2020年01月15日
牛田「あららぎ」
最寄駅は京成牛田駅だが北千住からも歩ける距離。
牛田駅から北千住に抜ける便利な通り沿いだが、付近は静か。
すっきりと美しい外観が
うららかな冬の日差しをあびて、輝いて見える。
外からは中の様子は伺えなかったが、店内に入ると満席だった。
「しばらく外でお待ちいただけますか」と申し訳なさそうに言われたが
こんないい天気の午後だもの。
これから出会える蕎麦へのワクワク感を募らせながら
待つ時間の楽しさ!
入り口のメニュー。(と、それを撮影する私の影 (^^;) )
うふ。
もう見てるだけで読んでるだけで血中蕎麦粉度が上がってきそうな!!
(ついには蕎麦を体内で自家生産するのか)
魅惑の文言が私を誘惑し、楽しみすぎてどうしましょう。
お目当ては「蕎麦の膳 せんじゅ」なんだぁ〜! わくわくわくわく
まだ新しいだけあって明るく綺麗な店内。
二階への階段下の空間には機関車のディオラマがあって
ヨーロッパのどこかのような街並みが可愛らしい。
これ動くのかなあ〜
大人も子供も楽しい気分になる、夢のあるインテリアだ。
あの張り紙にもときめきまくり♡
うひょ〜
福井だよ大野だよ早刈りだよ〜〜〜っ!
もう一刻も早くお蕎麦に会いたくて落ち着かないが
ここはお蕎麦以外もとっても楽しくてですね・・・
お酒のセレクションもとっても惹かれるのでつい欲望のままに暴走したくなるが
本日は夜もお蕎麦の予定がありまして・・・
というわけで、やはり初志貫徹で、
「蕎麦の膳 せんじゅ」にしました!
「蕎麦の膳 せんじゅ」
もうこれは、アイディアがまず素晴らしい!
こんな小箱にこんな素敵なセットが盛られてきたら
そりゃあもう嬉しいやら飲みたいやら、になりますよね!?
左「蕎麦味噌」
ここの蕎麦味噌はねえ〜〜 本当に本当に美味しいのです。私大ファン!
くるみや揚げた蕎麦米が入っているのだが、それがカリカリと素晴らしい食感。
とにかく香ばしく、味噌や薬味の味わいが最高。
私は炒った蕎麦茶とか蕎麦ガレットとか、蕎麦の香ばしさが冗談じゃなく麻薬的に好きなので
それこそ「脳に沁みるような」美味しさである。
多分出す直前に蕎麦味噌と揚げた蕎麦米を合わせ、
その上表面をバーナーで炙るという手間のかかることをしていると思われる。
手間はかかっても、本当に美味しいものを出そうという心意気がすごい。
でもこんなに飲みたくなるもの、困るんですけどー!
真ん中上「蕎麦豆腐」
炊いた蕎麦米がところどころぽこぽことした食感。
つゆがかけてあるが、蕎麦豆腐そのものはごく薄味でなんだかミルキー。
ごくうっすらと牛乳のような風味を感じる上品な美味しさだった。
左下「だし巻き卵」
事前予約しないと買えないほど人気だという、
埼玉県杉戸の坂斎養鶏場のプレミアム卵使用。
かえしで味付けしているとのことだがだし巻き卵としてはかなり甘め。
食感は見た目の通りみっしりと固めである。
こんな盛り合わせなのにちゃんとおろし付きで嬉しい。
右下「蕎麦雑炊」
「お正月で疲れた胃を労わるために雑炊にしました」
とのことで、優しい薄味を想像をしたのだが
これがガッチリとインパクトのある美味しさ!!
埼玉県杉戸の武井鶏園の合鴨となめこが入っている。
優しいけど鴨肉の旨みががっつりひろがって、これおいしー!
天ぷらはなんと、厨房からバットに入った揚げたてを
席まで盛り付けに来てくれた。
お蕎麦やさんの、しかもランチで、天ぷら屋さんのようなサービス。すごい。
お蕎麦やさんで食べる、スナックみたいにバリッバリの天ぷらも大好きだが
こちらは繊細なふんわり優しい薄衣。
いかにも女性店主の蕎麦屋らしい上品さだ。
そしてこのエビの立派さ、食べごたえにも感動!
つい最近浅草の食堂で「ものすごく小さなエビで大きなエビフライを大変上手につくってあるもの」
を食べたばかりなので余計に感動してしまった (^^;)
そしていよいよ・・・
うわあああああああああ
ナニコレ なにこの青さ!!!
こ、これは来ちゃいましたよ
あなたは、絶対に美味しい!!!!!!
あああああああああああ
ああああああああああああああ
脳が、イカレる・・・
なんでしょう この1000点満点の美味しさは!!
目で見て心射抜かれる美しい青さ。
その肌から漂う、爽やかで軽やかで美しい青い香り。
儚いほどごく優しく繊細な舌触りながら、コシはきちんとあるのが魔法のよう。
そのコシを噛み締めて溢れ広がるフレッシュな味わいは
まさに新蕎麦。まさに早刈り。
食べている間中うおーうおーと吠え続ける私はかなりうるさかったと思うが
幸いもう他のお客さんは誰もいない。
「私とお蕎麦の間に入るものは汁すら許さない」という痛い発言を普段から憚らずしている私には
お蕎麦とふたりきり、夢のような時間である。
あああああああああ
今日 あなたに会えてよかった・・・
「汁すら許さない」なんて書いてしまったが
(くだらんことを言うから蕎麦原理主義なんて渾名をつけられるのだ)
蕎麦汁は蕎麦湯の時のお楽しみ。
「あららぎ」の蕎麦汁はちょっと出汁の味わいが個性的だが
すっきりめで、とても美味しい。
ちなみに鴨せいろのつけ汁はこんな感じ。
こちらも埼玉杉戸の武井鶏園の合鴨が、ごろごろ入っている。
出汁巻き卵が甘かったのでこちらも甘めかな?と思いきや甘くはなかった。
やや濃いめ、うまみがストレートに伝わってとても美味しかった。
デザートは、小さな器に入ったコーヒゼリー。
うーん!
コーヒーゼリーというメニューといい、この小ささといい
センス感じるなあ〜!
もうお腹いっぱいなのだし、ちょこっと、が嬉しいんですよね。
しかもコーヒーゼリーなら、男性でもお年寄りでも
私のように甘いもの苦手の女性でもうれしいではないですか!
種ものも好きなのに、お蕎麦の香りを偏愛するあまりなかなか注文できない私。
ここの「越前おろし蕎麦」もすごく気になっているので
今度は「蕎麦の膳」はあきらめて
「せいろ」と「越前おろし蕎麦」を頼もうかなあ〜!
でもまたどうせ「蕎麦の膳」に誘惑されると思う・・・
そして今度は蕎麦味噌で一杯やっちゃうと思う!! (≧∇≦)
2014年10月12日
綾瀬「重吉」
「綾瀬」駅より徒歩1分。
駅前から正面に伸びるきれいなレンガ通りをチョチョチョッと歩いただけで
このような素晴らしい名店に辿りつけてしまうということが私には信じられない。
ディズニーランドのために作られた「舞浜」駅のように、
「綾瀬」駅がこの店のために作られたような気すらしてくる。
「綾瀬」駅、素晴らしすぎる!
昼の開店は11時と早めで、この時11時30分。
店に入るとなんと満員!
少し待ってやっと入れる。
おばさまグループ、若夫婦、親子連れ、男女グループ、
客層は様々で皆実に楽しそう。
本日の蕎麦は「茨城・常陸秋そば」と「富山在来」らしい。
ドキドキしつつ限定5食の「アレ」と「せいろ」を頼み
ぼんやりと「重吉」の昼の風景を楽しむ。
店内の石臼。
手挽き用の石臼。
これはきっと「アレ」に使うんだろうな〜・・
なーんて考えながらすっかりのんびりしていたら
なんと「アレ」から来てしまった!!
じゃーん!
「重吉」の限定5食、
「田舎」
うははーい ばんざーい!
「重吉の田舎」のザックザクの超粗挽き肌!!
感激余って連写してしまいましたが、
これでも粗挽きっぷりは以前より相当マイルドになっております。
以前は粗挽きの割合がさらに多かったため
何をどうやったらこんな粗挽き粒が蕎麦の形につながるのかと思うほど
ゴッツゴッツのジャッキジャキ、
国内最高レベルのぶっ飛んだ粗挽きだった「重吉の田舎」。
今日のはかなり微粉もかなり入っているらしく輪郭線は比較的つるりマイルド。
水分をまといピカピカと輝き、粗挽きと微粉のいいとこ取りが期待できそうな
なんて美味しそうな「田舎」!
箸でたぐるとずっしり感じ、ドキドキときめきながらそっと香りをよせると・・
あれ?あんまり香らない?
かすかにスモーキーな渋い香りとさっぱりした味わい。
ところがどっこい、それはこちらの蕎麦が思い切り冷たく締められているためで
食べ進むうちに香りが膨らむこと膨らむこと!
スモーキーさはより深まり、渋い香ばしい墨にも似た香り。
それに加えふくよかな穀物の香りも加わってきた〜〜た、たまらない!
食感も最初はやや硬めでつるっと感の中にゴツゴツがあったが
今は全体がなじんでふっくらザラザラゴツゴツ、
お、お、おいしすぎるんですけどぉおおお〜〜〜!!
しかもこの「田舎」だけではなく「せいろ」も食べなきゃ
「重吉」の凄さはわかりません。
打って変わって白めのすんなり。
なんとやさしく、美しい姿・・・!!
(>_<)
(>_<)
もうね、
私参っちゃいますから。
あの「田舎」を打った人がこんな「せいろ」を打っちゃうかっこよさ。
なんとバランスの良い、王道の最高の「せいろ」なのだー!
フレッシュさ、こうばしさ、上品な野生、ふくよかな甘さ、滋味深さ。
蕎麦の美味しさの要素すべてをバランスよく濃厚にまとい
しかも食感もするりしなやか、やさしく豊かなコシ。
とにかく何もかもが王道にして最高!!
おいしいーー!!もう私、綾瀬に住みたい!!
(いやアナタ方方でそんなこと言ってませんか?)
店内混雑につきお店の方は大わらわで飛び回っていたので
どちらがどこの蕎麦か訊くことはできなかったが
これはやっぱり「せいろ」が「常陸」で「田舎」が「富山」だろうなあ〜
ちなみに「鴨せいろ」はこんな感じ。
お店を出ると12時45分。
まだ13時前だというのになんと・・
お蕎麦売り切れ!!
ヒャー(゜▽゜;)
美味しいものは放っておいてはもらえないんだなあ〜。
やっぱり綾瀬駅は「重吉」のために作られたのかも(^^)。
(それは冗談としても、あの駅からの綺麗な石畳は
どうしても「重吉」へのプロムナードとしか思えない・・・(^^;;))
2012年08月31日
足立区某駅前「某撮影不可店」
ちいさな平和に、またまたスパイが・・
前回も散々言い訳の末
「もう撮りませんからお許しを〜」とか言って掲載したくせに
きゃーまた撮っちゃったー!
何せ店内には
「写真撮影お断り」
「インターネット等への書き込みお断り」
とはっきり書いてある。
しかし、ファン心理というのは
そう簡単に封じられるものではない。
私はその美しい姿を写真に撮り、愛を叫びたい。それだけなのだ。
誰にも気付かれないよう、
店の平和な雰囲気を壊さぬよう、
ご迷惑のないように撮りましたから、
しかも店名は掲載しませんから、
何卒お見逃しを〜!
「粗挽き田舎蕎麦」
かろやかに、自在にラインを描く粗挽きの肌。
たくましくも生々しいような香りが、
むううと迫り来るかのように強く香る。
箸先にたぐると驚くほど軽く、ほろほろと密度が薄いイメージ。
しかし味わいはどこまでもぎゅううと濃く、
何よりこまかなこまかな、舌に痛いような「極こまかいジャリ感」が
この蕎麦の特徴だろう。
「手打ちうどん」
この店は蕎麦だけでなく、うどんがまたびっくりするほどおいしい。
私は特にうどん好きではないが、このうどんの美味しさにはちょっと唸らされる。
色も濃いけど味も濃い。
つるんつるんの肌からは噛まずとも味わいが感じられる。
口に入っただけで「おいしい!」と嬉しくなっちゃううどん。
小麦のおいしさをここまで鮮やかに濃縮させるとは・・
美味しいお蕎麦もそうだけど、
美味しいうどんも何もつけないのが一番美味しいんだなあー
「せいろ」
これまた見るからに空気感を感じる蕎麦だが、
今日のせいろはいつもよりも密度が薄くかる〜〜い食感。
あの特徴的なビスクドールのような舌触りも今日は感じられない。
ほんのり甘い香りとやや渋い香りが入り混じっている。
製粉にかける情熱がものすごい店ゆえ、その蕎麦ごとに製粉の仕方もかなり違うようで
来る度に印象が違うのも面白いところだ。
テーブルが3つだけの小さな店内には
常連らしい近所のサラリーマンが2組。
昼の最も忙しい時ではあるが、ごく静かで平和な眺めだ。
店のおばちゃんは相変わらずとても親切で感じがいい。
撮影禁止、書き込み禁止。
店はこうして、この店の穏やかな時間を守っている。
(アンタ自分の悪事を棚にあげて何を・・(^^;;))
2011年10月24日
某所「某取材拒否店」
随分前のことだが、私が出演していたイベントに
清水ミチコさんがゲスト出演した。
モノマネがどれもそっくりで本当に面白かったが
特に可笑しかったのが
「物真似をするときは一応その方の許可を取るのですが
今回どうしてもOKを下さらない方がいらして、
エ〜その方のを次にやりますっ」
とサクっと言って「DHCのCMソングを混ぜた愛の讃歌パロディ」を
ソックリ声で歌い出したこと!
それに習うわけではないが・・・
拙著「蕎麦こい日記」の巻末の「おすすめ蕎麦店データ頁」に
掲載させていただいた店の中に1軒、
「写真撮影お断り、インターネット等への書き込みもお断り」
の店がある。
データ頁は店名、住所等のデータと私の一言のみで
写真も取材もなしだったため許可が下りたのだ。
大好きな店ゆえ嬉しかった。
シカシね・・・
やっぱり私も人間ですから、時にはおさえ切れず
愛に任せて暴走してしまうこともあり・・
名前を出さなければギリギリ許してもらえないかしらん・・
この肌は、唯一無二。
ここにしかない独特の、ビスクドールのような肌。
すべすべ、しかしごく細かくざらざらとした繊細な刺激に驚き、
そして酔わされる。
ふっくらとした歯ざわりのなかに
美しい甘みと味わいが閉じ込められている。
「ほんもの」の美しさが、私に染み渡る。
粗挽きの田舎、今日はせいろと肌感が似ている。
ビスクドールな恍惚刺激肌。
しかしこちらの方がしっかり噛みしめるだけに
味わいがじんわりと深く
肌に酔い、その味わいに酔い・・
ここの蕎麦の慎ましくも不動の魅力は、
私にとってやはり唯一無二なのだ。
拒否拒否言われるとなんだか感じの悪い店かと思いがちだが
まったくその逆である。
店は小さく静かで、近所のお年寄りや常連が
静かに美味しい蕎麦を食べている。
奥さんは営業的でない、独特の親しみ深い笑顔で
(特に可笑しいことは言っていないのだがこちらも笑いたくなるひょうきんさがある)
「これ美味しいよ」などと教えてくれる。
テレビの音、平和な午後。
店は厳しい姿勢を持って
この小さな国をまもっているのだ。
その国に本日紛れ込んだ犯罪者一名。
シャッター音が全くないカメラをいいことに、全く・・・
もう撮りませんから、お許しを〜〜!