2023年03月03日

宮城・仙台「妙庵」


店も、蕎麦も、接客も含めて、
これだけ美しい店も珍しい。


閑静な住宅街のなかに突如現る、この存在感。

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ライトアップされた緑が目に眩しい。

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誘われるように中に入る。

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店内も隅々まで完璧にととのっている。



庭の緑が絵のように飾られた大きな窓。

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漆喰の壁や趣ある仕切りは茶室のムードだ。

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どのテーブルの雰囲気も素敵で
あちこち座ってみたくなってしまう。



またここの奥さんの接客がすごい。
なんというか、優しいやわらかい真綿のようなおもてなしなのだ。

BGMはショパンやシューベルトのピアノ曲。



まず出されたのが、蕎麦湯。

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こーれーがー!!
せっかく優雅なところに、
例によって動物的に興奮して申し訳ありませんが
もうぶっ倒れそうなほどの美味しさでして!!
もんんのすごい濃厚さ・・・
そしてなんですかこのすばらしい香りと味はーー!
フレッシュな青い美しさがたまらない、最高の蕎麦湯。
これからの蕎麦がちょー楽しみで
全細胞が今、踊り出しました!!
(奥に柚子がしのばせてあるのだがその効かせ方もニクイ!)


メニューは意外にも大充実。
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ここに大問題が発生しました。
なんとそばがきが「田舎」と「荒挽き」2種類もあります!!
そしてお蕎麦は「ざるそば」と「田舎そば」があり
その両方を頼むことはもう紀元前から決まっています。
でもその上にそばがきもふたつってーのは・・・
いくらなんでもそれ全部はヨクバリすぎよね私・・・
ということで、そばがきをどっちにするか
めちゃめちゃ悩みました・・・辛かった・・・(涙)




「玉子焼き」
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まずは大きさにびっくり。
これはおいしそうだーーー!

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素晴らしいふっくら感。
柔らかく甘くて香ばしい〜!
私は甘くない方が好みなのだが、香ばしさがあるのが素晴らしく、
全体に味が濃くない絶妙の味付け。
醤油とおろしで完成するおいしさ!これはいい!!



「鴨スモーク」
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これは意外とあまりスモークの味はしなくて
ハムのようなおいしさ。
付け合わせの野菜がとても新鮮で美味しくて
ドレッシングの味もよく、サラダのようになっているのが嬉しい。




そしてついに、先ほど私を悶絶悩ませた方の登場です。
こちらに決めました!!

「そばがき(荒挽き)」
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ウアアアアアア
予想を超えた荒挽きっぷりに
胸が高鳴り本気で痛い!心臓大丈夫か!



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すごい。

すごい。

いくら眺めてもすごい・・・

なんというか、蕎麦畑がそのまままるめられたような世界であります。
この美しき蕎麦粒子たち・・・
食べずにいつまでも見惚れていたいほどの美しさだ。
しかしそれを許さずこちらにブッ飛んでくる香りが
とんでもない素晴らしさなのですよ!!
青くフレッシュでふくよかで、もう天国のその上みたいな最高さ!
口に含むとザクザクを通り越してブツブツな食感にも驚かされる。
砕いた蕎麦の実感がものすごい〜!
味わいも濃厚で最高。
口の中にいくらでも旨みが広がり、脳はとっくに青い蕎麦色に染められて
ああもう・・・しあわせすぎてどうなってもいい・・・




「ざるそば」
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これもまた・・・
ビシッとストイックで、
それでいて柔和な落ち着きも感じる美意識にうっとり。
世界に誇りたい日本の絶景だ。
しかも見入れば見入るほど、
蕎麦そのものも美しい・・・


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最初の香りは静かな石のようなストイックでフレッシュな香り。
素晴らしい〜!
しかもそれがだんだん香ばしくふくらんできて
ますますかぐわしくなった。
食感は見た目に反してしっかりめで、
硬くはないが噛み締めて旨みがひろがる蕎麦。
しっかりめのコシを噛み締めて広がる旨みも甘みも濃厚で
ああおいしい・・・ しあわせ・・・


「田舎そば」
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この肌、この輪郭線!
あまりの美しさにただただ見惚れるばかり。
風情あふれる素朴な肌だが、
輪郭線は優しくも端正にととのって、
「洗練の田舎」の雰囲気がこの店らしい。

期待を込めて手繰り上げ香りを寄せると・・・
意外にも香りはかなり淡い。
淡すぎてわかりづらいが、つかまえると大変よい香りで、
胡麻のような香ばしい香りの、上の美しい部分だけが軽やかにのっている感じ。
食感はもりそばよりさらにしっかりめで
ザラザラとして粗挽き感が楽しい。
味もすっきりで、軽やかに洗練された田舎そば。


私は蕎麦の香りを偏愛するあまり
蕎麦汁はつけないまま蕎麦だけで完食してしまう大悪党。
蕎麦汁をつけて食べるのが下手、と自分では思っているのだが
ここの蕎麦汁はなかなか面白かった。
そのままちろりと舐めると結構甘みがしっかりで
小慣れた旨みとスッキリ感もある汁、という印象だった。
ところが蕎麦をつけて食べるといきなり甘みがスーッと消え
やたらに粋なキリッとした汁になったのだ。

ここの蕎麦とのバランスというものだろう。



食後の蕎麦湯。

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仙台が誇る名店。


こんな美しい店で
美しいおもてなしと蕎麦に出会い・・・


夢を見ていたのではないかと思う夜だった。







posted by aya at 09:44 | Comment(1) | TrackBack(0) | 東北の蕎麦>宮城 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2023年02月08日

東銀座「文化人」


これ以上の手打ち蕎麦はない・・・

全てが完璧。
全てが超越した世界。

押しよせる感動と抑えられない愛で自分がいっぱいになり、
もう喜びよりもほとんど苦しい。

愛してやまないこの最高の名店で
今夜私は感激のあまり
液体になって床まで流れていきそうになりました・・・




今夜はね、飲み会なの!♡

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前回は「偶然私が大好きなお蕎麦屋さんで飲み会になった」
とかほざいておりましたが
今回は完全に私の差し金です。私が黒幕です(笑)
私は脇役的な立場だったのですが、私がだぁーーーっっすきなこちらに
皆様を誘き寄せてしまいました( ̄▽ ̄) 


飲み会につきいつもほど写真が撮れず
お酒の写真がないのですが〜

とりあえずビール、ではなく「菊正宗」でかんぱーい!!

はー、やっぱり菊正いいやね〜!
不動の魅力!!



「おまかせおつまみ五点盛り」

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手前から

干し柿とクリームチーズ
鶏胸肉と蓮根のはさみ焼き
白子ポン酢
山芋、蕪、芹のあえもの
鈴廣のかまぼこ

ここの魅力はなんといってもそのお蕎麦なのだが
蕎麦前の素晴らしさにも目を見張る。
とにかく素朴で体に優しいものばかりなのだ。
お酒に合うものってどうしても塩分強めでガツンとしがちなのだが
ここのは塩分も強くなく、自然の恵みに癒されるような美味しさ。
特に今日の白子ポン酢は、何が違うのか??と
目がぱちくりしてしまうような、普通でない美味しさで
同席の皆さんもびっくりしていました〜



ってなわけで調子に乗ってこのあとのおつまみは
メニュー表の「旬のもの」ぜーーーんぶいっちゃいます!
うははははは・・・大富豪気分だぜー


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「牡蠣の酒蒸し」
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うおおお〜あったまる〜♡ウマミのカタマリ!!
こんなの食べたら「牡蠣そば」も食べたくなっちゃうよね〜
でもここに来たら食べたいお蕎麦だらけでほんと困るんだよね〜っ
どうしよう、今から悲しくなる・・・(食べられないお蕎麦の心配)



「あぶり数の子(北海道産)」
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これまたウマミのカタマリ!!
なんちゅうおつまみを出すんじゃい〜〜
こんなのあったら無限に飲めてしまうではないか!
(↑口ばっかりです。酒量だけは小鳥)



「焼き空豆」
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黒さにビックリ!?
こんな風になるんですね!?


「柿の白和え」
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お豆腐の部分がほとんど素のままだったので
柿の甘みだけになっていて、
これだけはちょっと味が足りなかったかも〜




そしてここに来たら絶対に頼まにゃ帰れない、こちら!!

「あおさ海苔の出し巻き卵」
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数あるお店のだし巻き卵の中でも
ここのはヤバイです。
なんたってあおさがズルイのですが、それだけでなく
全てが最高!!


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ふっくらジューシー、出汁の味わいは超優しく、
あおさの香りが悩殺と言っていい美味しさ・・・
これは絶対におすすめです!!



そしてお次は、
おすすめを通り越して
隠しておきたいくらい私が愛してやまないお方。。。


「粗挽きそばがき」
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もう、見ただけで平静を保てません。
今日は飲み会だし、初対面の方もいらっしゃるし
奇声をあげたり倒れたり
動物みたいな真似は許されません。

でもこのルックスですから・・・
写真だけでも、私が何を語らずとも、伝わりますよね??


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ああああああ

なんというフレッシュな、
それでいて落ち着いた正統派のかぐわしさ!!
蕎麦畑に頭をつっこんだような、
スーパーフレッシュで澄んだ香り。
ふっくらしつつどろーりもったり、
甘美な夢の中で濃厚なかぐわしさに染められて
脳が痺れて何も考えられまへん・・・

一応大人なので周りの皆さんには
「おいしいですねえ〜」
とか頑張って言っていたが
我ながら焦点が合っていなかったような気がします(笑)



そして、待ちに待った愛するこの方が来て
私は完全に壊れました。



「もり」
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こ、これは・・・
信じられないような美しさに、突然周りが見えなくなった。
なんという美しい青さ!!
もう泣いてもいいかも、と思うくらい、
今夜この蕎麦に出会えた喜びが込み上げる。(まだ食べていません)
これはとんでもなく素晴らしい蕎麦だ!!


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香りをよせて全細胞がしびれる。
これ以上美しく素晴らしい香りはない!!
これ以上美しく素晴らしい香りはない!!
ふっくらとした香ばしさ、青くフレッシュな透明感、
ふくよかだけれど軽やかな甘さ。 
鹿児島、肝付の在来種。すごすぎる〜〜!!


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口に含むとさらに美しい衝撃に押し倒され
本当に何も考えなれなくなる。
なんという食感。なんという味わい。
とにかく繊細で儚く、それでいて凛としたつながりを感じさせる輪郭線。
噛み締めると、ふわっとやさしいコシに受け止められ、
それがたまらなく美しい感覚でびっくりする。
ヒャ〜〜〜なんですかこの食感はーーー!
味わいは在来らしいたくましさ、滋味深さが下の方をしっかり支えつつ
全体の印象は澄んで美しい。

なに?なんなの?
完璧を遥か超えた超絶宇宙に突然連れていかれて私はどうしたら!?
こんな蕎麦が打てる人がいるだけですごいのに、
今夜ここでそれに出会えている自分の幸福を思うと怖くなる。
(だんだん書いてて自分が可笑しくなってきたが(笑)
 本当にこれだけ書いても足りなくらいの恋だったのだ!)
恍惚と耽溺でもう液体になって私自身が床にドロドロ流れていきそう・・・

トコロデ今夜は飲み会でしたっけね、
大丈夫ですか私人間の形してますか??笑





「磯雪」

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こちらも、ここにきたら外せない大好きな種物!
ふわっふわに泡立てられた卵の旨みと海苔の香り。
こんなの美味しいに決まってますよね〜
本当に困るんですけど、ここに来たら絶対に食べたいメニューが多すぎて
なかなか新規開拓できないんです!


という舌の根も乾かぬうちに
「旬のそば」メニューで気になったこちら、いってみました〜!♡


「ぞろりこそば」

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メニュー説明に「鴨肉ととろろのぞろりな食感」
とある通り、ぞろぞろ〜とした食感のあたたかい種物。
全体にさっぱりしている中の鴨の脂の旨みがたまらない〜!!
これも名メニューだな・・・
困った〜本当にここに来たらオナカが足りない!!

ご一緒の皆様もとてもおいしかったと喜んでくださり
私の変態ぶりもあんまりバレずによかったよかった。
(いやフツーにバレてるでしょ笑)


最後に叫んでいいですか?



文化人、大好きだあああああああーーーーーーーーーー



(≧∇≦)







posted by aya at 22:50 | Comment(0) | TrackBack(0) | aya>diary | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2023年01月27日

八王子「やお庵」


当たり前だが、いい店は愛される。
それがどこにあっても、目立たなくても、
客の方が探して見つけて集まってきてしまうのだから
当然とはいえ不思議なものだ。


少し奥まっていて目立たないが
美味しそうな予感がする外観♡

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一見して手打ち蕎麦屋さんには見えませんよねえ〜




案内されたのはカウンター席。

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(写真は退店時。最初はお客さんがいっぱいいました〜)


オープンキッチンなので
私の目の前には、この店の冬の名物である「おでん」のお鍋がどーん!

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ここはとにかく地元の常連に愛されているらしい。
テーブル席からは笑いが絶えず、
カウンターに入ってくる客は次々と店主と楽しそうに話し始める。


粋な雰囲気の店舗だが気取らず人懐こい接客。
とにかく料理が美味しくて、
来るたびに全然違うものが揃っていて
最後に美味しい手打ち蕎麦が食べられる。

こんなお店、愛されちゃうよなあー!


メニューは、メニュー本があるわけでなく、
メニューまるごと日替わりで替わる。
そのこと自体がすごいし、
このメニューを毎日書く手間だけでもビックリ。

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お蕎麦メニューは変わらず定番ですね。

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お酒は長野に絞ってます。
こういうテーマのあるセレクション、いいですねえ。

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蕎麦ハイボールって聞いただけでそそられるわ〜 (≧∇≦)

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「自家製豆腐のサラダ」
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わあー! 
写真では伝わりづらいかもしれませんがこのサラダ、
めちゃくちゃ魅力的なルックスなのです。
とにかく綺麗、大きい、おしゃれ!
見た目の感激通りの美味しさで、
まんなかの自家製豆腐がめちゃおいしい。
滑らかで豆の味が軽やか、甘すぎずすっきりとろーり、最高。
ドレッシングもおいしい&程よい量(ココ大事)だし、
薬味はたっぷり、いちいちセンスがよい。
豆腐のサラダというどうやっても似た感じになりがちなメニューで
こんなに感動させてくれると
余計すごいなあ〜と感心してしまう。



そしてお次も、これまた、見ただけでときめきました。

「惣菜小鉢三品盛り」
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可愛らしい三品盛り〜♡
さてお味はどうでしょう?

●春菊としらすのナムル
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ごま油がいい香り、それでいてさっぱり、これおいしいー!
しらすも下の方まであって隅々までしっかり味が行き届いていて嬉しい。



●柿の生ハム巻
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思い切り熟した柔らかな柿に生ハムとペッパーが素晴らしいマリアージュ!
全体にふっくらした食感がたまらない。
私は生ハムはやっぱりハモンセラーノが大好きで
(好きな銘柄のお買い得パックを買ってめちゃめちゃケチケチ食べる(笑))、
日本の生ハムは買ったことがないのだが、
これ、すんごい美味しくて動揺してしまいました(笑)。



●ブロッコリと浅利の酒浸し 
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最初にブロッコリーかじっただけで脳内にピカッと嬉しい豆電球がついちゃいました。
なにこのスモーキーな美味しさー!?♡
浅利ももちろん旨味たっぷりで美味しいし、あまり見ない組み合わせだけど最高!

思い余ってこんな小さな三品盛りでこの文章量・・・ (^^;)
このお店、やっぱりセンスいい〜!
しかもこれ3品で880円って信じられない。
一人で飲みに来て食べるおつまみとしては神と言いたいレベル。
野菜たっぷりだし〜美味しいし〜
しかも日によって違うのだから、
これはもう通ってしまう人の気持ちが痛いほどわかる。




「冬の名物てんこ盛りおでん」

美味しい日替わり料理が人気のこちらだけに、
実は本日の目玉と言っていいメニューが「おでん」で
私はちょっとだけがっかりしたのだ。

おでんって・・・お料理なの?というナマイキな思いもあったし (^^;)
甘いものが苦手な私は竹輪とかはんぺんという
練り物系すら甘く感じて好みでないことが多いというワカラズヤだからだ。
(おでんファンの皆様すみません)

ところが、ここの名物というのでおでんを注文すると
店主が目の前の大鍋から具材を取り出し
盛り付け始めた。その丁寧なこと!
これは美味しそうだぞ・・・
とやっと思いはじめたところに対峙したこちら。

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わー!綺麗だなあー
まずは絶対に大好きな大根をぱくり・・・
おおお〜これはおいしい。
崩れる寸前なのに食感がしっかり残されていて最高。
ちくわはかなり黒っぽくてつみれみたい。
ぜんぜん甘くないしおいしい〜
こんにゃく、はんぺんには柚子の香りがフッと効かせてあって
これも参りました。
個人的に、柚子の使い方にはめんどくさい持論があり
柚子でも柚子胡椒でも柑橘系というのはつい効かせすぎて、
メインの具材の味が負けてしまっているところが多すぎる。
というわけで柑橘が効いたものは極力避ける人生なのですが
こういうさりげない効かせ方は、一本取られたというか
目からハート型になっちゃいます〜 おいしい♡



そしてなんとなく今までお蕎麦屋さんであることを
忘れそうになっていましたが
ここで、一瞬で空気が澄み渡ります。


「せいろ」
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飾らず気取らず、スタンダードなもりそばの眺め。
そして量はたっぷり!
なんとなく修業先の系列である川上庵の雰囲気も感じさせる佇まいだ。


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箸先から香りを寄せると
まず伝わってくるのは香りより冷気。
相当キンキンに冷たくしめられているのだが
それを乗り越えて!ムワーとたくましい香りが濃厚に漂ってくる。
こんなに冷えているのにここまで香るのはすごい。
しかもムワッとしつつも軽やかで澄んだ香りなのがいい。
食感はつるり滑らかでしなやかなコシがあり、
ほんのちょっとだけパキポキ感がある。
噛み締めると粉のうまみがじわーと伝わる
大変美味しい二八の蕎麦。



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蕎麦汁はこっくり濃厚、個性的。
甘さもあるがまろやかな感じではなく
ズシッとストイックなスモーキーさがある。
これが、すごく美味しい。
私は蕎麦を蕎麦汁に全くつけずに完食してしまう大悪党だが
それは蕎麦汁をつけると後悔することが多いから。
蕎麦の香りが好きすぎるせいではあるが 
この蕎麦汁はつけて食べた味が心に響いた。おいしい。
鰹は三年熟成の鰹を使い宗太節も合わせているそうだ。



気がつけばカウンターのお客はみんな帰り
離れたところで本日のバイトくんがまかないを美味しそうに食べていた。
(この高校生のバイトくん、とても礼儀正しく素晴らしい接客でした!)

忙しい時間が終わってほっとしたような店主は
バイトくんにも私にも同じ笑顔で明るく話してくれる。



粋な雰囲気の店舗だが気取らず人懐こい接客。
とにかく料理が美味しくて、
あ来るたびに全然違うものが揃っていて
最後に美味しい手打ち蕎麦が食べられる。



こんなお店愛されちゃうよなあー!
















<s8.5>

2023年01月24日

秋葉原「つなぎ庵」


今宵、しみじみ、お蕎麦が美味しかった!


あまりにも美味しくて、身体中で貪るように夢中で食べながら

「ああおいしい・・おいしすぎる・・・
私をえぐるようにおいしい・・・」

と思った自分に噴き出しそうになりました (≧∇≦)




静かな路地に佇む、いい〜感じの外観。

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店前には、明るく光るバシッときれいなメニュー看板がある。

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あまりにもバッチリ整いすぎていてチェーン店のようにも見え
手打ちでないのではないか?という不安を覚えるほどだが(私だけか)
いいえいいえ、ここは常時手打ちが2種類あり、
しかも片方は富倉蕎麦という、
東京ではなかなか珍しくも素晴らしい手打ち蕎麦屋さんなのであります( •̀ .̫ •́ )✧



店内に入るとすぐ今日のお蕎麦さんに会える。

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わーい、摩周だあ〜♡
場所もわかるし、ホントこのポップは偉大!


テーブル席3つとカウンターの、奥に長いお店。

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メニューは多くないが
日替わりのおつまみに目が釘付け。

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そしてなんと言ってもこのお店の特徴は富倉蕎麦をやっているところ。

富倉蕎麦ってこういうものです!
私も今日は久々に食べます〜♪

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富倉蕎麦でない普通のお蕎麦もあって、普通のお蕎麦は九一、
富倉蕎麦は十割である。(蕎麦粉十割+オヤマボクチってことですね!)

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もちろん両方いきまっせー!♡


まずはお通しが出てきたのだが
これがびっくり、フルーツの白和え!

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白和えと言っても和えてあるというより
載っている感じ。それがいい。
しかも和に合いそうな無花果とかならともかくキウイ!
を使いつつ、大変おいしいところに着地している。
炒った蕎麦の実があしらってあるところも私にはポイント高い♡
これは期待高まりますね〜



ってことで、やっぱこれでしょ。

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「ハートランドがある店はいい店だ」
私が大好きな人の言葉です。
うまっ (≧∇≦)





おつまみで気になるものをいくつか選んだが、
最後まで迷ったのは「卵焼き」。

とにかく甘いものが苦手な私。
「だし巻き卵」は好きだけれど東京の甘い卵焼きは苦手。
普段は卵焼きと書いてあったら頼まないのだが
今日はなんかビビッと来たのでいっちゃいました。


「卵焼き」
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うおおおおお 美味しそう!!
とりあえず見た目は100店満点の美味しそうさなのですが・・・
サテお味は・・・

ウワ おいしーーーーーい!
これは美味しい!大当たり!
まず見た目からして完璧なのだが食べるとおめめがかっ開きます。
とにかくものすごーくジューシィー!
あったかふっくらゆたかにジューシィー!
なんですかこの美味しさは・・・
美味しい美味しいという言葉がついこぼれてしまう。
あまりのジューシーさに、
コレだし巻きって名乗った方がいいんじゃない?と思ってしまった。

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甘さはしっかりあるのだが出汁の味が濃く卵の旨味も強いように感じ
全体がこっくりとよく合わさって最高。
味としては、私が熱愛偏愛する
代田橋「まるやま」の「玉子焼き」にも似てるかも♡



そして〆張鶴好き、純米好きな私はこちらも♡

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でもこれちょっと〆張鶴ぽくない?
意外なお味でした〜



「やきとり(たれ)」
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これまた味濃いめ甘さもしっかり。
柔らかく弾力があっておいしい鶏。
焦げとかカリッとしたところはなく
なめらかなやきとり。



「まいたけ天ぷら」
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大好物につき見るとかならずオーダーしてしまいます。
やや衣多めでがっつり系、パリパリサクサクの天ぷら!
これは天せいろとして食べると美味しそうだけど〜
お蕎麦が美味しい店ほどそれができない私・・・ (^^;)




さていよいよお待ち申しあげた方の登場です。

「もり(九割)」
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ありそうでない赤い器に高山寺鳥獣戯画の蕎麦猪口。
個性もあっていい眺めだ。


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美しい細切り、なめらかな肌にうっとり。
箸先から香りを寄せると・・・
ふあー!とひんやり軽やかに香る、フレッシュでさわやかな北海道感。
これはいい!!
ウンウン、摩周キタワセだもんね〜
個人的に摩周のお蕎麦は北海道の中で好きなんです。
北海道らしい野生のさわやかさもあるが
白いまろやかクリーミーさも感じる好きな香り。
口に含むとますます素晴らしい。
思い切り極細で、繊細な輪郭線がはっきりと感じられるに
硬さは全くなく、なめらかな肌としなやかな食感。
味わいは澄んで美しく、とにかくずっと食べていたくなるお蕎麦。
すごい・・・個性的でありつつ完璧!!
おいしい・・・おいしすぎる・・・
ハイもうこの辺りから私はだんだんトランス入ってきました(笑)


「富倉そば(十割)」
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ウッッ・・・

一眼見ただけでこれはヤバイ・・・
これは来ます!来ました!どうしましょう!!

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まずは期待を込めて箸先から香りを寄せます。
オヤ? 意外にもこちらの方がおとなしい香り。
じんわりと渋く黒い香りを奥に感じる。
口に含むとこちらの方がさらにくっきりはっきりした極細感。
でありつつこちらも硬さはなくしなやかで(そこがすごい)
いわゆる富倉蕎麦っぽいシャクシャクした食感はあまり感じない・・・
と思ったが、噛み締めるうちに時々感じてきました!!
オヤマボクチらしいシャクッとした独特の食感!!
そして噛み締めるほどに、黒い土着的な香ばしさが口中に膨らみ、
アラ?アラ?あらららら?
お、おいしい・・・めちゃらくちゃらに美味しい・・・
私をえぐるようにおいしい・・・


と、いつのまにか冒頭の完全トランス状態に入ってしまったのでした(笑)

いやーここの富倉蕎麦、美味しいです。
てかここのお蕎麦はどちらも美味しい。甲乙つけがたい!


蕎麦汁もおいしい。

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甘みはあるがこっくりとよく合わさって
出汁の香りも「中庸」な感じで素晴らしい。


例によって私は「お蕎麦と私の間に入る者は水モ許サヌ」と
何もつけない食べちゃう大悪党なのですが
ここは山葵もすごく美味しくて
立派なおつまみになっちゃう山葵でした〜

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私にとっては「蕎麦汁がおつまみで蕎麦湯がお酒」。
蕎麦汁チロリ、蕎麦湯をゴクリが至福の時。

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あ”あ”あ”〜〜  しあわせ〜・・・




私が居た時間は空いていて
店内には店主が慣れた様子で仕込みをする音と、
ちょっとこの店の気楽な雰囲気にしては
やたらオシャレな洋楽が聞こえていた。

途中、常連が立ち寄って釣ったお魚を置いて行ったりと、
この店がとても愛されている様子も伝わってきて
そんなところも全部含めて、大変居心地の良い店。



ランチ時はお蕎麦と丼もののセット(焼き鳥丼とか、ブリの漬け丼とか!♡)
をやってるらしいですよ〜

個人的には二種盛りもやってほしいなあ( ̄▽ ̄)












<m10t10>
posted by aya at 10:21 | Comment(0) | TrackBack(0) | 東京の蕎麦>千代田区 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2023年01月17日

R.I.P.




お蕎麦屋さんの訃報を聞くたびに、
突き落とされたような気持ちになる。

あの素晴らしい世界を作った人が、
あの忘れられない時間を私にくれた人が
ふっ、といなくなってしまった。

私がこの手のひらの中でその温度を慈しみ
輝きに目を見張っていたあの世界は  
どこへ行ってしまうのだろう。

その人の作った世界の大きさ、美しさ
その人の遺した言葉の深さ
優しくしてくれた笑顔を思うと    

心の真ん中にあいた穴をふさぐように

この宇宙の真ん中に永遠に残るように  

おおきくおおきく

あの世界の美しさを歌い続けていたくなるのです

R.I.P.





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posted by aya at 10:21 | Comment(2) | aya>diary | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする