そうでも書いておかないと、普通の蕎麦を食べる会だと思っていらした方が
お蕎麦を残してしまう可能性が高いので仕方がないのですが〜
ちなみにお蕎麦は8種類出ますが、1枚が通常の半分位の量なので
量的には4枚くらいだと思います。(それでも多いか!)
地方に行ったら1人で4軒ハシゴとか
闘いのような人生を送ってきた私にとっては何でもないんですが(笑)
今回も病的な蕎麦好きを中心に集まったメンバー。
私なんてもう食べる前から既に蕎麦のオーラを
ティンカーベルのようにキラキラと纏いながら、ワクワクMAXで迎えました一枚目ーー!!
1枚目
千葉(千葉在来種)2015年産
おおーー!
いつもながら一枚目に対峙した感激は大きい。
たくましさの中に優しさを合わせ持った姿に
ときめきが止まらない!!ヤバイ!胸が苦しくて息が止まる!!
箸先から香りを寄せずとも
ふんだんに、バンバン豊かに香りまくってくれるこの幸せ。
ムワーッとした強いたくましさがありつつ軽やかで綺麗な香り、
はなやかな香ばしさがたまらない!!
味は香りよりはすっきりめだがそのバランスがまた好み。
こちらは成田のスゴイ農家さん、上野さんが育てたお蕎麦で、なんと8年前のもの。
眠庵はお蕎麦を最高の状態で数年寝かせ
また違った美味しさに育て上げるということを早くからやっていて
新蕎麦にはない熟成の蕎麦の深みを私に教えてくれた店である。
(ちなみに蕎麦の熟成には「打ってから寝かせる」というものがありますが
もちろんそれとは全く別物です)
そしてこれはかなりコシが強い!
昔は眠庵の蕎麦と言えばなんとも尊い儚さの中に凛としたコシがある、
宝物のような食感が魅力だったが
年々食感がたくましく、太さも昔よりは太くなった。
そんな変遷もまた楽しく、しっかり噛み締めることができる分
その魅力に耽溺できる時間も深く長くなったと言うものだ。
ちなみにこの上野さんの千葉在来のお蕎麦、
元は常陸秋そばらしい!
お引越し先の土でさらにたくましく美味しくなっていますね〜♡
2枚目
埼玉(常陸秋そば)2012年産
蕎麦会では一枚目のみが店主の盛り付けで
笊は据え置きのまま、2枚目以降は小鉢に盛り付けられた蕎麦が運ばれてきて
それを各人が笊の上でぐりんっとひっくり返して盛り付ける。
よってここから盛り付けは私なので
いまいち写真映えしないものもありますがお許し下さいませ〜
(そんなに蕎麦の肌とかラインとかガン見しているのは私くらいかと思いますが笑)
一枚目よりぐっと優しそうな姿。
これなんと、今は亡き川越の
「三たてそば やじま」の矢島さんが育てたお蕎麦なんです!!
(矢島さんは自分で育てたお蕎麦を打ってお店で出している「農家のお蕎麦屋さん」でした)
2012年、亡くなった年のお蕎麦が、今こんなにもフレッシュな香りをほとばしらせて
私の前にある・・・
濃厚な香ばしさが素晴らしく、
その中には白いクリーミーなイメージもあり、
食べているとそれが余計中からあふれまくってくるのがたまらない。
なめらかなでややむっちりした舌触り、程よいやさしいコシ。
お店でいろいろお話ししてくれた矢島さんのことを思い出しながら
このたまらない香りに酔う。
やじまさぁーん・・・ものすごーーーく美味しいですよ〜!!
こんな素敵な幸せを、ありがとうございます〜〜
矢島さんにも、眠庵の店主にも感謝。
3枚目
富山(とよむすめ)
在来種が多い富山ですが
この「とよむすめ」は「もとは葛生在来だけど新潟が作り始めた品種」
とのことです。
今までの2枚に比べると粗挽きで逞しそうな見た目?
と思いきや、お米のような豊かなふっくら香りの中に
在来らしいたくましさがチラリ見え隠れする感じ!
味わいは意外とすっきりで、ぬるりとろり、ぬめりが強い、コシも強い。
ぬめりのせいか輪郭線なくまあるい印象。
はあああ〜 豊かな優しさに抱かれて私までとろけそうです〜
美味しいよう〜〜
4枚目
栃木(常陸秋そば)2023年新蕎麦
なんと本日初の新蕎麦であります。
「新も良しひねもまた良し人と蕎麦」
とは拙作でありますが、新蕎麦には新蕎麦の魅力があるので楽しみ!
まず、新蕎麦かどうかとかより
私はこの益子の農家さん、鈴木さんのお蕎麦のファンなので
やっぱりたまらないですねええええーーー!!
香ばしさ、ふくよかさ、甘さ、全てがあって飛び出さない、この抜群のバランスの良さ!!
味わいも上品ながらしっかりあり、
完璧と言っていい美味しさに毎度のことながらノックアウトされる。
近年の眠庵らしい、もっちりしたコシをかみしめ、そこから溢れる豊かな幸せにひたる。
ああああ幸せだああ〜〜〜〜
5枚目
宮城(秋保在来)2006年
なんとびっくり、これは17年も前のお蕎麦なのだ。
秋保にあった伝説の超名店「たまき庵」の蕎麦。
私にとってもたくさんの思い出の詰まった「たまき庵」だけに
見つめているだけでもう胸がいっぱいである。
ウワ
うわわわわわわ!!!
なんちゅう面白い香り〜〜〜!!
麦茶から甘さを取り除いたような、と書くと意外と平凡そうに感じるかもわからないけど
全く嗅いだことのない不思議な香ばしさ!!
味わいも独特で、舌にのせただけですでに個性的な甘さを感じる。
(店主曰く「トロピカル」だそうだが私は要素は感知できず)
しかし噛み締めると不思議と甘さはそんなにない。
面白い美味しさ!!
そしてそんなに古いお蕎麦とは全く思えない!!
シンさんどうしてるかなあ・・・(寂)
6枚目
福井(大野在来種)2022年
すんなり明るく柔和な姿。
いやー!これも香りそうだなあ〜!!
キターーーーー
もうもうもう、たまらないとしか言いようがない。
男性らしい強烈な香ばしさ、ふくよかさの中に
豊かな優しいまろやかさも感じる香りが最高すぎる。大好きすぎる!!
味わいは優しいのが優しいままじわーっと後をひく感じが在来らしい。
そしてこれもぬめり強めで、ぬるりむっちり、迫力ある豊かな質感。
やっぱりさー、福井のお蕎麦は美味しいよね〜!!♡
福井大好き!と4分の1福井の血が流れていることを
あらためて誇りに思ってしまう私なのでした(≧∇≦)
7枚目
北海道(キタワセ)2021年
出たーー!
これは最近何度か眠庵で出会っている
有名な「名寄の問題児」蕎麦(≧∇≦)
なにしろ変わり者なんです、面白すぎるんです!
見た目からもただモノじゃない迫力が、なんとなく伝わるような・・・
おおお〜
この濃厚な香ばしさが暴れ散らばった感じは、まさに野生児そのもの。
参加者からは「歯茎にくる」とか「酸味がある」という感想が聞かれたが
私にはいわゆる素朴な蕎麦の美味しい味わい、その下の方を支える苦みが感じられた。
苦味の中にジワーッとした生命力の強さを感じ、しかもそれが口の中に残る。
とにかくこんなキタワセはありえません!!
キタワセと思うとますます可笑しすぎます。すごいなあー!!
8枚目
埼玉(内緒の品種)2016年
8枚のお蕎麦の順番も練りに練って出してくる店主だけに
毎回トリのお蕎麦はすんごいのが出てきます(≧∇≦)
今回は埼玉・三芳!!
こーれーがーねーーー!!!
普通にぼんやり食べたら、素晴らしく濃厚な香りの、ただただ美味しいお蕎麦なんです。
しかし、とにかく目の前にあるお蕎麦の香りを全部ぜんぶ吸い込みたいっ!!
という強烈な本能がDNAに書き込まれてしまっている私には
この個性にどびっくり!
なんちゅうか、ものすごーーーく言葉は悪いですがバンドエイドみたいな?
突き詰めればアンモニアみたいな?超個性的な香りの要素を持っている。
こういう悪い例えは私はやむをえずよくしてしまうのだが(例・カビとか古い家とか。ひどいね笑)
決してその蕎麦の品質が悪いわけではなく、
そういう変わった香りの個性を持った穀物ってあるんです!
(塩素州のするキャベツとかと同じかと〜)
ごちゃごちゃ書きましたが、これだけ変わった個性でも、
最初に書いた通り普通にぼんやり食べてたら全く気がつかないと思います。
というか蕎麦汁をつけて食べたら絶対にわかりません笑。
ただただ美味しいお蕎麦です!
味わいは意外にもスッキリで、でも甘さだけはしっかり。
今日の中では質感固めなお蕎麦でした。
いやー、今回のトリは面白いのが来たなあ〜!
8枚食べてもう幸せいっぱい。
血中蕎麦粉度と美容、健康、機嫌指数が正比例する私は
これ以上ないくらい満ち足りた気分で
今宵の魅力溢れるお蕎麦たちとの邂逅の思い出にうっとりと浸る。
しかし宴はまだまだこれから。
テーブルの上にはマンハッタンのように林立する持ち寄りの銘酒。
そしてこれから、食通のメンバーが選びに選んだおつまみが
ドコドコ出てきますよ〜〜
幸せな夜は長い。
<おまけ>
当日は眠庵開店記念日だったので毎年恒例化している常連さんからの贈り物。
谷中「薫風」の特大どら焼き♡
私も毎年ケーキを買ってお祝いをプレートに手描きしてます
今回は建物築100周年のお祝いを兼ねていました〜