近年お蕎麦屋さんが増えに増えた神楽坂。

中でもこの「芳とも庵」は店主の蕎麦打ちへの情熱がアツすぎる。
「江戸そば」「田舎そば」「津軽そば」
三種揃った蕎麦、それぞれの個性が素晴らしすぎる。
今日は前々から約束して、楽しい仲間と3人、
真夏の真昼の蕎麦飲み会を開催!
12:00の開店直後に訪れてみると
なんと最後のひとテーブルだけが空いている状態でギリギリセーフ。
私は夜の比較的緩やかな時間に来ることが多いので
お昼時の盛況ぶりに驚かされる。
相変わらず圧倒される「蕎麦打ち・製粉スペース」の広さ。

客席からガラス越しに見える部屋には
蕎麦打ち場や自家製粉用の石臼のみならず、
石抜き機、磨き機、選別機、脱皮機、玄蕎麦貯蔵用冷蔵庫など
美味しい蕎麦切りを作るためのあらゆるものがここに揃っている。
もはや「ないものは畑だけ」!
製粉屋さんから蕎麦粉を仕入れればこんなスペースも上記の機械類も全く要らないことを思うと
やはりこれは「店主の情熱スペース」以外の何者でもない。
とりあえず、エビスでかんぱーい!

(最近暑さゆえかますます飲めない私、ビールは撮影用に拝借(^^;;))
「そば刺し」

そば刺しとは、蕎麦を麺状に切らずに刺身のように切ったメニュー・・なのだが、
それより何より、このものすごい緑色はなんでしょう!?
私のカメラがおかしいのではなく驚くほどの濃い緑色なのだ。

じわ〜と香る深い香り。
パキッと冷やされてはおらず
室温と同じくらいの温度なので余計に穀物のたくましさを感じる。
ひとかけらは小さく見えるが食べ応えがあり、でも硬くもないとてもいい食感。
聞けば山芋を使う伝統的な作り方だそう。さすが伝統の技!
「蕎麦屋の出し巻き」

きゅっ、ころんとコンパクトに巻かれた感じが可愛らしい。

この出汁巻き、見た目以上に大変強力なお酒のつまみである。
甘さはほとんどなく、出汁と醤油がガツンと辛い。
ひとかけらで延々と飲んでいられそうななんとも江戸な出汁巻き卵。
お酒大好きのお仲間達はまさにその通り、
先程から「卵チビチビお酒チビチビ」で大変幸せそうです(^o^)
お酒は先程から「楽」をすでに猛烈リピートしております。
「楽(滋賀)純米吟醸」

「粗挽きそばがき」

うわぁーこれまた美しい淡緑!
「そば刺し」よりも淡い緑なので余計にフレッシュで美しく見える。

さわやかな薄緑の中に眠る無数の蕎麦粒子たち。
特に新緑の葉のように明るいグリーンの粒にははっとさせられる。
もはや穀物というより野菜のような印象すら受けるが
不思議なことに香りにもちょっと野菜のような?ジャガイモのような?要素がある。
そばがきの香りを出すのは加水率が決め手と言う店主だけあって、
ふわとろエアリーではなく「どろどろザラつぶモチネト〜」としたそばがきだ。
「天ぷら盛合わせ」

海老2尾、なす、しいたけ、みょうが、かぼちゃ、さつまいも、ピーマン。
大好きな仲間たちとだと取りっこ、分けっこも楽しい。
えー海老食べていいの〜うれしいありがとぉー!(^o^)
ガッチリかなり固めの衣だが、その中から現われた海老さん美味しすぎました。
ものすごいプリップリ!!
お蕎麦は、この店でこれ以外食べたことありません。
「江戸そば」「田舎そば」「津軽そば」の「三種盛」!
生山葵をすりつつワクワク待ちます。

お蕎麦は、美味しさを第一に考えて一枚ずつ持ってきてくれるスタイル。
「江戸そば」
説明には「店内で皮むきした丸抜きそばを自家製粉。メッシュ30番で篩った粉を80%、20%で篩った粉を20%混ぜて打ったそば。3種類のそばの中では最も白い。」とある。

これまた驚きの、鮮やかな緑色!

氷水でしめない、なま温い空気が運ぶ濃い香り。
穀物の静かなたくましさが、じ〜〜わ〜〜〜と漂っている。
すべすべと密な舌触りの肌だが噛みしめると独特の軽いふっくら感があり、
甘みはなく、味わいもじとーっと濃いムハムハ味!おいしい〜
絶妙のやさしいコシも素晴らしく、
なによりこの「重いのに軽い」ような独特の質感に酔わされる。
「田舎そば」
説明には皮のついたままのそば「玄そば」を50%、丸抜きそばを50%混ぜ、自家製粉した粉をメッシュ40番で篩った 粉を使用。三種類の中では一番黒く、香りも一番高い。太打ち。」とある。

黒め、太めの田舎らしい蕎麦。
それが敢えてモダンな器に盛られているのが新鮮でいい。

こちらも氷水でしめない、じんわりじとーとした穀物のかぐわしさ。
濃厚なムハムハ味も「江戸そば」に似ているがこちらはかなり質感が固めで
噛みしめるごとに甘さが溢れ出してくる。
これだけ味も香りも濃厚なら、冷たくしめても香るだろうなあ〜
夏場はどうしても冷たさを求めてしまう私・・というより今日が暑すぎ?(^^;;)
お蕎麦3種めは、なんといっても「芳とも庵」の大きな特徴である「津軽そば」。
大豆をすりつぶした汁を使って作る津軽の郷土そばだ。
「津軽そば」
説明には「江戸そばの粉を使用し呉汁(大豆をすりつぶした汁)で打ったそばで
青森の郷土そばであるが製法が複雑なため消滅、今では幻のそばといわれている。
独特の食感と甘みがあり、のど越しも一番よい。」とある。

黒いシンプルで粋な器が、「津軽そば」の存在感を際立たせる。
手作りの工芸品のような素朴な姿だ。

この津軽がおいしい!!
夢見るように繊細でなめらかな舌触りと、
そこからあふれる素朴な風味が最高!
呉汁(大豆の汁)を使うこの郷土そばはよほど難しいのか
あまり嬉しくない風味に仕上がっているものに出会った経験も何度かある。
こんなに美味しいのは「芳とも庵」でしか食べたことがない。
蕎麦の香りの中に呉汁の風味がかすかに加わって
繊細な質感に酔わされつつ、はああ・・・しあわせ・・・
蕎麦湯と、デザートの蕎麦茶プリン。


この「蕎麦茶プリン」がまた皆様に超・大好評!!
おいしいおいしいとあっという間に完食。
蕎麦茶の香ばしさって何でも犯罪的おいしくしちゃいますよね〜〜
私も今年から自宅で蕎麦茶解禁(注・食べています)にしてしまったので
もう何でもかんでも蕎麦茶色に染まっております。
冬期限定の「野鴨そば」もまだ食べたことがないし
またみんなで来ましょうね〜
2010年11月の「芳とも庵」