代々木上原駅と代々木八幡駅の真ん中くらい。
いい感じに商店や飲食店が連なる「都会の商店街」に現るこの姿。

店名は暖簾の端に小さく書かれているのみ。
隣の大きな壁は「無」と言っているかのようにその表情を隠している。
店内の様子は伺えない。

入り口横のメニュー。

ここはちょっとユニークなシステムになっていて、
20時まではコースのみ。
20時以降からアラカルトが頼めるらしい。
本日は18時より、コースの予約をして
張り切って参りました〜! (≧∇≦)
店内は白木を基調としたすっきりと気持ちの良い空間。
ストイックな外観から、やや緊張感のある雰囲気を想像してしまったが
そんなことは全くなく、かえって郊外にでも来たかのように
自然で軽やかな空間だ。

テーブルが二つとカウンター席があるのだが、席数に対して
空間が思い切り広く取られている。
ひょっとしたら時節柄テーブルを減らしている可能性もゼロではないが
カウンターの後ろのスペースの広さを思うとおそらくそうではないだろう。
この広さは実に贅沢でいい。
テーブルにはあらかじめ本日のコースの内容が置かれている。

おひょーっ!!
これは見るからに美味しそう!!
センス感じるぅ〜〜
楽しみだなぁ〜〜〜〜
まずは喉が渇いたので♡

今日はこの後があってお酒が飲めないのでノンアルコールですが(^^)
「前菜」


「蕎麦豆腐のフルーツトマト餡かけ」。
夏らしいトマトを使いつつ熱々の前菜。
意外な楽しいメニューでのスタートにますますワクワク。
蕎麦豆腐は揚げてあるので揚げ出し豆腐みたい。
油の感じがずっしりして食べ応えがあり
あつあつのトマトの酸味との組み合わせが新鮮で美味しい。
そして何と言ってもこの盛り合わせが楽しすぎました!!
きゃ〜〜〜〜
「蕎麦前盛り合わせ」


いやー、だいたい私はどこの国に行ったって
前菜の盛り合わせってもんが大好きなのですがね。
「えもり」の「蕎麦前盛り合わせ」はとにかくセンスが素晴らしい!!
ちいさなひとつひとつがたいっへんに美味しくて
いちいちビンビン感動させてくれました〜!
雲丹の佃煮
木の子の煮こごり
鶏の西京漬
しらすと山椒
おから
出汁巻き卵
玉蜀黍の薩摩揚げ
鰊やわらか煮
「雲丹の佃煮」は、もう「お酒ぇーーーー!!」と
叫びたくなる位美味しかった!!(最高の賛辞 (≧∇≦))
反則すぎる旨味の塊!!
「木の子の煮こごり」もじゅわ〜っとやわらかく
出汁が深くて最高。煮こごり大好き。しかも木の子とは!
「鶏の西京漬」は西京漬感はなぜかあまり感じなかったのだが
うまみが凝縮されていて大変美味しかったです。
「おから」は甘めの味付け。
「出汁巻き卵」の美味しさにもビックリ。
全てを限界まで控えて卵のうまみが最前面に出ている見事さ。
それをしたから支える出汁のさりげない旨味。
す〜ば〜ら〜し〜い〜♡
「玉蜀黍の薩摩揚げ 」
見た目パイ?お菓子?みたいでなになにー?と思いましたが
優しい甘みで中は茶碗蒸しののようななめらかさ。
とうもろこしの香りが濃厚で、これもおいしい!
「鰊やわらか煮」も、これまた絶品。
どうしたらこんなにきれいな形のままこんなに柔らかく美味しく
炊けるのかというすばらしい食感で
味つけも大変美味しく、
ちびちび大事にだいじに食べました (≧∇≦)
「挽きたてそばがき」

縦長型を縦向き置きとはなかなか珍しいスタイル。
粗めのざっくりした肌に期待が高まるぅ〜〜〜
本日のそばがきの蕎麦の品種は鹿児島・鹿屋在来種。
大好きな品種です♡

無数に浮かぶ赤褐色のホシ、白いホシ。
その奥にゆらめく陽炎のような無数のホシたちに
吸い込まれるように見入り、ときめく。
箸先で香りを寄せると、フレッシュな緑の、たまらなく美しい香りに
目がさめるような思いがする。
口に含むとかなりやわらかめで、やさしいザラザラ感のあるもっちり。
もっちりだけれど嚙み切れる。
ゆるーくした道明寺桜餅のような質感だ。
しかもその中からグルタミン酸を感じるほどの、
上質な蕎麦だけが持つ究極の旨味がジワ〜・・・ああシビれる♡
ただ香りも旨味も最高に素晴らしかったのだが、
どちらもやや弱めで、そばがきとしてはおとなしいかな?
「からすみ蕎麦」


なんたって私はからすみが大好物。
香りの良いオリーブオイルも大好物。
こんなの美味しいに決まってますよねえ〜♡
このオリーブオイル、とっても良い香りです。
お蕎麦はもっちりしっかりした質感、手打ちの十割蕎麦。
ただ、この手のイタリアンアレンジ蕎麦って
とっても美味しいし大好きなのだが
手打ち蕎麦を偏愛する私はどうしても、
「これを手打ち十割のお蕎麦でやってしまうのって勿体なすぎませんか!?」
と思ってしまうのだ。
これはパスタでやっても十分美味しいし、蕎麦感出すなら
乾麺のピッツォッケリ(蕎麦粉のパスタ)で作っても大変美味しいと思う。
いやもちろん、この「からすみ蕎麦」もとっても美味しかったから
大満足ではあるのですが・・・
でもこれだとどうしても蕎麦の香りや味は感じづらいし
なにより手打ち十割蕎麦が勿体なく思えてしまう私って
やっぱり手打ち蕎麦愛しすぎ? (^^;)
普段から「私とお蕎麦の間を邪魔するものは水も空気も許サヌ」とか
言ってるもので。( ̄▽ ̄)
ごちゃごちゃ言わずこの美味しさを素直に楽しみなさーーーい!!
「肉料理」


「鴨ロースト」
大きなお皿の真ん中にちょんと置かれた野菜と鴨。
見た目はちょっと寂しげ?にすら見えるこのシンプルな一皿だが
食べてみて、その凄さに驚いた!!
まず鴨が一口食べて目を丸くしたほど美味しい。
肉質が実に繊細で、
その旨味を生かすべく味付けは限界まで抑えられている。
よく見ると広い部分にはいろいろな「味付け」が散らされている。
ゲランド塩と乾燥スダチと花椒、かな?
だんだん全体が見えてくる絵画のよう。
その散らされたものひとつひとつの美しさと美味しさに感激した。
鴨も美味しいがピーマンも絶品!
ただ焼いただけでピーマンってこんなに美味しかったっけ?
「季節野菜の天ぷら」


夏野菜のかき揚げ。
ゴーヤ、とうもろこし、玉ねぎ、えだまめ。
カリッと軽やか、香ばしくて大変おいしい。
とうもろこしや枝豆の粒がポロポロ崩れこぼれてしまうのだけど、
おかげでちびちび大事に食べられました!
いつも美味しいものはなぜかあっという間に
私の前から消えてなくってしまうので( ̄▽ ̄)
さていよいよ次は待ちに待ったあのお方・・・
最後の「十割蕎麦」がやってきます。
しかし思わぬ展開にかなりビックリ!?

な、なんと、「もりそば」ではなく
「冷やかけ」スタイルのお蕎麦がやってきましたああああああ( ̄▽ ̄)
蕎麦の香りを偏愛しすぎてどこでも「もりそば」一辺倒、
汁もつけずに最後まで「蕎麦と二人キリ」の世界に耽溺するのが常である私として
かなり衝撃の「締めのお蕎麦」がやってきてしまいました。
でも実は私冷たいお蕎麦の上になにかが乗った種物は大好物なんです。
いつもはもりそばが好きすぎてやせ我慢してるんです(^^;;)
ああこれ おいしそう・・・

お見事。
としか言いようがない美味しさである。
おろし、茗荷、シソ。
そして「揚げ」が限界に量を抑えて加えてあるのが憎いばかり。
センスありすぎ!!
すっきりと洗練された出汁もものすごく美味しい。
蕎麦は先の「からすみ蕎麦」のものと同じなのかむっちりしっかりした食感で
どうも蕎麦そのものの香りや味わいに関してはかなりおとなしめのよう。
ともあれ、全体のこの超すっきり洗練宇宙の仕上がりが素晴らしすぎる。
全てを限界まで抑えて洗練させた「都会の越前おろしそば」と言った感じだ。
「蕎麦湯」

蕎麦の感じから想像はついたが蕎麦湯も味や香りがほとんどない。
味はないが不思議な粘性のある白い蕎麦湯。
でも蕎麦湯は体にいいし、ほっこりしますね〜〜
楽しい時間はあっという間。
先ほどまでカウンターでお酒を飲みながら一人でコースを楽しんでいた女性はすでに帰り
静かな店内にはジャズがかかっている。
今夜は、蕎麦そのものの香りと味ばかりを追い求める
私のいつものスタイルとはだいぶ違う展開になった。
(蕎麦屋に来てもりそばを食べなかったのは何十年ぶり!?)
その代わり、最高に美味しく美しい「料理と蕎麦料理」をつぎつぎコースで楽しみ
とても楽しい夜だった。
次回は是非20時以降に来てアラカルトでもりそばと肴を・・・
といつも私なら言いそうだが、
ここはやはりもりそばより種ものがダントツ良さそうなのと
あの「蕎麦前盛り合わせ」には何度でも出会いたいので
また次回もコースを予約して来たいなーー!! (≧∇≦)