2012年08月31日
足立区某駅前「某撮影不可店」
ちいさな平和に、またまたスパイが・・
前回も散々言い訳の末
「もう撮りませんからお許しを〜」とか言って掲載したくせに
きゃーまた撮っちゃったー!
何せ店内には
「写真撮影お断り」
「インターネット等への書き込みお断り」
とはっきり書いてある。
しかし、ファン心理というのは
そう簡単に封じられるものではない。
私はその美しい姿を写真に撮り、愛を叫びたい。それだけなのだ。
誰にも気付かれないよう、
店の平和な雰囲気を壊さぬよう、
ご迷惑のないように撮りましたから、
しかも店名は掲載しませんから、
何卒お見逃しを〜!
「粗挽き田舎蕎麦」
かろやかに、自在にラインを描く粗挽きの肌。
たくましくも生々しいような香りが、
むううと迫り来るかのように強く香る。
箸先にたぐると驚くほど軽く、ほろほろと密度が薄いイメージ。
しかし味わいはどこまでもぎゅううと濃く、
何よりこまかなこまかな、舌に痛いような「極こまかいジャリ感」が
この蕎麦の特徴だろう。
「手打ちうどん」
この店は蕎麦だけでなく、うどんがまたびっくりするほどおいしい。
私は特にうどん好きではないが、このうどんの美味しさにはちょっと唸らされる。
色も濃いけど味も濃い。
つるんつるんの肌からは噛まずとも味わいが感じられる。
口に入っただけで「おいしい!」と嬉しくなっちゃううどん。
小麦のおいしさをここまで鮮やかに濃縮させるとは・・
美味しいお蕎麦もそうだけど、
美味しいうどんも何もつけないのが一番美味しいんだなあー
「せいろ」
これまた見るからに空気感を感じる蕎麦だが、
今日のせいろはいつもよりも密度が薄くかる〜〜い食感。
あの特徴的なビスクドールのような舌触りも今日は感じられない。
ほんのり甘い香りとやや渋い香りが入り混じっている。
製粉にかける情熱がものすごい店ゆえ、その蕎麦ごとに製粉の仕方もかなり違うようで
来る度に印象が違うのも面白いところだ。
テーブルが3つだけの小さな店内には
常連らしい近所のサラリーマンが2組。
昼の最も忙しい時ではあるが、ごく静かで平和な眺めだ。
店のおばちゃんは相変わらずとても親切で感じがいい。
撮影禁止、書き込み禁止。
店はこうして、この店の穏やかな時間を守っている。
(アンタ自分の悪事を棚にあげて何を・・(^^;;))
2012年08月30日
今日の浴衣
2012年08月29日
稲毛「利兵衛」
駅に着いてしまえば道はかんたん。
JR稲毛駅と京成稲毛駅をつなぐ道の、ちょうどまんなかだ。
8月の灼熱の中を歩いてきた体に
これが、キクーーーッッ!
キン!と冷えた陶器のグラスで飲む生ビー。
くーーっ たまりまへん!!
できることなら2杯くらいイッキにいきたい!
(救急車呼ぶのはお店の迷惑なのでやめましょう)
体と舌が喜ぶものを熟知した店主。
夏の体にはこれが、キクー!!
小さなお通し。
旬の野菜は焼いただけが美味しい!
「黒龍」
家具も器もミュージアムギャラリー級の「利兵衛」。
どれも店主らしい、大胆な魅力と生命力にあふれたものばかり。
「鴨焼」
「利兵衛」と言えば「鴨」なんです。
バンバンバーンと太っ腹に分厚く切って
豪快に焼かれた感じがおいしい、うれしい!
「アジの南蛮」
鯵に鰯に鯖秋刀魚、青身のお魚大好物の私。
揚げてあってもこんなにさっぱり食べられる、お酢は魔法だ。
「天ぷら盛合わせ」
天ぷらも豪快なのが利兵衛風。
お皿いっぱいのゴージャスな夏野菜。
さあさあ来ました!
「せいろ」
しゅるちゅるっと流麗みずみずしい舌触り。
香りや味わいが淡めなだけに
冷麦のような感覚でどんどんいけてしまう。
鴨や天ぷらなどのごちそうの後には、こんなお蕎麦もいいねえ〜
「田舎」
野性的な黒い肌。
ザックザクの粗挽きながら
平打ちのために軽やか、流れるようなライン。
淡く香る大地のたくましさを思わせる香りと
噛み締めたジャリ感がうれしい。
「ダッタン」
目が覚めるような芥子色の韃靼蕎麦。
これだけ色鮮やかなのは久々に見た。
韃靼そばはポリフェノールの一種であるルチンが
普通のそばの100倍とも言われているが
味としての違いは何と言っても「苦味」と言われている。
でも私は「苦味」という味の成分がどうも大好きらしく
(ex.ゴーヤ、グレープフルーツ、トニック、ハラワタ系?)
全く気にならないんですね・・おいしい〜
ところで、今日の蕎麦が盛られてきた木のせいろ。
縁の幅がたっぷりとられ
まるで「蕎麦の額縁」のようでいいなあと思ったら
なんとこの店の開店の頃、店主が手彫りしたものだそう。
「いやー、お客さん来なくて暇だったもんから!」
と豪快に笑いながら謙遜するが、いやいやいや・・・
蕎麦の美しさが映える、実にいいせいろだ。
さすがは目利きの店主の作。
エネルギーの塊のような店主と、
飾らないのに芯から可愛らしい奥さんと話す時間はいつも楽しい。
前回来たのは震災直後で
あの時はこの素敵なお二人にどれほど励まされ、力をもらったことだろう。
蝉の声。
陽に透ける朝顔の緑。
私が見た、今年の夏の「利兵衛」のしあわせ。
2011年3月の「利兵衛」
2012年08月28日
ミラノのお土産☆
お料理上手、モノ選び上手のモトコがくれたお土産☆
わーリナシェンテの袋だぁー!懐かしいー!
「ラッラッ リッナッシェーンテ!!」
とテーマソング?まで歌って大喜びの私。
左の赤いのがエスプレッソ用のコーヒー。
モトコご推薦の美味しいコーヒー屋さんのだそうで、
袋の外からでも恍惚のアロマ!!
毎朝コーヒーを淹れるのを楽しみとしながらも
直火式エスプレッソメーカーを持っていなかった私は
この度BIALETTIのを買っちゃいました。超楽しみ〜♪
そして右の小さな瓶がまたスゴイ。
ピエモンテ州のトリュフメーカー、Tartuflangheのトリュフ入りソルト。
これが全く犯罪的においしい。
「イタリア料理で、こんな香りがしたらおいしいな」
というおいしい香りの要素が、ぎゅうううと全部濃縮されて小さく瓶詰めされている感じ。
瓶の外からでもめちゃめちゃおいしくて、
フタ開けなくても香りだけでご飯のおかずになりそうなんですけど・・・(^^;;)
さっそく洒落た肉料理でも、と言いたいところですが
なーんとなんと、いつも作る適当サラダが、
ものすごく手のかかったイタリア料理みたいな味に!!
お気に入りのオリーブオイルで和えてからこの塩ふっただけなんですけど・・
特に私は生で食べるマッシュルームが大好きなんですが
それにめちゃくちゃ合います〜(きのこにきのこソルト!)
うわぁーーー超おいしーい!!
♪♪♪(≧∇≦)♪♪♪
モトコありがとうね〜
両方ともだいじにだいじに使いまーす!!
2012年08月27日
立石「手打そば処 玄庵」
イタリア在住10年の大学時代の友達モトコが、
ご主人のGianと夏休みでご帰国〜♪
お料理上手でおいしいもの好きのモトコと、
和食もお蕎麦も大好きというGianだけに
取っておきの美味しいお店にお連れせねば!
と私、もうめっちゃめっちゃ張り切りました。
外国からのお客様のお連れする時はゆったりできる店のほうがいいし
おつまみがいろいろ豊富で天ぷらが美味しいところがいいし、
お蕎麦の食べ比べもして欲しいのでお蕎麦が数種あるところがいい。
となるとお店選びは結構難しいのだ。
「玄庵」は店内の雰囲気も重厚で素晴らしいが
個室があるので心置きなくゆっくりできるのがいいところ。
(今回ははしゃぎ過ぎてて外観写真も店内写真も全く撮り忘れたが・・)
夏休み明けの玄庵に無事予約が取れてよかったなー
「鴨焼き」
初っ端から「日本のガツンとおいしいもの」!
私もこれはおいしい鴨焼きだと思いましたが
お二人はさらに大喜び。
私まで嬉しい〜(^o^)
そして「玄庵」に来たらこれはお見せしたい。
「そばがき(白)」と「そばがき(黒)」。
「そばがき(白)」
こちらの心までまんまるく豊かにふくらむような眺め。
「玄庵」のそばがきは、いつ見てもいいなぁ〜
正統派、王道の蕎麦の香りが ほわわわ〜
とたちのぼる。
ふわとろエアリー、なんていうやさしい食感とは対局にあるような、
もちっっ ねちっっ
と食べ応えのあるそばがき。
碗がきのそばがきのような生生しいたくましさも併せ持ち、
それでいてなめらかな食感だ。
そばがきというのは外国の人には変わった食べ物だと思ったので心配したが
Gianもおいしいって!よかったー
「そばがき(黒)」
こちらはぐっと粗挽き。
干し草を思わせるような渋く香ばしい香り。
これもまた、もちねちーと重めの食感で
粗挽きのザラつぶ感が「そばがき(白)」との対比を楽しませてくれる。
「天婦羅盛合せ」
カリッパリッと美味しい薄衣。
特に海老は見た目以上にふっくらプリプリでおいしい!
日本中どこにでもあるメニューだけに
お二人には是非美味しい天ぷらを食べて欲しかったのだが
玄庵にしてよかったなあー
「鴨つくね串焼き」
さっき立石の商店街で横目でやきとり見たしね♪
「牛タン網焼き」
牛タンもおいしいのだが器がまた素晴らしすぎる。
これはこの度「玄庵」が惚れ込んで集めたという有田の現代作家岩永浩氏のもの。
うーん この作家の器、確かに素晴らしい・・私も欲しい!
「卵焼き」
関東の玉子焼きは甘くて苦手なことも多いのだが
「玄庵」のは甘くなくてふっくら、おいしい。
お酒は得意でない3人なので浦霞1合を分けあいつつ(こども?!)
ひたすらおいしいおつまみを食べまくり。
さていよいよお楽しみのお蕎麦・・
と思ったところで大事件発生。
かつて岩手「たまき庵」でもやった大失敗を再びかました私。
「ほぼ開店時刻に行ったのにオーダーをのんびりしていて蕎麦が(一部)売り切れました」。
「せいろ」 「十割せいろ」「粗挽きせいろ」のうち、
「十割せいろ」が売り切れちゃったそうで・・・
(T△T) (T△T) (T△T)
私のバカバカ、蕎麦釜に落ちて死んでしまえーー!!
と一時は半ベソ寸前であったが、
これが功を奏して結局は大成功に。
お蕎麦が全種類揃っていたら私のことです、確実に
「せいろ」 「十割せいろ」「粗挽きせいろ」
という「せいろシバリ」なオーダーをしてしまったに違いない。
でも十割がなかったためにお店の人がおすすめしてくれた
「そばサラダ」をオーダーできて、これにGianがとても喜んでくれたのだ。
ああ私、お蕎麦が出てくるまでは
もっと「グローバルな視点」を持てていたのに。(?)
お蕎麦となると猪突猛進「せいろ」しか見えてない。
考えてみればはじめから種物も選ぶべきなんだってば!
「粗挽きせいろ」
おお〜 たっぷりの小山盛りがうれしい。
むんと押し出すように迫力のある姿。
手繰り上げるとさわやかな香ばしさがふわぁ〜
食感はしっかりめで、食べている間じゅう溢れるフレッシュな香ばしさがうれしい。
モトコは「すごい味!私こんな美味しいお蕎麦はじめて!」と感激してくれる。
やめてー お蕎麦が褒められると嬉しくてニヤニヤしちゃうからー
(私がほめられてるわけじゃないのに)
「せいろ」
今度は、するりさらっと粋な眺め。
はなやかに、さわやかに香る穀物のかぐわしさ。
見た目以上に密な肌は口中で輪郭がぱきぱきはっきり。
コシもしっかりして食べ応えがあり、それを噛み締めた味わいが濃い!
これまたおいしい〜
「そばサラダ」
香味野菜が散りばめられた、さっぱりしたサラダ仕立て。
お蕎麦好きのGianは「粗挽きせいろ」も「せいろ」もよろこんで食べていたが
この「そばサラダ」は特に新鮮だったらしく、
一口食べて「美味しいー!」。
モトコはしきりと「あーほんとに日本はいいなあ・・」と感無量の様子。
私もこういう冷たいアレンジ蕎麦大好き!
おいしいものでお腹いっぱい、久々に会えてしあわせいっぱい。
帰り道は立石の商店街をぶらぶら散歩しながら歩く。
私が今回「玄庵」を選んだ理由の一つには
東京が誇る「観光地らしくない超楽しい観光地」、
立石駅前の飲み屋街をお見せしたかったから。
そこで面白かったのがイタリア人弁護士であるGianの、外国人らしい視点。
日本人から見ると「?」というところで写真を撮りたがるのだ。
床屋さんの赤白青の回転看板を撮るのは分かる。
でも立石の線路端に20台くらい停めてある自転車を
「Tanto(いっぱい).....♡」
と目を輝かせて撮っている姿は衝撃のキュートさでした。
日本人から見ると全く「たくさん」という量ではなかったので
奥さんのモトコが呆れて、お母さんのように
「ほらほらあっちには何百台もあるよ〜」
と線路の反対側にある大きな自転車駐輪場を指さしたら、
びっくり更に目が輝いちゃったGian。
仲良しかわいいご夫婦っぷりにヤラレました。
Milanoにはあんまり自転車ってなかったんだっけー?
2012年08月24日
愛知・名古屋市名東区藤が丘「手打蕎麦切り 蕎野」
モダンなエントランスと瓦屋根の、一風変わった外観。
店名は「蕎野(そーや)」と読む。
カウンターとテーブル席の小さな店にはビートルズが流れている。
バイトらしい店員さんに「どうぞー」と案内され
カウンターに座る。
厨房との間にはお酒や焼酎が林立している。
夏季限定の蕎麦メニュー
「冷かけそば」
「冷かけたぬき」
「冷かけ月見とろろ」
「そぼろと揚げなすの冷かけ」
うーん夏季限定だけでもいろいろあるなあ。
ランチセットの「丼セット」の充実も凄い。
蕎麦と組み合わせて、
「鶏つくね丼」「焼き鳥丼(鴨)」「かきあげ丼(たれ・しお)」
「地鶏そぼろ丼」「地鶏ユッケ丼(たれ・しお)」「とろろ御飯(卵黄入り)」
「地鶏ユッケ卵黄御飯」「そぼろ納豆御飯」・・・
これだけいろいろあって、しかも値段は840~1050円。
だんだん不安になってくる。
・・居酒屋さんぽいお店なのかな?
お蕎麦、おいしいかなあ・・・
「もりそば」
んー・・・
なんとなく気持ちがアガらない風貌である。
どことなく、やる気の無さそうな印象・・?
も、申し訳ございませんでした!!
えーっ ちょっとこれはびっくり、嬉しいびっくりですよ。
めちゃくちゃおいしいんですけどーーー!!
よくよく見ればさっきまでの私の目は節穴以下でございました。
不規則に揺れる素朴な輪郭線。
その肌に浮かぶ白き陰影、茶やオレンジのホシも
見つめれば見つめるほどまぶしい。
何より、淡く美しい香りをまとった蕎麦の、その食感が素晴らしすぎる。
絶妙のざらつき、ふんわりと軽くやさしいコシ。
これは東京・神田「眠庵」の極上やさしいコシを思わせる部分もあるが、
それよりはもう一歩しっかりしたコシ加減だ。
そのやさしさを噛みしめてひろがる、淡く美しい香りと味わい。
私はもう完全にノックアウトされた。
3分前には予想だにしなかった展開・・
はあああ 参りました。
おいしいよう〜
生卵+蕎麦に弱い私、
こちらもちょっと味見。
「冷かけ月見とろろ」
とろろの中の揚げ玉カリカリ、生卵のとろ〜りゆたかな味わい、
そこにネギが効いてニクイ組み合わせ!
こんなんうみゃーに決まっとるがー
こりゃうみゃーでかんわー(^o^)!
ここの汁はちょっといりこ出汁のような濃さと甘さがあるのだが、
それがこの「冷かけ月見とろろ」にはよく合う。
BGMはずっとビートルズ。
昼時大繁盛の店内は少々せわしないが、
私の好きな"Here, There And Everywhere"が
蕎麦湯の湯気をゆっくりと空気に溶かしてくれる。
これも気になったぞ!
2012年08月23日
愛知・名古屋競馬場前「手挽きそば 一心」
限定蕎麦というのは実に悩ましい。
土日限定、というような曜日限定も悩ましいが
「一日限定10食」なんていう限定蕎麦がある時の悩ましさと言ったらない。
それがなかなか行かれない地方の店だったりするとなおさらだ。
居ても立ってもいられないほどの不安、と言ったら大袈裟だと言われそうだが
恥ずかしながら私は本当にそれくらい不安なのだ。
「別にいいんですよ〜なかったらなかったで、別のものを食べましょう」
と言える大人になる日は来るのだろうか。
そんなわけで、この「手挽きそば 一心」に来るのも
本当にドキドキ心配だった。
「一心」は蕎麦の種類が多いのだが、なんといっても気になる蕎麦がある。
「木曽十割ざる」(挽きぐるみ、黒っぽい細打ち、産地は木曽福島)
「江戸十割ざる」(皮を剥いた丸抜き、白っぽいやや太打ち、産地は福井)
「がんこそば」(手石臼挽きの丸抜き、超太打ち粗挽き、産地は木曽福島)
「田舎ざる」(二八の細打ちそば、産地は福井)
この手挽きの「がんこそば」というのが
一日限定なんと5食なのだ!
5食って・・そりゃまた難易度高そう・・・
名古屋競馬場前だけに、競走馬のごとく駆けつけたつもりだったが
着いてみると店の前には行列が出来ていた。
(写真は退店時に撮ったもの)
アカン・・もうおしまいや
5食なんてすぐだもの、手挽きそばよさようなら・・
と灼熱に意識も体も溶けていきそうになる私。
「別にいいんですよ〜なかったらなかったで、別のものを食べましょう」
と言えるようになるためのイメトレをしながら、平静を装い順番を待つ。
住宅街に突如現わる田舎家風の建物。
道に面した手前の部分は店舗ではなく蕎麦打ち場になっているらしい。
いよいよ店内に入れた。
おそるおそる店員さんに聞いてみる。
「あの〜・・お蕎麦、できたら全種類食べたいんですけど
今日はもう『がんこそば』は終わっちゃっていますよね・・?」
「ありますよ」
( °o°)
( °o°)
☆(≧∇≦)☆ ♪\(≧∇≦)/♪ ☆(≧∇≦)☆ !!!!!
うわああああ
あるんですかぁー!!
じゃあそれを!
それと「木曽十割ざる」「江戸十割ざる」「田舎ざる」もください!
このあと食べ終わって店を出てから気づいたのだが、
私がこの時どれほど嬉しかったかを示す事実がある。
なんと私、限定5食の手挽き「がんこそば」があった嬉しさ余って
一枚目の蕎麦の写真を全く撮り忘れました・・・
こんなことは初めて、どんだけ舞い上がってたんだ!
というわけで写真のないまま一枚目、
「木曽十割ざる」
つるぬるっと輝く、褐色の肌。
箸先にたぐりあげると熟成の香りがむわぁ〜。
とは言えいやらしさは感じられない、香ばしく美味しい熟成ぶりだ。
食感は見た目の通り表面がつるぬるっとして
コシがしっかりしているので細打ちだが食べ応えがある。
そして何より味が濃い!
薬味がたくさんついてきて驚いたが、これだけ味わいが濃厚なら
多少の薬味と共に食べても負けないだろう。
なんだか写真がないまま説明するのも変な気分ですね〜すみません。
2枚目は早速、
本日の私の心をかき乱した限定5食の手挽き「がんこそば」の登場である。
これは美しすぎて写真3枚掲載!
「がんこそば」(手石臼挽き)
定食のようにいろいろ小鉢がついてきます。
ウワー・・・・
なんという、なんという超絶ふっくら美肌。
みずみずしさに浮かぶ、しろく透明なかげろうたち。
さながら真新しき萩焼の肌のような・・
これだけの粗挽きだけに、たぐり上げた箸先での香りは淡め。
と思いきや、口に含んで生まれくる
素朴な白い香りと味わいがすんばらしすぎるんですけれども!!
はあぁ・・・なんでしょう この夢のように美しい、真っ白な味わいは・・
これだけの太さだけに重量感はあるが
口中をすべらかにするする流れ、食べにくさなどは全くない。
万歳!!おいしすぎる!!
あああ 大して行いもよくない私なのに
こんなにおいしい限定5食の手挽きそばが食べられるなんて
今日は一体どうしたことだ。
3枚目
「田舎ざる」(二八の細打ちそば)
おろし付きでやってくる「田舎ざる」。
これが・・・期待をはるか上回る、びっくりの美味しさ!
ものすごーーーく香ばしいのだが、
その香ばしさがちょっと珍しい、たまらなくいい香りなのだ。
強いて言えばゴマに近いがそれだけではない、何とも言えぬ深い濃い香ばしさ。
端正な細打ちは噛みしめると程よくしっかりしたコシがあり、
時折刺激してくるジャリ感がニクイ。
味わいは濃いのに甘さは意外なほどスッキリ、というところもまたニクイ。
えええ〜ちょっとこれは予想外の展開ですよ。
これまたおいしすぎる!!
4枚目
「江戸十割ざる」(皮を剥いた丸抜き)
何やらひとひねりありそうな、いかにも味わい深そうな蕎麦が
のんびり〜と盛られてやってきた。
しかし手繰り上げるとアレレレ、
この前の「田舎ざる」があまりに強烈だったせいか
香りも味わいもほとんどないように感じられる。
ところが、やや重めの食感の蕎麦を食べすすむうちに
どうにも説明の難しい美味しさがジワジワそこに感じられてくるから不思議だ。
はっきりこう、と言える味わいでなく、
ジワーーーーーと通奏低音のごとく流れる素材の良さ、粉の良さとでも言うべきか。
それでなければ汁なしで全部食べてしまうことはないだろう。
蕎麦湯。
濃厚蕎麦湯が入った素朴な器は店主の作。
湯のみも店主作なのだがこれはまた全然ちがう趣。
形といい、石臼と散らばった蕎麦の絵付けといい
大変気に入ってしまった。
ここはお蕎麦の種類が多いばかりでなく、
ランチセットなどのメニューも実に豊富。
店前に行列ができるほどの人気もうなずける。
「お昼の天ざるセット1480円」
「二八ざる、気まぐれ天丼、茶碗蒸しの松ランチ980円」
「二八ざる、ミニ天丼、小鉢、茶碗蒸し、デザートの桜ランチ980円」
その他
「お得な御膳セット1380円」というのも3種類もある。
お昼ランチセットはそれぞれ限定10食や30食だったりするのだが
その限定には全く不安を感じないのだから不思議だ。
あっ 蕎麦原理主義ってこういうこと?(^^;;)
2012年08月22日
愛知・名古屋市引山「志蕎庵 江月」
「大阪や名古屋は小麦粉文化だから
美味しいお蕎麦屋さんなんてあまりないんでしょう?」
と言われることがある。
いえいえ、とんでもない。
たしかに土壌としては小麦粉文化、うどん文化であるから
お蕎麦屋さんの数自体は関東よりずっと少ない。
しかしそんな「タコ焼き県お好み焼き市うどん町」みたいなところで
敢えて蕎麦を打つお蕎麦屋さんと言うのは
やはり相当な「志」を持って「打って出ている」のである。
名古屋に来たら毎度外したくないこの名店。
その名も「志」がつく、「志蕎庵 江月」。
外観はどうということのないシンプルさである。
いつも大抵開店直後に来るので最初は誰もいない。
しかし人気店ゆえ、次から次へとお客さんが入ってきて
あっという間に満員になるのだ。
「粗挽きそばがき」
粗挽きと言ったからには本当にザックザクの粗挽きである。
ひと粒ひと粒から香りがはじけだしてきそうな、まぶしいほどの蕎麦粒子たち。
もた〜とろ〜と半分湯に沈んだ姿に、私の方がとろけそうだ。
もわぁ〜〜 とろどろ〜〜
食感は見た目以上にゆるめのとろーんそばがき。
今日はちょっと瓜にも似たような、ひねた穀物のような香りが
さわやかに華やかに、ふんだんに香っている。
とろとろの中のざらつぶ感が楽しい!
本日の蕎麦は茨城「常陸春そば」の新蕎麦。
「十割せいろ」
おっなんだか今日は以前よりダイナミックな印象・・?
のびのびと力強く流れるようなラインを描いて盛られた蕎麦。
ひんやりさわやかに漂うは、
先程のそばがきと同様、少し瓜に似たような、ややひねたような香り。
輪郭がパキパキはっきりしているのに、噛みしめるとふわっ・・と
意外なほど軽い、なんともすばらしいコシがある。
そしてその中に、かすかにかすかに感じる粗挽きのジャリ感がまたいい。
よく見なければ気づかない程度に「やや平打ち」のようだし
この食感は実に個性的だ。
この店の汁がまた醤油の強い、なかなか個性的なものであることは
私は毎回蕎麦湯の時まで忘れている。
気づけば店内は近所の会社の人などでまさに満員だ。
皆ランチ(丼とそばのセットなど)を慣れた調子でオーダーしている。
なかなか来られないけど、次回は是非土日に来て
久々にここの手挽き(土日限定)が食べたいなー!
2012年08月19日
愛知・名古屋市鶴舞「春風荘」
目立たぬ場所のマンションの一階、という地味な立地だが
名古屋で蕎麦といえば必ず名が挙がる名店である。
ここで修行をして店を開いた人も多い。
入り口のアンティークの薬箪笥。
昔は客席がソファーというユニークな蕎麦屋で
メニューも「せいろ 500円」「石挽手挽き1000円」などなかなか個性的だった。
手挽きとは言え見た目は似たようなもりそばなのに
値段が倍も違うというのは珍しい。だいたい「せいろ」が安過ぎた。
何度も食べ比べたが
私はなぜかいつも500円の「せいろ」のほうが好きなのが面白かった。
今はすっきりとした椅子席になり
メニューもかなり変わったが、やはり来るたび懐かしい気持ちになる。
ちょっとユニークなセンスもいろいろと健在だ。
「十割そば 在来種全粒粉霧下そば(ひきぐるみ)」
蕎麦だけが来るかと思いきや物凄い薬味祭りである。
1000円でも、これなら決して高くない。
生山葵、大根おろし、唐辛子、葱、天然塩、
そして・・・オリーブオイル&胡椒まで!
うわぁ・・・
なんという趣に満ちた景色。
軽みをもって幾重にも重なりあうその肌にしばし見とれる。
ふんだんにちりばめられたホシ。
繊細に揺れる輪郭線。
箸先にたぐり上げると、お〜
この暑い夏に限界までしめていない。
まわりと同じ温度の空気が、
むわぁ〜と熟成感のあるピーナツのような香りに染まっている。
見た目の通り繊細な肌はふわっふわの軽さで食感も軽く、やわらかい。
味わいもぎゅうぅーと濃厚だ。
添えられたオリーブオイルが、フルーティーというより
花のような香り高さだったので楽しみに試してみたが
香りも味わいもこれだけずっしりした蕎麦だけに全然負けていなかった。
「せいろ」
これまた限界までしめない、常温そば。
食感の軽さは先程の「十割そば(霧下そば)」と同じだが
こちらの「せいろ」には凛としたコシがある。
むわぁ〜、じわぁ〜と濃厚な香りと味わいがおいしい!
こちらは全く薬味を使うひまがないまま
気づいたら蕎麦だけで全部食べてしまった。
あらー やっぱりまた、
「春風荘」では基本の「せいろ」の方が好きなのですねえー私。
蕎麦湯。
ロイヤル・コペンハーゲンでというところが
ソファー席だった頃に通じる「春風荘」らしいセンスを感じる。
ロイヤル・コペンハーゲンで蕎麦湯を出すお蕎麦屋さんは他にもあるのだが
(こことか)
青描絵なので和の空間にもよく馴染む。
ブルーフルーテッド・メガのシリーズは私も大好き!
持ってないけど・・
前から気になっている
「そばがき(青・赤・玄)」
までは今日もたどり着けず。
ここにはそれ以外にも
太さが全く違う蕎麦が混ぜて盛られている「荒挽き」など
ユニークなメニューがいろいろあるのだが・・
名古屋に来るといろいろ行きたいお蕎麦屋さんはあるし
だいたい「春風荘」が鰻の名店「うな富士」と同じ鶴舞にあるというのは
実に悩ましい問題だ!
(鰻はきれいな関東風よりバリバリの西のほうが断然好きなもので〜)
2012年08月18日
つぶちゃん
柴犬と秋田犬が三度の蕎麦より大好きな私。
仔犬なんて、もう聞いただけで走り出したくなってしまう。
今日は東京大学構内という場所で
またまた恋に落ちてしまったのだが・・・
生まれて4ヶ月の「つぶ」ちゃん。
元気いっぱい過ぎて、
カメラを向けて最初に撮れたカットはコレです。
胸付近。 (^^;;)
次に撮れたのはコレ。
ほとんど襲われてます。
しあわせです。
ちょんちょん、飛び跳ねまくり!
(この顔ぜったい笑ってる!)
かわいいしっぽは巻き過ぎ!
たまらん!!
やっとひと心地ついておすわりしてくれました。
ひと心地ついていないのは私のほう。
興奮に任せて甲高い声で騒ぐと犬は警戒するので
ス〜〜〜〜〜ッ ハァ〜〜〜〜〜ッ
と剣術の修行か気功法かという妙な呼吸をしながら
「つぶちゃん〜」
と低めの、これまた妙な声で愛でます。
うぎゃーー!かわいすぎるでしょ!!! (≧∇≦)
おっと、
ス〜〜〜〜〜ッ ハァ〜〜〜〜〜ッ
飼い主さんは「ハハハ・・・」と
親切に、幾分訝しげに立ち止まってくれています。
つぶちゃん初めての夏、暑い暑い。
舌もまっすぐなんか出してらんないよ。
じゃあね、ばいばい。
会えてうれしかったよ。
つぶちゃあん
(未練いっぱい、最大ズームしてまで)
秋田犬シリーズ「激愛」
秋田犬シリーズ「わんわんあんみつデート」
2012年08月17日
阿佐ヶ谷「手打そば 一栄」
久しぶりに訪れても。
なにも変わらずにいてくれることのありがたさ。
その間の時間がなかったかのように。
やはり「三色」を頼んでしまう。
「せいろ」「しらゆき」「田舎」。
「せいろ」
ふんわり、繊細な二八蕎麦。
やわらかな甘い香りと、淡くほんのりひろがる風味。
口中で繊細にほどける様は、なにか貴いもののような印象だ。
「しらゆき」
まばゆいばかりの純白、繊細な「しらゆき」。
香りは儚い印象ながら舌触りは凛としている。
「田舎」
ムンと漲る甘い香り。
やや太めとはいえこちらも端正で、優等生な田舎蕎麦だ。
常に、「せいろ」「田舎」「しらゆき」「けしきり」「ゆずきり」の5種類。
そして土日は「だったん」まで打つ店主。
敬意を表し、たまには違うものを頼もうかなと思うのだが、
やっぱりいつも同じ「三色」を頼んでしまう。
でも土日に行ったら「だったん」も食べたいな!
2012年08月16日
牛込神楽坂「志ま平」
なまあたたかい夕風に吹かれて、
神楽坂。
一人ではなんとなく入りづらい雰囲気を感じるかもしれないが
その予感は当たっている。
昼間は「せいろ一枚!」も似合う蕎麦屋だが、
夜は蕎麦屋というよりコース主体の料理屋だ。
が、今夜はこのあと予定があるので蕎麦だけで失礼〜
「そばがき」
黒塗りの椀にふっくらと、洗練の「そばがき」。
滋味深き香りをほわぁ〜とまとい、口に入れた瞬間の印象はもっちり。
しかしそのうちに、もっちりの中に隙間なく仕込まれた空気感も感じられてくる。
エアリーでありながらふわっふわのほんわり〜というのではなく、
しっかりもっちり食べ応えもあるそばがきだ。
そしてやっぱり毎回これを頼んでしまいます。
「二色せいろ」
パッと見は、なんとなく素っ気ないような眺め。
しかしそこには確かに小慣れた洗練、風情があるのだ。
「おせいろ」
するり、密な肌。
みっちりと打ち込まれかなりしっかりした食感だが
平打ちなのでひらひらとして食べやすい。
香りはほとんどないが
淡く漂うような穀物の慎ましき味わいがうれしい。
「深山」
見るからに香りそうだとは思ったが・・
だだちゃ豆か天狗豆かという、濃厚な香ばしさにびっくり!
いやー、これだけの、この手の香りは久しぶりに出会った。
しかも熟成感は一切なく、意外に甘さもなく、
最高の香ばしさだけを美しく楽しませてくれる。
食感は少し粘土のようなみっちり感があり、かなりの歯応え。
お蕎麦ってすごいなあ、引き出せばこんな香りまで出てくるんだなあー
食後の蕎麦湯。
私にとっては蕎麦湯はお酒で、蕎麦汁がおつまみのようなものなので、
蕎麦湯をゴクリ、蕎麦汁チビリ。
それぞれ別々に楽しむのが私の大切な「蕎麦後」なのだが、
今日は都合でこういうことになった。
蕎麦湯で割った蕎麦汁。
いわゆる普通の眺めなのだろうが、私には大変珍しい(^^;;)
いやー、こういう飲み方もおいしいなあー
(だからそうするものなんだってば)
最後は葱まで投入して、逆に新鮮な気分になってしまいました。
2010年10月の「志ま平」
2012年08月15日
他人
2012年08月14日
静岡・島田市「某写真撮影お断り店」
あまりにも名高く、大変に美味しく、
雰囲気がまた素晴らしい孤高の名店である。
以前は「写真撮影お断り」ではなかったが
何らか迷惑することでもあったのだろう。
確かに、古い日本家屋の静謐な空間に
カメラのフラッシュやシャッター音は似合わない。
ここはまた奥さんの接客に独特の雰囲気があるので
私としてもその邪魔はしたくない。
静かで、隅々まで丁寧で、しかし威厳すら感じる立派な落ち着き。
でもね、私のカメラは超無音な上に、
いいことだか悪いことだか誰にも気づかれぬよう撮るのは大得意なんです。
名前さえ出さなければ、ゆるしてもらえないかしらん〜
「ざるそば」
古き良き昭和の映画のワンシーンのような。
これ以上の新鮮さがあるかと思うほどの新鮮なかぐわしさ。
最上級の美しい蕎麦の香りに一瞬でノックアウトされ
食べもせぬうちから全く降参だ。
きめこまやかな肌はつやつや、つるつるとしているが
いわゆる水っぽくつるんつるんの素麺みたいな蕎麦とは違う。
それは肌の表面の水の輝きではなく、
密度濃くしっかり打ち込まれた肌そのものの静かな輝きなのだ。
恍惚の舌触り。
脳を染め尽くす王道、最高の香り。
はあああ・・・
毎度のことですが、ここの蕎麦には本当に参ります・・・・
(一瞬でこそっと撮るのでなければ最高の美人さんぶりが伝えられたのにな〜)
「手挽き蕎麦」
うああああ・・
このときめきを私はどうしたらいいのだ!!
むわぁ〜と濃密な香りながら、これまたすんばらしいフレッシュさ。
密度濃くつるつるしているのは「せいろ」と同じだが
こちらは噛みしめても歯が届かない。無論固いのではない。
これだけ繊細な蕎麦ながら見事なまでにぷりんぷりんとしたコシがあるのだ。
言うまでもなくここは汁も最高である。
素晴らしき「まとまり」。
そのあまりの完全さに私はこれ以上の形容ができない。
陶酔。降参。至福。
開店前から行列ができるような店になったことは
店の静謐なイメージには合わないが、
素晴らしいものが多くの人に愛されるのは当然のことなのだ。
2012年08月13日
浦和「 庵 浮雨(un peu)」
私はどちらかというと古典好きである。
落語の話ではない。
(落語は新作も古典もどっちも大好き!)
例えばインテリアはモダンよりクラシック好きだし、
今の季節、浴衣は涼し気な古典柄をしゃっきり着たい。
「和風を現代風に楽しむ」というような
アレンジものに対しては、あまり柔軟に対応出来ないタイプなのだ。
食べるものに関してもそうで、
例えば和食屋さんでメインのお魚がちょっと洋アレンジの調理法だと
がっかりしてしまったりする。
なのでお蕎麦屋さんにおいても、
できるだけ何でも純和風であることを願ってしまいがちだ。
しかし「庵 浮雨」に来るたび私は考えを改めざるを得ない。
元はフレンチ出身の店主の、その料理の飛び抜けた上手さ。センスの良さ。
普通の蕎麦屋にはない個性的なメニューたちが、
軽々ヒョイッと、全部美味しい!
お通しとして出される「おから」。
小さなお通しながら、のっけから衝撃の一皿である。
ブラックオリーブが顔をのぞかせているだけあって
純和風のおからではない。
「オリーブオイルと塩でシンプルに味付け」
と聞くとだいたい味の想像はつくし
「自分でも作れそうだな」なんて思ってしまいそうだが
ノ〜〜ン、ノンノン!!
全く想像を越えた、なんとも中間色の最高に美味しいところを突いてきている。
作る過程においてのすべての「加減」が上手いとしか思えない。
うーん参った。おいしすぎる!!
おからを食べながらも、目はまだまだメニューから離れない。
なにしろここは店主の腕が鳴って鳴って仕方ない店なので
おいしいおつまみがそれこそごっちゃりとあるのだ!
「定番の野菜料理(all ¥320)」というメニュー。
今日は
「自家製濃厚豆腐」
「ゴボウのマスタードマヨネーズあえ」
「トマトのおひたしサフラン風味」
「みょうがのピクルス」
「ブロッコリーのアーリオオーリオ」
「きのこのマリネ」
などなど。
均一価格というのが立ち飲み屋さんぽくて、
そして「庵 浮雨」の店主らしくて楽しい。
私が選んだのは、
「自家製濃厚とうふ」
世の中に濃厚豆腐は数あれど、この超濃厚クリームっぷりは物凄い。
もったりずっしり、なめらかトロどろ〜〜
普段私は今流行りの濃厚系豆腐よりもややすっきり、
くらいの豆腐が好みだが
「庵 浮雨」の豆腐はそういう次元の話ではない。
これはもうフレンチといってしまいたい食感とクリーミーさで、
その上店主はこんなことをしてくる。
小さなガラスのピッチャーに入れられた、香り高いオリーブオイル!
「豆腐がこんなにクリーミーなんだからこれ以上オイルなんて・・」
と思うなかれ。
これがむちゃくちゃ合う!!
超シンプルながら世界に自慢したくなるおいしさだ。
アラン・デュカスよ今すぐ浦和に来るべきです。
「洋風小皿料理」も均一価格。
これは
1p ¥420 / 2p ¥790 / 3p ¥1100 /5p ¥1700
となっている。
本日は
「ブリの炙りカルパッチョ」
「イナダの洋風なめろう」
「イカのわたクリームあえ」
「エビとアボカドのオーロラソース」
「たらこのスモーク」
「地どりのささみの洋風とりわさ」
「鴨のスモーク(+¥100)」
「豆腐チーズ」
「酒盗クリームチーズ」
「ミモレットチーズ&わさびづけ」
蕎麦屋のおつまみとしてこれだけ楽しい自由自在さは
そうないだろう。
あまり迷わない私がかなり迷って、2p選ぶことにした。
「ブリの炙りカルパッチョ」
想像したよりずっと肉厚のブリ。
炙った挙句にカルパッチョですよ。
はじけるピンクペッパーと炙った香ばしい香りがおいしい。
「鴨のスモーク(+¥100)」
「燻製したてだし、今日オススメです」と言われた通り
この鴨のスモークはおいしすぎる!!
ふっくらとした肉が燻製のかおりで染められて
肉がおいしい!香りが美味しい!脂がおいしい!
店内には他のお客さんもいたのに「おいしい〜っ おいしい〜っ」
つい声が出てしまう。
もう〜、なんで上手な人って何作っても上手なんだろう。
これはもう、ニクイほどのおいしさだ。
「せいろ」
来たぁー 来ちゃったぁー
今日はこの後冷かけなども食べたいので「半もり」にしてくれました。
埼玉の新蕎麦(夏蕎麦)。
ぶわぁーっと押し寄せるように香る、たくましいかぐわしさ。
しっとりやさしいざらつきと、やさしいけどしっかり受け止めてくれるコシ。
はああーなんでしょうねえ このおいしさは。
むっちり濃厚、たくましいのにどこまでもフレッシュな印象の香りなのは
やはり新蕎麦だからなのだろう。
こんなおいしい「せいろ」であるから
また例によって汁は一度もつけなかった大悪党高遠だが、
ここは汁がまた絶品なのですよ。
蕎麦汁としてのうまみの要素全てが、完璧なバランスでギュッと濃縮されたような。
も〜ほんとに、上手い人は何作っても上手いんだから〜
「トマトの冷かけ」
顔を近づけただけでパーンと香る、フレッシュな青い香り。
オリーブオイルもトマトも、なんと軽やかに美しく香っていることか。
食べてみると出汁のおいしさにまたヤラれる。
すっきり美味しい汁と、香り高いオリーブオイルとトマト、
やさしいざらつきのあるキュッとしまった蕎麦が
ひんやりサラサラ〜と体に入ってくる。
ひゃー、こりゃおいしいよ!
「かけ」
普段あたたかい蕎麦をほとんど食べない私だが、
店主の話を聞いていて食べたくなった。
蓋付きなんですね〜
開けたときの香りが楽しみ!
ほっわぁーん・・・・
柚子と出汁の香りが私を全部包むよう・・・
そしてね、私「かけ」の経験値は相当低いんですが
なんだかんだか、「庵 浮雨」の「かけ」はめちゃくちゃ美味しいんです。
普段私にとって「かけ」という食べ物は
「味が濃すぎる」とか「やや甘い」とか「出汁の感じがちょっとイヤ」とか
なんのかんのと難癖つけては
「やっぱり何も着ていない冷たいせいろさんに会いたい」
という切なさだけが残る、そんな食べ物なのだが・・・
「庵 浮雨」のはそんな切なさは全く感じないうちに
おいしいおいしいと食べ終わってしまう。
出汁のおいしさ、蕎麦のやわらかすぎずふっくらした食感と穀物の甘み。
おいしい「かけ」はおいしいんだなぁー!!
「パンナコッタ」
小さな小さな蕎麦猪口で出される食後のデザートがかわいい。
あ、比べないと分からないですよね。
も〜上手い人は演出まで上手いんだから〜
私がめくるめくおいしい時間を楽しんでいる間に
この小さな店にはひっきりなしにお客さんが訪れ、
入れ替わり立ち代わりそれぞれの蕎麦を楽しんでは帰っていった。
(やっぱり一番人気は「肝せいろ」だったかな?)
中には、タイミングが悪く入れなかった人もいれば、
のんびりじっくり一人晩酌を楽しんでいた人も。
名店は、浦和駅前CORSO裏の「ナカギンザ通り」。
浦和は上野からJR東北本線で19分ですよ〜
2011年04月の「庵 浮雨(un peu)」
2011年03月の「庵 浮雨(un peu)」
2010年08月の「庵 浮雨(un peu)」
2012年08月09日
麻布十番「総本家 更科堀井」
映画を観る前に、久しぶりの「更科堀井」。
「もりそば」「太打ちそば」「さらしなそば」
うーん、やっぱりどれも食べたくなっちゃうなあ
昼時の店内はひっきりなしにお客さんが入れ替わる大盛況ぶり。
こんなにたくさんの人がお蕎麦を食べたさ一心で(そこまでか?)
ここに集まってきている。
そう思うと嬉しくて嬉しくて、店内を眺め感無量の喜びに浸る私。
理解されにくい感情だと思うが・・・(^^;;)
お蕎麦が来る前に運ばれてくる、堀井点前。
「あま汁」と「から汁」が並んでいる。
「太打ちそば」
もう何でもかんでも出来た順に持ってくれました。
なんと太打ちから!
甘皮の濃厚な、甘〜い香り。
モグンモグンと噛みしめるごとの味わいがすごい。
う〜〜〜 おいしい〜〜〜
「もりそば」
フッと私に語りかける、ストイックなイメージの、貫禄の香り。
穀物のかすかな生々しさがあとから追いかけてくる。
王道のすべらかな質感とコシ。
そこからあふれる、ことさらでない滋味。
こんな老舗が、全て手打ちでこんなに蕎麦を打ってくれて
しかもこんなに繁盛して、たくさんの人がよろこんで食べている。
なんて素晴らしいことだろうと、感動せずにいられない。
「さらしなそば」
目も覚めるような純白!というよりは
一段やわらかい白色のさらしな。
香りも甘くやわらかい。
食感はややほにょっとして、するつる〜っと食べられてしまう。
さらしなにも、本当にいろいろあるものだなあ
今日は意外と太打ちが一番おいしかったかもー(^o^)
.
2012年08月06日
茨城・久慈郡大子町「月待の滝 もみじ苑」
茨城県久慈郡大子町にある「袋田の滝」。
日本三名瀑のひとつに数えられているだけあって、
その高さ120m・幅73m!
(゜O゜) すごい。
その「袋田の滝」からも車ですぐの、久慈川と八溝川の合流するあたりに
「見落し八景」と呼ばれる奇岩、絶壁、淵などがある。
中では最も「見落とされにくい」のが「月待の滝」だ。
「もみじ苑」はその「月待の滝」に隣接した蕎麦屋である。
道路から建物は見えないので見落としてしまいそうだが
赤い毛氈の腰掛が目印。
目鋭い方は「日本一やさしい裏見の滝」ってなんじゃい、
と思われたことでしょう。
「月待の滝」は滝の裏に回って見ることができる「裏見の滝」。
裏見の滝は国内に数あれど、
「アクセスの良さ」「「駐車場からの近さ」「滝付近の足場の安全さ」
などを考えると、ここは日本一「やさしい」滝なのだそうだ。
確かに、道路から少し下るとすぐに店が見えてくる。
店舗は2階建てになっていて
それ以外にも茶屋のような離れの建物が。
こんな観光地らしい雰囲気の店となると、
まあ普通はあんみつとかソフトクリームとかがあって、
蕎麦屋とはいってもメニューに焼きそばとか冷やし中華まであったりするものだ。
そのとおり、この「もみじ苑」のメニューを見てみると、
そばメニューの他に
「フルーツパフェ」「あんみつ」「滝見だんご」「コーヒー」「クリームソーダ」「流しそうめん」
などなど、観光地らしさムンムンである。
しかしここの蕎麦を見くびってはいけない。
何しろ店主はこんな熱い男である。
蕎麦メニューも
「もりそば」(そばの基本で当店が一番力を入れているそば)
「太切そば」(甘皮が多めに入った太切のもりそば)
「十割そば」(石挽そば粉と地下水だけで打つ少し黒目のそば)
の他に
「石挽そばがき」「ちぎりそば」「おろしそば」「八溝三昧そば」。
また、これは予約のみだが「カラー選別・緑のそば」なんてのもあり、
メニュー説明には
「当店自作のカラー選別機でそばの実を色分けし緑の実だけを集めて作る全国初の選別そば」
とある。
山小屋のような店内。
でも何といっても、やっぱり滝を望む席に座りたい!
というわけでテラス席に。
どぉーです、この出来すぎた夢のような眺め!
「もりそば」
ロケーションだけでも素晴らしすぎるのに、
この「もりそば」ときたら・・・
ウワー!
何ですか このとんでもなくフレッシュな香りは!!
山のような、フィトンチッドのような、
高山植物のような、野草のような・・・(文章はイメージです)
とにかく目をギュッと閉じて上半身斜めになる他は堪能しようのない、
素晴らしすぎる香りである。
この大子町で採れたものを中心とした常陸秋そばだというが、
地のものというのはこんなにもフレッシュに、
ぴちぴち飛び跳ねるように香ってくれるものなのか。
嗚呼もう私は「万歳」と諸手を挙げ閉眼しこのまま固まってもいい。
(それじゃ食べられないのでは)
しかもこの、繊細な、フワッと軽いコシ感。
甘く濃くひろがる味わい。
え〜〜〜、ちょっとこれ、おいしすぎますよ・・
こんな場所でこんな絶品蕎麦が食べられるとは。
全身全霊しあわせまみれの中ふと見上げると、
これまた時を止めたくなるような眺めが。
テラス席の屋根を伝って落ちる、水の輝き。
「このまま何もせずずっと眺めていたい・・」
と言ったそばから次の蕎麦に喰らいつくのはどうかと思うが、
「十割そば」
「もりそば」よりやや黒目の肌に
クッキリとした褐色のホシが散りばめられている。
これまた、先程の「もりそば」に似た最高のかぐわしさ!
しかもこの「十割そば」にはさらにもうひとつ、
ズシッと支えるややひねたような穀物の香りがある。
見た目では差を感じなかったが
口に含むと「もりそば」よりこちらの方が細く、
繊細にぱらぱらとほどける感じが非常に心地よい。
甘みも味わいもジワーッと濃く、
これもどうにもこうにもおいしい〜 おいしいよう〜
「太切そば」
太切と名乗るからには確かに太いが
角のないやさしい輪郭線からすると結構やわらかそう・・?
おお〜
これは先の2種とは全く違う、蕎麦の甘皮のぎゅうううと濃厚な、たくましい香り。
しかしそういう蕎麦にありがちな生々しさの全くない、
極めてフレッシュなかぐわしさである。すばらしい!!
見た目の通り角のない輪郭線はふるつるっっと口に入ってくるが
噛むと思いのほかしっかりした歯応え。
モグンモグンと噛みしめて食べる蕎麦である。
蕎麦汁は鰹が濃く凝縮されたような甘めのもの。
お腹いっぱい過ぎて「フルーツパフェ」「あんみつ」などのデザート類には
とても辿り着けないが、
汁と蕎麦湯と、滝の音。
食後、いよいよ滝を見に行く。
確かに、暗く長いトンネルを抜けた先にある「袋田の滝」に比べれば
ここはすぐそこに滝があるので気軽に簡単に滝に近づくことができる。
墓でなく「滝の裏へ廻る」。
水の壁、水の音、水の休日。
夏休み、都心から遠くない天国への脱出をお考えの方は是非〜(^o^)
2012年08月03日
茨城・日立市水木町「花みずき」
地図で見ると水木海岸からすぐなのだが
海側から到達するのは最初は難しい。
国道245号線沿いのGS・キグナスの前の幟が目印。
海側に小道を下ると、畑に囲まれた「花みずき」に会える。
天然木と石の装飾がユニークな外観。
店内に入ると、こんな張り紙が。
いいですね〜
茨城に来た嬉しさに浸りますね〜
突然軍鶏りたくなってきました。
しかもすごいです、こんな看板も。
「樫村ファーム」の有機野菜。
おいしそうだなあー!!
店内は広く、こんな部屋とか、
こんな空間とか
どこに座ろうかな?と迷ったが
バイトらしい若い店員さんが一番奥の部屋の案内してくれたので
そこに座る。
メニューを見ると
「期間限定のランチセット」
(つけ豚そば、そばとうふ、そばサラダ、豆乳アイス)
「日立三品そば」
(ゆば、こんにゃく、そばとうふ)
などのアイディアメニューが楽しそうだったが
やっぱりわたしはこうなっちゃうのだ。
「ざる」
ふんわりのんびり、見るからに優しい印象の蕎麦。
見た目も優しいが香りも優しい。
甘くフレッシュな穀物の香りがふわぁ〜
表面はつるつるしているわけではないのだが
噛み締めた食感がプルッとしているのが印象的。
そしてやっぱりいっちゃいました。
入り口のポスターで茨城に来た喜びに浸らせてくれた
「奥久慈しゃも」!
「つけ軍鶏ざる」
軍鶏らしい、しっかり固めの歯ごたえ。
ふにゃふにゃやわらかいものより、
こういう噛みしめて味わいが出る食べ物、大好き!
焼いた焦げ目がまた香ばしくておいしい。
隣席には近所の人らしい親娘。
年配の父親と50代くらいの娘さんが
たまに一緒に御飯を食べるらしい。
ジャージ姿のお父さんは首から診察券?を下げている。
「お父さん払うぞ」
「私あるよ」
「こないだお前が払った」
どちらが払うか譲り合っている。
食べている間も言葉少なく始終無表情だったが、
お互いを思いやっている関係が伝わってくる親娘。
静かな店内。
窓からはのんびりとした畑の眺め。
土日限定で十割そばもあるので、次回は是非!