2023年10月06日
山梨・甲府「専心庵」
山梨県は東京から近いし自然がいっぱい。
登山者にとっては魅力的な山がたくさんあるし、
フルーツ王国でもあり最近ではワインも美味しい。
でもその割に、手打ち蕎麦屋さんが少ないかなーというのが
私の印象。
いや、勿論あるにはあるのですが、
何せ名物「ほうとう」が人気者の小麦粉圏なので
隣県の長野なんかに比べるとどうしても少ないんですよね。
そんな中、県庁所在地・甲府に
こんっっっっな気合の入った名店があるのは
ものすごーーーーーく!!ありがたく嬉しいことなのです。
長野なんかだと素晴らしい手打ち蕎麦屋さんこそ
町中ではなくうんっっと引っ込んだ山奥にひっそりあって
しかも営業時間は実質昼間2時間のみ!
なんてのがあるあるですのでね〜(^^;)
めっちゃ難易度が高いわけです。
とはいえ、ここは便利な場所にあるので人気も爆発。
私が行ったこの日は店の前に10人ほどの行列ができていた。
ひょえ〜〜!行列はいいんですが
とにかくお蕎麦が売り切れないか、それだけが心配!!
外観
玄関
(画像は退店時)
列をジリジリと進み、最後は玄関の中で待つ。
何度も来ているのでなんとも思っていなかったが
こうして見るとすごく家庭的な店舗なんだなあ〜
客席はほのぼのとした畳の空間。
しかしほのぼのとできるのは一瞬です。
これからほぼ戦いです。
メニュー把握能力には自信のある私だが
ここのメニューの難易度はかなり高い。
ね、難しいでしょうー!?
とにかくお蕎麦は5種類もあります。
そしてその全部が絶品なので
先ほど行列に並び出した時から
どれか売り切れていないかが心配で心配で
お蕎麦も喉を通らないような数十分を過ごしてまいりました。
まあ5種類もあって、これだけ並んでたら
絶対どれかは売り切れてるよね・・・
ところが、めちゃめちゃドキドキしながら確認すると
なんと、今は全部あるとのこと!
すごーーい!!やったあああああーー!!
(尋ねた客室担当の男性は店主ではないのだが
めっちゃフリーダムな方で可笑しかったです(笑)
もう一人のおばちゃまはすんごーく感じの良い方!)
おつまみメニューも色々惹かれるのだが
残念ながら今私のお腹は5種のお蕎麦のご予約でいっぱいなので
ここはスルーしなくてなりませぬ。
とにかくお蕎麦を5種全部食べられるよう、
「土日限定の食べ比べ十割蕎麦4種」+「二八蕎麦」
お願いしまーーーす!!
ちなみにそれぞれのお蕎麦の説明はこんな感じ。
⚫️「限定荒挽き」
上村下栗の手刈り天日干しの今日では入手し難い貴重な玄そば
小さな石日で挽いた荒い粉と大きな石日で挽いた細かい粉を
すこし調整して蕎麦粉十割打ちにしました
⚫️「韃靼そば」
ダッタン番麦粉と生粉蕎麦の蕎麦粉を同割にして
ダッタン蕎麦の食べ難さを調整しています。 蕎麦粉10割です
ダッタン蕎麦粉のみ粉の状態で仕入れています
⚫️「生粉そば」
北海道産の黒い皮をむいたむきそばを十割で細打ちにしています
⚫️「玄生粉そば」
馬頭産 開田産 北海道産いずれかの玄蕎麦を十割打ちです
皮を挽きこんでいるため黒く仕上がっています
⚫️「二八そば」
馬頭町の露久保一夫さんが手塩にかけて
栽培してくださった玄そばを使っています
開田高原産に変更になる時もあります
さて。
いざいざいざーーーーーーーーーーっ!!!
蕎麦全景
ぎゃああああああああ
とっっ
ときめきすぎてどうしたら!?!?
5種類という数もさることながら、
とにかく一つ一つのお蕎麦が放つオーラ、パワーがただ事はない。
息を呑んで固まるしかないほどの輝き・・・
眩しすぎて、胸がいっぱいで、もう食べずに泣いてもいいかも(迷惑)!!
まずは落ち着いて一つ一つと向き合い、
その佇まい、その肌、纏う香りを
できるだけクイックに愛でてからいただきましょう。
左「限定荒挽き」と右「生粉そば」
いやいやいやいや・・・
クイックに愛でるって無理でしょこれじゃーーー?
なんという強烈な魅力。
粗挽きも生粉そばも、それぞれに素晴らしすぎて
食べる前からもうブッ倒れそう!!!
これはやばい。完全にやばい。
どっちも超絶に美味しいのが伝わりすぎて胸が苦しい!!
「限定荒挽き」
もう拍手するしかない、この風貌。
よくぞここまで・・・というものすごい粗挽きっぷりである。
手繰りあげるとフワーッと濃厚に香る、熟成のナッティーな香り。
しかし嫌味はこれっぽっちもなく、熟成一歩手前の最高の香りだ。
蕎麦一本一本が暴れて手繰りづらい感じがあるが
それをなだめて口に含むと、ポコポコとした節を感じる舌触り。
ハラッハラぱらぱらぽろぽろ?とても個性的な質感なのだが
総合的に言ってとにかくめちゃらくちゃらに美味しい!!!!
澄んだ美しいナッティーな香りと、噛み締めて広がる甘み、
そしてこの素朴極まる不思議な質感・・・
あああ〜 一発目でもう壊れそうなんですけどーー!!
「生粉そば」
こちらは5種類の中で一番繊細な極細。
その儚さ、美しさは
「あなたを食べていいんですか?」
と聞きたくなってしまうほどの尊さである。
最初の香りは、まさに北海道の蕎麦を思わせる爽やかな野生。
(これは北海道と聞かなくてもわかる、わかりやすい香り!)
それがだんだんまろやかな穀物感のある香りに変化していくのが嬉しい。
食感も変化し、最初は繊細なはらっはらした感じだったのが
だんだんしなやかになっていった。
なんとか形容せねばとごちゃごちゃ書いたが
食べた感じとしてその全てが最高レベルに素晴らしく
私は胸撃ち抜かれて上半身をまっすぐ保つのが難しいほど
べろんべろんに陶酔しながら食べた。
最高すぎる!!幸せすぎる〜〜!!
そしてお次もまた個性派でありつつ最高なお二人!!
左「韃靼そば」と右「玄生粉そば」
「韃靼そば」
(もうあまりの興奮に全身ぐにゃぐにゃだったらしく
珍しくこんなピンボケしか撮れてなかったあー!(泣))
緑とか黄色を帯びた独特のずっしり感のある肌色。
写真の印象以上に極細で、みずみずしくふるふるした食感。
香りは、これは私が韃靼そばによく感じる香りの要素なのだが
墨とか黴に近い、渋ーーい香り(例えは悪いがそういう穀物の香りなのです)。
味わいは韃靼独特の深い苦みがあり、韃靼も大好きな私には
たまらなく美味しいです。
それが汁をつけると、せっかくのその独特の香りも味わいも
ほとんどわかんなくなっちゃうので超不思議!!
というわけで、私はどこのお蕎麦屋さんに行っても
蕎麦汁を全く使わないまま完食しちゃう大悪党に
育ってしまったのですよね〜(≧∇≦)♡(よいこは真似をしてはいけません)
「玄生粉そば」
こちらは、さらにさらに極細!!
この儚さ、繊細さ・・・
さながらビスクドールのような、
触れてはならない尊さをたたえている。
ときめきまくりながら香りを寄せると
あらら?これはとっても変わった香り!!
なんというのでしょう・・・
相変わらず言葉が悪くて申し訳ないのだが
渋すぎる畳みたいな野生??
しかしそれはトップノートのみで、
それがだんだん、黒く渋いたまらなくかぐわしい香りに変化していった。
食感はきこのほうがちょっと繊細さがエキセントリックだけどこっちもすごい繊細
だんだんしなやか
ふんわり超極細
最初の香りにびっくり
かわってる、渋すぎる畳みたいな野生
それがだんだん非常にかぐわしき
くろいしぶいかおりになった
食感は「生粉そば」の方がさらに、エキセントリックなまでの繊細さを感じたが
こちらも滅多にお目にかかれないような極細、繊細。
この粗挽きで、こんな繊細でこれだけしなやかな十割って、
ありえないですよね!?魔法使いなんですか???
うーん、どのお蕎麦を食べても完璧すぎて、魅力爆発すぎて、
私は完全にぶっ壊れてきています・・・
はにゃはにゃ・・・もうどうにでもしてください・・・
さて、最後の「二八蕎麦」。
他の蕎麦と比べると赤みを帯びた肌。
おや?これは珍しくも最初の香りはゼロでした。
ところが、これも後から、青畳のような、爽やかな野生が膨らんできます。
むっちりしたコシがあるが、それが弾むような強さではなく
ひじょーーーうにやわらかでやさしい食感なところがニクイ。
素晴らしすぎる。
こんなものすごい蕎麦スター様たちの旨みが
大量に溶け出した蕎麦湯がおいしくないわけがない。
蕎麦湯
いやーーーー!!!
これもお金払わないと申し訳ないような美味しさ!!
めくるめく、嵐のような恋のひとときを過ごして
店を出ると13時15分。
しかしもうとっくに「売切れ」の看板が出ている。
ここは11時30分の開店なので
実質1時間45分の営業時間!!
もはやこれは、ブロードウェイとかロンドンのウェストエンドに匹敵する
舞台、ショーみたいなものだな、とすら感じられてくる。
1時間45分という短い時間の間に
どれだけの物語と感動がここで生まれたのだろう。
(流石に畳に倒れ込んで咽び泣きそうそうになってる奴は
私くらいかもしれないが(笑))
山梨に「専心庵」があって良かった。
行くたびに興奮しすぎて心もお腹もえらいことになりますが
またすぐ行きますよー!
今度はまたBさんと行きたいな♡
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2022年11月25日
山梨・甲府「一草庵 紬」
甲府の高級お蕎麦屋さん!
同じ甲府の「一草庵」の息子さんによる手打ち蕎麦屋で、
眺めの良い荒川沿いにどっしり構える「一草庵」に対し、
こちらは甲府駅にもほど近い街中にあるモダンなオシャレ系。
今夜も大人気でやっと最後空いているところに入れた感じ。
すごいなあ〜
入り口入ってすぐ右脇に蕎麦打ち場があります。
カウンターは奥行きがうんとあって広々。
オープンキッチンスタイルなのでどんどん入る注文を一人でこなす店主と
ホール担当の若い女性スタッフの忙しさが伝わってくる。
お隣はワイン好きのグループのようで
ワインのペアリングを次々と楽しんでいる様子。
ワイン談義に花咲き優雅ですねえ〜♪
そんな横に、とにかくお蕎麦お蕎麦と目を爛々とさせた動物(私)が
座っております (≧∇≦)
こちらはお蕎麦の産地がその時々で変わるので
今日はどこかなー、楽しみ〜
冒頭で「高級」と書きましたが
お蕎麦のメニューはこんな感じ。
うっほー!
「二八蕎麦(もりそば)」は1,012円、
「限定十割蕎麦(十食限定)」は、せんろっぴゃくさんじゅうきゅうえん
でございます!!
もりそば2枚で2,651円という緊急事態( °o°)
「二色食べ比べ蕎麦」という有難いメニューにすれば
少し助かりますが、量的にも1枚ずつ食べたい私は
2,651円コースでいっちゃおうと思いまっす! (≧∇≦)
でも温かい蕎麦も美味しそうだなあ
豆乳蕎麦気になるぅぅぅぅぅ〜〜
そして「もりそば」と比べると
「かき揚げ天ぷら蕎麦」とかすごくリーズナブルに感じますよね〜
桜海老も惹かれる♡
一品料理も充実。
やっぱり甲府に来たからにゃ「とりもつ」だよね!♡
「そばがき」も「鴨肉アヒージョ」も「穴子の白焼き」も食べたい・・・
日本酒メニュー。
こちらもなかなか高級です。
テーブルにはお蕎麦の食べ方の指南書も。
かつて私は関西にあった某食べ方の厳しいお蕎麦屋さん(?)で
店主から直接、「まず何も付けずに食べてみてください」と言われ
「ハーイ!」と大喜びで食べ(ずっと見てるので視線が怖かったけど(笑))
「次に、添えてある岩塩を少しつけて食べてみてください」と言われて固まり、
困った挙句「え・・・イヤです・・・」と答えて
いつものように最後まで何もつけずに食べちゃったという珍話を持つ人間である。
(店主は去ってゆきました(笑))
というわけでこちらでもすみません、
いうこと聞かずに全部何もつけずにいっちゃうと思います〜( ̄∇ ̄)
(お蕎麦屋さんは蕎麦と蕎麦汁のコンビネーションに命を懸けているので
よいこはまねをしてはいけません。わるいこより。)
「二八蕎麦(もりそば)」
なんかこのカウンターの素材と置いてあるお酒、トレイという雰囲気が、
私の行きつけNさんにすんごい似ている気がしてきた・・・
こちらのほうがずっとゆったりしてますが〜(笑)
箸先から香りを寄せると、ふわ〜と軽やかに、
ちょっと強め激しめの野生が軽やかに香ってくる。
食感はエッジくっきりはっきりで
口に含んだ瞬間は硬めに感じるが噛み締めるとしなやかさもある感じ。
「限定十割蕎麦(十食限定)」
うわわわ
お値段も違いますが存在感も違いますねえ〜♡
箸先から香りを寄せると・・・おおお〜〜!!
なんとフレッシュで美しくさわやかな、最高の香り!!
それがしっかり濃厚に香ってくれて
初っ端からノックアウトされました(>_<) ♡
しかもですよ、その香りが食べ進むうちにさらに素晴らしくなっていきまして
たくましさ、香ばしさもプラスされ、
かぐわしさの全てが揃ったような、完全美の世界となりました。
食感は意外にも、先程の「二八蕎麦」以上のかなりパッキパキ。
シャープなエッジでしっかりかみごたえのあるやや硬めのお蕎麦。
そしてここは汁がまた巧い。
濃厚な旨味、甘味が見事に合わさって
たいへんまろやか、バランスがよい。
そして濃厚なのになんだが上がストーンと開いたような
スッキリさがあるのがよい。
蕎麦湯は濃いめだったが味はスッキリ系。
結局今日はどこのお蕎麦かわからなかったので
ぜひ聞きたかったのだが、とにかく店主は忙しそう。
カウンター7席、 テーブル12席?(個室もあるのでよくわからないが)
それで厨房一人な上にこの人気ぶりである。
次回は「豆乳蕎麦」と「そばがき」も食べるぞーー! (≧∇≦)
2022年07月11日
山梨・甲斐小泉「月舎(つきや」
久々にこの場所に帰ってきた。
虫の音しか聞こえない静かな別荘地に佇む、
木々に抱かれるような家。
昼しか営業しないお蕎麦屋さんが多い中、
夜やっていてくれるありがたーーーい存在。
街中ならともかく、こんな自然豊かな八ヶ岳の麓で
夜美味しい手打ち蕎麦が食べれられるなんて
本当にすごいことなのだ。
店内も木のあたたかみを感じる自然なインテリア。
コロナ対策の衝立などが増えたくらいで
イメージは前と変わらず嬉しくなる。
早速メニューを見てみると〜
うふふふ!!!
今日は(も)腹ペコにつきいっぱい食べようと思いまーす! (≧∇≦)
とにかく「せいろ」と「生粉打ちのせいろ」は絶対食べるとして・・・
お?
この価格設定に頭がぐるぐる?
「せいろ」780円
「海老の天せいろ(海老2尾と野菜)」1720円
「天ぷら盛り合わせ(海老2尾と野菜)」1520円
天ぷらの内容は同じに見えるのに
お値段が全然違いますねえ〜。
確認してみると、せいろについてくる天ぷらと、一品メニューの天ぷらは
野菜の量が違うのだとか!
なるほど、では他に色々おつまみも食べたいので
天ぷらは少なめの「海老の天せいろ」にして
お蕎麦の前に天ぷらだけ持ってきてもらえるよう
お願いしてみようーっと。
(よくやるテです、すみません (^^;) )
「合鴨焼」
焼いている時から素晴らしく美味しそうな香りが店内に満ちてワクワク。
他のテーブルからも
「なんかすごい旨そうな香りがする〜!」
との声が (≧∇≦)♡
揚げ焼きのような感じで皮がこれでもかとパリッパリ!おいしー!
やわらかジューシーとかではなく、
パリッと食感&かみしめて広がる肉の旨み、ワイルドな美味しさ。
これはとめどなくビールを欲する味!!
「鳥の山椒焼」
コロコロと少し離れて盛られた姿がなんとなくユーモラス。
こちらも、先程の「合鴨焼」同様、パリッパリ!!
山椒もガツンと効いて、旨味がコチンと凝縮している感じ。
「そばがき」
お皿にドンと盛られた姿が印象的。
(ちょっとナウシカのあの子たちを彷彿とさせる (≧∇≦))
ここのお箸はちょっとにおいが苦手なタイプでしたので
ここよりマイ箸登場。
最初に感じた香りは長野っぽい野生。
そのあとあまり香らなくなってしまったのだが、
味わいがなんとも言えず絶品!!
微粉なめらかで、お箸にベタベタくっついてしまうほど
ぽってりねっとりしているのだが、
そのモッチモチをモグモグ噛んでいると
グルタミン酸系の強烈な旨味があふれてくる。
香りはそんなにないのにいつまでも食べていたくなるおいしさ!
「海老の天せいろ」の天ぷら
大きな海老が2尾も入って、
しかもその思いっきりパリッ!!とした感じが
なんだかエビフライみたいなおいしさ (≧∇≦)
その他の野菜も美味しい。
ここは「合鴨焼」や「鳥の山椒焼」もそうだったが
鮮やかで小気味良い食感をとても大切にしているのが伝わってくる。
「せいろ」
みずみずしく艶やかに輝く流麗な輪郭線。
箸先から寄せた香りは、北海道とか長野のお蕎麦らしいかなり鋭い野生、
と思ったら、まさに北海道と地元八ヶ岳産のブレンドだった!
食感はかなりくっきりはっきりパッキリだが、硬いというほどではなく、
噛み締めると程よいコシがある。
味わいはすっきり。
「生粉打ちのせいろ」
こちらはやや太打ちで、先程の「せいろ」より
さらにつやつやと勢いを感じる輪郭線。
香りの方向性は「せいろ」とそっくりだが、
こちらの方がかすかに厚みのある香ばしさのようなものを感じる。
見た目の通りこちらは「せいろ」以上にクッキリパッキリで、
しかも太めでツルンツルンなので少々たぐりにくさがある。
(せいろの外に一本落下事件!笑)
噛み締めた質感もしっかり密だが、
こちらはその分噛み締めて広がる味わいがおいしい。
滋味深さ、何より甘みがどんどん深まる。
真っ暗な森の中にいるような気分になる静かな場所だが
厨房もホールも女性スタッフであるせいか
自然なやさしさと居心地の良さを感じるお店。
登山帰りの夜、血中蕎麦粉度の危機になっても、
月舎があるさ! (≧∇≦)
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2019年08月09日
山梨・八ヶ岳パーキングエリアの手打ちそば
高速のパーキングに、手打ち蕎麦があるという大事件。
しかも、朝6時から食べられるなんてますま凄い。
(山だの蕎麦だの、コッチ方面出かけるときは朝早いので〜)
よく考えてみてください。
パーキングエリアに、手打ちそばですよ!?
眠い目をこすりながらメニューを見ると・・・
おほーっ ほんとにあるよ!
「三分一湧水 手打ちもりそば」!!
ホンマでっか・・・
だっていまほんとに朝6時なんですよ〜
(7時オープンと聞いていたのだが開いていた)
ちなみに「三分一湧水」というのは
「日本名水百選」にも選定されている八ヶ岳の湧水。
「八ヶ岳パーキングエリア」という名前も
山ど真ん中な感じでもともと大好きなのに
そこで「三分一湧水 手打ちもりそば」なんて・・・
「朝一番に体に入るものが蕎麦」という至上の贅沢!!
ちょっとビビって舞茸天も頼んじゃいました♪
やや心配な時の保険ワザ?(心配なのか)
舞茸天だいすきだしね(≧∇≦)/
ドキドキ・・・どんなお蕎麦さんなのかしら〜〜〜
おお〜〜
濃いめの肌に細かに散らされたホシ。
ところどころにオレンジっぽいホシも混じり
やや透明感のある美しい蕎麦だ。
八ヶ岳南麓の蕎麦だそう。
箸先で香りを寄せると、ふわあ〜〜
渋い墨のような土のような、ストイックなかぐわしさ。
ちょっと海外の蕎麦に感じるような
(ネパールのそばがきディロとか、たまにフランスものも)
そんな香りに似ている。
そしてこの蕎麦、割合は何割なのかわからないのだが
不思議と小麦粉感はあまりない。
小麦粉らしい甘みもコシも感じない。
なのだが、全体的な風味がなんとも軽くコシもふわふわ軽い感じ。
しかし何と言っても朝6時にパーキングで手打ちそばを食べられた喜びは大きく
あんまり大きな声では言えませんが
お蕎麦だけで数十秒で完食しちゃったような!? (^^;)
水を得た魚っていうか蕎麦を得た高遠。
どうして人のお蕎麦はいつまでもたくさんあるのに
私のお蕎麦だけ蕎麦カマイタチにあったかのようにすぐになくなっちゃうんでしょう。
欲を言えば、せっかくこんな素敵なメニューを出してくれているのですから
蕎麦汁ももうすこしこの蕎麦に合ったものだったら
もっともっと人気出るんじゃないかなぁ〜〜
(平たくキーンと甘い激甘 )
舞茸天は、それはそれは大きなスナック菓子のようなカッキンカッキンぶりでしたが
目を覚ますには刺激的でよかったかも?(* ̄∇ ̄*)
ここに着いたときはほとんど寝ながら歩いてたのに
おかげで目が覚めましたとさ♪
2016年10月05日
山梨・長坂「白州手打ち蕎麦 くぼ田」
甲州街道「台ヶ原宿」。
江戸幕府によって整備されたこの街道は
日本橋から下諏訪まで56里(約219km)の道程。
そこに設置された38の宿場のうちの一つが台ヶ原宿だ。
今も本陣、脇本陣、問屋場などにその面影を感じるが
観光地というには静かでのどか。
そのバランスがとてもいい。
静かな通りで目を惹くのは
七賢で名高い山梨銘醸の酒蔵の建物である。
黒々、かっこいい!
シビれるぅ〜〜〜(≧∇≦)♡
その酒蔵から100メートルほど東に
なにやら人だかりができている。
なになに。本陣跡?脇本陣跡?
いやいや、お蕎麦屋さんなのでしたー!
店内玄関付近は待つ人でギッチリ、店前の道路にも人がいっぱい。
(写真は帰り際に撮影)
宿場町とは言え人通りは少なく山梨銘醸の前にチラホラと人影が見えるくらいだったのに
この大人気ぶりはすごすぎる。
店の横の駐車場はもちろん車でいっぱい。
一応玄関にある順番待ちのリストに名前を書いてきたが
どうも8番目になるらしい。
ううううぅ〜〜 心配。
ここは「二八そば」「十割そば」の2種類あるので
どちらかが売り切れちゃわないかものすごく心配。(>_<)
玄関内にいるとついソワソワしてしまうので
店の前に立つことにする。
するとこんな美しい景色が。
実は盆栽大好きの私。
順番待ちは楽しくないけれど一瞬にして心が洗われた。
なんて美しいのだろう。
この宇宙。この曲線。このバランス。
惹きこまれる・・・・
玄関内にもこんな松の景色が。
簡素だけれどセンスを感じる和の風景。
癒される〜〜〜
と盆栽ちゃんたちのおかげで楽しく過ごせた待ち時間。
意外にも早く順番が回ってきた。
しかも「二八そば」「十割そば」両方まだあるって!!
よかったぁ〜〜〜〜〜(T_T)
食べたいものはもう決まっております。
お蕎麦2種類でしょ、
その前に甲州のお蕎麦屋さんでは定番の「鳥もつ煮」!
店内は満員につき厨房は大忙しのよう。
しかししばらく待っているとなにやらおっそろしく良い香りが・・
このたまらない、濃厚な香ばしさ・・
アッもしや私達が注文した「鳥もつ煮」では!?
キャー やっぱりそうだった♡
「鳥もつ煮」
出ました、甲州名物「鳥もつ煮」!
山梨のお蕎麦屋さんではどこでも当たり前のおつまみなのであります。
ガツンと甘く、ぎゅううと濃い。
ハツ、レバー、砂肝に山椒がガッツリ、柚子も効いている。
これはお酒に合いますね〜〜
ちなみに「くぼ田」にはご近所の
七賢「甘酸辛苦汁」「絹の味」「なま生」
白州「森香るハイボール」などが揃っております♡
「二八そば」
ランダムに光をはじく、素朴な粗挽き肌。
褐色のホシ、その奥に影のような粒子も見え隠れし、
平打ちの輪郭線がやわらかい曲線を描いている。
箸先での香りはごく淡く、口に含むとみずみずしい独特の軽い食感に出会う。
味わいもみずみずしく淡いのだが、
独特の軽いコシを楽しむうちにかすかに香りが感じられてきた。
二八っぽい香りではなく優しい蕎麦の野生の香りであるところが嬉しい。
「十割そば」
丸鉢に四角い竹簀という組み合わせがユニーク。
鉢が深いので竹簀がちょうど浮かんで水が切れるようになっている。
印象も「二八そば」より特別感がある演出。
こちらも平打ち、やや粗挽きで、二八よりは密そうな質感。
二八で感じたのとはまた別の、不思議な野生的な香りをひそやかにまとっている。
噛み締めた質感は密で、やや固め。
味わいも淡いのだがその肌と舌が触れたところぎゅっと澄んだ野生が伝わってくる。
それを追いかけ、見つめるひととき。
(私の蕎麦駄文が官能的とか言われるのはこういうところなんでしょうか(^^;;))
「くぼ田」は汁もなかなか個性的。
甘さはやや甘め、くらいでなじみやすいが
出汁の風味がちょっと変っている。
それでいてちゃんとおいしい。
先程まであんなに大混雑、大賑わいだった店だが
今はもうすっかり静か。
昼の暖簾を下ろす直前の、一時の静けさを垣間見ることが出来た。
玄関を出ると力強い「手打ち蕎麦」の文字が見送りに出てくれている。
なんたって好きな言葉は「手打ち蕎麦」の私。
シンプルで力強いこの幟、大好きなんですよね〜〜!!
その文字、ハネ、ハライを見つめると・・ドキドキしませんか!?
しませんね!?
やっぱり私だけか・・・・(^^;;)
2016年09月23日
山梨・高根町「紬山荘」
店は森の奥にある。
ひっそりと、というにはかなり大きな立派な建物。
駐車場で車を降りたが入り口がどこだか分からない。
近づくと小さな看板があった。
しかしもう少し、建物の全貌を確かめてから入ってみたくなり
裏に回ってみる。
渡り廊下のあるユニークなお蕎麦屋さん・・?レストラン?
スパルタンな黒。
古民家というにはモダン過ぎ、新しく作ったにしては分厚い迫力がある。
一体どんな形をしているのか知りたくて
さらに向こう側の森に迷い込んでみる。
蝉時雨。
9月も半ばを過ぎたので山はもうすっかり秋かと思って来たのに
夏の名残が森じゅうに響いていた。
フィトンチッドが蕎麦の香りより好きな私は
深呼吸して歩き回る。
ざくろの実、柿の実、名前の分からないいろいろな実が実り
ちょうちょがヒラヒラと遊んでいる。
でも肝心の建物は木々に隠れて全然見えないなあ〜
と思っていたらこんなものに出会った。
え、これは・・・
もしや土塁ですか?ここお城なの?
昇太師匠教えて〜〜〜(≧∇≦)
離れるほどにやっぱり見えない建物の全貌。
血中蕎麦粉度がもう限界に下がってきたのであきらめて店に近づくことにする。
入り口は意外にも都会的なガラスの扉。
しかし二重扉になった中を覗くと
わわわ これは立派な古民家の趣ですよ・・・
うわー すごい!
訊けば、築200年超の古民家を新潟から移築してきた建物だそう。
全身黒、エプロン姿のきびきびしたスタッフの案内で
明るいテラス席に通される。
お座敷は座卓の席。
みんな歩きまわって喉が乾いたので
まずは何はなくともこれで、うはははー♡
「紬山荘」は昼は八ヶ岳伏流水で手打ちする十割そば、夜はフランス料理という
ユニークな形式のレストラン。
山荘というだけあって宿泊もできるオーベルジュになっている。
昼のメニュー。
かなり高級蕎麦屋な価格設定だがこの雰囲気なら十分納得。
右側の「蕎麦コース」は
蕎麦をいくつ選ぶかで値段が変わるシステムになっている。
眺めるほどに煩悩が刺激されまくりだが
今日は大好きなみなさんとご一緒なので
いろいろつつけることをちゃっかり期待して
結局私はいつものところに着地・・・・
「もりそばください」(≧∇≦)/
イケる口の皆さんはビールから早々とこちらに。
「男山 特別純米(北海道)」
日本酒大好きな私。
いつもは必ず味見させてもらうのだが
今日は昨晩のお酒の記憶が体に残っていて舐めることもできず・・
とか言って昨晩もビール3口+お酒3口くらいだったんですけど・・
どんだけ小鳥?(* ̄∇ ̄*)
「厚岸産 牡蠣」
うっぴゃ〜たまりません♡
アニサキスアレルギーを発症して2年、我慢大会のような毎日を送っている私ですが
牡蠣は大丈夫なんです(≧∇≦)
ああああ 磯の香りのしあわせ。
ミルキーでおいしい〜
「蕎麦コース」の前菜。
なんと意外にも「キッシュ」でした。
さすがは夜はフレンチレストランなお蕎麦屋さん、面白い〜
しかもニシンのキッシュであります。
「紬山荘」名物と言ってもいい「すだちそば」。
その美しさには目を見張らされた。
小さな高台付きの器もいいし
何より緑を背景に眺められるのが素晴らしい。
絶賛しまくってついに一口もらっちゃいました!(* ̄∇ ̄*)
思った以上に超すっきりー!
甘さは潔いまでになく出汁も澄み渡っていて
すだちの香りがものすごく軽くすっきり感じられる。
ここまでやるか!のすっきり「すだちそば」、すっごくおいしい!!
単品でとってみんなでつついた、
「桜海老のかき揚げ」
なぜかパニーニ的スクエア型を切ったようなユニークなかき揚げ。
食感もギッチリ海老みっちり、下のほうは板状になった部分もある。
海苔好きとしては青海苔がうれしい。
私のお蕎麦きたぁー!
ああ やっぱり自然光の下で出会うお蕎麦は最高だ。
ガラスの汁徳利が涼やかでユニーク。
うわっ
ちょっとこれはびっくり、
期待をはるか上回るめっちゃめっちゃいい香りがしておりますー!!
フレッシュでさわやかな青いかぐわしさに全身が洗われるよう。
一気に雲の上に連れていかれました。
繊細な極細切りのなめらか肌はつるんつるんムニュンムニュンとユニークな食感で
スタッフが
「お蕎麦は蕎麦の修行をした蕎麦職人でなく夜のフレンチも作るシェフが打っている」
と案内してくれたのを思い出した。
それが口内にそのまま伝わってくるような新鮮な感覚だ。
この時なぜか私のお蕎麦だけがものすごく乾きが早く
あっという間に固まってくっついてしまったのだが
その後に来た他の方のお蕎麦は全然大丈夫でした♪
(↑ナントカ言いながらそのお蕎麦もしっかり味見させてもらった蕎麦犬)
秋田の夏新蕎麦。
「すだちそば」の器も気に入ったがここは器が実に面白い。
蕎麦汁は大胆なまでに甘さを排除、
出汁も変わった香りで超すっきり&個性的な味わい。
「もりそば」を食べ終わったらこんな楽しい景色に出会った。
「蕎麦湯」
「辛味大根おろしそば」も美味しいと聞いたので食べてみたくなり
共謀してはんぶんこすることに♡
おおおお〜
おろしそばなのに天かすがのっているのが嬉しい。
しかもそれが絶妙に「少なめ」なのが上品〜♪
のりすぎちゃったら冷やしたぬきになっちゃうわけで ううーんウマイなあ〜
しかもこれまた「すだちそば」同様、潔いまでに甘み無く超すっきりな出汁。
そしてこの蕎麦の質感はものすごい。
もりそばで感じたつるんつるんムニュンムニュンがキンと冷えた汁の中でさらに極まって
つるんつるんつるん〜ムニュンムニュンニュン〜と目が覚めるような透き通った世界。
これも一口もらった「鴨せいろ」の鴨汁。
あらっ これは逆に山椒が効いて酸味があってガツンとした旨みであります。
しかしこれまた甘味は少ないので洗練された感じで
嬉しい、意外なおいしさ。
「蕎麦コース」の方の「デザート」。
チーズケーキと、添えられているのはマンゴーソース。
楽しいランチタイムが終わり帰ろうとしたら
なんとラッキーなことに館内を見せてもらえることに。
知らなかったのだがディナータイムのフレンチはここではなく
2階が使われているらしい。
外から見えていた渡り廊下を渡ると・・・
ちょっと教会のような、屋根裏のような素敵な空間が。
三角の天窓も寄木張りの床も素敵〜
さらに階段を上がると宿泊できるお部屋が♡
うっふふふー もったいないのでお部屋の写真はナシで〜〜♡
(泊まったわけでもないのに何を浮かれているのか)
2部屋しかないので2組で来ても楽しそうだし
何よりそんじょそこらのリゾートホテルではありえないプライベートな静けさが魅力。
夜のフレンチはどんな感じなのかなー♪
2011年09月20日
山梨・高根町「ichi」
ここに帰ってきたよろこび。
万感の想いを込めて、
新生「ichi」!
山梨県高根町の大好きな「いち」が
蕎麦の営業をやめて早一年。
カフェ「ichi」として人気を集めているとは聞いていたが
また蕎麦も再開したらしい。
早速、イケメンズと連れ立って3人、
喜び勇んでやってきたのだが・・
こ、この看板の素敵さは、一体!!
ここの店主は図抜けたセンスと才能のアーティスト。
絵本の中の、と表現するほど可愛らしすぎず
アンティークな、という言葉が似合うほど気取った欧米風でもない。
日本のガラクタの美しさをひょいひょいっとすくい上げて
ichiの世界におさめてしまう。
もうこの看板だけで私は胸がいっぱいだ。
「ichi」に帰ってきた喜びと、
これからはじまる楽しい時間へのワクワク感!
築130年の、元は病院だった建物。
「明治病院」の看板は健在だ。
店内は、古民家レストランによくある
「天井とっぱらって吹き抜けにして広々、洗練の空間」
というようなことをしていないので
パッと見は天井も低いし家具や物が沢山あって広さの割に狭い印象。
しかしそれぞれの席に座ってみると
驚くほど落ち着いた、リラックスできる空間になっている。
店中に散りばめられた「ichi」らしいセンスのインテリアは
宝探しのようでついウロウロ。
そのセンスの良さにはいちいち(洒落かっ)唸るばかり。
以前使用していたらしい、メニューの値段用かな?
可愛らしい消しゴム判はもちろん店主の作。
さてさて、それではそろそろお蕎麦を・・
とメニューを見ると
ええっっ
なんとっ
「もりそば」がない??
書かれている蕎麦メニューは
「揚げ茄子のおろし蕎麦」
「ごぼう天のつけ蕎麦」
だけで、あとはカレーやハンバーグ、自家製パンなど。
しかも「ごぼう天のつけ蕎麦」は本日売り切れなので
今ある蕎麦メニューは「揚げ茄子のおろし蕎麦」のみ。
ここで慌て過ぎて、
「揚げ茄子のおろし蕎麦」は「蕎麦の上に汁や揚げ茄子がかかったぶっかけ」、
と勘違いした私。
突然池からはみ出してしまった鯉の如く窒息寸前ジタバタ大慌て。
そんな〜、「ichi」のお蕎麦を、お蕎麦だけで食べられないなんて(>_<)
あのぅ〜〜 本当にすみませんが・・・
「揚げ茄子のおろし蕎麦」3つはほしいのですが、あと追加で
「ごぼう天のつけ蕎麦」のごぼう天はなくてもいいので
お蕎麦だけをいただくことは出来ます、か・・?
(ジタバタジタバタ)
「いいですよできますよ〜」
と言ってくれたお店の方がちょっとキョトンとしているなと思ったが
「揚げ茄子のおろし蕎麦」が運ばれてきて納得。
まずはつけ汁だけやってきたのだ。
なぁーんだお蕎麦と汁は別々の「つけ蕎麦スタイル」でしたか!(^o^)
それにしてもこの豊かな眺め・・・
茄子ばかりでなく
畑の恵みが、お皿にぎゅううとてんこ盛り。
にんじん、じゃがいも、ズッキーニ、ベビーコーン、ゴーヤ・・
素揚げされた野菜達に、なんたって「鬼おろし大根」が
ジャキジャキ、いいアクセント。
鬼おろし、いいですよね〜
そして、お蕎麦がやってきた。
ゆるゆるのんびり
ざるの上にぽーんと投げ出されたような
リラックスした表情の蕎麦。
たぐり上げて思わず声が出る。
ごめんなさい、店主の「のんびりどうぞ」という気持ちは伝わってくるのだが
私は全くのんびりできておりません。
このすんばらしい香りは何ですか。
フレッシュで爽やかで、
私の全身を吹き抜ける山の風のような
鮮烈な蕎麦のかぐわしさ。
そしてさらにその食感。
ふんわりと口中にひろがり、噛みしめると余裕のコシ。
香り高い空気感と弾力。
もはや錯綜した形容詞の羅列でしかないが、私の頭の中は錯綜の極みである。
ああー だっておいしすぎる。
思わず、偶然席の後ろにいた店主に興奮して話しかける。
「お蕎麦、美味しすぎます!」
店主、ちょっと可笑しそうに、でも少し考えてから真面目に
「・・普通です」。
聞けば、お蕎麦メインだった以前とは違い、
今は「カフェで食べる蕎麦」ということで
作り方は同じでも以前ほど気持ちとして蕎麦に力は入れておらず
あえて「もりそば」というメニューは作らなかったそう。
「それで、野菜と一緒に来た蕎麦が ”あ、おいしい”っていう感じで
今はちょうどいいかなぁ〜って」
(>_<)
全く、才能ある人は
こーんなかっこいいこと言ってしまうのだ。
しかし、それもそのはず、
今店主が夢中なのはこの築130年の建物の、さらなる大改造。
今までほぼ眠っていた2階部分にも手を入れ始めたのだ。
「まだできてませんけど、どうぞ〜」
とのことで
まるきり、トトロのメイちゃん気分。
まっくろくろすけが、ぐわぁあああああ!!
って出てきたらどうしよう。
ウハッ
かわいい字で「いらっしゃいませ」だって。
だいじょうぶそうだね。
ふあー これは。
ひろびろとした2階いっぱい、
なんと懐かしく楽しい、不定形な空間!
吹き抜ける、色も香りも緑の風。
窓際の椅子から眺める、古い建物の形にふちどられた空。
まさに今、店主の世界がここに大きく飛躍しようとしている。
彼の視野には将来的にここでのライブやイベントもあるようなので
ますます楽しみだ。
これは確かに「蕎麦がメイン」という感じではないぞ・・
主役でない蕎麦がおいしい。
うーん、ニクイぜ、ichi。
<おまけ>
これも店主の最近の作品。
店の裏の駐車場が、緑で出来ている!!
やられたぁ〜〜
可愛すぎるぅううう(>_<)
10月7日(金)、ライブ@江古田バディ、来てくださいねー!
2011年09月18日
山梨・小淵沢「なかしま」
青空を飾る白い雲。
イケメンお二人とこんな素敵な休日。
おおー
お蕎麦屋さんと思ってきたけど、目の前にそびえるは
トトロの森か山城か?
(参考資料→「城あるきのススメ/春風亭昇太」)
登ってみよう。
あのー
どうみても「家」ッス。
これ以上近づいてもいいんでしょうか〜?
武田の矢が飛んでこないでしょうか〜?
よく見れば入り口らしきところに「不況に負けず営業中」の文字。
わぁーいよかった!
任せてください、イケメンズも一緒ですから、いっぱい食べますよ!
ヨーロッパの田舎風のような、
日本の古民家風のような・・
いろんな木の色が混在する、いかにも手作りの風情の小屋は
ここにしかない「なかしま風」。
空気の美味しさ、窓辺の緑の気持ちよさは
筆舌に尽くし難い。
「なかしま」のおもしろいところは
「お蕎麦のお代わり不可、注文したら人数分一緒盛り!」
というところである。
都会の気取った薄盛り蕎麦から考えたらなんて乱暴な、と思えなくもないが
蕎麦がやってくると、これまた楽しいものだ。
「お代わり不可」と聞いて、3人なのに4人前頼んだ一生育ち盛りチーム。
やってきたお蕎麦は確かに壮観のボリューム!
でもこうして写すと、別に普通の一人前に見えてしまうかも?
「4人前一緒盛り」を写真で表現すべく
お二人に同時にたぐる演技をお願いして撮影。
(なんたってお一方は俳優さん)
(演技過多気味なのは監督の腕が悪い〜(^^;;))
山の澄んだ空気に乗って
ふわぁーっと鼻腔に届く爽やかなかぐわしさ!
口に含むとひんやり、しっかりとしめられた硬く細い輪郭線。
しかし噛みしめると硬さは全くなく
むしろやさしい土のような食感。
なにより魅力的だったのはその肌の凹凸感。
なんというか、細かい粗挽きというか・・(わけわからん)
ビスクドールの肌のような
細かな細かな、繊細な凹凸感が口中を撫でていくのが
実に美しかったのだ。
急いで食べないと最初に感じたフレッシュなかぐわしさが
消えて行ってしまうのだが、
そこは4人一緒盛りですから!
誰ものんびりしちゃいません。
弱蕎麦強食、早いもん勝ち!
(一緒もりの狙いはこれかしらん?(^^;;))
帰り際、いかにもこの店の主らしい、
豪気な雰囲気の店主と二言三言、山の会話。
ああ 山はいいなあー
10月7日(金)、江古田でライブやりまーっす!(^o^)