駅上の交差点付近が開発整備され
立派になった中野坂上。
しかし交差点から1本目の路地を入るともうこんな感じである。

この看板。いいでしょ〜?
「理容 ムトウに行けばアナタもこのモデルのようになれます!」
ってことなんでしょう。
色画用紙に写真を張り付け、住所は手書き。
なんとも心温まる手作りの看板だ。
交差点から1本目の路地を右に。
このナイスな看板の角を左に。
そしてすぐまた右に曲がったあたりに
「ら すとらあだ」はある、はずなのだが・・・

見当たらない・・・
近くには小学校があるらしく
下校中の小学生がのどかに歩く住宅街。
1本間違えたかな・・・
あれ?
えーっ これがお店なんだ!

アハッ これはさすがにわからない。
面白いなあ〜
靴を脱いで店内に入る。

すっきりした板の間には毛足の長い絨毯が敷かれ
大きな窓からの自然の光が実に気持ちがいい。
住宅改造風でもない、かといって店舗らしくもない
個性的な空間。
小さなテーブル席のほかにカウンター席もある。
今日は暑いので、まずは・・・・

玉村本店の志賀高原ビール、Miyama Blonde。

真新しい、北海道の胡桃の木のカウンター。
ワンカップの空き瓶に飾るように入れられた「てぬぐいおしぼり」。
しずく型のグラスに注がれたビール。
乙な眺めに、もうすっかりいい気分だ。
開店間もない店ゆえ、ただいま味の研究中という、
「柚子味噌」。

あらっ 今日はなんだかペースが異様に速い?!

これおいしい〜
結局本日一番好きなお酒だったかも。
こちらも、味の研究中だそうで
今後つけ汁としてメニュー化しそうな
「きのこ汁」

これまた、おいしい〜!
これでもかという程きのこいっぱい、
ざっくざく具だくさんのきのこ汁。
タマネギの甘みとバターの芳醇な香り。
ずっしり豊かなごちそうスープだ。
天遊琳

伯楽星

(器がひとつひとつとてもいい。このガラス器もすごく好き)
なんだか今日はペースがすごくて
私は味見が精一杯なのですが〜
なかでも私が美味しかったのはコレ!

純米吟醸 満天星 夏の生(夏まんてん)。

ちょっと透明すぎ?と思ってしまうほどスッキリすぅーっと入れるけど
その後に澄んだコクがある。
詳しくないので知りませんが諏訪泉にしては
びっくりな味わいらしいです。
「おひたし」

出汁の味わいもしゃっきり感を残した食感もちょうどよく
美味しいおひたし。
これも試作品だそうです。
「豆腐の白味噌鍋仕立て」

甘い味付けが得意でない私には
白味噌はやっぱり甘いのだが
お蕎麦屋さんで小さな豆腐の鍋が食べられるのはとても嬉しい。
しかも豆腐は自家製!
味噌仕立てにしてしまうのは勿体無いほどだ。
「だし巻きたまご」

ふっくらふんわり、軽〜いだし巻き。
私には甘くないというだけでも素晴らしいのだが、
それ以上にとてもおいしい。
食感は軽いけれども味わいはしっかり重めで
たまごやき食べた!という満足感があるのだ。
そしてここのお酒ラインナップは
すごいことになっております。



もはや全くついていけず味見もできなくなった私。
今日は夏まんてん味見の時点で
もう真っ赤っかの宇宙人声でしたから〜(^^;;)
でも真っ赤っかだろうが宇宙人だろうが
心は常に一点に集中しております。
もうすぐ逢える・・・!
もうすぐ食べられる・・・・!!
ここで告白致しますが、
わたくし今週はちょっとした「生命の危機」にさらされていまして。
なんと9日間の蕎麦抜き生活をしていたのです (>_<)
スケジュールの都合上やむを得ずそういうことになっていたのだが
これだけ長い期間お蕎麦を食べなかったのは、
海外滞在中を除いては実に10年ぶり以上だろう。
そんな蕎麦飢餓状態であったから
今日はもう何と言うか、
気持ちとしては嬉しいを通り越して「感無量」。
「信じられない、大好きなあの人にまた逢えるなんて」
そう思うとなんだか照れくさいほどで
だからといっていきなりモジモジされても
「ら すとらあだ」さんも気味悪いと思うのだが・・

あああああ
きた
きちゃった
なんだかすごく綺麗な色みたい

わああああっ・・
この、ものすごいほどの穀物感。
淡緑の肌を埋め尽くす白い影、無数のホシ。
ザックザクの蕎麦粒子たちが集まって描く輪郭線は
猫柳の枝のように揺らめいている。
そしてその風味がまた素晴らしすぎる。
ふわーーーーっっ!と勢いすら感じるほどの
濃厚フレッシュなかぐわしさ。
たった今芽吹いた蕎麦の芽をそのままハグハグ頬張ったイメージだ。
(イメージイメージ、実際の芽はそんな味しませんが)
食感はごく軽く、しかしその中からも濃厚な蕎麦の味わいが。
福井県山室町の在来種。
おいしい・・・めちゃくちゃおいしい・・・
あああ お蕎麦ってどうしてこんなに素晴らしい食べ物なんでしょう
浸透圧で私が全部とけそうです(発言全て意味不明)
2枚目「山形・最上早生」は、ガラスの器で。

少し橙がかった色つきガラスが
「暮しの手帖」ぽい懐かしいムード。
素敵だなと思ったら先程とても気に入ったお猪口(伯楽星を飲んだもの)と
同じ作家のものだそう。

先程の福井よりやや太め。
見るからにフワンとしたイメージだったが
食べてもフワンと軽く、そしてモチモチ!
香りは先程の福井より軽いが独特の食感の中から溢れる
白く品の良い味わいがたまらない。
おいしい〜 おいしい〜
ああもう私は、しあわせだ。
食後は蕎麦湯に加えて、
「ら すとらあだ」にはコーヒーがある。
宇宙(人声)から帰ってきた私に
店主がたっぷりめに淹れてくれる。

まだ看板もメニューもない「ら すとらあだ」。
いろんな意味で日本人離れしていると私が感じている、
自由な感性を持った店主ゆえ
これからどんな道(strada)を進んでいくのか
実に楽しみな店なのだ。
