2023年10月06日
山梨・甲府「専心庵」
山梨県は東京から近いし自然がいっぱい。
登山者にとっては魅力的な山がたくさんあるし、
フルーツ王国でもあり最近ではワインも美味しい。
でもその割に、手打ち蕎麦屋さんが少ないかなーというのが
私の印象。
いや、勿論あるにはあるのですが、
何せ名物「ほうとう」が人気者の小麦粉圏なので
隣県の長野なんかに比べるとどうしても少ないんですよね。
そんな中、県庁所在地・甲府に
こんっっっっな気合の入った名店があるのは
ものすごーーーーーく!!ありがたく嬉しいことなのです。
長野なんかだと素晴らしい手打ち蕎麦屋さんこそ
町中ではなくうんっっと引っ込んだ山奥にひっそりあって
しかも営業時間は実質昼間2時間のみ!
なんてのがあるあるですのでね〜(^^;)
めっちゃ難易度が高いわけです。
とはいえ、ここは便利な場所にあるので人気も爆発。
私が行ったこの日は店の前に10人ほどの行列ができていた。
ひょえ〜〜!行列はいいんですが
とにかくお蕎麦が売り切れないか、それだけが心配!!
外観
玄関
(画像は退店時)
列をジリジリと進み、最後は玄関の中で待つ。
何度も来ているのでなんとも思っていなかったが
こうして見るとすごく家庭的な店舗なんだなあ〜
客席はほのぼのとした畳の空間。
しかしほのぼのとできるのは一瞬です。
これからほぼ戦いです。
メニュー把握能力には自信のある私だが
ここのメニューの難易度はかなり高い。
ね、難しいでしょうー!?
とにかくお蕎麦は5種類もあります。
そしてその全部が絶品なので
先ほど行列に並び出した時から
どれか売り切れていないかが心配で心配で
お蕎麦も喉を通らないような数十分を過ごしてまいりました。
まあ5種類もあって、これだけ並んでたら
絶対どれかは売り切れてるよね・・・
ところが、めちゃめちゃドキドキしながら確認すると
なんと、今は全部あるとのこと!
すごーーい!!やったあああああーー!!
(尋ねた客室担当の男性は店主ではないのだが
めっちゃフリーダムな方で可笑しかったです(笑)
もう一人のおばちゃまはすんごーく感じの良い方!)
おつまみメニューも色々惹かれるのだが
残念ながら今私のお腹は5種のお蕎麦のご予約でいっぱいなので
ここはスルーしなくてなりませぬ。
とにかくお蕎麦を5種全部食べられるよう、
「土日限定の食べ比べ十割蕎麦4種」+「二八蕎麦」
お願いしまーーーす!!
ちなみにそれぞれのお蕎麦の説明はこんな感じ。
⚫️「限定荒挽き」
上村下栗の手刈り天日干しの今日では入手し難い貴重な玄そば
小さな石日で挽いた荒い粉と大きな石日で挽いた細かい粉を
すこし調整して蕎麦粉十割打ちにしました
⚫️「韃靼そば」
ダッタン番麦粉と生粉蕎麦の蕎麦粉を同割にして
ダッタン蕎麦の食べ難さを調整しています。 蕎麦粉10割です
ダッタン蕎麦粉のみ粉の状態で仕入れています
⚫️「生粉そば」
北海道産の黒い皮をむいたむきそばを十割で細打ちにしています
⚫️「玄生粉そば」
馬頭産 開田産 北海道産いずれかの玄蕎麦を十割打ちです
皮を挽きこんでいるため黒く仕上がっています
⚫️「二八そば」
馬頭町の露久保一夫さんが手塩にかけて
栽培してくださった玄そばを使っています
開田高原産に変更になる時もあります
さて。
いざいざいざーーーーーーーーーーっ!!!
蕎麦全景
ぎゃああああああああ
とっっ
ときめきすぎてどうしたら!?!?
5種類という数もさることながら、
とにかく一つ一つのお蕎麦が放つオーラ、パワーがただ事はない。
息を呑んで固まるしかないほどの輝き・・・
眩しすぎて、胸がいっぱいで、もう食べずに泣いてもいいかも(迷惑)!!
まずは落ち着いて一つ一つと向き合い、
その佇まい、その肌、纏う香りを
できるだけクイックに愛でてからいただきましょう。
左「限定荒挽き」と右「生粉そば」
いやいやいやいや・・・
クイックに愛でるって無理でしょこれじゃーーー?
なんという強烈な魅力。
粗挽きも生粉そばも、それぞれに素晴らしすぎて
食べる前からもうブッ倒れそう!!!
これはやばい。完全にやばい。
どっちも超絶に美味しいのが伝わりすぎて胸が苦しい!!
「限定荒挽き」
もう拍手するしかない、この風貌。
よくぞここまで・・・というものすごい粗挽きっぷりである。
手繰りあげるとフワーッと濃厚に香る、熟成のナッティーな香り。
しかし嫌味はこれっぽっちもなく、熟成一歩手前の最高の香りだ。
蕎麦一本一本が暴れて手繰りづらい感じがあるが
それをなだめて口に含むと、ポコポコとした節を感じる舌触り。
ハラッハラぱらぱらぽろぽろ?とても個性的な質感なのだが
総合的に言ってとにかくめちゃらくちゃらに美味しい!!!!
澄んだ美しいナッティーな香りと、噛み締めて広がる甘み、
そしてこの素朴極まる不思議な質感・・・
あああ〜 一発目でもう壊れそうなんですけどーー!!
「生粉そば」
こちらは5種類の中で一番繊細な極細。
その儚さ、美しさは
「あなたを食べていいんですか?」
と聞きたくなってしまうほどの尊さである。
最初の香りは、まさに北海道の蕎麦を思わせる爽やかな野生。
(これは北海道と聞かなくてもわかる、わかりやすい香り!)
それがだんだんまろやかな穀物感のある香りに変化していくのが嬉しい。
食感も変化し、最初は繊細なはらっはらした感じだったのが
だんだんしなやかになっていった。
なんとか形容せねばとごちゃごちゃ書いたが
食べた感じとしてその全てが最高レベルに素晴らしく
私は胸撃ち抜かれて上半身をまっすぐ保つのが難しいほど
べろんべろんに陶酔しながら食べた。
最高すぎる!!幸せすぎる〜〜!!
そしてお次もまた個性派でありつつ最高なお二人!!
左「韃靼そば」と右「玄生粉そば」
「韃靼そば」
(もうあまりの興奮に全身ぐにゃぐにゃだったらしく
珍しくこんなピンボケしか撮れてなかったあー!(泣))
緑とか黄色を帯びた独特のずっしり感のある肌色。
写真の印象以上に極細で、みずみずしくふるふるした食感。
香りは、これは私が韃靼そばによく感じる香りの要素なのだが
墨とか黴に近い、渋ーーい香り(例えは悪いがそういう穀物の香りなのです)。
味わいは韃靼独特の深い苦みがあり、韃靼も大好きな私には
たまらなく美味しいです。
それが汁をつけると、せっかくのその独特の香りも味わいも
ほとんどわかんなくなっちゃうので超不思議!!
というわけで、私はどこのお蕎麦屋さんに行っても
蕎麦汁を全く使わないまま完食しちゃう大悪党に
育ってしまったのですよね〜(≧∇≦)♡(よいこは真似をしてはいけません)
「玄生粉そば」
こちらは、さらにさらに極細!!
この儚さ、繊細さ・・・
さながらビスクドールのような、
触れてはならない尊さをたたえている。
ときめきまくりながら香りを寄せると
あらら?これはとっても変わった香り!!
なんというのでしょう・・・
相変わらず言葉が悪くて申し訳ないのだが
渋すぎる畳みたいな野生??
しかしそれはトップノートのみで、
それがだんだん、黒く渋いたまらなくかぐわしい香りに変化していった。
食感はきこのほうがちょっと繊細さがエキセントリックだけどこっちもすごい繊細
だんだんしなやか
ふんわり超極細
最初の香りにびっくり
かわってる、渋すぎる畳みたいな野生
それがだんだん非常にかぐわしき
くろいしぶいかおりになった
食感は「生粉そば」の方がさらに、エキセントリックなまでの繊細さを感じたが
こちらも滅多にお目にかかれないような極細、繊細。
この粗挽きで、こんな繊細でこれだけしなやかな十割って、
ありえないですよね!?魔法使いなんですか???
うーん、どのお蕎麦を食べても完璧すぎて、魅力爆発すぎて、
私は完全にぶっ壊れてきています・・・
はにゃはにゃ・・・もうどうにでもしてください・・・
さて、最後の「二八蕎麦」。
他の蕎麦と比べると赤みを帯びた肌。
おや?これは珍しくも最初の香りはゼロでした。
ところが、これも後から、青畳のような、爽やかな野生が膨らんできます。
むっちりしたコシがあるが、それが弾むような強さではなく
ひじょーーーうにやわらかでやさしい食感なところがニクイ。
素晴らしすぎる。
こんなものすごい蕎麦スター様たちの旨みが
大量に溶け出した蕎麦湯がおいしくないわけがない。
蕎麦湯
いやーーーー!!!
これもお金払わないと申し訳ないような美味しさ!!
めくるめく、嵐のような恋のひとときを過ごして
店を出ると13時15分。
しかしもうとっくに「売切れ」の看板が出ている。
ここは11時30分の開店なので
実質1時間45分の営業時間!!
もはやこれは、ブロードウェイとかロンドンのウェストエンドに匹敵する
舞台、ショーみたいなものだな、とすら感じられてくる。
1時間45分という短い時間の間に
どれだけの物語と感動がここで生まれたのだろう。
(流石に畳に倒れ込んで咽び泣きそうそうになってる奴は
私くらいかもしれないが(笑))
山梨に「専心庵」があって良かった。
行くたびに興奮しすぎて心もお腹もえらいことになりますが
またすぐ行きますよー!
今度はまたBさんと行きたいな♡
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