2011年07月30日
大塚「そば処 小倉庵」
大塚という土地には明るくないが
行く度に底知れないディープな面白さを感じる街である。
駅前のロータリーから、
急に一段下がったように斜めに入り込む路地、「三業通り」。
その名前も、ふいっと別の世界に入るような地形も
変わっているなとは思っていたが
ここがその昔遊郭への入り口であったことを今日知った。
なるほど、道が急にカギ状に曲がっているわけだ。
三業って
「芸妓置屋、待合、料亭の営業が許可される区域を指す行政用語」
なんですね。
このあたりに食の名店が多いわけである。
そんな三業通りにのんびりと翻る「手打そば」の幟。
看板の字もでかでかと「そば処 小倉庵」。
飾らず奇も衒わず、堂々のんきな感じがいい。
ここはとにかく全てが安い。
店内に申し訳なさそうに値上げの張り紙がしてあるのだが
手打ちのせいろの、値上げ後の価格が500円である。
きしめんもうどんも全て手打ちで500円。
機械打ちならともかく手打でこの値段。
どうなっとんじゃ!
100円玉3つでこんな立派なかき揚げも食べられます。
「桜海老のかき揚げ」
「よいしょそば」
「あつよいしょ」
「あつもり」
「てんぐざる」(かき揚げつけ麺)
「葉衣」(野菜天ぷらつけ麺)
なんて、他ではあまり見かけないメニューがぎっしり並んだ中から
今日は珍しく「せいろ」でなく
「とろろせいろ」
このとろろが、フワフワに泡立てられ量もたっぷり、見るからに美味しそう!
私には少々濃くて塩辛かったが、
下町に来たってぇのはこういう事なんでい。
ふっくらしたコシを持ったおらかな印象の白い蕎麦。
今日は十割がなくて残念だったけど、
また来ますよ〜
次回はどことハシゴしようかな?
.
2011年07月29日
西八王子「蕎酔庵 いっこう」
西八王子の住宅街。
緑濃き夏の「いっこう」。
まず出されたお茶に眼を見張る。
茶葉ではない。
この器、素晴らしい!
新作だろうか?
聞けばビンゴで、店主の最近の新作だった。
蕎麦打ち職人で陶芸をする人は多いが
「いっこう」の店主の作品は中でも図抜けている。
アイディアと個性あふれる作品の数々は、私も大ファン!
さりげなく出された、この小皿にもひとめぼれ・・・
私どれだけ六角形の器好きなんでしょう。
まずは毎回必ず頼まずにはいられない、
「そば掻き」
ふわぁーーーっ
なんとフレッシュで嬉しい芳しさ!
ざらざらの粗碾きながら驚くほどエアリーな食感。
その内側から、若々しくフレッシュな蕎麦の香りが
いくらでもあふれてくる。
もうこの時点で、また来たいと思ってしまう店なのだ。
そしてこれまたここに来たら絶対拝まずには帰れない、
「かき揚げ天ぷら」
お皿の真ん中にドン!と立つ、一度見たら忘れないかき揚げ。
この中から、海老・ホタテ・玉葱・人参・三つ葉の宝探しをする楽しさ。
「出汁巻き玉子」
卵を厳選しているだけあって、卵の味がぎゅっと濃縮されたよう。
和三盆を使っているため
出汁巻きにしては甘めのトーキョー出汁巻きだ。
「鴨 陶板焼き」
野菜たっぷりが嬉しい、
お皿に描いた絵のような楽しい盛り付けが更に嬉しい。
私は焼き葱が一番好き。
そして待ってました!
だいすきなだいすきな、「いっこう」の「粗碾き三兄弟」!
せいろ「蕎薫(きょうくん)」
なんという肌の美しさ。
この後更に粗碾きの「手びき」が来るが、
この「せいろ」だって相当な粗碾きだ。
フワーッとフレッシュなかぐわしさは、
まさに「そば掻き」の感動そのまま。
ああ美しい・・おいしい・・素晴らしい・・・
手びき「白妙」
息をのむ、しろい超あらびき。
食べず眺めているだけで
蕎麦の重なりの中に吸い込まれていきそうだ。(ホラー?)
ふっくらと白い味わい、
粗い粒を噛みしめるごとに生まれる新しい薫り・・
恍惚。
十割「墨衣(すみごろも)」
ギャフン。
と古典的な奇声をあげたくなるほどの眺め。
黒々と野性的なのは見た目ばかりではない。
深く香ばしい、そして力強い味わい。
甘みが少ないのが逆に香ばしさを際立たせ、
洗練の雰囲気を持った黒い蕎麦だ。
食後に出会ったこの器。
これは店主の作ではなく九州で出会ったものだそうだが
さすがはアーティストのセンスである。
いやいや、いっこうさんが「アーティスト」だと思っていたのは前回までで
今回は「アーティストで学者、研究者」と驚かされたのだが・・
人の何倍もの努力を惜しまず、
楽しみながら進化を止めない「いっこう」。
日本に生まれて、東京に住んでいてよかった。
と思えるものをこうして数えて、
日本を大切に愛していこう。
2010年4月の「蕎酔庵 いっこう」
2011年07月28日
西大島「手打ち蕎麦 銀杏」
どんな涼しい顔でどこに隠れていても、
人気者は放っておいてはもらえない。
西大島の住宅街。
用がない人はまず通らない通りに面した、
路地裏のクールビューティー。
こんなに商売気のない佇まいながら、
時分時には来るわ来るわの大賑わい。
誰だって美味しいものには弱いのだ。
まずは「黒龍飲み比べ」。
純米大吟醸、純米吟醸、本醸造の三種。
久々に訪れてみれば
お?メニューが1冊増えている。
「銀杏希和子ギャラリー 蕎麦・酒・肴編」
これが凄い。
とんでもなくすばらしい!
この楽しさ、かわいらしさ、わかりやすさ。
一瞬でこのメニューの世界に引き込まれ、
あまりの美味しそうさにどれも全部注文したくなってくる。
私は常々、
「イラストというものは情報紹介としては時として非常にもどかしい」
と思っているのだ。
旅行ガイドブックなどで、風景や建物や土産物などがイラストで紹介されていると、
趣はとてもいいが実物がどんなものなのかは結局つかみにくく
「わかりにくくてもどかしい・・」ということになりがちである。
特に食べ物についてはその骨頂。
イラストで食べ物をおいしそうに表現する、という事自体無理難題に思えるし、
情報を紹介するという役割では、やはり写真に勝るものはない、
とずっと思ってきたのだが。
今日はすっかり考えを覆された。
驚きはメニューばかりではない。
この最初の一品、
「とろろじゅんさい」
デミタスカップの中にひんやり泳ぐじゅんさいと、小さくまとめられぽってり浮かぶとろろ。
それならなんとなく味の想像がつく、と思うなかれ。
実際私も驚いたのだ。
こんな小さな世界ながら、じゅんさいもとろろも、
そして底に沈められた海老も、
一つ一つが口に入る度「アッ おいしい」と言いたくなる。
こういった感動にはなかなか出会えないものだ。
うーん「銀杏」さん、
なにやら恐ろしいほどパワーアップしているのではないですか〜?
さて今日は、実は歴史に残る大変な日(?)である。
銀杏の「夏の種物そばメニュー」がいろいろ美味しいということで
今日は是非それらをと思っているのだが、そばメニューのあまりの豊富さに
事によってはこの私が「せいろそば」や「田舎そば」を食べずに
終わるかもしれないという・・
何だか別の星に移住するような気持ちであるが
とりあえずメニューを見てみることにする。
参考までに、これが従来のメニュー。
確かにすごい充実ぶり。
そばメニューとして、「夏野菜のじゅれ」「紅の雫(とまとそば)」など
涼し気で個性的なオリジナルのメニュー名がわんさか並んでいる。
どれにすればいいか迷った・・・ので、
イラストメニューの方を見てみようーっと。
「梅時雨」
ぐわっ
なんでしょうこの美味しそうさは!!!
なんとうつくしい色彩表現。
これは絶対食べたい!食べなくては!!
でもイラストだし、本当にこれが、このまんま来るのかな?
・・まんま来ました。
イラストそのまま、
うつくしい深緑の、青さ海苔と梅干とオクラの冷やかけ。
ほどよい太さの蕎麦にからまってくるあおさが、ああ〜いい香り〜
ええ、私は海苔に滅法弱いんです。
「夏野菜のじゅれ」
これまたイラストそのままの姿でやってきた。
素直で美しい出汁のきいたジュレに浮かぶコーンにオクラ、
底にどーんと沈んだ大きな茄子。
野菜はふんだんに入っているが
全体の味わいとしては「すっきりした出汁と茗荷」が主役を張り
実にシンプルでさっぱり。
これならどんなに食欲がない時もするんと胃に収まってしまうだろう。
イラストが楽しすぎて注文が止まりません。
「紅の雫(とまとそば)」
最近あちこちに見かけるようになったトマト蕎麦というメニューだが、
ここの汁はトマト味でもトマト色でもなく、澄んだ味わいの出汁。
「他の素材と一緒に調理されたトマト味」を味わうのではなく、
洗練の出汁の中で「トマトそのまま」と「蕎麦そのまま」を味わう。
これだけの洗練、これだけ品の良い美味しさには私は出会ったことがない。
そしてこれが本日私が最も感激した、
「冷製浅蜊蕎麦」
「
これおいしすぎます、大好きすぎます(>_<)
浅蜊の酒蒸しをそのまま冷やかけにしてしまうという
アイディアにまず大拍手!!
元々大好物だけに「浅蜊の酒蒸し」にゃちょいとうるさい。
とは言え「浅蜊の酒蒸し」てえ奴はやはりどうしてもお酒のおつまみですね。
ご飯のおかずにはなりにくいし、だから私はいつもひたすら、
お酒もなしに「浅蜊の酒蒸し」を単体で楽しんできた。
しかし自分でも気づかないうちに、どこかバランスの悪さへのストレス?があったらしい。
その長年の意識下のストレスが、
本日この「冷製浅蜊蕎麦」との運命の出会いによって一気に解決されたのだ。
おいしい浅蜊の出汁の汁と、おいしい手打ち蕎麦と、
おいしい浅蜊がいっぺんに口に入ってくるしあわせ。
しかもこの浅蜊が見事な大ぶりで、味が中にぎゅっと閉じ込めれられていて
見た目も美味しそうだが食べるともっと美味しい。
そうそう、途中でこんなものもつまみました。
「とうもろこしのかき揚げ」
見せ方も揚げ方も上手い!
香ばしい衣の中、とうもろこしの凝縮された甘みは想像以上でまるでお菓子のようだ。
デザートの「生粉打ちあいす」
蕎麦粉入りなのでとろ〜り不思議な食感。
トッピングの「炒った蕎麦の実」、これは何にかけても美味しい。
気づけばやはり本日は、
「せいろそば」や「田舎そば」を食べずに終わってしまったが
あんなに美味しいアレンジ冷やかけをお腹いっぱい堪能し大満足。
確かに
「好きな人に会いに来てチラッと顔は見たけど話をせずに帰ってしまった」
ような感覚は残ったが。
好きな人には今度ゆっくり会いに来ますから。
待っててね〜
銀杏のせいろさん、田舎さん!
.
2011年07月27日
神田「石臼挽き自家製粉手打ち蕎麦 廉」
20時、神田の繁華街。
電飾に照らされたサラリーマンの皆様がやけにイキイキと見える。
賑やかな通りを抜けようやく灯りも落ち着いてきたあたり、
四つ角の2階にぼんやり浮かぶ店。
店に入ればこれまた喧噪の駅前に戻ったかというような
大盛況大賑わいぶりである。
ほんわり白くやさしい蕎麦は福井の在来種。
あっという間にたぐってしまう。
すでに随分長居しているらしき各テーブルの楽しそうなこと。
お客さんがみんなニコニコしている店は、いい店だ。
入店10分ですべて終わってしまう自分はひどく損しているような
なんだか冷たい人間のような(?)気すらするが
店主らしき人は忙しいなか、さわやかな笑顔で丁寧に対応してくれる。
「ありがとうございました」
の言葉に心がこもっている。
20時半、神田の繁華街。
しあわせな 、蕎麦酔い歩きだ。
2011年07月24日
神楽坂「蕎楽亭」
平成10年、新宿区は払方町に
個性的な蕎麦屋が誕生した。
「蕎楽亭」。
どこかやんちゃ小僧で、どこか頑固爺なニューフェイス。
今思い出すと「ハウルの動く城」のように
ガチャガチャと音を立てて店ごと歩き出しそうな
楽しい美味しい店であった。
その店が今では、と思うと13年の時の流れを思わずにいられない。
神楽坂に移転してから早6年。
当代押しも押されぬ超人気、超有名店である。
(私のハウルな印象はどこか当たっていたのかもしれない。
深夜神楽坂へと何百メートルか店が歩いたのかも)
名店というのは、店に入った瞬間に何かわかるものだ。
厨房に美しい秩序とスピード感がある、
働く人が皆実にいい目をしている、
店全体に小気味の良い活気がある。
とにかく店に一歩入った瞬間「わあ、これはいいところに来たな」
と嬉しくなる店なのだ。
カウンターに並ぶ新鮮な野菜の彩り。
次々と美しい衣をまとい、揚げたそばからそれぞれの席へ運ばれて行く。
それを眺めつつ楽しむ、
おいしいお酒、おいしいおつまみ。
宮泉 写楽(福島)純米大吟醸。
私には結構がっつりな、福島らしい印象のお酒である。
「最近お酒がよく出てくるけど大丈夫なの?」
と大変に御恩ある方から心配の問い合わせを頂きましたが
私は味見程度舐めているだけですから大丈夫ですよ、母上(^_^;)。
「きざみ茗荷」
「馬刺し」
故郷愛溢れる店主がゆえ、この店は蕎麦粉、冷麦の小麦粉も、
そしてこの馬刺しも会津産。
「にしんの山椒煮」
「鱧子の煮こごり」
そして何が美味しいと入って
ここの天ぷらの美味しさはケタ違いである。
「海老」
「ギンポ」
この美味しさには参った!
バリッッ!!と香ばしい衣、ふっくら肉厚の上物のギンポ。
こんなに美味しいギンポの天ぷらに次にいつ出会えるかしらん。
「ヤングコーン、南瓜、そら豆」
「メゴチ」
「まいたけ」
「稚鮎」
z
「鱧」
それぞれの素材に合わせた
ピタリ、最高の揚げ具合。
香ばしいギンポのバリッと感、
メゴチの極上ふんわり感、
稚鮎の芸術的な繊細ハード感、
スイートコーンのパリサク感。
私は天ぷらは大抵穴子とまいたけが一番好きなのだが
ここではどれもが主役級に美味しい。
そしてこの店の困ったところは、
おつまみがこれだけ美味しいのに
蕎麦が「並そば」「十割そば」と2種類あり、
蕎麦以外に打っている冷麦とうどんも素晴らしいので
もうとにかく全部食べたくなってしまうところである。
効率良く全部食べたい者は2種盛り技を駆使するのだ。
まずは「並そば&うどん」の合盛り「めおともり」。
「うどん」
ここのうどんは真っ白すぎない肌がいかにも地粉、
見るからに美味しそうだが本当に美味しい。
「並そば」
穀物感たっぷりのこの姿。
噛みしめるとふわあっと香りがひろがるのがたまらない。
こちらは「ひやむぎ&そば」の「むぎめおと」。
並そばを100円プラスで十割そばに替えてもらう。
「ひやむぎ」
ちゅるちゅる〜
そして小麦の味がしっかり濃い!
「十割そば」
さっぱりつるつるみずみずしい十割。
見た目は黒いが会津らしい爽やかな蕎麦だ。
今日は「並そば」が一番気に入ったが
前回はなんとこの私が「ひやむぎがいちばんかも・・」と感じてしまったほど
ここは小麦粉ものが美味しい。
自分がおいしい、自分が楽しいばかりではない。
周りのテーブルのお客さんも皆楽しそうなこと、
働く人の姿が美しいこと、
美味しそうなものが厨房でどんどん生まれて
出来立てが次から次へと運び出されていくこと。
名店というのは、店に入った瞬間に何かわかるものだ。
2011年07月23日
神奈川・藤沢「手打ちそば 酒処 ゆたか」(アートな迷宮)
数年に一度出会う、不思議な店にまた出会った。
外観は普通といえば普通なのだ。
藤沢駅北側の路地。
純和風のしつらい。
扉の上の看板にしても垣根にしても
全体に手作りの感じなのが寂れた庵風だ。
店内も一見するとまあ普通の蕎麦屋の体である。
しかしどこか不思議な感じが・・
店主手作りという無垢の木の机。
壁の版画もオブジェも全て店主の作。
版画を縁取るように描かれた灰色の雲はなんとも不思議な迫力を持って
こちらにまで及んできそうだ。
店主は彫刻家で版画家で武道家。
私の胃痛を即座になおした姿は治療家にも見えた。
彫刻だ版画だと言ったって趣味の延長のようなレベルでなく
巨大な作品を大きなビルや公園に数多く発表している芸術家だ。
化粧室までの通路は迷宮ギャラリー。
よく見れば店全体が店主の作品ギャラリーである。
私はこれがすき。
巨大な彫刻作品になるはずだったもののミニチュアで
向こうを覗くとペン先?に何かが見えるデザインらしい。
彫刻作品、版画作品を何千と生みつつ?
その上イスラエルの大学で3年間歴史を教え、
カリフォルニア州立ロングビーチ大学で4年間美学を教えていたとか?
有名なCMやミュージカルに出演したり(それはたまたまらしいが)
戯曲を発表したり??
聞けば聞くほど頭がハテナでいっぱいになる店だが
武道家らしい見事な体躯の上にのっかった笑顔は
こちらのハテナ顔をよそに、
驚くほど素朴で感じがよく福島県人らしいあたたかさに満ちている。
そんなアーティストが作るがっつり蕎麦ランチ「牛筋小丼セット」。
かなり熟成感たっぷりの二八蕎麦。
美しい翡翠色がアーティストらしい「翡翠そば」。
インゲン豆と枝豆をペーストにしたソースに生クリームまであしらわれ、
店のアートと同じくらい不思議な蕎麦の形である。
食後には蕎麦を使った甘味つき。
その他のメニューとして
「オムレツそば」
「そばニョッキイタリアントマト」
という文字を目撃したのだが・・
迷い込んだアートな庵は、まだまだ奥が深そうだ。
2011年07月22日
新宿三丁目「手打ちそば処 楽庵」
夢のように嬉しくて楽しいと
もはや味などどうでもいいと思ってしまいそうになるが
やっぱり美味しいことはありがたい。
夢が一層楽しくなるから。
一緒に天を駆けまわった記憶が残るくらい楽しいライブのあと
アンシュと素敵なO女史とのひととき。
しとっとやさしい食感と、ふっくら甘い香り。
更けゆく二丁目の手打ち蕎麦屋はこの街のオアシスであり、
私にとっては夢の続きの3rdステージである。
最後アンシュの割子そばの鶉の卵と海苔を奪い
浅草「尾張屋」風にして美味しかったなあ!
2011年07月20日
神田「眠庵」(六種もりの会)
2月に店主が事故で怪我→復帰してからはじめての蕎麦会である。
まだまだ肩に具合が本調子ではないということで
今回は八種でなく「六種もりの会」。
その代わりのメニューとして「ガスパチョ」と「食後にお楽しみ」があるとか♪
いつもの「自家製豆腐」と「ガスパチョ」。
ガスパチョは野菜のさわやかな青い香りがふわーっと香り
うんうん、これはおいしいガスパチョだ。
そしてこの店の豆腐は相変わらず素晴らしい!
濃いのにさっぱり。なめらかすぎない素朴さ。
このバランスはなかなかないのだ。
さてお待ちかねの1枚目。
今回は「群馬の夏蕎麦、品種キタワセ」からスタートを切る。
1枚目のみ、お店の方で盛ってくれるのでさすがに美しい。
蕎麦山のなだらかな稜線、一本一本が描く流れるライン。
お?夏だからか、それとも今回は夜の部だからか、香りは淡い。
しかしそれも、いつものこの店のレベルと比べてのこと。
例えば先週食べた長野と福井など、あまりのかぐわしさ味わいの素晴らしさに
まったく目が開けられない状態に陥らされた。
それまで隣で話していた某N氏に
「すみません私今ちょっと口きけませんから!」
と言渡してしまったほどである。
この群馬は、ガツンとわかりやすい強烈な香りはまとっていないにせよ、
探ると段々高原の爽やかな空気のような芳しさが感じられてくる、
食感は非常に軽く、ふあ〜〜としているのだが
1本1本はなんとなくねっとりした存在感を感じるところがたくましくていい。
2枚目「茨城(2010年)」。
ふるえるラインから見て取れる粗挽き感。
どこまでもやさしい舌ざわり歯ざわり。
これは眠庵ならではの個性だが、この蕎麦は更に何とも言えないすべらかさと
ややチュクチュクした楽しい食感を持っている。
噛みしめると香ばしい味わいがどんどん感じられてくるのが嬉しい。
これもまたわかりやすく強烈な香りや味わいのある蕎麦ではないが
だいたいこの店ではいつも全てが香り高すぎて味わい深すぎて
高遠が大袈裟なだけだと思われそうなので
こういう日もあると私の落ち着いた人となりが表現でき(?)とてもいいではないか。
3枚目「福島、会津のかおり (2010年)」。
およっ
これはまた随分としっとりねっとりした感じの風貌。
食べてみればまさに。
一際しとーっとやわらかく、絶妙の「眠庵なやさしさ」。
香りは今までで一番淡いのだが、
やさしさの奥からにじみ出てくる滋味深き味わいにふいに出会う。
それを夢中で追いかけるよろこび。
福島、いいとこだぁ〜〜
4枚目「長野 信濃一号」。
繊細なしっとり感、しっとりなのにフワッ。
箸先での香りは淡い・・と思いきや、
細かくめぐる食感を楽しむうち
香ばしいかぐわしい空気が口中に生まれ、染めてゆく〜
たまらない〜〜
蕎麦の内側から生まれる香ばしいきれいな空気・・
ここまでで既に4枚。
いつもならまだまだ、なのに本日はあと2枚なんて寂しすぎる。うわあん。
しかし同席の皆様はお酒とおつまみでお腹の余裕がかなりタイトなことになっているらしく
私のこの寂しさを分かち合ってくれる人が居ないのが更に寂しい。
というか大食いみたいで恥ずかしい(今更何を)。
5枚目「徳島 在来種(06年)」。
おーっ
その前の福島や長野に比べると何やら貫禄と気品を感じる眺めである。
たぐりあげて思わず短く一声「おいしいっ!」。
存分に私を引き寄せ染めていく、香ばしく美しい香り。
1本1本はしっとり、じんわりした歯ざわりなのに
全体の食感は驚くほど、それこそ空気のように軽い。
その中でふくらむ甘さ、濃い味わい・・
これは美味しいーーーー!!唸るしかない。
圧巻の眠庵5年熟成である。
6枚目「福井 越前大野在来」。
キター。
この青さ美しさ・・・
写真で伝わるだろうか。
毎度のことだが、この蕎麦会でトリをかざる福井は凄い。
美しい青い肌がまとう、たまらぬかぐわしさ。
香ばしい、深い、甘い、青くフレッシュ、たくましい、力強い、やわらかい。
蕎麦の香りのいいところだけを濃縮してすべて持っている感じである。
さらに噛みしめて深まる味わいと甘み。
それを追いかけるうちにも際限なく濃縮され深まっていくかぐわしさ。
あああああ
もう まいりましたのです
降参です
6種の蕎麦夢のあとの、甘い蕎麦夢。
蕎麦を使ったデザート、店主の説明によれば
「名前はありません。蕎麦のかたまりです。」。
えっ名前それでいいじゃん すごくいいよ!
「蕎麦のかたまり」、なかなか文学的なネイミングではないか。
見た目はミートローフかセミフレッドかといったところだが
食べるとなかなかユニークな美味しさ。
ケーキではなく、ちょっとモチッと、ずっしりした食感である。
ほんのり香るラム酒とココナツの風味がとてもよく、
甘いもの苦手の私も完食!
完食といえば、今回は途中で体調を崩された方がいらして(;_;)
しかもその方が私の目の前のお席でして(;_;)
結果的に3枚の蕎麦が余ってしまいまして(;_;)
そういう時、食べるものを残すのはよくないことですよね?
しかも、なんたって美味しいお蕎麦ですから、
干からびていってしまったらもったいないですよね?
と、いうわけで
斜め前のお席の人気フードライターさまと「いっただっきまーす♪」と
なかよくいただいてしまった私・・・
皆様そんなに怖そうに見ないでくださいよ〜
お酒のぶん、私には皆様より余裕があるのですよ〜
(ということにしてください)
(本日のお酒)
幻となりぬ「奥羽自慢」「奥羽自慢まめ宝」、
「生\x{915b}戦隊どぶレンジャー」,
「I love you & I need you ふくしま 限定ラベルの花春」
など名酒、珍種が勢ぞろい。
右から4番目の青いラベルのが酸味があるのに私でも美味しく飲めるという
嬉しいお酒だったけど名前覚えてない〜
2011年5月の「眠庵」手挽き蕎麦
2011年3月の「眠庵」
2011年2月の「八種もりの会」
2010年11月の「八種もりの会」
2010年9月の「八種もりの会」
2010年7月の「八種もりの会」
2010年4月の「八種もりの会」
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2011年07月16日
台北レポート・3日目
3日目の最終日は帰国ギリギリまで台北を満喫すべく
朝から大張り切り。
昨日はコンサート→打上げ→2次会で相当遅かったが
謎の黒い液体のおかげが超元気で
ホテルの朝食ブッフェでは朝から特大豚バラ肉にかぶりつくほどの
ターボエンジンぶり。
(とは言え昨日の朝も特大猪の足にかぶりついていたのだが)
煮肉好き、変わったスパイス好きの私には
肉文化は東京より台北の方が合っているようだ。
今回は滞在も短かったのでコンサートの準備以外は
街のことなど全く調べぬまま出発しようとしていた。
しかし東京の家を出る直前、さすがにちょっと気になり
「ここだけは」というような場所はないかとネットをチェック。
外国に行くとその国の手工芸雑貨や民族的な服飾品のお店に行くのが大好きな私。
「少数民族」「伝統的なハンドメイド」なんて言葉には滅法弱いのだが
ありましたありました、まさに私が好きそうなお店が!
永康街の少数民族の雑貨屋さん「尋藝盧(シュンイルー)」。
MiyukiさんAkikoちゃんおつきあいくださりありがとう〜♡
少数民族の手作りのアクセサリーをつけた泥染めのバッグ。
私には宝物の山、キャー♪
このあたりは最近小さなお店が集まってきている楽しいエリアと言うことで
女子3人、楽しい永康街せかせか歩き♪
有名なマンゴーかき氷屋さんに並んで食べ歩きしたり
静かで素敵なお茶屋さんでゆっくりとお茶の試飲させてもらったり
そしてランチはまたまたAkikoちゃんのガイドで
牛肉麺の有名店に、タクシーで乗り付けた!
国内コンテストで1位受賞という、「洪師父」というお店。
見た目は「え、これ?」という激安店風構えだが
さすがに味は本格的。
まず手打麺を太麺と細麺から選んで、と見本を見せられる。
太麺が有名ということで「家常麺」を選択。
メニューは色々あるようだが有名なのは
『清燉牛肉麺』と『紅焼牛肉麺』。
手前が透明スープの『清燉牛肉麺』、
奥が、醤油スープの『紅焼牛肉麺』。
どちらも美味しいが『清燉牛肉麺』は日本にもありそうな素直な味ということで
ちょっと漢方っぽいスープが何とも台北気分な『紅焼牛肉麺』の方がおすすめ。
それぞれ部位が違うらしい美味しい肉がたっぷりで、気づけば一杯完食。あらっ!
告白すると朝からたっぷり朝食ブッフェ→鼎泰豊で小龍包&水餃子数種と食べ続け、
ここは実質2軒目のランチだったのだが。
まっ小龍包はおやつってことで(^o^)
さすがは台北、外食天国である。
そろそろホテルに戻らねば、と歩いていた忠孝復興のそばの地下街で見かけた衝撃シーン。
「包丁マッサージ店」!!
包丁で叩かれて果たしてリラックスできるものなのか甚だ不可解だが
手で行うマッサージ以上のどんな効能があるのか?
何より、包丁云々よりも私が恐ろしかったのは
店頭のテレビで包丁マッサージの効能について強烈な熱弁を振るっている恰幅の良いオバチャンの迫力と
そのオバチャンのホンモノが奥の番台で満面の笑みで目をギラギラさせていたこと・・
この写真だとお客さん、首を刺されているように見えます。
このあと私には帰国直前の運命のフォーリンラブがありまして
台湾のセブンイレブンのキャラクター、OPENちゃんに一目惚れ・・・!
あたまが虹でちょっとへんなこだけど
ああダメ・・そんなつぶらな目でこっちを見られては・・
愛爆発で暴走し大人買いしてしまったので
彩子友人諸氏、ご覚悟を(^_^;)
2011年07月15日
台北レポート・2日目
2日目の昼間は、コンサート当日だというのに
すっかり観光客気分でおのぼりさんツアーに出かけたmiluqueさん御一行。
台北の電車の切符はプラスチックのこんなコイン。
繰り返し使えるので大変エコです。
やってきたのは観光名所101タワー。
ここは男性陣の希望でやってきたのだが
「タワ〜?」と今ひとつピンと来ない女性陣(Miyukiさんと私)から見ると
少年ぽくてみんなかわいらしいねえ〜(^o^)
・・・なんて余裕こいていたのはエレベーターに乗る前の話。
何せ三半規管だの平衡感覚だのが人百倍敏感(おかしい)な私。
あの世界最速とかいうエレベーターの恐ろしさときたら
私にとってはジェットコースターを超えている!!
たまたま右手にいた某天才ピアニストのTシャツを
つねってぐちゃぐちゃにしてしまい、
ああ またやっちまったぁぁぁ・・・(ごめんなさい)
せっかく観光地らしい観光地にきたのだからと記念撮影。
しかし101階から降りてきてから5階で撮る辺りが
miluqueさんらしいボンヤリぶりです。
お昼は女性陣のみで、台北在住のキュートガールAkikoちゃんと合流。
彼女のガイドで超楽しい路地裏レトロな食堂に。
映画「初恋のきた道」の台所のシーンを思い出すような、
村子口(ツゥンズコウ)というお店。
お店の女性はこちらにはまったくわからない早口の中国語でしゃべりまくりながら
頼んでいないものまでサービスでどんどん出してくれる。
手前は、ホルモンのおでん。
その奥、昨日の士林の漢方スープに似た黒いスープの麺(おいしー!)。
その奥、超濃厚ごまだれがかかった麺(濃いー!)。
その奥、水餃子。
右端は、名物過ぎてオーダー出来ない時もある炒餅。
士林で通りがかった屋台で、その強烈な匂いだけは体験済みだった「臭豆腐」。
「ちょっと食べてみたかったねー」と言ってたら
偶然サービスで3個だけ出してくれた(右から2番目)。
サービスというよりどう見ても他のお客さんの食べ残しだったが
すばらしいです、そのユルい親切さ。捨てたらもったいないもんね。
こちらはほんのひとくちだけ体験できて万々歳。
臭豆腐の味はまだまだ理解するには未熟者の私達だったが(いくらなんでも強烈ッス)、
とにかく全部面白かった、楽しかった、美味しかった!
Akikoちゃん、店のおばちゃん、真的謝謝!!
そして午後は会場入りして夜のコンサートの準備。
楽しい本番、打ち上げが終わり・・
深夜2時過ぎ、ホテルの部屋に帰着。
さあ旅先のお楽しみ、コラーゲンドリンクの時間です。
右のは、昨日もう飲んだの。
大体が「膠原蛋白=コラーゲン」であっているのか自信なかったので
おっかなびっくりだったのだが、右のを飲んでみたら
日本でもよく売られているコラーゲンドリンク類と全く同じ味だった。
コラーゲンドリンクは独特の風味を隠すため大抵ピーチの香料で味付けされていて
どのメーカーのも皆似たような淡い黄色のピーチドリンクになるのだ。
だからこれは間違いなくコラーゲンドリンク。
中国語でコラーゲンは膠原蛋白で正解!
というわけで今夜は よゆーで左の瓶を開けたのだが
ナンデスカこの真っ黒けの液体は。
しかも士林の漢方スープを発酵させたような
なかなか危険な香りがしているのだが。
これ、人間が飲んでいいもの?
一体何を買ってしまったのかは今以てわからず終いなのだが
このドリンクがユンケルに似た、
しかしそれよりかなり飲みづらい味だったことは確かである。
味だけでなくコヤツはユンケルより量があるので飲み下すのが大変。
大体コラーゲンは寝る前に飲むのがいいっていうけど、寝る前にユンケルってどうなのよ。
そもそもユンケルではないのでこの色と香りが一体何なのか甚だ不安。
楽しいコンサートの余韻の中、
「何だかわからんが飲んじまえー!」
とヤケ酒のように謎の黒い液体を流し込む深夜3時でしたとさ。
さて効き目は・・?
2011年07月14日
台北レポート・1日目
台北から戻り、
蕎麦を得た高遠のように生き生きとたぐっております魚です(^o^)
昨日は世にも面白い新店に行きましたがそれはとりあえずおいときまして
楽しかった台北の街の写真もちょこっと。
今日はツアー1日目の写真。
1日目のリハ後に連れて行っていただいた士林夜市(シーリンイエシー)が楽しかったー!
士林は有名なナイトマーケット。
真夜中過ぎまで屋台が立ち並ぶ元気な街ですが
そこの食堂で食べた一杯200~250円くらいの漢方スープが
ひょっとしたら今回の旅で一番美味しかったかも。
左から鶏、豚、羊肉。
実は羊好き、しかも臭いほうが好きな野人の私には
羊が特にビンゴ!!
スープのベースは全部同じで全く脂っこくなくすっきり、そして真っ黒。
13種類の漢方が煮込まれているだけあって、中国4000年な何とも魅惑的な香り。
(美味しい仏壇みたいな味がする!と意味不明なことを繰り返した人がいたが・・誰?)
このスープ、鶏も豚もかなり大きな骨つきなんですが
驚いたことに、ここではお客さんが普通〜にそのしゃぶった骨を
机の上にドンドコ投げ出す?のです。
私たちのためにテーブルを空けてくれた前のお客さん、自分のスープとお箸を持って動いてくれたため
机に残るは、むごたらしいまでの骨、肉、骨・・・
何かの事件後のようでした(^_^;)
店の前のこんな釜でグラグラ煮ています。
こんなおいしいものが一杯200円程度なんて信じられない。
現地スタッフが連れていってくれなければ
絶対行かれなかった場所だけに感謝!謝謝!
「大腸包小腸」というすごい名前の巨大ソーセージの屋台や
カットフルーツの屋台が目立つ中、
豆花やオーギョーチにいろいろトッピングできる楽しそうなデザート屋台を見つけ、
皆自分仕様のデザートをカスタムオーダー☆
夜中だっちゅうのに食べる食べる。
しかしスープ食べ過ぎ&甘いもの苦手の私は物欲に走り、
ラインストーンつきのグレーのビーサンを値切って370元で買って
ウヒャーうれしい (≧∇≦)♪☆
地味なキラキラが可愛い。
そしていよいよ帰ったホテルの近くのコンビニにて。
アウェイでの女子のお楽しみ、「コラーゲンドリンク」を買おうとしたのだが・・・
日本のように栄養ドリンクコーナーらしきものがない上に
なにせすべて漢字表記なので訳が分からない。
やっとコラーゲンは「膠原蛋白」と書くらしいことがわかり2本調達したのだが
このうちの1本が・・すごかった!!
つづく〜(^o^)☆
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2011年07月11日
Taipei International Jazz Season
台湾から帰ってきました!
暑くて熱い台北で、楽しいコンサート。
素晴らしい出会いが沢山ありました。
当日は1000人を超えるお客様をお迎えし
こちらが逆にパワーをもらった感じです。
演奏した12曲のうち、
3曲+ダイジェストがYouTubeにアップされましたので
よろしければ是非〜
smile
http://www.youtube.com/watch?v=APrAN4_hkPM
望春風(台湾民謡)
http://www.youtube.com/watch?v=c9KUoQ4BKPg
pardon(オリジナル曲・music:Seigo / words:Ayako)
http://www.youtube.com/watch?v=njWvvTbd1Gg
ダイジェスト
http://www.youtube.com/watch?v=oaBJ9dFvXh4
ちなみに私たちのバンド名はmiluque(ミルク)。
沖縄では弥勒菩薩を「ミルク神」「ミルクさん」と呼び
お祭りでは笑顔のミルクさんのお面をかぶったミルク神がねり歩きます。
ミルクさんがあらわれた場所は15年間無病息災という縁起のよい名前。
そのmiluqueを中国語的に書くと「彌勒菩薩爵士樂團 」となるらしい。
なんかすごい!モンゴルの平原を馬乗って笛吹きながら戦いそう(!?)。
オランダ人ドラマーのSebastiaanは沖縄在住、
ベースのSeigoは福岡在住となんとなく南っぽいバンドですが
ピアノの林正樹氏と私は東京だし
年内には東京でのライブも、と思っていまーす。
写真はコンサート打ち上げ後ホテルで、素晴らしきメンバーやスタッフと。
また台北、行きたいー!
2011年07月08日
2011年07月07日
根津「三里」
最近更新がまばらになっているので
もっとブログらしく手短に書こうかと(^o^)
久々の「三里」。
この店はロケーションがいい。
根津の裏通り。
立ち止まって話すお年寄りも
走りまわって遊ぶ小学生も
ふっと横切る茶トラの猫も
どこがどう違うんだか「ああ、根津だ」と
感じさせるものがある。
今日ははしご2軒でしてね。
実は1軒めのお蕎麦がいつもよりちょっと、だったのです。
いやいや、そういうことはどこの店でもあり得るし
そんなことはどうでもいいのだが、
そんな私の目についたのが、この「三里」のメニュー、
「ごまだれせいろ 甘すぎないごまだれが好評大人気」
メニューの説明うまいなあ(^o^)
ハイ、のせられましたよ
たまには頼んでみよう!
しっかりと打ち込まれた密な蕎麦。
すべらかな肌を噛み締めた味わいは淡白だが
ほんのりと漂う甘い香りがいい。
やっぱりごまだれつけて食べるのはもったいなくなり、
まずはごまだれだけを、ちろっと舐めてみる。
ちょっとチョコレートのような香り!
こういう香りは、ごまだれでも、普通のもり汁でもたまーに出逢う。
甘さはまあ一般的かな?
ちなみに「ごまだれせいろ」だけでなく
ここのメニューはなかなかコピーがすごい。
「そばがき きめ細かくシルキーな仕上げです」
「鴨せいろ 三里自慢の味 魂をゆさぶる美味しさ」!
ついつい全部、蕎麦は蕎麦だけで食べてしまいそうになったが
今日はせっかくごまだれを頼んだのだ。
最後の一口だけ、だいじな蕎麦をごまだれにつけて食べてみた。
ああいいなあ、夕方の根津。
2011年07月01日
代田橋「手打蕎麦 まるやま」
代田橋の超・名店「手打蕎麦 まるやま」。
この店がどんなにすんばらしいかは
既にうるさいほど吠えているので
今回はなるべく落ち着いてご紹介したいところ。
しかし落ち着くには最近の東京は暑過ぎる。
お日様の恵みはとてもありがたいが
照り返しで焦げそうだ。
そんな日のこんな時間は、まあ天国に近いと言っていい。
ひんやーーり冷やされた陶器の器で、生ビール。
「まろやか豆腐」
「しらすおろし」
全てが見るからに美味しそうで、ちゃんと美味しい。
そして居心地はすこぶるいい。
お蕎麦が美味しいということは最高に素晴らしいことだが
それに加えてこういうことをされるともう私は困ってしまう。
ここにいるのに「またすぐ来たい」と思う店。
今回ははじめて「玉子焼き」も頼んでみた。
東京らしい甘辛の玉子焼き。
そしていつも必ず頼んでしまうのは
「ねぎ焼き」である。
ねぎ、焼いただけ!!
これが本当に美味しい。
私は何事もこういうシンプルなものが好きだが
シンプルなものほど家庭で作るとこうはいかない。
鴨の脂で焼かれた新鮮なねぎ。
ベストな焼き加減、この焦げ目がたまらない。。
そしてお蕎麦。
あああ・・来た。
「せいろ」
見るからにときめく粗挽き。
重なる夢、白き陽炎、めぐる燈籠・・
ともう私の頭は恍惚でイカレ気味だが
とにかくもううっとりするしかないほど美味しそうだ。
そしてその予感どおり、たまらぬかぐわしさ!!
見た目の通りの、白く甘くフレッシュな香り。
口に含んだ風味も、舌触りのやさしさもたまらない。
しっとりほどけていく様もたまらない。
こんな、こんな極上の世界が、
なんでもなさそう〜に甲州街道沿いに控えている。
ありえません。
素晴らしいにも程がある。
「田舎せいろ」
おおっ
これは・・・
粗挽き加減も容赦なくゴージャズだが、
それ以前にちょっと仰け反る程の赤さと透明感である。
相当な熟成なのか・・?
と思いつつたぐり上げてみれば、
香りは意外なほど淡く、微かな穀物感を漂わせているのみ。
しかし噛みしめると突然、ふわぁーーっと口中に香ばしさが広がり
濃厚な味わいがどんどん深まっていく。
何が凄いと入ってこの個性にしてこの品の良さである。
これだけの赤さ、粗さを持ちつつ、生々しい熟成感などは微塵もなく
かえって澄んだ印象すら受ける、味わいの美しさ。
なにをどうしたらこうなるのか。
拙著「蕎麦こい日記」で進化し続ける蕎麦と紹介させていただいたが
「手打蕎麦 まるやま」の蕎麦はいつ来ても違う表情で美味しい。
その眼を見張る進化の影にはどれほどの努力が、と思わずにはいられないが
当の店主はいつもこちらの力がへなーっと抜けるほど飄々として
そして私もついつられてしまうほど、たまらぬいい笑顔である。
本日私はすごい言葉を聞いてしまった。
「俺なんか、石臼から出てきた蕎麦打ってるだけからさぁー、
あ〜今日はこんなん出てきたァーって!」
これだけの蕎麦を出してこのセリフ・・
そして屈託ないあの笑顔・・
たまりません、「手打蕎麦 まるやま」。
「せいろ」も「田舎せいろ」も美味しくて
ひとりできたらこれだけでお腹いっぱいだが、
困ったことに名店というものは種物もおいしいのだ。
季節のメニューのボードが壁に。
なんと冷やかけだけでも
「梅とみょうがの冷やかけ」
「辛味おろしの冷やかけ」
「「花巻のひやかけ(海苔と梅干のハーモニーを)」
と三種類。
ぶっかけではなく冷やかけというところが
「手打蕎麦 まるやま」らしい、親しみやすいが洗練のセンスである。
これがどれも素晴らしく美味しい!
「花巻のひやかけ」
「梅とみょうがの冷やかけ」
蕎麦は「せいろ」と同じものだが
別の蕎麦かと店主に聞いてしまったほど端正で粋な印象。
なによりこの汁が、すっきりとたまらなく美味しい。
すっきり冷たい澄んだ味わいの汁の中に、ひんやりと泳ぐ洗練の粗挽き蕎麦。
そこに、花巻(海苔)ですよ。
梅とみょうがですよ。
夏にこれを食べないでどうするんですか。
もう、私は全く参った。
ちなみにボードにある宮城のお酒、「黄金澤〜橘屋〜特別純米」。
おいしいですよぉ〜〜〜
2010年10月の「手打蕎麦 まるやま」
2010年3月の「手打蕎麦 まるやま」