2012年03月31日
長野・安曇稲核「手打そば わたなべ」
「はい お待ちどう〜」
ドカーン!
鍋ごとである。
これがかの有名な「わたなべのナベそばがき」。
しかも有名と思っているのは
圧倒的に県外の人が多いだろう。
事実、ここに近い乗鞍に住む親しい知人は
何十年も、週に何度もこの店の前を通りながら
ノーチェックだったそうだ。
無理もない。
こののどかな外観。
道から少し高くなったところにあるので
余計目立たない。
それにしても、このシンプル極まりない木の看板。
紺地に白抜きの暖簾。
赤いポスト。
「普通でいる」ということは素晴らしいですねえ〜
狙ったら絶対にできない、たまらぬ風情。
これでは、ここが魔法使いの店だとは誰も気づかない。
お品書きはこんな具合である。
よく見ると
「ラーメン」「野菜炒め」
なんてのもあるのだが、そばメニューは
「もり」「かけ」「やまかけ」「月見そば」「そばがき」
と実にシンプル。
私はいつも変な時間に行くので
店のおばちゃんは大抵奥の茶の間でくつろいでいる。
愛想はないが、この人が魔法使いワタナベさんなので
そんなことはどうでもいいことだ。
蕎麦とそばがきを注文をすると、
魔法使いワタナベさんは娘さんと思しき人と共に
手際よく動き出す。
すぐに蕎麦が出てくる。
ちゅるり、ふわぁ〜 いい香り!
慎ましいイメージの、正統派の蕎麦のかぐわしさが
濃厚に楽しめる蕎麦だ。
そして「そばがき」なのだが、
その前にまた魔法使いワタナベさんがやってくる。
「食べて、待ってる間。今、来るから」
とドコドコお皿を置いていく。
(よく考えると今日は「蕎麦→サービスのお惣菜→そばがき」と
順番がメチャクチャなのだががこれはいつもではない)
大根とちくわの煮たの。
白菜。稲こき菜と稲こき菜のかぶ。
ああステキ・・・
和む〜・・
眠くなるほど和んでしまうではないか。
しかし眠くなっている場合ではない。
今まさに、台所(と呼びたい雰囲気)からは
ガタゴトッガタゴトッと魔法をかける素朴な音がしているのだ。
魔法、キターッ
ほわ〜〜
たちのぼる、超絶のかぐわしさ。
蕎麦という穀物の香りのいいところを
全てあつめて結集させたようなたくましい香り。
もうもうもう、このままこの湯気と共に
溶けていってしまいたいくらい
どうにもこうにも恍惚のかぐわしさである。
ああ とけるー
脳が染まるー
そして食感がまた素晴らしすぎる。
「ふわふわとろとろ」とかいうのとは違い、
箸先に取り口に入れた瞬間は、
見ての通りのしっかりした感触。
それがほっくりと口に入れると
ほこほこ、ほわわぁ〜
なんともゆっくりとエアリーに溶けるのだ!
そしてその「エアー」がむちゃくちゃかぐわしいのだ!
もう私は安曇の空にぶっ飛んでいってしまいそうだ。
添えられてくるネギダレがまた
よくぞというほど美味しくできているのだが
そばがきが美味しすぎて案の定つけられない。
でもやっぱりネギダレもすごくおいしいのでつけたい。
でもそばがきはそばがきだけで味わいたい。でも、でも・・
こんなにも私の心をかき乱す、なんて罪な「わたなべのナベそばがき」。
もう大分前のことだが、はじめてこの店のそばがきを食べた時
私は本当に本当に驚いた。
そしてきっとこのそばがきは、なにか特別な蕎麦粉を使っているに違いないと思った。
いや、蕎麦も美味しいのだが、それ以上にこのそばがきは
「おかしいくらい」美味しかったので、蕎麦粉が違うのだと思ったのだ。
意を決して聞いてみると、果たして返事は・・
「同じです」。
一回では頭に入ってこないほど理解できなかった私は
ええっ、と聞き返してしまったのだが
「同じです」。
恐るべし魔法使いワタナベさん。
聞くところによると
ラーメン(醤油)も相当美味しいらしいですよ〜
2012年03月29日
静岡・島田「そばの花」
病院の前においしいお蕎麦屋さんがあるというのは
素晴らしいことである。
病院の中ではなかなかおいしいものは食べられないし
お蕎麦なら少々食欲がなくても食べられる。(私だけか)
島田市民病院の前にある「自家製粉 手打ち そばの花」。
立地を意識してか栄養がありそうで楽しいメニューが
いろいろ展開されている。
「六菜穀藻鰹(ろくさいこくそうかつおぶし)
一皿に咲く そばの花」
というのは看板メニューなのだろう。
大根のつま、大葉、そばの実、のり、ごま、かつおぶしが乗った
ぶっかけらしい。
その他2名からの「花膳」は
「せいろ、天ぷら盛り合わせ、そばの実だんご、そばの実ぞうすい、鴨焼き、甘味」
のセット。
デザート類も
おしるこ(そばがき、冷やし白玉、もち)
アイス(抹茶、バニラ)
シャーベット(洋梨、ゆず)
などが揃い、定期的に病院に通う人にも久々に会えた家族にも
これは便利そうだ。
私には宝塚出身の女優だった大叔母がいて、
入院の末先年亡くなったのだが、外食が大好きだった。
私も大叔母とこんなお店に来たかったなぁ。
「田舎」
ムッワァーとたくましく、力強い香り。
あまりの香りのすごさに一瞬熟成の蕎麦かと思ったが
そうではなく、新鮮な甘皮のたくましいかぐわしさであった。
すべすべした肌、ムチッと強靭なコシ。
モグモグ噛みしめては甘みを楽しむ
「これぞ」と言った感じの田舎蕎麦だ。
「せいろ」
ふわぁっと香る、草のように爽やかで鮮烈な香り!
見た目からするとザラリとしていそうだが
田舎よりこちらの方がつるつる感がある。
爽やかさな香りを楽しむうちに、それを追いかけるような
ムワァーとこれまたたくましい、
力強い香りが下を支えてくるのがとてもいい。
島田で出会った黒姫の蕎麦。
ああ おいしいなあ
甘めが多い静岡にあって、すっきり洗練の汁も美味しい。
ところで「花膳」の中の
そばの実だんごは、メニューの書き方からして
甘味ではなさそう・・?
どんなのかなあ
気になる〜
2012年03月28日
長野・飯山「江戸前手打蕎麦 しおいり」
春の雪降る午前中。
開店と当時に「しおいり」に行ったら
あまりにたくさん人がいて驚いた。
住宅街にポツンとある蕎麦屋だというのに何かと思ったら
今日は座敷に団体の予約が入ったらしい。
親戚なのか町内の集まりなのか、子どもたちを含めてお互いによく知った顔らしい人々が
かなりたくさん、嬉しげに座敷に入っていく。
「雪御膳」というセットを頼んであるようだ。
メニューを見ると「しおいり」の「雪御膳」は1500円。
この値段で蕎麦に天ぷら、プラス三皿ついている。
ちょっとしたした集まりにはぴったり。
なんて贅沢で、お得なセットなのだろう。
しかもですよ、「しおいり」は蕎麦だけだってこんなに美味しいのだ!
長野の、しかも「オヤマボクチ(ヤマゴボウ)つなぎ」の蕎麦が多いエリアにあって
「江戸前蕎麦」を掲げる店。
しっとりと重なりあう、たまらぬ美肌。
控えめに散りばめられたホシとゆらめく影の美しさにしばし見入る。
さらに箸先にたぐりあげ、目が覚める。
なんてフレッシュな香り!
新鮮な蕎麦だけが持つ華やかなかぐわしさに脳がシビレそうになる。
しかもこの味の濃さは何だ。
噛みしめてどうこうというより、舌に載せただけで
なんとも香ばしい甘い味わいがジワー!
ごくかすかな粘りのある肌は見た目ほどのざらつきはなく
節のようなでこぼこ感を感じる舌触りがとてもいい。
本日の蕎麦は北海道。
ウワー これは美味しすぎますよ・・・・
店内の窓際には人形作家高橋まゆみさんの作品が飾られている。
小豆?を抱えたばあちゃんの背景には雪景色が描かれているのだが
この人形ケースの後ろは本当の雪景色である。
団体客のいる座敷からは、
じいちゃんばあちゃんと孫達を含めた賑わいの声。
店の人は今日は大忙しだが、どの人も皆明るく親切で
かえってのんびりした気持ちになる。
この人形はこの店で眺めてこそ、いい。
ふと人形ケースの上を見やるとこんな張り紙が。
「宮内庁御指定農場より直送」の鴨肉っスか!
て言うか皇族の方々はそんな日常的に鴨食べているんデスカ!
面白いので頼んでみることにする。
「かも せいろ」のつけ汁。
これが・・・
それほど過度の期待をせずに食べたのだが
あまりの美味しさに本当にびっくらこいた。
汁が麻薬のように美味しい。
鴨肉がまた異様に美味しい。
肉の味がこれでもかと濃く、肉肉しい食感がたまらない。
「こんなに美味しい鴨汁は初めて!!」
と叫んでしまいたいほどの美味しさ。
しかもこの超絶美味「鴨せいろ」が1000円ですよ。
店内中全員が鴨せいろを食べていて当然なのではないかと思えるほどだが
あのテーブルのお客さんはみなさん天ぷら付きの何かを食べているなあ。
鴨せいろ好きの方は是非是非是非。
もうすぐ雪も溶けてきますよ〜
2012年03月27日
okinawa pics
2012年03月24日
やちむん
2012年03月23日
神田「眠庵」(八種もりの会)
遅ればせながら3月の蕎麦会のご報告。
今回も楽しい面々が集まり楽しかったなぁー!
笑いが止まらない名場面が何度あったことか・・
初参加の方々も含めてお酒好きが集まっておりますので
お酒も、こんなに。
圧巻の眺め!
しかもこれでも全部ではないらしく(多すぎて把握不可能)
私が一番美味しいと思ったあの子の姿が見えないぞ〜
イマドキなラベルのお酒が多い中、何事も伝統好きの私は
右から2番目、三千盛純米の超古典ラベルにシビレました。
上のラベルの「ミチサカリ」っていう赤い字がかわいいの。
選りすぐりの美味しいお酒。
「眠庵」の「おから」と「豆腐」。
そして各々持ち寄った美味しいおつまみを
「食べ過ぎないよう」「飲みすぎないよう」
いかにセーブするかがこの蕎麦会のキモです。
なんたって八種の蕎麦が主役ですから!
待ってましたトップバッター。
いつも通り、1枚目のみ眠庵の「プロ盛り」。
2枚目以降は「小鉢パカっとひっくり返しセルフ盛り」です。
今回はなんとトップ2が「外タレ」という珍しい構成。
どんなかなあ〜 楽しみだな〜
1枚目「内モンゴル」2011年、在来種。
ほっこりと甘い穀物の香りがふわぁ〜。
つきたてのお餅のようなイメージもある香りだが、味はさっぱりすっきり。
そして何より食感が面白い。
見た目でもちょっとわかるかと思うが
何とも言えない「軽さ」と「直線的ライン」が個性的だ。
例えは悪い(かもしれない)がマロニーちゃんぽいというか・・
初めての食感の中から生まれてくる甘く軽い香り。
おいしいなあー
2枚目「韓国」11年。
あ、赤い・・赤茶色い・・
ちょっと見た目にびっくり。
赤い蕎麦というのはいまひとつ印象が良くないものだが
この蕎麦は大変フレッシュな状態でこの色らしい。
たぐりあげると、むっわーとパンチの効いた強烈な香りに細胞が目覚める。
この蕎麦会で何度か遭遇したあの「超強烈倶知安」にも通ずる
ガツンと深く、濃く、たくましい香り。
かなりやわらかく、ギリギリ歯にくっつ・・かない、という
これまた「眠庵」では珍しい、個性的な食感。
香りはこんなにも強烈なのに味わいは正統派のバランスの良いもので
すごいなあ、韓国にもこんな美味しい蕎麦があるんだなあ。
平昌という、韓国有数の蕎麦どころの産だそうだ。
3枚目「埼玉・三芳」11年、品種は「常陸秋そば」。
写真では伝わりにくいかもしれませんが
この埼玉、大変優等生な美しい姿でありました。
2組の外タレ様の後だけに
さながら美しく掃き清められた石庭でも見るような思いで
「ああ日本に帰ってきた」という感慨に耽った、
ノリが命の高遠でございます。
芳しい香りはふわぁっと鼻腔をくすぐるが、味わいは淡くて意外・・
と思いきや、後からじわーと舌にずっしりした味わいが。
甘みはほぼなく、渋い深い味わいが長く続く。
常陸秋そばにしては個性的、と思ったら
三芳の地でもう20年以上育てられている常陸秋そばだとか。
なるほど〜 おもしろいなあ。
4枚目「大分」11年、品種は「さちいずみ」。
新潟朝日村の蕎麦と対馬在来種を交配させ生まれた
新品種「さちいずみ」。
もとは「九州3号」と呼ばれていたものだが
これが、おいっしいー!!
深く、香ばしく、甘いかぐわしさ。
見ての通りの輪郭線、角が口の中でもハッキリとしているが
噛むと意外なほどふわりと軽く、
そこからかぐわしい香りがいくらでもふくらむ、ふくらむ!
味わいはおとなしめだがそんなことを見つめるのが困難なほど
香りと食感が素晴らしい。おいしすぎる!
名前は台風みたいだったのがお酒みたいになったんだねえー(^o^)
5枚目「富山」11年、山田在来種。
がっつり濃い香り!!
じわーとやさしい食感で、表面にかすかなぬめりのようなものを感じる。
とにかく濃い、香ばしい、力強い香りが素晴らしく、
味わいもまた強烈なたくましさなのだが
その全てが新鮮さ、フレッシュさのなかにあることが何よりも素晴らしい。
清潔感に満ちたワル、てな感じ。
ワル、いいわぁー 滅法ヨワイわぁー
私幼稚園の頃からトシちゃんより断然マッチ派だったしねっ(エ?)
6枚目「広島」11年、品種は「信濃一号」。
ほわぁ〜 ああ かぐわしい・・
と香りに酔いつつひとくち。
アレ、味はかなりおとなしい、と思ったら。
これも3枚目埼玉と同じく、後から出てくるわ出てくるわ、
じわーじわーと濃厚な味わいが!
食感はごく軽いだけにそんなにも奥深いのが不思議なほどだ。
7枚目「北海道・羅臼」07年、品種は「牡丹」。
これまたがっつり、ものすごい濃厚さ!
香りの要素の中の下を支える部分が非常に強く、たくましく、力強い。
はああ 食べなくてもこの香りだけに永遠に酔っていられそうだ。
4年半熟成とは信じられないほど、フレッシュに、鮮やかに香っている。
しっとりぴたっとした肌。
どこかはかなさを感じる、やわらかくやさしいコシ。
口いっぱいが羅臼に染まる。体中に染み渡る。
濃い〜 甘い〜 すてき〜
8枚目「福井」11年、大野在来種。
お楽しみ、この蕎麦会でいつもトリを飾る福井・大野在来。
深いかぐわしさはいつも通り、期待通りだが
今回はなんとなく明るく爽やかなイメージ。
いつもの強烈さはなく(7枚目羅臼が強烈すぎたせいかも)
正統派の美しい香りと食感だ。
しかししかし、味わいは・・やっぱり物凄い力強さ。
やっぱりいいなあー おいしいなあー
いくつかですが、丸抜きの写真も撮ってきましたよー
まずは今回一番の美人さんと思われた福井さん。
若々しい薄緑、きれいですねえー
そして赤さに驚いた2枚目「韓国」。
やっぱり実からして赤いのだ。
気候のせいなのか、土のせいなのか。
4年半熟成の北海道もこんな綺麗な色でびっくり!
2012年2月の「八種もりの会」
2011年12月の「八種もりの会」
神田「眠庵」
神田「眠庵」(豆のスープ)
2011年11月の「八種もりの会」
2011年9月の「八種もりの会」
2011年7月の「六種もりの会」
2011年5月の「眠庵」手挽き蕎麦
2011年3月の「眠庵」
2011年2月の「八種もりの会」
2010年11月の「八種もりの会」
2010年9月の「八種もりの会」
2010年7月の「八種もりの会」
2010年4月の「八種もりの会」
2012年03月20日
浅草「寺方蕎麦 長浦」
今日は、私にしてはたいへん珍しく
種物のご紹介〜
いつもながらシビレます。
通りの名前は「食通街」。
「寺方蕎麦長浦」は向島が本店で
銀座や赤坂にもお店があるけれど、私はこの浅草店の雰囲気が一番好き。
お隣は、某名店でご一緒したこともある方のお店なのだけど
残念ながらまだ行ったことはありません・・
ここはおつまみが本当に美味しい。
「くず切じゅんさいの酢の物」
「鳥のわさび和え」
「山芋の酢の物」
など、「こういうのが来るかな」と期待した以上の
大変おいしいものが出てくるのだ。
そして浅草店ならではおすすめ、「納豆そば」。
写真ではわかりづらいかもしれないが
かなり小さめの鉢でやってくる。
この演出がとてもいいのだ。(他の店舗は違う器)
小さな鉢にぎゅーっとうつくしく盛り付けられた具材。
納豆は粒でなく、ひきわりでもなく、
すり鉢ですったようにどろどろのソース状で上にかかっている。
小さな鉢だけにとても慎ましいような、
でもおいしくて体にいいものが全部入ってとても贅沢なような、
粋な種物。
お値段もちょいと贅沢だが、私がつい頼んでしまう
数少ない種物のひとつだ。
2012年03月16日
本川越「農家の店 三たて蕎麦 やじま」
大好きな「農家の店」。
付近は田園風景と言ってもいいのどかさだが
店に近づけばたいてい駐車場はいっぱい。
店内に入れても中で待つこともしばしばである。
席に着くとまず、ことりとおかれる蕎麦湯。
常に蕎麦切れ状態の私の体に蕎麦が染み渡る。
蕎麦中毒患者にはたまらないサービスだ。
おいしい〜 さすがぁぁ〜
「十割そば(田舎せいろ)」
深呼吸し続けたくなるほどの、たまらぬ香ばしさ。
よくある「黒い香り」というものから
野性じみた泥くささ品のなさをすべて取り去ったような、
美しい「黒い香り」だ。
つながりは非常に強く、ムチッと強靭なコシが楽しめる。
何より、あとからあとから溢れ出る滋味深き味わいが・・
ああ これは本当にすばらしい蕎麦だ!
「二八せいろ」
うつくしく緑がかった蕎麦。
綺麗だよぅ〜 うれしいよぅ〜
こちらは「田舎そば」とは打って変わって
上品、クリーミーなイメージの香りがほわぁ〜。
その中にかすかに、草のような青い香りも含まれている。
見た目は優しげだが、口に含むとまたまたビシッと締まった、大変に強靭なコシ。
「農家の店」とある通り
ここの蕎麦は店主が3ヘクタールほどの畑で育てた自家栽培蕎麦。
黙々と働く店主は昔は勝手におっかないイメージを持っていたものだが
全然おっかなくはなく、むしろ親切に蕎麦について教えてくれる。
無表情だが、私がおいしがるとニカッと笑ったりする。
日に焼けた顔は今食べた蕎麦と同じ陽を浴びてきたのだろう。
飾り気のない、素朴な店だ。
混雑時は注文出来ないのだが、
今日は昼時を過ぎたので頼めた、
「そばがき」
ふわどろ〜 とゆるめのそばがき。
今日はやや香りが淡かったのだが味わいがすごい。
濃厚な穀物の力強い味わいがふわどろの中に
ぎゅうううと濃縮されているかのようだ。
店主が育てた「蕎麦」と水だけで生まれるこの味わい、
このバリエーション。
今日私のお腹にはほぼ、店主の畑の蕎麦粉しか入っていない。
私にとって
「蕎麦を食べに店に行く」というより、
「蕎麦を食べに畑に行く」。
もっと言うと
「畑を食べに畑に行く」イメージの、
大好きな「三たて蕎麦 やじま」なのだ。
.
2012年03月15日
2012年03月14日
蕎麦は蕎麦でも
2012年03月13日
2012年03月10日
レコーディング
大好きな、
Giulietta Machineのニューアルバムの
レコーディングに参加してきました〜
楽しかったー!
二の腕シビレるかっこいい曲です。
ジュリエッタ最高!
レコーディングの模様がジュリエッタのブログに紹介されているので
のぞいてみてね
ジュリエッタ・マシーンblog
<よこく>
5月8日にライブやります!
その他出演の機会もいろいろ?
また詳細お知らせしまーす☆
Giulietta Machineのニューアルバムの
レコーディングに参加してきました〜
楽しかったー!
二の腕シビレるかっこいい曲です。
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のぞいてみてね
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<よこく>
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2012年03月09日
静岡・藤枝「手打そば ながいけ」
おいしいものがある場所は
遠くても近く感じる。
東京から近いとは言えない藤枝市だが
この店がある限り全く遠さは感じない。
どこかでふいに「藤枝」と聞いただけでもピョンと耳が反応し
楽しい気持ちになってしまうほど大好きな、
「手打ちそば ながいけ」。
白い壁に木の風合いが爽やか。
広々とした店内は、山の工房のような印象だ。
「そば豆腐」
ぽってり小さなそばがきのような「そば豆腐」。
普通「蕎麦豆腐」といったら四角い胡麻豆腐のようなものがほとんどなので
この形状だけでもアイディアそば豆腐である。
ほんのり淡く、蕎麦粉の香り。
どろーとした舌触りの中に、
かすかな粉感とプルっとした食感が共存しているのがとてもユニークだ。
そして「ながいけ」と言えば「粗挽き三兄弟」。
研究熱心な店主が次々生み出した粗挽きの蕎麦が
3種類もあるのだ。
それぞれメニューの説明とともに、
「粗挽きせいろ」
皮付きの実を石臼で粗く挽いた粉で打ち上げた芳醇な味が特徴です
「粗挽き十割せいろ」
皮を剥いた実を手挽き石臼で挽いた極粗い粉のみで打ち上げました。
「手挽きせいろ」
上記の十割せいろと同じ粗い粉に少量のつなぎを加えてやや細めに打ち上げた
滑らかな食感のせいろそばです。
この「粗挽き三兄弟」以外に二八の「せいろ」もあるのだから
もう楽しみすぎてどうにかなりそうである。
「粗挽きせいろ」
はぁー・・
この、ザリッ、ジャクッとハードな姿。
かすかに透明感を帯びた肌に浮かぶ粗い夢、細かい影。
箸先でただよう黒く渋い香ばしさがたまらない。
口に含むとその肌は意外にもしっとりぴたぴたとして
見た目通りのザリッ、ジャクッが実に楽しい刺激。おいしい!!
甘みの少ないさっぱりした味わいの中で
その香ばしさと食感とを追いかけ・・もう早くも夢中だ。
「せいろ」
打って変わってすべらかつやつやの美人がやってきた。
こちらは「粗挽き三兄弟」ではなく、二八の「せいろ」。
これまたなんて美しいんだろう。
窓からの光を艶やかにたたえる、きめこまかな肌。
これまたしっとりぴたぴたとした舌触りで
あまりにきめ細かい肌のためか
口の中では蕎麦がぴたーと寄り添い束のように感じられる。
密な蕎麦束に身をあずける夢を見る私は
2枚目にしてもう壊れかけている。
噛みしめるとかすかにのびるような、奥ゆかしくもたしかなコシ。
最初淡く感じた香りはどんどん濃厚になり
草のような爽やかな香りに染まっていく。
ああ おいしい・・・
そしてついに
き、来てしまいました・・・!!
「粗挽き十割せいろ」
この肌の超絶美。
無限無数の粒達が、粗く、みずみずしく、
蕎麦切りという美しい形でつながっていることが
神秘的にすら感じられる。
ドキドキしながら箸先にたぐると
ほわぁ〜・・と甘い、餅のような極上和菓子のような、
ふくよかな香りがふんだんに漂い来る。
そして何より凄いのはこの食感だ。
口に含んだ瞬間、目の覚めるようなジュワァー、ジューシ〜〜〜
みずみずしい、かといって水っぽい蕎麦とは違う。
この粗挽きの粒感、ジュワァーとしたやわらかさ。
かと言って頼りなさはなく、何と言うか
蕎麦自体は凛としたつながりを持ちつつ、
噛みしめるとふっくらした味わいと共に食感も広がっていく感じ・・・
なんかごちゃごちゃ申してますがとにかく食べている間じゅう
私は美味しすぎて目が開かずずっと相当な角度で傾いてました。
おいしすぎるー
「手挽きせいろ」
もう「粗挽き十割せいろ」まみれでヨレヨレの私に
またやってきた次の夢。
香り、味わいは一つ前の「粗挽き十割せいろ」にそっくりだが
食感は2つ前の「せいろ」の要素がある・・まさにメニューの説明通りなのだ。
悶絶の「粗挽き十割せいろ」にすんなりなめらかな輪郭線が加わり、
かみしめるとかすかに小さくのびるようなコシ。
それにしてもこのやわらかな粒感、
ふくよかな香り、ほんのり美しい味わいは夢のようだ。夢のようだ。
私は壊れっぱなしである。
しかもね、実は最初の「粗挽きせいろ」は
「桜えび天せいろ」にしてみたのだ。
普通天せいろと言ったらせいろ蕎麦に天ぷらがついてくるものだが
ここのは天抜き(温かい天ぷら蕎麦から蕎麦を抜いたもの)のような汁がついてくる。
ほらね。
こーれーが、びっくりするほどおいしい。
天ぷらはカリッとしたものを塩で食べたい私としては
汁に浸っていない方がいいな、と思いがちだが
この「桜えび天せいろ」は違う。
衣のふんわり感と桜えびの食感が素晴らしい。おすすめ!
今日食べたのがどれだけおいしい蕎麦だったかがわかるような
なんとも言えず味わい深い蕎麦湯。
私はここの蕎麦も、店も、店の人もとても好きだ。
また近々来ますよ!
東京からこんなに近いんだもの。
2012年03月06日
一日デート
今日はアンシュ猫ブログを真似て・・
19歳からのお友達、なみちゃんの新しいおうちにお招きされて
不意をつかれた衝撃の出会い。
かっっっかわいすぎるんですけど!!
お顔も、鳴き声も、毛並みもかわいすぎる。
ネオちゃあ〜〜ん!♪!♪
うーん、アンシュ(人間)やルナちゃん(猫)のおかげで、
近年私はすっかり猫好きになってしまった。
それにしても女同士のなかよしって
どーしてこんなにしゃべることがあるんでしょう。
なみちゃんお手製ランチでのんびり、
しゃべる笑うしゃべる。
そして夜はお寿司屋さんに突入、飲むわ食べるわ
こんなに楽しい夜は久しぶり!
なみちゃんまた会おうねー!
実は「死ぬ前に食べたい大好物」、トロ鉄火巻。
今日のは、築地で2本の名マグロだって!
.
2012年03月04日
鹿島田「船勢」
2012年03月03日
沼田「「手打ちそば 無もん」
行けども行けどもラーメン屋ばかり、という道もあれば
うどん屋ばかりという道もある。
よほどの飢餓状態でない限り何屋が多くてもいいのだが
(行くのは結局蕎麦屋なので)
「行けども行けども蕎麦屋ばかり」という道は
腹具合に関係なく大問題である。
この道も、そんな道。
「手打ちそば 無もん」
雪の中、堂々たる構え。
このあたりでは唯一、清冽洗練の蕎麦を出す店だ。
ひろびろとした店内。雪景色が襖絵のようだ。
太陽のような笑顔の奥さんが
運んできてくれる、
「もりそば」
ふわぁーと香る、さわやかなかぐわしさ。
身も心も染まるようで「あー来てよかった!」と食べる前からつぶやく。
繊細な細切り、すべらかな肌。
今日はいつもよりパキッとした食感だがそれがまた楽しい。
常陸秋そばの、バランスの良い味わいが
その食感の中から深まっていく。
「鴨汁そば」は冷たい蕎麦に鴨汁がついてくる鴨せいろタイプ。
鴨の旨みが溶け出したやや甘めの汁。
肉厚の鴨がおいしい〜
相変わらず蕎麦はあっと今に食べ終わってしまうが
私は蕎麦湯が長い。
ひろびろとした空間と雪景色を独り占めする、贅沢な時間。
話好きの人懐こい店主と
今年のこのあたりの寒さの話をする。
東京の話をする。
沼田にもゆっくり春がきている。
2012年03月01日
中目黒「驀仙坊」
ここのところブログが書けず
生きているのかとご心配までいただきすみません・・・
実はちょいと準備していることがありまして
なかなか忙しいのであります。
そんな合間にも
打ち合わせを兼ねて
ウキャ(≧∇≦)
ひろびろと、四角いシンプルな空間。
仕切りもない、座敷もない。
蕎麦を食べるための部屋、といった風で
ありそうでなかなかない雰囲気なのだ。
私はこの部屋が好きだ。
そいでもって
「金鶴 本醸造」
およっ
打ち合わせ・・ですよね?
おいしいー
「季節野菜の白和え」
しらあえ だいすき。
特にここのは甘え控えめでいい。
「氷下魚の生干し」
これがおいしい!
生干しの「やわらかい固さ」。
その中にぎゅううううううと詰まった旨み。
ご一緒のお二人も
「コマイなんて馬鹿にしてたけどこんなにうまかったかねー!」
と感心しきり。
てなわけで
「白岳仙 純米吟醸」
ここでちょっと席を外した私。
戻ってきたら
うわあ!
いきなりのご対面です。
しかも「どうせつけないんだから」と
「せいろ(汁なし)」頼まれちゃったし。
いーんです、いーんですよ。
そのかわり、蕎麦湯の時にちょっと私にも汁分けてくださいね。
(と言って撮影用に汁を奪う)
はああ
たちのぼる、香ばしさ。
黒くて澄んだ深い香ばしさに全身が染まる。
口に含むと強靭なコシとツルリ粋な舌触り。
おいしい・・あなたはなんておいしいのでしょう・・
お向かいのお二人を忘れ捨て、
蕎麦と二人の世界に入ってしまった私に
「そんなに蕎麦好きなんだねーえ もう一枚食べれば?」
えっ
とつい嬉しそうな顔をしてしまい
アハッ(≧∇≦)
もういちまい。
しあわせー♪