- 年越し蕎麦
- 湯島「古式蕎麦」
- 国会議事堂前「永田町 黒澤」高橋邦弘さんの蕎麦
- 浅草「吾妻橋 やぶそば」
- 外苑前「勢揃坂 蕎 ぎん清」
- Handmade Christmas Gifts☆
- Homemade Christmas Party
- 鎌倉「手打そば 千花庵」
- 京王堀之内「手打蕎麦 一澤 」
- 神田「眠庵」(八種もりの会)
- 鹿島田「手打 たけうち」
- 神楽坂「東白庵 かりべ」
- 神田「眠庵」
- 石神井公園「手打ち蕎麦 二村」
- 宝町「銀座うどん 流石 琳」(「ざるそば」だ!)
- 鎌倉「純手打そば なかむら庵」
- 銀座「明月庵 田中屋 ぎんざ本店」
- 吉祥寺「手打そば処 ほさか」
- 鎌倉「手打ちそば 茶織菴」
- 荻窪「蕎麦カフェ グロッケンシュピール」
- 神田「眠庵」(豆のスープ)
- 代田橋「手打蕎麦 まるやま」
2011年12月31日
年越し蕎麦
蕎麦好き人口の少ない高遠実家では
年越し蕎麦を食べるという習慣は特にない。
でも今年はこーんないいお蕎麦、食べたんだぁー!
当然釜前担当となった私。
「せっかくいいお蕎麦をいただいたのだから
おいしく茹でなくっちゃ」と思えば思うほどめちゃめちゃ緊張した・・・!!
でもね、やっぱり打ち手が違います。
素材が違います。
私なんかが家庭用のお鍋で茹でたのに
(しかもほんとはちょっと失敗したと思ったのに)
なんと特に蕎麦好きでもない私の家族が
「蕎麦を奪い合っていた!!」スゴイ!
しかも、汁のおいしさには家族全員が大絶賛。
(あんまりすごい絶賛なので録音したい位だった)
でっしょー!?
美味しいでしょー!
そう、私は以前からこの汁の大ファン。
粉川さん ありがとうございます☆
ごちそうさまー!
.
2011年12月30日
湯島「古式蕎麦」
年の瀬だね〜〜え
黒いね〜え
わかっているのに毎回驚くこの黒さ。
ジトーーーーーー
ぬめるような細かいざらつき。
食感としては濃厚な胡麻豆腐に似ているかもしれない。
香りは、香ばしいを通り越して渋いお香のようなイメージすら感じるほど。
あまり理解されない感覚だと思うが私はいつも潮のような香りの成分も感じる。
決して生臭いとかいうことではなく、
大地というよりは潮のような力強さを感じる香りなのだ。
「もりそば」もあるが、ここではやっぱり
おろしと醤油で食べる「古式蕎麦」。
蕎麦だけでもガツンとおいしいが古式蕎麦はやっぱり美味しい。
気楽なサンダル履きのおっちゃんとスーツ姿のお友達の二人連れ。
サンダル履きのおっちゃんは近所の人で
「スーツ姿の友あり遠方より来たる」らしい。
これからの若い人は大変だ、と心配してくれている。
話は雇用保険から次に買うゴルフクラブに流れていく。
テレビの音。
おばちゃんの甲斐甲斐しく働く音。
変わらぬこの店らしさがただ懐かしくて、ありがたい。
変わらぬ、と書いたが
進化?し続けるのは店主の腹囲であろうか。
私が大学生だった頃と比べるとかなり存在感を増している。
そういう私も、きっといろいろ変わったのだろうな。
湯島の夜が、晦日に向けて黒くなってゆく。
.
2011年12月29日
国会議事堂前「永田町 黒澤」高橋邦弘さんの蕎麦
12月29日ともなると
永田町付近に人影はほとんど見えない。
白いコンクリートとガラスのビルの街。
そこに、ドドン!(和太鼓)
いきなりこんな建物が現れる。
「永田町黒澤」。
黒澤明監督からその名がつけられ
食通で知られる監督の好んだ食べ物と蕎麦を出す店だ。
通常営業時のここの蕎麦は、
元・長坂「翁」、現・広島「達磨」の高橋邦弘さんの
門下で修行した職人によって打たれている。
今日はその師匠・高橋さんの蕎麦がここで食べられる、年に一度のイベントの日。
私は高橋さんの蕎麦と人柄の大ファンなのだが、
今月は2回も高橋さんの蕎麦に出会えるという機会に恵まれた。
前回も今回も、
「楽しみすぎて自動的に血中蕎麦粉度を下げまくる」という便利な機能が働き
蕎麦に飢えに飢えまくった蕎麦狼状態で会場に到着。
1階では高橋さんが蕎麦を打っていた。
イベントなどでは一日1000枚をひとりで打つという超人。
その無駄の無い動きは人々の目を奪い、時の経つのを忘れさせる。
まさに蕎麦打ちマシーンのようなスピードで打ち上げていくのだが
次々と生まれ続ける蕎麦はこれまた人間業とは思えぬほど美しい。
これは別の機会に撮ったものだが、高橋さんの打った蕎麦。
(是非ともクリック拡大してご覧ください〜)
寸分の狂い無き蕎麦の河。
美しいにも程がある。
ちょっとこちらがぼんやり見てる間に、
こんな蕎麦が次々と新しく、大量に打ち上がっていくのだから
ただただ感服するしかない。
ああー このお蕎麦、はやく食べたい!
今日は2階に通された。
実は「永田町 黒澤」で2階は、私初めてですよ。
眺めもよく料亭のようだ。
まずは生ビールとおつまみで乾杯!
お酒も美味しいのがいっぱいあって
ひゃー 素晴らしいけど
でも私には会いたい人が、会いたい人が・・・
来た。
しかも思ったよりも早く。
あああ なんてきれいな薄青緑。
たぐりあげて叫びたかったが思いとどまる(嘘かも。叫んだかも)。
なんという香り高さ・・・
香り高いとかかぐわしいとかいう形容詞がもどかしいほど
美しく澄んだ蕎麦の香りが、パンッ!とそこで何かがはじけたかのように
それこそ爆発的に香りまくっている。
もう これはね 私は食べなくてもいいですよ。
食べないで「嗚呼ありがたありがたや・・」と
拝んで帰ったっていい。
香りだけでおいしすぎる。
食べなくてもいいと言ったそばからやっぱり食べるのだが、
口に含んだその瞬間から、まだひと噛みもせぬうちから
口中も、全身もそのかぐわしさに浸ったようになる。
目が開かなくなってくる。
「あの素晴らしいコシがそこにある」と期待して噛みしめると
ああ・・ 出会えました出会えました。
この、やわらかいのに弾むような、たまらないコシ。
ムチッと若々しい力がみなぎったような弾力が私をノックアウトし続ける。
そこからジワワワーーーと舌の上にひろがる穀物の深い味わい。
もおおお 何なんですかあーこれはぁー
おいしい〜 おいしすぎるよう〜
2枚目
結構量もしっかりなのだが2枚は余裕。
前回も前々回も3枚いってしまった私。
美味しいものはスルッと入って元気になるのだ!
ここで「1枚目と2枚目で味が違うとかってあるんですか?」と
私に話しかけて下さった方がいらした。
私はあまり生意気なことを言いたくなかったのと
蕎麦に夢中で頭がパーだったので
「いや〜 全部美味しいです・・」
とか答えになっていないことをモゾモゾ言って
待ちきれぬ思いで蕎麦をたぐりあげた。
そうしたら!
「明らかにさっきと違う!」(食べるのに夢中で言いませんでしたが)
先程のも最高にかぐわしく、目が開けられないほど味わい深く感じられたのだが
これは更に、ドバーッと濃い。
全く同じ蕎麦でも茹で加減の微妙な差で味わいが違うことはよくあるが、
あれだけ最高と思った1枚目の更に上をいくかぐわしさに出会い驚いてしまった。
2枚目は感激に慣れて薄まって感じられても当然なのに。
パッと迎えた香りはたくましいばかりに香ばしく、
しかしその後は1枚目と同じ澄んだかぐわしさが華やかに続く。
常陸秋そばという名品種の美味しさが、最高の形で今、私の口の中にある。
この香り、やわらかく弾むコシ、ジワーッと深い味わい。
この蕎麦を育てた農家の人もこれを食べたらさぞ嬉しいだろうなあー
蕎麦のあとは楽しい歓談のひととき。
私は高橋さんのお人柄のファンと書いたが
高橋さんを師と仰ぐお弟子さん達もまた大好きである。
お弟子さん達の師匠を見るキラキラと綺麗な目。
高橋一門の師弟関係の美しさをみてしまうと
私はいつも、感動のあまり無口になってくる。(当社比。大変珍しいことです)
「ごちそうさま。良いお年を!」
店を出るとまた白いコンクリートとガラスのビルの街。
師走の永田町には、日本が誇る恒例行事がある。
2011年12月28日
浅草「吾妻橋 やぶそば」
冬の陽差しを浴びる、シイキの店。
おっと、浅草に来るとヒとシが、どうもねえ。
アタシャァここが、なんだかどうにも好きなんです。
こんないい店が駒形橋のたもとなんてえ粋な場所にあるなんて
思っただけでたまらない。
諏訪泉もありますが今日はやっぱり
「菊正宗 上撰」
うーん 相変わらず私にはガツンと感じるお酒だが
ここで飲むと(舐めると)いいんだなあぁぁ
「鳥わさ」
下町ですからしっかり濃い味。
菊正と合う。
「もりそば」は小、中、大とあるのが珍しい。
一人前は「小」だ。
以前の蕎麦も好きだったが
移転を機に手打ちになってからの蕎麦はさらに素敵だ。
素朴で素直な印象の、粗めの肌。
手繰り上げるとフワッとやわらかい香りが迎えてくれ
すべすべの肌を噛みしめるとなんとも良いコシがある。
口の中がほっこりと蕎麦色に染まる。
本当にいい蕎麦だ。
今日はこんなものも頼んでみた。
「納豆そば」
これがですねーえ!
なんというか、どうにもセンスがいいのだ。
めちゃくちゃおいしい!
「納豆そば」って安易そうなメニューに見えて
おろし入れたり入れなかったり
ごまを入れたり入れなかったり
たくわんや天かすまで入ってるのもあったりで、実は様々。
それぞれの具材のちょっとしたバランス次第では
「うーん、こんなにおいしいものばかり乗っかってるのに何故・・?」
という仕上がりになっちゃっているのもあったりする、のだが。
「吾妻橋やぶそば」のは、唸るバランス!
さすがは私が惚れた男!
(注・店主のことではありませぬ。店を男性に例えたまでで御座います)
シイキの店ってぇのはこれだからたまらない。
2011年8月の「吾妻橋やぶそば」
2011年12月27日
外苑前「勢揃坂 蕎 ぎん清」
店名は「勢揃坂 蕎 ぎん清(せいぞろいざか そば ぎんせい)」である。
勢揃坂というのは店の前の道から続く坂の名前。
「後三年の役(永保三年、1083年)で八幡太郎義家が奥州征伐に向かう時、
ここで軍勢を揃えて出陣して行ったと言われる」、
渋谷区内に残っている古道のひとつだそうだ。
最寄り駅は外苑前。
静かでおしゃれなエリアというイメージと
やけに歴史がかった店名のバランスが面白い。
スタイリッシュな店内。
まるでバーのような眺め。
しかしカウンター内をよく見れば、
鉄器の急須が鮮やかな色違いでたくさん並べられていたり
大きな招き猫のユニークな看板?が飾られていたり
楽しい和のインテリアになっている。
働いている女性たちもおしゃれそうな人ばかりなのだが
全員が私服の上に純白の割烹着を着ているのが唐突で面白い。
よく料亭の厨房などで見かける白割烹着ではなく
昭和のお母さんが達が着ていたような婦人用割烹着。
ここで見る白割烹着は、衣装のように新鮮である。
偶然空いた時間だったので、
無理を言って夜のメニューを頼ませてもらってしまった。
だって、こんないいセットを見ちゃったら。
「福島の酒肴三品セット」
泉川(純米吟醸)
国権(特別純米 夢の香)
あぶくま(純米吟醸 山田錦)
にしん山椒漬け(大根おろしを添えてぽん酢で)
紅葉漬け(鮭の麹漬け)
豆腐胡麻味噌漬け
これで1000円。しかも東北支援企画!
・・今日行きたくなっちゃうでしょう?
しかもその後に出会える蕎麦がいい。
これまた意外な、美しい微粉の蕎麦が現れるのだ。
何となく店内のイメージからは、今流行りの粗挽きが出てきそうな気がしていたのだが
潔いほどなめらかできめ細かい肌である。
ウム、これは確かに「勢揃坂 蕎 ぎん清」という店名のイメージ通りの蕎麦だ。
渋谷区神宮前で出会う、浮世絵のような美人肌。
たぐりあげると正統派のかぐわしい蕎麦の香りがふっとただよい
流麗な舌触りとふっくらしたコシが美しい!とにかく美しい蕎麦だ。
食べすすむうち、かぐわしい蕎麦の香りと旨味に全身が浸ったようになってきて
ああああ これは すばらしいですよ しあわせですよ・・
この上、店主は三重県出身なので
三重県産の食材や伊勢志摩直送の海の幸なども楽しめる。
これはまた夜ぜひ来なくては。
「勢揃坂 蕎 ぎん清」・・・
覚えておこう。(時代劇風)
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2011年12月26日
Homemade Christmas Party
毎年恒例、実家のクリスマスパーティー☆
毎年盛大になりがちなので
本当は毎年 殿(父)より
「派手ニスルベカラズ」
勅令が出ておりまして。
今年はメニューの数も控えめで、
でも楽しかったー! ぜんぶ美味しかったー!
勅令が出ようとなんだろうとこれは外せません。
下味つけた海老にシソと春巻きの皮を巻いて揚げた、家族全員の大好物。
その名も「えびんち」!
甘いもの全般、大の苦手な私も大好きという奇跡のケーキ、
「エコール・クリオロ」の「ガイア」クリスマスバージョン。
このガイアはね〜〜 興味ある方は検索してみてね、いっぱい出てきます。
とにかく「層ごとの味が口の中で全て感じられる構造の美味」っちゅうか
さすが2009年に世界一の賞を取っただけのことはある凄いケーキだと思います。
(お店で買った方が微妙に美味しいらしいけど冷凍のが通販でも買えますよー!)
いいものいっぱいもらっちゃった!
深川製磁のmilano studioの器や
アンティークのブローチなど〜(^o^)
あと、災害用の大きな充電ランタン。
巨大なライトなのに「牛のようになって」妹二人分運んできてくれた長女の愛。
久々に実家に泊まって次の日の朝。
エコール・クリオロで買ったパンと
オリーブオイルオタクの母おすすめの大変香り高いオリーブオイルと
パーティーで余ったシャンツァイを大量にトッピングしたサラダ。
母はすっかりこの味にはまったらしい。
このお皿、今回初めて使ってすごく気に入ったので聞いたら
「メラーノ(北イタリア)で見つけたアンティーク。」
だそうで、やるな母。
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2011年12月25日
鎌倉「手打そば 千花庵」
何度行っても同じ席に座れてしまう店というのがある。
「手打そば 千花庵」 も然り。
自宅を改造したらしい店舗の左手には温室のような部分があり
その窓際の席は自然の光に包まれている。
この席を特等席のように勝手に思っているのだが、
私は何故か、いつも運良くここに座れてしまう。
他にお客さんが数組いる時もだ。
付近は頼朝公の墓に近い閑静な住宅街。
この温室席での時間はいつも安らぎに満ちている。
「金鶴」
いきなり「彩」と私の名前が書いてあるとびっくりするが
たまに見かける箸袋。
「板わさ」
たっぷりの厚みも、羽根のような胡瓜の飾りもうれしい。
こちらが一日限定20食の
「田舎せいろそば」
薬味にすだちがついてくるの、個性的でしょう?
褐色の肌が、自然光に照らされ
その一瞬の美を鮮やかに私に投げかけてくる。
ふんだんに散りばめられたホシ、
素朴に流れる美しい輪郭線がまぶしい。
箸先でふっと香る、干し草を思わせる香り。
細打ちのつるつるした肌が口内をめぐるのが心地よく、
噛みしめるとちゅるんっと弾むような鮮やかなコシがある。
ああ しあわせだなぁー 今日もきてよかったなぁー
「せいろそば」
こちらもすだちが添えられてやってくる。
白っぽく品の良い姿に違わず
ほんわりほんのり甘い、白い香り。
噛みしめると上等の和菓子のような味わいも感じられる。
やわらかい舌触りながら噛みしめるとコシもしっかりありおいしい食感。
ほんわりほんのり、しろい夢。
帰りはどの道から帰るか、それも楽しく迷うところ。
今日はこんなポストサンに出会った。
「ポストサン」って古い唱歌(戦前)、知っている人少ないだろうな〜
2011年12月24日
京王堀之内「手打蕎麦 一澤 」
薄曇りの午前中、久しぶりにやってきた「手打蕎麦 一澤 」。
写真では住宅街に佇むお蕎麦屋さん、のように見えるかもしれないが
どっこい店の前は大型トラックもガンガン通るような広い道である。
初めて来たときは大通りに掲げられたピカピカに輝く巨大な看板を見て
味気ない大箱店かと思い込んだため
実際の店内の雰囲気とのギャップに驚いたものだ。
今回来てみたらその巨大な看板はなくなり
代わりに小さな緑色の看板がちょこんと備えられている。
注意しないと気づかないほどさり気ない看板だが、
このほうがこの店のイメージに合っている。
本日のお蕎麦は雨竜のキタワセだって!
楽しみだなあー
まずは「せいろ」と「田舎そば」の「二色そば」。
こんな美しい「田の字盛り」でやってくるのだ。
こちらが
「せいろ」
パリッと潔く締められた冷気が、淡い香りをまとっている。
うん、これは北海道、とわかりやすい香りだ。
そして食感の個性がまた面白い。
歯ざわりは硬くはっきりつるつるして、
1本1本が重なってはつるり滑るような感じがある。
しかし噛みしめると全く硬くはなく、絶妙のコシを楽しませてくれるのだ。
ゆっくり食べて少し冷気を落ち着かせてからの状態も楽しみたい・・
と思ったが、この食感の楽しさを追いかける内に
あっという間に食べてしまった。
こちらが
「田舎そば」
「せいろ」と比べるとぐっと黒く、やや太め。
食感としては「せいろ」に似ているが、こちらはやや太いため
ふっくらと厚みを持ったコシを楽しめる。
味も香りも淡いが、つるりさっぱりと洗練された、都会の「田舎そば」である。
そして本日のお楽しみ、「手挽き田舎」がやってきた。
わっ わっ わっ
これは、大変に、おいしそう!
ウワー
なんとなんと美しい眺めなのでしょう。
土佐和紙のような侘びの風情の肌、
凛と際立つ輪郭線、
空気感をもって重なるラインの完璧さ。
この手挽きもまた、香りや味わいは弱め・・
かと思いきや、こちらは噛みしめるうちに
野趣を帯びた味わいが、淡くじーっと浮かび上がってくる。
食感がまた個性的で、粗挽きを感じさせつつ
どこまでもつるり流麗に口中をめぐる。
細く繊細な輪郭線は固いわけではないのに
はっきりした輪郭線を際立たせていて、それが非常に心地よい。
個室もあり、昼夜とも予約でコース料理もあるので
ちょっとした会合などにもよさそうですよ〜
2011年12月23日
神田「眠庵」(八種もりの会)
天皇誕生日はクリスマス・イブのイブ。
そして一年の最後の、眠庵「八種もりの蕎麦会」の日である。
年に数回、お店のお客さんを対象に定期的に行われている蕎麦会だが
この日は「クリスマス・イブを台無しにする日」なんて言いながら
それぞれ持ち寄った自慢の銘酒をチビチビガンガン飲み比べ。
これまた持ち寄りの美味しいおつまみも本当に楽しいのだが
その後には8種の蕎麦が待っているのだから
お腹のスペース確保のためのブレーキが参加者12名全員の課題である。
あまりに美味しくてついブレーキの緩む人あり、
ブレーキも瞳孔もギンギンの私のような者ありの中
待ってました、お蕎麦!
今回は新蕎麦多めのメニューで5枚目までは新蕎麦だそうである。
いつも通り、1枚目はお店の方で盛ってくれるので美しい盛りだが
2枚目以降は私が小鉢からひっくり返した「セルフ盛り」なので
ラインの乱れはどうぞお許しを〜
1枚目「栃木」11年新蕎麦、品種は「常陸秋そば」。
むっはぁー
いつもながら1枚目の感激は大きい。
私の大好きな栃木のスモーキーな香り!
それが非常に濃厚でありながら、
この蕎麦はどこかおだやかで落ち着いた感じがある。
やや重量感のあるみずみずしい質感、それを噛み締めた時の
意外なほどのやさしいコシがたまらない。ああおいしい・・・
2枚目「新潟」11年新蕎麦、片山虎之助さん栽培の妙高こそば。
こちらは大変に珍しく粉の状態で眠庵にやってきた蕎麦。
自家製粉の反対はなんていうの?他家製粉?(^_^;)
そのせいかここでは珍しい肌の質感で、くっきりと黒いホシも飛んでいる。
最初たぐりあげたときは香りが内にこもっているような
おとなしい感じだったのが、だんだんと野性味のある、
「蕎麦の原種」というようなイメージの香りがふくらんできた。
ぷるんとした肌はこれまたやさしいやさしいコシで
噛みしめるとジュワーとしたみずみずしさが美味しい。
表面の水切れが悪いのではなく、蕎麦そのものがみずみずしいのだ。
3枚目「広島」11年新蕎麦、品種は「信濃一号」。
香りがおいしいー!
ふっくりとまろやかな甘い香り。
ほにょーとやさしい繊細な歯ざわり。
その中から極上の白米にも似た豊かな味わいが溢れ口中を染める。
そしてこれまたジューシーにみずみずしい。
何と表現したらいいのか・・
みずみずしくしなやかな、強さすら感じるつながりながら
噛みしめるとおどろくほどやさしく繊細なのだ。
4枚目「富山」11年新蕎麦、山田の在来種。
軽く香ばしい香りがふんだんに、ふわぁーっ。
重さがないだけに余計そう感じるのかもしれない。
味わいにも濃厚さはなくすっきりとしているのだが
そこに在来種特有のえぐみがある(らしい)。
でも私はえぐみも好きらしくあまり感じず、見つめれば確かにそこにあるが
すっきりした味わいの下を支える旨味のひとつに思えてしまう。
でも今度から在来種を食べるときには見つめてみよう!
5枚目「北海道」11年新蕎麦、音威子府のキタワセ。
まずはきれいな青緑の肌にうっとり!
この蕎麦を育てた農家がとてもよい農家とのことで
こんなにきれいな色の蕎麦が出来るのだそうだ。
へええー、とひとたぐり。
「おいっしぃぃぃぃーーーーー」
思わず叫んでしまった。(まだ食べていません)
ウワーン この香り すてきだよう。
私のメモにはムッハァ〜〜〜〜の後にハートマークが書いている。
ここで壊れたらしい。
この後はメモそのままでいいですか?
「口にふくむとザラザラジューシー さっぱり そこからジュワッとうまみがでる!
味がこい!!おいしすぎる!!味マックスまでのうこうに」
動物が書いた文章でしょうか。
6枚目「鹿児島」10年、鹿屋在来種。
ここから初めて新蕎麦でない蕎麦。
こんなにも濃厚な香りをまといつつどこか穏やかな印象は
1枚目の栃木にも感じたが、こちらはさらにふっくらと豊かな味わい。
やさしいコシの中から生まれ続けるまろやかな甘みといい、
これは何ともバランスの良い美しい蕎麦だ。
7枚目「徳島」06年、5年熟成の蕎麦。
出ました、「眠庵」のヴィンテージ蕎麦!
むわわわわ〜〜〜と通奏低音の如く下に響き続ける濃厚な香りに
まずノックアウトされる。
この蕎麦もまたまたみずみずしいのだが
ビスクドールのような儚い粗さを持った繊細な肌が
はらはらと口中でほどける感じがたまらない。
つながりはしっかりしているのに、何ともはらはら儚いのだ。
味わいは意外にもすっきりとして
ただただ「通奏低香」に染まる恍惚の時。
8枚目「福井」05年、6年熟成の蕎麦。
なんと美しい青さ!
これが6 年熟成なんて信じられない。
ガツン、ムワァー!と濃厚な香り。
この蕎麦は6年間もこの香りをまとい、ふくらませ続けてきたのだ。
穀物のたくましさをあらためて思い知らされる。
粗挽きの肌感、優しいコシはいかにも「眠庵」らしい。
味わいも香りと同じくらいの強烈さを予想したが
これがまた意外とさっぱりしたところに着地している。
香りも実に繊細で、最初あんなに濃厚に感じたのに
どんどん薄まっていくような・・
でもね、実はこのあたりからワタクシ持病の胃痛が
華麗に始まってきておりまして・・そのせいかな?
ううう 痛くて蕎麦湯が飲めないなんてくやしいー
でもまだこの写真を紹介するぞっ
今日の8枚の中でも何枚か「青くてきれい!」とご紹介しましたが
それは玄蕎麦からして青いのですよーという写真です。
参考までに6,7,8枚目の玄蕎麦。
8枚目の「福井」の青さ、綺麗でしょう?
今日は最後胃痛でお見苦しいところをお見せし
同席の皆様ごめんなさいでした。
今はもう泣いたカラス、ふんぞり返って(胃が楽)ブログ書いていまーす。
皆様楽しいイブ&クリスマスを☆
神田「眠庵」
神田「眠庵」(豆のスープ)
2011年11月の「八種もりの会」
2011年9月の「八種もりの会」
2011年7月の「六種もりの会」
2011年5月の「眠庵」手挽き蕎麦
2011年3月の「眠庵」
2011年2月の「八種もりの会」
2010年11月の「八種もりの会」
2010年9月の「八種もりの会」
2010年7月の「八種もりの会」
2010年4月の「八種もりの会」
2011年12月22日
鹿島田「手打 たけうち」
JR南武線「鹿島田」駅。
駅名自体知らない人もいるかもしれないが、
横須賀線「新川崎」駅と重なりそうで重ならない、
微妙な位置にある駅である。
両駅間の距離、およそ300m。
その鹿島田駅から東に、多摩川に向かって歩いて行くと
「古市場銀座」というちょっと不思議な、古い商店街がある。
いわゆる商店街らしいエリアもあるらしいのだが、
この「手打 たけうち」があるあたりは道幅も広くごく静か。
街路樹と並んで通りにいくつも飾られた
「古市場銀座」の看板が不釣合なほどである。
店の印象は、外と中とでかなり違う。と私は思った。
開店間もない午前中。
何の先入観もなく「こんにちは〜」と店内に入り
椅子に座ってなんとなく周りを見回す。
するとなんでしょう、私は突如、
ニヤニヤ〜〜〜とうれしい顔になってきてしまいました。
なんだかここは、すごーく楽しくて、すごーく居心地がいいぞ!
店舗そのものは白壁に白木の風合いの爽やかな
シンプルなインテリアに出来ているのが、
そこに加えられたこの店の人のセンスがなんとも楽しい。
至る所にベタベタとたくさん貼られた大きめ半紙のおいしそうなメニュー。
テーブルの上の、ランチョンマットがわりの簾も
この店のインテリアの大きなポイントになっている。
飾られた花もふんわりと遊んでいるように自然な姿で
全体に「実にセンス良くごちゃついている」のだ。
こういう居心地のよさは狙って出来るものではない。
しかもですよ。
壁に掲げられたメニューはどれも美味しそうなのだが、
あの、あのあたり、ヤバいんではございませんか?
「自家製 帆立貝柱 酒粕漬 あぶり」
「自家製 かきオイル漬」
「自家製 大粒かきの酒粕漬 北海道 厚岸 仙鳳跡産」
ぜっっ
全部美味しそう過ぎて絶対に選べまへん!
とりあえずこれをつまみながら
どれにするか考えよう。
「和風すもーくサーモン」
「八海山しぼりたて原酒」
最後のところだったから、とサービスで多めに盛ってくれました。
肉厚ふっくらおいしいスモークサーモン。
うーん、私は本当に燻製に弱いのぅ。
つまみながら、先程の黄金トリオの張り紙を穴が開くほど眺め
ついに心を決めました。
「自家製 大粒かきの酒粕漬 北海道 厚岸 仙鳳跡産」
(>_<)
美味しそうだと思ったけどそれ以上に美味しい。
このねっとり濃厚、凝縮された牡蠣の旨味。
酒粕のやわらかい甘さ。
大粒だけに部位ごとの味わいの違いがはっきり楽しめるのもたまらない。
添えられた林檎がまた意外ながら実に良く合っている。
「すごい、この合わせ方上手すぎ!」
と思ったら
「いやー、いつも合わせてるキュウリ切らしちゃって、
そこに林檎が目についたんでー」
と何でもなさそうに言う店主。もしや天才ですか?
2品しか頼んでいないというのに
ここまででもうやたら長居しています。
予定外の展開です。
居心地の良いお店ってどうしてもこうなってしまう。
最初はガラガラだった店内、気づけば昼時のお客さんで満員である。
みんなおいしいものがある場所は知っているんだなぁー
さてお蕎麦。
本日はこんな素敵なお蕎麦がありますの。うふっ
「八ヶ岳そば 平出農園産 新蕎麦粗挽き 八ヶ岳山麓そば」!
では是非それと、スタンダードな「石挽そば」を1枚ずつくださーい。
「石挽そば」
お皿にたっぷり小山盛り。
見た目以上につるつるみずみずしい蕎麦。
説明に「コシの強いそば」とあったとおり、強靭なコシがある。
香りや味わいはごく淡いが濃厚サーモンや濃厚牡蠣を楽しんだあとの
このつるつるのみずみずしさは実にさわやかだ。
秋田県十和田産階上早生。
そして本日のお蕎麦
「八ヶ岳そば 平出農園産 新蕎麦粗挽き 八ヶ岳山麓そば」
うわぁー素敵な眺めだ。
確かにこの肌、先程の「石挽そば」よりちょっと粗挽きかな?
と思ったが、こちらもつるつるみずみずしく
粗挽きと言うほど粗挽きでもない。
うーん、ここのお蕎麦は飲んだ後には最高なのですね。
私の体の中をサラサラサラ〜と蕎麦が流れていくようだ(文章はイメージです)。
こちらの方がかすかに、ちょっと不思議な粉の香りが楽しめる。
噛みしめるとまた淡い味わいが生まれ・・サラサラサラ〜
デザートは
「自家製そばシフォン」
これがおいしくてびっくり!
いや、びっくりしては失礼なのだが、
私甘いもの全般が苦手なもので・・
きっと蕎麦粉の魔法だろう。
ふんわり過ぎない、素朴な粉の美味しさ。はじっこもおいしい。
「でもこれちょっとぼそぼそしてるでしょー、だからこれかけてみて」
と途中で梅酒をかけてくれた店主。
いやいや、なくても、と言うか私には何もない方がおいひいです!
そして添えられた「自家製紫芋アイス」がまた初めての美味しさ。
アイスと言うにはこれまたポロポロしているのだが
こういう「素材感」が味わえるデザートってなかなかない。
すっかり長居をしてしまい、店を出るとまた静かな並木通り。
外から店内の様子は伺えず、午前中に入ったときは
こんな展開になるとは全く思っていなかったことを思い出す。
「本日のそば」はいろいろ変わるので(手挽きもある)
次回は「あらかじめ長居するつもりで」参じますよー!
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2011年12月20日
神楽坂「東白庵 かりべ」
六本木時代のイメージがあるだけに
さぞかしゴージャスで個性的な構えだろうと思っていた。
しかし、意外にも。
通りから路地の奥を覗いてもすぐにはそれとわからない佇まい。
看板は小さく目立たず、簡素と言ってもいい外観だ。
参考までに、これが六本木時代のエントランス。
そうか、あの頃はその大胆なイメージに圧倒されていたが
こうして見るとさして「ゴージャス」な演出がされていたわけでもなく
とても無邪気なエントランスだったんだな。
あれは「六本木ヒルズ」という箱がゴージャスだったのだ。
生まれ変わって、店主の名が店名に冠された「東白庵 かりべ」は
路地突き当たりのマンション一階。
手作り山小屋風のエントランスは、さすがユニークな趣向である。
外のメニューを見るまでもなく、もう今日の心は決まっている。
「せいろそば」「田舎せいろ」を食べるんだ!
店内に入ると、六本木時代からおなじみの
ゴブラン織地張の猫脚チェアが迎えてくれる。
家具は同じだが店内のイメージはここもなんとなく山小屋風だ。
(ちなみにこれが六本木時代の店内。)
今日はお蕎麦しか頼まなかったのだが
「サービスです」と「ふろふき大根」が最初に出てきた。
庵でもてなされる畑の恵み。
嬉しいなあ。
「せいろそば」
きたきた来ました「竹やぶ」の、
この不思議な取っ手付きの木のせいろ。
石臼を模したようなデザインなのだが、初めて見たときは
この取っ手が右からたぐりあげるにいかにも邪魔そうで
「右手デ食ウベカラズ」と言われている気がして驚いた。
しかし右手で食べても食べにくくはないので安心したものだ。
うっわぁー おいしそううううう(>_<)
たぐりあげるとふわぁ〜と濃厚なかぐわしさ。
熟成ではないが熟成ばりのたくましい厚みのあるかぐわしさだ。
ふっくらぷるりとした肌。
そこから生まれる豊かな弾力、コシがたまらない。
「田舎そば」
待ってました、この木の横長せいろ、黒々とした肌。
こんなにも粗く黒いのにこんなにも柔和な姿。
女性的なイメージすら受けるやさしい肌だ。
たぐりあげると、ああ懐かしや、これぞ竹やぶ。
荒野の庵が眼に浮かぶような、渋い香ばしさだ。
口に含んだ瞬間はふわり儚ない印象なのだが
どっこい豊かな腰がある。
そこに身をまかせるしあわせ。
店内中にあふれる「竹やぶ」阿部さんのアートのなかでも
一際目をひく言葉。
「そばの味をひもとくと
おばあちゃんの味だったりおふくろの味だったりする
商いのそばをどんなにうまく作っても負けてしまう
当たり前のことが 少しづつ 少しづつ
わかってきました。
竹やぶ あべたかお」
阿部さんの思いがけない言葉に
小さい頃、父の書棚の高いところにいつも見ていた一冊の本を思い出す。
「九十にして惑う」という哲学書のタイトルに
私はほえ〜っと感心していたのだが、その気持ちを思い出したのだ。
店を出ると薄曇りの神楽坂。
振り返ればマンション一階に
はめ込まれたような不思議な山小屋が静かに佇んでいる。
まるで中には誰もいないかのように。
今過ごした時間はなんだったのだろう・・?
神楽坂に出現した、山の不思議な庵である。
2011年12月17日
神田「眠庵」
今夜は写真を撮らずにゆっくりするつもりだったのだが・・
今月でこの店を卒業するヒビヤンが、とっても嬉しそうに
「1年半目にして、今日の豆腐は会心のカタチですっ」
なんて言うもんだから
これは記念に納めねばと。
私は「眠庵」の豆腐の大ファンなので
形なんて全然気にしていなかったのだが
そうか〜作る人はやはりそういうことにも心を配っているんだな。
確かにきれいだけど、でもいつもとそんなに違う形なのかな?
(鉢を半分回してみた)
たしかに!
こんなスゥーッときれいな直線はじめてだ。
「眠庵」では豆乳買ってきて固めて「自家製豆腐でーす」というのではなく
豆を煮るところから作るので毎回加減が難しいらしいのだ。
でも味はいつも美味しいですよ〜
濃厚で味が濃いのにさっぱり、という稀有な豆腐。大好物だ。
さてもうカメラは仕舞って
落ち着いてゆっくり食べよう。
最近大好物となった「豆のスープ」。
ところがこれまた一口飲むと、あれま!
また今回はかなりインド、いやフレンチな味わいです。
豆腐も蕎麦もそうだが毎回微妙に味が違って
「みんなちがって みんないい」楽しさ。
さあいよいよゆっくり・・と思ったら
アラー 今日から「青のりの出汁煮」が始まったんですか〜
じゃあそれも!
「眠庵」の安心なところは「絶対に甘くない」ところである。
砂糖のない家に育ち、世の中の煮物類が甘くてたまらない私には貴重な存在。
私は甘みが苦手なのではなく素材の甘みはむしろ大好き。
砂糖のガツンと強い甘みが苦手なだけなので
砂糖が入っていてもバランス次第では素直に美味しいと思う。
しかし火の入れ方、出汁や塩加減などのバランスで
素材の甘みをぐっとひきだしてくれているものが
一番美味しいと感じるのだ。
さあもう今度こそ、写真なんか撮んないでゆっくり食べますよ。
お蕎麦一枚目は栃木。
ほよ〜
香ばしい〜大好き〜
お、味は今日はさっぱりめだな
やさしいコシがたまらない。
さあ2枚目。
と思ったら、何ですかこのルックスは!
「眠庵」では大変に珍しいこの黒さ、じっとり感に釘付けだ。
「いつもはこの店では出さない蕎麦なんですが、手に入ったので・・
宮崎椎葉在来、焼畑農法手刈り天日干しの蕎麦です」
ええ〜・・・
じゃ、じゃあやっぱり、記念に撮っとく・・?
なんとぉー
確かに初めての蕎麦です。
「焼畑手刈り天日干し!」と口の中に大書きされたような味わい。
よく陽のあたった土のような。
いぶされた藁のような。
焼畑、手刈り天日干しということをこんなにも「味」として
実感したのは初めて。
宮崎の大地と太陽の夢を、神田の路地裏で見る。
さあもう今度こそカメラは仕舞って
ゆっくり蕎麦湯飲むぞぉー
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2011年12月16日
石神井公園「手打ち蕎麦 二村」
石神井公園駅から線路沿いを歩けばすぐ。
駅からこんなに近いのに
付近はあまり賑やかとは言えない雰囲気。
そこに突然ポンとこの新しい綺麗な店が現れると意外なほどである。
向かいの線路側が大がかりな工事中のせいもあるだろう。
オープンしてまだ半年、店内は清潔感にあふれとても綺麗だ。
そのすっきりとした店内で、
まず目をひくのが冷蔵庫にある銘酒の数々。
手書きのメニューにもそれぞれのお酒の特徴がわかりやすく書かれていて
お酒に詳しくなくても楽しく選べるようになっている。
飛騨、新潟、高知、神戸などの銘酒の中から
飛騨「蓬莱 まるしぼ生原酒」。
「アルコール度を極限まで高めた生原酒。辛口ばかりがもてはやされる昨今、
甘い口当たりの中にふくよかなこくをお楽しみください」
って全然私向きではなさそうなお酒なのだが・・
(ちょっと飲んだ後でスミマセヌ)
こ れ が! おいしい!びっくり!
甘いと言えばそうなのだが、
すっきり澄んだ入り口から一瞬でプワァ〜ンとふくらんで舌を満たす感じがたまらん!
お酒についての形容は、私相当個性的=ヘンらしいのであまり書きたくないのだが(^_^;)
お酒が美味しいお店はおつまみが美味しいからこまったもんです。
自家製の燻製がいろいろ選べる、と聞いただけで
長居決定である。
鯖にも相当惹かれたが迷いに迷って
「豆腐と砂肝」
さくらの木で燻したという燻製。
豆腐は濃厚でチーズのよう。
反対に砂肝はコリコリさっぱり、香りは深くこうばしく
いいコンビだな〜
ってなわけで早くも
飛騨「糖類無添加酒米づくり研究会」
(これもちょっと飲んだ後・・)
「ひだほまれ米使用。
お米を一粒たりとも無駄にせず造ったお酒はリーズナブルな価格の純米造り」
これはお酒ヒヨコ組長の私にはちょっと激しいが
バシッと、お酒好きの人が好きそうなお酒。
ここは個性的なおつまみがいろいろあって本当に楽しい。
またまた迷いに迷って
「豚の角煮(自家製)」
煮肉好きですから必ず気になるメニュー。
じっくり煮込まれた甘めの角煮。
お酒に合いますのぅ〜
「手羽元のリンゴ酢煮」
「和風餃子(自家製)」
この餃子が、なんたって本日一番の感激でございます。
どこが和風なのかと聞けば「ニラを使わず、タレが蕎麦屋風になっている」らしいのだが
とにかく素直に、ものすごく美味しい。
格別パリパリとかジューシーとかでもないのに、
素材の良さと作り手の真心が伝わるような、なんともじわーと、
ありがたいような気持ちになる味。
私最近、餃子が美味しくて有名なお店にも行ったりしたのだが
大して感心はしなかった。
これに比べるとなんて乱暴でジャンキーな味だったのだろうと思う。
聞けばなるほど「二村」の餃子は人気で売り切れてしまうことも多いそうなので
是非お試しを〜
見わたせば、店内は地元の「おひとりさま奥様」でいっぱいである。
これは地域に愛されている証拠である。
複数でおしゃべりランチ、とかいう奥様よりもシビアにメニューを見極め
今日のランチのおかずはどんななのかと詳しく聞いたりしている。
うーん、なかなか手強そうだが、みな「じゃあそれ!」とランチに決め
美味しそうに食べている。
どれどれ、その売り切れ必至のランチをみてみよう・・
「せいろランチ」900円
卵焼き、小鉢、かやくご飯。
でもすみません、私の目は一点のみに釘付けです。
おほー
みずみずしい肌、くっきりした輪郭線が
ナチュラルな木のせいろの上に気持ちよさそうに
ひろがっている。
箸先で淡く漂う甘い香り。
口に含むと見た目通りのパッキパキの食感で
しっかりした歯ごたえの中から粉の旨味があふれる。
こんなのもあります。
「ぶっかけ(豚しゃぶ+ゴマだれ)」
美味しいものがいろいろあって、何よりも居心地がいい。
店の奥さんの接客がなんとも営業的でないやさしい雰囲気で
帰り際さり気なく挨拶した店主も感じがいい。
開店時間に入りちょっと軽く・・のつもりが
思いのほか長居してしまった。
いい店というのはこうして愛されはじめ、
愛されていくのだ。
2011年12月14日
宝町「銀座うどん 流石 琳」(「ざるそば」だ!)
昭和通りにあった「流石」がうどん屋になった。
「流石 琳」という店名である。
蕎麦屋としての「流石」は「流石本店」として裏通りに移転したので
私が「流石 琳」に行くことはないかと思っていたが
うどん好きの友人から「うどんが美味しいから行こうよ!」と誘われてしまった。
うどんかぁ・・・とあまり嬉しい顔もできずにいたら
聞けば何と蕎麦もあるのだという。
そりゃ知らんかった、行きまひょ行きまひょ!
ひと気のない昭和通りに一生懸命せり出た看板。
蕎麦屋時代より看板が大きくなって、
入り口もなんとなく親しみやすい雰囲気になっている。
参考までに、これが「流石」だったころ。
こっちのほうが好きだけど、ちょっと敷居が高そうなイメージなのかな?
地下に降りると、入口扉は変わっていない。
店内のインテリア等もほぼ何も変わっていないのだが
あれま、うどん屋さんは大変に賑わっております。
なんだか私は非常に面白くないです。
みんなそんなにうどんのほうが好きですか!
お蕎麦じゃダメでしたか!
うどんに対して完全にヤキモチである。
まあそれは冗談として、店が繁盛するのはいいことだ。
うどんだ蕎麦だということよりも、
きっと入口の雰囲気や価格などの影響も大きいのだろう。
価格といったが、メニューを見ると「流石 琳」のうどんは
「ざるうどん 700円」からある。
「流石」の蕎麦が「ざるそば 1000円」「玄挽きそば 1500円」という
ゴージャスな設定だったことからすると
これまた親しみやすくなっているのだ。
うどん屋であるから、
「ざるうどん」「ごま汁うどん」「釜揚げうどん」「桜海老のかき揚げうどん」
など端から端までうどんメニューが豊富に並び、
私は何だか不安になってくる。
でもありましたありました、最後に蕎麦のページが。
生粉打ち十割そば、とはじめに書いてあり
「ざるそば」「鴨ねぎそば」「かけそば」
「鴨なんそば」「合盛(うどん+蕎麦)」がある。
せっかくうどん屋に来たのだし、「合盛」にしてみようという
柔軟な心を持ち合わせていないところが私である。
ああうれしいなお蕎麦だお蕎麦だ、
すみませーん、「ざるそば」ください!
ここで今年3月蕎麦屋時代の「流石」を回想させて欲しい。
あの夜は、こんな素敵な三種の蕎麦だったのだ。
そしてこの度うどん屋となった「流石 琳」。
こんなことをしながら「蕎麦前」「うどん前」?のひとときを楽しむ。
「焼き穴子」
「焼き野菜」
自然薯がじんわりと実に美味しい。
他に、万願寺、紫大根など。
そしてこちらが、関西出身の友人おすすめ「きざみうどん」。
細切りネギと油揚げがたっぷり。
この手のうどんにうるさい友人曰く「品が良すぎない出汁がたまらない」そうで
へええ〜意外〜。
そして待ってました、「ざるそば」。
うわぁぁ
ほんとに、「ざるそば」だ!
って何言ってんだと思われそうだが
今まで「お皿にうず高く小山盛り」が当たり前だと思っていた「流石」の蕎麦が
笊の上にひろびろ広げられてくる眺めが新鮮だったのだ。
細かなさざなみのような美しい盛りつけ。
手繰り上げるとふわー!
フレッシュな美しい香りがたまらない。
正統派のかぐわしさ。つるりなめらかな肌。
細かく全方向にほどけていく繊細な束。
ふんわりとした食感とふっくらした味わい。
さりげなくゆたかな弾力。
もう褒めちぎっているが何ともかんともおいしいのだ!
すばらしい。
賑やかな店内を見回すと、
意外とお蕎麦を頼んでいる人も多くて嬉しくなる。
ヨシヨシ、お蕎麦、人気だな。
お蕎麦が愛されていると我が事のように嬉しくなる私。
また来まーす、お蕎麦食べに♪
2011年12月11日
鎌倉「純手打そば なかむら庵」
懐かしすぎて頭がグニャリ、ゆがみそうになる。
湘南にある中学高校に6年通っていたので
鎌倉で古くからある蕎麦屋は皆懐かしい気持ちなってしまうが
ここは佇まいが佇まいだけに
「今ここにいるのに思い出のような」店だ。
「クワァーーーーッッ!!」
思い出の隙間を漂泊する私が飛び上がったほどの奇声。
カウンターに座る常連のじいさんは痰が絡みやすいらしい。
何事もなかったように働く礼儀正しい店の人達。
じいさんの痰はその後も何度もからむ。
だんだん私もこの店の午後の時間に染まってくる。
今日は久々なので「とろろそば」にしてみた!
(老舗のメニューで「鶉」の文字を見ると弱いのだ)
電球に照らされた肌は不思議な色。
どこかクリーミーで緑ががかっている。
つなぎに小麦粉と卵を使っているせいかな?
たぐりあげるとむぅと濃厚な蕎麦の香りが嬉しい。たまらない。
パッキパキのかための輪郭線、密度の濃いすべらかな肌を噛みしめると
しっかりした歯ごたえの中から粉の甘みが溢れ出す。
お蕎麦が美味しくてどうしてもお蕎麦だけで食べるのがやめられず
「とろろにつけて食べたい、でもつけられない、次の一口で、次で」
というアホ過ぎる葛藤の末、結局最後までつけられなかった。
とろろと鶉はお蕎麦の後に単体で食べたのだが
これがまた何が違うのだかやたらと美味しい。
「ごちそう〜さま〜。うまかった。」
常連のじいさんがゆっくりと帰る。
「あいすみません〜!」
「お粗末さまでした〜!」
「毎度ありがとうございます〜!」
外は雪にならないのが不思議なほどの冷たい雨。
お腹の蕎麦湯が、湯たんぽを抱えているように暖かかった。
2011年12月07日
銀座「明月庵 田中屋 ぎんざ本店」
銀座には蕎麦屋が多い。
どっちの方角へ歩いていっても
「この先には〇〇と◯△があるな」と蕎麦屋地図が頭に浮かぶほど
星座のように蕎麦屋が散らばっている。
とは言え土日の夜は別の街のように静かになる繁華街。
当然蕎麦屋も土日祝日休みの店が多く以前は困ったものだが
最近では年中無休のデパ上蕎麦屋やダイニングバー蕎麦屋などが出来、
土日も安心して私が生息出来る地となった。
この「明月庵 田中屋」も、 年中無休のありがたーい店。
都内に数店舗あるが私はこの本店の利用が一番多い。
何が便利といってやはり年中無休の通し営業。
場所も便利なら、おつまみも充実、席も広々しているので
ちょっとした打ち合わせや会合などにもちょうどいいのだ。
今日は「お酒は詳しくないけど美味しいもの大好き」チームで乾杯!
メニュー説明に
「日本一辛いお酒ではあるが、切れが良く口当たりはまろやか。
程よい自然な辛さ」
とあったお酒を選んでみる。
「純米酒 春鹿 超辛口」
へえぇー こういうのを辛いっていうのかあ
よくわかっていない私は甘さもふくらみも感じてしまうが、
でもすっきり澄んでいてとても美味しい。
「柿と菊菜の白和え」
甘い和食は苦手なのに
イチジクの料理や柿の白和えなどは
白砂糖の甘さでないせいか大好物。
人生で初めて食べた場所が茶室だった(お茶事で食べた)のも
良かったのだろう。
「明月庵 田中屋」のは、菊の香りも爽やかでさすがの洗練の味。
器もとてもいい。
「あん肝 ポン酢」
肉はさっぱり、魚はこってりが好きなもので
こういったメニューには目がありません。
飲めないはずの春鹿がすすみまする〜
「しめ鯖」
「銀だらの西京焼き」
これまた「今生の大好物ベスト10」に
ランクインしてしまいそうな大好物。
私の体内脂肪はほとんど海から摂取されているのではないかと思うほどだが
こういうアブラが大好きなのだ!!
そしていつも思うが「銀だらの西京焼き」って高級品につき
どこでも(私には)小さ過ぎます・・
この3倍くらいあったらうれしいな〜
「御膳せいろ」
大きな朱塗りのせいろ。
そこにうすーくひろげられた蕎麦が一面にひろがっている。
よく悪口めいて言いますね、
「東京の蕎麦屋なんてぇのは気取ったふりしてケチッて
透けるくらい薄く盛ってくる・・・」
なんて。
それはもしや、こういうことですか?
それともこういうこと?
でもね、真ん中の方はそれなりに厚みがありますよ。
だいたい薄かろうが透けてようが、
こんなにせいろが大きいのだ!
蕎麦の量は特別少ないわけではない。
なめらかな微粉の、端正な蕎麦。
箸先にたぐると、まろやかな蕎麦の香りがふわぁーっ
うーんうれしい!!
見た目はおとなしげだが、口に含むと意外にもパキッと角を際立たせている。
ほどよい弾力、スルスルとした舌触りが江戸らしい蕎麦で
噛みしめるとじんわり蕎麦の甘みが広がる。
おいしくて汁は最後までつけられなかったが
スッキリと洗練されたおいしい汁だ。
この店の歴史というか、変遷というか・・を思うと
さまざまな思いが交錯するが
私は今あるこの「明月庵 田中屋」を、あるままに愛そう。
欲をいえば、禁煙だともっと嬉しいのだが・・・
(せっかくの蕎麦の香りがぁ〜・・(>_<))
でも言い換えると「愛煙家の方々に優しいお店」ですね。
2011年12月06日
吉祥寺「手打そば処 ほさか」
実は「中清」が臨時休業でフラレちゃいまして・・・
そんな時のつよーい味方。
駅前で、しかも通し営業の「ほさか」!
駅前ビルの階段をトントントントン〜ッと降りれば、
どうにもこうにもムード満点の濃い世界。
いつまでも変わらないでいてくれることのありがたさ。
「そばがき」
お湯に浸っているが
椀掻きのような懐かしい味わい。
萬藤のそばがきを思い出す。
「もつの生姜煮」
こっくりと濃く、甘い味付け。
山梨あたりの老舗にありそうなもつ煮だ。
「太打ち(田舎)」
しっかり噛みしめて食べる「ほさか」の太打ち。
噛みしめるほどに甘みがひろがる。
「細打ち(せいろ)」
今日はやや熟成味を帯びた味わいだ。
そしてちょっと変わったものも食べてみたくなり
珍しく「変わりそば」を頼んでみた。
変わりそばの中でもすきなフレイバー、
「しそきり」
えーっ
私、あんまり変わりそばをというものを知らないもので
こんな抹茶切りのようなマミドリ星人ははじめてである。
紫蘇切りって白い肌に刻んだ紫蘇の緑が爽やかに散っているのしか
見たことがなかったのだ。
つるつるの食感の中の淡く爽やかな紫蘇の香り。
入り口におすすめされていた「鴨カレー鍋」というメニュー、
ちょっと見てみたいな〜♪
2010年12月の「手打そば処 ほさか」
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2011年12月05日
鎌倉「手打ちそば 茶織菴」
純和風の、絵葉書の中のような佇まい。
鶴岡八幡宮至近というロケーションもムードを高めている。
「手打ちそば 茶織菴(さおりあん)」。
2年前この店ができたときはなんて綺麗な店ができたんだろうと驚いた。
和の意匠の尽くされた店舗は、まるで何かのセットのようにピカピカで
白木部分は真っ白で香り立つよう。
夏には入り口のガラスの金魚鉢で赤い金魚が涼を呼び
現実離れしている気がするほどだった。
しかしあれから2年経ち、店はすっかり趣をたたえてきた。
鎌倉の街にいい感じで馴染んでいる、どころか
この店の佇まいが街の情緒を深めている。
右手にある古道具屋から古物がはみ出しているのがまたいい。
寒くなってきたので出羽桜の燗で
「板わさ」。
「せいろ」
白く輝く肌。
つるりと密なつながりが、流麗な舌触りを楽しませてくれる。
ほんのり甘い粉の香りと味わいを追いかけながら
夕時の鎌倉の音を聞く。
店を出ると遠くの空が小さく焼けている。
向かいの古い写真館はよく見るとなかなかモダンなデザインだ。
ちなみに、「茶織菴」の左隣は
かつて私の母+三姉妹で通った美容室があった建物なのです。
ああ 懐かしや。
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2011年12月04日
荻窪「蕎麦カフェ グロッケンシュピール」
荻窪駅南口の商店街をちょっと歩くと
中華料理屋の2階に小さいけれど
一際目をひく窓辺がある。
いきなりそこだけドイツロマンティック街道。
しかし何よりも目立っているのは
その外観デザインと全くそぐわない看板の文字である。
え、「越前そば」って・・
そこまで完璧にドイツの田舎家の窓辺を再現しておきながら
いきなり過ぎるではないか。
しかも傍らの鋳物の飾り看板には
「コーヒー ワイン グロッケンシュピール」とある。
洋風のカフェでおしゃれに蕎麦を出す店なら他にもあるが
「ドイツ風カフェ」と「越前そば」。
ここまでガッチリ双方に郷土性のあるものの融合というのは
見たことがない。
とにかく面白いことは確かだ。近づいてみよう。
階段下の看板は意外と普通のお蕎麦屋さん風。
2階へ上がると、
またも2つの郷土性の融合である。
立派な枠付きの扉は本格的にドイツ風だし
「越前手打ち蕎麦」の看板はどこまでも和風である。
どちらも一歩も譲らない感じがいい。
音大出身の私は店名から「グロッケンシュピール」と聞いたら
いわゆる「鉄琴」しか浮かばず、音楽カフェなのかな?と思ったのだが
そうではないらしい。
グロッケンシュピールという言葉は
グロッケンがbell、シュピールがplayという意味なので定義は広いらしい。
店のロゴマークは可愛らしい鐘のデザインである。
店内はダークカラーでまとめられた重厚な雰囲気。
特に窓辺の趣がよく
普通にコーヒーを頼んだ場合はこんな眺めだ。
いい感じでしょう。
しかし壁にはこの店のメニューが
純和風の縦書き毛筆で掲げられている。
「ざるそば」
「とろろそば」
「越前おろしそば」
の3種類。
ドイツ風インテリアの中にあって、ものすごい唐突感だが
昼時そこにいたお客さんは3組とも全員蕎麦を注文した。
「ざるそば」は越前風に辛味おろし汁で食べるというので
私はそれにする。
蕎麦が運ばれてくると窓辺はこんな眺めになる。
インテリアはどこまでもヨーロッパ、
盆の内側は完全なる和の世界である。
たっぷりのおろし汁がうれしい。
黒いホシがふんだんに散らされた濃いめの肌。
たぐりあげると越前そばらしい力強い香りが迎えてくれる。
ほどよいコシと味わいを楽しんでいると、ついうっかりいつもの調子で
そのまま全部食べてしまいそうになるが
今日はせっかくおろし汁があるのだから
つゆもつけなくっちゃ!
大根の風味が固体で食べるよりもダイレクトに、
ぱーっと染み入るようにゆたかに広がる。
おいしい〜 おろし汁だいすき。
店のインテリアやコーヒーカップなどが、
日本では手に入らないようなものばかりなので尋ねると
店主夫妻がヨーロッパ駐在中に集めたものだそう。
帰国しこの店をオープンし、蕎麦を出すようになったのは8年前から。
HPには純和風の作務衣姿で蕎麦を打つ
店主の写真が載っている。
ドイツと越前、二つの文化を徹底的に愛し、
その二つを中途半端に混ぜることなくぽんぽんと並べた店。
今入ってきたお洒落なマダムは颯爽とストールとコートと脱ぎ、
カウンターに座ってから何かが違うと気づいたのだろう。
ハッとしたように。
「アラッ? こちらお蕎麦屋さんですよねっ!?」。
荻窪駅南口、仲通り商店街の不思議空間である。
2011年12月02日
神田「眠庵」(豆のスープ)
一番好きなお蕎麦というのは決められないが
一番好きなお蕎麦屋さんのおつまみというのは決められるかも、
と書いたことがある。
それほどまでに、私は「眠庵」の「おから煮」を愛しているのだが
このほど強敵が現れた。
3月まで限定の「豆のスープ」。
見た目は果てしなく地味だが
底の方には砕かれた(砕けた?)豆が沈んでいて、
これは一言でいうとインドと日本のいいとこ取りですね。
クミンの香りにじっくり染まったさらさらの温かいスープ。
ほんのりとしたバターの風味と和の出汁が下を支えている。
南インドのやさしい豆のスープ、サンバルに似ているが
それよりもさらにやさしい。
あっらー、また名作が生まれちゃいましたよ!
昨日のお蕎麦は
「栃木」
大好きな「栃木」ゆえその香ばしいかぐわしさを堪能したが
味わい、甘みはごくさっぱり、すっきり。
でもその中で見つめ、追いかける香りというのもよいのですね〜〜
なんというか、香りも味も四方八方から濃厚に攻められるよろこびとは違う、
淡い夢の中で集中して一つの香りを追いかけるよろこびというか。
言ってることが不気味ですね。
「富山」
こちらはまた、こっくりと濃厚な香り。
味わいも甘みも濃厚で、味わおうとせずとも脳が蕎麦色に染まる。
ハァー いつもながらやっぱり後のお蕎麦がいいですね、しあわせ・・
これからの季節「豆のスープ」はハズせない。
でもでも、やっぱり一番好きなのは「おから煮」なんだぁ!(^o^)
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2011年12月01日
代田橋「手打蕎麦 まるやま」
「代田橋」駅というのは、京王線各停で新宿からたった2駅である。
その駅からものの2,3分も歩けば、「手打蕎麦 まるやま」がある。
店は甲州街道沿いにあり、環七と交わる大原交差点そば。
車で来ても探しやすい立地だろう。
こんな便利なところに、こんなに美味しいものだらけの超・名店が
何でもなさそう〜に陽に当たっている。
それがどんなにすごいことか・・・
私のこの気持は到底言葉にはならない。
この店についてブログを書く度、私が非常に苦労するのは
「いかに落ち着いたフリをして書くか」ということである。
私の感動メーターが毎回ビーンと振り切って必ず破壊される店なのだ。
だってこんなに美味しい、素敵なお店なんですよ!
今日はね、楽しい楽しい同窓会?打ち上げ?で来たのです。
まずはお通しと、「黒龍 大吟醸」
このお通しだけで早くも感激。
「まるやま」はこういうさりげないものがいちいち大変美味しい。
野菜が蕎麦の実と煮てあるのだが、
揚げた京芋の香ばしさとうまみが全体に行き渡り、
あまりに気に入って最後は掲げて残さず飲んじゃいました。
しかもね・・黒龍ってやばいですよね・・
この澄んだスッキリ感。しっかりひろがるコク。
このあともいろいろ名酒が出てきたのですが
今日はこれが一番好きでした。おいひい〜〜
マグロの煮物と塩辛
この美味しいマグロも、さっきの「京」芋のように
何だったか素敵なマグロだったんですよね・・部位だったか産地だったか・・
なにせ頭が黒龍メリーゴーランドで記憶できませんでした(^^;;)
イカ焼き
「しらす辛味おろし」
「穴子天ちらし」
ゴージャスな海の幸山の幸。
特に穴子の美味しさと来たら!!
ちょっとこれは何の魔法ですか??!
ぎゃー (>_<)
バリッッ!とした衣がビックリするほど美味しい味がする。
そしてその中からジュワーと広がる穴子の旨味が危険すぎる。
衣の味わいと融け合うと夢の世界!!
穴子はもともと好物だがこんなにも美味しくされては困る。
ブログの興奮度を下げるという目標から遠ざかるではないか。
私さっきから一生懸命「!」マークを取っているんですよ!
またどうせお蕎麦が出てきたら壊れるに決まっているので
その前にそんなに興奮するわけにはいかないのだ。
「鴨焼き」
「まるやま」は盛り付けのセンスも素敵。
そして私はここのネギ焼きが大好き。
「漬物」
本日はなんとお蕎麦が3種類。
「せいろ(富山)」「せいろ(栃木)」「田舎」
それに温蕎麦も食べます!すごい。やるな私。
じゃん!まずは
「せいろ(富山)」
もうこの時点でダメ。美味しそうすぎる。
この肌の超絶美・・・・美味しそうにも程がある。
勿論見た目だけではありません。
手繰り上げた刹那フッと香るさりげないかぐわしさ。
ここまではあくまで「さりげない」のに、口に含むと突如パァーーーッ!
香りと、味わいが口中いっぱいに染み渡るようにひろがるのだ。美味しすぎる・・!
粗挽きのやさしいざらつき、絶妙のコシ。
とにかく最高。とにかく最高。と頭の中で念仏のように唱えながら
私は閉眼し只々この蕎麦を見つめる。
アカンとうとう坊さんになってもうた。
うわわわわ やめてやめて
これはおいしい、すんごくおいしい、
(まだ食べていません)
ああああ
落ち着きます。落ち着きますが落ち着きません。
何だか今日は泣けるほど美味しいです。
体に染み渡ります。
箸先でたぐりあげた香りは先ほどの「富山」と同じようにフッと軽く、
でもこちらには私の大好きな栃木らしい香ばしさがある。
それを口に含むと、またまたパァーーーッ!
もう何だか二の腕まで染み渡るのが見えるくらい
「美味しさ」が私に染み渡る。
さっきの富山が最高だと思ったのに、これは香りも味わいもさらに最高過ぎる。
もうわたしはどうしたらいいのでしょう。
できれば甲州街道に裸足で踊り出て全車両にこの美味しさを宣伝したい。
この名店を通り過ぎちゃうなんてもったいなすぎる!!ありえん!!
「田舎」
ああうれしや 「まるやま」の「田舎」の眺め。
じんわり、しっとりと重なる太打ち。
クリーミーなグレーの肌に浮かぶ無数の星。
口に含むと見た目以上にじわーとやさしい舌触りで
噛みしめるとふっくらとした感触、
そこからすっきりと洗練された香りと味わいが生まれてくる。
もう大変にお腹いっぱいですが
最近は私は浜泣き、もとい「花巻」づいております。
じゃん!
「まるやま」の「花巻」。
朱の蓋が綺麗。わくわく。
モワ〜〜〜〜〜ン
しあわせ〜
磯の香りすてき〜
蕎麦の甘みもすてき〜
(このお蕎麦は温蕎麦用の二八)
「玉子とじ」もおいしいよ!
玉子フワフワ〜
<おまけ>
今回冒頭に「まるやま」の外観写真を載せたが
撮っていて「私まるやまの外観初めて撮る・・!!」と
超ビックリしてしまいました。そんなお店他にありません。
いつも入店前から嬉しくて嬉しくて自分がどれだけ我を忘れているか
思い知った次第です・・・
2011年07月の「手打蕎麦 まるやま」
2010年10月の「手打蕎麦 まるやま」
2010年3月の「手打蕎麦 まるやま」
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