2022年05月20日

芝公園「昌平」


周りに店なども少ない静かな通りに、
赤い暖簾が揺れている。

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こちらの角度から見ると
外壁に描かれた「手打ちそば」の字体が
ちょっとサイケデリックな感じもあり、不思議な外観?
(下北の古着屋とかにありそう?(^^;;))

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しかし暖簾をくぐれば
そこは古き良き大人の蕎麦屋のムード。

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こんな感じの雰囲気を出そうとしている
イマドキっぽい店ならいくらでもあるが、
イマドキ要素が全くなく、
素のままでこの雰囲気の蕎麦屋ってなかなかないものだ。

うーーん カッケー!
好きだ!!
この空間、素晴らしい〜



メニューはこの通り、種類豊富。

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しかも一品一品のセレクションが
何というか実にスタンダードな渋さで
もうこの辺りからシビレさせられる。



お酒もいいのがズラリ。

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こりゃー夜来て飲まなきゃダメだー!
めちゃくちゃ楽しそう!! (≧∇≦)



お蕎麦のメニュー。

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種ものメニューもいろいろありますが
例によって右上あたりのみをガン見てしててすみません(^^;)

「せいろ」と「十割」2種類のお蕎麦があるので
もちろん両方行きます!!
あ、待てよ?
「せいろ」の隣に「二盛り」という聞き慣れないのがあるではないか。
これはもしや「二種盛り」かなー?♡
と思って聞いたら残念、これは「せいろ」が倍量くるもので、
「二種盛り」に当たるものはないらしい。ちーん。



それでは「せいろ」と「十割」
一枚ずつお願いしまーす!


「十割そば」
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おー!
ありそうであまり見ない、
白木の正方形のせいろにみっしりと盛られた姿。
美しい・・・


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見入ればさらに。
繊細な細切りの輪郭線の美しさにまず心を奪われる。
これだけ細切りなのにその肌はいかにも素朴で、
みずみずしく不規則に光を反射し
たまらなく美味しそうだ。

箸先から香りを寄せると、最初に迎えてくれたのは
ふわーっとフレッシュな野生。
うわあ〜素晴らしい!
そして食感がまた最高で、極細の輪郭線が
口中でぱらりとほどけゆく様がたまらない。
コシは控えめだがたしかにそこにあり、
食べながら味、香りが膨らむタイプでもないのだが
なんだかやたらと美味しい。
お値段は高級だがそれだけの価値を感じる素晴らしい蕎麦。
福井産の十割。



「せいろ」

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こちらは笊もり。
これも綺麗な笊ですねえ〜


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先ほどの「十割そば」で感動した、
肌の繊細かつ素朴な質感はこちらにはさほどないが、
こちらも細切りでみずみずしく美しい。

しかし残念ながらこちらはほとんど香りなく、
味わいも感じるか感じないか程度で、
全体がとにかくすっきりしている。
しかし食感は素晴らしく
口中でぱらりとほどけた先程の十割同様、大変繊細。
こちらの方が若干優しいイメージの食感だが
一本一本が粋に離れる感じと、
意識させない程度のコシが心憎い。



きっとそうだろうなと思ったが、
ここはまた蕎麦汁がいい。

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こっくりと濃いのだがすっきりと粋なイメージ。
全てが主張し過ぎず見事に合わさっている
私好みの甘み控えめでありつつ、
とんがり過ぎたところが全くない、成熟、達観した感じ。
ないよなあーこういう汁 意外と!


難を申し上げれば、これだけのよいお店でありながら
お箸が私が苦手なタイプの割り箸であったこと・・・・(T_T)

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オシャレ系のお蕎麦屋さんではよく出会うすす竹の割り箸。
そのままでも十分破壊力があるのだが
これが濡れるともうクサイクサイ爆弾でしかなく、
お蕎麦の香りなんて何にもわからなくなっちゃうんです・・・(T_T)

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こういう事態に備えて私はいつもマイ箸を持ち歩いているんですが
今日に限って忘れてしまい。(T_T)
しかし、そんな時のために当社が開発した大技、
「お箸でお蕎麦を口に入れる瞬間は鼻からの呼吸を遮断し
お箸を遠ざけてから呼吸を戻す」
というのを展開して切り抜けました!


店には一人客やグループ客が出たり入ったりしていたが
それでもこの店に流れる時間は始終静か。

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ここからはオマケの話。

この店のあまりの居心地の良さにぼんやりと寛いでいると
私の一つ空けて隣のカウンター席に
常連らしいサラリーマンのオジサマが座りました。
大変ビッグな体格の方で、やっとカウンター席に収まった感じ。
大変にビッグな方でありながら
スーツは清潔感のあるパリッとした着こなしで
社会的な活躍を感じさせる方でもありました。


私はよく
「この綺麗な人は何を食べてこんなに綺麗なんだろう?」とか
「このビッグな方は何を食べてこんなにビッグなんだろう?」と
余計な興味を持ってしまう方なので
今日も気になって見るともなしに見ていたのだ。
よくあるボリュームランチみたいなものは
こんな渋いお蕎麦屋さんにはないような?・・・と(^^;)

ところがこれがあったんですねえ〜
オジサマが頼んだメニューは、壁にあった期間限定メニュー。
もちろん下の段のヤツ、もちろんライス付きです!

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「角煮入りカレーうどん ライス付き」!
美味しそうですね〜 (≧∇≦)


しかもですよ、この角煮入りカレーうどんのオーダーに続けて
さらにオジサマは

「今日おかずなに?」

と訊くではありませんか。
えっおかず?そんなのあった!?と思っていると
すかさずお店の奥さんが

「今日おかずなにー!」

と厨房に聞き、

厨房の店主 「メンチカツ!」
オジサマ  「じゃあそれで!」

とテンポよくセットに決定。

え、なんですかなんですか今のは〜!と
あらためてメニューを見てみると

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これか!
左上に
「お昼の時間帯のみ」
というセットメニューがあり、
330円でごはんとおかずとおしんこがつけられちゃうのですって!

というわけでそのオジサマはめでたく
「角煮入りカレーうどんとメンチカツとごはん」
というすんごいボリュームランチを食べられたのでした (≧∇≦)


私から見ればこれだけお蕎麦が美味しい店で
その選択はあまりにも私とかけ離れた世界であり、
ほえーーっ!!と感心してしまうくらいのインパクトがありましたが・・・


そのオジサマからしたら昼時に
一人で目の前に大きなお盆を二つ並べて
「せいろ」と「十割そば」を汁もつけずにズルズル完食しちゃう
私の方がよっぽど変なヤツ!!宇宙人!!


ハァイその通りです〜すみませんでした (≧∇≦)



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2022年04月26日

虎ノ門「蕎麦切り 酒 大愚」


「酒量だけは小鳥」な私のくせに、
背伸びして行ってしまいました〜

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路地に潜むさりげない外観、カウンターのみの粋な蕎麦屋。
以前はお昼もやっていたので
お蕎麦をメインに胸打ち震える時間を楽しめ、
もうなんというか、その蕎麦の超絶な美味しさと
お店としてのカッコ良さにシビレまくっていたんですが、
今は、夜のみ、4800円のコースのみ。

しかも、

「当店はお酒を呑む処です。
2合以上飲まない人は御入店は御断りします。
2合以上飲まない方は席代として1000円戴きます」

というルールの、大人のお店。

ということは、
私は最初からお断りされちゃう類の人間なわけですが
行っちゃったんです〜 ( ̄∇ ̄)


お酒のメニュー。

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さすが、通好みのセレクション。
しかも基本的に全て燗!!(燗酒大好き♡)




そして食事はコースのみで(追加メニューはあり)、
本日のコースメニューはこちら。

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◯ホタルイカの酢味噌和え
ホタルイカふっくら、酢味噌も上品で美味しい。

◯新じゃがのポテトサラダ
ツナ入りでクリーミー、一工夫が感じられる美味しさ。

◯鶏の炙り昆布〆

◯こめたまの出汁巻玉子
やけに色が白い卵だがこれが絶品!
出汁の良さがストレートに伝わる、シンプルで粋な美味しさ。
私が愛する某Nの出汁巻にとっても似ている味わいで、
こちらの方がぐっと上品な見た目と質感。

◯筍焼き

◯蚕豆饅頭
蓮根饅頭などの和食のお饅頭大好物の私。
新鮮な蚕豆の美味しさが凝縮された中に、
生姜風味の鶏ひき肉がまた素晴らしい。
そしてとにかく出汁がおいし〜い!!
素晴らしい!まさに一流店の味。

◯媛っこ地鶏と千住葱の塩焼き
鶏は皮パリふっくら、旨味しっかり。
ネギも最高の焼きと香り。
そしてこのつくねの上品な美味しさは最高だった。



ここの料理は、焼き物も含めて大変洗練され上品。
ガツンとしたところがなく、出汁もすっきりと澄み、
塩加減も上品に抑えてある。
でもそれって、私のように量を飲めない人にとってはあまりお酒が進まず、
お酒はちょこっとでも十分楽しめてしまう澄んだお味なんですよね〜
ガツンと脂ののった魚介類だの塩味しっかりの肴だのだったら、
こんな私でも結構お酒が進むんですが〜
(例:さんまの肝と日本酒で「肝!酒!肝!酒!」
という、おいっちにっ!みたいなリズムが
止まらなくなったことも( ̄▽ ̄)意外とやるっしょ)



ちなみにお酒はこれが美味しかったです。

「隆(燗)」

下を支えるガッツリ感がありつつすっきり澄んだ感じもあって、
うーん、おいしい〜〜!
基本すべて燗酒ってところもいかにもこの店らしくていい。



ここで、追加注文でそばがきを頼みました♡

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おおおお?
長年の愛と期待に反して香りはかなり控えめ・・・
しかし口に入れた時の食感に感激!!
極上の「ふわとろエアリーもっちり」なのだが
その尋常でない食感の素晴らしさにびっくり。
粗挽きのためか絶妙に、シュワッと泡が潰れるような感じがあり、
極端に言えばメレンゲのような軽さのあるもっちりなのだ。
香りと味わいは終始控えめで、
例えるならネパールのそばがきディロに似た香りが
ごく淡く漂っている。
茨城、常陸秋そば。




〆はもちろん、せいろと田舎の二色盛にしました!

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この美意識にまず参る。
この正方形のトレイ。この美しき笊。
ああー「大愚」はやっぱりかっこいいなあー


「せいろ」

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香りは意外にもごく淡い。
アレ?まさか、ここでそんなはずは・・・と思い、さらに全身で集中しながら向き合うと、
食べ進むうちにほんのりとした穀物感が内側から感じられてきた。
食感はさすがのしなやかさ、絶妙なコシで素晴らしい。


「田舎」

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ガッツリ太く黒い、田舎らしい田舎。
こちらも常陸秋そばで、先程のそばがきと同じ粉ということですが・・・
こちらは爆発的に香っておりますーー!♡
深くたくましく香ばしく、しかし嫌味は一切ない澄んだ強さ。
モグモグしっかり噛む蕎麦で、そこから溢れる味わいのふくよかさ、その旨みの質がすごい。
これに似た感じの蕎麦はいくらでもあるが、その中でこれは頂点に近い魅力がある。
素晴らしい!!


カウンター7席のみの店内にはコンテンポラリージャズが小さく流れ、
客席はほぼ満席。
寡黙な店主が手早く調理を続けているのを
全員見るともなしに見ながら、お酒を飲んでいる。


本日私のお隣とそのお隣は、別々の女性ソロの方々。
お二人とも一人静かにお酒を手酌でガンガン注ぎながら
追加注文も加えつつたっっぷり食べて飲んでおられました。
すごいなあ〜、やっぱりここはこういう人のためのお店なんだよなあ〜

対する情けない「酒量だけは小鳥」の私は
もちろん2合なんて飲めず、+席代1000円コース。
好きなおつまみと、ちょこっとお酒、
あとはお蕎麦をたっぷり楽しみたい私には、
やっぱりこのスタイルは大人すぎちゃうかも。。
今日は以前ほど、そばがきとせいろが香らなかったこともあって
ちょっとしょんぼり。。



でもこの店の美意識は、
やっぱり大好きなんですよね〜♡


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2011年9月の「蕎麦切り 酒 大愚」










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2022年04月08日

新橋「竹泉」

 
この時の経験から、
最近本陣坊系のお蕎麦屋さんを巡り直している私。

前回この「竹泉」に来たのは何十年前なのか、
公には言えないくらい(オホホ)、
時が経ってしまいました。

時を超えて訪れると、店はそのままそこにあり、
それが不思議な感覚ですらある。 


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店舗は地下にあり、外にメニューが張り出されている。
その立て看板に写真付きで選ばれたメニュー3つがまず素晴らしい。

普通こういうオフィス街でですよ、
お蕎麦屋さんがランチ時に出す立て看板といえば
「セット物」とか「かき揚げ蕎麦」とか
種物とかのボリューム系になるじゃないですか。

それがここでは!

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「ハイボール」「二種もり」「升酒」

ですよ!! (≧∇≦)

ハイ全部いきます!!と即答したくなる三選!(笑)


いいねえ〜〜っ




あまりに久々で、こんなだったっけね・・・と思いつつ階段を降りると

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渋い。

実際はもっと暗いのでもっともっと渋い。

いいねえ〜〜〜っ



階段は静かだったが店に入るとなかなかの大盛況。
近隣のオフィスワーカーらしいお一人様や、グループランチを楽しんでいる人もいる。

店内もすっきりと渋い。
無駄な飾りは一切無く、目立たないところに小さな浮世絵などが飾ってある。

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(写真は退店時)

新しい店にはない風格と味わい。
BGMなどはなく、蕎麦を楽しむ人のざわめきだけが聞こえている。

いいねえ〜〜〜っ


今日は残念ながら昼酒している人は見当たりませんが、
さっすがいいお酒揃ってますよね〜〜

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おつまみもいぶし銀のいい〜メニューばかり。

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うーーーん、こういうの、スキ!!♡



肝心のお蕎麦のメニューはこちら。

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お目当てはもちろん「二色もり」。
「ゆず切り」を含む「三色もり」もありますが
お蕎麦の香り命の私は
「せいろもり」と「田舎もり」に全ての愛を注ぎます!!



注文するとすぐにトレイが運ばれてきて、
驚くほどすぐに一枚目の「せいろ」がやってきた。

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本陣坊系ですからこのスタイル。
小さめの美しい黒いせいろに入ってきます。


本来は「田舎もり」が来るまでこちらを食べて待っているべきですが
美しきお二人をどうしても並べて拝みたく
待っちゃいました (≧∇≦)

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おおーーー  
やっぱりこういう眺め、だーーい好き!
こういう、二つの個性がはっきりしていて対比が鮮やかな二種もりの眺めって
たまらないんだなあ〜♡


まずは「せいろ」から。

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直線的なラインを流麗、大胆に描く輪郭線。
つやつやと輝く肌。 
箸先から香りを寄せると、
野生的でシャープな、少しひねたような蕎麦の香りがフーッと香る。
口に含むと見た目の通りの
くっきり直線的な輪郭線が弾けるように口中をめぐり、
ツルッツルの肌とはっきりしたエッジが印象的。
食感もかなりしっかり目で、噛み締めた味わいはすっきりしている。

特筆すべき大変素晴らしいポイントは
私がひそかに「柚子切り病」と恐れている現象が
ここでは全くなかったこと!
「ゆず切り」がメニューにあるお店は、同じ釜で茹でるせいで
どうしても普通の「せいろ」とか「田舎」にも
柚子の香りが移ってしまいがちである。(T_T)

蕎麦の香りを嗅ぎたい一心の虫のような私にとっては
さあ!全細胞の奥まで、愛しいお蕎麦様の香りを吸い込もう!!という時に
柚子の香りがフワーーンとしてくると、
「お蕎麦とワタシの間に入ろうとするとはーーー!!」
と柚子さんに激しい敵意すら抱いてしまうんです、すみません(笑)

もちろんこれは蕎麦汁をつけて正しいお蕎麦の食べ方をすれば
全然わからなかったりすることで、
私のようにお蕎麦の香りに溺れたいからといって
お蕎麦だけで完食するというお行儀の悪い奴だからこその
悩みなのであります(^^;)


「田舎もり」
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かなり黒め、かなり太め!
こちらも見るからにエッジがくっきりしている。
香りを寄せると、うおおおおお、これはすごい。
たくましいという言葉では足りない、
ツンとするくらい強烈なたくましさが 
ムッワーーーー!!と香っている。
食感はこちらもかなりツルツルで、
太打ちだけにものすごい噛み応え。
モグンモグンと噛む蕎麦だ。
その割には味わいは「せいろもり」同様すっきり系なのだが、
こちらには微かに黒い香ばしい味わいがあるのがいい。

しかもこちらも柚子、全く香りません♡♡♡
はじめ少々たくましすぎに思えた香りは不思議とだんだんおさまり、
自然なたくましさ、田舎らしい黒い風味に転じた。



蕎麦汁はかなり酸味が強く、
甘みも出汁も強くてガツンとパンチのある味わい。
ここはお蕎麦の味がすっきりなので
ちょっとお蕎麦に対して汁が強すぎるようにも感じたが、
お蕎麦がツヤツヤつるつるなこともあり
ガツンとした感じも全て含めて、東京の蕎麦らしいような気もした。

そんなふうに感じるのは、
やはり長い間この地で愛されてきて
自然と生まれた風格のせいだろう。


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最後お店は空いてきて、私と、
知的な感じのサラリーマンのオジサマと二人になった。
私と同じ「二色もり」を食べている。
私はもう蕎麦湯タイムだったので
店内はオジサマが蕎麦を啜る音だけが小さく聞こえている。



オジサマが先に会計して、その会話が聞こえてきた。


「30年この店の前通ってたけど、今日初めて来たんだ。
 美味しかった! 30年だよ〜フフ・・また、来ます」


時の流れにしみじみとした気持ちでこの店に入ってきた私だが
さらにしみじみといい気持ちで、この店を出た。



posted by aya at 12:30 | Comment(0) | 東京の蕎麦>港区 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年08月21日

六本木「蕎麦 おさめ」

 
蕎麦屋で、六本木で、このビジュアルとくれば
もうそれだけで事件である。

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正確にいうとこの建物全体が蕎麦屋なのではなく、店はこの2階に入っているのだが
この建物のお腹の中のようなところに「おさめ」の文字がドン!と目立っている。
暗い画像だと伝わるかな?

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この看板いいなあ
とにかく力いっぱい、逃げも隠れもしない感じ(≧∇≦)

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二階に上がると入り口はちょっとマンション風?
白い暖簾が清々しい。

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そして店内はさすが六本木、スタイリッシュ!
こんなところで手打ち蕎麦が食べられるとは〜


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価格も大人な雰囲気であります!

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客層も、私が日々行っているようなお蕎麦屋さんとはまるで違う。
しっとりした雰囲気の男性女性の皆様が大人の時間を楽しむ空間、
という感じ。


こんな場所でこんな雰囲気で
皆さんが手打ち蕎麦を楽しんでいる姿というのは新鮮で、
なんだかワクワクしてしまう私。
好きな人(蕎麦)が人気だと、自分のことのように嬉しいんですよね〜(馬鹿)



しかし周りの雰囲気を把握できていたのはこの時までで、
メニューを見ると私の心は蕎麦にだけ集中。
周りは見えなくなる。

だって、ここには
「せいろそば」
「粗挽きそば(数量限定)」
「玄挽きそば(数量限定)」
の、3つもあるんですよ〜!?


「本日のおすすめ」という手書きメニューにあった「そばがき」も絶対食べたいし
「冷やかけ」も気になるし大変だ!!



まずはビールのお供。

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生姜の山葵醤油漬と蕎麦味噌。
小さいけれどガツン。



そして予想を超えてこの人が早速来てしまい
心の準備が〜!
(その日1番最初に出会う蕎麦というのは感動もひとしおなので!)


「そばがき」
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ああああ 

美しい・・・!!

もうこれは美味しい予感バンバンです!あなたは美味しい!絶対おいしい!


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うわあ・・・
最っ高の、すっばらしい、新鮮フレッシュな青い香り!!
もう食べなくてもいい、いつまでもこの香りを嗅いでいたい、と思うほど
素晴らしいかぐわしさだ。
口に含むとグルタミンを感じる素晴らしい旨味があるが
それが濃厚ではなく、あっさりと旨味がある感じ。
食感も、ふんわりエアリー感があって最高!
面白いのは舌触りで、なめらかなのだが
全体に超細かいすりガラスのような肌であること。
そのせいかちょっと「シュワッとするふんわりエアリー」であるのが面白かった。
とにかくこの香りに衝撃的に胸射抜かれた私は、
長野山形村の乗鞍在来種と聞いてすっかり嬉しくなってしまった。
懐かしいエリアなもので〜・・・





「玉子焼き」

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絶妙な焼き色が大変美しい玉子焼き。
出汁巻きではなく玉子焼きなので甘いかなと危惧したのだが(甘いの苦手)
これは美味しい!
塩分がギリギリ控えてあるので卵の旨味が濃厚に感じられ、
出汁もあくまでほんのり。そして甘さが絶妙。
味は上品なのだが油分がしっかりあり、ボリューム感のある玉子焼きだ。




そしていよいよ時は満ち。




「せいろそば」

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うわーっ
やっぱりこの場所で、手打ち蕎麦って新鮮!!感動!

美しい・・・





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感動余って激写しまくり (^^;)

お蕎麦の景色は枯山水に負けない美の宇宙である、と固く信じております!





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「せいろそば」は長崎、対馬在来種。
箸先からふーっと香ばしいかぐわしさが伝わってきてワクワクする。
シャープではなく、やさしく厚みがあるような香ばしさだ。
口に含むと、思いっきりキン!と冷たくしめられている。
そのせいなのか、食感はかなり硬めだ。
輪郭線はパッキパキにはっきりしていて
口中をハラハラパラパラと巡る感触が印象的。
味わいはほんのりなのだが、噛みしめるうちにうまみが出てきて美味しい。
面白いのはこちらのお蕎麦にも、先ほどの「そばがき」と同様の
すりガラス肌な舌触りがあったこと!
噛み締めても食感としてのすりガラス感を感じ
これはなかなかユニークだった。




「粗挽きそば(数量限定)」
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懲りもせず2つの角度から撮影。
どちらも美しすぎて抑えられず!! (≧∇≦)
本日はお付き合いくださいませ〜




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「粗挽きそば」は千葉、成田在来。上野さんのお蕎麦♩
「せいろそば」よりかなり粗く、ゆらめくホシが華やか。
箸先で香りを寄せると、うわあ〜!
青い笹のような竹のような爽やかな野生の香りが漂ってきた。幸せ!!
口に含むとこれもしっかり硬めで、輪郭線がはっきりパッキリ、
もぐもぐ噛む蕎麦である。
味わいは極上の和菓子のような、上品な白いイメージ。
はじめはほんのりだった甘みは噛むほどに濃くなっていった。
そしてこれまたすりガラス感あり!面白い。
粗挽きだが、優しい感じの肌の凹凸があり、
その中にすりガラス感がある感じ。





「玄挽きそば」
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やっぱりすごいなあ〜
この景色!





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茶道のお点前が始まる前のような、美しい緊張感に惚れ惚れ・・・



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おおおお!?
なんとびっくり、予想をしていなかった熟成がやってまいりました!
ムワムワムンムン、これが穀物だけの香りとは到底思えない、
強烈なだしのような、塩分さえ感じるような香りである。
蕎麦肌の舌触りはこれまたすりガラス。粉の挽き方に特徴があるのかもしれない。
こちらのお蕎麦が一番硬さがなく、
噛みごたえはあるがむっちりとした食感でコシもある。
味も香りに負けず劣らず超濃厚!!
甘みもうまみも爆発的に濃い。
鳥取伯耆町(ほうきちょう)の蕎麦。




蕎麦後の蕎麦湯。

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私にとって蕎麦湯はお酒で、蕎麦汁はおつまみ。
蕎麦湯をストレートでゴクリ、蕎麦汁チビリ、が至福の時だ。

こちらは蕎麦汁も個性的で蕎麦汁というよりタレ、というほど濃厚である。
なんとなく粘性があるほど!
そして甘さも醤油辛さもガツンとあるが、
全体が丸く調和して大変美味しい蕎麦汁だ。




蕎麦に溺れて気がつけばあっという間に時間が経ってしまい
先ほどまで賑わっていたカウンターはすっかり静かに。

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ちょっと前に来たテーブル席のお客さんが
楽しそうにメニューを選んでいる声が聞こえる。

そう、ここはさすが六本木だけあって、
営業時間が18~24時(L.O23時)と、仕舞が遅いのが素晴らしい。
深夜に手打ち蕎麦をたぐれるというのは実に貴重だし、
若き店主夫妻の感じの良さにも心和まされた。



そうそう、店名の「おさめ」はこの店主夫妻の苗字である。(スゴイ)
しかもお二人揃って下のお名前も古風でかっこよくてシビレました。



ここは来るたびに違う出会いがありそうで
今後がますます楽しみだなあ〜








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2017年04月12日

新橋「新橋ときそば」


今夜は特別にたのしい蕎麦宵だった。

素晴らしき店に酔い、蕎麦に酔い。
しみじみとしあわせな新橋の夜の隙間に
ぽっとりあたたかい雫のように落ちていくような気がした。


私の祖父は新橋で飲むのが好きな人だったらしい。
駅近くの店で「コハダで一杯」ひっかけてから帰るのが定番だったらしい。
顔は私と似ているのにこの世ではすれ違ってしまった祖父。
歌や旅行やお洒落が大好きで、車もお酒も落語も絵画も好きだったというこの祖父には
私はなんとなく親しみを感じていて会いたかったという思いが強い。


祖父が今の新橋を見てどう思うかはわからないが
この路地の眺めを見たらこりゃいいねと思ってくれるのではないだろうか。

暗い路地にぽつんと灯る「ときそば」の文字。

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古典落語の傑作「時そば」を思わせる店名と
この路地のムードが胸をくすぐる。


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店内は左手がカウンター席、奥がテーブル席。

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BGMは音楽ではなく「時そば」の名演が小さく流れているというのがユニークだ。
入り口では電動の石臼がゆっくり回り
カウンター内の厨房では店の人がキビキビと働いている。
まだ早いので空いているが、おいしい時間を予感させる眺め。


メニューにはいかにも飲みたくなるようなおつまみがズラリ。
特にこの最後にある「だし巻き玉子」の楽しさをご覧ください〜

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「だし巻き玉子」「ネギだし巻き玉子」と2種ある上に
「卵一個から十個くらいまで可能です」って(≧∇≦)。
一個も十個もどうやって作るのかわくわくするし
その懐の深さ、書き方が楽しすぎる。
(普通は商品の大きさが決まっていてそれをいくつ頼むか、ってなりますよね)

この楽しい「だし巻き玉子」にも大変惹かれたが
ここは本当に食べたいものばかりなので目移りしまくり。
その上地酒のページには美味しそうな地酒がズラリと並んでいる。

うっ・・
こんなの見ちゃってお酒を飲まないなんてありえないんですけど〜〜〜
しかし私はほんとーーーうに「酒量だけは小鳥」なので
一人で入ったお店でお酒を注文するわけにはいかないのです・・
(5mlのお酒で5秒で酔っ払い15分後に冷めるという人間離れしたサイクルを展開する私には
一人でお酒を注文する資格はない)

というわけで無粋ではありますが
お酒がなくたって美味しいものは美味しいですよねっ


「菜の花ごま和え」
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太めのしっかりした菜の花が見るからに私好みと思ったら
案の定ものすごく美味しい。
ぎゅっとした食感を残した茹で具合で
茎の部分に新鮮な食べ応えがある。
何が素晴らしいと言って甘ったるくない澄んだ味付けが私には最高だ。
(世の中の胡麻和えは私には甘すぎるのが多くて(T_T))
さ〜す〜が〜〜しょっぱなから感激♡


続いて頼んだものはこの店の名物「肉どうふ」。
アレ〜どんなのだっけ、何度も来ているこの店だが、私頼んだことあったかな?


えっ

ナンデスカこのまっくろけのおとうふはぁぁーーーー!


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仰け反る、まっ黒さ。
よく見ようとしても黒すぎて質感がよくわからないほど黒い。
私はなぜか今までこの名物を頼んだことがなかったらしい。
こんな肉どうふ一度見たら忘れないでしょ!!

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何を狙ってこんなぶっ飛んだ黒さにしたのかと思うほどインパクトのあるビジュアル。
つい店主に尋ねると
「赤ワインと醤油で7年間つぎたしつぎたし作ってるうちにこんな色になっちゃって・・」
と謙虚に笑う。
なるほど、ひょっとしたら私がだいぶ以前にこれを頼んだ頃は
ここまでの色でなかった可能性はあるわけだ。

それにしてもこの黒さ、
「マノワール・ダスティン」のブーダンノワール級の漆黒だ。
一体中はどうなっているのか、中まで黒いのか、どきどきとひとすくい。

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きゃ〜 中は豆腐そのままの白さなんですね♡
モダンアートのようにドキリとさせられるコントラストの美・・
とウットリ見入ったのは実は3秒以下で
口に入れてしまったらもうなにがなんだかわかりません。

ナンデスカこのおいしさは!?!?
おいしいにもほどがあるんですけどーー!


うっっ・・・・・


どうしよう、飲みたい。(お酒)

小鳥だけど飲みたい!!

小鳥の分際ではありますがちょっとメニューを見てみよう。
お、メニュー本以外に別紙の「本日のお酒」というのがあるー♪

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ニヤリ。ここは半合からグラスで飲めるので
それならなんとか私でも頼んでいい気がするじゃあないですか〜

早速店主に相談し私の日本酒の好みを伝えて選んでもらったのがコチラ。

「大信州 手の内」
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長野が大好きな私としては嬉しいお酒。しかも何やらドキッとするネーミング。
入り口からキュンとくるのだがその太さのまま味わいを保ってまっすぐ進む感じで
うーーんこれはたいへんに美味しい!
いいのを選んでもらってよかったなあー
うぴっ うぴっ うきゃ(≧∇≦)

・・と喜んでいたら店主がこんなものをくれました。

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「美味しいお水です」。
(お水だけでは写真が寂しいので招き猫さんにもご出演いただきました)

きっと私の様子のおかしさに店の危機を感じたのでしょうね。
店の安全平和と危険予知だいじです、店主さんありがとう!!
仕込み用の湧き水おいしいなあー


さてその「大信州 手の内」を味方にますます魅力を増した「肉どうふ」、
もうとんでもないことになっております。
あたたかい絹豆腐はふるふるやわらかくなめらかで、
その上にのったスジスジしたほぐしたような煮詰まった牛肉が美味しすぎて悶絶!!
真っ黒の部分は赤ワインの味というより
ブドウそのものを感じるようなこっくりとした酸味があり
もうどうなってもいいと思うくらい美味しい。
しかし豆腐は中まで味がしみておらずなめらか上品なので
全体として全然味が濃くなく甘くなくバランスが素晴らしい。
どんなフレンチより美味しいかもと思える、洗練すら感じる至高の「肉どうふ」!!
いや〜〜〜ん これは飲んじゃいますよ〜〜〜〜
(とか言いながらこの日私が飲めたのはなんと半分 ・・
4分の1合で限界って(* ̄∇ ̄*) )



「季節の天ぷら盛り合わせ」
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見るからに尋常でなく美味しそうと思った予想通り・・・
これはお蕎麦屋さんの天ぷらのレベルをはるか越えております!!
車海老、ふきのとう、たらの芽。
食材の新鮮な美味しさをそのまま閉じ込めた繊細な薄衣が素晴らしい。
しかも私の大好物ばかり♡♡♡
特にふきのとうの衣の見事さとスパーンと弾けた春の香りにはシビれました・・・


「蒸し牡蠣」
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生牡蠣もあったが店主のオススメは生より蒸し牡蠣。
私は生牡蠣も大好きだが貝類やイカなどは
加熱した方が味が濃く出て美味しいと思っているので喜んで蒸し牡蛎を選択した。
店主が惚れ込んだ東松島の牡蠣は
クリーミーすぎず磯の香りが上品。おいしいなあ〜


もう今夜は一人で飲んじゃって大暴走気味の私なので
(4分の1合ですけど(^^;;))
お蕎麦もいつもはやらないことやっちゃいます。

ここではいつも「ざる(細打ち)」と「田舎(太打ち)」の
「二色蕎麦(ざるセット)」しか頼んだことがないのだが
先ほどの「肉どうふ」の美味しさが忘れられず
「肉そば」の「二色」にしちゃおうかと!

でも二枚ぶん食べるのはもういい加減お腹もいっぱいだったので
ヨッパライを言い訳に店主に相談すると
「いいですよ、一枚ぶんの量でできますよ」
ばんざーい!じゃあ是非それでお願いします〜〜〜

「肉そば(二色)」
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うわー
なんと美しい、嬉しい、この二色の眺め・・

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うははははは・・・・
あまりの絶景に宇宙を征服したかのような気分になり
顔のニヤニヤと全体の挙動不審が止められない。(←カウンターの一人客)
「ざる」も「田舎」も素朴な粗挽き肌で
ぬったりと盛られた姿はいかにも香ってくれそうな風情に満ちている。



「ざる(細打ち)」
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箸先から濃厚にただよう、たまらぬかぐわしさ。
かすかに生々しさも感じる深い野生と黒い軽い香ばしさのバランス、
これは素晴らしいーーー!!
食感がまた最高で、なめらか密な質感の極細切り、のびるような自在なコシ。
その中にことさらでなくかすかに粗挽きの粒感が感じられるのがニクすぎる。
そのたまらぬ食感の内側から溢れる味わいは意外にも白く澄んで、
その美しさにハッとさせられる。
この野趣あふれる香りと食感にして、この美しい味わい。
あああああなんというニクさ・・・
もう溶けて流れて椅子から落ちたらすみません・・


「田舎(太打ち)」
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見るからにむっちりやわらかそうなみずみずしい肌。
こちらの方が淡めだが野生を感じる香りがほんのりと漂う。
舌触りは角がなく柔らかいのだが容易には嚙み切らせないむっちり密な質感。
モグンモグン噛む蕎麦だが決して硬いのではないところが素晴らしい。
噛みしめるほどに口中に生まれ続けるふくらむ黒い香ばしさに加え
こちらも「ざる」同様美しい白い味わいがひろがるのが驚きだ。
こんな「田舎」な見た目の蕎麦にして、この味わい!

うう〜〜〜ん 今夜は私シビレっぱなしですよ・・・

もちろんお酒のせいもあるとは思いますが
ああああ しあわせすぎる
あああああ

あっ!(lll ̄□ ̄)!!

せっかく「肉そば」にしたのに
いつもの癖で一回も汁につけないでお蕎麦だけで全部食べちゃった!!(lll ̄□ ̄)!!

どうしよう、お腹いっぱいだからとせっかく「1枚ぶんの量で二色もり」にしてもらったのに・・・
でもこの「肉そば」の汁は食べたい。ぜひお蕎麦をつけて食べたい。
よし、せっかく1枚ぶんの量でやってくれた店主には申し訳ないが
もう一回同じのをお願いしよう!


というわけで、じゃじゃじゃーーーん

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デジャヴではございません。
撮影時間によると13分後の事象でございます(^^;;)


この「肉そば」の汁がまた素晴らしく美味しく楽しいことになっておりましてですね・・

このように、先ほどの「肉どうふ」を彷彿とさせる「濃厚な肉汁」と
別に「生卵」がやってくるのですが

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これを店主は
「もしよかったらですが、生卵は肉汁に入れずに別々につけるのがオススメです・・
お蕎麦を肉汁につけた後に生卵につけるというすき焼き風食べ方が僕は美味しいと思うんです!」
と言うのでもう私は俄然嬉しくなってしまった。
それ大賛成〜〜〜〜!!(≧∇≦)/

だいたい私は生卵がだーい好きなので
生卵かけご飯とか鍋焼きうどんとかの生卵をどう食べるかに対しては
笑っちゃうくらい真剣である。
特に鍋焼きうどんや温かい蕎麦など「汁物」の中の生卵は
たっぷりの汁に溶かしてしまうと生卵味が薄まってしまうし結局卵を全部食べられない。
かと言って卵を一口で食べてしまうのはもったいないし味としてもつまらない。
というわけで普段から私はなんとかそこらへんの器を使うなどしてそこに生卵を逃し
「すき焼き風に生卵を後からつけて食べる」ってことをしてるんですよね〜
(ってこんなくだらないことをこんなに字数使ってウキウキ説明する私も私ですが)
とにかくこの時の店主の申し出には私と似た「生卵への真剣さ」を感じ
(実は蒸し牡蠣の話の時にもちょっと感じてました(≧∇≦))
すっかり嬉しくなってその通り食べてみたら・・・

悶絶。

えええ〜〜〜〜・・・
お蕎麦がこんなに美味しいのにこんな美味しい「アイディアつけ汁」作られたら
私は今後どうしたらいいんだ!迷惑です!!
と言いたくなるほど本気でこまる。(毎回2枚ぶん食べなくちゃ)
こんなの反則だぁ〜〜〜


濃厚な肉汁にお蕎麦をつけ、生卵につけ・・・
ああああ・・・

あ!

また一枚あっという間になくなってしまった・・・
こんなにお腹いっぱいなのにこの魔力、すごすぎる。


蕎麦後の蕎麦湯。

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今夜私がこの店に着いた時は先客は一人だけだったが
私がカウンター席でめくるめく楽しい時を過ごしている間に
店の時間は少しずつ色を変えて移っていった。

グループや二人連れ、私のように一人で来ているお客さん。
なんだかんだと店主に話しかけ会話を楽しみたいお客さんもいれば
中にはなかなか気難しそうなお客さんもいる。
店主は、これだけの料理を忙しく提供しながらも
その一人一人に実に細やかに心を配り
冷静さと謙虚さ、そして誠実な温かさをもって笑顔を絶やさず接していた。
耳に入ってくる店の音を聞くともなしに聞き、店の時間を眺めていた私は
だんだんと、さらにこの店に魅せられすっかり感動してしまった。

す ば ら し い。


この感動はたぶん、私が酔っ払っているせいではないと思うんだ!(* ̄∇ ̄*)


こんな素敵な店なら
飲む店にゃうるさいであろう祖父もきっと喜んでくれるはず。
というわけで、次回は祖父とこの路地にやって来て、
「新橋ときそば」の蕎麦を二人でたぐる・・・

そんな夢物語を描きながら、
暗い路地を新橋駅まで歩きだした。


素晴らしき店に酔い、蕎麦に酔い。
祖父と腕を組んでいる夢を見ながら
ぽっとりあたたかい雫のように落ちていくような気がした。










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2015年07月13日

白金台「蕎麦 だるぶる」



その扉は、天空の城の入口なのかトトロの森に続くのか。

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はたまた時を超えアントニ・ガウディの書斎にでもつながりそうな外観は
何の建物だとしても大胆なまでに個性的であるのに
これが日本蕎麦屋だというのだからのけぞるしかない。

2015年7月1日、プラチナ通りに誕生した手打ち蕎麦屋「蕎麦 だるぶる」。


近づけば確かに日本蕎麦屋のお品書き。

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うはは 楽しいなあ〜、わくわくするーー!! (≧∇≦)



店内もなんとも不思議な、唯一無二の雰囲気。

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この場所がフランス料理店だった頃の大谷石の壁やカウンター、
そして壁の絵までもそのまま残したところに自由なセンスを感じる。


しかもこの日はフランス料理店のギャルソンの制服をバシッと着込み
胸に金のソムリエバッジを輝かせたスタッフが迎えてくれたから驚いた。
この日はたまたま上の人気バー「ダルブルズ・バー」のスタッフが
助っ人で一階に来ていたのだ。

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開け放した扉から入り込む、初夏の夕暮れの気配。



私は一日のうちで夕暮れ時というのが一番好きだ。
その数秒前の感情とは別の感情に突然連れて行かれるような、時空の隙間のような不思議な時間。
憧憬とか、宇宙とか郷愁とか。

そんな時間にこんな楽しい店に来て
懐かしい人が打った蕎麦やおつまみを食べる。
最初は奥沢の店、その後東山でも恵比寿でも出会った蕎麦。
私と蕎麦との間に流れる長くて短い時間を、夕暮れ時が一瞬で全部連れてきた気がした。




「季節のお浸し」
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お浸しから始められるお蕎麦屋さん大好き!
新鮮な三つ葉の青い香り、シャキシャキした歯応えに
味覚や体が澄んでこれから食べるものの吸収がますますよくなりそうな気持ちになる(^o^)
すっきり澄んだ出汁が美味しい〜



「油あげとルッコラのサラダ」
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本来は「油あげとクレソンのサラダ」だがこの日はルッコラで。
クレソンもルッコラも大好物なのでどっちでも嬉しい♪
油揚げが焼いてあるのがとてもいい。
ちょっと変わった香りの油揚げ?



「田舎風パテ」
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渋谷や恵比寿で大人気の「ビストロ・ダルブル」長年の定番メニュー。
こうして蕎麦屋で出会うのもなかなかいいもの。
日本酒にも合っちゃいそうだけど、やっぱりワインかな〜♪



「牛すじ煮」
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「煮肉」というマイナーなジャンルを偏愛する私としては外せない一品。
「だるぶる」の牛すじ煮は私好みのすっきり系♪



「トマトのあっさり漬」
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これが素晴らしいアイディアメニュー!
トマトの塩漬けなのだが、生姜と唐辛子をごくさりげなく効かせてあるところがニクイ。
舞うように散らしたシラスと芽ネギが綺麗だし、何より美味しい〜〜
これ大好き〜〜 家でも真似してみよう♡


「鴨焼き」
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鴨がネギ背負って・・ではなく鴨がネギに挟まれてやってきました(^o^)
ぎゅうっと肉厚の鴨焼き。



そして今厨房では、心ときめくアノ音が・・!!
カシャカシャカシャカシャーッ
(美味しいそばがきの秘訣は力強さとスピード感!)


「そばがき」
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おお〜
菊練り風と申しましょうか、中津川の栗きんとん風と申しましょうか、
きゅっと結んだ唇が素朴な印象の「そばがき」。


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もっちりふっくらした肌に浮かぶ無数の蕎麦粒子。
予想に反して香りは淡めだったが、ほわ〜とした湯気の中をさぐると
だんだんとひねたような強い野生の香りが現れてきた。
うーん北海道・・か長野か・・?と思い訊いてみると長野とのこと。
味わいも淡めだが食感はもっちり、ややねっとりと食べ応えあるそばがき。
でもひとりで全部食べちゃったー(^o^)


「せいろ」
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やっと出会えたこの眺め・・・
私は蕎麦の景色がどれほど好きなのだろう。
世界中に自慢したくなる「バスケットに盛られた濡れた穀物」のこれ以上ないほどシンプルな眺め。
この空間だからこそそのストイックな美しさが際立つというものだ。
特に蕎麦の盛り付けの理想とされる,「一本一本が踊るような」、
しなやかな曲線が遠目にも鮮やかで美しい。


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美しく切りそろえられた端正な輪郭線。
そばがきの時は感じなかったが、やや赤味、黄味の強い蕎麦である。
見た目では少し熟成感も感じたが味わいにそれはなく
そばがき同様長野らしい野性味が、
小麦の甘さにひきたてられてよりシャープに感じられる。
二八らしいしなやかさ、つるり、ややぺたぺたとした肌。

蕎麦汁は甘さの少ないくっきり濃いめ。
蕎麦湯は銅の湯桶で出てきた。
(銅の味の蕎麦湯!)

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気づけば店内では数組のお客さん達がそれぞれのこの店の時間を楽しんでいた。
一人蕎麦を手繰る女性、大谷石のカウンターでワインとおつまみを楽しむカップル。
場所柄お洒落な(しかも落ち着いた世代の)人が多いのか
店全体の雰囲気とも相まって日本蕎麦屋としてはどうにも稀有な眺めである。

若い人が始めた新しくピカピカモダンな日本蕎麦屋は増えているが
この店のようにレトロ&ノスタルジックな洋風で
お店の人もお客さんもお洒落なオトナたち、というのは
私には実に新鮮、不思議な体験だった。
なんだかパリ郊外の定食屋にでも迷い込んだような・・


夕暮れ時は去り、扉の外は初夏の夜。


ノスタルジックな夜の気配に誘われて・・・
このあとは、楽しい話にげらげら大笑いしながら
なんと恵比寿の「ビストロ・ダルブル」まで歩いてハシゴしちゃったのであった!



posted by aya at 22:22 | Comment(2) | TrackBack(0) | 東京の蕎麦>港区 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年09月29日

新橋「ひろ作」


久々の、「ひろ作」。

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変わらぬ佇まい、店内の雰囲気にほっとする。

毎日寡黙に精緻な仕事をこなし続ける店主と、それを支える奥さん。
ミシュランで騒がれようと予約困難だろうと「ひろ作」には「ひろ作」の時間が変わらず流れている。
コトコトと、小さな古いカウンター内の店主の仕事の音。
この店の時間を楽しむ客達の静かな話し声。

店主の仕事ぶりは言わずもがなだが、
料理を出す時に一瞬だけ見せる晴れやかな笑顔と仕草にも毎度惚れ惚れさせれる。
熟練の余裕、とはこのことだ。

ここで大人の夜を過ごすのは私の長年の夢だが
やはりどうしても大人気の昼時になってしまう。
なにしろ2500円で「ひろ作」の味を楽しめてしまうのだから、
予約困難なのもうなずける。


「冷やし茶碗蒸し」と「ずいきのお浸し」
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どちらも絶品!
ずいきの白の美しさに目を見張る。すだちの彩りと薫り。
さすが出汁が素晴らしい。
「冷やし茶碗蒸し」はジュレがけになっていて目にも涼やか。
中に潜む鶏肝の濃厚でありながら上品な旨味にノックアウトされる。



「イサキのお造り」
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なんと、皮を炙った炙り刺身になっている。
これには参った。
ブリブリとした食感、炙ったことによる香り高さで最高の美味しさ。



「天ぷら 山科のししとう、緑竹、きす、骨煎餅」
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天ぷらは目の前で揚げた揚げたてを。
上品な衣に包まれたししとうの新鮮なさっくり感と香り、緑竹のやさしい食感。
きすはふっくら味も濃く、揚げ方の良し悪しで
ここまで素材の美味しさが際立つものかとしみじみ。
また天汁が素晴らしい。
日頃は天ぷらは塩が好きな私だが、
それはお出汁の味が強過ぎて天ぷらの美味しさが溶けてしまうような印象を受けるから。
「ひろ作」の天汁はまさに天ぷらの美味しさを際立せる名脇役だ。



「穴子蒸し」
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小さな器の中に穴子蒸しごはん。
臭みの全くない上質の穴子が、綺麗な味のまま蒸しあげられ素晴らしく美味しい。
ぷっくりツヤツヤの餅米がまたよく合う。



そして、懐かしい「ひろ作」の蕎麦。

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ああ これだ。
ツヤツヤピカピカの極細、白く優しい姿。

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ふっとただよう上品な白い香り。
食感は前よりいっそう優しくなったようで
ピカピカの見た目に反してフニャッとしているが、
極細の輪郭線の繊細な心地よさ、ツルツルすぎない素朴な歯触りがとてもいい。
しかもここは汁がさすがの美味しさ。
ここでばかりは、私は汁もつけずに蕎麦だけズルズル、なんてことはせず
その貴い汁につけて食べたくなる。


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蕎麦湯も、いつもは汁で割らずに「蕎麦湯をゴクリ、汁を時々チロリ」と
塩を舐めつつお酒を飲む呑兵衛みたいに別々に、延々と飲んでいるのだが
ここでは迷わず割ってみた。
汁の良し悪しは蕎麦湯で割ると歴然とするもの。
少し残ったネギの香りもよく、このために作られた椀物の汁のように完璧な美味しさだ。


デザートは葛の黒蜜がけ。

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何(十)年経っても変わらないでいてくれることのありがたさ。

今年の、私の「ひろ作」の思い出。




posted by aya at 11:56 | Comment(3) | TrackBack(0) | 東京の蕎麦>港区 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年08月26日

広尾「傅心」


広尾の駅上と言っていい好立地。

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外苑西通り沿いにあるとは言え、そのさりげない外観は知っている人でないと
なかなか気づかないかもしれない。



店は階段を上がった二階にある。

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段差を作ることで小さなホールのような華々しい奥行きを感じさせる店内。



ここの料理は味も美味しいがその姿の美しさが素晴らしい。
相当の美意識の高さを感じさせるものばかりが次々出てくる。

この野菜と器の色彩。

「夏野菜のジュレかけ」
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この稚鮎の美しさ!!

「稚鮎の天ぷら」
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日本料理の世界では稚鮎の天ぷらは「泳いでいるように」盛り付けるのが理想らしいが
この稚鮎はまさに、躍動感さえ感じさせる日本画のような眺め。



「酢の物盛り合わせ」
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お値段も大変にゴージャスだが内容もゴージャズ。
こんな豪華な酢の物盛り合わせ、初めて見た!
酢の物好きにはなんと幸せな贅沢だろう・・



そして「傅心」の美意識でそばがきを作ると
こんなものすごいことになっちゃいます。

「蕎麦がき」
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ええええええ
ナンデスカ
このもんのすごい荒挽きっぷりは!!

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(>_<)

こっ

この、蕎麦畑がそのまんま丸められたような強烈なルックスもすごいのですがっっ

それ以上に、この超絶たまらないフレッシュなかぐわしさは何なんですか!!

吹き抜ける青いような美しさと、打ち抜かれるような濃厚な香ばしさ。
欲しいものが全部ここにある感じの最高の香ばしさ!!

口に含むと見た目の通り、ザラザラ大粒の粗びき粒が
ドロドロザラザラ〜〜と口中にとろける。
ふっくらさ、エアリーさはあまりなくドロドロザラザラつぶつぶ〜〜
そしてグルタミン酸を感じるほどの穀物の強烈な旨みがたまらなく美味しい。
ああああああ 素晴らしい


そしてこれだけの超粗挽きのそばがきを普通に「蕎麦がき」と名乗っちゃうお店が
「粗挽そば」を打つとこういう事になります。

さあ皆さん一緒にびっくりしましょう!!

じゃーん

「粗挽蕎麦」
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モノスゴイ、の一言・・・・!!

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それはもはや、蕎麦というより芽吹き始めたユキヤナギの枝の如くの姿。
ポコポコした舌触りの肌を噛みしめると
トウモロコシから甘さを除いたようなスッキリした深い香ばしさが生まれ、
味わいはほんのりと滋味深い。
つながりは全体に短めだがこれだけのインパクトであるから、
蕎麦というより極上の「つまみ」のようだ。
自家製粉、福井大野の蕎麦。
面白いことやっちゃうお店だなあー




「せいろ蕎麦」
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同じ福井・大野の蕎麦だというのに
打って変わってこちらは端正な輪郭線、美しい緑!

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穏やかな蕎麦の香りを淡くまとう密な肌。
しとっ ピタピタとした肌を噛みしめるとやわらかで自在なコシが迎えてくれ、
こういうのを「上手い蕎麦」というのだろうなあ、と思う。
そしてそんな上手い打ち手があんな強烈な粗挽きを出しちゃうところが
面白いなあー、と思う。


同じ打ち方で産地だけ違うお店も楽しいが
2種の蕎麦のコントラストが鮮やかなお店もこんなふうに楽しい。


手打ち蕎麦なら何だって楽しいんでしょ、と言われそうだが
その通りでーす(^o^)


posted by aya at 09:35 | Comment(0) | TrackBack(0) | 東京の蕎麦>港区 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年06月04日

芝公園「案山子」


今夜は、ずっと楽しみにしていた夜。

夜の「案山子」に行くんだーー!!(^O^)


芝公園駅、田町駅、三田駅の真ん中あたり。
大通りは巨大なビルだらけの大都会だが
路地を一本入ると住宅あり古い商店ありの、
のんびりした眺めに出会う。

その路地のひとつにポコンと建つ、
四角い箱のようなモダンな建物。

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この箱の中に、どれほど深くて大きくて楽しい世界があることか・・
その魅力を知る者としては、この中に
「案山子」の世界の全てが収まっていることが不思議に思えるほどだ。
四次元ポケットの入り口みたい!



木の風合いが美しい、清潔感あふれる店内。
夜は照明が落とされて落ち着いた雰囲気になっている。

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冒頭で「夜の案山子に・・・」と書いたのには理由がある。
「案山子」は夜の料理の数々がとんでもなくすんばらしいのだ。

お昼も「お蕎麦+TKG」という、ものすごくおいしくて楽しいランチをやっているのだが
(TKG=卵かけご飯)
今夜は久々に夜の料理を楽しみにやって来た。


今月はこんな感じ・・・と、ときめくーーー!

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お酒は店主と相談して、最初にお薦めされたこちら。

愛媛「石鎚 槽絞り 純米吟醸」
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お薦めってやっぱりすごいもので
本日4種類味見した中でこれが一番好きでした。



「前菜盛り合わせ」
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一皿で、目の前の世界が変わる。
「織部豆腐」「隠元胡麻よごし」「生蓴菜酢」「枇杷白和へ」「白海老艶煮」
日本人であることが誇らしくなる美しさ。

白海老は富山のもの。
甘い味付けが苦手な私なのに不思議な美味しくパクパク食べてしまう。




織部焼に見立てて抹茶をあしらった「織部豆腐」。
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その美しさもさることながら
思い切り抹茶を効かせた苦味のある味わいにも意表を突かれる。
大人の味!


「生雲丹と生湯波 ポン酢ジュレ」
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メニュー名を見ただけで飛びつきました、
大好物だらけの贅沢な取り合わせ。
上品な雲丹と濃厚な湯葉がひんやりとろ〜り、からみあう〜




「蓮根のきんぴら」
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名前も姿もこんなに素朴な料理だというのに、
これがまた何がどうしたかって言うくらい、とんでもなく美味しい!!
私が人生で食べた中で一番美味しい蓮根料理、と言い切ってしまいたいくらい美味しい。
さっぱりした印象なのに食べ応えがあり、
蓮根の旨みの上になにやら魔法のように美味しい味がついている。
(多分ごくシンプルなものなのだと思うが)。
どんな料理法なのか、訊いてみたかったけれど恐れ多くて訊けず・・
次回勇気を出して訊いてみようかなあ〜



「越中梅貝旨煮」
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全くもう、上手い人はどうしてこういうニクイことを次々とするのでしょうか!
最高の素材にさらりと手を加え、頂点の美味しさに持っていってトンと出す。
さすがは越中バイ貝、宝物のように美味しすぎますって!!
えーん、これ毎日食べたい・・今日だけでもあと10個くらい食べたい・・
楊枝でぐりりり〜〜んっと出すのには技術が要りますが
1個目は大成功、2個目は最初失敗しましたが執念で貝を割って全部食べました(^o^)



あまりにも美味しいもの続きだが興奮はまだまだ、というかどんどんヒートアップ。
これを落ち着けという方が無理です!
だってね、今日は私、人生で一番贅沢で、人生で一番美味しいアレを食べちゃったんです・・

「コロッケ」!!

しかも、真鯛の!!

「真鯛ころっけ」

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まあ遠景は普通にコロッケなのです。

しかし宝の扉を開くと・・・

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(>_<)

(>_<)

(>_<)

く、口がきけません・・

美味しすぎてどうにかなります

もう、なんというか、とにかく爆発的な美味しさなのであります。
肉の部分と白子(卵?)の部分とがほっこりほっくり別々にやってきて
さっくりした衣と絡まり、溶け合い、真鯛の旨みがぎゅううう〜〜と倍増し続ける。

これはなんですか。芸術ですか。

こんな贅沢でありがたいコロッケを食べちゃったからには
明日からは感謝と謙虚の心をもって積善に励まねば確実にバチが当たる。
ああ ありがたや ありがたや・・・



千葉「鳴海 直詰め生特別純米 千葉」
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「案山子」はお料理が鮮やかだからか酒器はシンプル。
このあと
福岡「若波 純米吟醸」
長野「澤の花 中取り 純米」
と昇進!
私はいつも通り味見のみ、のはずが
お料理があまりにも美味しいのでついついちょこっと舐めたくなり
アレ〜 今日はいつもより酔っ払っているような・・?(≧ω≦)



「砂肝コンフィ」
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砂肝好きなのでついこれも!
いつも言われるのだが私は飲めないくせにお酒が好きな人が好きな食べ物が好きらしい。
コリコリしているかと思いきやふっくらした食感に驚き。
これはお酒に合いますね〜〜(ってもう舐めない方が・・(^^;;))



ここまででもう相当堪能したはずなのだが
どれもがあまりにも美味しいので「美味しいものハイ」になってしまい
もう、できることなら全部のメニューを見てみたいのだが
私にはこの後好きな人(お蕎麦)との逢瀬が待っておりますので
あと2品ほど・・


「蚕豆 かきあげ」

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軽い気持ちで頼んだこちら。
見た目も実にシンプルでさり気ない・・・のだが!!
食べた瞬間、目がかっぴらいてゲラゲラ笑い出してしまいました!!
え〜〜〜??なんでこんなに美味しいのー!??
ありえないんですけどーーー!
さっくりした衣の中から現れる、
ほっくり甘い、畑の宝物のようなそら豆の味わい。
姿も味も、シンプルで素朴でこんなにも美しい。
はあああああ 上手い人って、本当にニクすぎる・・



「ヤングコーン、えんどう豆、あすぱらサラダ」
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うううう・・・これもまた・・・・
メニュー名と姿から「こんな感じの味かな〜?」とだいたい想像するではないですか。
それをいちいち遥か越えて、一口一口に感動がある。
それぞれの野菜のパリッとかサクッとした食感。
素材の味を頂点に引き出すセンスと腕にまたまたヘナヘナ・・・
ヤングコーンってこんなに美味しかったっけ?



もう何が何だか、お蕎麦の前にスーパーハイになってしまった私ですが
あの方にお会いする前は身を正します。

今だけは、コロッケもキンピラも忘れて、澄んだ気持ちであなたに会いたい・・


「ざる蕎麦」
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世界に誇りたい、日本の絶景。
本日は茨城と栃木のブレンド。

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繊細な平打ち、素朴でやさしい趣の輪郭線。
そこからふわーっとふんだんに漂う、ふっくらとした野生の香り!
野生味にあふれつつ、まろやかで上品な印象のかぐわしさが素晴らしい。
しっとりぴたっとした肌の舌触り。
食感は見た目の通りふんわりとやさしく、味わいも白く上品なイメージで、
フレッシュな野生の香りに良いつつ
はあああ 素晴らしい・・・・

こちらはさすが、汁も大変美味しいのだが
蕎麦が美味し過ぎて当然のことながら最後まで一度もつけられない。

鮮やかに過ぎていったあの美しい料理の数々のあとで、
今私は、澄んだ湖を泳ぐような、すべてが洗われるような心持ちだ。



そして今回は、長年気になっていた
「鴨南蛮」を拝むチャンスにも恵まれた。


「鴨南蛮」
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おおお〜
誰もが加えたくなるような菜の緑など
鮮やかな色彩を一切排した、ストイックなまでに渋い姿!

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これがまた・・
焼き葱の香ばしさといい、澄んだ出汁といい
蕎麦と鴨肉の美味しさが非常に美しく大切に伝わってくる鴨南蛮である。



店に居た時間は本当にあっという間に感じたが、
なんと今夜は、開店時刻から閉店時刻まで長居していた!!
信じられない・・・


楽しい時間は、あっという間に過ぎるもの。

楽しい夜は、心にずっと残るものだ。


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2014年02月08日

広尾「こうもと」

未だかつて体験したことがないほど
入りにくい蕎麦屋である。

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広尾の路地裏。
四角い箱のような外観には、店名を示すごく小さな灯りがあるのみ。
店なのか住宅なのかすらもわからず、
寡黙な扉の奥にはどんな空間が広がっているのか想像もつかない。


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電話番号非公開。
下町出身の私の父などは「蕎麦は庶民の食べ物」という固定観念を捨てる気配がないが
「こうもと」はそういう蕎麦屋とは一線を画す店である。

だからと言って目が飛び出るような高級店というわけではない。
目安を言ってしまえばこの店の「せいろ」は900円である。
しかも大変に美味しい。


たまには、こんな蕎麦時間。

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ずっしりと重く、美しい酒器の景色。
注ぎ口からこぼれるお酒が美しくて見惚れる。

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石川「菊姫 純米」、
一瞬で深くキュッと来てあとをひかない潔い味わい。


お通し「蟹の焼き湯葉巻き」
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焼き湯葉の食感を残しつつ程よくふんわり。
中の「上品なカニサラダ」もとてもおいしく
洗練と家庭的な感じのバランスがいい。


そして今日はこの盛り合わせが凄かった!

「本日のお刺身」
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魚好きの私は思わず身震い、武者震い。
興奮余ってもうワンカット! (*^_^*)

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金目鯛、寒ぶり、〆サバ、アオリ烏賊、大トロ、赤身。
それぞれが最高の美味しさをヒットしている。

実は今日は昼間、寒ブリが買いたくて
スーパーや鮮魚店を何軒か廻ったのだが終ぞ出会えず。
それがなんとここで出会えてしまった上にその見事な美しさ、美味しさと来たら。
ガッツリ脂が乗っているのに
「これ脂なの?」と目がぱちくりしてしまうような爽やか美しい脂感に感激〜



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ワインセラーが凄い店内。
ではあるが、お刺身が美味しすぎてやはり次も日本酒に♪
生魚と日本酒は合いすぎる!!


富山「満寿泉 純米」
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先程の「菊姫」とは対照的に、旨みが横にひらたくじわーんとひろがる。
「酒量だけは小鳥」の私だがナマイキにも
「このお魚には絶対こっちのお酒、このお魚には絶対あっちのお酒」
ということはわかるのが面白い。
大トロには断固「菊姫」であります!



「千葉ヨーク豚の冷しゃぶサラダ」
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しっとり旨みの濃い豚肉ではなく、ごく薄切りでドライな感じの軽い豚しゃぶ。
野菜もフワンフワンとごく軽く、ごまだれもさらっとしているので
全体に非常にさっぱりした冷しゃぶサラダだ。



「飛騨牛スジと豆腐の煮込み」
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どっしりと貫禄のある、趣の良い大鉢でやって来た。
お刺身の時も思ったが、ここは薬味のひとつひとつに
実に美しい仕事がされていて美味しい。





「そばがき」
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わわわわわ
この美しい青さは一体・・・
どうしよう、ものすごいそばがきが来ちゃったみたい・・!!

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あたたかいそばがきなのに、
「クールビューティー」という印象を受けるほどひんやり美しい青さ。
夢見るように顔を寄せれば、ストイックで端正な印象のかぐわしさに
食べる前から惚れ惚れ・・た、たまらない(>_<)
口に含むとまず感じるもっちり感、
そのあと意外なほどホワッと軽い、エアリーな食感に出会い感激する。
ううううう・・・このかぐわしさ、モチほわエアリー・・・
おいしいよう〜〜 来てよかったよう〜〜




「せいろ」
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四角い大きなせいろに厚みを持ってビッチリ。
雰囲気に似合わずお蕎麦の量はしっかり目で嬉しいなあ〜〜

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この「せいろ」、今日は茨城の蕎麦だそうだが
なぜか先程の「そばがき」ほど色も青くないし、
あのようなストイックで端整なかぐわしさはない。
そのかわり極上の更科蕎麦のような、
蕎麦の香りの美しい上澄みだけのようなかぐわしさを
ふわーーーーーっと羽衣のように軽やかにまとっている。
端正な極細の平打ち。
蕎麦と蕎麦が密な束になって重なっているために、
ふんわり空気感を持って盛られている蕎麦と違い見た目以上に量がある。
口に含むとキンと思い切りしめられた肌は束になっていて、
噛み締めた刹那クチュッと、かすかに伸びるようなコシが絶妙。
そのひんやり束クチュ感を楽しむ間じゅう、
私の全身は天女の羽衣のように透き通るかぐわしさに染まっている。
これは稀有な美味しさ!




「かけ」
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出汁が美味しい!
すっきりと澄み渡る・・という料亭のような洗練のうまみではなく、
いい意味での雑味も含んだしっかりおいしい出汁。
しかし甘みはすっきりとしているところがまたニクイ。
ここにも、最初のお通しで感じた
「洗練と家庭的な良さのバランス」を見つけ感心させられる。


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私にとって、蕎麦湯はお酒で、蕎麦汁は極上のおつまみ。
蕎麦湯を飲んでは蕎麦汁をチロリと舌に載せるのが至福の時だが
ここの汁は蕎麦湯に混ぜる一般的な飲み方の方がより美味しく感じた。
いろいろあっておもしろいなあー


入る前は入りにくいが
入ってしまえばオアシスとも思えるほど
静かで、居心地が良く美味しい空間。

お店の人の対応も実に自然で親切で
心に残る瞬間がいくつもあった。




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(面取に弱い私はこの湯呑との時間もしあわせでしたー♪)





たまには、こんな蕎麦時間。

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posted by aya at 21:35 | Comment(6) | TrackBack(0) | 東京の蕎麦>港区 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年08月03日

六本木「純手打ちそば 夢路」


あ” づ い” 。

どうしようもなく暑い。
コンクリートの照り返しで足元から焼け焦げそうだ。
今お蕎麦を食べなければ死んでしまう。


そうだ、この裏道の「純手打 そば夢路」で
ちょいと一枚ひっかけて血中蕎麦粉上げて命をつなごう。
さんせーい!!(≧∇≦)/☆


突然げんきに早歩きとなり六本木交差点から外苑西通りを乃木坂方向へ。
斜めに入る路地をコチョコチョッと入ったあたり。
この辺は大好きなイタリアンもあったりして
いいんですよね〜♪

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「純手打 そば夢路」の前は優雅&壮麗な結婚式場が二つも(!)並んでいて緑も多く、
すぐそこが六本木交差点とは思えないほど閑静さ。


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今日は暑すぎるからかいつになくとても空いている。
お客さんは私だけ。
静かで贅沢な午後だ。


「合い盛りそば」

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「せいろそば」
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機械打ちかと見紛うほど美しく端正に切りそろえられた輪郭線。
最初に箸先で寄せた香りはごく淡かったのだが
それがだんだん深まってきて、穀物独特の香ばしさを楽しませてくれる。
味わいは最後までさっぱりとしていて
食感がまた何ともクッキリハッキリ、1本1本の肌を機械で整えたかのように端正だ。


「田舎そば」
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ムッハァ〜と濃厚な甘い香り。
しかしながら熟成の感じではなく、フレッシュなムハムハ感がとてもうれしい、おいしい!
見た目は「せいろ」ほど揃い整った印象ではなかったが
口に含むとこれまたなんとも機械で整えたかのような端正さ、1本1本の独立感。
独特の軽さも感じる、個性的な食感だ。



それにしても隣のテーブルの人が食べていた「ぶっかけそば」、
どっかーーんと大きくて青ネギがたーっぷり乗っていて美味しそうだったなぁ〜〜
あれイイなあ〜〜


次回はぜったいあれ食べるんだ!

・・と心に決めて次回もまた
「合い盛りそばください〜」と言ってしまうのはわかっているのだが・・

そういう人生なんです(^^;;)




posted by aya at 11:13 | Comment(0) | TrackBack(0) | 東京の蕎麦>港区 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年11月15日

新橋「多佳津」が閉店・・・


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新橋「多佳津」が閉店したと聞いて
少なからずも感無量の思いである。

自分の中の蕎麦への愛を自覚した頃から
幾度となく暖簾をくぐった店。

学校の帰りに一人で「多佳津」に行き
オジサマたちで満員居酒屋状態の店の扉を開けたら
それこそ店中に「何が迷い込んできたんだァ?」という顔で見られたこともあったっけ。

開店時間が早く中休みもないので
静かな時間もずいぶんと楽しませてもらった。


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あの独特の、すべらかで極細かいざらつきをもったビスクドールのような肌。
1本1本が独立したようなハリのある太打ちの輪郭線。
甘く力強い香り。

もうあの蕎麦には会えないのだ。

あの場所に流れる時間も、もうない。



今年は四谷の蕎麦善も閉店してしまったし



さみしいなあー







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2012年11月14日

赤坂見附「蕎介(きょうすけ)」


艶やかなネオンの下を絶え間なく行き交う人々。
赤坂見附の夜は、夜更けて尚昼間のように明るく賑やかだ。

しかし薄暗い路地に一歩足を踏み入れれば別世界。
背後の喧騒がすーっと遠ざかっていくかのようだ。

「蕎介」の、佇まい。

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外観だけ古民家風の店は多いが、
「蕎介」の店舗は昭和初期に建てられた古民家を改造したもの。
店に入ると玄関スペースはぎゅっと手狭く、正面の階段もうんと幅が狭い。
その狭さがいかにも古民家らしい趣だ。

今日はその狭い階段を上った2階の座敷に通される。

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電灯が照らす、ほっこりと居心地の良い空間。
しかも今夜は、大好きな大好きなご夫妻とご一緒ということで
もうこうなりますよ、こうなっちゃいます!

「王祿 超辛純米」
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うひゃひゃ
あー今夜はなんて楽しいんだろう!


「刺身盛り合わせ」
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秋刀魚がおいしいぃいぃいぃ〜〜〜
光りものには目がない私。


「銀鱈の西京焼き」
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これも、見たら頼まずにいられない大好物。
こっくりとした脂の甘さが染み渡る〜



「〆張鶴 純米吟醸」
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大好きなお二人と、小さな古民家の2階で美味しいもの尽くし。
嬉しさ余ってもうそれこそ浴びるように飲みたい気分だが(注:最大で1合)
今夜はこのあと大事な用事が控えている。
〆張鶴は味見程度でガマンガマン。



「活き〆 穴子の一本締め」
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「鴨焼き」
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お蕎麦の前にこれだけ美味しいものを沢山食べてしまったときは
ちょっとずつ両方たべられる「二色」が本当に有り難い。


「二色(二八と生粉打ち)」
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「二八」
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曇り無き均一な色味の、滑らかな肌。
口に含むと見た目以上にはっきりとした輪郭線を持ち、
弾むような歯応えのある二八蕎麦だ。

「生粉打ち」
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こちらもまた、均一に整った色味のなめらかな肌。
あまりにも綺麗すぎてどこか人工的な印象を持ってしまうほど。
香りは二八よりは感じるがごく淡く、
口中で暴れるほどの直線的な輪郭線と頑丈なコシが印象的。
太打ちの上すごい歯応えなので、量以上に食べ応えを感じる。


大好きなお二人とすっかりくつろいで、
気づけばどこかの日本旅館にでもいるような楽しい旅気分に浸っていた。
ここが赤坂のど真ん中とは思えない。

この店は一人でやってきて蕎麦だけズルズル食べる店ではなく
気の合う人とほっこり、美味しい料理と小さな古民家の情緒を楽しみ
しかも最後にお蕎麦も食べられちゃいますよという店。
空間が小さいところがとても落ち着くのだ。


そう、デートには、とってもオススメなお店なのでありますよ〜
是非是非♪









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2012年10月03日

赤羽橋「蕎麦切宮下 三田綱町」


港区三田の坂道にドーンと現わる、広大な西洋屋敷風の構え・・

これは何だろう?

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イエ、まさかお蕎麦屋さんではありませぬ。

答えは

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なるほど。
元は松平隠岐守の中屋敷があった場所に建てられたイタリア大使館。
広大な庭は澤庵和尚の設計による17世紀造園当時の面を残し
今も東京有数の名園だそう。
日本庭園好きとしては是非見たいものだ。


そのイタリア大使館のまさに真向かいの闇に
鮮やかに浮かぶ白い暖簾がある。

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「蕎麦切宮下 三田綱町」。

今やどんどん店舗を増やしている「暗闇坂宮下」が出した蕎麦屋である。
揺るぎなき歴史を持ったイタリア大使館に対峙しても見劣りせぬ存在感。
ここに、こんな簡素で美しい和の洗練を現してくれたことに
感謝したいような気持ちである。

簡素と書いたが空間としてはかなり贅沢である。


入り口付近のスペースのがすでに贅沢。

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店内も広々ゆったり。

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奥には予約専用らしい個室風の空間が2部屋?もある。

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夏のビールは美味しいが秋のビールも美味しい。

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(ビールは毎度ひと口飲んじゃってから慌てて撮影する私(^^;;))





「ざる豆腐」
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ざると言ったからにはざるで出してくれる。
日本の器ってすごいなあ、美しい演出だなあ
イタリア大使館の人にも見せたいなあ。

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クリーミーで甘いなめらかな豆腐。





「そばがき」
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かなり大きな器に盛られてきたそばがき。
でもその向こうの片口型の取皿がえらく気に入ってしまい釘付けの私。
蔓植物の絵柄に弱い。形もいい。

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ねっちりと密な珍しい質感。
香りや風味は今ひとつなのだが、
粉感もすこし感じる食べ応えのある感じが
田舎らしい趣・・かな?



本日のおすすめメニューより
「津軽鴨 タタキ」
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極薄いけれど脂が甘く濃厚。
これはお酒のおつまみとして素晴らしい。




「ざる豆腐」と「そばがき」についてきた汁が蕎麦汁だったので
普通の蕎麦汁がつく「せいろ」ではなく
胡麻汁がつく「胡麻せいろ」を頼んでみる。

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むむむっっ
この蕎麦の色は!?
そしてこのツヤ、輪郭線は!?


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東京ではあまりお目にかからぬ、やや黒緑がかった色。
なめらかそうに光る肌。
あなた、もしかして・・・?

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ふわりと鼻腔をくすぐる香り。
つるりぬるりと口中を巡る、パッキリとした輪郭線。
まさに「布海苔」を用いた新潟の郷土蕎麦である「へぎ蕎麦」にそっくりなのだ。

親切な店員さんが担当してくれたので思い切って聞いてみた。

「これは普通のお蕎麦と大分違いますね〜、布海苔が入っているんですか?」

「それは企業秘密でして」




(◎_◎;) (◎_◎;) (◎_◎;)





もともとは日本料理がメインの宮下の経営であるから
汁がたのしみなところ。
胡麻汁は香り高く甘さもボリューム感も程よく美味しい。
つけて食べていたらつるつるお蕎麦があっという間に無くなってしまった。

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がっっ
普通の蕎麦汁はものすごい個性派であります。

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なんというか・・・鰹が爆発しております。
それもかなり生々しい感じです。
料理屋さんの出した蕎麦屋ということで
個性を出しているのかな?


こちらは「けんちんせいろ」のつけ汁。

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脂が全く浮いていないすっきりと澄んだ汁が印象的。
豆腐は入っておらずそのかわりに一口大のそばがきが入った、
「蕎麦屋のけんちん汁」だ。
食べてみると・・この汁がまた個性ぶっちぎり!!
おそらく先程の蕎麦汁とベースは同じだと思うのだが、
温かくなると鰹の生々しさがより拡大され・・・
具としては精進風なのだが、香りは容赦ない漁師風であります。


この「蕎麦切宮下 三田綱町」は店舗としては
自由が丘にかつてあった「蕎麦 衾」が移転したもの。

自由が丘の古民家の佇まいもすごかったが、
今度のお店も相当ユニークだ。
入り口の風情から店内の雰囲気、お蕎麦まで、いろいろ驚きが多かったが、
こういうちょっと変わったお店があるのも面白いんじゃないかな〜


でも一番のびっくりは
「蕎麦粉がひとかけらも見当たらない、ショーウィンドウのような蕎麦打ちスペース」
だったかも!

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外国の人には、何のための空間か
想像つかないでしょうね〜






.
posted by aya at 19:47 | Comment(9) | TrackBack(0) | 東京の蕎麦>港区 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年08月09日

麻布十番「総本家 更科堀井」

 
映画を観る前に、久しぶりの「更科堀井」。

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「もりそば」「太打ちそば」「さらしなそば」
うーん、やっぱりどれも食べたくなっちゃうなあ

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昼時の店内はひっきりなしにお客さんが入れ替わる大盛況ぶり。

こんなにたくさんの人がお蕎麦を食べたさ一心で(そこまでか?)
ここに集まってきている。
そう思うと嬉しくて嬉しくて、店内を眺め感無量の喜びに浸る私。
理解されにくい感情だと思うが・・・(^^;;)


お蕎麦が来る前に運ばれてくる、堀井点前。
「あま汁」と「から汁」が並んでいる。

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「太打ちそば」
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もう何でもかんでも出来た順に持ってくれました。
なんと太打ちから!

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甘皮の濃厚な、甘〜い香り。
モグンモグンと噛みしめるごとの味わいがすごい。
う〜〜〜 おいしい〜〜〜




「もりそば」
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フッと私に語りかける、ストイックなイメージの、貫禄の香り。
穀物のかすかな生々しさがあとから追いかけてくる。
王道のすべらかな質感とコシ。
そこからあふれる、ことさらでない滋味。

こんな老舗が、全て手打ちでこんなに蕎麦を打ってくれて
しかもこんなに繁盛して、たくさんの人がよろこんで食べている。
なんて素晴らしいことだろうと、感動せずにいられない。




「さらしなそば」
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目も覚めるような純白!というよりは
一段やわらかい白色のさらしな。

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香りも甘くやわらかい。
食感はややほにょっとして、するつる〜っと食べられてしまう。
さらしなにも、本当にいろいろあるものだなあ


今日は意外と太打ちが一番おいしかったかもー(^o^)







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posted by aya at 09:17 | Comment(2) | TrackBack(0) | 東京の蕎麦>港区 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年05月31日

白金高輪「夢呆」



駅前過ぎて迷子になった。

いや、正しくは「駅上」過ぎて迷子になった。

店は地下鉄「白金高輪」駅ホームのちょうど真上に位置しているらしい。
私の調べ方が悪いのかもしれないが、事前に調べた地図では、
どんなに拡大しても駅のホームの真上にあるということしかわからなかった。
大きな交差点の真ん中に駅のホームの形が長く書いてあり
そのまた中央に店があるように示してある。
交差点のど真ん中に店があるはずはないし、
「白金高輪駅から6m、徒歩2分」と
面白いことが書いてあるグルメサイトもあった。
2分かけて6mってどうやって進むんじゃい。

不安なまま駅に着くと
地上に出たところは中庭のある大きな駅ビルのようになっているし、
案の定さっぱりわからない。

そこにたまたま、警備の人らしきおじいさんが立っていた。
聞くと親切に教えてくれ、桜田通りの反対側に「夢呆」の暖簾が見えた。
お礼を言い、少し離れたところにあった歩道橋を渡っていると
どこからか何か聞こえる。
おじいさんが追いかけてきて下から叫んでいるのだ。
「歩道橋を降りたら右ですよー!」

店はもうそこに見えているのだ。
一生懸命お辞儀をして頭の上に大きなマルををつくって応える。
親切さが心に沁みる。


沁み入ったところに、「夢呆」。

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エントランスの吹き抜け部分が2階までガラス張りになった
白いスタイリッシュなビル。
学芸大学にあった頃の、和風喫茶のような印象だった以前の店からすると
かなり意外な店構えである。

紺地に白抜きの暖簾と、入口脇の「手打そば」という素朴な木板が
僅かに以前の面影を映している気がしないでもない。


スタイリッシュな外観からは
白い小さなテーブルがいくつもあるような空間を想像したが
店内は「家庭の食卓のような大きなテーブルが3つ」という
これまた意外なレイアウト。
カフェのように人々が憩い、スマホを操っている。
平成の蕎麦屋の眺めである。

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吹き抜け部分があるために、面積よりもずっと広々と感じる。
2階も客席になっているらしい。

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「そばがき」
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「せいろ」が840円のところ、「そばがき」は1575円であるから、
結構贅沢なメニューである。

さすがに薬味もいっぱいついてくる。
岩のりはうれしいなあ〜

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ほっわぁ〜〜ん・・・

ふわドロとろ〜んと芳しい香気の中に溶ける夢。
こりゃたまらん。

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ふわドロとろ〜んではありますが
取皿に取ると結構しっかりぽってり形を保ってすくえます。
なんとなく北海道かな?と思わせるフレッシュな香りが
私の中にじんわり溶けていく。
はああ お蕎麦とお日様の香りがたまらなくおいしい・・
今日もしあわせだ・・




「せいろ」
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横長黒塗りのせいろに、ビシッと端整な姿。

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ひんやりと清澄な冷気。
そこにひそむ香りは・・今日はかなり淡い。
ごく淡く爽やかにだが、
しかし確かにそこにある美しい蕎麦の香りを見つめるひととき。
つるりするりと流麗に口中をめぐる肌は、
噛みしめるとパキッとしっかりした歯ごたえを持っている。


以前の店には「田舎そば」という、
昼前に行かなければ売り切れになる人気メニューがあった。
私は大好きだったので何度も売り切れに泣き
行く時は昼前狙いで行ったものだが、
新しい店になって残念ながらそのメニューはなくなってしまったらしい。
そのかわり、前にはなかった
「太打そば」というメニューがあったのでそれも頼む。



「太打そば」
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以前の「田舎そば」のようなざっくりした肌の蕎麦を想像したが
きめ細かな肌をみずみずしく輝かせた太打ち蕎麦が現れた。

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褐色、密な肌。
手繰り上げると香ばしい田舎らしい香りが
淡くふわりと漂う。
見ての通りのきめ細かな肌は噛みしめてもみっちりとして
太さがあるだけにかなりしっかりモグモグと咀嚼することになる。
モグモグの中から、すっきりした甘みと味わいがこぼれ続ける。


思えば拙著「蕎麦こい日記」の第一回打ち合わせは
学芸大学にあった頃の「夢呆」であった。
落ち着いた店内と、中休みがないこと、駅から近いことで選んだ気がする。

ここ白金高輪の新店は駅からさらに近く、嬉しいことにまた中休みがない。
雰囲気はちょっと変わったが、それはそれでまた違う楽しみ方があるというものだ。

2階の席も是非座ってみたいなー








2012年7月のライブのお知らせ
posted by aya at 23:28 | Comment(3) | TrackBack(0) | 東京の蕎麦>港区 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年04月28日

白金高輪「三合菴」


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なかなか暖かくならない春の雨の日。

開店直後に「三合菴」を訪れると
相変わらず隙のない端整な外観が静かに濡れていた。



ところが、扉を開くと中に人がギッチリ!
(空席待ちのお客さんが立って待っている)

しばらくすると外にも数人の行列が。


ヒヤー
すごい人気である。

しかも客層が、
ハイソっぽいというか食通っぽいというか、
なんともチガウのである。
 
着いた時間が早かったのでそう待たずに席につくことができた。

しかし、逢いたいと思う気持ちが強いほど
時間はゆっくりと過ぎる。

早く逢いたい。


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早く逢いたい。


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もうすぐ逢える。




キター!



「そばがき」
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蓋を開ければ今生の夢の世界が、
湯気を立てて私を招き入れる。

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目の覚めるようなかぐわしさ、
とはこういうことを言うのだろう。
フレッシュで、正統派で、どまんなかの香りの結集。
早くも脳は痺れんばかりだ。

その香りのカタマリを箸に取り、口に含むと
このそばがきの夢はもう雲突き抜けて帰ってこられなくなる。
舌に触れる、極上きめこまやかなぽってり感。
それがとろけてしまう感じでなく、形を表面を保ちつつ
ぽってり感を存分に楽しませてくれるからすごい。
うっとりと噛みしめると、
ウワーン これですー 
夢の ぽてフワエアリー・・ 

こんなにもやわらかふわぽてなのに
とろーんととろけることなく
そのきめこまやかな肌を保ち、
滋味なる味わいを楽しませてくれる。
大好きな大好きな、「三合菴」のそばがき。
あー もう なにがなんだか・・


「せいろ」
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ふわりただよう甘いかぐわしさと、かすかな野生。
どこか老成した印象の、ことさらでないかぐわしさは
この蕎麦に凛とした風格をあたえている。
何より、これまた食感が素晴らしいのだ。
やさしくやわらかな印象の肌は
噛みしめると実にさりげない強靭さで応えてくる。
狙い定めたかのような繊細な強さにドキッとする。


あっという間に食べ終わる。



食べ終わったら、
丸顔に蝶ネクタイのこんな楽しい人が現れました226039.gif

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2010年4月の「三合菴」


*2012年5〜7月の出演のお知らせ*



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2012年01月27日

広尾「蕎麦 たじま」


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私にとっては
「何度行っても前を通り過ぎそうになる店」
の一軒である。

スタイリッシュな外観は、通りの反対側から見れば目をひくが
看板がないため店側の歩道を歩いてくるとどこにあるのか把握できない。
今回も
「おかしい、今日はたじまがない!」
と思った瞬間に、自分が店の前に立っていることに気がついた。
そんなの私だけなのかしらん。





寒い夜がたのしくなるもの。

「三千盛 純米」を熱燗で。
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水のようにすっきりした飲み口、と説明にある通り
熱燗でもスーッと澄んだ入り口が私にはありがたい。
そして私はこの店の器のセンスが大好きだ。
一つ一つが選びぬかれたもので実に眺めがいい。




「あん肝ぽん酢」
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濃厚で脂の甘みが美味しいあん肝。
添えられた薬味類が気が効いている。



「寒ブリ刺身」
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肉はさっぱり、魚はこってり好きの私、
鰤と聞いたらガマンできません。
特にそうは書いていなかったが、この脂の清澄さ・・天然ものかも!
一切れ一切れ部位が違って味が違って、
その楽しいこと美味しいこと。




「かぶら蒸し」
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これも、寒い夜のお楽しみ。
熱燗とかぶら蒸し、聞いただけで嬉しくなるではないか。
「蕎麦 たじま」のかぶら蒸しは淡白ながら甘めの味付け。




「もり」
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洗練スタイリッシュな空間に
蕎麦はいきなり素朴な姿で現れる。
簡素、質素と言っていい印象の笊に
さらりと盛られやってきた主役。
なんとも謙虚で、粋だ。


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たちのぼる、さわやかな香気。
香りの湖に身を沈めていくように
全身がかぐわしさに染まる。
水の中は思い切り澄んでいる。
味わいは淡白で、潔いほど甘みはない。
王道の完璧なコシと香りに酔う夢。




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満員だった店内はようやく落ち着いてきた。
どのテーブルのお客さんもゆったりとくつろいで、実に楽しげなのが印象的だ。


雑誌に載ったり有名なランキングだかに取り上げられることで
変わってしまう店もあるが、
ここは逆にますます素敵な店になっている気がする。
人柄の伝わる接客も素晴らしい。



さあー帰り道も相当寒そうだから、
お腹の中の「蕎麦湯たんぽ」が頼りだぁー



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.
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2012年01月24日

乃木坂「祈年 手打茶寮」


外苑西通り沿いの美しい顔。

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瀟洒なデザインの建物は小さな教会のようだが
そこに純白の暖簾が不思議と似合っている。


店内は白を基調に赤がポイントに置かれた明るい雰囲気。
昼間は外からの光で店内中が白く輝き
さらにスタイリッシュなイメージになる。
今回は初めて夜訪れたのだが、夜のほうが親しみやすい印象だ。

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ふた穂(奈良)特別純米
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あまりにも寒いので今日は燗酒!と決めていた。
決めたはいいが二口で真っ赤というのはどうなんだ。
これ以上飲むと「テーブルが津波」になってくる。
おいしいのになあ、もっと飲みたいなあ。


「九十九里浜 背黒いわしのごま漬け」

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「あじとトマトのおぼろたたき」
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「あじ、トマト、薬味におぼろ昆布を混ぜてサックリとたたいたもの」
とメニューにあり、気になっていたのだが、これ大ヒット!
鯵のなめろうをさっぱりと最高に美味しく食べられる感じ。
入っているメンバーが全員大好き。
ちょっと意外なようで素晴らしい、絶妙な取り合わせだ。
欠点といえば美味しすぎて
この3倍くらい食べたくなってしまうところでしょうか・・


「鴨ねぎ焼き」
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お蕎麦は3種類。
「定番のもり(粗目)」
「吟白(水捏ね更科生一本)」
「豊穣(発芽そば)」
がある。

私は「定番のもり(粗目)」が一番好きなのでそれを1枚と、
「吟白(水捏ね更科生一本)」と「豊穣(発芽そば)」が
二色もりになったものを頼むことにする。




「定番のもり(粗目)」
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丸く深いせいろ。
堂々とした貫禄がありいい眺めだ。

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見入りハッとさせられる、超粗挽きの肌。
明るめの肌に大きな陰影が無数に浮かんでいる。
たぐりあげた箸先でふわぁーと迎えてくれる、澄んだ香りがたまらない。

あああうれしい・・・
私まで澄んだ気持ちになり、口に含み軽く驚く。
見た目以上に大きくゴロゴロとした粗挽きの食感。
丸みを帯びてやさしい、超粗挽きの肌は
よくあるザラザラとかツブツブとかチクチクとかではなく
「ゴロゴロ」というのが近い。
そうきくと硬いイメージに聞こえるかもしれないが決して硬くはなく
程よいコシ、そこからあふれる味わいが素晴らしい。
来てよかったなあー 


「吟醸二色」
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「吟白(水捏ね更科生一本)」
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更科の美しい香りが、かなり濃厚にムンと香る。
食感は独特のつるすべ感。
たぐりあげても口に含んでシャープな角の立った輪郭と
直線的なラインを保っている。
この「吟白(水捏ね更科生一本)」もまた
「定番のもり(粗目)」同様、ユニークな食感だ。


「豊穣(発芽そば)」
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こちらが「祈年 手打茶寮」の名物とも言える「発芽そば」。
修行先の長野県上田の「手打百藝おお西」直伝の蕎麦で
「手打百藝おお西」出身の職人の店ではよく出会う。
蕎麦の芽を一晩水に浸し芽が出てから打ったもので
都内ではこの「祈年 手打茶寮」でしか食べられない蕎麦だ。
「発芽米」同様、普通の蕎麦より栄養価が何倍も高くなっているらしい。
軽く粘りのあるしっかりした食感で、
今日のは熟成らしいむわぁーとした香りだ。



そしてこちらが好評につき通年メニューになったという
「トマトとガーリックの冷製」
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イタリアンレストランでの大好物、
「冷製トマトのカペッリーニ」のようなものを想像したが
こちらのはかなりスパイシー。生のガーリックの辛味かな?
蕎麦は「定番のもり(粗目)」なので
これだけしっかり強い味だとせっかくの蕎麦がもったいない・・
とジレンマに苦しむのは、私の常でございます。



メニューを見るとこの店は、美味しいと思ったものをとことんやる、
という感じが伝わってきて面白い。

おつまみの欄には
あじメニューのコーナー、鴨メニューのコーナーがあり
美味しい素材をいろいろなバリエーションで食べられる。

天ぷらそばにも思い入れがあるらしく
「天ぷらそば・関東(濃い口だし、天ぷらは上乗せ)」
「天ぷらそば・関西(薄口だし、天ぷらは別皿)」
と2種類ある。
天ぷらそば文化については何も知らない私には
メニューを見ただけで面白い。


見上げると半個室部分の天井は
和紙でやわらかな照明が演出されていた。

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今回初めて気づいたが、綺麗で見入ってしまった。


同じ店でも、訪れた時間やシチュエーション、こちらの心持ちの都合などで
なにか新しい発見があるものだ。




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2012年01月07日

六本木「rutin bar lounge」


六本木通り沿いのちょっと不思議な顔。

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鮮やかな緑の扉はポップだが
扉以外はコンクリートで埋め尽くされ、堅牢なイメージ。

とは言えここは六本木。
店舗としてはそう珍しい雰囲気でもないだろう。
普通と言ってしまってもいい。

しかし近づくと

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「手打ち蕎麦 BAR rutin」

これはどうにも普通ではない。
ヘンだ。ヘンで面白い。
この外観デザインで、手打ち蕎麦で、しかもBARって。
扉を開けるの、ちょっとドキドキするなあ・・



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ウハッ
やっぱり面白い。

一見した印象はバー。
しかしバーカウンターには、ガラスに囲まれた
「シャンデリアつきの打ち場」
という世にも珍しいものが!
今まさに蕎麦打ちの真っ最中だ。



バーであるから暗めの店内。
バーであるからソファー席もある。

ソファーの上にもアナ・スイ風の黒いシャンデリア。


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そこで出されたメニューに
「せいろ」「ざる」「天せいろ」「たぬき」「カレー南蛮」
といったメニューが並んでいる.
これはまことに面白い。




「八海山 純米吟醸」と、
いろいろ揃った炙り物から「エイヒレ」。

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スタイリッシュな徳利と猪口で飲むと
味わいも一層美しくすっきり感じられてしまう。
エイヒレは、たっぷりマヨつきでございますよ!



凍えるような風が吹きすさぶ今夜、
大喜びした「佃權のおでん」。

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大根、はんぺん、白滝、昆布、玉子など、
いろいろあるおでんメニューからウキウキ選んだ。
(私って選ぶものがいつも同じ・・ちなみに好きな順です(^o^))
佃權の名代半ぺんはさすがの美味しさ!
汁もこれだけすっきりしたのは珍しく、
おいしい〜〜
あったまるぅ〜〜〜




「天然鶏とほうれん草のサラダ」
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ドレッシングというものが時として苦手な私は
可能な限り「別添で」と頼む。
オイルでコーティングされ端から端まで味がついた野菜ではなく
裸の野菜そのままか、それに何かをつけて食べたいのだ。
このサラダも胡麻ドレをちょんとつけながら。
鶏は見た目以上にボリュームがありほんのり温かく美味しい鶏だった。




「せいろ」
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好きな人が現れて、突然店内の暗さがもどかしくなる私。

暗くてあなたがよく見えない。
もっとあなたの肌を見たい。

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おお
なんとか見えました。
角のない、やわらかそうな印象の細打ち。
口に含むとそうやわらかくはなく、
すべすべした肌が流麗に口内をめぐる。
香りも味も淡いが、ここはバーであるからこの流麗なすっきりさこそ
お酒の後にぴったりな蕎麦なのだろう。
北海道と福井のブレンド、二八蕎麦である。


特筆すべきはここの汁。
言ってしまえば蕎麦に汁はまったくつけない私は
汁に対して非常に寛容?で
汁がいまひとつでも蕎麦さえ美味しければ大満足してしまう。
しかし「蕎麦湯を飲みながら汁をチロッと舐める」というのを
蕎麦後の喜びとしているのでやっぱり汁は美味しい方がいい。

「rutin bar lounge」の汁は意外なほどすっきりしていて
それだけでは寂しいのだがまろやかな奥行き、味わいがある。
これは大変美味しい。
驚いて聞けば一本釣りの鰹節を使い、じっくり寝かせているのだそう。
はぁ〜すごい。
わさびも美味しいなあと思ったのでついでに聞くと
気に入ったものを静岡から取り寄せているという。


ピカッ


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突然店内が明るくなったと思ったら
今まで消えていた蕎麦打ちスペースのシャンデリアが点灯したのだった。
蕎麦を切る時だけはさすがに手元が暗いので、ということだろう。



実は次回此処に来たら、気になっているものが・・

「ぶっかけそば(大盛り)
 汁なし温そばに生醤油をかけて
 卵、おかか、ねぎ、揚げ玉、のり」

これ、絶対美味しいと思う!

次回は必ずあれ食べるんだぁー!





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2011年11月03日

新橋「伍法」


新橋の路地、というにふさわしい
新橋の路地中の路地!

ロケーションからしてムード満点の蕎麦屋である。

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路地裏に一際目立つ真新しい外観。
こちらの姿勢もスッと自然と伸びるような、端正な佇まいだ。

こんな店では蕎麦だけでなく
是非とも一杯いきたいところ。
おあつらえ向きに今日はお酒大好きな芸術家のお二人と来たのだ!

ここでは今の季節、
手取川、白瀑、開運、雨後の月、繁桝から選べる
「ひやおろし飲み比べ」が人気なのだが
呑兵衛のおふたり、何故か目もくれずぬる燗一本!


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お酒を頼んだら出てきた「ゆでピー」と「うなぎ」。
演出も美しく、ユニークで楽しい。


ここでハプニング。
カメラの電池がなくなった!!

携帯電話のカメラあるけど携帯ってシャッター音大きいですよね・・
でも背に腹は替えられじと
向かいのテーブルの飲み会グループが盛り上がったタイミングを狙って

「バシャッッッ」

うわっなんて大きい音、ごめんなさい!!と縮み上がったが
同席の酔っぱらいお二人は撮ったことに気づいても居らず
片方の御仁は目が開いているかも怪しい状態に・・(^^;;)



「せいろと田舎の二色もり」
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おおお〜 メニュー名に偽りなし。
二色と言ったら二色。
白と黒の対比が鮮やかだ。


「せいろ」
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軽やかに空気を含み重なる二八蕎麦。
香りは穏やかめだが、程よいコシの中に
ふっくらとした粉の甘みがふくらんでくる。
北海道は雨竜郡雨竜町のキタワセだ。


「田舎」
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ムワァーっと濃厚に香る、甘皮のたくましい香り!
色も黒いが香りもしっかり黒い。
そしてこの田舎が独特の食感で
つながりも、味も香りも全てが濃厚ながら
スルスルとすべらかな肌だけが妙に軽やかなのだ。
ムワァー、スルスルー、じわぁーっ

ああ 楽しいなー
おいしくていい夜だなあー


聞いてます〜?
おじさん! サドさん!






.
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2011年10月28日

表参道「青山 川上庵」


昨日は、学生時代の大先輩の集いに
ちょっと離れて年少(比較すればね!)の私もお誘いいただき、
わーいとお出かけ♪


私がお店決めたんじゃないんですよ〜
黒幕でもありません リクエストもしていません
いちばんの年長の先輩が幹事役をしてくれたのに
偶然会場がお蕎麦屋さんだったのだ!!
わーいわーい


「お造り シマアジ」
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ぶりんぶりんで脂のってていいシマアジ(大好物)。
Takeshiさんナイスチョイス!


「豆腐の三種盛」
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「半熟うまき」
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う巻というよりとろとろ半熟のオムレツぽい、「洋」の感じ。
でも私のところにはウナちゃん来てくれませんでした・・(^^;;)


「もつ煮」
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これだから呑兵衛だとすぐに思われる、私のリクエスト。
川上庵のは初めてだったけど、ガツンと超濃厚の煮込み。
しかもモツが大きい!


「茄子と生麩の揚げ浸し」
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「そばがき」
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ぎっしり、食べ応えあるそばがき。
フワ感モチ感ゼロのこの田舎っぽい食感は珍しい。
香りは淡いかと思いきや、噛みしめるごとに渋い香りがふくらんでいき
あー やっとお蕎麦に会えた・・



「豚の角煮」
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もつ煮もそうだったがここは角煮もワンブロックが大きい。
煮肉だいすき。おいしい〜



いよいよお蕎麦の時間。
実は内心待ちきれないほどでした(飲まなかったし・・(^^;;))
日頃大人数でお蕎麦を食べることがあまりない私には
この眺めは壮観!

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「せいろ」
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ねっとりとなかなか濃厚そうな姿。

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ふわぁ〜と香る、甘く爽やかなかぐわしさ。
見た目通りのややねっとりとした舌触り。
輪郭線ハッキリ、しっかりした食感。
プチプチとかすかに感じる粗挽きの粒感も楽しく、
おいしい〜 今日の川上庵、素晴らしいですよ〜〜


たのしい先輩方と美味しいお蕎麦にいっぺんに会えちゃって
すっかり得した気分。



帰り道、路地から見上げる細い空に星が一粒。

もう空は冬のようだ。





2011年9月の「青山 川上庵」
2010年7月の「青山 川上庵」




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2011年09月14日

虎ノ門「蕎麦切り 酒 大愚」

 
新橋に現わる新星は
既に高みで揺ぎ無き輝きを放っている。


隠れようにも誰も放っておいてはくれないだろうに
名店は限界まで路地の奥に隠れ、
通りを見渡してもその姿は見当たらない。

店前に立ってやっとそれと気づくストイックな佇まい。
真ん前に立ったってまだ看板の文字が確認できないほどだ。


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カウンターのみの店内は決して広くはないが
壁の色木の色、全てが温かみのある色でシンプルに統一され
広くないことがかえって心地よい。
大木の中の、秘密の小さな美しい部屋に招かれたようだ。

よく見ないと気づかぬほどの自然な曲線を描く
一枚板の美しいカウンター。
そのすべらかな木肌は
そこに置かれたものを実に美味しそうに演出する。

「諏訪泉 富田 純米生原酒50」
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今日は偶然他にお客さんが居ない時間であったことや幸運が重なり
夜のおつまみの中からできるものをオーダーすることが出来た。

「鶏とアボカドの山葵和え」
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「鶏皮ざく」
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鶏皮をこんなふうにさっぱりとサラダ仕立てで食べられるのは嬉しい。
緑色のジューシーな野菜は瓜?冬瓜?と思ったらトマト!
とても楽しく美味しい一皿。




そして早くも時は満ち。


私の胸の高なりはもはや蕎麦待つ丘の鐘の如くである。
(意味不明だが個人的にはまさに!)。

なんたってですよ、
この「大愚」のお蕎麦は全て手挽きなのです。
えーっ ホントウですかぁ〜
こんな都会の真ん中で、そんな夢みたいなことってあるんですかぁ〜


大愚の、「せいろ」。
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手びねりの陶器のような素朴な輪郭線。
その肌に浮かぶ無数の白い夢と陰影。
しばらく眺め入っていたいほど味わい深い眺めだが
蕎麦は食べるもんだ。食べる!

うわー!


なんという・・


夢のような、美しい香り。

はじめ淡いが薄衣が重なっていくように
どんどん深まっていくかぐわしさ。
見たとおりの素朴の舌触りの肌を噛みしめると
絶妙の弾力あるコシが迎えてくれ「参った!」。
しかもそのコシから溢れてくる味わいときたら何でしょう。
あまりに美しい、美味しい味わいなので
その味を舌の上にぜんぶ広げて味わおうとしている貪欲な自分がいる。
こんな気持ちになったのは久しぶり、いや初めてかも知れない。
ああーおいしい なんだこりゃ おいしすぎる




大愚の、「田舎」。
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潔さを感じるほどの、この肌の黒さ粗さ。(凄い!)
ずっしりと重なる姿の迫力。
箸先にたぐりあげ、嬉しさと驚きで思わず笑顔になる。
この、めったに無い、ゴマやピーナツよりも更に深い、
やんちゃなまでの香ばしさ!
香りはがっつりだが味わいはすっきり。
甘みもあまりなく、それがかえってこの蕎麦の美しさを際立たせている。
ムッチムチのコシと弾力、そしてなによりこの香ばしいかぐわしさを
すっきり洗練のうちに味わえるのだ。


ううう・・・
この「せいろ」にこの「田舎」・・・
どっちが好きかと聞かれても全く選べないほど
それぞれが素晴らし過ぎる。
またふたつの対比も素晴らし過ぎる。

すべて手挽きだけに売れすぎたら
店主が寝る時間がなくなってしまうのではと
要らぬ心配をしたりもするが
すべて手挽きだけに行く度に違う輝きを魅せてくれるだろう。



壁の振り子時計がなめらかに刻む時を見つめながら、
蕎麦湯。




名店は、路地の奥。
その日にしか出会えない蕎麦に、出会いに行ってください。





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2011年09月10日

表参道「青山 川上庵」


昨日の「名物かいぶつ祭」
ご来場くださった皆様、
ありがとうございましたー!
私もとっても楽しかったです(^o^)♪

終演後私たちは打ち上げのそのまた打ち上げで
こんなところへ・・・
(とか言ってこれは結構定番コースなのだが)

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「黒龍 特選吟醸」
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金属の器がすてき。


「冷やしこんにゃく」
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こんにゃくに入れられた刻みに辛子の黄色。
これは美味しくて素敵なアイディア!


「黒豚しゃぶしゃぶのサラダ」
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入店前からかなりいい調子で酔っ払っていた
BさんYさん、目を離すと歌いだそうとするので大変。
(ともにover 50、同級生同士だそうで高校生にかえっています(^^;;))

でもお蕎麦が来たらみんな突如目がさめたようにキリッとした顔になり
「うまいー、うまいー」
と大喜び、夢中でたぐるたぐる。

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いつもの川上庵レベルからすると
すこ〜し疲れた感じのお蕎麦?な気もしたのだが・・

あまりにもみんながウマイウマイ合唱するので
私もすっかりしあわせな気持ちに!

あーお蕎麦って素晴らしい!美味しい!
こんな酔っぱらいたちでも(失礼)さっぱりと美味しく、食べやすく、
しかも1枚を仲良く奪い合うBさんYさんのほほえましいこと。



お店の人も親切で、たのしい深夜蕎麦だったなあー



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2011年08月17日

六本木「蕎麦ダイニング くろさわ」


六本木ヒルズすぐ脇のレトロな構え。
目の前はグランド ハイアット東京という場所にある蕎麦屋である。

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「黒澤明監督の食卓をテーマとしている」ということから「くろさわ」であり、
豚肉料理を得意とするダイニングバーでもあり、
また場所柄か芸能人率が高かったりするのだが
私にとっては「美味しいお蕎麦屋さん」である。


とは言えやはり豚料理も売りの一つなので
ランチでは豚丼が三種類も。

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黒豚丼の赤(特製醤油だれの三枚肉)
黒豚丼の白(塩風味の三枚肉)
黒豚丼の黒(特製味噌と三枚肉の相性)


ミニ豚丼と蕎麦がセットになったランチもある。
今日は私も珍しく蕎麦以外のものも食べたい気分だったので
ちょっとだけ迷ったがやはりこういう選択に。

「はりはりそば」
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「たっぷりの針野菜と梅肉のさっぱりした冷かけ」
とメニューの説明にあるとおり、ひんやりさらさらさっぱり。
こういうメニューこそ出汁のよさが際立つ。
茗荷の風味が爽やかでおいしかったので、
なんと別添えの梅肉を最後まで入れずに完食してしまった〜

そしてもちろんこれだけでは帰りませんよ!



「もりそば」
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「くろさわ」らしい、つるつるの舌触りと弾むばかりの豊かなコシ。
青い瓜を思わせる爽やかな香りがふわっと漂う二八蕎麦だ。




「田舎そば」
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「もりそば」よりぐっと太く赤黒い姿に
熟成の香りのモグモグ蕎麦を予感したが
香りは「もりそば」と同じ爽やかな香り。
しかも「もりそば」以上のつるつる感と弾むコシで
かえってこちらの方が軽やかに感じるほどの田舎蕎麦だ。
軽やかな食感を楽しむうちに感じられてくる
かすかな野趣、たくましい香ばしさがおいしい!




今日初めて気づいたのだが、
店内の欄間にはコウモリさんが。
古材で作られた店舗と以前聞いたが
あれも古いものなのかな?
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2011年08月10日

新橋「友庵」


先週、前々から楽しみにしていた友人達との集まりがあり
私がお店を決めることに。
お蕎麦屋さんならいつものことだが、
なんとリクエストが「肉、もしくは居酒屋ハシゴ!」。
さあ大変だ、全く疎い分野である。

場所は新橋辺りということで
一応webで見当をつけたが
ハシゴとなると不安。

そんじゃま、下見も兼ねてぶらり新橋ついでにたぐり。


以前お蕎麦屋さんでもらった
「常陸秋そば使用の店」というパンフレットに出ていたこの店。

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路地裏という言葉がふさわしい、小さな路地に灯るあかり。
飾るでもなく飾らぬことを気取るでもない、
控えめな風情が逆に印象的である。




本日の蕎麦は群馬県渋川市赤城町のキタワセ。
「夏新そば」とある。

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まばらに散る大きな黒いホシ。
熟成感を含んだ香りをまとった
美しい細切りの蕎麦だ。



まだ新しい店内のスタッフは全員男性。
奥で楽しげに集うグループも全員男性。
新橋で飲むのが好きだった、この世では会えなかった祖父を思う。



静かな路地裏を抜け出した帰りには
駅まで歩くついでに翌日の様子見。
いや、1軒は決めてあったのだがハシゴに備え
だいたい街の様子を見ておこうかと・・
何処へ行っても蕎麦屋しか頭にないので
居酒屋目線で新橋を見るのは初めてなもので。


翌日は下見の甲斐あって(?)
めでたく楽しい3軒ハシゴと相成りましたとさ♪
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(新橋「まこちゃん本店」にて人生初やきとん。
 蕎麦ばかり食べていると世の中ハジメテだらけです(^_^;))






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2011年02月03日

白金台「利庵」


今夜は、大好きな、尊敬する方と「利庵」へ♪



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木造の長屋、飴色の昭和。
相変わらずたまらぬ情緒だ。


今日はなるべく異様(に蕎麦が好き)な雰囲気を出さないよう
できるだけ普通っぽいオーダーをしようと思ったのだが
夜だというのにめずらしく田舎が残っていると聞いては
どうにも我慢できません(>_<)!!


「せいろう」と「田舎そば」でも、いいですか〜・・と言ったら、
「えっ それだけでいいの?・・いや、”そんなに” なのかな・・」
とやはり異様に映ってしまいました。アハッ



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せいろう

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田舎そば


あー美味しかった!


美しい音楽で、もう今日は胸いっぱいなのでした。






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2010年10月06日

六本木「HONMURA AN」


駅から近く土日祝日もやっていてくれるので
大変便利な六本木「HONMURA AN」。

便利なだけではない。
さすがは「本むら庵」、
蕎麦が美味しすぎる!!


今日はお蕎麦の前に「みぞれ豆腐」。

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豆腐の上にとろろとおろし。
汁の中になめこが隠れている。
組み合わせとしては平凡に感じるメニューなのだが
食べてみて「美味しい」と思わせてくれる上手さがある。
濃厚すぎず淡白すぎない豆腐、すっきりした汁などが
全体を品良く調和させているのだ。



そして、「せいろそば」。

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立派な大きなせいろに
真上から見るとところどころ下のせいろが透けるほど薄く盛られた蕎麦。
「六本木でこんなお蕎麦を食べました」
と写真を見せたら怒り出す人も出そうなカットも撮れるほどだが
せいろが大きいので量は決して少なくはない。



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思わずため息が漏れてしまう、見事な粗挽き。
箸でたぐり、そっと近づくと
清洌な冷気に乗ってたまらぬ香ばしさが漂ってくる。
食べぬうちから「美味しい!」と小さく叫ばずにはいられない
甘美な香ばしさ。

口に含めば、その感動を裏切らないどころか
さらに甘美なパンチを連続してくるような、
濃厚な味わい、粗挽きのザラ粒感、膨らみ続ける香り・・・
粗挽きの粒は大きいのに輪郭そのものは実に繊細で
その貴い舌触りといったらない。
最初から最後まで、目はまとも開かずショボショボのまま、
愛する人を引き止めるような必死さで
一生懸命ゆっくり食べた私であった。

いいことばかり書いていて現実味に欠けるといけないので
敢えて書くと、今日に限ってはコシというものが全くなかった。
噛むと何の抵抗もなく、ハラリと噛み切れてしまう。
「だから何?」
私は心中でつぶやき続け、この蕎麦をかばい続けて食べた。
自分で突っ込んで自分でかばうという阿呆らしい行為だが
コシのなさなどどうでもいいと思えるほど感動させてくれる蕎麦だった。
その香りと味わいの中で、繊細な粗挽きを噛み締めた瞬間
何の抵抗もなくハラリと途切れてしまったことは
この蕎麦においては魅力のひとつのようにすら感じられた。
美しい人の傷跡のような。


以前やっていた「田舎そば」をやらなくなってしまったことは
本当に悲しく是非復活を希望するところだが
ほぉ〜、それはもしやハシゴしろってことですね?
と前向きに解釈することにしよう(^^)


でもこれだけ美味しいの食べた後では
2軒目選びも、困っちゃうなあー














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2010年09月17日

青山一丁目「手打ちそば くろ麦」


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珍しく、携帯より実況写真(^O^)!


今夜は素敵なライブに遊びに…♪
Body&Soulへいざ!の、前に
実に何年ぶりであろう、
青山一丁目「手打ちそば くろ麦」。


同じ場所に同じ時間が流れていてくれることの安堵感。

蕎麦は、すべらかな肌にまっすぐな力強さをまとっていた以前より
ぐっと優しくふんわりとした表情になったが
どこかのんびり、のほほんとしような品のよさはそまま。




前回ここの暖簾を出てから
今日までの数年間に

いろんなことがあり過ぎたような

何もなかったような

どうでもよくなる

しあわせそばじかん。





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2010年08月10日

新橋「ときそば」



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拙著「蕎麦こい日記」でご紹介した、
新橋「辻そば」が上総一ノ宮に移った跡が
お弟子さんによって「ときそば」となって一年。

開店からそんなに経ったことに驚きつつ
久々に訪れてみる。

店内の印象は辻そば時代とほとんど変わらず。
私はここのこざっぱりと清潔な雰囲気が大変気に入っている。

「ときそば」だけに落語がBGMとしてかかっているのが面白い。
うるさくない程度にかかっているのでよく聞き取れないが
「時そば」ではないような?
私にとっての「時そば」は昇太師匠が標準&最高なのでわからないが。
(って書いただけでも細部を思い出してニヤニヤしちゃうほど可笑しいのだ!)


「ときそば」のお蕎麦は細打ちと太打ちの2種。
まずは細打ちから。

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おおー

実に艶やかな黒っぽい蕎麦。
疎らに散る、黒々はっきりとしたホシが目にまぶしい。

見るからに密度の濃さを感じる蕎麦は
細打ちながら重量感をもって箸先に絡まり
干し草にも似た香りをほんのりと放っている。


口に含むとつるつるとした肌が口内を滑り
その中で時折感じる粗挽きのチリッとした刺激が実に快い。
全体の印象は違えどこの「時折チリッ」の心憎さは
師匠の「辻そば」を思い出すではないか。



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太打ちは、平打ちで。
これも黒いホシがピリリとアクセントになった黒っぽい蕎麦である。


香りや味わいがそっくりなので
細打ちと太打ちは切り方の違いだけなのかもしれないが
やはり太打ちだけにしっかりと噛みしめて味わうことができる。
太さだけでなくこの密度の濃さであるから
噛みしめ甲斐もあるというものだ。

色々とても似ているのに、「辻そば」とは全く違う蕎麦。
時の流れに思いを馳せつつ、しみじみと味わう時間。
ここは「ときそば」、いい店だ。



お楽しみの蕎麦湯の湯桶には
見慣れぬものがささっている。

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なんと濃いところが下に溜まってしまいがちな蕎麦湯のための
「竹製マドラー」なのだそうだ。
竹製だが竹のにおいもしっかり抜けており、
雰囲気も全体によく馴染んでいる。
何よりこういう、使う人の立場に立った思いやりというのは
嬉しいものではないか。


とは言え、かつて
「しあわせは蕎麦湯の底の濃いところ」
と詠んだ私。
しあわせは貯金して最後に楽しみたいため
残念ながらこのお店の素敵な思いやりは使えなかった。
ああもうやめたいこういう頑固な自分。

でもこれ、
「蕎麦湯と見たら、どんなに湯桶が大きくてもあるだけ飲み干す!」
という頭のおかしい人(私)以外には
本当にとってもいいですよね!




そうそう、湯桶の奥にチラと見えていたメニューも
チェックいただけましたでしょうか。
えいひれ、肉豆腐、焼きナス、干物盛り。
新橋の蕎麦屋で飲みたい者の心をいかにもくすぐりそうなラインナップ、
今度は飲める人とゆっくり来なくっちゃ。


また来ますね〜
ときそばさん!






.
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2010年07月30日

表参道「手打 うどん そば処 しまだ」


美容室に行ってきた。

あまり深くは語りたくないが
私は髪の「毛流」に激しいコンプレックスがございまして。

このコンプレックスはビチアス海淵より深く玄界灘より激しいので
語れと言われれば数時間は語れるのだが(迷惑)
ここではまあこのくらいにしまして。


とにかくそのコンプレックスをどうにかこうにか
誤魔化してくれる美容師さんにようやく巡り会えたので、
ここ数年通っている美容室からの帰り道。



青山通りを表参道の交差点から外苑方向に、
右側の1本目の小道には「増田屋 古道」がありますね。
ここは古いので知名度はやたらと高い。

で、3本目には、深夜まで通しの、
ありがたいありがたい川上庵があるのだが、

2本目をひょいと覗くと、こんな世界があるのだ。


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BGMは

♪喧嘩もしたさ 
 つっぱりもしたさ
 俺は今夜も 漁にでるぅ〜 ♪

ってなド演歌である。



お品書きはお蕎麦屋さんの定番から
居酒屋並の充実のおつまみ類。
というよりここは既にもう居酒屋として愛されている。
今夜も「2階、開いてる?」と常連さんから電話があり
7時から18人で大宴会の予約である。



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壁一面のメニュー、
うーん私は、
「もつ煮込み」「もろきゅう」
「銀だら西京焼き」がいいなー

とか言いつつ注文したのは例によって例の如く「もり」である。

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店に似合わずはんなりとした風情の白めの蕎麦。
しっとりと重なりあう姿はどこか女性的な印象である。

手繰り上げるとフワとやわらかく甘い香りを放ち
噛みしめると小麦のやさしい味わいが懐かしい。




1階は私だけのがらんとした店内。

店入り口の打ち場では、店主が先程からずっと、
蕎麦を打ち続けている。

それを接客担当の若い衆が、
尊敬しているのか単に暇なのか
脇目もふらずずっと熱心に眺め続けている。
あの熱心さであるから、おそらく前者であろう。


BGMは、今度は女性演歌歌手が
惚れっちまった運命について歌い上げている。



表参道の夜。
ここでは、毎日こんな風に更けてゆくのだ。


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2010年07月13日

表参道「青山 川上庵」(風に吹かれて、深夜蕎麦)



おやじ多き地に蕎麦屋ありき。

とは拙著でも述べた愚説であるが
実際若い人の多いオシャレな街にはお蕎麦屋さんが少ないのだ。


故に、オシャレ最先端の青山の地にあって、
その上昼前から深夜4時半まで通し営業の「青山 川上庵」は
拝みたくなるような心強い存在である。
リハ前と本番後で一日2回行ったことも。



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写真から力強い香りが漂ってきそうなほど、
見るからに熟成の蕎麦であるが
川上庵、最近はすっかり熟成が定番のようで。

先月末に行った時も熟成だった。
(あの時は楽しかったなあー)




今の季節、入り口前のテラス席がいい。




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風に吹かれて、深夜の熟成蕎麦。














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2010年04月04日

築地→白銀高輪「三合菴」(アンシュソロコンサート+ハシゴ蕎麦)


昨日は楽しみにしていた
我らが山下庵アンシュ洋輔様のソロ・コンサート。


おとなしく座って聴いているのが苦痛なくらい
楽しかった〜〜!

体はなるべく動かさないように・・・
声は絶対出さないように・・・(^_^;)



なんだかなあああ
あの飛び抜け感。

難しいことは何も考えられずただその海に飲み込まれて
大空だか洗濯機の中だかをぐわああ〜!!と一緒に飛び回って
大笑いしたりうっとりしたりしてたのに気がつくと着地していて
頭の中がスカーーッと生まれ変わっちゃってるような。




終演後はその空っぽの頭で無事アンシュにもご挨拶でき、
さードッチ向いて歩いてこうかな。

そう言えば来る途中築地の交差点に大変気になるものがあったぞ・・・
と築地に向けて歩き出す。




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これだ。
んー、いいなあ!
「手打ち蕎麦」という言葉を愛するあまり、
こういう幟すら大好きな私。
持って帰るわけにも行かないので
しばしうっとり堪能し地下のお店へ。


ジャズが流れて、まだ新しい綺麗なお店である。


さてお蕎麦。


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表面にたっぷりと水をたたえ、並太だが重量感の感じられる姿。
一口食べて・・・




??!!!



あっ




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なるほど。




柚子も強烈だが、桜さんも結構頑張って釜全体を染めるので
せいろも桜味になってしまうのだ。


というわけで。
美味しかったのだが蕎麦食べたと言うよりは
桜餅を食べたような満足感を得てしまったので
なぜかそのまま白金へ。




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改装して小さくなって
また違った魅力を持って気高く輝きはじめた名店。
例えるならきらびやかな宝石ではなく真珠のような。





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私、このそばがきで
雲の上の人となってしまいました。


唸るしかない。


無上の空気感。軽さとなめらかさのバランス。
えぐみも雑味もない、凜と美しい蕎麦の香り。

それらが実に品よく控えめに、何でもない風に
椀の中にまとめられている。

駆け抜ける恍惚の、そばがきひととき。








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今日のお蕎麦は何だか以前より更に男性的な印象である。
みずみずしい強靱な弾力を持って
容易には歯を入れさせずしなやかに口内を滑り
少し控えた、しかし極上の香りを残して
クールに去って行ってしまうような。




蕎麦後は、コンサートの楽しさを
蕎麦湯とたっぷりと語り店を出る。




雨に濡れた夜桜が蛍光灯に照らされ、
妖艶な遊女のようだった。




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2009年12月16日

泉岳寺「藪蕎麦」白金高輪「佶更」広尾「ゆい庵」(てくてく白金)

  

やらねばならないことは山積しているというのに
抜け出してきちゃった〜〜

ザ・老舗!
惚れます!この店構え!!


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@泉岳寺「藪蕎麦」♪


店内も泣けるほど素晴らしい雰囲気。
古い日本映画にそのまま出てきそうな広い店内はほぼ満員。
おじいちゃんおばあちゃん、
サラリーマンのみなさまに大人気☆
ひっきりなしにお客さんが入れ替わります。

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ちなみに相席の、スポーツ新聞ひろげてるおじさまはカレーライスをお待ちです。

機械打ちの白っぽいピカピカのお蕎麦は
やさしい小麦の香り。
ずっとこのままここにいてほしいと願わずにいられない、
宝物のような憩いの場。
楽しかったなぁ〜




で、お次はこんな感じで・・・

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@白金高輪「佶更(きっこう)」♪

ザックザクの粗挽きのそばがき!
今日は寒かったし、店の前の商店街の風情を楽しみながら
香り高い湯気に包まれて、しあわせだったなあ・・



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お蕎麦はぱきぱき感のある平打ち。
赤茶のホシが美しく、量もたっぷり!
近所の方にも人気のようで、お店の方と楽しげに話して帰るのが
のんびりしていい雰囲気。



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そしてやっちまいましたもう1軒・・・(^^;)



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@広尾「ゆい庵」♪

写真は田舎。
おいしいお蕎麦のようでしたが・・
ごめんなさい・・柚子切り病でよくわかんなかった・・・

このことについてわたしは、全国の柚子切りを出すお蕎麦屋さんに
大まじめに訴えたい!!

柚子切りを茹でた釜で茹でたお蕎麦は、
せいろも田舎も、蕎麦の香りより柚子の香りが勝っちゃうのです。

蕎麦の香りを偏愛するわたしには
それはそれは、黄色い雪が降ってきたような、
犬がコケコッコーと鳴いたような、大ショックなのであります。

・・って訴えられても、
そう簡単に釜をもう一つ買うわけにもいかないでしょうし、
どうしようもないと思いますけど・・・
わたしも真剣に困っているんです(>_<)


さぁて、昼のたのしい気分転換オワリ!

帰って仕事&練習だ〜☆



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posted by aya at 19:39 | Comment(4) | TrackBack(0) | 東京の蕎麦>港区 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする