハイキング気分。
道しるべが見えてきた。
もうすぐらしい。
着いた!
遠くに見える、あれがお店かな?
滝の音の中、近づいてみるとひっそりとした入り口が現れた。
ハイシーズンには行列もできるというのが嘘のようだ。
こんにちはぁ〜と扉を開ける。
うわぁ なんとムードたっぷりの玄関!
「ハイハイ〜」
と奥で声がして「日本の田舎のおばあちゃん」という設定の衣装を着たような、
割烹着に三角巾のおかみさんが迎えてくれる。
座敷に上がってさらに感激。
ひろびろと気持ちの良い座敷。
大きな窓いっぱいの滝!
誰も居なくて、滝の音だけ響いて、なんて贅沢なんだろう。
まるで夢でも見ているかのようだ。
店内を見回すと、いたるところに綺麗な小さな絵がびっしり飾ってある。
地元の人々の作品ということだが
それらが統一感を持って綺麗に飾られている。
額に入った高価そうな絵よりもあたたかで、にぎやかで、とてもよい趣だ。
絵だけでなく,この店にはさりげないセンスを感じるしつらいが多い。
メニューの見せ方も素朴な感じがとてもいい。
目の早い人はすでにお気づきかと思うが
この店の名物メニュー「十割そば」は1200円である(!!)。
いくら名瀑の畔と言っても都内の高級店よりも高い価格設定。
私が長年この店を知りつつも
なんとなく後回しになっていた理由はそこにある。
しかし早くも私は、そんなことは全くどうでもよくなるほど
この店に癒されている。
「十割そば」
ふわぁ〜とただよう、ややひねたような野性味溢れる香り。
パキッとした極細のラインが口中でもはっきり感じられ
その束がめぐりほどけるのが眼に見えるよう。
噛み締めた味わいはさわやかで実に美味しい。
これは北海道かな〜と思ったらやはり、でした(^o^)
「鴨と焼きネギの香りに自信」とメニューに説明のある
「吹割そば」のつけ汁はこんな感じ。
お〜確かに、焼いた香りの香ばしさといい
さっぱりとした汁といい、
ととのった小ぶりの鴨肉の旨みといい、
これはおいしい汁ですよ!
「十割そば」のつけ汁がかなり個性的なものだっただけに、
個人的には汁は「吹割そば」のほうが好み!
食べている時から、店のおかみさんはドッコイショとストーブのそばに座り
何とはなしに話をしてくれる。
なんと今年は今日が、冬が開けて最初の営業日であること。(4月某日)
今はおかみさんと息子さんでやっていること。
「水石」は屋号であること。
ここはストーブを炊いてもとても寒いこと。
吹割の滝や尾瀬が一番美しい季節にはとても忙しいこと・・
今までこのブログにおいてお店の人の写真を載せたことは殆どないが
この「水石」の時間は私にとってあまりにも素晴らしかったので
おかみさんには是非とも(ほんの小さくなので)ご出演いただきたい。
私がこの店でどんなにリラックスして
都会の些末事を忘れるような、ひろびろとした開放感に浸ったか・・
その証拠に、なんと今回お蕎麦のアップの写真がないんです!!
これには我ながらビックリ。( °o°)
いつもいろんな角度から何枚も撮る、一番撮りたい写真なのに。
静かにゆっくりと流れる「水石」の時間に吸い込まれていたのだ。
滝のほとり、林の中のこの店で過ごした時間は1時間。
私が食べた「十割そば」は1200円。
行く前に高いと思っていた自分が不思議に思えるほどの「時間の価値」だった。
とは言えハイシーズンの行列&大混雑の時だと,だいぶ印象は違うかな?
でもその時は景色もさらに美しいのだから、
やっぱりハイシーズンにも来てみたい!
(このシンプル&どっしりしたメニュー表もなんだかとても好き)