浅草橋西口から徒歩1分。
こんな便利なところにこんないいお店ができて、嬉しいなあ!


入り口にそっとひかえる越前和紙の看板。
「御清水庵」の屋号から分かる通り、
こちらは福井名物「越前おろし蕎麦」のお店である。
おろし蕎麦だけでなく、福井の名酒やおつまみ、店主の福井弁も取り揃えてございますので
もうここは浅草橋というよりは福井の飛び地なのであります。
まだ新しい、明るくきれいな店内で
あっらーこんな珍しいお酒が早速。
「越前 叔羅川(しくらがわ)」。
しかも酒米違いで味くらべ!
私は五百万石のほうが好き♪

お通しは意外と欧米、フジッリのサラダ。

「厚揚げ」

味も美味しいが見せ方がまた実に上手い。
たっぷり豊かな鰹節とおろし、そして円形の盛り付け。
出された瞬間ウワァーと嬉しくなる。
厚揚げにたっぷりのおろしを載せ、お醤油をかけると・・
なんでこんなに美味しいのだ!!
何を隠そう私は自宅で3種類の大根おろし器を
使い分けるほどのおろし好き。
うーんここの大根、おいしいですねえ〜
さすがは越前おろし蕎麦の店。
そしてこちらは福井上庄の名産の里芋。
これもまた、見せ方が上手すぎる!
グラフィックの仕事に携わっていたという店主のセンスは
里芋の煮ころがしにトリュフの存在感を持たせてしまうのだ。

お酒が美味しいところに持ってきて
この味付け濃いめの美味しさは危険。
こんな展開になってきてしまうではないか。

「大吟醸 九頭の龍川」。
私はこちらも味見だけになってしまったが
これは先程の「叔羅川」よりさらにしっかりめ。
なるほど里芋にぴったりだ。
周り見回せば入れ替わり立ち代り訪れる
近所のサラリーマンの方々や奥様グループのテーブルに
なにやら不思議な、もさもさと可愛いぬいぐるみのようなものが。
あのトトロみたいな子は誰?

あらー
ランチセットについてくる「とろろおにぎり」さん、
なんだかすんごいかわいいんですけど!
自宅じゃなかなか作らないおにぎりだし、
こんなフワフワ感はじめて。
このとろろおにぎり+越前おろしそばで870円のランチ。
これはみなさん揃って頼むに決まってますね。
そしていよいよ「越前おろしそば」の登場である。
メニューには「ザルそば」もあるのだが
値段が750円と変わらないし、しかもメニューの下のほうに書いてある。
ということはお店は
「是非、越前おろしそばを食べてくれ」
と言っているわけです。
そういう心意気、おすすめには大変素直に従う高遠。
しかしこちらの「越前おろしそば」が
蕎麦の上にあらかじめおろしが乗った「ぶっかけスタイル」でなく
「せいろ+おろし汁」がばらばらにやってくることを確認済みというところが
本当に素直なのか疑問符がつくあたりです。
だってどうしても、蕎麦だけでも味わいたいではないですかあ〜


うわっ
これは・・・
驚きの食感、そして驚きの香り高さである。
よーく見つめると写真からだけでも伝わるのではないかと思うのだが
この蕎麦、びっくりするほど軽い蕎麦なのだ。
この、蕎麦と蕎麦の間にふわりと抱き込まれた空気感。
うどんのようにフワンフワンとした軽さにはたまに出会うが
こちらの軽さは何とも蕎麦らしい落ち着きをたたえた軽さである。
そしてなにより嬉しいのはこの香り高さ!
いつまでも吸い込んでいたい、
蕎麦という穀物の甘い香り。
それがたぐるほどにどんどん深まっていくのだ。
あのーすみません、
全然おろし汁が使えないんですけど・・
あ、もう半分食べちゃった・・
あと一口になっちゃった・・
アレー全部つけないで食べちゃった!!
・・という展開には今回は意地でもせず、
おろし好きのプライドを賭けて最後の一口はつけましたとも!
(威張ることなのか)
実は「越前おろしそば」を名乗る店は
「もりそば」や「せいろそば」を頼むより
やはり素直におろしそばを頼むべきだった・・というお店も多いのだが
(要は蕎麦を蕎麦だけで食べるよりおろしをつけた方が断然美味しいお店)
この「御清水庵宮川」のような店は実に悩ましい。
蕎麦だけで食べたい、しかしおろし汁もつけたい。
悩ましい、東京都台東区福井である。
